(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】採血業務補助システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20220804BHJP
G16H 30/40 20180101ALI20220804BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H30/40
(21)【出願番号】P 2017150037
(22)【出願日】2017-08-02
【審査請求日】2020-07-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖
(72)【発明者】
【氏名】高橋 依里
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-015982(JP,A)
【文献】特開2011-139731(JP,A)
【文献】特開2017-059076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313294(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採血業務を補助するための情報を表示可能なモニタを備えた少なくとも一つの採血業務補助端末と、
前記採血業務補助端末に、採血業務を補助するための情報を表示させる制御装置とを備えた
採血業務補助システムであって、
前記制御装置が、
少なくとも一つの採血部位サンプル画像を記憶し、
実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況に関する採血状況情報とを関連付けして記憶すると共に、
少なくとも一つの採血業務補助端末に、前記穿刺部位情報を含む前記採血部位サンプル画像と、前記穿刺部位情報に関連付けした前記採血状況情報とを表示すると共に、前記穿刺部位情報と前記採血状況情報との関連付けが視覚的に分かるように前記穿刺部位情報と前記採血状況情報とを前記採血業務補助端末に表示するように構成され、かつ、
前記制御装置が、
同一患者に関する
過去の複数回の穿刺部位情報及び採血状況情報を個別に記憶し、
これら個別に記憶した
過去の複数回分の穿刺部位情報及び採血状況情報を、一つのサンプル画像上に重ねて表示することができるように構成されている
ことを特徴とする採血業務補助システム。
【請求項2】
前記穿刺部位情報が、採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報の何れかである
ことを特徴とする請求項1に記載の採血業務補助システム。
【請求項3】
前記採血状況情報が、採血担当者名、採血時間、採血日時、採血本数、採血容器名、使用針、腫れ痛み穿刺回数、穿刺器具又は血管状態の何れか一つである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採血業務補助システム。
【請求項4】
前記採血業務補助端末が、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況とを入力する入力インターフェイスを備えている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の採血業務補助システム。
【請求項5】
前記採血部位サンプル画像が、採血される患者の腕等の採血部位を撮影した写真である
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の採血業務補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で採血作業者が行う採血業務を補助するための採血業務補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、健康診断やその他の検査のために医療の現場では採血が頻繁に行なわれる。
血液は患者の静脈から採取されるため、採血時には、採血針を静脈に正確に穿刺する必要がある。穿刺は、患者の身体の穿刺部位(例えば、肘正中)より上方(心臓側)に駆血帯を巻き付けて静脈を怒張・固定させ、採血作業者が、穿刺すべき静脈を目視及び触診によって選択して行なう。
しかし、血管の太さは患者によって異なる上に、体表からよく見える静脈が必ずしも太いとは限らない等、穿刺すべき静脈の選択は患者毎に異なるため非常に難しく、熟練を要する。患者によっては、熟練者であっても、血管の位置を体表から目視及び触診では確認することが困難な者もいる。
穿刺すべき静脈の選択を誤ると、針が血管に刺さらなかったり、細い静脈を傷つけて内出血を起こさせてしまうという問題がある。そしてなにより、針を何回も患者の身体に刺すことは、患者に何度も痛みを与えるので問題である。
このような問題を解決して穿刺の成功率を高めるために、近赤外線を患者の穿刺部位の皮膚表面に照射して、その反射パターンから静脈の走行を探知して穿刺部位の静脈走行パターン画像を作成し、該静脈走行パターン画像に対応する採血成功部位及び採血失敗部位に関する情報を患者ID等に関連付けして記憶し、表示できるように構成した採血業務補助システムを既に提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の採血業務補助システムは、患者の腕に近赤外線を照射して反射パターンから静脈走行パターン画像を作成し、その画像に採血成功部位及び採血失敗部位を表示できるように構成されているので、患者毎に異なる静脈走行パターンを正確に再現することができ、採血成功部位及び採血失敗部位を正確に知ることが可能になるという効果を奏する。
しかし、実際に、患者から採血をする時に、以前の採血成功部位及び採血失敗部位が分かるだけでは情報としては十分ではない。具体的には、例えば、採血失敗部位が分かっても、その失敗をした採血作業者が、熟練者であるか、初心者であるかによって意味が全く異なる。また、採血成功部位についても、それが熟練していない採血作業者による情報だとすると、他にもっと穿刺に適した部位があるかもしれないし、逆にそれが熟練した採血作業者による情報だとすると、初心者には穿刺が難しい部位であることもある。
さらに、採血成功部位であっても採血時間が他の比べて長ければ何等かの問題が発生していた可能性もある。
また、採血時に必要な情報は、採血成功部位や採血失敗部位に関する情報だけではなく、例えば、その患者が採血前の消毒用アルコールにアレルギー反応を起こしたことがあるとか、採血後にあるテープにより皮膚がかぶれたことがある等の情報も非常に有効な情報として使用可能である。
上記したように、従来の採血補助装置は、採血業務を補助する上で必要な情報がまだまだ足りてなく、十分な補助ができるとはいえなかった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて、採血作業時に採血患者を最大限に補助することが可能な採血業務補助システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る採血業務補助システムは、採血業務を補助するための情報を表示可能なモニタを備えた少なくとも一つの採血業務補助端末と、前記採血業務補助端末に、採血業務を補助するための情報を表示させる制御装置とを備えた採血業務補助システムであって、前記制御装置が、少なくとも一つの採血部位サンプル画像を記憶し、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況に関する情報とを関連付けして記憶すると共に、少なくとも一つの採血業務補助端末に、前記穿刺部位情報を含む前記採血部位サンプル画像と、前記穿刺部位情報に関連付けした前記採血状況情報とを表示すると共に、前記穿刺部位情報と前記採血状況情報との関連が視覚的に分かるように前記穿刺部位情報と前記採血状況情報とを前記採血業務補助端末に表示するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記制御装置は、同一患者に関する複数回の穿刺部位情報及び採血状況情報を個別に記憶し、これら個別に記憶した複数回分の穿刺部位情報及び採血情報情報を、一つのサンプル画像上に重ねて表示することができるように構成され得る。
前記穿刺部位情報は、具体的には、採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報の何れかであり得る。
前記採血状況情報は、具体的には、採血担当者名、採血時間、採血日時、採血本数、採血容器名、使用針、腫れ痛み、穿刺回数、穿刺器具又は血管状態の何れか一つであり得る。
好ましくは、前記採血業務補助端末が、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況とを入力する入力インターフェイスを有し得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る採血業務補助システムは、採血業務を補助するための情報を表示可能なモニタを備えた少なくとも一つの採血業務補助端末と、前記採血業務補助端末に、採血業務を補助するための情報を表示させる制御装置とを備えた採血業務補助システムであって、前記制御装置が、少なくとも一つの採血部位サンプル画像を記憶し、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況に関する情報とを関連付けして記憶すると共に、少なくとも一つの採血業務補助端末に、前記穿刺部位情報を含む前記採血部位サンプル画像と、前記穿刺部位情報に関連付けした前記採血状況情報とを表示すると共に、前記穿刺部位情報と前記採血状況情報との関連付けが視覚的に分かるように前記穿刺部位情報と前記採血状況情報とを前記採血業務補助端末に表示するように構成されているので、単に過去に穿刺した部位を表示するだけでなく、誰が採血を行ったか、又は、何度同じ場所に穿刺したか等、その時の採血の状況を穿刺した部位と視覚的に関連が分かるように関連付けして表示することができ、その結果、より採血のための穿刺に適した静脈の選択及び穿刺部位を選択することが可能になり、採血の成功率があがり、患者への負担が減る。
前記制御装置を、同一患者に関する複数回の穿刺部位情報及び採血状況情報を個別に記憶し、これら個別に記憶した複数回分の穿刺部位情報及び採血情報情報を、一つのサンプル画像上に重ねて表示することができるように構成することで、過去の採血に使用した穿刺部位を直感的に理解することが可能になる。
また本発明に係る採血業務補助システムによれば、実際の穿刺部位と採血状況情報とを関連付けして記憶して表示するので、患者単位ではなく、患者の血管単位での採血状況情報の管理が可能になり、より正確な穿刺部位の選択が可能になる。
さらにまた、採血状況情報を記録することで、採血後に溶血等が発生した場合も採血状況や使用器具の情報を後追いすることが可能となる。また、登録した採血状況情報は、次回採血時の補助に使用する以外にも、例えば、痛み等が発生した際には、採血状況(採血者・採血部位)の確認に使用することができ、また、溶血が生じた際には、使用針と溶血の因果関係の解明にも使用できる。
前記穿刺部位情報として、具体的には、採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報の何れかを記録して表示することで、例えば、採血状況に応じて熟練者が失敗した採血失敗部位であれば、その部位は採血に適していないことは明らかであるものの、初心者が失敗した採血失敗部位であれば、採血担当者によっては採血可能である可能性もあり、また、場合によっては採血し易い部位である可能性もあり、このような可能性を知ることで採血のために穿刺することが可能な部位をやみくもに狭めることがなくなる。
前記採血業務補助端末に、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位を前記採血部位サンプル画像上で特定した穿刺部位情報と、前記穿刺部位に対応する実際の採血の採血状況とを入力する入力インターフェイスを設けることで、例えば、採血業務補助端末を使用して採血を行う採血担当者が、その場で、実際の採血結果に基づく患者に対する穿刺部位等の情報を入力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る採血業務補助システムの概略ブロック図である。
【
図3】採血カルテに用いるチェック項目の一例を示す表である。
【
図6】採血部位及び採血状況情報の入力及び登録画面の一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示す一実施例を参照しながら、本発明に係る採血業務補助システムの実施の形態について説明していく。
図1は、本発明に係る採血業務補助システムの概略ブロック図である。
図面に示すように、この実施例では、採血業務補助システム1は、採血受付装置2、採血管自動準備装置3、採血業務補助端末4、患者呼出装置5及びサーバ6並びにサーバ6のデータを使用して各装置を制御する制御装置7を備えている。
採血業務補助端末4は、
図1に示すように採血台の数に合わせて複数台設けられ、採血台毎に設置される。
患者が自分の診察券を使って採血受付装置2で採血の受付を行うと、
採血受付装置2は、診察券から患者の患者ID番号を読み取り、該患者ID番号を制御装置7へ送る。制御装置7は、該患者ID番号に対応する患者に対する医師からの採血指示情報をサーバ6から取得して採血整理番号を発番する。尚、この時、患者ID番号に対応する患者に対する採血指示情報がない場合には採血整理番号は発番しない。
制御装置7は、採血整理番号及び患者ID番号を関連付けして記憶し、採血受付装置2に、少なくとも採血整理番号、好ましくは、これに加えて患者ID番号が印字された採血整理券を発行させる。前記採血整理券には、好ましくは、採血整理番号が数字及びバーコードの形態で印字されている。
同時に、制御装置7は、前記採血指示情報及び前記採血整理番号を採血管自動準備装置3に送る
採血管自動準備装置3は、制御装置7から受け取った採血指示情報に基づいて、その患者の検査に必要な採血管を、採血管収容部から自動的に選択して取り出すと共に、取り出した採血管に患者ID番号又は採血番号等の識別情報を印字及び/又は記憶させたラベルを貼り付け、ラベル貼付後の採血管を患者単位でトレイ等に収容する。この時、同時に、医師からの採血指示情報を印字した採血指示書も発行して、対応する患者の採血管を収容したトレイに採血指示書も入れる。この採血指示書には、採血整理番号が、好ましくは、数字に加えてバーコードの形態で印字されている。
【0009】
制御装置7は、採血受付が完了し、かつ、未だ採血が終わっていない患者に関する情報を、自己の記憶装置又はサーバ6から読み出し呼出リストを作成し、各採血業務補助端末に、前記呼出リストを表示させる。
図2は、呼出リストの一例を示す図である。
図面に示すように、制御装置7は、採血受付が完了した患者毎に下記の情報を自己の記憶装置又はサーバーから読み出して呼出リストを作成する。
・付加(付加情報)
・発行(採血管自動準備装置による採血管の発行の有無)
・整理番号(採血整理番号)
・患者名
・年齢
・注意事項
・採血カルテ
・性別
・採血本数
・前回採血日
・待ち時間
・尿(尿検査の有無及び実施状況)
上記呼出リストの項目の中の「付加」は、付加情報を表し、具体的には、例えば、
患者が呼出に応じない等の何等かの理由で保留になっている「保留情報」、
その患者が採血が難しい患者であることを表す「難採血情報」、
糖尿病に関連する「負荷検査情報」、
準備した採血管が複数トレイにわたっていることを表す「複数トレイ情報」等が
含まれる。
図示実施例では、保留情報は「保」と、難採血情報は「難」と、負荷検査情報は「負」と、そして、複数採血情報は「複」と表示されている。
尚、これら付加情報は、この採血業務補助システムを使用する施設毎に任意に決められ得る。
呼出リストの項目の中の「発行」は、採血管自動準備装置による採血管の発行の有無を表しており、採血管自動準備装置によって採血管の準備が完了している場合には「○」が表示される。
呼出リストの項目の中の「整理番号」は、前記採血受付装置2が発行した採血整理券に印字されている採血整理番号である。
前記呼出リストの項目の中の「注意事項」は、患者が車椅子を使用していることや、採血時の消毒にアルコールを使えない患者であることや、採血後の止血テープでかぶれたことがある患者であること等の注意事項が表示される。
このように注意事項を事前に表示することができるようにすることで、例えば、車椅子を使用している患者の場合には、車椅子が入り易い採血台に誘導すること等が可能になる。
前記呼出リストの項目の中の「採血カルテ」は、採血に関連するチェック項目を予め決めて置き、該当する患者の基本情報や前回の採血に関する情報に基づいて前記チェック項目に該当するか否かのチェックを行い、該当するチェック項目について表示をするものです。
図3は、採血カルテに用いるチェック項目の一例を示す表である。この例では、基本採血情報として患者年齢が設定値未満であるか否かのチェックを行い、設定値未満の場合には採血カルテの欄に「年」を表示する。設定値は施設毎に選択することができる。
また、この例では、過去の採血情報として、
・平均採血時間が規定値以上か否か、
・過去に、採血作業者が途中で交代した記録があるか否か、
・穿刺部位に、採血困難部位情報が含まれているか否か、そして、
・過去の採血情報の中に、施設が採血困難と設定する条件に該当する情報が含まれているか否か、具体的には、例えば、採血前後に腫れや痛みがあるか否か、血管状態が硬くて脆いか否か、そして、血液流量が弱いか否か等がチェックされ、それぞれ、チェック結果が該当する場合には、「平」「交」「部」及び「詳」の語が採血カルテの欄に表示される。
さらに、この例では、患者情報として、電子カルテの患者コメント欄に、施設が採血に注意を要すると設定するコメントが含まれているか否かがチェックされ、そのようなコメントが含まれている場合には「コ」の語が採血カルテ欄に表示される。
上記した様々な設定は、該システムを導入する施設が任意に設定することができる。
上記した呼出リストを表示する各採血業務補助端末4は、この呼出リストを使用して採血待ちの患者の呼出しをすることができるように構成されている。
具体的には、呼び出すべき患者を呼出リストから選択した後、「呼出」ボタンを押すことで、該当する患者の整理番号が、採血待合室にあるモニター及び/又は各採血台の前にある表示板等の患者呼出装置5に表示される。
呼出リストからの患者の選択や「呼出」ボタンの入力は、例えば、モニタがタッチパネル式であれば直接触れることによって選択や入力がされ、タッチパネル式でない場合にはマウス等を用いて操作され得る。
【0010】
この実施例では、採血担当者が、
図2に示した呼出リストから患者を選択して「呼出」ボタンを押すと、制御装置7は、患者呼出装置5(待合室に設けられている場合もあるし、個々の採血業務補助端末4に設けられている場合もある)に呼び出した患者の整理番号を表示させる。
また、制御装置7は、採血担当者が呼出リストから患者を選択して「呼出」ボタンを押すと、その採血担当者の採血業務補助端末4の画面を採血補助画面に切り替える。
図4は採血補助画面の画面の一例を示す図である。
制御装置7は、採血業務補助端末4で選択された患者に対応する過去の穿刺部位情報及び前記穿刺部位情報に対応する採血状況情報を自己の記憶装置又はサーバーから読み出し、これらの情報を、当該採血業務補助端末4に表示する。
前記穿刺部位情報には、採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報に加えて、必要に応じて穿刺方向情報が含まれており、また、
前記採血状況情報には、例えば、採血担当者名、採血時間、採血日時、採血本数、採血容器名、使用針、腫れ痛み、血管状態が含まれている。
制御装置7は、全ての日又は予め決められた日数の穿刺部位情報及び全部又は一部の採血状況情報を、視覚的に関連が分かるように関連付けして採血情報補助端末4に表示する。
制御装置7は、過去の穿刺部位情報を、予め記憶した患者の腕を模した採血部位サンプル画像に関連付けして記憶している。
前記サンプル画像は、実際の患者の腕等の採血部位を撮影した写真であってもよいし、写真以外の図面等であってもよい。
そして、制御装置7は、
図4に示すように、全ての日又は予め決められた日数の穿刺部位情報を日付の違いが分かるように、前記採血部位サンプル画像上に重ねて表示する。このように複数の過去の穿刺部位情報を一つの採血部位サンプル画像上に重ねて表示することで、過去の採血に使用した穿刺部位を直感的に理解することが可能になる。
図4の実施例では、過去4日分(2016年12月20日、2017年1月20日、2017年2月20日及び2017年3月20日)の穿刺部位情報が制御装置7に記憶されており、従って、4つの穿刺部位情報が前記採血部位サンプル画像に日付毎に異なる色で重ねて表示される。図面は白黒で表されているため色の違いが分からないが、具体的には、例えば、2016年12月20日の採血部位が「青色」、2017年1月20日の採血部位が「赤色」、2017年2月20日の採血部位が「緑色」、そして2017年3月20日付けの採血部位が「オレンジ色」で表示され得る。
また、制御装置7は、採血部位サンプル画像と同じ画面に採血状況情報を表示させる。この時、制御装置7は、採血部位サンプル画像に表示された穿刺部位情報と、採血状況情報との関係が一目で分かるように各情報を採血業務補助端末に表示させる。
図4の実施例では、採血部位サンプル画像の横に、採血状況情報の一部(採血日、採血担当者及び採血時間)が同時に表示されるように構成されている。
図示実施例では、2016年12月20日、2017年1月20日、2017年2月20日及び2017年3月20日の各採血日の担当者及び採血時間が表の形式で表示されており、各レコードのセルは採血部位を表示するために用いられた色と同じ色で塗りつぶされ得る。具体的には、2016年12月20日の採血状状況情報は、「青色」の表に表示され、2017年1月20日の採血状状況情報は「赤色」の表に表示され、2017年2月20日の採血状状況情報は「緑色」の表に表示され、そして2017年3月20日付けの採血状状況情報は「オレンジ色」の表に表示される。
これにより、採血技師は、一目で過去の採血部位とその採血部位で採血をした担当技師及び採血に要した時間を把握することが可能になる。
上記した視覚上の関連付けは、任意の方法で行うことができ、例えば、採血部位を記号、数字、又は特殊な図形で表示し、対応する採血状況情報の横に対応する記号、数字又は特殊図形を表示するように構成してもよい。また、穿刺部位情報又は採血状況情報の何れか一方を選択すると、他方の対応する情報が点滅したり、他方の対応する情報以外の情報が消えたりするように構成してもよい。
尚、この実施例では、採血部位サンプル画像において、○印は採血成功部位を示し、×印は採血失敗部位を示し、星型印は採血が困難な部位を示す。
また、
図4の実施例では、穿刺部位情報(採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報)に加えて、穿刺方向情報が表示されている。この穿刺部位情報は、患者の穿刺部位に針を刺した向きを表す情報であり、
図4では矢印で示されている。穿刺方向情報を表示することで、後の採血時に最適な穿刺方向を知ることが可能になり、より詳細な穿刺情報を得ることが可能になるので、後の採血時に穿刺ミスをする可能性が減る。
また、制御装置7は、上記した情報の他、
図2における注意事項に関する情報、例えば、「消毒用アルコール使用不可」「止血テープかぶれの経験有」等の情報を同時に採血業務補助端末に表示し得る。
さらにまた、制御装置7は、
図2において選択された患者に対応する採血指示情報、整理番号、患者氏名等を同時に対応する採血業務補助端末に表示させる。
また、使用者が
図4に示す画面における「患者詳細」ボタンを押すと、制御装置7は、採血業務補助端末4に、その患者の採血に関するさらに詳細な補助情報を表示させる。
図5は、詳細採血補助画面の画面の一例を示す図である。
図面に示すように、この詳細採血補助画面では、
画面右下に穿刺部位情報(採血成功部位情報、採血失敗部位情報及び採血困難部位情報、並びに穿刺方向情報)が示され、画面の上部には採血状況情報の一部である採血日、採血担当者、採血本数・容器名及び採血時間のリスト(採血状況情報リスト)が表示され、
さらに、画面左下には、採血状況情報の一部である使用針、腫れ痛み、採血者及び血管状態が表示されるように構成されている。
この詳細採血補助画面では、画面上部に示された採血状況情報リストの中から選択した採血日時に対応する穿刺部位情報及び採血補助情報が表示されるように構成されており、これにより穿刺部位情報及び採血補助情報の関連付けが視覚的に分かるように構成されている。図示実施例では、2017年1月20日午前10時に行われた採血についての穿刺部位情報及び採血補助情報が表示されている。
【0011】
採血担当者は、
図2において患者を選択して呼出をした後、呼び出した患者が所定の時間現れない場合には、
図4における「保留」ボタンを押すことで、当該患者の呼出しを保留し、採血業務補助端末の画面は
図2の呼出リストの画面に戻される。
採血業務補助端末には、好ましくは、バーコードリーダが設けられており、呼び出した患者が採血台に現れた場合は、採血担当者は、トレイに入れられた採血指示書に印字された整理番号と、患者の採血整理券に印字された整理番号とをバーコードリーダを用いて読み取って患者照合を行う。
採血業務補助端末は、患者照合が完了した時点で採血時間の測定を開始する。
採血担当者は、採血業務補助端末に表示されている採血補助画面(
図4)及び詳細採血補助画面(
図5)の情報を参照しながら、採血すべき部位及び穿刺方向等を決める。採血補助画面には、過去の穿刺部位情報と、その採血部位で採血をした時の採血状況情報との関係が視覚的に分かるように表示されているので、採血担当者は、自分の技量を考慮して適切な採血部位等を選択することが可能になる。
【0012】
採血終了後、採血担当者が、
図4における「終了」ボタンを押すと、採血業務補助端末は、採血時間の計測を終了する。即ち、この実施例では、患者の照合が終了してから、「終了」ボタンが押されるまでの時間を採血時間として計測する。
この採血時間の計測方法は、本実施例に限定されることなく、任意の時間に設定され得る。例えば、採血担当者が、採血成功部位における実際の採血時間を別途計測し、後で入力するように構成してもよく、また、例えば、
図3における採血補助画面に採血開始ボタンを配置してもよい。
【0013】
採血終了後、採血担当者が、
図4における「終了」ボタンを押すと、採血業務補助端末の画面は、穿刺部位情報及び採血情報情報の入力画面に切り替わる。
図6は、穿刺部位情報及び採血情報情報の入力画面を示している。
図面に示すように、画面には「採血部位サンプル画像」が表示され、採血担当者は、マウス又はタッチパネルを通して、「採血部位サンプル画像」に穿刺部位情報(採血成功部位、採血失敗部位及び採血困難部位)に加えて穿刺方向を入力することができるように構成されている。
また、同時に、この入力画面では、採血状況情報、この実施例の場合は、使用針の種類、患者の腫れ痛みの有無、採血担当者、血管の状態及び血液の流量を入力することができるように構成されている。
この実施例では、採血時間は自動計測されるように構成されているが、必要に応じて、この入力画面で採血時間を入力するように構成してもよい。
また、この実施例では、一人の患者に対する一回の採血業務に対して採血部位を複数マークすることができるように構成されており、各マーク毎に「採血状況情報」を入力して登録することができるように構成されている。
図6の実施例では、「戻る」ボタンと「登録」ボタンとの間に、「次へ」ボタンが配置されており、採血担当者が、穿刺部位情報及び採血状況情報を入力して「次へ」ボタンを押すと、入力画面がクリアされ、次の穿刺部位情報及び採血状況情報の入力が可能になる。
このように、一人の患者の一回の採血業務に対して複数の穿刺部位情報を入力することができるよに構成し、かつ、各穿刺部位情報に対して採血状況情報を登録することができるように構成することで、採血成功部位だけでなく、採血失敗部位についての採血状況を後から知ることができるようになる。また、これにより採血業務を補助する情報を、患者単位だけでなく、患者の血管単位で管理することが可能になり、より正確で効率のよい採血作業を提供することが可能になる。
全ての穿刺部位情報及び採血状況情報の入力が終了した後、
図6の画面における「登録」ボタンが押されると、入力した全ての情報が制御装置7の記憶装置又はサーバー6に記録される。
【0014】
上記した実施例では、サーバー6と制御装置7とは別体に構成されているが、これは本実施例に限定されることなく、制御装置7にサーバー6の機能を持たせるように構成してもよく、また、単に制御装置7の記憶装置をサーバー6として使用してもよい。
さらにまた、上記した実施例では、自動採血受付装置が設けられているが、これは本実施例に限定されることなく、採血受付を手動で行ってもよい。この場合、受付担当者が患者IDを手動で端末に入力し、その入力された患者IDに基づいて採血指示情報の呼出しや、採血整理番号の発番等が行われる。
また、上記した実施例では、採血業務補助システムが、採血管自動準備装置を備えているが、これは本実施例に限定されることなく、採血管自動準備装置は別体に構成してもよい。
また、上記した実施例では、採血受付装置2で受け付けをして採血整理番号を発番すると直ぐに採血管自動準備装置3において採血の準備を始めるように構成されているが、この構成は、本実施例に限定されることなく、例えば、呼出リストにおいて採血担当者が患者を選択した時に、選択された患者に関する情報が採血管自動準備装置に送られ、当該患者の採血管が準備されるように構成してもよい。
さらにまた、採血状況情報の具体的項目は本実施例に限定されることなく、採血担当者が、採血部位等を選択をするのに役立つ情報であれば任意の情報でよく、例えば、穿刺回数や穿刺器具(直針、翼状針等)の項目を使用してもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 採血業務補助システム
2 採血受付装置
3 採血管自動準備装置
4 採血業務補助端末
5 患者呼出装置
6 サーバ
7 制御装置