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▶ ヤマザキマザック株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-02
(45)【発行日】2022-08-10
(54)【発明の名称】レーザ加工機、および、レーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20220803BHJP
【FI】
B23K26/38 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022538140
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022012964
【審査請求日】2022-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 計介
(72)【発明者】
【氏名】島本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】中西 徹也
(72)【発明者】
【氏名】八谷 啓太
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-87885(JP,A)
【文献】特開2016-32857(JP,A)
【文献】特開2017-170529(JP,A)
【文献】特開2001-105260(JP,A)
【文献】特開2017-170451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B23D 47/04
B23D 51/04
B23Q 7/04
B23Q 7/05
B21D 43/02
B26D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在するワークにレーザを照射して前記ワークを加工するレーザヘッドと、
前記ワークを把持する把持部材を有し、前記第1方向に移動可能な第1チャックと、
前記第1方向に沿う方向において前記レーザヘッドと前記第1チャックとの間に配置され、前記ワークを挟み前記ワークの前記第1方向への移動をガイドする複数のガイドローラを有する第2チャックと、
前記把持部材の端面が前記複数のガイドローラを横切って前記レーザヘッドに近づくように、前記第1チャックを前記第1方向に移動させる移動装置と
を具備する
レーザ加工機。
【請求項2】
前記複数のガイドローラの内側に前記把持部材が挿入された状態において、前記把持部材は、前記ワークの把持を解除可能である
請求項1に記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記複数のガイドローラの各々は、前記第1方向に対して垂直な回転軸まわりに回転可能である
請求項1または2に記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記複数のガイドローラは、
前記ワークに接触する第1ガイドローラと、
前記ワークに対して前記第1ガイドローラとは反対側に配置され、前記ワークに接触する第2ガイドローラと
を含む
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記複数のガイドローラを、前記ワークに接触する進出位置と、前記把持部材の前記端面が前記複数のガイドローラを横切ることを許容する退避位置との間で、前記第1方向とは非平行な方向に移動させるローラ移動装置を更に具備する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項6】
前記第1チャックは、前記把持部材を、前記第1方向に平行な第1軸まわりに回転させる第1回転駆動装置を含む
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ加工機。
【請求項7】
前記第2チャックは、前記複数のガイドローラを、前記第1軸まわりに回転させる第2回転駆動装置を含む
請求項6に記載のレーザ加工機。
【請求項8】
前記第1方向とは反対の第2方向に沿う方向にみて、前記複数のガイドローラによって矩形内部領域が規定され、
前記把持部材は、複数の把持爪を含み、
前記複数の把持爪を、前記矩形内部領域の複数の角部に、それぞれ配置可能である
請求項7に記載のレーザ加工機。
【請求項9】
制御装置を更に具備し、
前記制御装置は、前記移動装置、前記第1回転駆動装置、および、前記第2回転駆動装置を制御することにより、前記第1軸まわりの前記複数の把持爪の回転位相と、前記第1軸まわりの前記複数のガイドローラの回転位相とが一致している状態で、前記第1チャックを前記第1方向または前記第2方向に移動させる第1移動モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記移動装置、前記第1回転駆動装置、および、前記第2回転駆動装置を制御することにより、前記第1軸まわりの前記複数の把持爪の回転位相と、前記第1軸まわりの前記複数のガイドローラの回転位相とが45度ずれている状態で、前記第1チャックを前記第1方向または前記第2方向に移動させる第2移動モードを実行可能である
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項10】
制御装置を更に具備し、
前記制御装置は、前記移動装置を制御することにより、前記把持部材の状態を、前記把持部材の全体が前記第2チャック外に配置された第1状態から、前記把持部材が前記複数のガイドローラの内側に挿入された第2状態に変更可能であり、
前記制御装置は、前記第1回転駆動装置、および、前記第2回転駆動装置を制御することにより、前記第1状態の前記把持部材と、前記複数のガイドローラとを前記第1軸まわりに同期的に回転させる第1回転モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記第1回転駆動装置、および、前記第2回転駆動装置を制御することにより、前記第2状態の前記把持部材を前記第1軸まわりに回転させる第2回転モードを実行可能である
請求項7または8に記載のレーザ加工機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記レーザヘッドを制御することにより、前記第1状態の前記把持部材と前記複数のガイドローラとによって支持される長尺ワークに向けて、前記レーザヘッドからレーザを照射する長尺ワーク加工モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記レーザヘッドを制御することにより、前記第2状態の前記把持部材によって把持される短ワークに向けて、前記レーザヘッドからレーザを照射する短ワーク加工モードを実行可能である
請求項10に記載のレーザ加工機。
【請求項12】
ワークの第1部分が第1チャックの把持部材によって把持され、前記ワークの第2部分が、前記第1チャックよりも第1方向に位置する第2チャックの複数のガイドローラによって挟まれた状態で、レーザヘッドから前記ワークにレーザを照射することにより前記ワークを加工する工程と、
前記第1チャックを、前記レーザヘッドに向かって前記第1方向に移動させることにより、前記ワークを、前記レーザヘッドおよび前記複数のガイドローラに対して相対移動させる工程と、
前記把持部材の端面が前記複数のガイドローラを横切って前記レーザヘッドに近づくように、前記第1チャックを、更に前記第1方向に移動させる工程と、
前記把持部材の前記端面が、前記複数のガイドローラよりも前記第1方向側に位置した状態で、前記レーザヘッドから前記ワークにレーザを照射することにより前記ワークを更に加工する工程と
を具備する
レーザ加工方法。
【請求項13】
前記ワークがレーザ加工されることにより生じる残材を排出する工程を更に具備し、
前記残材を排出する工程は、前記把持部材の前記端面が、前記複数のガイドローラよりも前記第1方向側に位置した状態で、前記把持部材による前記残材の把持が解除されることにより自動的に実行される
請求項12に記載のレーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機、および、レーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを用いて長尺ワークを加工するレーザ加工機が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、切断機のバイスドッキング機構(チャックドッキング機構)が開示されている。特許文献1に記載のバイスドッキング機構は、素材の切断位置に近接して設けられる本体バイスと、素材の定寸送りを行う送りバイスと、素材の前端を保持して引出すフロントバイスと、を備える。特許文献1に記載のバイスドッキング機構では、本体バイスに送りバイスをドッキングさせることによりドッキングバイスを形成することが可能であり、当該ドッキングバイスを、フロントバイスに向かう方向に前進させることが可能であり、当該ドッキングバイスを、フロントバイスから離れる方向に後退させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-253741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、第1方向に延在するワークの加工によって生じる残材の長さを短くすることが可能なレーザ加工機、および、レーザ加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態におけるレーザ加工機は、第1方向に延在するワークにレーザを照射して前記ワークを加工するレーザヘッドと、前記ワークを把持する把持部材を有し、前記第1方向に移動可能な第1チャックと、前記第1方向に沿う方向において前記レーザヘッドと前記第1チャックとの間に配置され、前記ワークを挟み前記ワークの前記第1方向への移動をガイドする複数のガイドローラを有する第2チャックと、前記把持部材の端面が前記複数のガイドローラを横切って前記レーザヘッドに近づくように、前記第1チャックを前記第1方向に移動させる移動装置と、を具備する。
【0007】
いくつかの実施形態におけるレーザ加工方法は、ワークの第1部分が第1チャックの把持部材によって把持され、前記ワークの第2部分が、前記第1チャックよりも第1方向に位置する第2チャックの複数のガイドローラによって挟まれた状態で、レーザヘッドから前記ワークにレーザを照射することにより前記ワークを加工する工程と、前記第1チャックを、前記レーザヘッドに向かって前記第1方向に移動させることにより、前記ワークを、前記レーザヘッドおよび前記複数のガイドローラに対して相対移動させる工程と、前記把持部材の端面が前記複数のガイドローラを横切って前記レーザヘッドに近づくように、前記第1チャックを、更に前記第1方向に移動させる工程と、前記把持部材の前記端面が、前記複数のガイドローラよりも前記第1方向側に位置した状態で、前記レーザヘッドから前記ワークにレーザを照射することにより前記ワークを更に加工する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、第1方向に延在するワークの加工によって生じる残材の長さを短くすることが可能なレーザ加工機、および、レーザ加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図3図3は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図4図4は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図5図5は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図6図6は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図7図7は、第1の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図8図8は、第2の実施形態におけるレーザ加工機を模式的に示す概略側面図である。
図9図9は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図10図10は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図11図11は、図8におけるE-E矢視断面図である。
図12図12は、第2チャックの一例を模式的に示す概略正面図である。
図13図13は、図8におけるF-F矢視断面図である。
図14図14は、複数のガイドローラの内側に把持部材が挿入されている様子を模式的に示す概略断面図である。
図15図15は、複数のガイドローラの内側に把持部材が挿入されている様子を模式的に示す概略断面図である。
図16図16は、複数のガイドローラの内側に把持部材が挿入されている様子を模式的に示す概略断面図である。
図17図17は、複数のガイドローラの内側に把持部材が挿入されている様子を模式的に示す概略断面図である。
図18図18は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図19図19は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図20図20は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図21図21は、制御装置と、制御装置によって制御される複数の制御対象機器とを模式的に示す機能ブロック図である。
図22図22は、制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図23図23は、複数の把持爪の回転位相と、複数のガイドローラの回転位相とが一致している様子を模式的に示す図である。
図24図24は、複数の把持爪の回転位相と、複数のガイドローラの回転位相とが、互いに45度ずれている様子を模式的に示す図である。
図25図25は、第2の実施形態におけるレーザ加工機の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図26図26は、実施形態におけるレーザ加工方法の一工程が実行されている様子を模式的に示す図である。
図27図27は、実施形態におけるレーザ加工方法の他の一工程が実行されている様子を模式的に示す図である
図28図28は、実施形態におけるレーザ加工方法の一例を示すフローチャートである。
図29図29は、実施形態におけるレーザ加工方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態におけるレーザ加工機1、および、レーザ加工方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0011】
(方向の定義)
本明細書において、第1チャック3がレーザヘッド20に向かって移動する際の第1チャック3の移動方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を「第2方向DR2」と定義する。第1方向DR1は、レーザヘッド20によって加工されるワークWの基端部Wb(換言すれば、ワークWの第2方向DR2側の端部)から当該ワークWの先端部Wa(換言すれば、ワークWの第1方向DR1側の端部)に向かう方向と一致する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至図7を参照して、第1の実施形態におけるレーザ加工機1Aについて説明する。図1乃至図7は、第1の実施形態におけるレーザ加工機1Aを模式的に示す概略側面図である。
【0013】
第1の実施形態におけるレーザ加工機1Aは、レーザヘッド20と、第1チャック3と、第2チャック4と、移動装置6と、を具備する。
【0014】
レーザヘッド20は、第1方向DR1に延在するワークWにレーザLAを照射することによりワークWを加工する。レーザヘッド20は、ワークWにレーザLAを照射することにより、ワークWを切断してもよいし、ワークWにレーザLAを照射することにより、ワークWに穴を形成してもよい。図1に記載の例において、ワークWは、長尺ワークWLである。図2に例示されるように、レーザヘッド20は、長尺ワークWLをレーザ切断することにより、長尺ワークWLから、加工製品Wtと、短ワークWSとを形成可能である。換言すれば、短ワークWSは、長尺ワークWLがレーザ加工されることにより形成される。図2に例示されるように、短ワークWSは、第1チャック3が備える把持部材31のみによって支持可能である。
【0015】
以下、本明細書において、長尺ワークWLおよび短ワークWSを、総称して、「ワークW」と呼ぶ。また、第1チャック3の把持部材31のみによって支持可能なワークのことを「短ワークWS」と呼ぶ。
【0016】
第1チャック3は、ワークWを把持する把持部材31を有する。第1チャック3は、ワークWとともに第1方向DR1に移動可能である。
【0017】
図1に例示されるように、第2チャック4は、第1方向DR1に沿う方向において、レーザヘッド20と第1チャック3との間に配置される。より具体的には、第2チャック4は、第1チャック3よりも第1方向DR1側に配置され、レーザヘッド20は、第2チャック4よりも第1方向DR1側に配置される。第2チャック4は、ワークWを挟む複数のガイドローラ41を有する。複数のガイドローラ41は、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)の第1方向DR1または第2方向DR2への移動をガイドする。図1に記載の例では、複数のガイドローラ41の各々は、第1方向DR1に対して垂直な回転軸AXまわりに回転可能である。
【0018】
複数のガイドローラ41は、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)を挟むように配置される。図1に記載の例では、複数のガイドローラ41は、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)に接触する第1ガイドローラ41aと、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)に接触する第2ガイドローラ41bとを含む。第2ガイドローラ41bは、ワークWに対して、第1ガイドローラ41aとは反対側に配置される。
【0019】
移動装置6は、第1チャック3を第1方向DR1または第2方向DR2に移動させる。図2および図3に例示されるように、移動装置6は、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ってレーザヘッド20に近づくように、第1チャック3を第1方向DR1に移動させる。換言すれば、移動装置6は、第1チャック3を第1方向DR1に移動させることにより、第1チャック3の把持部材31の先端部(より具体的には、把持部材31の第1方向DR1側の端面31e)を、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側の第2位置P2(図2を参照。)から、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側の第1位置P1(図3を参照。)に移動させる。
【0020】
第1の実施形態では、第1チャック3の把持部材31の端面31eの位置を、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側の第2位置P2(図2を参照。)から、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側の第1位置P1(図3を参照。)に位置変更可能である。この場合、図3に例示されるように、把持部材31によって把持されるワークW(より具体的には、短ワークWS)の基端部Wbを、レーザヘッド20に、より近づけることができる。こうして、第1方向DR1に延在するワークWの加工によって生じる残材Wr(図4を参照。)の長さを短くすることができる。
【0021】
また、残材Wrの長さが短くなることにより、未利用素材の量が低減され、環境に対する負荷が低減される。なお、本明細書において、「残材Wr」とは、ワークWがレーザ加工されることにより生じる端材を意味する。
【0022】
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図7を参照して、第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0023】
(移動装置6)
図2に記載の例では、移動装置6は、第1チャック3を、第1方向DR1または第2方向DR2に移動させる駆動装置61(より具体的には、サーボモータ等のモータ)と、第1チャック3の第1方向DR1または第2方向DR2への移動をガイドするガイド部材62(例えば、ガイドレール)と、を有する。付加的に、移動装置6は、駆動装置61の動力を第1チャック3の移動に変換する動力伝達部材63(例えば、ボールねじ)を有していてもよい。なお、駆動装置61がリニアモータである場合には、ボールねじを省略可能である。また、移動装置6は、ラックアンドピニオンを介して、駆動装置61の回転力を第1チャック3の第1方向DR1または第2方向DR2への移動に変換してもよい。図2に記載の例では、駆動装置61(より具体的には、モータ)が、第1ベース91に配置されているが、代替的に、駆動装置61(より具体的には、モータ)は、第1チャック3に配置されていてもよい。換言すれば、第1チャック3は、自走可能であってもよい。
【0024】
(ローラ移動装置43)
図6に記載の例では、レーザ加工機1A(より具体的には、第2チャック4)は、複数のガイドローラ41を移動させるローラ移動装置43を備える。ローラ移動装置43は、複数のガイドローラ41を、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)に接触する進出位置(A1、A2)と、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ることを許容する退避位置(B1、B2)(図7を参照。)との間で、第1方向DR1とは非平行な方向(換言すれば、第1方向DR1および第2方向DR2と異なる方向)に移動させる。より具体的には、ローラ移動装置43は、複数のガイドローラ41を、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)に接触する進出位置(A1、A2)と、複数のガイドローラ41と第1軸ATとの距離が、進出位置(A1、A2)における複数のガイドローラ41と第1軸ATとの距離よりも大きくなることによって、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ることを許容する退避位置(B1、B2)との間で移動させる。なお、上述の第1軸ATは、後述の第1回転駆動装置36によって回転される把持部材31の回転軸(換言すれば、把持部材31によって把持されたワークWの回転軸)と一致する軸である。また、上述の第1軸ATは、後述の第2回転駆動装置46によって回転される複数のガイドローラ41の回転軸(換言すれば、複数のガイドローラ41によって挟まれたワークWの回転軸)と一致する軸である。
【0025】
ローラ移動装置43は、第1ガイドローラ41aを、第1進出位置A1と第1退避位置B1との間で移動させる第1ローラ移動装置43aを含む。また、ローラ移動装置43は、第2ガイドローラ41bを、第2進出位置A2と第2退避位置B2との間で移動させる第2ローラ移動装置43bを含む。第2ローラ移動装置43bが第2ガイドローラ41bを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第1ローラ移動装置43aが第1ガイドローラ41aを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
図6に例示されるように、複数のガイドローラ41が進出位置(A1、A2)にあるとき、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)は、把持部材31、および、複数のガイドローラ41によって、安定的に支持される。また、図7に例示されるように、複数のガイドローラ41が退避位置(B1、B2)にあるとき、第1方向DR1に移動する把持部材31と、複数のガイドローラ41との間の干渉が回避される。
【0027】
(ガイドローラ41)
図6に記載の例では、複数のガイドローラ41は、第1ガイドローラ41aと、第2ガイドローラ41bと、を含む。複数のガイドローラ41は、レーザヘッド20の近傍に配置され、長尺ワークWLの先端部分または長尺ワークWLの中央部分を支持可能である。
【0028】
複数のガイドローラ41が、ワークWを挟持する挟持力の大きさは、ワークWの第1方向DR1または第2方向DR2への移動をガイド可能な限りにおいて、任意である。当該挟持力は、実質的にゼロであってもよい。
【0029】
第1ガイドローラ41aは、第2チャック4が備える第1ローラ支持部材42aによって、第1回転軸AX1まわりに回転可能に支持される。第1回転軸AX1は、第1方向DR1に対して垂直である。
【0030】
第2ガイドローラ41bは、第2チャック4が備える第2ローラ支持部材42bによって、第2回転軸AX2まわりに回転可能に支持される。第2回転軸AX2は、第1方向DR1に対して垂直である。また、図6に記載の例では、第2回転軸AX2は、第1回転軸AX1に対して平行である。
【0031】
図7に例示されるように、把持部材31は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で(より具体的には、複数のガイドローラ41によって規定される内部領域SPに把持部材31の一部分が配置された状態で)、第1軸ATまわりに回転可能である(矢印R2を参照。)。この場合、把持部材31がレーザヘッド20の近傍に位置する状態において、第1軸ATまわりにおけるワークW(より具体的には、短ワークWS)の姿勢を変更することができる。なお、第1軸ATは、第1方向DR1に対して平行な軸である。
【0032】
図7に記載の例では、複数のガイドローラ41は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、把持部材31と共に第1軸ATまわりに回転可能である。この場合、把持部材31を第1軸ATまわりに回転させるために、複数のガイドローラ41を第1軸ATから離れる方向に追加的に退避させる必要がない。
【0033】
(第1回転駆動装置36、および、第2回転駆動装置46)
図6に記載の例では、第1チャック3は、把持部材31を、第1方向DR1に平行な第1軸ATまわりに回転させる第1回転駆動装置36を含む。第1回転駆動装置36は、把持部材31、および、把持部材31を支持する第1回転体35を、第1軸ATまわりに回転させる。図7に記載の例では、第1回転駆動装置36は、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態で、把持部材31を第1軸ATまわりに回転させることができる。
【0034】
図6に記載の例では、第2チャック4は、複数のガイドローラ41を、第1方向DR1に平行な第1軸ATまわりに回転させる第2回転駆動装置46を含む。第2回転駆動装置46は、複数のガイドローラ41、および、複数のガイドローラ41を支持する第2回転体45を第1軸ATまわりに回転させる。図7に記載の例では、第2回転駆動装置46は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、複数のガイドローラ41を第1軸ATまわりに回転させることができる。
【0035】
レーザ加工機1Aが、2つの回転駆動装置(36、46)を備える場合、第1チャック3および第2チャック4の両方によって支持された長尺ワークWLを、第1軸ATまわりに安定的に回転させることができる。
【0036】
また、レーザ加工機1Aが、2つの回転駆動装置(36、46)を備える場合、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で(図7を参照。)、複数のガイドローラ41および把持部材31を、第1軸ATまわりに円滑に回転させることができる。
【0037】
代替的に、第1回転体35および第2回転体45のうちの一方のみが、回転駆動装置によって第1軸ATまわりに能動的に回転駆動され、第1回転体35および第2回転体45のうちの他方が、第1軸ATまわりに受動的に回転されるようにしてもよい。この場合、第1回転体35および第2回転体45のうちの当該他方は、ベアリングを介して第1軸ATまわりに自由回転可能なように支持部材によって支持される。
【0038】
(把持部材31)
把持部材31は、ワークW(より具体的には、ワークWの基端部Wb)を把持可能である。図3に記載の例では、把持部材31は、ワークWに接触する第1把持爪32aと、ワークWに接触する第2把持爪32bとを有する。第2把持爪32bは、ワークWに対して第1把持爪32aとは反対側に配置される。また、図3に記載の例では、把持部材31は、第1把持爪32aを支持する第1の爪支持体33aと、第2把持爪32bを支持する第2の爪支持体33bとを有する。
【0039】
図5に記載の例では、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態において、把持部材31は、ワークWの把持(例えば、ワークWがレーザ加工されることによって生じる残材Wrの把持)を解除可能である。より具体的には、図4および図5に例示されるように、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、第1把持爪32aおよび第2把持爪32bの各々は、第1軸ATから離れる方向(より具体的には、第1軸ATから複数のガイドローラ41に向かう方向)に退避可能である。
【0040】
図5に記載の例では、把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側の第1位置P1に位置する状態で、把持部材31によるワークWの把持(より具体的には、残材Wrの把持)を解除可能である。この場合、残材Wrを、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側(換言すれば、レーザヘッド20によって加工が行われるワーク加工領域側)に、落下させることができる。図5に記載の例では、残材Wrが、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側に落下する可能性はない。
【0041】
(把持爪移動装置34)
図4および図5に記載の例では、レーザ加工機1A(より具体的には、第1チャック3)は、第1把持爪32aおよび第2把持爪32bを含む複数の把持爪32を、ワーク(より具体的には、ワークの残材Wr)に接触する把持位置(A3、A4)と、ワーク(より具体的には、ワークの残材Wr)から離間するリリース位置(B3、B4)との間で移動させる把持爪移動装置34を備える。把持爪移動装置34は、第1把持爪32aを、第1把持位置A3と第1リリース位置B3との間で移動させる第1把持爪移動装置34aと、第2把持爪32bを、第2把持位置A4と第2リリース位置B4との間で移動させる第2把持爪移動装置34bと、を含む。第2把持爪移動装置34bが第2把持爪32bを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第1把持爪移動装置34aが第1把持爪32aを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
図4および図5に記載の例では、把持爪移動装置34は、第1把持爪32aおよび第2把持爪32bを含む複数の把持爪32を、複数のガイドローラ41に向かって、ワークの残材Wrに接触する把持位置(A3、A4)からリリース位置(B3、B4)に移動させる。その結果、残材Wrが把持部材31からリリースされ、残材Wrは、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に落下する(図5における矢印D1を参照。)。よって、把持部材31から第1方向DR1側に残材Wrを押し出すためのプッシャを省略することができる。当該プッシャ、および、当該プッシャの動作が省略されることにより、残材Wrの排出に要する時間を短縮することができる。
【0043】
(ワークW)
第1の実施形態において、ワークW(図1を参照。)は、例えば、第1方向DR1に延在するパイプWpである。また、短ワークWS(図2を参照。)は、パイプWpがレーザ加工されることにより形成され、把持部材31のみによって支持可能な短パイプである。第1方向DR1に垂直な方向におけるパイプWpの断面形状は、矩形形状であってもよいし、円形形状であってもよいし、三角形形状であってもよい。また、ワークWは、パイプ以外のワークであってもよい。例えば、ワークWは、断面C字形状を有する長尺ワークであってもよいし、断面H字形状を有する長尺ワークであってもよいし、断面L字形状を有する長尺ワークであってもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図8乃至図25を参照して、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bについて説明する。図8は、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bを模式的に示す概略側面図である。図9および図10は、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bの一部分を拡大して示す概略側面図である。図11は、図8におけるE-E矢視断面図である。図12は、第2チャック4の一例を模式的に示す概略正面図である。図13は、図8におけるF-F矢視断面図である。図14乃至図17は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入されている様子を模式的に示す概略断面図である。なお、図14は、第1軸ATに平行な面における断面図であり、図15乃至図17は、第1軸ATに垂直、且つ、第3ガイドローラ41cおよび第4ガイドローラ41dを通る面における断面図である。図18乃至図20は、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bの一部分を拡大して示す概略側面図である。図21は、制御装置8と、制御装置8によって制御される複数の制御対象機器とを模式的に示す機能ブロック図である。図22は、制御装置8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図23は、複数の把持爪32の回転位相と、複数のガイドローラ41の回転位相とが一致している様子を模式的に示す図である。図24は、複数の把持爪32の回転位相と、複数のガイドローラ41の回転位相とが、互いに45度ずれている様子を模式的に示す図である。図25は、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bの一部分を拡大して示す概略側面図である。なお、図8乃至図10図18乃至図20図25において、第2チャック4の内側の状態を把握可能にするため、一部分が切り欠かれており、当該切り欠かれた一部分については、断面図が記載されている。
【0045】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。逆に、第2の実施形態で説明される全ての事項は、第1の実施形態に適用可能である。
【0046】
図8に例示されるように、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bは、レーザヘッド20と、第1チャック3と、第2チャック4と、移動装置6と、を具備する。
【0047】
図9に例示されるように、レーザヘッド20は、第1方向DR1に延在するワークWにレーザLAを照射してワークWを加工する。第1チャック3は、ワークWを把持する把持部材31を有し、ワークWとともに第1方向DR1に移動可能である。第2チャック4は、第1方向DR1に沿う方向において、レーザヘッド20と第1チャック3との間に配置される。また、第2チャック4は、複数のガイドローラ41を有する。複数のガイドローラ41は、ワークWを挟み、ワークWの第1方向DR1への移動をガイドする。図10に例示されるように、移動装置6は、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ってレーザヘッド20に近づくように、第1チャック3を第1方向DR1に移動させることが可能である。換言すれば、移動装置6は、把持部材31の第1方向DR1側の端面31eの位置を、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側の第2位置P2から、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側の第1位置P1に移動させることができる。
【0048】
よって、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
(任意付加的な構成)
続いて、図8乃至図25を参照して、第2の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0050】
(ガイドローラ41、ローラ支持部材42)
図11は、図8におけるE-E矢視断面図である。図11に記載の例では、第2チャック4は、第1ガイドローラ41aおよび第2ガイドローラ41bを含む複数のガイドローラ41を有する。第2チャック4は、第1ガイドローラ41a、第2ガイドローラ41b、第3ガイドローラ41c、および、第4ガイドローラ41dを有していてもよい。
【0051】
図11に記載の例では、第1方向DR1に沿う方向における第3ガイドローラ41cおよび第4ガイドローラ41dの位置は、第1方向DR1に沿う方向における第1ガイドローラ41aおよび第2ガイドローラ41bの位置と僅かに異なる。よって、第2方向DR2に沿う方向にみて、第3ガイドローラ41cは、第1ガイドローラ41aおよび第2ガイドローラ41bと部分的にオーバーラップする位置に移動可能である。また、第2方向DR2に沿う方向にみて、第4ガイドローラ41dは、第1ガイドローラ41aおよび第2ガイドローラ41bと部分的にオーバーラップする位置に移動可能である。
【0052】
第2チャック4は、複数のガイドローラ41を、それぞれ支持する複数のローラ支持部材42を有する。複数のローラ支持部材42の各々は、例えば、板状体である。図12に記載の例では、第2チャック4は、第1ガイドローラ41aを第1回転軸AX1まわりに回転可能に支持する第1ローラ支持部材42aと、第2ガイドローラ41bを第2回転軸AX2まわりに回転可能に支持する第2ローラ支持部材42bと、第3ガイドローラ41cを第3回転軸AX3まわりに回転可能に支持する第3ローラ支持部材42cと、第4ガイドローラ41dを第4回転軸AX4まわりに回転可能に支持する第4ローラ支持部材42dと、を備える。
【0053】
図12に記載の例において、第1回転軸AX1は、第1方向DR1に対して垂直であり、第2回転軸AX2は、第1回転軸AX1に対して平行である。また、第3回転軸AX3は、第1方向DR1および第1回転軸AX1の両方に対して垂直であり、第4回転軸AX4は、第3回転軸AX3に対して平行である。
【0054】
図12に記載の例では、第2方向DR2に沿う方向にみて、複数のガイドローラ41によって、矩形内部領域SP1が規定されている。より具体的には、第2方向DR2に沿う方向にみて、第1ガイドローラ41a、第2ガイドローラ41b、第3ガイドローラ41c、および、第4ガイドローラ41dによって、矩形内部領域SP1が規定されている。複数のガイドローラ41が、矩形内部領域SP1を規定可能である場合、複数のガイドローラ41は、矩形断面(例えば、正方形断面、長方形断面)を有するワークWを、安定的にガイドすることができる。もちろん、複数のガイドローラ41は、矩形以外の断面形状(例えば、円形の断面形状、C字形の断面形状、H字形の断面形状等)を有するワークWをガイドすることもできる。
【0055】
(ローラ移動装置43)
図11に記載の例では、レーザ加工機1B(より具体的には、第2チャック4)は、複数のガイドローラ41を移動させるローラ移動装置43を備える。ローラ移動装置43は、複数のガイドローラ41を、ワークWに接触する進出位置と、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ることを許容する退避位置(図12を参照。)との間で、第1方向DR1とは非平行な方向(例えば、第1方向DR1に垂直な方向)に移動させる。
【0056】
図11に例示されるように、第1ガイドローラ41aから、第2ガイドローラ41bに向かう方向を第3方向DR3と定義し、第2ガイドローラ41bから第1ガイドローラ41aに向かう方向を第4方向DR4と定義する。第3方向DR3および第4方向DR4の各々は、例えば、第1方向DR1に対して垂直である。
【0057】
図11に記載の例では、ローラ移動装置43は、第1ガイドローラ41aを、第3方向DR3(または第4方向DR4)に移動させる第1ローラ移動装置43a(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。第3方向DR3に平行な方向における第1ガイドローラ41aの可動範囲を第1範囲と定義するとき、第1ローラ移動装置43aは、第1範囲内の任意の位置で、第1ガイドローラ41aを位置固定可能であることが好ましい。
【0058】
図11に記載の例では、ローラ移動装置43は、第2ガイドローラ41bを、第4方向DR4(または第3方向DR3)に移動させる第2ローラ移動装置43b(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。第3方向DR3に平行な方向における第2ガイドローラ41bの可動範囲を第2範囲と定義するとき、第2ローラ移動装置43bは、第2範囲内の任意の位置で、第2ガイドローラ41bを位置固定可能であることが好ましい。
【0059】
第2ローラ移動装置43bが第2ガイドローラ41bを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第1ローラ移動装置43aが第1ガイドローラ41aを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0060】
図11に例示されるように、第3ガイドローラ41cから第4ガイドローラ41dに向かう方向を第5方向DR5と定義し、第4ガイドローラ41dから第3ガイドローラ41cに向かう方向を第6方向DR6と定義する。第5方向DR5および第6方向DR6の各々は、例えば、第1方向DR1に対して垂直である。
【0061】
図11に記載の例では、ローラ移動装置43は、第3ガイドローラ41cを、第5方向DR5(または第6方向DR6)に移動させる第3ローラ移動装置43cを含む。第5方向DR5に平行な方向における第3ガイドローラ41cの可動範囲を第3範囲と定義するとき、第3ローラ移動装置43cは、第3範囲内の任意の位置で、第3ガイドローラ41cを位置固定可能であることが好ましい。
【0062】
図11に記載の例では、ローラ移動装置43は、第4ガイドローラ41dを、第6方向DR6(または第5方向DR5)に移動させる第4ローラ移動装置43dを含む。第5方向DR5に平行な方向における第4ガイドローラ41dの可動範囲を第4範囲と定義するとき、ローラ移動装置43は、第4範囲内の任意の位置で、第4ガイドローラ41dを位置固定可能であることが好ましい。
【0063】
第4ローラ移動装置43dが第4ガイドローラ41dを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第3ローラ移動装置43cが第3ガイドローラ41cを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
(第2回転体45、および、第2回転駆動装置46)
図12に記載の例では、第2チャック4は、第2回転体45、および、第2回転駆動装置46(例えば、第2サーボモータ等の第2モータ)を有する。
【0065】
第2回転体45は、複数のガイドローラ41と、複数のガイドローラ41をそれぞれ支持する複数のローラ支持部材42と、複数のガイドローラ41を移動させるローラ移動装置43と、を支持する。第2回転体45は環状体である。図10に記載の例では、第2回転体45は、第1チャック3の把持部材31が挿入される貫通孔45hを有する。当該貫通孔45hは、第1チャック3の把持部材31の端面31eが通過可能な孔である。
【0066】
第2回転駆動装置46は、第2回転体45を、第1軸ATまわりに回転させる。第2回転駆動装置46が、第2回転体45を回転させることにより、複数のガイドローラ41と、複数のローラ支持部材42と、ローラ移動装置43と、第2回転体45とが、一体的に、第1軸ATまわりに回転する。図12に例示されるように、第2チャック4は、第2回転駆動装置46の駆動力を第2回転体45に伝達する歯車等の動力伝達部材47を有していてもよい。この場合、第2回転駆動装置46の駆動軸を、第1軸ATと同軸にする必要がない。
【0067】
(把持部材31)
図13は、図8におけるF-F矢視断面図である。図13に記載の例では、把持部材31は、ワークWに接触する第1把持部材31aと、ワークWに接触する第2把持部材31bとを含む。第2把持部材31bは、ワークWに対して第1把持部材31aとは反対側に配置される。
【0068】
第1把持部材31aは、第1把持爪32aと、第1把持爪32aを支持する第1の爪支持体33aとを有する。また、第2把持部材31bは、第2把持爪32bと、第2把持爪32bを支持する第2の爪支持体33bとを有する。
【0069】
図13に例示されるように、把持部材31は、ワークWに接触する第3把持部材31cと、ワークWに対して第3把持部材31cとは反対側に配置され、ワークWに接触する第4把持部材31dとを含んでいてもよい。第3把持部材31cは、第3把持爪32cと、第3把持爪32cを支持する第3の爪支持体33cとを有する。また、第4把持部材31dは、第4把持爪32dと、第4把持爪32dを支持する第4の爪支持体33dとを有する。図13に記載の例において、第3把持部材31cから第4把持部材31dに向かう方向と、第1把持部材31aから第2把持部材31bに向かう方向との間のなす角度は、90度である。
【0070】
図14に記載の例では、把持部材31は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、換言すれば、複数のガイドローラ41によって規定される内部領域SP(一点鎖線で囲まれた内部領域SPを参照。)に把持部材31の一部分が配置された状態で、第1軸ATまわりに回転可能である(矢印R2を参照)。この場合、把持部材31がレーザヘッド20の近傍に位置する状態において、第1軸ATまわりにおけるワークW(より具体的には、短ワークWS)の姿勢を変更することができる。
【0071】
図15は、図14におけるG-G矢視断面図である。図15および図16に記載の例では、複数のガイドローラ41は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、把持部材31と共に第1軸ATまわりに回転可能である(矢印R2を参照。)。この場合、把持部材31を第1軸ATまわりに回転させるために、複数のガイドローラ41を第1軸ATから離れる方向に追加的に退避させる必要がない。
【0072】
図16に記載の例では、把持部材31は、複数の把持爪32を含む。また、図16に記載の例では、複数の把持爪32を、複数のガイドローラ41によって規定される矩形内部領域SP1の複数の角部Cに、それぞれ配置可能である。この場合、複数のガイドローラ41を第1軸ATから離れる方向に小さな距離だけ退避させ、その後、複数のガイドローラ41の内側に複数の把持爪32を挿入することができる。
【0073】
図16に記載の例では、上述の矩形内部領域SP1の第1角部C1に、第1把持爪32aが配置され、上述の矩形内部領域SP1の第2角部C2に、第2把持爪32bが配置され、上述の矩形内部領域SP1の第3角部C3に、第3把持爪32cが配置され、上述の矩形内部領域SP1の第4角部C4に、第4把持爪32dが配置されている。
【0074】
第1方向DR1(または、第2方向DR2)に沿う方向にみて、複数の把持爪32の各々の外側面320uは、直角な角部Cに相補的な形状を有することが好ましい。この場合、複数の把持爪32の各々を、矩形内部領域SP1の直角な角部Cに、好適に配置することができる。また、複数の把持爪32の各々の内側面320nは、平面状の面であることが好ましい。この場合、複数の把持爪32によって、ワークWが安定的に把持される。図16に例示されるように、第2方向DR2に沿う方向にみて、複数の把持爪32の各々は、略直角三角形形状を有していてもよい。
【0075】
図17に記載の例では、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態において、把持部材31は、ワークWの把持(例えば、ワークWがレーザ加工されることによって生じる残材Wrの把持)を解除可能である。より具体的には、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が配置された状態で、複数の把持爪32の各々は、第1軸ATから離れる方向(より具体的には、第1軸ATから複数のガイドローラ41に向かう方向)に退避可能である。
【0076】
図18に記載の例では、把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に位置するため、残材Wrが、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側に落下する可能性はない。また、残材Wrは、残材Wrに作用する重力によって、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に落下する。よって、把持部材31から第1方向DR1側に残材Wrを押し出すためのプッシャを省略することができる。当該プッシャ、および、当該プッシャの動作が省略されることにより、残材Wrの排出に要する時間を短縮することができる。なお、図18に記載の例では、把持部材31からリリースされる残材Wrは、残材収集装置77によって収集される。
【0077】
(把持爪移動装置34)
図13に記載の例では、レーザ加工機1B(より具体的には、第1チャック3)は、複数の把持爪32を移動させる把持爪移動装置34を備える。把持爪移動装置34は、複数の把持爪32を、ワークWに接触する把持位置と、ワークW(より具体的には、残材Wr)から離間するリリース位置(必要であれば、図17を参照。)との間で、第1方向DR1とは非平行な方向(例えば、第1方向DR1に垂直な方向)に移動させる。
【0078】
図13に記載の例では、把持爪移動装置34は、第1把持爪32aを、第2把持爪32bに近づく方向(あるいは、第2把持爪32bから離れる方向)に移動させる第1把持爪移動装置34a(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。また、把持爪移動装置34は、第2把持爪32bを、第1把持爪32aに近づく方向(あるいは、第1把持爪32aから離れる方向)に移動させる第2把持爪移動装置34b(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。第2把持爪移動装置34bが第2把持爪32bを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第1把持爪移動装置34aが第1把持爪32aを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
図13に記載の例では、把持爪移動装置34は、第3把持爪32cを、第4把持爪32dに近づく方向(あるいは、第4把持爪32dから離れる方向)に移動させる第3把持爪移動装置34c(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。また、把持爪移動装置34は、第4把持爪32dを、第3把持爪32cに近づく方向(あるいは、第3把持爪32cから離れる方向)に移動させる第4把持爪移動装置34d(例えば、アクチュエータ、または、モータ)を含む。第4把持爪移動装置34dが第4把持爪32dを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)は、第3把持爪移動装置34cが第3把持爪32cを移動させる動力源(例えば、アクチュエータ、または、モータ)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0080】
(第1回転体35、および、第1回転駆動装置36)
図19に記載の例では、第1チャック3は、第1回転体35、および、第1回転駆動装置36(例えば、第1サーボモータ等の第1モータ)を有する。第1回転体35は、複数の把持爪32、複数の爪支持体33、および、把持爪移動装置34を支持する。また、第1回転駆動装置36は、第1回転体35を、第1軸ATまわりに回転させる。第1回転駆動装置36が、第1回転体35を回転させることにより、複数の把持爪32と、複数の爪支持体33と、把持爪移動装置34とが、一体的に、第1軸ATまわりに回転する。図19に記載の例では、第1回転駆動装置36の駆動軸は、第1軸ATと同軸である。
【0081】
(2つの回転駆動装置)
図19に記載の例では、レーザ加工機1Bは、2つの回転駆動装置(36、46)を備える。この場合、第1チャック3および第2チャック4の両方によって支持された長尺ワークWLを、第1軸ATまわりに安定的に回転させることができる。
【0082】
また、レーザ加工機1Bが、2つの回転駆動装置(36、46)を備える場合、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で(図20を参照。)、複数のガイドローラ41および把持部材31を、第1軸ATまわりに円滑に回転させることができる。図20に記載の例では、第1回転駆動装置36は、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態で、把持部材31を第1軸ATまわりに回転させることができ、第2回転駆動装置46は、複数のガイドローラ41の内側に把持部材31が挿入された状態で、複数のガイドローラ41を第1軸ATまわりに回転させることができる。
【0083】
代替的に、第1回転体35および第2回転体45のうちの一方のみが、回転駆動装置によって第1軸ATまわりに能動的に回転駆動され、第1回転体35および第2回転体45のうちの他方が、第1軸ATまわりに受動的に回転されるようにしてもよい。
【0084】
(移動装置6)
図10に記載の例では、移動装置6は、第1チャック3を第1方向DR1に移動させることが可能であり、第1チャック3を第2方向DR2に移動させることが可能である。移動装置6は、第1チャック3を移動させる駆動装置61(より具体的には、サーボモータ等のモータ)、および、第1チャック3の移動をガイドするガイド部材62(例えば、ガイドレール)を有する。移動装置6は、駆動装置61の動力を第1チャック3の移動に変換する動力伝達部材を有していてもよい。また、移動装置6は、ラックアンドピニオンを介して、駆動装置61の回転力を第1チャック3の第1方向DR1または第2方向DR2への移動に変換してもよい。
【0085】
(ローダ71、第1支持部材72、アンローダ75、第2支持部材76、および、残材収集装置77)
図8に記載の例では、レーザ加工機1Bは、ローダ71を備える。ローダ71は、レーザ加工機1Bに、ワークWを搬入する。より具体的には、ローダ71は、第1チャック3と第2チャック4との間にワークWを搬入する。搬入されたワークWは、第1チャック3の把持部材31によって把持される。
【0086】
図8に記載の例では、レーザ加工機1Bは、第1チャック3および第2チャック4とは別に、ワークWを支持する少なくとも1つの第1支持部材72を備える。第1支持部材72は、第2チャック4よりも第2方向DR2側に配置されている。
【0087】
図8に記載の例では、第1支持部材72は、第1チャック3と第2チャック4との間に配置されている。第1支持部材72は、ワークWが第1方向DR1に移動する際に(あるいは、ワークWがレーザヘッド20から照射されるレーザによって加工される際に)、ワークWの下面を支持するように構成される。この場合、ワークWの移動中、あるいは、ワークWの加工中に、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)の撓みが抑制される。第1支持部材72は、ローダ71に設けられていてもよく、レーザ加工機1Bの第1ベース91に設けられていてもよい。
【0088】
レーザ加工機1Bは、第1支持部材72を、ワークWを支持可能な進出位置と、第1チャック3の移動軌道外の退避位置との間で移動させる支持部材移動装置73を有していてもよい。この場合、支持部材移動装置73が、第1支持部材72を退避位置に移動させることにより、第1方向DR1に移動する第1チャック3と第1支持部材72との間の干渉が防止される。
【0089】
図8に記載の例では、レーザ加工機1Bは、アンローダ75を備える。アンローダ75は、レーザ加工によって形成された加工製品を、レーザ加工機1Bのワーク加工領域MRから、ワーク加工領域外に搬出する。より具体的には、アンローダ75は、レーザヘッド20から照射されるレーザによって加工されたワークWを受け取り、その後、ワーク加工領域MRからワーク加工領域外にワークWを搬出する。
【0090】
図8に記載の例では、レーザ加工機1Bは、第1チャック3および第2チャック4とは別に、ワークWを支持する少なくとも1つの第2支持部材76を備える。第2支持部材76は、第2チャック4よりも第1方向DR1側に配置されている。
【0091】
第2支持部材76は、ワークWが第1方向DR1に移動する際に(あるいは、ワークWがレーザヘッド20から照射されるレーザによって加工される際に)、ワークWの下面を支持するように構成される。この場合、ワークWの移動中、あるいは、ワークWの加工中に、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)の撓みが抑制される。第2支持部材76は、アンローダ75に設けられていてもよい。
【0092】
図8に記載の例では、レーザ加工機1Bは、残材収集装置77を備える。残材収集装置77は、ワークWの加工によって生じる残材Wrを収集する。図8に記載の例では、残材収集装置77は、ワーク加工領域MRの直下に配置されている。残材収集装置77は、台車78と、台車78に取り付けられた残材収容容器79と、を有していてもよい。
【0093】
(第1チャック3)
図10に記載の例では、第1チャック3は、把持部材31と、把持部材31を支持する第1回転体35と、第1回転体35を第1軸ATまわりに回転可能に支持する回転体支持部材37と、第1回転体35を第1軸ATまわりに回転させる第1回転駆動装置36と、回転体支持部材37を支持する第1チャックベース38とを有する。回転体支持部材37には、第1回転駆動装置36が取り付けられている。第1チャックベース38は、レーザ加工機1Bの第1ベース91に配置されたガイド部材62に沿って、第1方向DR1または第2方向DR2にスライド移動可能である。
【0094】
(第2チャック4)
図10に記載の例では、第2チャック4は、複数のガイドローラ41と、複数のガイドローラ41を、ローラ支持部材42を介して支持する第2回転体45と、第2回転体45を第1軸ATまわりに回転可能に支持する第2回転体支持部材48と、第2回転体45を第1軸ATまわりに回転させる第2回転駆動装置46とを有する。第2回転体支持部材48には、第2回転駆動装置46が取り付けられている。
【0095】
図10に記載の例では、第2回転体支持部材48は環状体である。図10に記載の例では、第2回転体支持部材48は、第1チャック3の把持部材31が挿入される貫通孔48hを有する。図10に記載の例では、第2回転体支持部材48は、第1チャック3の第1チャックベース38が、第2回転体支持部材48を超えて第1方向DR1に移動することを禁止する。換言すれば、第1チャック3の第1チャックベース38は、第2回転体支持部材48の貫通孔48hを通過することができない。
【0096】
図10に記載の例では、第2チャック4は、レーザ加工機1Bの第2ベース92に固定されている。代替的に、第2チャック4は、第2ベース92あるいは第1ベース91に対して、第1方向DR1または第2方向DR2に相対移動可能であってもよい。
【0097】
(レーザ照射装置2)
図10に記載の例では、レーザ加工機1Bは、レーザ照射装置2を備え、レーザ照射装置2は、レーザヘッド20と、レーザヘッド20を移動させるレーザヘッド移動装置22と、レーザヘッド20をレーザヘッド移動装置22を介して支持する第3ベース24と、を有する。
【0098】
レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を移動させる。図10に記載の例では、レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を、鉛直方向に沿って移動させる鉛直駆動装置22aと、レーザヘッド20を、水平方向に沿って移動させる水平駆動装置22bとを有する。レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を水平軸まわりに傾動させる傾動装置を有していてもよい。
【0099】
図10に記載の例では、レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を、YZ面内で2次元的に移動させる装置である。代替的に、レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を、3次元的に移動させる装置であってもよい。換言すれば、レーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20をX方向に移動させることができ、レーザヘッド20をY方向に移動させることができ、レーザヘッド20をZ方向に移動させることができてもよい。なお、Z方向は、鉛直方向に平行な方向であり、X方向は、第1方向DR1に平行な方向であり、Y方向は、X方向およびZ方向の両方に垂直な方向である。
【0100】
図10に記載の例では、第3ベース24は、第2ベース92に固定されている。代替的に、第3ベース24は、レーザ加工機1Bの第1ベース91に直接的に固定されてもよい。
【0101】
(制御装置8)
図21に記載の例では、レーザ加工機1Bは、制御装置8を備える。制御装置8は、1つのコンピュータによって構成されていてもよく、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。
【0102】
図22は、制御装置8のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図22に示されるように、制御装置8は、プロセッサ80と、メモリ82と、通信回路84と、入力装置86(例えば、タッチパネル付きディスプレイ862(図21を参照。))と、を備える。プロセッサ80と、メモリ82と、通信回路84と、入力装置86とは、バス88を介して互いに接続されている。レーザ加工に必要なデータ(例えば、ワークWの形状データ、ワークWの加工位置データ等)は、入力装置86を介して制御装置8に入力されてもよいし、他のコンピュータから通信回路84を介して制御装置8に入力されてもよい。なお、入力装置86は、タッチパネル付きディスプレイ862に限定されない。例えば、制御装置8は、ボタン、スイッチ、レバー、ポインティングデバイス、キーボード等の入力装置86と、当該入力装置86に入力されたデータ、あるいは、その他の情報を表示するディスプレイと、を備えていてもよい。
【0103】
プロセッサ80は、制御装置8に入力されたデータに基づいて、メモリ82に記憶された加工プログラム822を実行することにより、制御信号を生成する。また、通信回路84は、当該制御信号を、制御対象機器(より具体的には、移動装置6、第1チャック3、第2チャック4、レーザヘッド20、レーザヘッド移動装置22等)に送信する。こうして、プロセッサ80が加工プログラム822を実行することにより、制御装置8は、移動装置6、第1チャック3、第2チャック4、レーザヘッド20、および、レーザヘッド移動装置22を制御することができる。
【0104】
加工プログラム822は、後述の第1移動モードを実行する第1プログラムを含んでいてもよく、後述の第2移動モードを実行する第2プログラムを含んでいてもよく、後述の第1回転モードを実行する第3プログラムを含んでいてもよく、後述の第2回転モードを実行する第4プログラムを含んでいてもよく、後述の長尺ワーク加工モードを実行する第5プログラムを含んでいてもよく、後述の短ワーク加工モードを実行する第6プログラムを含んでいてもよく、後述の残材排出モードを実行する第7プログラムを含んでいてもよい。
【0105】
図21に記載の例において、制御装置8は、移動装置6と、第1チャック3の第1回転駆動装置36と、第1チャック3の把持爪移動装置34と、第2チャック4の第2回転駆動装置46と、第2チャック4のローラ移動装置43と、レーザヘッド20と、レーザヘッド移動装置22とを制御する。
【0106】
より具体的には、制御装置8は、移動装置6に第1制御信号S1を送信し、第1制御信号S1を受信する移動装置6は、第1チャック3を、第1方向DR1または第2方向DR2に移動させる。制御装置8は、第1回転駆動装置36に第2制御信号S2を送信し、第2制御信号S2を受信する第1回転駆動装置36は、把持部材31(より具体的には、把持部材31を支持する第1回転体35)を第1軸ATまわりに回転させる。制御装置8は、把持爪移動装置34に第3制御信号S3を送信し、第3制御信号S3を受信する把持爪移動装置34は、複数の把持爪32(より具体的には、複数の把持爪32を支持する複数の爪支持体33)を、第1軸ATから離れる方向または第1軸ATに近づく方向に移動させる。制御装置8は、第2回転駆動装置46に第4制御信号S4を送信し、第4制御信号S4を受信する第2回転駆動装置46は、複数のガイドローラ41(より具体的には、複数のガイドローラ41を支持する第2回転体45)を第1軸ATまわりに回転させる。制御装置8は、ローラ移動装置43に第5制御信号S5を送信し、第5制御信号S5を受信するローラ移動装置43は、複数のガイドローラ41(より具体的には、複数のガイドローラ41を支持する複数のローラ支持部材42)を、第1軸ATから離れる方向または第1軸ATに近づく方向に移動させる。制御装置8は、レーザヘッド20に第6制御信号S6を送信し、第6制御信号S6を受信するレーザヘッド20は、ワークWに向けてレーザを照射する。また、制御装置8は、レーザヘッド移動装置22に第7制御信号S7を送信し、第7制御信号S7を受信するレーザヘッド移動装置22は、レーザヘッド20を移動させる。
【0107】
(第1移動モード、および、第2移動モード)
制御装置8は、移動装置6、第1回転駆動装置36、および、第2回転駆動装置46を制御することにより、第1移動モードを実行可能である。第1移動モードは、図23に例示されるように、第1軸ATまわりの複数の把持爪32の回転位相と、第1軸ATまわりの複数のガイドローラ41の回転位相とが一致している状態で、第1チャック3を第1方向DR1または第2方向DR2に移動させるモードである。より具体的には、第1移動モードは、第1軸ATまわりの第1把持爪32aの回転位相を示す第1回転角αが、第1軸ATまわりの複数のガイドローラ41の複数の回転角(β1、β2、β3、β4)のうちのいずれか1つと一致している状態で、第1チャック3を第1方向DR1または第2方向DR2に移動させるモードである。図23に記載の例では、第1回転角αが、第1ガイドローラ41aの回転角β1と一致している。
【0108】
図8に例示されるように、第1移動モードは、第1チャック3が、長尺ワークWLを、第1方向DR1または第2方向DR2に移動させるときに使用される。制御装置8が第1移動モードを実行することにより、第1方向DR1に沿う方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置が変更される。
【0109】
制御装置8は、移動装置6、第1回転駆動装置36、および、第2回転駆動装置46を制御することにより、第2移動モードを実行可能である。第2移動モードは、図24に例示されるように、第1軸ATまわりの複数の把持爪32の回転位相と、第1軸ATまわりの複数のガイドローラ41の回転位相とが45度ずれている状態で、第1チャック3を第1方向DR1または第2方向DR2に移動させるモードである。より具体的には、第2移動モードは、第1軸ATまわりの第1把持爪32aの回転位相を示す第1回転角αが、第1軸ATまわりの複数のガイドローラ41の複数の回転角(β1、β2、β3、β4)のうちのいずれかから45度ずれた状態で、第1チャック3を第1方向DR1または第2方向に移動させるモードである。図24に記載の例では、第1回転角αが、第1ガイドローラ41aの回転角β1から45度ずれており、第3ガイドローラ41cの回転角β4から45度ずれている。
【0110】
第1回転角αを、複数の回転角(β1、β2、β3、β4)のうちのいずれかから45度ずらすことは、制御装置8から制御信号を受信する第1回転駆動装置36が、複数の把持爪32を第1軸ATまわりに45度回転させることによって実行されてもよいし、制御装置8から制御信号を受信する第2回転駆動装置46が、複数のガイドローラ41を第1軸ATまわりに45度回転させることによって実行されてもよい。なお、本明細書において、多少の誤差は許容される。例えば、本明細書において、「45度」には、厳密な45度と、略45度とが包含される。なお、複数の把持爪32(または、複数のガイドローラ41)を第1軸ATまわりに「45度」回転させる代わりに、複数の把持爪32(または、複数のガイドローラ41)が、第1軸ATまわりに「135度」、「225度」あるいは「315度」回転されてもよいことは言うまでもない。
【0111】
図25に例示されるように、第2移動モードは、第1チャック3の把持部材31を、第2チャック4における複数のガイドローラ41の内側に挿入するときに使用される(矢印AR1を参照。)。また、第2移動モードは、短ワークWSを、第1方向DR1または第2方向DR2に移動させるときに使用される。制御装置8が第2移動モードを実行することにより、第1方向DR1に沿う方向における短ワークWSのレーザ被照射位置が変更される。
【0112】
(把持部材31の状態の変更)
図10に記載の例では、制御装置8は、移動装置6を制御することにより(より具体的には、移動装置6およびローラ移動装置43を制御することにより)、第1チャック3の把持部材31の状態を、把持部材31の全体が第2チャック4外に配置された第1状態から、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入された第2状態に変更可能である。
【0113】
把持部材31の状態を、第1状態から第2状態に変更することは、例えば、以下の手順で実行される。第1に、制御装置8が、ローラ移動装置43に第5制御信号S5を送信し、第5制御信号S5を受信するローラ移動装置43が、複数のガイドローラ41を、第1軸ATから離れる方向に退避させる。第2に、制御装置8が、移動装置6に第1制御信号S1を送信し、第1制御信号S1を受信する移動装置6は、第1チャック3の把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入されるように、第1チャック3を第1方向DR1に移動させる。当該第1チャック3の第1方向DR1への移動は、制御装置8が上述の第2移動モードを実行することにより行われてもよい。この場合、第1軸ATまわりの複数の把持爪32の回転位相が、第1軸ATまわりの複数のガイドローラ41の回転位相から45度ずれた状態で、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入される。
【0114】
(第1回転モード)
図19に記載の例では、制御装置8は、第1回転駆動装置36、および、第2回転駆動装置46を制御することにより(換言すれば、第1回転駆動装置36に第2制御信号S2を送信し、第2回転駆動装置46に第4制御信号S4を送信することにより)、第1回転モードを実行可能である。第1回転モードは、第1状態の把持部材31(換言すれば、第2チャック4外に配置された状態の把持部材31)と、複数のガイドローラ41とを第1軸ATまわりに同期的に回転させるモードである。
【0115】
図19に例示されるように、第1回転モードは、第1チャック3および第2チャック4を用いて、長尺ワークWLを第1軸ATまわりに回転させるときに使用される。より具体的には、第1回転モードは、第1軸ATまわりの回転方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置を変更するときに使用される。
【0116】
制御装置8は、第1回転モードと、上述の第1移動モードとを同時に実行してもよい。この場合、第1方向DR1に沿う方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置と、第1軸ATまわりの回転方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置とが同時に変更される。
【0117】
図19に例示されるように、第1回転モードは、長尺ワークWLの第1部分W1(より具体的には、長尺ワークWLの基端部Wb)が、第1チャック3の把持部材31によって把持され、長尺ワークWLの第2部分W2(より具体的には、長尺ワークWLの先端部分あるいは中央部分)が、第2チャック4の複数のガイドローラ41によって支持された状態で実行される。よって、第1回転モードでは、長尺ワークWLの捩じりが抑制された状態で、長尺ワークWLが第1軸ATまわりに安定的に回転される。
【0118】
(第2回転モード)
図20に記載の例では、制御装置8は、第1回転駆動装置36、および、第2回転駆動装置46を制御することにより(換言すれば、第1回転駆動装置36に第2制御信号S2を送信し、第2回転駆動装置46に第4制御信号S4を送信することにより)、第2回転モードを実行可能である。第2回転モードは、第2状態の把持部材31(換言すれば、複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態の把持部材31)を、第1軸ATまわりに回転させるモードである。
【0119】
図15および図16に例示されるように、第2回転モードは、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態で、把持部材31および複数のガイドローラ41を第1軸ATまわりに同期的に回転させるモードであることが好ましい。ただし、複数のガイドローラ41が、第1軸ATから離れる方向に十分に退避している場合には、第2回転モードにおいて、複数のガイドローラ41が第1軸ATまわりに回転されない状態で、把持部材31のみが第1軸ATまわりに回転されてもよい。
【0120】
図20における矢印R2によって示されるように、第2回転モードは、第1チャック3を用いて、短ワークWSを第1軸ATまわりに回転させるときに使用される。より具体的には、第2回転モードは、第1軸ATまわりの回転方向における短ワークWSのレーザ被照射位置を変更するときに使用される。
【0121】
制御装置8は、第2回転モードと、上述の第2移動モードとを同時に実行してもよい。この場合、第1方向DR1に沿う方向における短ワークWSのレーザ被照射位置と、第1軸ATまわりの回転方向における短ワークWSのレーザ被照射位置とが同時に変更される。
【0122】
図20に記載の例では、第2回転モードは、短ワークWSの第1部分W1(より具体的には、短ワークWSの基端部Wb)が、第1チャック3の把持部材31によって把持され、且つ、複数のガイドローラ41が短ワークWSから離間された状態で実行される。
【0123】
(長尺ワーク加工モード)
図19に記載の例では、制御装置8は、レーザヘッド20を制御することにより(換言すれば、レーザヘッド20に、第6制御信号S6を送信することにより)、長尺ワーク加工モードを実行可能である。長尺ワーク加工モードは、第1状態の把持部材31(換言すれば、第2チャック4外に配置された状態の把持部材31)と複数のガイドローラ41とによって支持される長尺ワークWLに向けて、レーザヘッド20からレーザを照射するモードである。
【0124】
図19に例示されるように、長尺ワーク加工モードは、長尺ワークWLが、第1チャック3の把持部材31および第2チャック4の複数のガイドローラ41によって支持された状態で実行される。よって、長尺ワーク加工モードでは、長尺ワークWLの撓みが抑制された状態で、長尺ワークWLが安定的に加工される。
【0125】
また、制御装置8は、長尺ワーク加工モードと、第1回転モードおよび/または第1移動モードとを同時に実行してもよい。この場合、長尺ワークWLの加工中に、第1方向DR1に沿う方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置、および/または、第1軸ATまわりの回転方向における長尺ワークWLのレーザ被照射位置が変更される。
【0126】
(短ワーク加工モード)
図20に記載の例では、制御装置8は、レーザヘッド20を制御することにより(換言すれば、レーザヘッド20に、第6制御信号S6を送信することにより)、短ワーク加工モードを実行可能である。短ワーク加工モードは、第2状態の把持部材31(換言すれば、複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態の把持部材31)によって把持される短ワークWSに向けて、レーザヘッド20からレーザを照射するモードである。
【0127】
制御装置8は、短ワーク加工モードと、第2回転モードおよび/または第2移動モードとを同時に実行してもよい。この場合、短ワークWSの加工中に、第1方向DR1に沿う方向における短ワークWSのレーザ被照射位置、および/または、第1軸ATまわりの回転方向における短ワークWSのレーザ被照射位置が変更される。
【0128】
図20に例示されるように、短ワーク加工モードは、第1チャック3の把持部材31が第2チャック4の複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態で実行される。よって、短ワークWSの加工によって生じる残材の長さを短くすることができる。
【0129】
(残材排出モード)
図18に記載の例では、制御装置8は、把持爪移動装置34を制御することにより(換言すれば、把持爪移動装置34に、第3制御信号S3を送信することにより)、残材排出モードを実行可能である。残材排出モードは、第2状態の把持部材31(換言すれば、複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態の把持部材31)から残材Wrを排出させるモードである。残材排出モードでは、制御装置8が、把持爪移動装置34に第3制御信号S3を送信し、第3制御信号S3を受信する把持爪移動装置34が、第1軸ATから離れる方向に、複数の把持爪32を移動させる。こうして、複数の把持爪32による残材Wrの把持が解除され、残材Wrが把持部材31から排出される。
【0130】
複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態の把持部材31から残材Wrが排出される場合、残材Wrを、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に、確実に落下させることができる。
【0131】
(ワークW)
第2の実施形態において、ワークW(図19を参照。)は、例えば、第1方向DR1に延在するパイプWpである。また、短ワークWS(図20を参照。)は、パイプWpがレーザ加工されることにより形成され、把持部材31のみによって支持可能な短パイプである。第1方向DR1に垂直な方向におけるパイプWpの断面形状は、矩形形状であってもよいし、円形形状であってもよいし、三角形形状であってもよい。また、ワークWは、パイプ以外のワークであってもよい。例えば、ワークWは、断面C字形状を有する長尺ワークであってもよいし、断面H字形状を有する長尺ワークであってもよいし、断面L字形状を有する長尺ワークであってもよい。
【0132】
(レーザ加工方法)
図1乃至図29を参照して、実施形態におけるレーザ加工方法について説明する。図26は、実施形態におけるレーザ加工方法の一工程が実行されている様子を模式的に示す図である。図27は、実施形態におけるレーザ加工方法の他の一工程が実行されている様子を模式的に示す図である。図28および図29は、実施形態におけるレーザ加工方法の一例を示すフローチャートである。
【0133】
実施形態におけるレーザ加工方法において使用されるレーザ加工機1は、第1の実施形態におけるレーザ加工機1Aであってもよいし、第2の実施形態におけるレーザ加工機1Bであってもよいし、その他のレーザ加工機であってもよい。レーザ加工機1の各構成要素については、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みであるため、レーザ加工機1の各構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0134】
第1ステップST1において、レーザヘッド20からワークWにレーザを照射することによりワークWが加工される。第1ステップST1は、第1加工工程である。
【0135】
図1図9に例示されるように、第1加工工程(第1ステップST1)は、ワークWの第1部分W1(より具体的には、ワークWの基端部Wb)が第1チャック3の把持部材31によって把持され、ワークWの第2部分W2が、第1チャック3よりも第1方向DR1に位置する第2チャック4の複数のガイドローラ41によって挟まれた状態で実行される。
【0136】
図1図9に記載の例では、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)が、第1チャック3の把持部材31および第2チャック4の複数のガイドローラ41によって支持されている。よって、第1加工工程では、ワークWの撓みが抑制された状態で、ワークWが安定的に加工される。なお、図8に例示されるように、第1加工工程において、第1チャック3と第2チャック4との間に配置される第1支持部材72によって、ワークWの第3部分W3が、追加的に支持されてもよい。
【0137】
第2ステップST2において、ワークWが、レーザヘッド20および複数のガイドローラ41に対して相対移動される。第2ステップST2は、第1移動工程である。
【0138】
第1移動工程(第2ステップST2)は、ワークWを把持する第1チャック3を、レーザヘッド20に向かって第1方向DR1に移動させることにより実行される。
【0139】
図1図9に記載の例では、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)が、第1チャック3の把持部材31および第2チャック4の複数のガイドローラ41によって支持されている。よって、第1移動工程では、ワークWを安定的に第1方向DR1に移動させることができる。なお、図8に例示されるように、第1移動工程は、第1チャック3と第2チャック4との間に配置される第1支持部材72によって、ワークWの第3部分W3が、追加的に支持された状態で実行されてもよい。
【0140】
図1図9に例示されるように、第1加工工程(より具体的には、レーザヘッド20からワークWにレーザLAを照射すること)と、第1移動工程(より具体的には、第1チャック3をワークWとともに第1方向DR1に移動させること)とは、同時に実行されてもよいし、シーケンシャルに実行されてもよいし、交互に実行されてもよい。また、第1移動工程において、ワークWを把持する第1チャック3を、レーザヘッド20に向かって第1方向DR1に移動させることと、ワークWを把持する第1チャック3を、レーザヘッド20から離れる第2方向DR2に移動させることとが、交互に実行されてもよい。
【0141】
第3ステップST3において、ワークWが第1方向DR1に平行な第1軸ATまわりに回転される。第3ステップST3は、第1回転工程である。
【0142】
図9に例示されるように、第1回転工程(第3ステップST3)は、ワークWを把持する把持部材31と、複数のガイドローラ41とを第1軸ATまわりに同期的に回転させることを含む(矢印R1を参照。)。また、第1回転工程は、ワークWの第1部分W1が第1チャック3の把持部材31によって把持され、ワークWの第2部分W2が第2チャック4の複数のガイドローラ41に支持された状態で実行される。よって、第1回転工程では、ワークW(より具体的には、長尺ワークWL)を安定的に第1軸ATまわりに回転させることができる。
【0143】
第1加工工程(より具体的には、レーザヘッド20からワークWにレーザLAを照射すること)と、第1回転工程(より具体的には、ワークWを第1軸ATまわりに回転させること)とは、同時に実行されてもよいし、シーケンシャルに実行されてもよいし、交互に実行されてもよい。また、第1移動工程(より具体的には、第1チャック3をワークWとともに第1方向DR1に移動させること)と、第1回転工程(より具体的には、ワークWを第1軸ATまわりに回転させること)とは、同時に実行されてもよいし、シーケンシャルに実行されてもよいし、交互に実行されてもよい。
【0144】
第1加工工程、第1移動工程、および、第1回転工程の実行により、第1チャック3の把持部材31に把持されたワークWの長さが短くなり、当該ワークWが、短ワークWSとなる。実施形態におけるレーザ加工方法では、後述の第4ステップST4乃至第6ステップST6の実行により、把持部材31に把持された短ワークWSが、レーザヘッド20に近づくように移動される。
【0145】
第4ステップST4において、複数のガイドローラ41が第1軸ATおよびワークWから離れる方向に退避される。第4ステップST4は、退避工程である。退避工程(第4ステップST4)は、ローラ移動装置43が、複数のガイドローラ41を第1軸ATから離れる方向に移動させることにより実行される。
【0146】
図23および図24に例示されるように、第5ステップST5において、複数のガイドローラ41が、把持部材31に対して、第1軸ATまわりに相対回転される。第5ステップST5は、相対回転工程である。相対回転工程は、第1軸ATまわりの複数の把持爪32の回転位相を、複数のガイドローラ41によって規定される矩形内部領域SP1の複数の角部Cに整合させることを含む。より具体的には、Nを「0」以上の任意の整数と定義するとき、相対回転工程は、複数のガイドローラ41を、第1軸ATまわりに(45+N×90)度、把持部材31に対して相対回転させることを含む。
【0147】
相対回転工程(第5ステップST5)は、第1回転駆動装置36が把持部材31を第1軸ATまわりに回転させることにより実行されてもよいし、第2回転駆動装置46が複数のガイドローラ41を第1軸ATまわりに回転させることにより実行されてもよい。
【0148】
なお、退避工程(第4ステップST4)の実行により、複数のガイドローラ41の内側に、把持部材31を受容可能なスペースが十分に確保される場合には、相対回転工程(第5ステップST5)は省略されてもよい。
【0149】
図25に例示されるように、第6ステップST6において、ワークWを把持する把持部材31を備える第1チャック3が、第1方向DR1に更に移動される(矢印AR1を参照。)。第6ステップST6は、第2移動工程である。
【0150】
第2移動工程(第6ステップST6)は、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41を横切ってレーザヘッド20に近づくように、第1チャック3を第1方向DR1に更に移動させることを含む。なお、上述の退避工程の実行により、複数のガイドローラ41は予め退避されているため、把持部材31の端面31eが複数のガイドローラ41と衝突することはない。第2移動工程の実行により、第1チャック3の把持部材31の端面31eの位置が、複数のガイドローラ41よりも第2方向DR2側の第2位置P2から、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側の第1位置P1に位置変更される(図26を参照。)。
【0151】
図26に記載の例では、第2移動工程(第6ステップST6)は、第1チャック3の把持部材31を、第2チャック4の複数のガイドローラ41の内側に挿入すること(以下、「挿入工程」という。)を含む。なお、上述の相対回転工程の実行後に挿入工程が実行される場合には、当該挿入工程の実行により、把持部材31の複数の把持爪32が、複数のガイドローラ41によって規定される矩形内部領域SP1の複数の角部Cに、それぞれ配置される。
【0152】
第7ステップST7において、レーザヘッド20からワークWにレーザを照射することによりワークWが更に加工される。第7ステップST7は、第2加工工程である。
【0153】
図26に例示されるように、第2加工工程(第7ステップST7)では、把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に位置した状態で、レーザヘッド20からワークW(より具体的には、短ワークWS)にレーザLAが照射される。
【0154】
図26に記載の例では、把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に位置するため、ワークWの加工により生じる残材の長さを短くすることができる。
【0155】
第8ステップST8において、ワークWが、第1方向DR1または第2方向DR2に移動される。第8ステップST8は、第3移動工程である。第3移動工程(第8ステップST8)は、ワークWを把持する第1チャック3を、第1方向DR1または第2方向DR2に移動させることにより実行される。こうして、第1方向DR1に沿う方向におけるワークWのレーザ被照射位置が変更される。
【0156】
第2加工工程(より具体的には、レーザヘッド20からワークWにレーザLAを照射すること)と、第3移動工程(より具体的には、ワークWを第1方向DR1または第2方向DR2に移動させること)とは、同時に実行されてもよいし、シーケンシャルに実行されてもよいし、交互に実行されてもよい。
【0157】
第9ステップST9において、ワークW(より具体的には、短ワークWS)を把持する把持部材31が第1軸ATまわりに回転される。第9ステップST9は、第2回転工程である。
【0158】
図27に例示されるように、第2回転工程(第9ステップST9)は、把持部材31が複数のガイドローラ41の内側に挿入された状態で実行される。第2回転工程(第9ステップST9)では、把持部材31および複数のガイドローラ41が、第1軸ATまわりに、同期的に回転されることが好ましい。
【0159】
図27に記載の例では、第2加工工程と、第2回転工程とが同時に実行されることにより、(換言すれば、複数のガイドローラ41の内側に配置された把持部材31が第1軸ATまわりに回転され、かつ、当該把持部材31によって把持されたワークWにレーザが照射されることにより)、ワークWが、加工製品Wtと残材Wrとに分離される。
【0160】
図18に例示されるように、第10ステップST10において、ワークWがレーザ加工されることにより生じた残材Wrが排出される。第10ステップST10は、残材排出工程である。
【0161】
残材排出工程(第10ステップST10)は、第1チャック3の把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に位置した状態で、把持部材31が残材Wrをリリースすること(換言すれば、把持部材31による残材Wrの把持が解除されること)により、自動的に実行される。より具体的には、把持部材31による残材Wrの把持が解除されることにより、残材Wrが、把持部材31から下方に落下する。
【0162】
図18に記載の例では、残材Wrのリリースが、把持部材31の端面31eが、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に位置した状態で実行されるため、残材Wrが、確実に、複数のガイドローラ41よりも第1方向DR1側に排出される。また、残材Wrの排出が、把持部材31による残材Wrの把持の解除により自動的に実行されるため、把持部材31から第1方向DR1側に残材Wrを押し出すためのプッシャを省略することができる。当該プッシャ、および、当該プッシャの動作が省略されることにより、残材Wrの排出に要する時間を短縮することができる。
【0163】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0164】
1、1A、1B…レーザ加工機、2…レーザ照射装置、3…第1チャック、4…第2チャック、6…移動装置、8…制御装置、20…レーザヘッド、22…レーザヘッド移動装置、22a…鉛直駆動装置、22b…水平駆動装置、24…第3ベース、31…把持部材、31a…第1把持部材、31b…第2把持部材、31c…第3把持部材、31d…第4把持部材、31e…端面、32…把持爪、32a…第1把持爪、32b…第2把持爪、32c…第3把持爪、32d…第4把持爪、33…爪支持体、33a…第1の爪支持体、33b…第2の爪支持体、33c…第3の爪支持体、33d…第4の爪支持体、34…把持爪移動装置、34a…第1把持爪移動装置、34b…第2把持爪移動装置、34c…第3把持爪移動装置、34d…第4把持爪移動装置、35…第1回転体、36…第1回転駆動装置、37…回転体支持部材、38…第1チャックベース、41…ガイドローラ、41a…第1ガイドローラ、41b…第2ガイドローラ、41c…第3ガイドローラ、41d…第4ガイドローラ、42…ローラ支持部材、42a…第1ローラ支持部材、42b…第2ローラ支持部材、42c…第3ローラ支持部材、42d…第4ローラ支持部材、43…ローラ移動装置、43a…第1ローラ移動装置、43b…第2ローラ移動装置、43c…第3ローラ移動装置、43d…第4ローラ移動装置、45…第2回転体、45h…貫通孔、46…第2回転駆動装置、47…動力伝達部材、48…第2回転体支持部材、48h…貫通孔、61…駆動装置、62…ガイド部材、63…動力伝達部材、71…ローダ、72…第1支持部材、73…支持部材移動装置、75…アンローダ、76…第2支持部材、77…残材収集装置、78…台車、79…残材収容容器、80…プロセッサ、82…メモリ、84…通信回路、86…入力装置、88…バス、91…第1ベース、92…第2ベース、320n…内側面、320u…外側面、822…加工プログラム、862…タッチパネル付きディスプレイ、C…角部、C1…第1角部、C2…第2角部、C3…第3角部、C4…第4角部、MR…ワーク加工領域、S1…第1制御信号、S2…第2制御信号、S3…第3制御信号、S4…第4制御信号、S5…第5制御信号、S6…第6制御信号、S7…第7制御信号、SP…内部領域、SP1…矩形内部領域、W…ワーク、W1…ワークの第1部分、W2…ワークの第2部分、W3…ワーク第3部分、WL…長尺ワーク、WS…短ワーク、Wa…ワークの先端部、Wb…ワークの基端部、Wp…パイプ、Wr…残材、Wt…加工製品
【要約】
レーザ加工機は、第1方向に延在するワークにレーザを照射してワークを加工するレーザヘッドと、ワークを把持する把持部材を有し、第1方向に移動可能な第1チャックと、第1方向に沿う方向においてレーザヘッドと第1チャックとの間に配置され、ワークを挟みワークの第1方向への移動をガイドする複数のガイドローラを有する第2チャックと、把持部材の端面が複数のガイドローラを横切ってレーザヘッドに近づくように、第1チャックを第1方向に移動させる移動装置と、を具備する。
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