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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】塗布装置、及び塗布・乾燥硬化方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/02 20060101AFI20220804BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20220804BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20220804BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C13/02
B05D1/28
B05D3/00 B
B05D3/00 C
B05D3/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021556023
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2020040899
(87)【国際公開番号】W WO2021095575
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2019206165
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505432669
【氏名又は名称】株式会社エナテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【弁理士】
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】吉塚 秀人
(72)【発明者】
【氏名】山本 章仁
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-169542(JP,A)
【文献】特開2009-045171(JP,A)
【文献】特開2007-050311(JP,A)
【文献】特開2014-193447(JP,A)
【文献】特開2011-096745(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137418(WO,A1)
【文献】特開平11-347470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00- 3/20
7/00-21/00
B05D1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板載置台上の基板の外周縁端面に向けて、一端側が進退移動する連続気孔を有する多孔質弾性体と、
該多孔質弾性体の他端側又はその近傍に位置し、該多孔質弾性体に膜形成液を供給する膜形成液供給手段とを備え、
前記多孔質弾性体の前記一端側の端面の幅が、前記基板の前記外周縁端面の幅よりも大きく、
前記多孔質弾性体の前記一端側の端面を前記基板の前記外周縁端面に接触させることにより、前記基板の前記外周縁端面に膜形成液が塗布されるように構成され
前記基板載置台が、所定の中心間間隔で、前記多孔質弾性体の前記一端側の進退移動方向に直交する方向に配列され、
前記基板載置台上の隣り合う2つの前記基板が、前記多孔質弾性体の前記一端側に対向する範囲において相互に所定角度回転した状態で配列され、
2つの前記基板のそれぞれの前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成され ていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記多孔質弾性体が、並んで位置する2つの前記基板の前記外周縁端面に対し、1つの前記多孔質弾性体で膜形成液を塗布することができる幅を有していることを特徴とする請求項記載の塗布装置。
【請求項3】
前記多孔質弾性体の前記一端側が、隣り合う2つの前記基板の大きさ及び/又は前記外周縁端面の形状に応じた形状であることを特徴とする請求項記載の塗布装置。
【請求項4】
基板載置台上の基板の外周縁端面に向けて、一端側が進退移動する連続気孔を有する多孔質弾性体と、
該多孔質弾性体の他端側又はその近傍に位置し、該多孔質弾性体に膜形成液を供給する膜形成液供給手段とを備え、
前記多孔質弾性体の前記一端側の端面の幅が、前記基板の前記外周縁端面の幅よりも大きく、
前記多孔質弾性体の前記一端側の端面を前記基板の前記外周縁端面に接触させることにより、前記基板の前記外周縁端面に膜形成液が塗布されるように構成され、
2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、所定の間隔を隔てて設けられ、
前記基板載置台が、所定の中心間間隔で、前記多孔質弾性体の前記一端側の進退移動方向に直交する方向に配列され、
2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段に位置する前記基板載置台上の2つの前記基板が、相互に所定角度回転した状態で配列され、
2つの前記基板のそれぞれの前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴とす塗布装置。
【請求項5】
前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、前記基板載置台の両側に設けられ、
前記基板の両側の前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記多孔質弾性体の前記他端側に位置する前記膜形成液供給手段が、膜形成液を収容する膜形成液槽を含んで構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項7】
複数の前記基板載置台が、前記多孔質弾性体の進退移動方向と直交する方向に移動する基板送りコンベア上に並んで設けられ、該基板送りコンベアが前記所定の中心間間隔でステップ移動するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記基板載置台上の前記隣り合う2つの基板の一方が、前記基板送りコンベアが1ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転するように構成されていることを特徴とする請求項記載の塗布装置。
【請求項9】
複数の前記基板載置台が、前記多孔質弾性体の進退移動方向と直交する方向に移動する基板送りコンベア上に並んで設けられ、該基板送りコンベアが前記所定の中心間間隔でステップ移動するように構成されていることを特徴とする請求項記載の塗布装置。
【請求項10】
前記所定の間隔が、前記所定の中心間間隔の2倍の間隔であり、前記基板載置台上の前記所定の間隔を隔てて位置する2つの基板の一方が、前記基板送りコンベアが2ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記基板の前記回転が、前記基板載置台の回転軸に設けられた磁石のS極又はN極と、前記基板載置台に対向し固定して設けられた磁石のN極又はS極の引力又は斥力によって生じるように構成されていることを特徴とする請求項又は請求項10記載の塗布装置。
【請求項12】
基板送り込み部において、基板トレイ搬送コンベア上の基板トレイから、ピックアップロボットによって、前記基板が前記基板送りコンベア上の前記基板載置台に載置され、
基板取り出し部において、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台から、ピックアップロボットによって、前記基板が前記基板トレイ搬送コンベア上の前記基板トレイに移し替えられるように構成されていることを特徴とする請求項7~11のいずれかの項に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記膜形成液供給手段と前記基板取り出し部との間に、膜形成液乾燥硬化部が設けられていることを特徴とする請求項12記載の塗布装置。
【請求項14】
請求項12記載の塗布装置を使用し、前記基板が前記基板取り出し部において前記基板トレイに移し替えられた後、前記塗布装置から前記基板トレイを取り出し、前記塗布装置外の場所あるいは乾燥装置において膜形成液を乾燥硬化させることを特徴とする塗布・乾燥硬化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布装置、及び塗布・乾燥硬化方法に関し、より詳細には、基板の外周縁端面に膜形成液を塗布することができる塗布装置、及び塗布・乾燥硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の実装用基板としてガラスエポキシ材、コンポジット材、紙フェノール材などを使用したプリント配線基板が広く使用されている。ガラスエポキシ材は、ガラス繊維布を重ねたものにエポキシ樹脂を含浸させたものである。コンポジット材は、表面にガラス布、芯材にセルロース紙や不織布を配したものである。紙フェノール材は、クラフト紙にフェノール樹脂を含浸させたものである。
これらガラスエポキシ材、コンポジット材、紙フェノール材に対して切断加工を施すと、切断部に、エポキシ樹脂又はガラス繊維などからなる細かい塵埃が発生する。このような細かい塵埃は基板回路の接触不良や品質の低下などを引き起こす原因となる。そのため、基板の切断時に生じた塵埃はプリント配線基板の製造時には除去しておくことが好ましい。
また、プリント配線基板の切断部端面から一旦、塵埃を取り除いておいたとしても、プリント配線基板の端面部分は脆いため、その後、使用中に崩壊して更なる塵埃が発生するおそれもあった。
【0003】
そこで本件出願人は、基板の端面を含む周縁部に膜形成液を塗布して膜を形成することで、端面部分の崩壊を防止することのできる塗布装置及び塗布方法を先に提案した(特許文献1)。
特許文献1記載の塗布装置においては、基板の端部を挟み得るように対向配置された一対の塗布ローラを基板周縁に沿って移動させることにより、基板の端面を含む周縁部に膜形成液が塗布される。
さらに本件出願人は、インクジェット方式により、基板周縁の端面のほか、基板内に形成された孔部端面にも膜形成液を塗布することができる塗布装置及び塗布方法を提案した(特許文献2)。
【0004】
このほか、特許文献3には、被塗布面と接触する接触面を有し、塗布液を浸透させて保持するスポンジと、スポンジの鉛直上方から塗布液を滴下するディスペンサーと、スポンジを保持し、前面基板の周縁に沿って前面基板の内面に接触面を一定の接触圧力で接触させながら、一定のスピードでスポンジを移動させる移動機構とを備え、一定の幅、および一定の厚さの高抵抗膜を塗布できる装置が開示されている。
【0005】
[発明が解決しようとする課題]
最近では、塗布対象となる基板の種類が増え、上記した塗布装置で対象としていたようなマザーボード的な基板のみならず、これらをさらに細かく切断した後の基板も塗布対象となってきている。すなわち、塗布対象となる基板の小形化、大量化が進んできている。上記した塗布ローラを用いる方式の場合も、インクジェット方式の場合も、スポンジを移動させる方式の場合も、基板の端面に沿って膜形成液を塗布してゆく。このため、基板の小形化、大量化には十分対応しきれないという状況が生じてきていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-3303号公報(特許第5735047号)
【文献】特開2018-8210号公報
【文献】特開2006-7101号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、基板の端面に、効率良く膜形成液を塗布することができる塗布装置、及び塗布・乾燥硬化方法を提供することを目的としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る塗布装置(1)は、
基板載置台上の基板の外周縁端面に向けて、一端側が進退移動する連続気孔を有する多孔質弾性体と、
該多孔質弾性体の他端側又はその近傍に位置し、該多孔質弾性体に膜形成液を供給する膜形成液供給手段とを備え、
前記多孔質弾性体の前記一端側の端面を前記基板の前記外周縁端面に接触させることにより、前記基板の前記外周縁端面に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
上記塗布装置(1)によれば、前記多孔質弾性体の気孔が連続気孔で構成されているため、膜形成液が前記多孔質弾性体全体に速やか、かつ均等に浸透する。この多孔質弾性体の進退移動に伴う前記基板の外周縁端面への軽度の押圧を伴う接触により、前記基板載置台上の前記基板の外周縁端面に膜形成液が塗布されるので、膜形成液が均等な厚さで、速やかに塗布される。
また、前記基板の外周縁端面にある程度の凹凸がある場合でも、前記多孔質弾性体が弾性を有しているため、外周縁端面の各部に均等に膜形成液が塗布される。
従って、従来の膜形成液の塗布に比べて、均等な厚さで、良質な膜形成液の塗布、膜形成液の塗布の効率化を図ることができる。塗布対象となる基板が小形の場合には、特に有効である。
また、塗布装置の構造が簡単なため、塗布装置の低価格化、塗布作業の効率化、メンテナンスの容易化などにより、膜形成液塗布コストを削減することもできる。
【0010】
また本発明に係る塗布装置(2)は、上記塗布装置(1)において、
前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、前記基板載置台の両側に設けられ、
前記基板の両側の前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(2)によれば、前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段を含んで構成される膜形成液塗布部が前記基板の両側に設けられているので、1回の塗布動作により、前記基板の両側の外周縁端面に同時に膜形成液を塗布することができる。また、前記基板の両側の端面に対し、前記多孔質弾性体を同時に接触させ、基板が両側から軽く押圧されるようにすることができるので、前記多孔質弾性体の接触時の前記基板の位置が安定し、膜形成液の塗布をより安定化させることができる。
そのため、膜形成液の塗布の効率化、スピードアップ、より良質な塗膜の形成を行うことができる。
【0011】
また本発明に係る塗布装置(3)は、上記塗布装置(1)又は(2)において、
前記基板載置台が、所定の中心間間隔で、前記多孔質弾性体の前記一端側の進退移動方向に直交する方向に配列され、
前記基板載置台上の隣り合う2つの前記基板が、前記多孔質弾性体の前記一端側に対向する範囲において相互に所定角度回転した状態で配列され、
2つの前記基板のそれぞれの前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(3)によれば、並んで位置する前記基板が、基板面、すなわち、ほぼ水平面で相互に所定角度回転した状態であり、それぞれの前記基板の外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布される。そのため、前記基板が、隣の基板の位置に移動し所定角度回転した状態で再度膜形成液が塗布されると、前記基板のうち縦横の関係にある2つの外周縁端面に膜形成液が塗布されることになる。
さらに、前記基板の両側で膜形成液が塗布される場合には、1回の移動前と移動後の塗布により、前記基板のすべての外周縁端面に膜形成液が塗布されることになる。
従って、基板端面への膜形成液の塗布を大幅にスピードアップすることができ、極めて高い作業効率で膜形成液を塗布することができる。
【0012】
また本発明に係る塗布装置(4)は、上記塗布装置(3)において、
前記多孔質弾性体が、並んで位置する2つの前記基板の前記外周縁端面に対し、1つの前記多孔質弾性体で膜形成液を塗布することができる幅を有していることを特徴としている。
上記塗布装置(4)によれば、前記多孔質弾性体が、2つの前記基板の外周縁端面に膜形成液を塗布することができる幅を有しているので、1つの前記多孔質弾性体による1回の塗布により、2つの前記基板の外周縁端面に同時に膜形成液を塗布することができる。
そのため、前記基板1つごとに1つの前記多孔質弾性体による塗布を行うことに比べて、前記多孔質弾性体の進退移動機構が簡素化され、前記多孔質弾性体のメンテナンスが容易となる。
【0013】
また本発明に係る塗布装置(5)は、上記塗布装置(4)において、
前記多孔質弾性体の前記一端側が、隣り合う2つの前記基板の大きさ及び/又は前記外周縁端面の形状に応じた形状であることを特徴としている。
上記塗布装置(5)によれば、前記多孔質弾性体の一端側の形状が、隣り合う2つの前記基板の外周縁端面の形状に応じた形状であるので、2つの前記基板の外周縁端面の形状が異なる場合でも、1つの前記多孔質弾性体により、それぞれの前記基板の外周縁端面に対し、均一な厚さで均質な塗膜を形成することができる。
従って、前記基板の各端面に良質な塗膜が形成され、前記基板の品質を向上させることができる。
【0014】
また本発明に係る塗布装置(6)は、上記塗布装置(1)又は(2)において、
2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、所定の間隔を隔てて設けられ、
前記基板載置台が、所定の中心間間隔で、前記多孔質弾性体の前記一端側の進退移動方向に直交する方向に配列され、
2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段に位置する前記基板載置台上の2つの前記基板が、相互に所定角度回転した状態で配列され、
2つの前記基板のそれぞれの前記外周縁端面に、同時に膜形成液が塗布されるように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(6)によれば、2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、所定の間隔を隔てて設けられ、それぞれに位置する前記基板が、基板面、すなわち、ほぼ水平面で相互に所定角度回転した状態であり、それぞれの前記基板の外周縁端面に、同時に膜形成液を塗布することができる。そのため、前記基板が所定の間隔だけ移動し、所定の角度回転した状態で再度膜形成液が塗布されると、前記基板のうち例えば縦横の関係にある2つの外周縁端面に膜形成液が塗布されることになる。
さらに、前記基板の両側で膜形成液が塗布される場合には、1回又は2回の移動前と移動後の塗布により、前記基板のすべての外周縁端面に膜形成液が塗布されることになる。
特に、2組の前記多孔質弾性体及び前記膜形成液供給手段が、所定の間隔を隔てて設けられているので、1つの前記基板の外周縁端面に対し、1つの前記多孔質弾性体により膜形成液を塗布することができる。そのため、前記基板の外周縁端面に対し、均一かつ確実に膜形成液を塗布することができる。さらに、基板の各外周縁の形状が異なる場合であっても、前記多孔質弾性体の端面の形状を基板の各外周縁の形状に合わせることができるので、いっそう均一かつ確実に膜形成液を塗布することができる。
従って、基板端面への膜形成液の塗布を大幅にスピードアップすることができ、極めて高い作業効率で膜形成液を塗布することができるとともに、良質な塗布膜を得ることができる。
【0015】
また本発明に係る塗布装置(7)は、上記塗布装置(1)~(6)のいずれかにおいて、
前記多孔質弾性体の前記他端側に位置する前記膜形成液供給手段が、膜形成液を収容する膜形成液槽を含んで構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(7)によれば、前記多孔質弾性体への膜形成液の供給手段が、前記多孔質弾性体の前記他端側に位置する膜形成液を収容する膜形成液槽を含んで構成されており、前記膜形成液槽に収容された膜形成液に前記基板の他端側を浸漬することにより、前記多孔質弾性体に膜形成液を浸透させることができる。
従って、前記多孔質弾性体に対し、簡単かつ確実に膜形成液を供給することができる。また、膜形成液の供給装置が簡単な構造であり、コストが安く、メンテナンスが容易という利点がある。
【0016】
また本発明に係る塗布装置(8)は、上記塗布装置(3)~(7)のいずれかにおいて、
複数の前記基板載置台が、前記多孔質弾性体の進退移動方向と直交する方向に移動する基板送りコンベア上に並んで設けられ、該基板送りコンベアが前記所定の中心間間隔でステップ移動するように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(8)によれば、前記基板載置台が、前記多孔質弾性体の進退移動方向と直交する方向に移動する基板送りコンベア上に並んで設けられ、該基板送りコンベアが前記所定の中心間間隔でステップ移動するように構成されているので、1ステップ移動する毎に、相互に所定角度回転した状態で位置するそれぞれの前記基板の外周縁端面に対し、前記基板の両側で膜形成液の塗布が行われる。
そのため、各ステップの移動前と移動後の2回の膜形成液の塗布により、前記基板のすべての外周縁端面に対して膜形成液が塗布される。すなわち、1回のステップ移動での膜形成液の塗布により、1つの前記基板の4つの外周縁端面すべてに塗膜を形成することができる。
従って、基板端面への膜形成液の塗布効率を著しく向上させることができる。
【0017】
また本発明に係る塗布装置(9)は、上記塗布装置(8)において、
前記基板載置台上の前記隣り合う2つの基板の一方が、前記基板送りコンベアが1ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転するように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(9)によれば、隣り合う2つの前記基板の一方が、前記基板送りコンベアが1ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転する。そのために、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台に前記基板を載置する際に、前記基板が交互に所定角度回転した状態で、前記基板を移し替える必要がない。
従って、前記基板の前記基板載置台への載置が円滑となるとともに、移し替えの誤操作などを防止することができる。
【0018】
また本発明に係る塗布装置(10)は、上記塗布装置(8)において、
前記所定の間隔が、前記所定の中心間間隔の2倍の間隔であり、前記基板載置台上の前記所定の間隔を隔てて位置する2つの基板の一方が、前記基板送りコンベアが2ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転するように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(10)によれば、並んで位置する3つの前記基板のうち、両端の前記基板の一方が、前記基板送りコンベアが2ステップ移動する間に、前記ステップ移動方向に対して所定角度回転する。そのために、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台に前記基板を載置する際に、前記基板が交互に所定角度回転した状態で、前記基板を移し替える必要がない。
従って、前記基板の前記基板載置台への載置が円滑となるとともに、移し替えの誤操作などを防止することができる。
【0019】
また本発明に係る塗布装置(11)は、上記塗布装置(9)又は(10)において、
前記基板の前記回転が、前記基板載置台の回転軸に設けられた磁石のS極又はN極と、前記基板載置台に対向し固定して設けられた磁石のN極又はS極の引力又は斥力によって生じるように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(11)によれば、前記基板の回転が、前記基板載置台の回転軸に設けられた磁石の利用によって生じるようになっているので、装置の構成を極めて簡単で単純なものとすることができる。
そのため、安価な装置により、前記基板載置台の確実な回転が行われ、誤動作のない膜形成液の塗布が行われる。
【0020】
また本発明に係る塗布装置(12)は、上記塗布装置(8)~(11)のいずれかにおいて、
基板送り込み部において、基板トレイ搬送コンベア上の基板トレイから、ピックアップロボットによって、前記基板が前記基板送りコンベア上の前記基板載置台に載置され、
基板取り出し部において、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台から、ピックアップロボットによって、前記基板が前記基板トレイ搬送コンベア上の前記基板トレイに移し替えられるように構成されていることを特徴としている。
上記塗布装置(12)によれば、前記基板送り込み部における前記基板トレイ搬送コンベア上の基板トレイから、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台への前記基板の移し替え、前記基板取り出し部における前記基板送りコンベア上の前記基板載置台から、前記基板トレイ搬送コンベア上の前記基板トレイへの前記基板の移し替えが、前記ピックアップロボットによって行われる。
そのために、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台への前記基板の載置、前記基板送りコンベア上の前記基板載置台からの前記基板の取り出しが、速やかで、かつ正確に行われる。
従って、基板の移し替えの作業の大幅なスピードアップと、ハンドリング作業の効率化を実現することができる。
【0021】
また本発明に係る塗布装置(13)は、上記塗布装置(12)において、
前記膜形成液供給手段と前記基板取り出し部との間に、膜形成液乾燥硬化部が設けられていることを特徴としている。
上記塗布装置(13)によれば、前記基板が前記基板送りコンベアの移動に伴う動きの中で、膜形成液の乾燥硬化が行われるので、前記基板の外周縁端面への塗膜の形成を極めて高い作業効率で実現することができる。
【0022】
また、本発明に係る塗布・乾燥硬化方法(1)は、
上記塗布装置(12)を使用し、前記基板が前記基板取り出し部において前記基板トレイに移し替えられた後、前記塗布装置から前記基板トレイを取り出し、前記塗布装置外の場所あるいは乾燥装置において膜形成液を乾燥硬化させることを特徴としている。
【0023】
上記塗布・乾燥硬化方法(1)によれば、膜形成液が熱硬化性で乾燥硬化に時間を要する場合、あるいは塗膜の厚さが厚く乾燥硬化に時間を要する場合など、未乾燥状態の塗膜が形成され、前記基板が収納された前記基板トレイを、前記塗布装置外の場所あるいは前記乾燥装置に移し、複数の基板トレイに収納された多数の基板をまとめて乾燥硬化させることができる。
そのため、乾燥硬化作業の効率化を図ることができるとともに、時間をかけて膜形成液の乾燥硬化を行うことができるので、安定した良質の塗膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る塗布装置の全体の構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る塗布装置の主要部の構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る塗布装置により、基板の外周縁端面へ膜形成液を塗布する前の状態を示す図であり、(a)は(b)に示すX-X’線における部分省略断面図、(b)は部分省略平面図である。
図4】実施の形態に係る塗布装置により、基板の外周縁端面へ膜形成液を塗布している状態を示す図であり、(a)は(b)に示すX-X’線における部分省略断面図、(b)は部分省略平面図である。
図5】別の実施の形態に係る塗布装置の主要部の構成を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係る塗布装置における基板載置台の一例を示す斜視図であり、基板載置台が基板送りコンベアに固定された状態を示している。
図7】実施の形態に係る塗布装置において、基板載置台を磁石により90°回転させることを説明するための平面図であり、(a)は1つの基板載置台が上流側の膜形成液塗布部の塗布位置に到達した状態、(b)は2つの基板載置台が、それぞれ膜形成液塗布部の塗布位置に到達した状態を示している。
図8】実施の形態に係る塗布装置において、基板載置台を磁石により90°回転させる別の方法を説明するための平面図であり、(a)は1つの基板載置台が膜形成液塗布部の上流側の中心位置に到達した状態、(b)は1つの基板載置台が膜形成液塗布部の中間に位置した状態、(c)は2つの基板載置台が、それぞれ膜形成液塗布部の中心位置に到達した状態を示している。
図9】実施の形態に係る塗布装置における乾燥硬化部近傍を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る塗布装置、及び塗布・乾燥硬化方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例を示しており、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る塗布装置の全体構成を示す斜視図である。
実施の形態に係る塗布装置1は、基板10の外周縁端面(以下、単に端面と記す)に膜形成液を塗布する膜形成液塗布部20、膜形成液塗布部20に基板10を送り込み、膜形成液塗布後の基板10を膜形成液塗布部20から送り出すコンベア型の基板送り部30、基板10の端面に塗布された膜形成液を乾燥硬化させる膜形成液乾燥硬化部40、及び複数の基板10が載置された基板トレイ51を基板セット部60から基板取り出し部70へ移送する基板トレイ移送部50を含んで構成されている。
【0027】
基板セット部60は、ピックアップロボットなどで構成された移し替え手段61により、基板10が基板トレイ搬送コンベア52上の基板トレイ51から、基板送り部30の基板載置台31(図2参照)上に、一列に並んで位置する状態に移し替えられるように構成されている。
基板送り部30では、一列に配列された基板載置台31上の基板10を、膜形成液塗布部20、膜形成液乾燥硬化部40を経て、基板取り出し部70へ移送する。
基板取り出し部70は、ピックアップロボットなどで構成された移し替え手段71により、基板10が、基板載置台31から基板トレイ搬送コンベア52上の基板トレイ51に移し替えられるように構成されている。
上記構成の塗布装置1により、基板10の端面に膜形成液が塗布され、膜形成液が硬化した膜が形成されることとなる。
【0028】
図2は、実施の形態に係る塗布装置の主要部の構成を示す斜視図である。図2では、基板の送り方向は、図1の場合とは逆に、左から右方向となっている。
図3は、実施の形態に係る塗布装置により、基板の外周縁端面に膜形成液が塗布される前の状態を示す図であり、(a)は(b)に示すX-X’線における部分省略断面図、(b)は部分省略平面図である。
また、図4は、実施の形態に係る塗布装置により、基板の端面に膜形成液が塗布されている状態を示す図であり、(a)は(b)に示すX-X’線における部分省略断面図、(b)は部分省略平面図である。
【0029】
図2図4に示したように、膜形成液塗布部20の主要部は、基板10の端面10a、10bなどに膜形成液を塗布する平板状の多孔質弾性体21、多孔質弾性体21の一端側21aを基板10の端面10a、10bに接触させるための進退駆動手段22、多孔質弾性体21の他端側21bに位置し、多孔質弾性体21への膜形成液供給手段としての膜形成液槽23を含んで構成されている。
【0030】
進退駆動手段22は、多孔質弾性体21を支持し、多孔質弾性体21の基板10側を基板10の端面10a、10bに向けて進出させ、基板10の端面10a、10bに多孔質弾性体21の一端側21aの端面21aa、21abを接触させ、接触させた後、後退させる機能を有している。進退駆動手段22は、平板状の多孔質弾性体21の横方向全体を支持するとともに、膜形成液の浸透を妨げない程度に支持するものであることが好ましい。なお、進退駆動手段22は、電動シリンダなどの駆動装置22a、多孔質弾性体21を支持し、駆動装置22aによる進退移動を伝達する多孔質弾性体支持アーム22b、駆動装置22aを支持する駆動装置支持フレーム22cを含んで構成されている。
基板10の端面10a、10bへの多孔質弾性体21の一端側21aの接触は、基板10の端面10a、10bに膜形成液が塗布される程度の軽度の押圧を含む接触であり、多孔質弾性体21に浸透して含まれている膜形成液が基板10の端面10a、10bに染み出る程度の接触が好ましい。
【0031】
多孔質弾性体21は、多孔質部が連続気孔を含んで構成されており、多孔質弾性体21の他端側21bが膜形成液槽23内の膜形成液23aに浸漬されている場合には、膜形成液23aが多孔質弾性体21の他端側21bから一端側21aに速やかに浸透する。そのために、一端側21aの端面21aa、21abが基板10の端面10a、10bに接触し、基板10の端面10a、10bに膜形成液23aが塗布された後、一旦後退し、再度一端側21aの端面21aa、21abが基板10の端面10a、10bに接触するまでの間に、多孔質弾性体21の一端側21aには塗布に必要な膜形成液23aが十分に補給される。
【0032】
多孔質弾性体21の一端側21aの基板10の端面10a、10bへの軽度の押圧を含む接触は、多孔質弾性体21の弾性、気孔の特性、膜形成液23aの性質などによって異なるので、それぞれの条件に合わせて適切な接触条件を選択することが好ましい。
多孔質弾性体21の一端側21aが基板10の端面10a、10bに向けて進退移動する場合、多孔質弾性体21の長さ、厚さ、硬さなどの違いにより、多孔質弾性体21の他端側21bも進退移動する場合もある。そのため、膜形成液23aを貯留する膜形成液槽23のサイズは、他端側21bの移動、多孔質弾性体21の性質などを考慮した大きさ、形状とすることが好ましい。
【0033】
多孔質弾性体21は、ウレタン、ポリエチレン、ゴムなどの連続気孔構造のスポンジ状のもので構成されている。また、基板10の端面10a、10bの厚さは1mm~数mmと薄い場合が多く、均一な厚さで膜形成液23aを塗布することができるように、多孔質弾性体21は、必要な吸液性を有するとともに、できるだけ細かい気孔のものであることが好ましい。
また、多孔質弾性体21の厚さは、基板10の端面10a、10bより厚いことが好ましいが、多孔質弾性体21の特性、膜形成液23aの性質などを考慮し、基板10の上面及び下面に膜形成液23aが塗布されない程度の厚さを選択することが好ましい。
【0034】
図2図4には、2つの基板10のそれぞれの端面10a、10bに対し、1つの多孔質弾性体21により膜形成液23aを塗布する例を示した。
また、図示されているように、並んで位置する2つの基板は、基板同士の外周縁端面が接触しないように相互に離間して配置されている。
多孔質弾性体21の幅は、2つの基板10の端面10a、10bに同時に膜形成液23aを塗布することができる大きさに設定されている。すなわち、少なくとも、2つの基板10の端面10a、10bの幅、離間する基板10間の幅d(図3図4参照)を加算した幅に設定されている。
また、2つの基板載置台31の中心軸間は、所定の間隔を有しており、所定の中心軸間間隔は、2つの基板10の端面10a、10bの幅、及び離間する基板10間の幅dを加算した値に設定されている。
【0035】
基板10の形状には、縦横の幅が異なる場合、端部に凹凸がある場合など様々である。このような場合でも、例えば、図3図4に示したように、多孔質弾性体21の一端側21aである接触部の形状を基板10の形状や大きさに合わせて加工することにより、基板10の端面10a、10bに膜形成液23aを同時に塗布することができる。
【0036】
図3図4には、図面上右側のみに膜形成液塗布部20が配置されている場合を示したが、図2に示したように、膜形成液塗布部20を基板10の両側に配置すれば、図3図4に示したように、2つの基板10が基板主面、すなわちほぼ水平面内で所定角度、例えば90°回転して並んだ状態の2つの基板10に対しては、膜形成液23aを、1回の塗布で、2つの基板10の4つの端面10a、10bに膜形成液23aを塗布することができる。
【0037】
また、基板10の両側に同時に膜形成液23aを塗布する場合には、基板10が両側から同時に軽く押圧される程度の接触を受けるので、基板10に対する多孔質弾性体21の接触、膜形成液23aの塗布が安定するという長所がある。
なお、図2図4には、並んで位置する2つの基板10の端面10a、10bに対し、1つの多孔質弾性体21により膜形成液23aを塗布する例を示したが、1つの基板10に対して1つの多孔質弾性体21の組合せでもよく、膜形成液塗布部20が基板10の片側のみに配置されていてもよい。
【0038】
多孔質弾性体21への膜形成液23aの供給については、多孔質弾性体21の他端側21bを膜形成液23aに浸漬し、膜形成液23aを浸透させる例を示した。多孔質弾性体21への膜形成液23aの供給については、膜形成液23aに多孔質弾性体21の他端側21bを浸漬するタイプ以外の方法であってもよい。
例えば、多孔質弾性体21の他端側21b近傍で、多孔質弾性体21に膜形成液23aをスプレーする方法、多孔質弾性体21を、膜形成液23aが噴霧された空間部を通過させる方法などであってもよい。
【0039】
このほか、多孔質弾性体21の接触部である一端側21aの近傍に、多孔質弾性体21内の膜形成液23aの吸収量を調節する膜形成液量調節手段を設けてもよい。例えば、膜形成液23aの吸収量が多い場合には、多孔質弾性体21に軽度な圧縮等を施して膜形成液23aを絞る方法、多孔質弾性体21に吸液性のスポンジなどを接触させて膜形成液23aを吸い取る方法などを採用してもよい。
【0040】
基板送り部30は、基板セット部60で基板載置台31に載置された基板10を膜形成液塗布部20、膜形成液乾燥硬化部40を経て基板取り出し部70へ移動させる装置である。基板送り部30は、垂直面内を周回移動する基板送りコンベア32(図6参照)に基板載置台31が一列に等間隔で取り付けられて構成されている。また、基板送りコンベア32は、膜形成液塗布部20で、基板載置台31上の基板10に膜形成液23aを塗布するために、塗布に要する時間だけ停止するように、制御部(図示せず)により制御される構成となっている。すなわち、基板送りコンベア32は、移動と停止を繰り返すステップ移動タイプとなっている。
【0041】
後述するように、2つの基板10の端面10a、10bに同時に膜形成液23aを塗布する場合、1ステップの移動距離は、2つの基板載置台31、31の中心間間隔となる。
前述のように、基板10が相互に90°回転した状態で並んだ2つの基板10の端面10a、10bに対し、基板10の両側に設けられた膜形成液塗布部20により、2つの基板10の両側の端面10a、10bに膜形成液23aを塗布する場合には、1ステップの移動により2つの基板10のすべての端面10a、10bに膜形成液23aを塗布することができるので、極めて効率的である。
【0042】
隣り合う2つの基板10を相互に90°回転した状態とする方法については、後に図6図8を参照して説明する。
【0043】
図5は、別の実施の形態に係る塗布装置の膜形成液塗布部20A近傍の構成を示す斜視図である。図5に示した膜形成液塗布部20Aの場合には、多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段が、所定の間隔を隔てて2組設けられている。この所定の間隔は、隣り合う基板載置台31の中心間間隔、又は中心間間隔の2倍の間隔となっている。ただし、2倍以上の間隔であってもよい。また、図5には、基板載置台31の両側に膜形成液塗布部20Aが設けられている例を示した。
【0044】
2組の多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段は、それぞれ構成が同じであり、いずれも1つの基板10の1つの端面10a、10bに対して、1つの多孔質弾性体21により膜形成液23aを塗布するようになっている。また、膜形成液23aを塗布するそれぞれの位置では、2つの基板10が相互に90°回転した状態で配列されるようになっている。そのため、膜形成液塗布部20Aが基板10の両側に設けられている場合には、2組の膜形成液塗布部20Aにより、基板10のすべての端面に同時に膜形成液23aを塗布することができるようになっている。
【0045】
膜形成液塗布部20Aの場合には、基板10の1つの端面10a、10bなどに対し、1つの多孔質弾性体21により膜形成液23aを塗布することになる。そのため、多孔質弾性体21の一端側21aの端面21aa、21abの形状は、それぞれ対応する基板10の端面10a、10bに応じた形状とすることが好ましい。この場合には、基板10の端面10a、10bに対し、より均一な膜形成液23aの塗布を行うことができる。
【0046】
図5には、2組の多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段の間隔が、基板載置台31の中心間間隔の2倍であり、その中間部に1つの基板載置台31が位置している例を示した。ただし、基板載置台31の中心間間隔が狭い場合、基板載置台31の中心間間隔に対し、基板10の大きさが小さい場合などの場合には、2組の多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段の間隔は、基板載置台31の中心間間隔であってもよい。その場合には、隣り合う基板載置台31上の基板10が相互に90°回転した関係となり、膜形成液塗布部20Aが基板10の両側に設けられている場合には、基板10のすべての端面に対して同時に膜形成液23aが塗布されることとなる。
【0047】
膜形成液23aの塗布については、2組の多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段の間隔が、基板載置台31の中心間間隔と同じ場合には、基板送りコンベア32が1ステップ移動する毎に膜形成液23aの塗布を行うこととなる。また、2組の多孔質弾性体21、及び膜形成液槽23などの膜形成液供給手段の間隔が、基板載置台31の中心間間隔の2倍の場合には、基板送りコンベア32が2ステップ移動する毎に膜形成液23aの塗布を行うこととなる。
【0048】
膜形成液塗布部20、20Aのいずれにおいても、基板10の回転、すなわち、基板載置台31の基板受け31aの回転については、次のとおりである。
基板セット部60において、基板トレイ搬送コンベア52上の基板トレイ51から、ピックアップロボットなどの手段により、基板10を基板送りコンベア32上の基板載置台31に移し替える際には、基板10を交互に90°回転させることなく、同じ方向に並べ、その後並んで位置する基板10の一方を90°回転させてゆく方法が採用される。
例えば、膜形成液塗布部20に同じ方向に並んで送られてくる基板10の向きを、膜形成液塗布部20で、下流側に位置した段階の基板10のみを基板主面において90°回転させる、すなわち、下流側に位置する段階の基板載置台31の基板受け31a(図6参照)を90°回転させる。
基板受け31aを90°回転させるには、磁石を利用する方法が簡単、かつ有効である。
【0049】
図6は、実施の形態に係る塗布装置における基板載置台の一例を示す斜視図であり、基板載置台が基板送りコンベアに固定された状態を示している。なお、図6では、基板が基板載置台に載置されている状態から一部基板が基板載置台から取り出された状態が示されている。
基板載置台31は、基板送りコンベア32の移動とともに移動する固定台33に中心軸36が固定され、中心軸36を中心に回転する回転軸34に基板受け31aが固定された構造となっている。そのため、基板載置台31の基板受け31aは、中心軸36を中心に回転するようになっている。また、回転軸34の外面には、少なくとも1個の回転軸磁石35が取り付けられている。
さらに、基板載置台31上の基板10に膜形成液23aを塗布する位置には、基板載置台31の回転軸磁石35に対向する位置に固定磁石24(図7参照)が設けられている。この固定磁石24は、塗布装置1の架台等に固定されている。
【0050】
図7は、実施の形態に係る塗布装置において、基板載置台の基板受けを磁石により90°回転させることを説明するための平面図であり、(a)は上流側の1つの基板載置台が膜形成液塗布部の塗布位置に到達した状態、(b)は2つの基板載置台が、それぞれ膜形成液塗布部の塗布位置に到達した状態を示している。なお、図7では、連続して並んで移動してくる複数の基板のうち、隣り合う2つの基板のみを図示している。
【0051】
膜形成液塗布部20には、膜形成液23aを塗布する上流側の塗布部の中心で、基板載置台31の回転軸34aに対向する位置である塗布中心線位置P1に、固定磁石24が設けられている。それぞれの基板載置台31の回転軸34a、34bの側部には、回転軸磁石35が固定されている。ここで、例えば、固定磁石24の表面側(回転軸34a、34b側)の面がN極の場合、回転軸34a、34bの回転軸磁石35の表面側がS極となっている。
なお、図7には、回転が分かりやすいように、回転軸34a、34bの横断面形状を四角形で示しているが、回転軸34a、34bの横断面形状は、円形などその他の形状であってもよい。
【0052】
図7(a)に示したように、基板載置台31が移動し、回転軸34aの中心が塗布中心線位置P2に到達した場合、固定磁石24、回転軸磁石35間には引力がほとんど生じないため、回転軸34aには回転が生じない。
次に1ステップ移動し、基板載置台31の回転軸34aの中心が塗布中心線位置P1に到達し、回転軸34bの中心が塗布中心線位置P2に到達した場合、すなわち、回転軸34aが固定磁石24に対向する位置に到達すると、図7(b)に示したように、固定磁石24と回転軸磁石35間に大きな引力が作用し、この引力の作用により、固定磁石24と回転軸磁石35とが最も近づき正対する関係となる。
【0053】
この時、回転軸34aは、基板載置台31が膜形成液塗布部20の塗布中心線位置P2位置に位置した状態に対し、中心軸回りに90°回転した状態となる。
一方、塗布中心線位置P2に位置する回転軸34bは、固定磁石24の影響をほとんど受けないので、回転することなく搬送されてきた状態に維持される。
すなわち、基板載置台31上の基板10は、塗布中心線位置P1の位置では、搬送されてきた状態から90°回転した状態、塗布中心線位置P2の位置では、回転していない搬送されてきた状態に維持される。
【0054】
このような仕組みにより、膜形成液塗布部20において並んで位置する2つの基板10の各外周縁の端面10a、10bは、相互に90°回転した関係となる。
各ステップで基板載置台31が塗布中心線位置P1に到達した際に、固定磁石24と回転軸磁石35とが正対した位置で停止する。この停止の間に、2つの基板10の端面10a、10bに対し、膜形成液23aが塗布される。
このため、例えば、回転軸34aに固定された基板受け31a上の基板10の場合には、塗布中心線位置P2で、基板10の両側の膜形成液塗布部20により端面10aに膜形成液23aが塗布され、1ステップ移動した塗布中心線位置P1で、90°回転した基板10の両側の端面10bに膜形成液23aが塗布される(図3図4参照)。その結果、1ステップ移動するだけで基板10のすべての端面10a、10bに膜形成液23aが塗布されることになる。
なお、基板載置台31の中心間の間隔、図7では塗布中心線位置P1、P2の間隔は、2つの基板10の端面10aと10bの長さ、及び2つの基板10間の離間した部分の幅d(図3図4参照)を加算した値となる。
【0055】
図8は、実施の形態に係る塗布装置において、基板載置台上の基板を磁石により90°回転させる別の例を説明するための平面図であり、(a)は1つの基板載置台が膜形成液塗布部の上流側の塗布位置に到達した状態、(b)は1つの基板載置台が膜形成液塗布部の2つの塗布位置の中間に位置した状態、(c)は2つの基板載置台が、それぞれ膜形成液塗布部の塗布位置に到達した状態を示している。
【0056】
膜形成液塗布部20には、膜形成液23aを塗布する2つの塗布部のそれぞれの塗布中心線位置P1、P2で、基板載置台31の回転軸34a、34bに対向する位置に、固定磁石24a、24bが設けられている。隣り合う2つの基板載置台31の回転軸34a、34bの側部には、回転中心に対し90°の関係で2つの回転軸磁石35a、35bが固定されている。ここで、例えば、固定磁石24a、24bの表面側(回転軸34a、34b側)の面がN極の場合、回転軸磁石35a、35bの表面側がS極となっている。
なお、図8には、回転が分かりやすいように、回転軸34a、34bなどの横断面形状を四角形で示しているが、回転軸の横断面形状は、円形などその他の形状であってもよい。
【0057】
図8(a)に示したように、基板載置台31が移動し、回転軸34aの中心が固定磁石24bに対向する位置に到達すると、固定磁石24bと回転軸磁石35a間の引力により、固定磁石24bと回転軸磁石35aとが正対する関係となる。
さらに基板載置台31が移動し、固定磁石24aと固定磁石24bとの中間に到達すると、図8(b)に示したように、回転軸34aには、固定磁石24aと回転軸磁石35b間の引力、固定磁石24bと回転軸磁石35a間の引力により左回りの回転が生じ、回転軸34aがほぼ45°回転した状態となる。また、次の基板載置台31が固定磁石24bに近付くと、回転軸34bが、固定磁石24bと回転軸磁石35a間の引力により、回転軸34bに右回りの回転が生じる。
【0058】
さらに基板載置台31が下流側に移動し、膜形成液塗布部20のそれぞれの基板10の塗布中心線位置P1、P2に到達すると、図8(c)に示したように、固定磁石24aと回転軸磁石35b、固定磁石24bと回転軸磁石35aとが正対した位置となる。
この時、回転軸34aは90°回転した状態、回転軸34bは回転していない右回り回転前の状態となる。
すなわち、基板載置台31上の基板10は、固定磁石24aの位置では、搬送されてきた状態から90°回転した状態、固定磁石24bの位置では、回転していない搬送されてきた状態に維持される。
このような仕組みにより、膜形成液塗布部20において並んで位置する2つの基板載置台31上の基板10の各外周縁の端面10a、10bは、相互に90°回転した関係となる。
【0059】
上記したように、固定磁石24bの位置、塗布中心線位置P2では回転軸34bは回転しておらず、固定磁石24aの位置、塗布中心線位置P1では回転軸34aは90°回転した状態となる。
塗布中心線位置P1、P2の2ヵ所に固定磁石24a、24bを設け、基板載置台31の回転軸34a、34bに2つの磁石を設けた場合には、塗布中心線位置P1、P2のそれぞれの位置で、固定磁石24a、24bと回転軸磁石35b、35aとの両方の間に引力が作用した状態で基板載置台31が停止するので、安定した停止状態を得ることができる。
【0060】
基板載置台31は、基板送り部30で周回移動して使用される。従って、基板載置台31の進行方向の向きは、常に同じであることが好ましい。
一方、図8(c)に示したように、回転軸34a、34bにおける回転軸磁石35a、35bの位置は、固定磁石24bに到達する前と固定磁石24aを通過した後とでは、左回りに90°回転した関係となっている。固定磁石24aを通過した後、回転軸34a、34bを固定磁石24bに到達する前の状態に戻す修正を行うためには、例えば、固定磁石24aの下流側、又は固定磁石24bの上流側に、表面側がN極の固定磁石を配置しておけばよい。
【0061】
ただし、回転修正後、回転軸34a、34bは引力の作用により、左回りにやや回転した状態となるので、基板載置台31が基板送り方向に平行になるように修正する手段を設けておくことが好ましい。特に、基板セット部60において、基板10を基板載置台31に載置する前に、基板載置台31の基板受け31aが基板送りコンベア32の進行方向に向きを揃えて並んでいることが好ましい。そのためには、基板載置台31の基板受け31aに基板10が載置される前の段階で、基板受け整列用のガイドなどを設けることにより、基板受け31aの整列を行うことが好ましい。また、基板送りコンベア32がステップ移動する際に、基板受け31aが振動などにより整列状態が乱れないように、基板受け31aの回転には、ある程度の抵抗を持たせることが好ましい。
【0062】
固定磁石24aと回転軸34a、34bとの間隔がどのような場合であっても、図8を参照して説明したことから明らかなように、固定磁石24aの位置では、回転軸を90°回転させた状態とすることができる。
【0063】
図8に示した例の場合、基板載置台31の各回転軸34a、34bの中心軸36に対し90°の関係で回転軸磁石35a、35bが設けられているが、中心軸36に対し90°の関係で4つの磁石を設けてもよい。
その他、磁石の利用については、斥力の利用、磁石の磁力と磁石間の距離、基板の大きさ、形状などを考慮し、最適な利用条件を選択することが好ましい。
基板載置台31の回転に対する磁石の利用は、安価で簡単な装置構成で、的確な作用を得ることができるので、極めて有効である。
【0064】
図9は、実施の形態に係る塗布装置における膜形成液乾燥硬化部を示す斜視図である。膜形成液乾燥硬化部40は、膜形成液塗布部20、20Aと基板取り出し部70との間に設けられる。
基板10には、膜形成液塗布部20、20Aで、基板10の端面10a、10bに膜形成液23aが塗布される。その後、基板10は、ステップ移動する基板送りコンベア32により、膜形成液乾燥硬化部40に送られ、この膜形成液乾燥硬化部40で、基板10の端面10a、10bに塗布された膜形成液23aが乾燥硬化される。特に、基板送りコンベア32がステップ移動するので、膜形成液乾燥硬化部40においても短時間ではあるが停止する時間があり、その間に、基板10の端面10a、10bに塗布された膜形成液23aを効果的に乾燥硬化させることができる。
膜形成液乾燥硬化部40では、膜形成液23aの特性に応じてUV光の照射、加熱などにより膜形成液23aの乾燥硬化を行う。UV光を照射する場合には、遮蔽用カバー41の内部にUV光を照射するランプが取り付けられた照射部、UV光の発生調整部、照射位置調整部などが設けられる。なお、照射部は、膜形成液23aが塗布された基板10の端面10a、10bに対向して配置される。
【0065】
膜形成液23aがUV光乾燥硬化型の場合、塗布された膜形成液23aは、通常、秒単位で乾燥硬化する。そのため、基板10に膜形成液23aが塗布された後、次の基板10に膜形成液23aが塗布されるまでの間、すなわち、基板送り部30の基板送りコンベア32が1ステップ移動した後、次のステップに移るまでの間、UV光を照射することにより、容易に膜形成液23aを乾燥硬化させることができる。
【0066】
膜形成液23aが電子線硬化型の場合には、膜形成液乾燥硬化部40内に設けられた照射部から電子線が照射されるように構成する。
また、膜形成液23aが熱乾燥硬化型の場合には、膜形成液乾燥硬化部40において、熱線を照射する方法、または膜形成液乾燥硬化部40内を加熱雰囲気とする方法が採用される。
【0067】
このほか、膜形成液23aの層厚が厚く、膜形成液23aの乾燥硬化に時間を要する場合には、塗布装置1で膜形成液23aを乾燥硬化させるのではなく、別の乾燥場所、乾燥硬化装置で乾燥硬化させてもよい。その場合には、基板取り出し部70において、基板送りコンベア32の基板載置台31から膜形成液23aが塗布された状態の基板10を基板トレイ51に移し替える。次に、塗布装置1以外の別の乾燥場所あるいは乾燥硬化装置に移し、複数の基板トレイ51内の複数の基板10を一括して時間をかけて、乾燥硬化を行わせる。
乾燥硬化を別の場所・装置で行う方法は、厚い塗膜を形成したい場合、膜形成液23aが乾燥硬化しにくいタイプの場合などに好適であり、多数の基板10が収納された複数の基板トレイ51を一括して、効率良く処理することが可能となる。
【0068】
膜形成液乾燥硬化部40を覆う遮蔽用カバー41は、隣接する膜形成液塗布部20、20Aに位置する基板などに、UV光、熱などの影響が及ばないようにする機能を有している。遮蔽機能を有するカバーにより、基板10の端面10a、10bには、良質な膜が形成されることとなる。
遮蔽用カバー41の構成材料としては、特に、UV遮光性、耐熱性のあるプラスチックが好適である。また、UV遮光性が十分でない材料の場合には、UV光カットフィルムを張り合わせて用いてもよい。
【0069】
実施の形態に係る塗布装置1による膜形成液23aの塗布の対象となる基板10のサイズは、例えば縦横10~60mm、基板トレイ51に収納される基板10の枚数は、例えば2枚~50枚、膜形成液塗布部20、20Aで膜形成液23aの塗布に要する時間は、例えば1秒~10秒程度である。
【0070】
基板10は、全体的形状がほぼ四角形であり、四角形の4つの辺、すなわち端面10a、10bが、すべて同じ形状の場合もあれば、それぞれの端面10a、10bの形状がすべて異なる場合もある。本発明の実施の形態に係る塗布装置1の場合には、膜形成液23aの塗布に、多孔質弾性体21が用いられるので、基板10の各端面10a、10bの形状が異なる場合、端面10a、10bが直線状ではなく、ある程度の凹凸などがある場合でも、それぞれの端面10a、10bにほぼ均一な厚さで膜形成液23aを塗布することができる。
【0071】
塗布対象となる基板は、プリント配線基板(片面、両面、多層、ビルドアップ基板を含む)に限定されるものではなく、金属基板、パッケージ基板(銅張積層基板)、セラミック基板、フレキシブル基板など、各種の電子部品が搭載される電子回路基板も塗布対象となる。
さらに、チップなどの電子部品が搭載済みの基板も塗布対象とすることができる。
【0072】
上記した実施の形態に係る塗布装置1によれば、ステップ移動する基板送りコンベア32上の基板載置台31上の基板10の4つの端面10a、10bに対し、膜形成液23aを含む多孔質弾性体21の端面21aa、21abを接触させることにより膜形成液23aを塗布することができる。緻密な気孔を有する多孔質弾性体21を用いることができるので、基板10の端面10a、10bに、均一な厚さで膜形成液23aを塗布することができる。
そのために、基板10の各端面10a、10bからの塵埃等の発生を容易に阻止することができる。従って、基板製品の品質を向上させることができるとともに、塵埃による製造設備の汚染も防止することができ、これにより不良製品の発生率を大幅に減らすことができる。
【0073】
また、1回又は2回のステップ移動の間に基板10の4つの端面10a、10bのすべてに膜形成液23aを塗布することもできるので、膜形成液23aを効率良く、精度良く、塗布することが可能である。さらに、それぞれのステップ移動の間、すなわち、膜形成液23aの塗布のための停止の間に、塗布後の膜形成液23aの乾燥硬化を行うことができる。従って、確実に乾燥硬化された塗膜が得られ、この点からも基板10の各端面10a、10bからの塵埃の発生を防止することができる良質な塗膜を得ることができる。
【0074】
基板10の小型化が進んだ場合、基板10の各端面10a、10bに多少の凹凸などがある場合でも、基板10の端面10a、10bに、膜形成液23aを含む多孔質弾性体21を軽く押圧する程度の接触により、短時間に膜形成液23aを塗布することができる。1回の接触、言い換えればスタンプで複数の基板10の端面10a、10b、複数の基板10の両側の端面10a、10bに対する膜形成液23aの塗布が可能であり、基板10の小型化への対応も容易である。
【0075】
また、塗布装置1の構成や動作の機構が単純であり、設備費が安く、メンテナンスや操業が容易である。そのために、安定した操業が可能であるとともに、膜形成液23aの塗布コストを低く抑えることができるという利点がある。
【0076】
また、上記した実施の形態に係る塗布装置1の場合、基板トレイ搬送コンベア52上に基板トレイ51から基板送り部30の基板送りコンベア32上の基板載置台31への基板10の移し替え、膜形成液塗布部20、20Aへの基板10の送り込み、膜形成液塗布部20、20Aでの膜形成液23aの塗布、膜形成液乾燥硬化部40での膜形成液23aの乾燥硬化、基板取り出し部70での基板載置台31上の基板10の基板トレイ搬送コンベア52上の基板トレイ51への基板10の移し替えが、一連の流れの中で完了するので、作業効率を極めて高いものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、プリント配線基板、金属基板、パッケージ基板、ガラス基板等の各種基板を取り扱う電子機器産業等の分野において幅広い利用が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 塗布装置
10 基板
10a、10b 端面
20、20A 膜形成液塗布部
21 多孔質弾性体
21a 一端側
21aa、21ab 端面
21b 他端側
22 進退駆動手段
22a 駆動装置
22b 多孔質弾性体支持アーム
22c 駆動装置支持フレーム
23 膜形成液槽
23a 膜形成液
24、24a、24b 固定磁石
30 基板送り部
31 基板載置台
31a 基板受け
32 基板送りコンベア
33 固定台
34、34a、34b 回転軸
35、35a、35b 回転軸磁石
36 中心軸
40 膜形成液乾燥硬化部
41 遮蔽用カバー
50 基板トレイ移送部
51 基板トレイ
52 基板トレイ搬送コンベア
60 基板セット部
61、71 移し替え手段
70 基板取り出し部
P1、P2 塗布中心線位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9