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特許7116844消去ゲートを有する分割ゲートフラッシュメモリセルのプログラミング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】消去ゲートを有する分割ゲートフラッシュメモリセルのプログラミング方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20220803BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220803BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220803BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220803BHJP
   H01L 27/11521 20170101ALI20220803BHJP
   H01L 27/11524 20170101ALI20220803BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220803BHJP
   G11C 16/14 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G11C16/10 140
H01L29/78 371
H01L27/11521
H01L27/11524
G11C16/04 120
G11C16/14 100
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021510104
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019041080
(87)【国際公開番号】W WO2020040894
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】62/722,107
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/209,515
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カチェフ、ユリ
(72)【発明者】
【氏名】コトフ、アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ナン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522686(JP,A)
【文献】特開2009-301703(JP,A)
【文献】特開2003-309193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/10
H01L 21/336
H01L 27/11521
H01L 27/11524
G11C 16/04
G11C 16/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、
半導体基板と、
メモリセルであって、
前記基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の第1の部分から絶縁される、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の第2の部分から絶縁される、前記チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁される、制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、かつ前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁される、消去ゲートと、を含む、メモリセルと、
制御回路であって、
電子を前記消去ゲートから前記浮遊ゲートにトンネリングさせるために、負電圧を前記消去ゲートに印加することによって、プログラム動作を実行し、
電子を前記浮遊ゲートから前記消去ゲートにトンネリングさせるために、正電圧を前記消去ゲートに印加することによって、消去動作を実行するように構成される、制御回路と、を備える、メモリデバイス。
【請求項2】
前記制御回路は、前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートにゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記制御回路は、前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項2に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記制御回路は、前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートに正電圧を印加するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記制御回路は、前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記制御回路は、前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートにゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記制御回路は、前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項6に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記制御回路は、前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートに負電圧を印加するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記制御回路は、前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するように更に構成される、請求項8に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
メモリセルを備えるメモリデバイスを動作させる方法であって、前記メモリセルは、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の第1の部分から絶縁される、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の第2の部分から絶縁される、前記チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁される、制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、かつ前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁される、消去ゲートと、を有し、
前記方法は、
電子を前記消去ゲートから前記浮遊ゲートにトンネリングさせるために、負電圧を前記消去ゲートに印加することによって、プログラム動作を実行するステップと、
電子を前記浮遊ゲートから前記消去ゲートにトンネリングさせるために、正電圧を前記消去ゲートに印加することによって、消去動作を実行するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートにゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートに正電圧を印加するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記負電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートにゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記制御ゲートに負電圧を印加するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記正電圧が前記消去ゲートに印加される間に、前記選択ゲート、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域の各々にゼロ電圧を印加するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年8月23日出願の米国仮特許出願第62/722,107号及び2018年12月4日出願の米国特許出願第16/209,515号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不揮発性メモリアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
分割ゲート不揮発性メモリセル、及びかかるセルのアレイは周知である。例えば、米国特許第5,029,130号(「’130号特許」)は、分割ゲート不揮発性メモリセルのアレイを開示し、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。メモリセルを図1に示す。各メモリセル10は、半導体基板12に形成されたソース領域及びドレイン領域14/16を含み、それらの間にチャネル領域18を有する。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に形成され、チャネル領域18の第1の部分から絶縁され(かつチャネル領域18の第1の部分の伝導率を制御し)、かつドレイン領域16の一部分の上方に形成される。制御ゲート22は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域18の第2の部分から絶縁される(かつチャネル領域18の第2の部分の伝導率を制御する)第1の部分22aと、浮遊ゲート20の上方に延在する第2の部分22bと、を有する。浮遊ゲート20及び制御ゲート22は、ゲート酸化物26によって基板12から絶縁される。メモリセルは、2つの異なるゲート(浮遊ゲート20及び制御ゲート22)が同じチャネル領域18の2つの異なる部分の伝導率を別々に制御するため、分割ゲートと呼ばれる。したがって、チャネル領域18は、その部分の両方が浮遊ゲート20及び制御ゲート22によってオンにされる場合にのみ、ソース領域14とドレイン領域16との間で電流を伝導することができる。
【0004】
メモリセルは、制御ゲート22に高い正電圧をかけることによって消去され(ここで電子は、浮遊ゲートから除去される)、それにより、浮遊ゲート20の電子を、ファウラーノルドハイムトンネリングの周知の技術によって浮遊ゲート20から制御ゲート22まで中間絶縁体24を通ってトンネリングさせる。1つの導電性ゲートから別の導電性ゲートへの介在絶縁体を通る電子のトンネリングは、周知であり、更には記載されていない。
【0005】
メモリセルは、制御ゲート22に正電圧をかけ、かつドレイン16に正電圧をかけることによってプログラムされる(ここで電子は、浮遊ゲート20に加えられる)。制御ゲート22の下のチャネル領域18の一部分は、制御ゲート22の正電圧によってオンにされる(導電性にされる)。浮遊ゲート20の下のチャネル領域18の一部分は、浮遊ゲート20に容量結合されている制御ゲート22及びドレイン領域16の正電圧によってオンにされる(導電性にされる)。制御ゲート22の下のチャネル領域18の一部分において、ソース14からドレイン16に向かって、電子電流が流れる。電子は、制御ゲート22と浮遊ゲート20との間の間隙に達すると、加速し加熱されることになる。加熱された電子のうちのいくつかは、浮遊ゲート20からの静電引力に起因して、ゲート酸化物26を通って、浮遊ゲート20に注入される。このプログラミング技術は、熱電子注入として周知であり、特に分割ゲートメモリセルに、一般的に使用される。
【0006】
メモリセル10は、ドレイン領域16及び制御ゲート22に正の読み出し電圧をかけることによって読み出される(制御ゲート22の下のチャネル領域18の一部分をオンにする)。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子を消去する)場合、次に浮遊ゲート20の下のチャネル領域の部分は、(正電圧の浮遊ゲート20への容量結合のため)同様にオンになり、電流は、チャネル領域18を流れ、これは、消去された状態又は「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)場合、次に浮遊ゲート20の下のチャネル領域の一部分は、(正電圧の容量結合が、浮遊ゲート20の負電荷に打ち勝つことができないため)ほとんど又は完全にオフになり、電流は、チャネル領域18を流れず(又はわずかに流れる)、これは、プログラムされた状態又は「0」の状態として検知される。当業者には、ソース及びドレインという用語に互換性があり得ることが理解され、ここで浮遊ゲート20は、図2に示されるように、ドレイン16の代わりにソース14の上方に部分的に延在し得る。
【0007】
3つ以上のゲートを有する分割ゲートメモリセルもまた既知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,711,636号(「’636特許」)は、浮遊ゲートへのより良好な容量結合のために、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁される追加の結合ゲートを有する分割ゲートメモリセルを開示している。例えば、ソース領域14の上方に配設された結合ゲート24を有する分割ゲートメモリセルを示す図3を参照されたい。
【0008】
4つのゲートを有する分割ゲートメモリセルは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,747,310号及び同第7,868,375号に開示されている。例えば、図4に示されるように、4つのゲートメモリセル10は、ソース領域14、ドレイン領域16、チャネル領域18の第1の部分の上方にある浮遊ゲート20、チャネル領域18の第2の部分の上方にある選択ゲート28(ワード線ゲートとも呼ばれる)、浮遊ゲート20の上方にある制御ゲート22、及びソース領域14の上方にある消去ゲート30を有する。消去は、消去ゲート30に高い正電圧をかけることにより、浮遊ゲート20から消去ゲート30への電子トンネリングによって、図4に示される。プログラミングは、熱電子注入によって、浮遊ゲート20にそれ自体を注入するチャネル領域18からの加熱された電子によって、図4に示される。メモリセルをプログラムするために使用することができる例示的な電圧及び電流を以下の表1に示す。
【表1】
【0009】
熱電子注入プログラミングに関する1つの問題は、各メモリセルが実装するために著しい量の電流を必要とすることである。しかしながら、プログラミングは、しばしばバイト単位であり、これは、メモリデバイスが、複数のメモリセルの並行プログラミングに必要な電圧及び電流を提供するのに足るだけの十分大きい電圧源及び電流源を含む必要があることを意味する。1つ以上の内蔵電荷ポンプを使用するマスプログラミングは、熱電子注入の高いプログラミング電流要件のため、困難である。プログラミングにおける一部の並列化は、外部電圧源(単数又は複数)を使用して達成することができる。しかしながら、マスプログラミングは、ソース線の電圧降下などの他の要因に加えて、必要とされる高い電流を考慮すると、ほとんどの用途に対して単純には効果的ではない。熱電子注入プログラミングに関する別の問題は、ドレイン領域16からソース領域14まで移動する電子のうちのいくつかのみが浮遊ゲート20に注入されることになることを考慮すると、完了するために比較的長い時間を要することである。残りの電子は、浮遊ゲート20に注入されることなく、ソース領域14への移動を完了する。したがって、その点でのその効率は、比較的低い。
【0010】
4つのゲートを有する分割ゲートメモリセルをプログラミングする、より効率的な技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
上記の問題及び必要性は、半導体基板、メモリセル、及び制御回路を含むメモリデバイスによって対処される。メモリセルは、基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁される、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁される、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁される、制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、かつ浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁される、消去ゲートと、を含む。本制御回路は、電子を消去ゲートから浮遊ゲートにトンネリングさせるために、負電圧を消去ゲートに印加することによってプログラム動作を実行し、電子を浮遊ゲートから消去ゲートにトンネリングさせるために、正電圧を消去ゲートに印加することによって消去動作を実行する、ように構成される。
【0012】
メモリセルを有するメモリデバイスを動作させる方法であって、メモリセルは、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁される、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁される、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁される、制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、かつ浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁される、消去ゲートと、を含む、方法。本方法は、電子を消去ゲートから浮遊ゲートにトンネリングさせるために、負電圧を消去ゲートに印加することによって、プログラム動作を実行するステップと、電子を浮遊ゲートから消去ゲートにトンネリングするために、正電圧を消去ゲートに印加することによって、消去動作を実行するステップと、を含む。
【0013】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、請求項、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の2ゲートメモリセルの第1の実施形態の断面図である。
図2】従来の2ゲートメモリセルの第2の実施形態の断面図である。
図3】従来の3ゲートメモリセルの断面図である。
図4】従来の4ゲートメモリセルの断面図である。
図5】消去ゲートプログラミングを利用する4ゲートメモリセルの断面図である。
図6】本発明の例示的なメモリデバイスのアーキテクチャを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、4つのゲートを有する分割ゲートメモリセルをプログラミングするための新しい技術を伴う。具体的には、メモリセル32は、図5に示され、半導体基板34に形成されたソース領域36及びドレイン領域38を含み、ソース領域36とドレイン領域38との間に、基板34のチャネル領域40が延在している。浮遊ゲート42は、チャネル領域40の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域40の第1の部分から絶縁される。選択ゲート44(ワード線ゲートとも呼ばれる)は、チャネル領域40の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域40の第2の部分から絶縁される。制御ゲート46は、浮遊ゲート42の上方に配設され、浮遊ゲート42から絶縁される。消去ゲート48は、ソース領域36の上方に配設され、ソース領域36から絶縁され、かつ浮遊ゲート42に隣接して配設され、浮遊ゲート42から絶縁される。メモリセル32は、2つの異なるゲート(浮遊ゲート42及び選択ゲート44)が、同じチャネル領域40の2つの異なる部分の伝導率を別々に制御するため、分割ゲートメモリセルである。メモリセルは、好ましくは、対で形成され、図5に示すように、2つの隣接するメモリセルは、同じ消去ゲート48及びソース領域36を共有する。2つの隣接するメモリセル対は、同じドレイン領域38を共有することができる。
【0021】
以下の表2は、浮遊ゲート42を電子でプログラムするために印加される電圧を示す。
【表2】
消去ゲート48に十分な大きさの負電圧を印加し、残りの素子(選択ゲート44、ドレイン領域38、ソース領域36、及び制御ゲート46)に、ゼロ電圧(すなわち、接地)が印加されることにより、図5に図示されているように、電子は、消去ゲート48から浮遊ゲート42にトンネリングする。
【0022】
消去ゲート48を使用する浮遊ゲート42のプログラミングは、消去ゲート48の負電圧によって生成された電流中の電子の実質上全てが浮遊ゲート42に到達するため、非常に効率的である。したがって、この消去ゲートプログラミング技術を使用して分割ゲートメモリセルをプログラムするために必要とされる電流は、熱電子注入技術を使用して必要とされるよりはるかに低い。これにより、さもなければ必要とされるより大きく、かつより強力な電圧源及び電流源を必要とせずに、より多くの分割ゲートメモリセルを同時にプログラムすることが可能になり、したがって、メモリデバイスのコスト及びサイズが低減される。このプログラミング技術はまた、分割ゲートメモリセルをプログラミングする先行技術の熱電子注入プログラミング技術より速い。分割ゲートメモリセル32の浮遊ゲート42のディーププログラミングが所望される用途(すなわち、浮遊ゲート42に比較的多数の電子を加えること)にも理想的である。
【0023】
メモリセル32は、上述のように、すなわち、消去ゲート48に、正の10~12ボルトなど十分に高い正電圧を印加し、浮遊ゲート42の電子を、介在絶縁体を通って消去ゲート48にトンネリングさせて、消去される。好ましくは、消去動作中に、選択ゲート44、ドレイン領域38、ソース領域36、及び制御ゲート46にゼロ電圧は印加される。代替的に、消去動作中に制御ゲート46に負電圧も印加される場合、消去ゲート48でより低い正電圧を使用して、かかる消去トンネリングを誘起することができる。例えば、消去ゲート48に正の6~8ボルトの電圧、及び制御ゲート46に-6~-8ボルトの負電圧を使用して、浮遊ゲート42を消去することができる。
【0024】
以下の表3は、代替実施形態において、浮遊ゲート42を電子でプログラムするために印加される電圧を示す。具体的には、消去ゲート48に負電圧を印加するのと同時に、制御ゲート46に正電圧が印加される。
【表3】
制御ゲート46の正電圧は、浮遊ゲート42に結合し、それにより、消去ゲート48の電子をより良好に求引して、浮遊ゲート42にトンネリングする。制御ゲート46に正電圧を印加することにより、消去ゲート48の負電圧の大きさを低減することができ、それにより、デバイスによって使用される負電圧源のサイズ及びコストを更に低減することができる。
【0025】
メモリセル32を有する例示的なメモリデバイスのアーキテクチャを図6に示す。メモリデバイスは、不揮発性メモリセル32のアレイ60を含み、それは、2つの分離した平面(平面A 62a及び平面B 62b)に隔離され得る。メモリセル32は、好ましくは、半導体基板34に複数の行及び列で配置され、単一のチップに形成される。不揮発性メモリセルのアレイには、アドレスデコーダ(例えば、XDEC64(ワード線を駆動する行デコーダ)、SLDRV66(ソース線を駆動するためのソース線ドライバ)、YMUX68(ビット線を駆動する列デコーダ)、HVDEC70(高電圧デコーダ)、及びビット線コントローラ(BLINHCTL72)が隣接し、これらを使用して、選択されたメモリセルの読み出し動作、プログラム動作、及び消去動作中にアドレスがデコードされ、様々な電圧が様々なメモリセルゲート及び領域に供給される。コントローラ76(制御回路を含む)は、様々なデバイス素子を制御して、対象のメモリセル32で各動作(プログラム、消去、読み出し)を実装する(すなわち、上述の消去ゲートの負電圧を使用して浮遊ゲート42をプログラムするために使用される電圧を含む、電圧及び電流を直接又は間接的に提供して、メモリセル32を動作させる)。電荷ポンプCHRGPMP74は、コントローラ76の制御下において、メモリセルの読み出し、プログラム、及び消去に使用される様々な電圧を提供する。
【0026】
本発明は、本明細書に例示した上述の実施形態(単数又は複数)に限定されるものではなく、任意の請求項の範囲内のあらゆる全ての変形例も包含することが理解されよう。例えば、本明細書における本発明への言及は、いかなる特許請求の範囲又は特許請求の範囲の用語も限定することを意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって網羅され得る1つ以上の特徴に言及するにすぎない。上述の材料、プロセス、及び数値の例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。更に、特許請求の範囲及び本明細書から明らかであるように、全ての方法ステップが例示された、又は特許請求された正確な順序で実行される必要はなく、むしろ、本発明のメモリデバイスの適切な形成が可能になる任意の順序で実行される。最後に、単一層の材料をそのような又は同様の材料の複数層として形成することができ、逆もまた同様である。
【0027】
本明細書で使用される、用語「の上方に(over)」及び「に(on)」は共に、「に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、用語「隣接した」は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を含み、「取り付けられた」は、「直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を含み、「電気的に結合された」は、「直接電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を一緒に電気的に接続しない)、及び「間接的に電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を一緒に電気的に接続する)を含む。例えば、「基板の上方に」要素を形成することは、中間材料/要素が介在せずに基板に直接その要素を形成することと、1つ以上の中間材料/要素が介在して基板の上に間接的にその要素を形成することと、を含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6