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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】GAP作業支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20220804BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018007156
(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公開番号】P2019125302
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】513183234
【氏名又は名称】株式会社インプット
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】池本 洋司
(72)【発明者】
【氏名】田原 秀敏
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071499(JP,A)
【文献】特開2015-049864(JP,A)
【文献】特開2011-086208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0239337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者、前記作業者が栽培する栽培商品、前記栽培商品の栽培における作業を表す作業名、前記作業名における前記作業を行う作業日、及び前記栽培商品を栽培する圃場情報を登録する栽培計画データベースと、
前記栽培計画データベースに登録された栽培計画情報を基に作成される作業指示情報を登録する作業指示データベースと、
前記栽培商品の前記栽培における前記作業について、天候条件による作業適否情報を登録する資源データベースと
を有し、
サーバーが、
前記栽培計画情報を登録する際に、
前記栽培商品の商品名の選択を促す栽培商品選択ステップと、
前記栽培商品選択ステップで選択した前記商品名の前記栽培商品について、登録済みの過去の栽培履歴の中から一つの前記栽培履歴の選択を促す栽培履歴選択ステップと、
前記栽培履歴選択ステップで選択された登録済みの前記栽培履歴の前記作業名を表示し、新たな前記栽培履歴の入力を促す栽培履歴入力ステップと、
前記栽培履歴入力ステップで入力された前記栽培商品に関する新たな前記栽培履歴を登録する栽培履歴登録ステップと
を有する
ことを特徴とするGAP作業支援方法。
【請求項2】
前記サーバーが、
前記作業指示情報を作成する際には、
前記作業日についての気象予報情報を取り込む気象予報情報取込ステップと、
前記気象予報情報取込ステップで取り込まれた前記気象予報情報と、前記資源データベースに登録された前記作業適否情報とから、前記作業日が前記栽培商品の前記栽培における前記作業に適しているかを判断する作業適否判断ステップと、
前記作業日が前記作業に適していないとの判断結果を出力する作業適否出力ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のGAP作業支援方法。
【請求項3】
前記気象予報情報取込ステップでは、
前記作業日を含む所定日数の前記気象予報情報を取り込み、
前記作業適否判断ステップでは、
前記作業日が前記作業に適していないと判断すると、前記気象予報情報から前記作業日とは異なる作業候補日を抽出し、
前記作業適否出力ステップでは、
抽出した前記作業候補日を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のGAP作業支援方法。
【請求項4】
前記作業適否判断ステップでは、
複数の前記栽培商品について、それぞれの前記作業日が前記栽培商品の前記栽培における前記作業に適しているかを判断し、
少なくとも一つの前記作業日が前記作業に適していないと判断すると、他の栽培商品についての作業日を含めてそれぞれの前記作業候補日を決定し、
前記作業適否出力ステップでは、
決定したそれぞれの前記作業候補日を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載のGAP作業支援方法。
【請求項5】
前記資源データベースには、
保有する農機具の使用条件情報が登録され、
前記サーバーが、
前記作業指示情報を作成する際には、
前記資源データベースに登録された前記使用条件情報から、前記作業日に前記農機具を使用できるかを判断する農機具使用判断ステップと、
前記作業日が前記農機具を使用できないとの判断結果を出力する農機具使用出力ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法。
【請求項6】
前記資源データベースには、
行える前記作業又は農機具操作資格とともに作業要員の作業要員情報が登録され、
前記サーバーが、
前記作業指示情報を作成する際には、
前記資源データベースに登録された前記作業要員情報から、前記作業日に前記作業要員を配置できるかを判断する作業要員配置判断ステップと、
前記作業日が前記作業要員を配置できないとの判断結果を出力する作業要員配置出力ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法。
【請求項7】
前記栽培商品選択ステップでは、
前記作業者が過去に登録した前記栽培履歴の情報を栽培履歴データベースから抽出する栽培履歴情報抽出ステップと、
前記栽培履歴情報抽出ステップで抽出された前記栽培履歴から、前記栽培履歴の登録がある前記商品名を抽出する商品名抽出ステップと、
前記栽培履歴の登録がある前記商品名別に栽培回数を算出する栽培回数算出ステップと、
前記商品名抽出ステップで抽出された前記商品名を、前記栽培回数算出ステップで算出された前記栽培回数が多い順に一覧表示として出力する商品名表示ステップと
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法。
【請求項8】
前記サーバーが、
前記栽培商品選択ステップで選択された前記栽培商品について、前記栽培商品に使用する栽培基準の選択を促す栽培基準選択ステップを有し、
前記栽培履歴選択ステップでは、前記栽培基準選択ステップで選択された前記栽培基準についての前記栽培履歴の選択を促す
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GAP取得を支援するGAP作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GAP(Good Agricultural Practice)が注目され、GAP資格取得が推奨されているが、GAP取得には、生産者にとって管理作業量が膨大となってしまう。
特許文献1は、作業現場で容易に入力可能であり、生産履歴を正確に記録できる農業生産工程管理システムを提案している。
特許文献1による農業生産工程管理システムは、農業生産工程管理手段と、記憶手段と、作業記録手段とを有し、記憶手段には、農業生産工程管理情報を含み、農業生産工程管理手段は、農業生産工程管理情報に基づき作業チェックリストを生成し、作業記録手段により、作業チェックリストに作業履歴を記録し、作業記録手段が、ICタグ読取手段および音声入力手段の少なくとも一方を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-86208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、作業履歴の入力手段として、ICタグ読取手段および音声入力手段のいずれかまたは双方を使用するため、例えば、作業現場でのチェック項目も容易に入力可能であり、GAPの作業履歴を正確かつ容易に記録することができる。
しかし、特許文献1では、GAP規定に反する作業が行われることを未然に防止するためには、作業者自身か第三者によるチェックが必要である。
特に、農作業は気象条件に左右され、気象条件によって農作業がGAP規定に反してしまうことがある。
【0005】
本発明は、気象条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるGAP作業支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のGAP作業支援方法は、作業者、前記作業者が栽培する栽培商品、前記栽培商品の栽培における作業を表す作業名、前記作業名における前記作業を行う作業日、及び前記栽培商品を栽培する圃場情報を登録する栽培計画データベース12と、前記栽培計画データベース12に登録された栽培計画情報22を基に作成される作業指示情報を登録する作業指示データベース15と、前記栽培商品の前記栽培における前記作業について、天候条件による作業適否情報を登録する資源データベース11とを有し、サーバーが、前記栽培計画情報22を登録する際に、前記栽培商品の商品名の選択を促す栽培商品選択ステップ30と、前記栽培商品選択ステップ30で選択した前記商品名の前記栽培商品について、登録済みの過去の栽培履歴の中から一つの前記栽培履歴の選択を促す栽培履歴選択ステップ50と、前記栽培履歴選択ステップ50で選択された登録済みの前記栽培履歴の前記作業名を表示し、新たな前記栽培履歴の入力を促す栽培履歴入力ステップ60と、前記栽培履歴入力ステップ60で入力された前記栽培商品に関する新たな前記栽培履歴を登録する栽培履歴登録ステップ70とを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のGAP作業支援方法において、前記サーバーが、前記作業指示情報を作成する際には、前記作業日についての気象予報情報を取り込む気象予報情報取込ステップと、前記気象予報情報取込ステップで取り込まれた前記気象予報情報と、前記資源データベース11に登録された前記作業適否情報とから、前記作業日が前記栽培商品の前記栽培における前記作業に適しているかを判断する作業適否判断ステップと、前記作業日が前記作業に適していないとの判断結果を出力する作業適否出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載のGAP作業支援方法において、前記気象予報情報取込ステップでは、前記作業日を含む所定日数の前記気象予報情報を取り込み、前記作業適否判断ステップでは、前記作業日が前記作業に適していないと判断すると、前記気象予報情報から前記作業日とは異なる作業候補日を抽出し、前記作業適否出力ステップでは、抽出した前記作業候補日を出力することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載のGAP作業支援方法において、前記作業適否判断ステップでは、複数の前記栽培商品について、それぞれの前記作業日が前記栽培商品の前記栽培における前記作業に適しているかを判断し、少なくとも一つの前記作業日が前記作業に適していないと判断すると、他の栽培商品についての作業日を含めてそれぞれの前記作業候補日を決定し、前記作業適否出力ステップでは、決定したそれぞれの前記作業候補日を出力することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法において、前記資源データベース11には、保有する農機具の使用条件情報が登録され、前記サーバーが、前記作業指示情報を作成する際には、前記資源データベース11に登録された前記使用条件情報から、前記作業日に前記農機具を使用できるかを判断する農機具使用判断ステップと、前記作業日が前記農機具を使用できないとの判断結果を出力する農機具使用出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法において、前記資源データベース11には、行える前記作業又は農機具操作資格とともに作業要員の作業要員情報が登録され、前記サーバーが、前記作業指示情報を作成する際には、前記資源データベース11に登録された前記作業要員情報から、前記作業日に前記作業要員を配置できるかを判断する作業要員配置判断ステップと、前記作業日が前記作業要員を配置できないとの判断結果を出力する作業要員配置出力ステップとを有することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法において、前記栽培商品選択ステップ30では、前記作業者が過去に登録した前記栽培履歴の情報を栽培履歴データベースから抽出する栽培履歴情報抽出ステップ31と、前記栽培履歴情報抽出ステップ31で抽出された前記栽培履歴から、前記栽培履歴の登録がある前記商品名を抽出する商品名抽出ステップ32と、前記栽培履歴の登録がある前記商品名別に栽培回数を算出する栽培回数算出ステップ33と、前記商品名抽出ステップ32で抽出された前記商品名を、前記栽培回数算出ステップ33で算出された前記栽培回数が多い順に一覧表示として出力する商品名表示ステップ34とを有することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のGAP作業支援方法において、前記サーバーが、前記栽培商品選択ステップ30で選択された前記栽培商品について、前記栽培商品に使用する栽培基準の選択を促す栽培基準選択ステップ40を有し、前記栽培履歴選択ステップ50では、前記栽培基準選択ステップ40で選択された前記栽培基準についての前記栽培履歴の選択を促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業に適さない作業日を、気象予報情報を基に出力することで、気象条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に反する作業が行われることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例によるGAP作業支援方法の処理流れを示す概念図
図2】本実施例によるGAP作業支援方法の栽培計画ステップで用いる栽培計画初期画面イメージ図
図3図2の栽培計画初期画面で新規登録を選択する場合を示す画面イメージ図
図4図3で登録された品目の栽培商品について作業スケジュールの作成状態を示す画面イメージ図
図5】過去の栽培履歴を用いる場合のフローチャート
図6】作成された年間作業スケジュールを示す画面イメージ図
図7】作成された月間作業スケジュールを示す画面イメージ図
図8】年間作業スケジュールから作業指示を行う場合を示す画面イメージ図
図9】月間作業スケジュールから作業指示を行う場合を示す画面イメージ図
図10】作業指示情報をサーバーが変更する場合を示す説明図
図11】作業指示ステップで出力される作業指示書のイメージ図
図12】実作業登録ステップで入力に用いられる画面イメージ図
図13】作業登録ステップで登録された作業実施内容の確認に用いられる画面イメージ図
図14】作業登録ステップで登録された作業実施内容の確認に用いられる画面イメージ図
図15】GAP作業チェックステップで用いられる画面イメージ図
図16】GAP作業チェックステップで用いられる画面イメージ図
図17】GAP作業チェックステップで用いられる画面イメージ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるGAP作業支援方法は、サーバーが、栽培計画情報を登録する際に、前記栽培商品の商品名の選択を促す栽培商品選択ステップと、前記栽培商品選択ステップで選択した前記商品名の前記栽培商品について、登録済みの過去の栽培履歴の中から一つの前記栽培履歴の選択を促す栽培履歴選択ステップと、前記栽培履歴選択ステップで選択された登録済みの前記栽培履歴の前記作業名を表示し、新たな前記栽培履歴の入力を促す栽培履歴入力ステップと、前記栽培履歴入力ステップで入力された前記栽培商品に関する新たな前記栽培履歴を登録する栽培履歴登録ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、登録済みの過去の栽培履歴を利用して新たな栽培履歴を入力できるため、栽培履歴の登録作業を簡素化できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるGAP作業支援方法において、サーバーが、作業指示情報を作成する際には、作業日についての気象予報情報を取り込む気象予報情報取込ステップと、気象予報情報取込ステップで取り込まれた気象予報情報と、資源データベースに登録された作業適否情報とから、作業日が栽培商品の栽培における作業に適しているかを判断する作業適否判断ステップと、作業日が作業に適していないとの判断結果を出力する作業適否出力ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、作業に適さない作業日を、気象予報情報を基に出力することで、気象条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に反する作業が行われることを未然に防止できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態によるGAP作業支援方法において、気象予報情報取込ステップでは、作業日を含む所定日数の気象予報情報を取り込み、作業適否判断ステップでは、作業日が作業に適していないと判断すると、気象予報情報から作業日とは異なる作業候補日を抽出し、作業適否出力ステップでは、抽出した作業候補日を出力するものである。本実施の形態によれば、作業の変更日を決めやすい。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態によるGAP作業支援方法において、作業適否判断ステップでは、複数の栽培商品について、それぞれの作業日が栽培商品の栽培における作業に適しているかを判断し、少なくとも一つの作業日が作業に適していないと判断すると、他の栽培商品についての作業日を含めてそれぞれの作業候補日を決定し、作業適否出力ステップでは、決定したそれぞれの作業候補日を出力するものである。本実施の形態によれば、多くの中小規模における農業生産現場では、複数の栽培商品を栽培することが常であることから、作業の変更日を決定する上で極めて効果的である。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれかの実施の形態によるGAP作業支援方法において、資源データベースには、保有する農機具の使用条件情報が登録され、サーバーが、作業指示情報を作成する際には、資源データベースに登録された使用条件情報から、作業日に農機具を使用できるかを判断する農機具使用判断ステップと、作業日が農機具を使用できないとの判断結果を出力する農機具使用出力ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、農機具の使用条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に従った作業を行いやすい。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5のいずれかの実施の形態によるGAP作業支援方法において、資源データベースには、行える作業又は農機具操作資格とともに作業要員の作業要員情報が登録され、サーバーが、作業指示情報を作成する際には、資源データベースに登録された作業要員情報から、作業日に作業要員を配置できるかを判断する作業要員配置判断ステップと、作業日が作業要員を配置できないとの判断結果を出力する作業要員配置出力ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、的確な作業要員を配置できるため、GAP規定に従った作業を確実に行うことができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6のいずれかの実施の形態によるGAP作業支援方法において、栽培商品選択ステップでは、作業者が過去に登録した栽培履歴の情報を栽培履歴データベースから抽出する栽培履歴情報抽出ステップと、栽培履歴情報抽出ステップで抽出された栽培履歴から、栽培履歴の登録がある商品名を抽出する商品名抽出ステップと、栽培履歴の登録がある商品名別に栽培回数を算出する栽培回数算出ステップと、商品名抽出ステップで抽出された商品名を、栽培回数算出ステップで算出された栽培回数が多い順に一覧表示として出力する商品名表示ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、出荷者自らが登録している栽培履歴情報を利用できるので更に栽培履歴の登録作業が簡素化でき、また栽培回数が多い順に商品名が表示されるため、必要とする栽培履歴を抽出しやすい。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第6のいずれかの実施の形態によるGAP作業支援方法において、サーバーが、栽培商品選択ステップで選択された栽培商品について、栽培商品に使用する栽培基準の選択を促す栽培基準選択ステップを有し、栽培履歴選択ステップでは、栽培基準選択ステップで選択された栽培基準についての栽培履歴の選択を促すものである。本実施の形態によれば、同じ商品でも、例えば露地栽培と施設栽培のように栽培基準が複数存在する場合に、最適な栽培履歴を選択できる。
【実施例
【0017】
以下本発明の一実施例によるGAP作業支援方法について説明する。
図1は本実施例によるGAP作業支援方法の処理流れを示す概念図である。
本実施例によるGAP作業支援方法は、栽培計画ステップ1(S1)、作業指示ステップ2(S2)、実作業登録ステップ3(S3)、及びGAP作業チェックステップ4(S4)からなる。
栽培計画ステップ1、作業指示ステップ2、及び実作業登録ステップ3は、生産者である作業者の日々の管理作業を支援し、GAP取得を簡単化するものである。
GAP作業チェックステップ4は、営農指導者の営農指導や、監査者、GAP評価者、又は作業者自身のGAP規定項目と実施状況との確認作業を支援するものである。
【0018】
栽培計画ステップ1では、サーバーは、資源データベース11、栽培計画データベース12、及びGAP規定データベース13に登録されている情報を用いて、作業者が新たな栽培計画を策定する作業を支援する。栽培計画は、圃場別、栽培商品の品目別に作成され、作業工程、作業時期、収穫量、及び農薬や肥料の使用計画が登録される。
資源データベース11には、使用できる圃場の圃場条件情報、保有する農機具の使用条件情報、行える作業又は農機具操作資格とともに作業要員の作業要員情報、保有する農薬の農薬条件情報、使用できる水源の水源条件情報、及び栽培商品の栽培における作業について、天候条件による作業適否情報などの資源情報が登録されている。
農薬条件情報は、農薬の使用基準、農薬の散布液量、及び農薬の希釈倍数/使用量に関する情報である。
栽培計画データベース12には、作業者、作業者が栽培する栽培商品、栽培商品の栽培における作業を表す作業名、作業名における作業を行う作業日、及び栽培商品を栽培する圃場情報など、過去の栽培計画情報が登録されている。
GAP規定データベース13には、GAP分類やGAP作業基準で規定されている確認項目が登録されている。
栽培計画ステップ1で策定された新たな栽培計画は、栽培計画データベース12に登録される。
【0019】
作業指示ステップ2では、サーバーは、資源データベース11、栽培計画データベース12、GAP規定データベース13、及び気象予報情報データベース14に登録されている情報を用いて、作業指示書を作成して作業者に提供する。作業指示書は、明日を作業日として含む所定日数の作業について、資源情報や気象予報情報を基に適否を判断して出力される。
【0020】
作業指示ステップ2で作成される作業指示書の作業指示情報は、作業指示データベース15に登録される。
実作業登録ステップ3では、作業指示データベース15に登録されている作業指示情報に基づいて行われた実作業情報を、作業日報データベース16に登録する。登録された実作業情報は、日報管理、農薬や肥料散布管理、及び栽培関連作業や資源の変更管理に用いられる。
GAP作業チェックステップ4では、栽培計画データベース12に登録されている栽培計画情報、作業指示データベース15に登録されている作業指示情報、作業日報データベース16に登録されている実作業情報をチェックする。
【0021】
図2は本実施例によるGAP作業支援方法の栽培計画ステップで用いる栽培計画初期画面イメージ図、図3図2の栽培計画初期画面で新規登録を選択する場合を示す画面イメージ図、図4図3で登録された品目の栽培商品について作業スケジュールの作成状態を示す画面イメージ図、図5は過去の栽培履歴を用いる場合のフローチャート、図6は作成された年間作業スケジュールを示す画面イメージ図、図7は作成された月間作業スケジュールを示す画面イメージ図である。
【0022】
栽培計画では、圃場別及び品目別に、作業工程と、その作業時期、計画する収穫量、及び圃場に散布する農薬や肥料の使用計画を作成する。また、栽培計画を遂行する際の資源として、圃場、作業要員、農機具、水源、及び農薬や肥料を管理する。
図2において、検索21を指示することで、過去の栽培計画を栽培履歴の情報として栽培計画データベース12から抽出する。図2では、過去の栽培計画情報22が、圃場別、栽培商品別に表示されている。表示されている過去の栽培計画情報22については、栽培商品単位で計画コピー23を指示することで栽培計画に利用できる。また、コピーした栽培計画情報22については、作業日などの一部の情報を変更、削除、追加することもできる。また、コピーした過去の栽培計画情報22、又は新規に作成する栽培計画情報22については、栽培商品単位でGAPチェック24を指示することで、GAP規定に適しているかをチェックできる。
図2において、新規登録25を指示することで、新規の栽培商品についての基本情報を作成できる。
【0023】
図3に示すように、例えば、商品欄の参照26を指示することで商品検索画面27を用いて商品検索を、圃場住所の参照28を指示することで圃場検索画面29を用いて圃場検索を行うことができ、新規の栽培商品についての基本情報を作成できる。
基本情報を作成した後には、図4に示すように、栽培商品の栽培における作業を表す作業名と、それぞれの作業名における作業を行う作業日とを入力する。
【0024】
なお、新規の栽培商品を登録する際にも、過去の栽培履歴を用いることができる。
図5は、過去の栽培履歴を用いる場合のフローチャートを示す。
図3における商品欄の参照26を指示することで、過去の栽培履歴を利用できる。
サーバーは、栽培計画情報22を登録する際には、栽培商品の商品名の選択を促す栽培商品選択ステップ30(S30)と、栽培基準選択ステップ40(S40)と、栽培商品選択ステップ30で選択した商品名の栽培商品について、登録済みの過去の栽培履歴の中から一つの栽培履歴の選択を促す栽培履歴選択ステップ50(S50)と、栽培履歴選択ステップ50で選択された登録済みの栽培履歴の作業名を表示し、新たな栽培履歴の入力を促す栽培履歴入力ステップ60と、栽培履歴入力ステップ60(S60)で入力された栽培商品に関する新たな栽培履歴を登録する栽培履歴登録ステップ70(S70)とを有する。
【0025】
商品選択ステップ30では、栽培履歴情報抽出ステップ31(S31)と、商品名抽出ステップ32(S32)と、栽培回数算出ステップ33(S33)と、商品名表示ステップ34(S34)とを有する。
栽培履歴情報抽出ステップ31では、作業者が過去に登録した栽培履歴の情報を栽培計画データベース12から抽出する。
商品名抽出ステップ32では、栽培履歴情報抽出ステップ31で抽出された栽培履歴から、栽培履歴の登録がある商品名を抽出する。
栽培回数算出ステップ33は、栽培履歴の登録がある商品名別に栽培回数を算出する。
商品名表示ステップ34では、商品名抽出ステップ32で抽出された商品名を、栽培回数算出ステップ33で算出された栽培回数が多い順に一覧表示として出力する。
従って、図3に示す商品検索画面27では、栽培回数が多い順に一覧表示される。
このように、作業者自らが登録している栽培履歴情報を利用できることで、更に栽培履歴の登録作業が簡素化でき、また栽培回数が多い順に商品名が表示されるため、必要とする栽培履歴を抽出しやすい。
【0026】
図5で示す栽培基準選択ステップ40は、商品選択ステップ30の結果表示される商品選択画面(図3に示す商品検索画面27)でいずれかの商品が選択された場合に行われる。
栽培基準選択ステップ40では、商品選択ステップ30で選択された商品について複数の栽培基準が有るか否かを判断する判断ステップ41(S41)と、判断ステップ41で複数の栽培基準がある場合には、栽培基準を一覧表示として出力する栽培基準表示ステップ42(S42)とを有し、同じ栽培商品でも、例えば露地栽培と施設栽培のように栽培基準が複数存在する場合に、最適な栽培履歴を選択できる。
【0027】
図5で示す栽培履歴選択ステップ50は、商品選択ステップ30の結果表示される商品選択画面(図3に示す商品検索画面27)で商品が選択された場合、判断ステップ41で複数の栽培基準があれば、栽培基準選択ステップ40の結果表示される栽培基準選択画面で栽培基準が選択された場合に行われる。
栽培履歴選択ステップ50では、商品選択ステップ30で選択された商品についての栽培履歴の情報を、栽培履歴情報抽出ステップ31で抽出された栽培履歴から抽出し(特定商品栽培履歴情報抽出ステップ51(S51))、特定商品栽培履歴情報抽出ステップ51で抽出した栽培履歴を一覧表示として出力し(栽培履歴表示ステップ52(S52))、商品選択ステップ30で選択した商品名の商品について、登録済みの過去の栽培履歴の中から一つの栽培履歴の選択を促す(選択ステップ53(S53))。
【0028】
作成された栽培計画は、図6に示すように年間作業スケジュールとして、又は図7に示すように月間作業スケジュールとして出力することができる。
【0029】
図6に示す年間作業スケジュール、又は図7に示す月間作業スケジュールを用いて作業指示を行うことができる。
図8は年間作業スケジュールから作業指示を行う場合を示す画面イメージ図、図9は月間作業スケジュールから作業指示を行う場合を示す画面イメージ図である。
図8に示す年間作業スケジュール画面80おいて、作業指示81と特定の作業名(防除)82とを指示することで、指示した防除82に関する作業指示情報画面83が出力され、作業指示情報画面83で表示される指示内容については、参照84を指示することで、更に詳細な情報を表示することができる。例えば、農薬については、農薬適用情報画面85によって、使用時期、使用方法、希釈倍率、散布液量、及び最大使用回数を参照することができる。
図9に示す月間作業スケジュール画面86おいて、作業指示81と特定の作業日87とを指示することで、指示した防除82に関する作業指示情報画面83が出力され、作業指示情報画面83で表示される指示内容については、参照84を指示することで、更に詳細な情報を表示することができる。例えば、農薬については、農薬適用情報画面85によって、使用時期、使用方法、希釈倍率、散布液量、及び最大使用回数を参照することができる。
【0030】
図10は、作業指示情報をサーバーが変更する場合を示す説明図である。
サーバーは、作業指示情報を作成する際には、作業日についての気象予報情報を取り込む気象予報情報取込ステップと、気象予報情報取込ステップで取り込まれた気象予報情報と、資源データベース11に登録された作業適否情報とから、作業日が栽培商品の栽培における作業に適しているかを判断する作業適否判断ステップと、作業日が作業に適していないとの判断結果を出力する作業適否出力ステップとを有する。
そして、気象予報情報取込ステップでは、作業日を含む所定日数の気象予報情報を取り込み、作業適否判断ステップでは、作業日が作業に適していないと判断すると、気象予報情報から作業日とは異なる作業候補日を抽出し、作業適否出力ステップでは、抽出した作業候補日を出力する。
また、作業適否判断ステップでは、複数の栽培商品について、それぞれの作業日が栽培商品の栽培における作業に適しているかを判断し、少なくとも一つの作業日が作業に適していないと判断すると、他の栽培商品についての作業日を含めてそれぞれの作業候補日を決定し、作業適否出力ステップでは、決定したそれぞれの作業候補日を出力する。
【0031】
例えば図10(a)に示すような大根の栽培計画があり、図10(b)に示すようなきゅうりの栽培計画がある場合に、気象予報情報取込ステップでは、図10(c)に示すように、作業日(10月31日)を含む所定日数(4日間)の気象予報情報を取り込む。
図10(d)はあらかじめ資源データベース11に登録されている大根に関する天候条件による作業適否情報であり、図10(e)はあらかじめ資源データベース11に登録されているきゅうりに関する天候条件による作業適否情報である。
気象予報情報取込ステップで取り込まれた気象予報情報では11月1日が雨予報であり、資源データベース11に登録された作業適否情報では大根の灌水作業では雨は不適であることから、11月1日に大根の灌水作業は不適と判断し、作業適否出力ステップでは11月1日の作業日が作業に適していないとの判断結果を出力する。このように、11月1日が大根の灌水の作業に適していないと判断すると、気象予報情報から作業日とは異なる作業候補日(11月2日)を抽出する。この時、他の栽培商品であるきゅうりについて11月2日は作業がないため、図10(f)に示すように、大根の灌水の作業候補日として11月2日を決定し、作業適否出力ステップでは、決定した作業候補日である11月2日に大根の灌水作業候補日として出力する。
【0032】
このように、作業に適さない作業日を、気象予報情報を基に出力することで、気象条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に反する作業が行われることを未然に防止できる。
そして、作業適否出力ステップで作業候補日を出力することで、作業の変更日を決めやすい。
また、多くの中小規模における農業生産現場では、複数の栽培商品を栽培することが常であることから、作業適否判断ステップでは、複数の栽培商品について、それぞれの作業日が栽培商品の栽培における作業に適しているかを判断し、少なくとも一つの作業日が作業に適していないと判断すると、他の栽培商品についての作業日を含めてそれぞれの作業候補日を決定することは極めて効果的である。
【0033】
また、図10(g)に示すように、資源データベース11には、保有する農機具の使用条件情報が登録されており、サーバーは、作業指示情報を作成する際には、資源データベース11に登録された使用条件情報から、作業日に農機具を使用できるかを判断する農機具使用判断ステップと、作業日が農機具を使用できないとの判断結果を出力する農機具使用出力ステップとを有することが好ましい。農機具使用判断ステップを有することで、農機具の使用条件によっては作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に従った作業を行いやすい。
【0034】
また、図10(h)に示すように、資源データベース11には、行える作業又は農機具操作資格とともに作業要員の作業要員情報が登録されており、サーバーは、作業指示情報を作成する際には、資源データベース11に登録された作業要員情報から、作業日に作業要員を配置できるかを判断する作業要員配置判断ステップと、作業日が作業要員を配置できないとの判断結果を出力する作業要員配置出力ステップとを有することが好ましい。作業要員配置判断ステップを有することで、的確な作業要員を配置できるため、GAP規定に従った作業を確実に行うことができる。
【0035】
図11は、作業指示ステップで出力される作業指示書のイメージ図である。
図11に示すように、作業指示情報とともに、GAP作業基準で規定されている確認事項を出力する。なお、ここで出力する確認事項は、この作業指示書で特定されている、栽培商品についての特定の作業に関するものである。
【0036】
図12は実作業登録ステップで入力に用いられる画面イメージ図である。
図12に示すように、例えば、天気欄88、最高気温欄89、最低気温欄90、作業時間欄91、農薬使用量欄92、及び農薬散布量欄93については、作業指示に基づき実施した作業内容を修正登録する。
【0037】
図13及び図14は作業登録ステップで登録された作業実施内容の確認に用いられる画面イメージ図である。
図13(a)のように栽培計画を指示することで栽培計画ステップ1での登録内容を、図13(b)のように作業指示を指示することで作業指示ステップ2での登録内容を、図13(c)のように作業日報を指示することで実作業登録ステップ3での登録内容を出力表示することができる。
また、図14のように、作業指示が農薬や肥料の散布である場合には、詳細な栽培履歴情報を出力表示し、農薬適正使用基準情報を合わせて出力表示することができる。
【0038】
図15から図17は、GAP作業チェックステップで用いられる画面イメージ図である。
GAP作業チェックステップ4では、図15に示すように作業計画と作業報告とを出力表示し、図16に示すように機器一覧を出力表示し、図17に示すように資源管理情報を出力表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のGAP作業支援方法によれば、作業が不適切な作業日を回避できるため、GAP規定に反する作業が行われることを未然に防止できる。
【符号の説明】
【0040】
11 資源データベース
12 栽培計画データベース
13 GAP規定データベース
14 気象予報情報データベース
15 作業指示データベース
16 作業日報データベース
21 検索
22 栽培計画情報
23 計画コピー
24 GAPチェック
25 新規登録
26 商品欄の参照
27 商品検索画面
28 圃場住所の参照
29 圃場検索画面
80 年間作業スケジュール画面
81 作業指示
82 特定の作業名(防除)
83 作業指示情報画面
84 参照
85 農薬適用情報画面
86 月間作業スケジュール画面
87 特定の作業日
88 天気欄
89 最高気温欄
90 最低気温欄
91 作業時間欄
92 農薬使用量欄
93 農薬散布量欄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17