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特許7116843RFコンポーネント用マルチスタック冷却構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】RFコンポーネント用マルチスタック冷却構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220803BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20220803BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220803BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20220803BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H05K7/20 C
H05K1/16 B
H05K1/02 F
H01F17/00 B
H01F27/08 101
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021507997
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2018047091
(87)【国際公開番号】W WO2020040725
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】509337160
【氏名又は名称】コメット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ グリデ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グリューナー
(72)【発明者】
【氏名】アントン ラバンク
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185741(JP,A)
【文献】特表2017-501371(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040253(WO,A1)
【文献】特開2012-084599(JP,A)
【文献】特表2018-506870(JP,A)
【文献】特開2014-199908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 1/16
H05K 1/02
H01F 17/00
H01F 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に高周波(RF)構造を有する回路基板であって、前記回路基板の導電性トレースから形成された前記RF構造であり、
熱伝導体と、
前記回路基板と前記熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造であって、前記マルチスタック冷却構造は前記第1の位置で前記RF構造に隣接する第1スタックおよび第2の位置にある第2スタックを含み、前記第1スタックは前記熱伝導体に隣接する誘電体層と、前記誘電体層と前記回路基板を交互に結合する熱界面材料(TIM)と、を含み、前記誘電体層は前記TIMよりも高い熱伝導率および高い剛性を有し、前記第2スタックは前記熱伝導体に隣接する金属層と、前記金属層と前記回路基板とを互いに結合する前記TIMと、を含む、装置。
【請求項2】
前記TIMは、熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記RF構造は、中央開口部を有し、前記装置は、前記中央開口部と整列した前記回路基板上の少なくとも一つの構成要素をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記RF構造は、インダクタ、変圧器、または伝送ラインのうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回路基板は、前記マルチスタック冷却構造に対向する第1の層と、前記第1の層に対向する第2の層と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記RF構造は、前記第1の層に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記誘電体層は、セラミック材料または強磁性セラミック材料のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記誘電体層と前記金属層とは、共通の形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記誘電体層と前記金属層とは、共通の大きさを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記金属層の表面に、めっきをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記めっきは、スズまたは金のうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マルチスタック冷却構造は、前記回路基板と前記熱伝導体との間に2つ以上のスタックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記金属層に実装された電力コンポーネントをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記回路基板に、前記電力コンポーネントを収容する凹部がさらに形成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1の表面の第1の位置に高周波(RF)構造を有するプリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、前記第1の表面の反対側に第2の表面を有し、RF構造は、導電性トレースから形成され、インダクタ、変圧器、伝送ラインのうち少なくとも一つを含み、
ヒートシンクまたは水冷プレートの少なくとも一つを含む熱伝導体と、
前記プリント回路基板と前記熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造あって、前記マルチスタック冷却構造は、第1の位置で前記RF構造に隣接する第1スタックおよび第2位置で第2スタックを含み、前記第1スタックは、前記熱伝導体に結合された誘電体パッドを含み、前記誘電体パッドと前記プリント回路基板とを互いに結合する熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤のうち少なくとも一つを含む熱界面材料とを含み、前記誘電体パッドは、前記熱界面材料よりも高い熱伝導率および高い剛性を有し、前記第2スタックは、前記熱伝導体に結合された金属層に積層され、前記金属層は、前記プリント回路基板の第1表面に結合され、前記第1スタックは、前記第2スタックに隣接している、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この文献は、一般に、RFコンポーネントのためのマルチスタック冷却構造(multi-stack cooling structure)に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の高周波(Radiofrequency;RF)電力コンポーネントまたはモジュールは、インダクタ、変圧器または伝送ラインなどの平面電源RF構造を含む。動作中、このようなRF電力コンポーネントは、かなりの量の熱を発生する可能性がある。したがって、RF電力コンポーネントを冷却することが必要であるか、または望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
一部のRFコンポーネントは、マイクロ波範囲の周波数(300MHz~300GHzなど)以上で動作する。このようなRFコンポーネントの場合、RFコンポーネントが実装されているプリント回路基板(printed circuit board;PCB)にヒートシンクを直接結合することができる。このような状況では、RFコンポーネントが誘導性コンポーネントの比較的低いインダクタンスおよび/または伝送ラインの低いインピーダンスを必要とするので、RFコンポーネントに金属ヒートシンクが比較的近接していることが許容される場合がある。低い周波数の場合は、この限りではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、装置は、第1の位置に高周波(RF)構造を有する回路基板であって、回路基板の導電性トレースから形成されたRF構造であり、熱伝導体と、回路基板と熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造であって、マルチスタック冷却構造は第1の位置でRF構造に隣接する第1スタック(first stack)および第2の位置にある第2スタック(second stack)を含み、第1スタックは熱伝導体に隣接する誘電体層と、誘電体層と回路基板とを互いに結合する熱界面材料(Thermal interface material;TIM)と、を含み、誘電体層はTIMよりも高い熱伝導率および高い剛性を有し、第2スタックは熱伝導体に隣接する金属層と、金属層と回路基板とを互いに結合するTIMと、を含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のいずれかまたは全てを含むことができる。TIMは、熱パッド、粘着剤(adhesive)、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤(glue)のうちの少なくとも一つを含む。RF構造は、中央開口部を有し、装置は、中央開口部と整列した回路基板上の少なくとも一つのコンポーネント(component)をさらに備える。RF構造は、インダクタ、変圧器、または伝送ラインのうちの少なくとも一つを含む。回路基板は、マルチスタック冷却構造に対向する第1の層と、第1の層に対向する第2の層と、を有する。RF構造は、第1層に配置されている。誘電体層は、セラミック材料または強磁性セラミック材料のうちの少なくとも一つを含む。誘電体層と金属層とは共通の形状を有する。誘電体層と金属層とは、共通の大きさを有する。装置は、金属層の表面に、めっきをさらに含む。めっきには、スズまたは金の少なくとも一方を含む。装置は、マルチスタック冷却構造は、回路基板と熱伝導体との間に2つ以上のスタックを含む。金属層に実装された電力コンポーネントをさらに備える。装置は、回路基板に、電力コンポーネントを収容する凹部をさらに備える。
【0006】
第2の態様では、装置は、第1の表面の第1の位置に高周波(RF)構造を有するプリント回路基板であって、プリント回路基板は第1の表面の反対側に第2の表面を有し、RF構造は、導電性トレースから形成され、インダクタ、変圧器、または伝送ラインのうち少なくとも一つを含み、ヒートシンクまたは水冷プレートのうちの少なくとも一つを含む熱伝導体と、プリント回路基板と熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造であって、マルチスタック冷却構造は第1の位置でRF構造に隣接する第1スタックおよび第2の位置で第2スタックを含み、第1スタックは、熱伝導体に結合された誘電体パッドを含み、誘電体パッドとプリント回路基板とを互いに結合する熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤のうちの少なくとも一つを含む熱界面材料とを含み、誘電体パッドは、熱界面材料よりも高い熱伝導率およびより高い剛性を有し、第2スタックは熱伝導体に結合された金属層に積層され、金属層はプリント回路基板の第1表面に結合され、第1スタックは第2スタックに隣接している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】装置の一例を示す。
図2】回路基板の一例を示す。
図3】フレームの一例を示す。
図4】フレームアイレットの一例を示す。
図5】アセンブリの例を示す。
図6】アセンブリの例を示す。
図7】アセンブリの例を示す。
図8】アセンブリの例を示す。
図9A】インダクタを備える装置の一例を示す。
図9B】インダクタを備える装置の一例を示す。
図10A】変圧器を備えた装置の一例を示す。
図10B】変圧器を備えた装置の一例を示す。
図11A】伝送ラインを有する装置の実例を示す。
図11B】伝送ラインを有する装置の実例を示す。
図12図1の装置の別の例を示す。
図13A】回路基板との配置の例を示す。
図13B】回路基板との配置の例を示す。
図13C】回路基板との配置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本書では、ヒートシンクと回路基板(PCBなど)との間に構築できる冷却スタックの例について説明する。いくつかの実施形態では、平面RF構造の冷却を設けることができる。平面電源RF構造のために、強制冷却を設けることができる。平面RF電源構造を冷却するために、ハイブリッド層スタックを設けることができる。
【0009】
マイクロ波範囲(例えば、約数分の1MHz~約100MHz程度)よりも低い周波数を有するRF回路は、典型的にはより高い周波回路に比べて、誘導性コンポーネントのインダクタンスが高く、および/または伝送ラインのインピーダンスが高くなる可能性がある。このようなより低い周波数に関連する装置の例には、RF電力送達のための発電機が含まれるが、これらに限定されない。例えば、限定するものではないが、RF電力発電機は、半導体製造、LEDディスプレイまたはLCDの製造、ソーラーパネルのような光起電システムを含む薄膜蒸着、サイクロトロンのようなプラズマ研究、工業的または医学的用途、および/またはレーザー電源のような分野で使用することができる。
【0010】
サブマイクロ波RF発電機における高いインダクタンスおよび/または高いインピーダンスにより、導電性ヒートシンクまたは他の機械的な熱伝導体をPCBに直接的に結合することが不可能または実用的でない場合がある(この熱伝導体は通常グランド電位に接続される)。このような金属コンポーネントが近接して存在すると、RFコンポーネントの磁場と熱伝導体内の渦電流の磁場とが破壊的に重畳することによって、インダクタンスまたはインピーダンスが著しく減少する。さらに、PCBを厚くすることは、熱抵抗が典型的には高すぎて冷却が不十分であるため、許容できる解決策ではない場合がある。
【0011】
熱伝導性のPCB材料と比較して、異なるより優れた熱伝導性材料を含むマルチスタック冷却構造を提供することができる。いくつかの実施形態では、回路基板は、1以上の切欠きまたはキャビティを特徴とするフレームを含むマルチスタック冷却構造に結合することができる。一例として、マルチスタック冷却構造を熱伝導体に実装することができる。キャビディは、マルチスタック冷却構造に、熱伝導率は良好であるが電気絶縁が必要な追加のスペースを設けることができる。例えば、キャビティは、誘導性素子または伝送ラインのようなRF構造に隣接して設けることができる。キャビティは、一つ以上の良好な熱伝導性インレー(例えば、プレート)と、回路基板とインレーとの間の一つ以上の熱界面材料とで少なくとも部分的に充填することができる。熱界面材料は、少なくとも製造工程中は、柔らかくなっている。例えば、接着剤またはラミネート(laminate)が使用される場合、高さの許容誤差が補正された後、熱界面層は、その後硬化される。熱界面材料はまた、インレーとヒートシンクまたは他の熱伝導体との間に、またはその代わりに設けることもできる。このスタックは、インダクタンスおよび/またはインピーダンスに重大な有害な影響を与えることなく、RF構造を冷却することができる。誘導特性がないコンポーネントが配置されている場所などの回路基板の別の面積は、フレームによって形成された別のスタックを介して直接的に冷却することができる。これにより、熱の拡散と熱抵抗の低減を実現することができる。フレームおよび/またはそのようなスタックの他の部分の厚さは、それに応じて選択することができる。
【0012】
図1は、装置100の一例を示す。装置100は、本明細書で説明する任意の例によるRF装置の一部とすることができる。装置100は、回路基板102を含む。いくつかの実施形態では、回路基板102はPCBである。例えば、回路基板102は、装置100のコンポーネントを形成および/または接続する導電性トレースを有することができる。
【0013】
回路基板102は、上層104を含むことができる。上層104は、回路基板102の1つ以上のコンポーネントおよび/または導電性トレースを含むことができ、ここでは、説明のために図面に概略的に示す。いくつかの実施形態では、コンポーネント106は、「集中」コンポーネントと見なすことができる。例えば、概略的に示されるコンポーネント106は、少なくとも一つのキャパシタおよび/または少なくとも一つの抵抗器を表すことができる。装置100のいくつかのコンポーネントは、RF構造を含むことができ、サブマイクロ波周波数などの1以上の周波数を有する信号で処理することができる。例えば、既に増幅された高電力信号は、負荷インピーダンスを電力トランジスタに整合させるため、および/またはフィルタリングを提供するために受動コンポーネントを通過させることができる。いくつかの実施形態では、RF構造108は、インダクタ、変圧器、または伝送ラインを含むか、またはそれらの一部でありうる。例えば、RF構造108は、回路基板102の導電性トレース(例えば、銅トレース)から形成することができる。上層104は、回路基板102のコア110に形成することができる。いくつかの実施形態では、コア110がPBC基板を含むことができる。
【0014】
回路基板102は、コア110に形成された下層112を含むことができる。下層112は、回路基板102の一つ以上のコンポーネントおよび/または導電性トレース(conductive traces)を含むことができる。いくつかの実施形態では、RF構造114は、インダクタ、変圧器、または伝送ラインを含むか、またはそれらの一部でありうる。例えば、RF構造114は、回路基板102の導電性トレース(例えば、銅トレース)から形成することができる。上部および下部という用語は、本図面に関する例示目的のたのみ使用される。
【0015】
RF構造108および/または114は、平面RF構造と呼ぶことができる。RFコンポーネントは、回路基板の導電性トレースから(例えば、コア110に配置される金属層のエッチングによって)形成される場合、平面的なRF構造とみなすことができる。例えば、平面RF構造は、インダクタ、変圧器および/または伝送ラインを含むことができる。
【0016】
ここで、装置100は、回路基板102のためのマルチスタック冷却構造116(multi-stack cooling structure;MSCS)を含む。MSCS116は、回路基板102のコンポーネント/構造が所望の再現性のあるインダクタンスおよび/またはインピーダンスを有することを容易にしながら、回路基板102から放熱された熱を除去する役割を果たすことができる。MSCS116は、回路基板102と熱伝導体118との間に配置される。いくつかの実施形態では、MSCS116は、下層112に隣接して(例えば、当接して)配置することができる。例えば、MSCS116は、RF構造114に対して配置することができる。熱伝導体118は、MSCS116からの熱を除去することができる構造を含むことができる。例えば、限定するものではないが、熱伝導体118は、ヒートシンク(例えば、金属構造)、冷水プレート、および/または別の熱伝導機械的キャリアを含むことができる。
【0017】
MSCS116は、互いに同じまたは異なる方法で、回路基板102からの熱エネルギーの除去を容易にする役割を果たす2つ以上のスタックを含むことができる。ここで、MSCS116は、少なくともスタック120とスタック122とを含む。MSCS116の各スタックは、2つ以上の層を含むことができる。いくつかの実施形態では、スタック120は、熱界面材料(TIM)124と、インレー126と、層128の一部である部分128Aとを含む。ここで、部分128Aは、スタック120の一端を形成し、熱伝導体118に隣接して(例えば、当接して)配置される。スタック120の他端では、TIM124は、回路基板102の下層112に隣接して(例えば、当接して)配置される。例えば、TIM124は、RF構造114に隣接して配置することができる。
【0018】
TIM124は、回路基板102とインレー126との間の熱接続を提供するソフトサーマルインターフェースとして機能することができる。TIM124は、電気的に絶縁性である。いくつかの実施形態では、TIM124は、熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、および/または接着剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、マトリックス繊維集合体は、ポリマーマトリックス中に分散された繊維から形成することができる。例えば、マトリックス繊維集合体は、予め含浸されたコンポジット繊維、またはプリプレグを含むことができる。TIM124は、装置100内の一つ以上の不一致を補償する役割を果たすことができる。例えば、TIM124は、装置100の設計パラメータ内にあると考えられる機械的公差(例えば、スタック122のような一つ以上のサイズの変化量)を補償することができる。別の例として、TIM124は、下層112とインレー126との間の空隙を埋めることができる。
【0019】
インレー126は、電気絶縁性を提供する良好な熱伝導性を有する比較的剛性の高い材料片とすることができる。インレー126は、回路基板102と熱伝導体118との間に熱的に導通し、電気的に絶縁されたブリッジを提供することができる。いくつかの実施形態では、インレー126は、TIM124よりも高い熱伝導率を有する。インレー124は、TIM124よりも高い剛性を有する。例えば、インレー126は、スタック122と、スタック122からスタック120の反対側にある別のスタック132との間に形成されるキャビティ130内に収まる最大サイズを有するように選択することができる。例えば、ストック材料または板の一片は、キャビティ130を可能な限り満たすように寸法をカスタマイズすることができ、次いで、TIM124は、残りの空間の一部または全部を満たすことによって補償することができる。インレー126の材料は、熱伝導率と材料のコストとの間の良好なトレードオフを提供するように選択することができる。インレー126の厚さは、総熱伝導率と機械的公差の効率的な補償との間の良好なトレードオフを提供するように選択することができる。
【0020】
インレー126は、適切な熱伝導率および電気絶縁性を提供する一つ以上の材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、インレー126は、フェライトなどの強磁性セラミック材料、AlまたはAlNなどのセラミック材料、および/または別の熱伝導性硬質材料を含むことができる。インレー126の熱伝導率は、金属の熱伝導率よりも小さくてもよいが、インレー126は、インダクタンスおよび/またはインピーダンスを著しく低下させることなく、回路基板102を冷やすために使用することができる。
【0021】
部分128A(例えば、熱グリース)は、MSCS116の複数または全てのスタック(ここではスタック120、122および132)にまたがることができる全体の層(ここでは層128)の一部であり得る。部分128Aは、一方では、スタック120の他の部分(ここでは最も直接的にインレー126)と、他方では熱伝導体118との間に、良好な接触(例えば、粗さを補正するために)および良好な熱伝導性を提供することが好ましい。いくつかの実施形態では、別の材料を代わりにまたは追加的に使用することができる。例えば、部分128A(または層128全体)は、熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、および/または接着剤を含むことができる。
【0022】
MSCS116のスタック122は、フレーム134を含むことができる。フレーム134は、回路基板102の一部から熱伝導体118への熱の除去を容易にするように回路基板102に結合された熱伝導性構造であってもよい。フレーム134は、電気的に導電性であってもよい。フレーム134は、1以上のキャビティまたは開口部を有することができる。例えば、スタック122と132との間のスタック120を収容するキャビティ130は、フレーム134によって設けることができる。フレーム134は、PCB基板(クラッド金属、ポリマー箔、布および/または紙を含むが、これらに限定されない)、または金属(銅を含むが、これらに限定されない)で形成することができる。フレーム134は、スタック122またはスタック132、あるいはその両方に設けることができる。フレーム134は、RF構造114以外の回路基板102の一つ以上の面積を直接冷やすことができる。例えば、コンポーネント106(スタック122または132、あるいはその両方)は、フレーム134によって冷却することができる。その冷却を提供することで、フレーム134は、熱拡散を容易にし、熱抵抗を低減することができる。例えば、フレームの厚さは、適切な熱拡散を提供するように選択することができる。
【0023】
回路基板102と熱伝導体118との間の方向におけるフレーム134の厚さは、装置100における一つ以上の他の寸法に影響を与えるか、またはそれを定義することができる。フレーム134は、熱伝導体118から適切な距離に回路基板102(例えば、そのRF構造114)を保つように設計することができる。いくつかの実施形態では、インレー126は、フレーム134の厚さおよびキャビティ130の深さに基づいて少なくとも部分的に選択される。例えば、インレー126は、フレーム134の厚さの少なくとも半分である厚さを有するように設計することができる。いくつかの実施形態では、インレー126は、キャビティ130によって収容されうる最大サイズを有することができ、次いで、(実質的に)フレーム134と同じ厚さにすることができる。いくつかの実施形態では、インレー126は、キャビティ130よりも厚く(すなわち、フレーム134よりも厚く)することができる。次に、インレー126は、ヒートシンクまたは他の熱伝導体のキャビティによって部分的に収容することができる。TIM124は、先に例示したように、フレーム134の公差変化量を補償することを含むが、これに限定されず、装置100の公差変化量を補償することができる。
【0024】
MSCS116は、下層112と(スタック122および/または132内の)フレーム134との間、または下層112と(スタック120内の)TIM124との間、またはその両方に配置された層136を含むことができる。いくつかの実施形態では、層136は、下層112とフレーム134とを互いに結合し、熱伝導率を与えることができる。例えば、層136は、粘着剤、接着剤および/または熱グリースを含むことができる。
【0025】
装置100は、その第1の位置(例えば、スタック120に対向する下層112上の位置)にRF構造(例えば、RF構造114)を有する回路基板(例えば、回路基板102)を含む装置の一例であり、RF構造は、回路基板の導電性トレースから形成される。装置は、回路基板と熱伝導体とを互いに結合する熱伝導体(例えば、熱伝導体118)およびマルチスタック冷却構造(例えば、MSCS116)を有する。MSCSは、第1の位置でRF構造に隣接する第1スタック(例えば、スタック120)と、第2の位置(例えば、スタック122に対向する下層112上の位置)で第2スタック(例えば、スタック122)と、を含む。第1スタックは、熱伝導体に隣接するインレー(例えば、インレー126)、およびインレーと回路基板とを互いに結合する熱界面材料(例えば、TIM124)を含む。インレーは、熱界面材料よりも高い熱伝導率および高い剛性を有する(例えば、インレーがセラミックまたはフェライトから作られるのに対し、TIMは、軟質熱パッド、粘着剤、結合フィルム、プリプレグ、または接着剤から作られる)。
【0026】
図2は、回路基板200の一例を示す。回路基板200は、本明細書で説明する1以上の例とともに使用することができる。例えば、回路基板200は、回路基板102(図1)として機能することができる。回路基板200は、2つの例を挙げると、クラッド金属基板を用いてもよいし、複合材料を用いてもよい。回路基板200は、その片面または両面に一つ以上の導電性トレースを有するPCBであってもよい。回路基板200は、長方形を含むが、これに限定されず、任意の適切な形状を有することができる。
【0027】
回路基板200は、コンポーネントの機能を容易にする1以上の表面特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、回路基板200は、1以上のビア接続部202を有する。例えば、ビア接続部202は、回路基板200の一方の側(例えば、図1の上層104から)から、回路基板200の反対側(例えば、図1の下層112)の回路(例えば、RF構造)への接続を提供することができる。
【0028】
基板200は、一つ以上の開口部を含むことができる。ここで、回路基板200は、2つの凹部204を有する。いくつかの実施形態では、(複数の)凹部204は、回路基板200の対向する表面の両方に向かって開くことができる。(複数の)凹部204は、例えば、以下に説明するように、回路基板200に実装されていない一つ以上のコンポーネントを収容するために使用することができる。
【0029】
図3は、フレーム300の一例を示す。フレーム300は、本明細書で説明する1以上の例とともに使用することができる。例えば、フレーム300は、フレーム134(図1)として機能することができる。フレーム300は、2つの例を挙げると、金属(例えば、銅)またはPCB基板から形成することができる。フレーム300は、長方形を含むが、これに限定されず、任意の適切な形状を有することができる。
【0030】
フレーム300は、一つ以上の開口部を含むことができる。ここで、フレーム300は、2つの凹部302および2つの凹部304を有する。いくつかの実施形態では、(複数の)凹部302がフレーム300の対向する表面の両方に向かって開くことができる。(複数の)凹部302は、例えば、以下に説明するように、中央開口部を有するRF構造を収容するために使用することができる。いくつかの実施形態では、(複数の)凹部304は、フレーム300の対向する表面の両方に向かって開くことができる。(複数の)凹部304は、例えば以下に説明するように、中央開口部を有さないRF構造を収容するために使用することができる。
【0031】
図4は、フレームアイレット400(frame islet 400)の一例を示す。フレームアイレット400は、本明細書に記載される一つ以上の例と共に使用することができる。例えば、フレームアイレット400は、例えば、以下に説明するように、RF構造によって囲まれている場合のように、回路基板の一部(コンポーネント)を支持する島としての役割を果たすことができる。フレームアイレット400は、2つの例を挙げると、金属(例えば、銅)またはPCB基板から形成することができる。フレームアイレット400は、長方形を含むがこれに限定されず、任意の適切な形状を有することができる。
【0032】
図5図9は、アセンブリの例を示す。アセンブリは、本明細書に記載される装置のいずれかのような、装置のアセンブリの様々な段階を示すことができる。図5では、回路基板200とフレーム300とが互いに結合された状態で示されている。例えば、これは、回路基板102とフレーム134とが互いに結合されている図1における結合に対応することができる。フレーム300の凹部302および凹部304(図3)を覆う回路基板200の一部には、インダクタ、変圧器、および/または伝送ラインを含むが、これらに限定されず、1以上のRF構造を設けることができる。例えば、(複数の)RF構造は、凹部302および凹部304に対向する回路基板200の表面、または回路基板200の反対側の表面、またはその両方に配置することができる。
【0033】
回路基板200に実装されていないフレーム300には、1以上のコンポーネントを実装することができる。ここで、フレーム300には、コンポーネント500が実装されている。回路基板200の凹部204は、コンポーネント500を収容することができる。例えば、コンポーネント500は、凹部204のほぼ全体を満たすことができる。幾つかの実施形態では、コンポーネント500は、フレーム300(例えば、金属材料によって)によって直接冷却される電力トランジスタ、電力抵抗器等とすることができる。例えば、コンポーネント500がフレーム300上に直接的に配置される場合、コンポーネント500と熱伝導体との間には、回路基板の熱抵抗が存在しない。加えて、コンポーネント500からの熱は、熱伝導体(図示せず)に向かって直接的に移動するだけでなく、フレーム300内に広がることができる。実施の他の特性に基づいて、フレーム300の適切な厚さを有することにより、コンポーネント500と熱伝導体との間の熱抵抗を低減することができる。例えば、フレーム300の厚さが大きすぎる場合、熱は拡散するが、フレーム300の材質(例えば、銅)から追加の熱抵抗がある場合がある。しかし、フレームの厚さが小さすぎると、有意な熱拡散は得られない。
【0034】
上述の例では、装置は、フレーム(例えば、フレーム300)に実装された電力トランジスタ(例えば、コンポーネント500)を含み、回路基板(例えば、回路基板200は、電力コンポーネント、例えば、トランジスタを収容する凹部(例えば、凹部204)を含むことができることを例示している。
【0035】
図6は、フレーム300および回路基板200を図5とは別の観点から示しており、ここでは、凹部302および凹部304が現在視認可能である。フレームアイレット400は、凹部302内の回路基板200に実装されている。
【0036】
図7は、RF構造700がフレーム300の凹部302のうちの少なくとも一つの内部で、回路基板200上に配置されていることを示す。同様に、RF構造702は、フレーム300の凹部304のうちの少なくとも一つの内部で、回路基板200上に配置されている。幾つかの実施形態では、RF構造700は、フレームアイレット400と、フレームアイレット400によって支持されるために回路基板200に実装される(複数の)コンポーネントを収容する中央開口部704を有することができる。アイレット400による回路基板の支持は、回路基板の撓みや、TIMの圧縮によってコンポーネントを損傷することを回避するために有利である。
【0037】
図8は、ボルト800によって回路基板200(フレーム300の凹部を通して部分的に見える)に結合されたフレーム300を示す。粘着剤のような別の取り付け形態を、追加的にまたは代わりに使用することができる。フレーム300は、熱伝導体に結合することもできる。
【0038】
図9A図9Bは、インダクタ902を備える装置900の一例を示す。装置900および/またはインダクタ902は、本明細書で記載された任意の例とともに使用することができる。例えば、RF構造114(図1)は、インダクタ902の一部を形成することができる。図9Aに示されるジャンパピン903は、インダクタ902のインダクタンス調整のために使用することができる。装置900は、キャビティ906を画定するフレーム904を含む。例えば、フレーム134(図1)は、フレーム904の一部を形成することができる。キャビティ906は、キャビティ130(図1)と同様または同一の機能を果たすことができる。インダクタ902は、インダクタンスを調整するために、1以上のジャンパブリッジを設けることができる。インダクタ902の外周とフレーム904の内面との間のクリアランス908は、フレーム904の材料(例えば、金属)がインダクタ902のインダクタンスに過度に影響しないように選択することができる。ここで、インダクタ902は、中央開口部910を有する。いくつかの実施形態では、中央開口部910は、例えば、次に説明するように、装置900の一つ以上のコンポーネント(図示せず)を収容するために使用することができる。インダクタ902は、熱伝導体(図示せず)に対向する回路基板(図示せず)の層に配置することができる。例えば、インダクタ902は、下層112(図1)に配置することができる。ビア接続部912は、回路基板の異なる層間に設けることができる。例えば、ビア接続部912は、上層104(図1)と下層112(図1)との間に配置することができる。熱伝導体(図示せず)は、インダクタ902からフレーム904の反対側に設けることができる。
【0039】
図10A図10Bは、変圧器1002を備える装置1000の一例を示す。装置1000および/または変圧器1002は、本明細書で説明される任意の例とともに使用することができる。例えば、RF構造114(図1)は、変圧器1002(例えば、その一次巻線または二次巻線)の一部を形成することができる。装置1000は、キャビティ1006を画定するフレーム1004を含む。例えば、フレーム134(図1)は、フレーム1004の一部を形成することができる。キャビティ1006は、キャビティ130(図1)と同様または同一の機能を果たすことができる。変圧器1002の外周とフレーム1004の内面との間のクリアランス1008は、フレーム1004の材料(例えば、金属)が変圧器1002のインダクタンスに過度に影響しないように選択することができる。ここでの変圧器1002は、中央開口部1010を有する。いくつかの実施形態では、中央開口部1010は、装置1000の1以上のコンポーネント1012を収容するために使用され得る。いくつかの実施形態では、(複数の)コンポーネント1012は、インダクタ、変圧器、または伝送ライン以外のコンポーネントとすることができる。例えば、(複数の)コンポーネント1012は、抵抗器および/またはコンデンサであり得る。(複数の)コンポーネント1012は、PCBの曲がりによるそれらの損傷を回避するために、フレームアイレット400(図4)によって支持することができる。(複数の)コンポーネント1012は、熱伝導体からさらに離れた回路基板(例えば、図1の上層104)の表面に取り付けることができる。熱伝導体(図示せず)は、変圧器1002からフレーム904の反対側に設けることができる。
【0040】
変圧器1002の一次巻線は、回路基板(図示せず)の層に配置することができ、変圧器1002の二次巻線は、回路基板の同じ層または反対側の層に配置することができる。例えば、一次巻線および二次巻線の一方を上層104(図1)に配置し、一次巻線および二次巻線の他方を下層112(図1)に配置することができる。
【0041】
装置1000は、RF構造(例えば、変圧器1002)が中央開口部(例えば、中央開口部1010)を有し、装置が中央開口部に位置合わせされた回路基板上のコンポーネント(例えば、(複数の)コンポーネント1012)を含む装置の一例である。装置1000は、フレームアイレット(例えば、フレームアイレット400)が、回路基板に結合することができ、フレームアイレットは、コンポーネント(例えば、(複数の)コンポーネント1012)を支持することを例示する。
【0042】
図11A図11Bは、伝送ライン1102を備えた装置1100の一例を示す。装置1100および/または伝送ライン1102は、本明細書で説明される任意の例を使用することができる。例えば、RF構造114(図1)は、伝送ライン1102の一部を形成することができる。伝送ライン1102は、マイクロストリップと考えることができる。装置1100は、キャビティ1106を画定するフレーム1104を含む。例えば、フレーム134(図1)は、フレーム1104の一部を形成することができる。キャビティ1106は、キャビティ130(図1)と同様または同一の機能を果たすことができる。伝送ライン1102の外周とフレーム1104の内面との間のクリアランス1108は、フレーム1104の材料(例えば、金属)が、伝送ライン1102のインピーダンスに過度に影響しないように選択され得る。ここで、伝送ライン1102は、キャビティ1106によって設けられる空間を蛇行している。コンポーネント1110は、フレーム1104上に配置され、それによってフレーム1104によって冷却することができる。熱伝導体(図示せず)は、伝送ライン1102とは反対側のフレーム1104に設けることができる。
【0043】
図12は、図1の装置100の別の例を示す。装置100は、本明細書に記載される任意の例と共に使用することができる。装置のいくつかの要素は、図1の同じ参照番号の要素に対応し、以下では言及しない。RF構造108’および114’は、回路基板102の平面誘導性コンポーネントであり得る。ここで、MSCS116は、スタック120および122を含み、スタック122は、層128(例えば、熱材料)の部分128A、金属層134’(例えば、銅)、およびTIM124’を含む。金属層134’は、ここではフレームとして形成されておらず、スタック120は、ここではいかなるキャビティまたは凹部にも形成されていない。むしろ、金属層134’は、多角形の形状(例えば、パッドまたは他の長方形の形状)を有することができる。スタック120は、スタック122に隣接して形成される。スタック120は、部分128Aと、誘電体層126’(例えば、セラミックパッド)と、TIM124’とを含む。すなわち、部分128Aおよび/またはTIM124’は、スタック120および122に共通であり得る。誘電体層126’は、多角形の形状(例えば、パッドまたは他の長方形の形状)を有することができる。金属層134’および誘電体層126’は、互いに同じ形状、または異なる形状を有することができる。装置100は、一つ以上の金属層134’(例えば、一つ以上の金属パッド)を含むことができる。装置100は、一つ以上の誘電体層126’(例えば、一つ以上のセラミックパッド)を含むことができる。スタック120は、RF構造108’および114’に隣接して(例えば、下方に)配置され、インダクタンスおよび/またはインピーダンスの著しく低下させることなく、回路基板102のための冷却を提供する。装置100は、また、フレームベースのスタック手法(例えば、図1を参照して説明したように)の一つ以上のインスタンスを含むことができる。別の例として、フレームベースのスタック手法(例えば、図1を参照して説明したように)を使用する装置は、また、本例に対応する一つ以上のインスタンスを含むことができる。
【0044】
金属層134’は、その外面の全部または一部を覆う少なくとも一つの層127を有することができる。層127は、酸化から保護するために金属層134’の表面処理から生じる。いくつかの実施形態では、層127は、スズを含むことができる。いくつかの実施形態では、層127は金を含むことができる。例えば、金は、金属層134’のニッケルめっきの上に塗布することができる。回路基板102は、金属層134’に塗布された層127と同様または同一の物質で処理されてもよい。
【0045】
図13A図13Cは、回路基板との配置の例を示す。図13Aにおいて、回路基板1300(例えば、PCB)は上面図で示され、誘電体層1302(例えば、セラミック材料)および金属層1304(例えば、銅)を有する。回路基板1300、誘電体層1302、および金属層1304は、本明細書に記載される任意の例と共に使用することができる。例えば、誘電体層1302を使用して、回路基板1300の平面誘導性コンポーネントを冷却することができる。例えば、金属層1304を使用して、回路基板1300の非平面(例えば、はんだ付けされた)コンポーネントに冷却することができる。ここで、誘電体層1302と金属層1304とは、回路基板1300上(例えば、粘着剤によって貼り付けられている)に並んで配置されている。誘電体層1302および金属層1304は、それらの間に境界1306を形成する。誘電体層1302および金属層1304を使用することにより、金属層(キャビティ130を有する図1の層134を比較する)内に凹部またはキャビティを機械加工する必要性を回避することができる。したがって、本実施例は、冷却を提供するより低コストおよび/またはより単純な方法を表すことができる。
【0046】
一つ以上のコンポーネントは、金属層1304と直接接触して配置することができる。幾つかの実施形態では、回路基板1300は、金属層1304に対向する少なくとも一つの凹部1308を含むことができる。凹部1308は、凹部204(図2)と同様または同一の目的を果たすことができる。例えば、凹部1308は、金属層1304に取り付けられるべき1つ以上の電力コンポーネント1310(例えば、トランジスタ)を収容することができる。凹部1308および電力コンポーネント1310は、この例では金属プレート1304によって不明瞭にされるため、ファントム(phantom)で示される。
【0047】
図13Bでは、誘電体層1302および金属層1304は、図13Aの例に比べて離間している。層1312は、誘電体層1302と金属層1304との間に配置される。いくつかの実施形態では、層1312は、プリプレグを含むが、これに限定されず、粘着特性を有する材料を含む。例えば、誘電体層1302および金属層1304は、回路基板1300に(例えば、プリプレグの塗布によって)接着されている場合の組立工程において、粘着剤は、誘電体層1302と金属層1304(例えば、プレス動作の間)との間の間隔に入り得る。
【0048】
回路基板1300は、誘電体層1302のうちの一つ以上を備えることができる。回路基板1300は、一つ以上の金属層1304を備えることができる。誘電体層1302および金属層1304の各々は、回路基板1300およびそのそれぞれのコンポーネントを考慮して適切な任意の形状および/またはサイズを有することができる。図13Cは、回路基板1300が先の実施例と同様に、誘電体層1302を有することを示す。誘電体層1302に隣接して、金属層1304(図13A図13B)よりも小さい金属層1304’が配置される。別の誘電体層1302’は、誘電体層1302および金属層1304’に隣接して配置される。例えば、これはそのマルチスタック冷却構造において2つ以上(例えば、3つ以上)のスタックを有する装置に対応することができ、図13Cにおける構成は、回路基板1300は、はんだ付けされたコンポーネントよりも大きな割合の平面誘導性コンポーネントを有する場合に使用することができる。誘電体層1302および1302’は、いくつかの実施形態では一つの一体層とすることができる。
【0049】
さらなる実施形態は、以下の実施例に要約される:
【0050】
(実施例1)
第1の位置に高周波(RF)構造を有する回路基板であって、回路基板の導電性トレースから形成されたRF構造であり、
熱伝導体と、
回路基板と熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造であって、マルチスタック冷却構造は第1の位置でRF構造に隣接する第1スタックおよび第2の位置にある第2スタックを含み、第1スタックは熱伝導体に隣接する誘電体層と、誘電体層と回路基板とを交互に結合する熱界面材料(TIM)と、を含み、誘電体層はTIMよりも高い熱伝導率および高い剛性を有し、第2スタックは熱伝導体に隣接する金属層と、金属層と回路基板とを互いに結合するTIMと、を含む、装置。
【0051】
(実施例2)
第2スタックは、回路基板に結合されたフレームによって形成される、実施例1に記載の装置。
【0052】
(実施例3)
フレーム内にキャビティをさらに含み、キャビティは第1スタックを収容する、実施例2に記載の装置。
【0053】
(実施例4)
第1熱界面材料は、フレームの公差変化量を補償する、実施例2または3のいずれかに記載の装置。
【0054】
(実施例5)
フレームは、金属または回路基板の少なくとも一つを含む、実施例2~4のいずれかに記載の装置。
【0055】
(実施例6)
第1熱界面材料は、フレームを回路基板にさらに結合する、実施例2~5のいずれかに記載の装置。
【0056】
(実施例7)
フレームを回路基板に結合する第2熱界面材料をさらに備える、実施例2~6のいずれかに記載の装置。
【0057】
(実施例8)
回路基板と熱伝導体との間の方向におけるインレーの寸法は、前記方向におけるフレームの寸法の半分よりも大きい、実施例2~7のいずれかに記載の装置。
【0058】
(実施例9)
第2の位置においてフレームに取り付けられた電力コンポーネントをさらに含み、回路基板は、電力コンポーネントを収容するキャビティを含む、実施例2~8のいずれかに記載の装置。
【0059】
(実施例10)
第1熱界面材料は、熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤のうちの少なくとも一つを含む、先行する実施例のいずれかに記載の装置。
【0060】
(実施例11)
RF構造は中央開口部を有し、中央開口部と位置合わせされた回路基板上に少なくとも一つのコンポーネントをさらに備える、先行する実施例のいずれかに記載の装置。
【0061】
(実施例12)
回路基板に結合されたフレームアイレットをさらに含み、該フレームアイレットは該コンポーネントを支持する、実施例11に記載の装置。
【0062】
(実施例13)
回路基板は、フレームアイレットに対向する第1の層と、第1の層に対向する第2の層と、第2の層に実装された少なくとも一つのコンポーネントと、を有する、実施例12に記載の装置。
【0063】
(実施例14)
RF構造は、インダクタ、変圧器、または伝送ラインのうちの少なくとも一つを含む、先行する実施例のいずれかに記載の装置。
【0064】
(実施例15)
回路基板は、マルチスタック冷却構造に対向する第1の層と、第1の層に対向する第2の層と、を有する、先行するいずれかの実施例の装置。
【0065】
(実施例16)
RF構造は、第1層に配置されている、実施例15に記載の装置。
【0066】
(実施例17)
インレーは、セラミック材料または強磁性セラミック材料のうちの少なくとも一つを含む、先行する実施例のいずれかに記載の装置。
【0067】
(実施例18)
第1の表面の第1の位置に高周波(RF)構造を有するプリント回路基板であって、プリント回路基板は、第1の表面の反対側に第2の表面を有し、プリント回路基板の導電性トレースから形成され、インダクタ、変圧器、または伝送ラインのうちの少なくとも一つを含むRF構造と、ヒートシンクまたは水冷プレートのうちの少なくとも一つを含む熱伝導体と、プリント回路基板と熱伝導体とを互いに結合するマルチスタック冷却構造と、を備え、マルチスタック冷却構造は第1の位置でRF構造に隣接する第1スタックと、第2の位置で第2スタックと、を含み、第1スタックは熱グリースによって熱伝導体に結合されたセラミックパッドと、セラミックパッドとプリント回路基板とを互いに結合する熱パッド、粘着剤、結合フィルム、マトリックス繊維集合体、はんだ、または接着剤のうちの少なくとも一つを含む熱界面材料とを含み、セラミックパッドは、熱界面材料よりも高い熱伝導率および高い剛性を有し、第2スタックは熱グリースによって熱伝導体に結合されたフレームを含み、フレームは銅および回路基板のうちの少なくとも一つを含み、フレームは接着剤によってプリント回路基板の第1の表面に結合され、フレームは第1スタックを収容するキャビティを内部に有する。
【0068】
多数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本明細書の精神および範囲から逸脱することなく、種々変更を行うことができることが理解される。
【0069】
さらに、図に示された論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序、または逐次的な順序を必要としない。加えて、記載されたフローから、他のステップが加えられてもよく、またはステップが排除されてもよく、記載されたシステムに他のコンポーネントが追加されてもよく、または記載されたシステムからコンポーネントが排除されてもよい。したがって、他の実施態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0070】
本明細書に記載されているように、記載されている実施形態の特定の特徴が例示されているが、多くの修正、置換、変更、および等価物が、当業者には今や思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような修正および変更の全てを、実施形態の範囲内に入るものとして包含することを意図していることを理解されたい。それらは、単に例として提示されたものであり、限定ではなく、形態および詳細において様々な変更がなされ得ることを理解されたい。本明細書に記載された装置および/または方法の任意の部分は、相互に排他的な組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書で説明される実施形態は、説明される異なる実施形態の機能、コンポーネント、および/または特徴の様々な組合せおよび/またはサブコンビネーションを含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C