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▶ 株式会社永木精機の特許一覧

<図1>
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図1
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図2
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図3
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図4
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図5
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図6
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図7
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図8
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図9
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図10
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図11
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図12
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図13
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図14
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図15
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図16
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図17
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図18
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図19
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図20
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図21
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図22
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図23
  • 特許-電線牽引装置、および、電線架設方法 図24
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】電線牽引装置、および、電線架設方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/74 20060101AFI20220804BHJP
   B66D 1/46 20060101ALI20220804BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B66D1/74 A
B66D1/46 F
H02G1/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018096819
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019202828
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】筆本 行雄
(72)【発明者】
【氏名】長尾 亮典
(72)【発明者】
【氏名】野崎 雄一郎
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-344620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0336779(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0056695(US,A1)
【文献】特開平11-069540(JP,A)
【文献】実開昭48-053054(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/00- 1/82
H02G 1/02- 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物に取り付け可能な取付部と、
電線に接続された線状材を牽引する第1回転体と、
前記第1回転体に駆動力を付与するモータと、
前記第1回転体に駆動力を付与する駆動力付与状態と、前記第1回転体への駆動力の付与を停止する駆動力付与停止状態とを切り替え可能なスイッチと
を具備し、
前記駆動力付与停止状態から前記駆動力付与状態への前記スイッチの切り替え、または、前記駆動力付与状態から前記駆動力付与停止状態への前記スイッチの切り替えは、前記第1回転体によって牽引され前記第1回転体より牽引方向下流側に引き出された前記線状材を操作することによって実行可能であり、
前記線状材によって操作される被操作部材を更に具備し、
前記被操作部材が第1位置から第2位置に移動すると、前記スイッチは、前記駆動力付与停止状態から前記駆動力付与状態に切り替えられ、
前記被操作部材の一側方が開放されており、
前記被操作部材の前記一側方を介して、前記線状材の中央部分を、前記被操作部材に対向する初期位置にセットすることが可能である
電線牽引装置。
【請求項2】
前記駆動力付与状態から前記駆動力付与停止状態への前記スイッチの切り替えは、前記線状材の位置を変更することにより実行可能である
請求項1に記載の電線牽引装置。
【請求項3】
前記被操作部材は、揺動部材である請求項1または2に記載の電線牽引装置。
【請求項4】
前記被操作部材が、前記第1位置から前記第2位置に移動することを防止するロック機構を更に具備する
請求項1乃至3のいずれ一項に記載の電線牽引装置。
【請求項5】
前記線状材を前記第1回転体に向かって案内するガイド部材を更に具備し、
前記線状材の中央部分を、前記ガイド部材の側部外方から前記ガイド部材の内側に向けて移動させることにより、前記線状材の中央部分を前記ガイド部材の内側にセット可能である
請求項1乃至のいずれか一項に記載の電線牽引装置。
【請求項6】
前記第1回転体、および、前記モータを支持する電線牽引装置本体と、
前記電線牽引装置本体とは別体の取付部材と
を具備し、
前記電線牽引装置本体と前記取付部材とが着脱自在である
請求項1乃至のいずれか一項に記載の電線牽引装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電線牽引装置を用いた電線架設方法であって
記電線架設方法は、
前記取付部を電柱に取り付ける取付工程と、
新設電線と線状材とを直接的または間接的に連結する連結工程と、
前記線状材を前記第1回転体に巻回してセットする線状材セット工程と、
前記第1回転体を回転させて、前記線状材を、前記第1回転体に巻き付けるとともに、巻き付けられた前記線状材を前記第1回転体から引き出すことを含む線状材牽引工程と、
前記線状材牽引工程によって、前記線状材を牽引することにより、前記線状材に連結された前記新設電線を前記電柱上に配置する電線配置工程と
を具備する
電線架設方法。
【請求項8】
既設電線に前記線状材を連結する工程と、
前記既設電線を牽引することにより、前記線状材を前記電柱上に配置する工程と、
前記線状材から前記既設電線を分離する工程と
を更に具備する請求項に記載の電線架設方法。
【請求項9】
前記連結工程は、前記新設電線と前記線状材とを、既設電線を介して連結することを含み、
前記電線配置工程は、前記線状材牽引工程によって、前記線状材および前記既設電線を牽引することにより、前記線状材に間接的に連結された前記新設電線を前記電柱上に配置することを含む
請求項に記載の電線架設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線牽引装置、および、電線架設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き取りドラムまたはウインチを利用して電線を架設する電線架設方法が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、作業車のケーブルドラム駆動装置が開示されている。特許文献1に記載のケーブルドラム駆動装置は、車体に設けられてケーブルドラムを載置するドラム載置台と、ケーブルドラムを回転駆動させるドラム駆動モータと、ケーブルドラムの両端部を回転可能に把持するドラム回転把持装置とを備える。
【0004】
また、特許文献2には、ウインチ装置が開示されている。特許文献2に記載のウインチ装置は、ケーブルドラムから繰り出される電線に接続された親ロープを牽引するキャプスタンウインチと、キャプスタンウインチから繰り出された親ロープに尻手張力を付与する引張装置とを備える。なお、特許文献2に記載のウインチ装置は、車体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-208743号公報
【文献】特開平11-335087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、効率良く電線牽引作業または電線架設作業を実行可能な電線牽引装置、および、電線架設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す、電線牽引装置、および、電線架設方法に関する。
【0008】
(1)固定対象物に取り付け可能な取付部と、
電線に接続された線状材を牽引する第1回転体と、
前記第1回転体に駆動力を付与するモータと、
前記第1回転体に駆動力を付与する駆動力付与状態と、前記第1回転体への駆動力の付与を停止する駆動力付与停止状態とを切り替え可能なスイッチと
を具備し、
前記駆動力付与停止状態から前記駆動力付与状態への前記スイッチの切り替え、または、前記駆動力付与状態から前記駆動力付与停止状態への前記スイッチの切り替えは、前記第1回転体によって牽引される前記線状材を操作することによって実行可能である
電線牽引装置。
(2)前記駆動力付与状態から前記駆動力付与停止状態への前記スイッチの切り替えは、前記線状材の位置を変更することにより実行可能である
上記(1)に記載の電線牽引装置。
(3)前記線状材によって操作される被操作部材を更に具備し、
前記被操作部材が第1位置から第2位置に移動すると、前記スイッチは、前記駆動力付与停止状態から前記駆動力付与状態に切り替えられる
上記(1)または(2)に記載の電線牽引装置。
(4)前記被操作部材は、揺動部材である上記(3)に記載の電線牽引装置。
(5)前記被操作部材が、前記第1位置から前記第2位置に移動することを防止するロック機構を更に具備する
上記(3)または(4)に記載の電線牽引装置。
(6)前記被操作部材の一側方が開放されており、
前記被操作部材の前記一側方を介して、前記線状材の中央部分を、前記被操作部材に対向する初期位置にセットすることが可能である
上記(3)乃至(5)のいずれか一つに記載の電線牽引装置。
(7)前記線状材を前記第1回転体に向かって案内するガイド部材を更に具備し、
前記線状材の中央部分を、前記ガイド部材の側部外方から前記ガイド部材の内側に向けて移動させることにより、前記線状材の中央部分を前記ガイド部材の内側にセット可能である
上記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の電線牽引装置。
(8)前記第1回転体、および、前記モータを支持する電線牽引装置本体と、
前記電線牽引装置本体とは別体の取付部材と
を具備し、
前記電線牽引装置本体と前記取付部材とが着脱自在である
上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載の電線牽引装置。
(9)電線牽引装置を用いた電線架設方法であって、
前記電線牽引装置は、
取付部と、
第1回転体と、
前記第1回転体に駆動力を付与するモータと
を具備し、
前記電線架設方法は、
前記取付部を電柱に取り付ける取付工程と、
新設電線と線状材とを直接的または間接的に連結する連結工程と、
前記線状材を前記第1回転体に巻回してセットする線状材セット工程と、
前記第1回転体を回転させて、前記線状材を、前記第1回転体に巻き付けるとともに、巻き付けられた前記線状材を前記第1回転体から引き出すことを含む線状材牽引工程と、
前記線状材牽引工程によって、前記線状材を牽引することにより、前記線状材に連結された前記新設電線を前記電柱上に配置する電線配置工程と
を具備する
電線架設方法。
(10)既設電線に前記線状材を連結する工程と、
前記既設電線を牽引することにより、前記線状材を前記電柱上に配置する工程と、
前記線状材から前記既設電線を分離する工程と
を更に具備する上記(9)に記載の電線架設方法。
(11)前記連結工程は、前記新設電線と前記線状材とを、既設電線を介して連結することを含み、
前記電線配置工程は、前記線状材牽引工程によって、前記線状材および前記既設電線を牽引することにより、前記線状材に間接的に連結された前記新設電線を前記電柱上に配置することを含む
上記(9)に記載の電線架設方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、効率良く電線牽引作業または電線架設作業を実行可能な電線牽引装置、および、電線架設方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態における電線牽引装置を模式的に示す概略側面図である。
図2図2は、第1の実施形態における電線牽引装置を模式的に示す概略側面図である。
図3図3は、スライド移動可能な被操作部材の一例を模式的に示す概略縦断面図である。
図4図4は、第1の実施形態の変形例における電線牽引装置を模式的に示す概略側面図である。
図5図5は、ガイド部材の一例を模式的に示す概略断面図である。
図6図6は、ガイド部材の他の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図7図7は、第2の実施形態における電線牽引装置を模式的に示す概略側面図である。
図8図8は、取付部材の一例を模式的に示す概略3面図である。
図9図9は、取付部材の一例を模式的に示す概略2面図である。
図10図10は、取付部材の一例を模式的に示す概略2面図である。
図11図11は、緊締具の一例を模式的に示す概略2面図である。
図12図12は、電線牽引装置本体の一例を模式的に示す概略2面図である。
図13図13は、電線牽引装置本体および取付部材の一例を模式的に示す概略側面図である。
図14図14は、電線牽引装置本体および取付部材の一例を模式的に示す概略正面図である。
図15図15は、電線牽引装置本体の一例を模式的に示す概略側面図である。
図16図16は、電線牽引装置本体の一例を模式的に示す概略正面図である。
図17図17は、実施形態における電線架設方法の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
図19図19は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
図20図20は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
図21図21は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
図22図22は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
図23図23は、電線架設方法の一形態である電線張替方法の一工程を模式的に示す図である。
図24図24は、電線架設方法の一形態である電線張替方法の一工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における電線牽引装置1、および、電線架設方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至図6を参照して、第1の実施形態における電線牽引装置1Aについて説明する。図1および図2は、第1の実施形態における電線牽引装置1Aを模式的に示す概略側面図である。図3は、スライド移動可能な被操作部材42の一例を模式的に示す概略断面図である。図4は、第1の実施形態の変形例における電線牽引装置1Aを模式的に示す概略側面図である。図5は、ガイド部材50の一例を模式的に示す概略断面図(図2におけるA-A矢視断面図)である。図6は、ガイド部材50の他の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【0013】
図1に示されるように、第1の実施形態における電線牽引装置1Aは、取付部10と、第1回転体31と、モータ32と、スイッチ40とを具備する。
【0014】
取付部10は、固定対象物OBに取り付け可能な部分である。固定対象物OBは、例えば、電柱等の柱状体である。
【0015】
図1に記載の例では、取付部10は、ベース部11を備える。図1に記載の例では、少なくとも2個の緊締具12(より具体的には、ベルト式緊締具)の内側に固定対象物OBを配置した状態で、緊締具12の先端部に設けられた第2係合部121と、ベース部11に設けられた第1係合部111とを係合させることにより、取付部10が固定対象物OBに取り付けられる。
【0016】
図1に記載の例において、取付部10を固定対象物OBから取り外すためには、第1係合部111と第2係合部121との間の係合を解除すればよい。
【0017】
第1回転体31は、電線Wに接続された線状材Pを牽引可能な回転体(換言すれば、回転ドラム)である。図1に記載の例では、第1回転体31は、回転軸AX1まわりを回転可能なように電線牽引装置本体2によって支持されている。図1に記載の例では、第1回転体31に、線状材Pが、1周以上巻き付けられている。
【0018】
第1回転体31に線状材Pが巻き付けられた状態で、第1回転体31を回転させることにより、線状材Pが牽引方向上流側から牽引方向下流側に向けて牽引される。換言すれば、第1回転体31に線状材Pが巻き付けられた状態で、第1回転体31を回転させることにより、牽引方向上流側の線状材Pが第1回転体31に巻き付けられ、第1回転体31に巻き付けられた線状材Pが牽引方向下流側に引き出される。なお、本明細書において、牽引方向上流側から牽引方向下流側に向かう方向を第1方向と呼ぶ。
【0019】
図1に記載の例では、電線Wが線状材Pに接続されている。このため、線状材Pが第1回転体31によって牽引されると、電線Wは線状材Pによって牽引される。図1に記載の例では、電線Wと線状材Pとが連結具Cを介して接続されている。代替的に、電線Wと線状材Pとが直接的に接続されていてもよい。線状材Pは、可撓性を有する任意の線状材である。線状材Pは、電線Wよりも密度の小さな線状材、例えば、ロープであってもよい。
【0020】
モータ32は、第1回転体31に駆動力を付与する。モータ32は、例えば、電動モータ、または、油圧モータである。モータ32と第1回転体31とは、任意の伝達機構(例えば、回転シャフト、歯車等)を介して動力伝達可能に接続されている。
【0021】
スイッチ40は、第1回転体31に駆動力を付与する駆動力付与状態と、第1回転体31への駆動力の付与を停止する駆動力付与停止状態とを切り替え可能なスイッチである。図1に記載の例では、スイッチ40は、機械的な操作を電気信号に変換するリミットスイッチである。
【0022】
図1に記載の例では、スイッチ40が駆動力付与状態(換言すれば、ON状態)になると、モータ32は、第1回転体31に駆動力を付与する。その結果、第1回転体31が、第1回転方向R1に回転する。他方、スイッチ40が、駆動力付与停止状態(換言すれば、OFF状態)になると、モータ32は、第1回転体31に駆動力を付与しない。なお、スイッチ40が駆動力付与停止状態であるときに、電線Wおよび線状材Pに作用する張力によって第1回転体31が第2回転方向(第1回転方向R1とは逆の回転方向)に回転するのを防止する逆回転防止機構が設けられていてもよい。
【0023】
図1に記載の例では、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)へのスイッチ40の切り替えは、第1回転体31によって牽引される線状材Pを操作することによって行うことが可能である。図2に記載の例では、線状材Pを引っ張る操作(より具体的には、第1方向に引っ張る操作)を行うことにより、スイッチ40が、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)に切り替えられる。
【0024】
図1および図2に記載の例では、駆動力付与状態(ON状態)から駆動力付与停止状態(OFF状態)へのスイッチ40の切り替えは、第1回転体31によって牽引される線状材Pを操作すること、より具体的には、線状材Pの位置を変更することによって実行可能である。例えば、被操作部421に接触している線状材Pを被操作部421から離れる方向(例えば、下方向)に移動させることにより、スイッチ40が、駆動力付与状態(ON状態)から駆動力付与停止状態(OFF状態)に切り替えられる。
【0025】
第1の実施形態における電線牽引装置1Aでは、駆動力付与停止状態から駆動力付与状態へのスイッチの切り替え、または、駆動力付与状態から駆動力付与停止状態へのスイッチの切り替えは、第1回転体によって牽引される線状材を操作することによって実行可能である。このため、作業者は、手元にある線状材を操作することにより、効率的に電線牽引作業を開始および/または停止することができる。より具体的には、電線牽引作業を開始するに際しては、作業者は線状材を引っ張ればよい。また、電線牽引作業を停止または中断するに際しては、線状材Pの位置を変更すればよい(より具体的には、被操作部421に接触している線状材Pを被操作部421から離れる方向(例えば、下方向)に移動させればよい。)。
【0026】
第1の実施形態では、駆動力付与状態から駆動力付与停止状態へのスイッチの切り替えを、線状材を移動させることにより実行可能である。この場合、意図せぬトラブル(例えば、第1回転体31への異物の巻き込み等)が発生したとき、作業者は、線状材を移動させることにより、電線牽引作業を速やかに中断させることが可能である。換言すれば、作業者は、電線牽引作業を停止または中断するに際して、手元にない主電源スイッチまたはリモコンスイッチ等を操作する必要がない。
【0027】
続いて、駆動力付与停止状態から駆動力付与状態へのスイッチ40の切り替え、または、駆動力付与状態から駆動力付与停止状態へのスイッチ40の切り替えを実行するための具体的な構成例について説明する。
【0028】
図1に記載の例では、電線牽引装置1Aは、線状材Pによって操作される被操作部材42を備える。そして、被操作部材42が第1位置(図1に示される位置)から第2位置(図2に示される位置)に移動すると、スイッチ40は、駆動力付与停止状態から駆動力付与状態に切り替えられる。
【0029】
図1に記載の例では、被操作部材42は、第1回転体31よりも、第1回転体31による線状材Pの牽引方向下流側に配置されている。また、図1に記載の例では、被操作部材42の被操作部421(線状材Pによって操作される部分)は、付勢部材43によって下方に付勢されている。代替的に、あるいは、付加的に、被操作部材42の被操作部421(線状材Pによって操作される部分)が、重力によって下方に付勢されていてもよい。
【0030】
図1に記載の例において、作業者が線状材Pを引っ張ると、線状材Pは、被操作部材42の被操作部421を押圧する。その結果、被操作部材42が、第1位置(図1に示される位置)から、第2位置(図2に示される位置)に移動する。被操作部材42が、重力および/または付勢部材43の付勢力に抗して、第1位置から第2位置に移動すると、スイッチ40は、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)に切り替えられる。図2に記載の例では、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動すると、被操作部材42がスイッチ40を押圧する。その結果、スイッチ40が、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)に切り替えられる。
【0031】
なお、第1位置は、例えば、被操作部材42に操作力が作用していない状態における被操作部材42の位置であり、より具体的には、第1位置は、被操作部材42のデフォルト位置あるいはホームポジションである。他方、第2位置は、例えば、被操作部材42に操作力が作用している状態における被操作部材42の位置である。被操作部材42に操作力が作用していないとき、被操作部材42は、第2位置から第1位置に自動的に復帰するように構成されていることが好ましい。
【0032】
図1に記載の例において、作業者が線状材Pを被操作部421から離間する方向に移動させると、被操作部421に対する線状材Pの押圧が解除される。その結果、被操作部材42が、第2位置(図2に示される位置)から、第1位置(図1に示される位置)に移動する。被操作部材42が、重力および/または付勢部材43の付勢力によって、第2位置から第1位置に移動すると、スイッチ40は、駆動力付与状態(ON状態)から駆動力付与停止状態(OFF状態)に切り替えられる。図1に記載の例では、被操作部材42が第2位置から第1位置に移動すると、スイッチ40に対する被操作部材42の押圧が解除される。
【0033】
図1に記載の例では、付勢部材43は、揺動軸AX2に配置されたねじりコイルばねであるが、付勢部材43の配置および種類は、図1に記載の例に限定されない。付勢部材43は、ねじりコイルばね以外の付勢部材(例えば、コイルばね、板バネ、磁石等)であってもよい。また、被操作部材42が、被操作部材42あるいは線状材Pに作用する重力により、自動的に第1位置に復帰するように構成されている場合には、付勢部材43は省略されてもよい。
【0034】
図1に記載の例では、被操作部材42は揺動部材である。より具体的には、被操作部材42は、揺動軸AX2まわりを揺動可能なように、電線牽引装置本体2によって支持されている。そして、線状材Pが、被操作部材42の被操作部421を押圧すると、被操作部材42が、揺動軸AX2まわりを回動し、被操作部材42が第1位置(図1に示される位置)から第2位置(図2に示される位置)に移動する。その結果、被操作部材42の作用端422が、スイッチ40を押圧する。
【0035】
代替的に、図3に示されるように、被操作部材42は、電線牽引装置本体2に対して直線的に相対移動可能な部材であってもよい。図3は、被操作部材42を含む部分の概略縦断面図である。
【0036】
図3に記載の例において、作業者が線状材Pを引っ張る(あるいは、作業者が線状材Pを上方、すなわち、図3における下側から上側に向かう方向に引き上げる)と、線状材Pは、被操作部材42の被操作部421を押圧する。その結果、被操作部材42が、第1位置から、第2位置に直線的に移動する。被操作部材42が、重力および/または付勢部材43の付勢力に抗して、第1位置から第2位置に移動すると、スイッチ40は、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)に切り替えられる。図3に記載の例では、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動すると、被操作部材42がスイッチ40を押圧する。その結果、スイッチ40が、駆動力付与停止状態(OFF状態)から駆動力付与状態(ON状態)に切り替えられる。
【0037】
図1乃至図3に記載の例では、線状材Pが被操作部材42の被操作部421を上方に向けて押圧することにより、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動する。代替的に、図4に示されるように、線状材Pが被操作部材42の被操作部421を下方に向けて押圧することにより、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動するようにしてもよい。更に代替的に、線状材Pが被操作部材42の被操作部421を側方に向けて押圧することにより、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動するようにしてもよい。
【0038】
図1に記載の例では、線状材Pの端部を操作することなく(例えば、線状材Pの端部を地面に放置した状態で)、線状材Pを第1回転体31にセットすることが可能なように、第1回転体31の一側方は開放されている。より具体的には、第1回転体31は、電線牽引装置本体2に片持ち支持されている。そして、電線牽引装置本体2に支持されていない側の一側方から、第1回転体31に線状材Pを巻き付けることが可能である。
【0039】
第1回転体31の一側方が開放されている場合、換言すれば、線状材Pの中央部分が、当該一側方から第1回転体31にアクセス可能である場合、線状材Pの中央部分の任意の位置で、線状材Pを第1回転体31にセットすることが可能となる。このため、第1回転体31による線状材Pの牽引に先立って、線状材Pを第1回転体31にセットする作業を効率的に実行することができる。ただし、第1の実施形態では、線状材Pの端部を第1回転体の周方向に沿って移動させることにより、線状材Pを第1回転体31にセットすることは排除されない。
【0040】
図1に記載の例において、線状材Pの端部を操作することなく(例えば、線状材Pの端部を地面に放置した状態で)、線状材Pを被操作部材42の被操作部421と第1回転体31との間にセットすることが可能なように、被操作部材42の一側方は開放されている。より具体的には、被操作部材42は、電線牽引装置本体2に片持ち支持されている。そして、電線牽引装置本体2に支持されていない側の一側方から、線状材Pを被操作部421に対向する初期位置に配置することが可能である。
【0041】
被操作部材42の一側方が開放されている場合、被操作部材42の一側方を介して、線状材Pの中央部分を、被操作部材42(より具体的には、被操作部421)に対向する初期位置にセットすることができる。この場合、線状材Pの中央部分の任意の位置で、線状材Pを被操作部材42に対向する初期位置にセットすることが可能となる。このため、線状材Pを被操作部材42に対向する初期位置にセットする作業を効率的に実行することができる。
【0042】
図1に示されるように、電線牽引装置1Aは、第1回転体31よりも、第1回転体31による線状材Pの牽引方向上流側に配置されたガイド部材50を備えていてもよい。ガイド部材50は、線状材Pを第1回転体31に向かって案内する部材である。
【0043】
ガイド部材50は、線状材Pの端部を操作することなく(例えば、線状材Pの端部を地面に放置した状態で)、線状材Pの中央部分を、ガイド部材50にセット可能な形状または構造を有することが好ましい。換言すれば、線状材Pの中央部分を、ガイド部材50の側部外方からガイド部材50の内側に向けて移動させることにより、線状材Pの中央部分をガイド部材50の内側にセット可能であることが好ましい。
【0044】
図5図2のA-A矢視断面図)に記載の例では、ガイド部材50は、ガイド部材ベース部51と、ガイド部材ベース部51の側方開口部OPを開閉可能な開閉部材52とを備える。そして、線状材Pの中央部分を開閉部材52に押し付けて開閉部材52を開放することにより、線状材Pをガイド部材50の内側にセットすることが可能である。なお、図5に記載の例では、ガイド部材50は、開閉部材52を閉方向に付勢する付勢部材53(例えば、ねじりコイルばね)を備える。
【0045】
代替的に、図6に示されるように、ガイド部材50は、螺旋形状を有する部材(例えば、コイル状部材)であってもよい。ガイド部材50が螺旋形状を有する場合にも、線状材Pの中央部分を、ガイド部材50の側部外方からガイド部材50の内側に向けてセットすることが可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
図7乃至図16を参照して、第2の実施形態における電線牽引装置1Bについて説明する。図7は、第2の実施形態における電線牽引装置1Bを模式的に示す概略側面図である。なお、図7には、電線牽引装置本体2と、取付部材3と、緊締具12とが互いに分離された状態が示されている。図8は、取付部材3の一例を模式的に示す概略3面図である。図8の上側には平面図が記載され、図8の右下側には正面図が記載され、図8の左下側には側面図が記載されている。図9は、取付部材3の一例を模式的に示す概略2面図である。図9(a)において、ピン部材110aは、緊締具12の着脱を行うための着脱用位置にあり、図9(b)において、ピン部材110aは、緊締具12を保持する保持位置にある。図10は、取付部材3の一例を模式的に示す概略2面図である。図10の右側には正面図が記載され、図10の左側には側面図が記載されている。図11は、緊締具12の一例を模式的に示す概略2面図である。図11の上側には、側面図が記載され、図11の下側には、底面図が記載されている。図12は、電線牽引装置本体2の一例を模式的に示す概略2面図である。図12の右側には、正面図が記載され、図12の左側には、側面図が記載されている。図13は、電線牽引装置本体2および取付部材3の一例を模式的に示す概略側面図である。図14は、電線牽引装置本体2および取付部材3の一例を模式的に示す概略正面図である。図15は、電線牽引装置本体2の一例を模式的に示す概略側面図である。図15(a)において、被操作部材42は第1位置(デフォルト位置)にあり、図15(b)において、被操作部材42は第2位置にある。図16は、電線牽引装置本体2の一例を模式的に示す概略正面図である。図16(a)において、被操作部材42は、ロック機構Lによるロックが解除された状態となっており、図16(b)において、被操作部材42は、ロック機構Lによってロックされた状態となっている。
【0047】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0048】
図7に記載の例では、電線牽引装置1Bは、第1回転体およびモータ32を支持する電線牽引装置本体2と、取付部材3と、緊締具12(第1の緊締具12-1、および、第2の緊締具12-2)とを備える。また、図7に記載の例では、電線牽引装置本体2と取付部材3とが別体であり、電線牽引装置本体2と取付部材3とが着脱自在である。
【0049】
(取付部10)
第2の実施形態における電線牽引装置1Bの取付部材3および緊締具12は、第1の実施形態における電線牽引装置1Bの取付部10に対応する。換言すれば、第2の実施形態では、取付部10は、取付部材3および緊締具12を備える。
【0050】
(取付部材3)
図8乃至図10を参照して、取付部材3について説明する。取付部材3は、固定対象物OBに固定されるベース部11を備える。
【0051】
図8(正面図)に記載の例では、取付部材3(より具体的には、ベース部11)は、少なくとも2本の縦材112と、少なくとも2本の縦材112を互いに連結する連結部材113とを備える。固定対象物OBが電柱等の柱状体であるとき、縦材112は、当該柱状体の長手方向に沿って配置される部材である。また、連結部材113は、柱状体の長手方向と非平行に配置される部材であり、より具体的には、連結部材113は、例えば、柱状体の周方向に沿うように配置される部材である。
【0052】
図8(平面図)に記載の例では、取付部材3の上端部(より具体的には、縦材112の上端部)は、L字形状部を有する。換言すれば、縦材112の上端部は、縦材112の長手方向に垂直な断面において、L字形状を有する。L字形状部の第1部分112aは、電線牽引装置本体2を掛けることが可能な本体支持部として機能する。また、L字形状部の第2部分112bは、電線牽引装置本体2の横方向の位置ずれを防止する位置決め部として機能する。
【0053】
図8(正面図)に記載の例では、取付部材3(より具体的には、縦材112)には、緊締具12を取り付けるための緊締具取付部110が設けられている。また、緊締具取付部110は、ピン部材110aを備える。ピン部材110aは、緊締具12の着脱を行うための着脱用位置(図9(a))と、緊締具12を保持する保持位置(図9(b))との間で位置変更可能である。また、取付部材3は、ピン部材110aが、保持位置から着脱用位置に移動するのを防止するロック機構を備えていることが好ましい。図10に記載の例では、保持位置にあるピン部材110aを、ピン部材110aの中心軸まわりに回転させることにより(矢印Bを参照。)、ピン部材110aをロックすることができる。
【0054】
図8(正面図)に記載の例では、右側の縦材112に、右上側の緊締具取付部110-1、および、右下側の緊締具取付部110-2が設けられている。また、左側の縦材112に、左上側の緊締具取付部110-3、および、左下側の緊締具取付部110-4が設けられている。そして、第1の緊締具12-1は、右上側の緊締具取付部110-1と左上側の緊締具取付部110-3との間に架け渡され、第2の緊締具12-2は、右下側の緊締具取付部110-2と左下側の緊締具取付部110-4との間に架け渡されることとなる。
【0055】
図8(正面図)に記載の例では、取付部材3に、把手部115が設けられている。より具体的には、複数の連結部材113のうちの最上段の連結部材113に、把手部115が設けられている。取付部材3が把手部115を有することにより、作業者は、取付部材3を容易に運搬することができる。
【0056】
図8(平面図)に記載の例では、連結部材113の面のうち電柱等の柱状体と接触する面は、弧状面113aを含む。連結部材113が弧状面113aを含むことにより、連結部材113を、柱状体の外周面にしっかりと固定することが可能となる。
【0057】
図8(側面図)に記載の例では、取付部材3(より具体的には、取付部材3の下端部)には、電線牽引装置本体2を固定するための固定部117が設けられている。図8に記載の例では、固定部117は、固定ピンが挿通される穴部117hを含む。
【0058】
(緊締具12)
図11を参照して、緊締具12について説明する。緊締具12は、固定対象物OBに取付部材3を固定するための部材である。図11に記載の例では、取付部材3と緊締具12とが別体であり、緊締具12は、取付部材3から完全に取り外し可能である。代替的に、緊締具12が、取付部材3に一体的に設けられていてもよい。
【0059】
図11に記載の例では、緊締具12は、可撓性ベルト122と、緊締具取付部110(より具体的には、ピン部材110a)に取り付け可能な第1端部123と、他の緊締具取付部110(より具体的には、他のピン部材110a)に係合可能な第2端部とを備える。図11に記載の例では、第2端部は、第2係合部121(例えば、係合フック)である。緊締具12は、可撓性ベルト122の長さを調整する長さ調整機構125を備えていてもよい。
【0060】
図11に記載の例では、第1端部123は、孔部123hを備える。図9に記載のピン部材110aに、第1端部123を取り付けるに際しては、第1に、ピン部材110aが着脱用位置に移動される(図9(a)を参照。)。第2に、ピン部材110aの位置と孔部123hの位置とが整合するように、第1端部123がピン部材110aに対して位置決めされる。第3に、ピン部材110aが着脱用位置から保持位置に移動される。その結果、ピン部材110aが孔部123hに挿入される。第4に、ピン部材110aがロック機構によりロックされる。より具体的には、例えば、ピン部材110aを、ピン部材110aの中心軸まわりに回転させることにより(図10の矢印Bを参照。)、ピン部材110aがロックされる。
【0061】
取付部材3を、固定対象物OB(例えば、電柱)に固定するに際しては、第1に、第1端部123が緊締具取付部110に取り付けられている状態の緊締具12が、固定対象物OBの周囲に配置される。第2に、緊締具12の第2端部(より具体的には、第2係合部121)が、他の緊締具取付部110(より具体的には、他のピン部材110a、換言すれば、第1係合部111)に係合される。第3に、長さ調整機構125によって、可撓性ベルト122の長さが短縮される。その結果、取付部材3が、固定対象物OB(例えば、電柱)に強固に固定される。なお、図11に記載の例では、長さ調整機構125は、ラチェット歯125aと、レバー部材125bと、軸部材125cとを含む。レバー部材125bを揺動操作することにより、軸部材125cに可撓性ベルト122が巻き付けられ、可撓性ベルト122の長さが短縮される。その結果、可撓性ベルト122によって、取付部材3と固定対象物OBとが緊締される。
【0062】
第2の実施形態における電線牽引装置1Bは、少なくとも2つの緊締具12を備えることが好ましい。第1の緊締具12-1の第1端部123が右上側(または左上側)の緊締具取付部110に取り付けられ、第1の緊締具12-1の第2端部が左上側(または右上側)の緊締具取付部110に取り付けられることにより、取付部材3の上端部が固定対象物OBに固定される。また、第2の緊締具12-2の第1端部123が右下側(または左下側)の緊締具取付部110に取り付けられ、第2の緊締具12-2の第2端部が左下側(または右下側)の緊締具取付部110に取り付けられることにより、取付部材3の下端部が固定対象物OBに固定される。
【0063】
第2の実施形態における電線牽引装置1Bは、第1回転体およびモータ32を支持する電線牽引装置本体2と、電線牽引装置本体2とは別体の取付部材3とを具備する。また、電線牽引装置本体2と取付部材3とが着脱自在である。よって、第2の実施形態では、相対的に軽い取付部材3を、固定対象物OBに固定した後、相対的に重い電線牽引装置本体2を取付部材3に固定することが可能である。このため、重量の大きな電線牽引装置本体を、直接的に、固定対象物OBに固定する作業が不要となり、電線牽引装置本体を固定対象物OBに固定する際の作業者の負担が軽減される。
【0064】
続いて、図12乃至図16を参照して、電線牽引装置本体2、および、電線牽引装置本体2によって直接的または間接的に支持される部材について説明する。
【0065】
(電線牽引装置本体2)
電線牽引装置本体2は、第1回転体31およびモータ32を支持する構造体である。電線牽引装置本体2は、棒状部材(または柱状部材)、枠部材、板部材等の構造材を組み合わせて形成される。
【0066】
第2の実施形態において、電線牽引装置本体2と、取付部材3とが別体である場合、電線牽引装置本体2は、電線牽引装置本体2を、取付部材3に取り付けるための取り付け機構Gを備える。なお、第2の実施形態において、電線牽引装置本体2と取付部材3とが一体である場合には、当該取り付け機構Gは省略される。
【0067】
図13に記載の例では、取り付け機構Gは、電線牽引装置本体2の上部を取付部材3に取り付けるための上部取付部21と、電線牽引装置本体2の下部を取付部材3に取り付けるための下部取付部22とを備える。上部取付部21および下部取付部22は、電線牽引装置本体2の背面側部分に設けられている。
【0068】
図13に記載の例では、上部取付部21は、フック形状を有する掛止部211を含む。図13に記載の例では、電線牽引装置本体2の掛止部211を、下方に移動させて、取付部材3の本体支持部(112a)に掛止することにより、電線牽引装置本体2の上部が取付部材3に取り付けられる。取付部材3は、電線牽引装置本体2の横方向の移動を防止する位置決め部(112b)を備える。このため、電線牽引装置本体2の上部を取付部材3に取り付ける際に、電線牽引装置本体2が取付部材3に対して位置ずれすることはない。図14には、電線牽引装置本体2の上部を取付部材3に取り付けた後の状態が示されている。
【0069】
図14に記載の例では、下部取付部22は、取付部材3の穴部117h(図8を参照。)に挿入可能な固定ピン221を含む。図14に記載の例では、固定ピン221を移動させて、固定ピン221を穴部117hに挿入することにより、電線牽引装置本体2の下部が取付部材3に固定される。
【0070】
(第1回転体31)
図14に記載の例では、電線牽引装置1Bは、第1回転体31を備える。第1回転体31は、電線Wに接続された線状材Pを牽引可能な回転体である。図14に記載の例では、第1回転体31の中央部分の外径が、第1回転体31の両端部の外径よりも小さい。このため、第1回転体31によって、線状材Pを牽引する際に、第1回転体31から線状材Pが脱落することが抑制される。
【0071】
第1回転体31は、電線牽引装置本体2によって支持されている。第1回転体31は、電線牽引装置本体2によって直接的に支持されてもよいし、電線牽引装置本体2によってモータ32を介して間接的に支持されてもよい。図14に記載の例では、第1回転体31は、モータ32を介して電線牽引装置本体2によって片持ち支持されている。
【0072】
(モータ32)
図14に記載の例では、電線牽引装置1Bは、モータ32を備える。モータ32は、第1回転体31に駆動力を付与する。モータ32は、例えば、減速機付きの電動モータである。
【0073】
(スイッチ40)
電線牽引装置1Bは、スイッチ40(図14には図示されていない。)を備える。スイッチ40については、第1の実施形態において説明済みであるため、スイッチ40についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0074】
(被操作部材42)
図14に記載の例では、電線牽引装置1Bは、線状材Pによって操作可能な被操作部材42を備える。線状材Pによって、被操作部材42を、図15(a)に示される第1位置から図15(b)に示される第2位置に移動させることにより、スイッチ40(図15には図示されていない。)がONとなる。他方、線状材Pを被操作部材42から離間させることにより、被操作部材42は、自動的に、図15(b)に示される第2位置から図15(a)に示される第1位置に移動する。その結果、スイッチ40がOFFとなる。
【0075】
なお、図15に記載の例では、被操作部材42の被操作部421が、第1回転体31(図15では、第1回転体31は、モータ32の裏側に位置する)よりも手前側、換言すれば、上部取付部21または下部取付部22等が配置された背面側とは反対側に配置されている。ただし、被操作部材42および被操作部421の配置は、図15に記載の例に限定されない。
【0076】
電線牽引装置1Bは、被操作部材42が第1位置(図15(a)に示される位置)から第2位置(図15(b)に示される位置)に移動することを防止するロック機構Lを備えていてもよい。
【0077】
図16に記載の例では、ロック機構Lは、被操作部材42の移動を制限するストッパ部材428と、当該ストッパ部材428の位置を変更するストッパ部材操作部429とを備える。
【0078】
図16に記載の例において、ロック機構Lを作動状態にするためには、ストッパ部材操作部429を操作することにより(より具体的には、ストッパ部材操作部429を押し込み、その後、ストッパ部材操作部429をストッパ部材428の軸まわりに回転させることにより)、ストッパ部材428の位置を、退避位置(図16(a)に示される位置)から、進出位置(図16(b)に示される位置)に移動させればよい。ストッパ部材428の位置が進出位置にあるとき、ストッパ部材428は、被操作部材42の移動軌道上に位置する。このため、被操作部材42を、第1位置(図15(a)に示される位置)から第2位置(図15(b)に示される位置)に移動させることはできない。
【0079】
図16に記載の例において、ロック機構Lを非作動状態にするためには、ストッパ部材操作部429を操作することにより、ストッパ部材428の位置を、進出位置(図16(b)に示される位置)から、退避位置(図16(a)に示される位置)に移動させればよい。
【0080】
図16に記載の例では、電線牽引装置1Bは、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動することを防止するロック機構Lを備える。このため、意図せずして被操作部材42が操作されることが防止され、その結果、意図せずして第1回転体31が回転駆動されることが防止される。また、被操作部材42をロック状態にしておくことにより、電線牽引装置本体2の運搬時に、被操作部材42がバタつくことがない。よって、電線牽引装置本体2の運搬作業を行い易くなる。また、被操作部材42がバタつくことによって、被操作部材42および被操作部材42によって操作されるスイッチ40が故障することもない。
【0081】
(ガイド部材50)
電線牽引装置1Bは、ガイド部材50を備えていてもよい。図16に記載の例では、ガイド部材50は、第1回転体31の上方に配置されている。また、ガイド部材50は、電線牽引装置本体2の上部に取り付けられている。ガイド部材50については、第1の実施形態においても説明されている。よって、ガイド部材50についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0082】
(キャスター部材60)
電線牽引装置1Bは、キャスター部材60を備えていてもよい。図16に記載の例では、キャスター部材60は、電線牽引装置本体2の底部に取り付けられている。キャスター部材60は、2個、3個、または4個以上の車輪を備えることが好ましい。また、キャスター部材60が備える複数の車輪のうちの少なくとも1つは、回転ロック機構付きの車輪であることが好ましい。電線牽引装置本体2にキャスター部材60が設けられていている場合には、電線牽引装置本体2の運搬作業が容易となる。
【0083】
(把手部70)
電線牽引装置1Bは、把手部70を備えていてもよい。図16に記載の例では、第1把手部70aが、電線牽引装置本体2の上部に取り付けられている。より具体的には、第1把手部70aは、電線牽引装置本体2の上部フレームから上方に延在するように、当該上部フレームに取り付けられている。
【0084】
電線牽引装置本体2に第1把手部70aが設けられている場合には、電線牽引装置本体2の運搬作業が容易となる。また、電線牽引装置本体2を持ち上げて、電線牽引装置本体2の上部を取付部材3の上部に引っ掛ける作業が容易となる。
【0085】
電線牽引装置本体2には、第2把手部70bが設けられていてもよい。図16に記載の例では、第2把手部70bが、電線牽引装置本体2の前側下部に取り付けられている。そして、第2把手部70bが、電線牽引装置本体2の前側下部から前方に向かって延在している。電線牽引装置本体2に第2把手部70bが設けられている場合には、電線牽引装置本体2を持ち上げて、電線牽引装置本体2の上部を取付部材3の上部に引っ掛ける作業が容易となる。
【0086】
(主電源スイッチ80)
図16に記載の例では、電線牽引装置1Bは、主電源スイッチ80を備える。主電源スイッチ80がOFFであるとき、被操作部材42がどの位置にあっても、第1回転体31は回転駆動されない。主電源スイッチ80は、非常停止スイッチとしても機能する。例えば、被操作部材42に異物が引っ掛かって被操作部材42を操作することができなくなった場合でも、主電源スイッチ80をOFFにすれば、第1回転体31の回転は停止する。
【0087】
(電線架設方法)
図17乃至図22を参照して、実施形態における電線架設方法について説明する。図17は、実施形態における電線架設方法の一例を示すフローチャートである。図18乃至図22は、実施形態における電線架設方法の一工程を模式的に示す図である。
【0088】
実施形態における電線架設方法は、電線牽引装置1を用いた電線架設方法である。電線架設方法で用いられる電線牽引装置1は、第1の実施形態における電線牽引装置1Aであってもよいし、第2の実施形態における電線牽引装置1Bであってもよいし、その他の電線牽引装置であってもよい。
【0089】
電線牽引装置1は、取付部10と、第1回転体31と、第1回転体31に駆動力を付与するモータ32とを具備する。取付部10、第1回転体31、モータ32については、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0090】
第1ステップST1において、取付部10が固定対象物OBである電柱に取り付けられる。
【0091】
第2の実施形態における電線牽引装置1Bのように、電線牽引装置本体2と取付部材3とが別体である場合を想定する。この場合、ステップST1-1において、取付部材3が電柱に取り付けられる。例えば、ベルト式緊締具等の緊締具12を用いて取付部材3を電柱に取り付けることが可能である。緊締具12については、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みであるため、緊締具12を用いて取付部材3を電柱に取り付ける手順の詳細についての繰り返しとなる説明は省略する。図18には、ステップST1-1を実行した後の状態が示されている。
【0092】
続いて、ステップST1-2において、第1回転体31およびモータ32を支持する電線牽引装置本体2が、取付部材3に取り付けられる。ステップST1-2は、例えば、電線牽引装置本体2の上部取付部21を、取付部材3の本体支持部(112a)に掛止することを含む。また、ステップST1-2は、例えば、電線牽引装置本体2の下部取付部22を、取付部材3の固定部117に取り付けることを含む。上部取付部21、本体支持部(112a)、下部取付部22、固定部117については、第2の実施形態において説明済みであるため、これらの構成を用いて電線牽引装置本体2を取付部材3に取り付ける手順の詳細についての繰り返しとなる説明は省略する。図19には、ステップST1-2を実行した後の状態が示されている。
【0093】
なお、電線牽引装置本体2と取付部材3とが一体である場合には、一体である電線牽引装置本体および取付部材3を、直接、電柱に取り付ければよい。この場合、第1ステップST1は、ステップST1-2を備えていなくてもよい。
【0094】
第2ステップST2において、線状材Pが、電柱上に配置される(より具体的には、電柱に設置されたローラユニットである金車U上に配置される)。図20(a)には、第2ステップST2を実行した後の状態が示されている。なお、第2ステップST2は、第1ステップST1の前に実行されてもよいし、第1ステップST1の後に実行されてもよい。
【0095】
第3ステップST3において、新設電線W1と線状材Pとが、直接的または間接的に連結される。図20(b)に記載の例では、新設電線W1と線状材Pとが、連結具Cを介して連結されている。図20(b)に記載の例では、新設電線W1は、巻回ドラムDから繰り出された電線である。巻回ドラムDは、車両上に設置されたドラムであってもよいし、地上に配置されたドラムであってもよい。
【0096】
なお、第3ステップST3は、第1ステップST1の前に実行されてもよいし、第1ステップST1の後に実行されてもよい。また、第3ステップST3は、第2ステップST2の前に実行されてもよいし、第2ステップST2の後に実行されてもよい。
【0097】
第4ステップST4において、線状材Pが第1回転体31に巻回される。第4ステップST4は、線状材Pを第1回転体31に巻回してセットする線状材のセット工程である。
【0098】
第1回転体31の一側方が開放されている場合、より具体的には、第1回転体31が、電線牽引装置本体2によって片持ち支持されている場合には、開放されている当該一側方から、第1回転体31に線状材Pを巻き付けることが可能である。この場合、線状材Pの任意の位置で、線状材Pを第1回転体31にセットすることが可能である。なお、第4ステップST4において、線状材Pは、第1回転体31に、例えば、2周以上5周以下、より好ましくは、3周以上4周以下、更により好ましくは3周だけ巻回してセットされる。図21には、第4ステップST4を実行した後の状態が示されている。
【0099】
第5ステップST5において、線状材Pが牽引される。第5ステップST5は、線状材牽引工程である。第5ステップST5では、第1回転体31を回転させることにより、線状材Pが第1回転体31に巻き付けられるとともに、巻き付けられた線状材Pが第1回転体31から引き出される。
【0100】
第5ステップST5(線状材牽引工程)は、第1回転体31の回転を開始させる工程を含む。第1回転体31の回転は、第4ステップST4において第1回転体31に巻回セットされた線状材Pを操作することにより開始されることが好ましい。例えば、第5ステップST5において、線状材P(より具体的には、線状材Pのうち、第1回転体31よりも牽引方向下流側に配置された部分)を第1方向に、換言すれば、牽引方向下流側に向けて引っ張ることにより、第1回転体31の回転が開始される。より具体的には、図21の矢印Eによって示される第1方向に、線状材Pを引っ張ると、被操作部材42が線状材Pによって押圧され、被操作部材42が第1位置から第2位置に移動する(図21の矢印Fを参照。)。被操作部材42が第2位置に移動すると、スイッチ40(図21には図示されていない。)がON状態となり、モータ32の駆動力が第1回転体31に伝達される。その結果、第1回転体31の回転が開始される。
【0101】
第5ステップST5(線状材牽引工程)の実行により、線状材Pに連結された新設電線W1が電柱上に配置される(電線配置工程)。
【0102】
第6ステップST6において、第1回転体31による線状材Pの牽引が停止される。第6ステップST6は、牽引停止工程である。線状材Pの牽引の停止(換言すれば、第1回転体31の回転停止)は、第4ステップST4において第1回転体31に巻回セットされた線状材Pを操作することにより行われることが好ましい。例えば、第6ステップST6において、線状材P(より具体的には、線状材Pのうち、第1回転体31よりも牽引方向下流側に配置された部分)の位置を変更することにより、より具体的には、被操作部材42に接触していた線状材Pを被操作部材42から離間する方向に移動させることにより、第1回転体31の回転が停止される。より具体的には、線状材Pを被操作部材42から離間させると、被操作部材42が第2位置から第1位置に復帰する。被操作部材42が第1位置に移動すると、スイッチ40(図21には図示されていない。)がOFF状態となり、第1回転体31の回転が停止する。図22には、第6ステップST6を実行後の状態が示されている。
【0103】
実施形態における電線架設方法では、電線牽引装置1が、電柱に取り付けられる。このため、車両に搭載された巻き取りドラムまたはウインチを用いて電線の架設を行う場合と比較して、電線架設現場に配置すべき車両が少なくて済む。また、車両の配置が難しい場所に電柱があっても、電線を架設できる。更に、実施形態における電線架設方法において、電線牽引装置本体2と取付部材3とが別体である場合には、相対的に軽い取付部材3を電柱に固定してから、相対的に重い電線牽引装置本体2を取付部材3に固定することができる。このため、電線牽引装置1を電柱に取り付ける際の作業者の作業負担が軽減される。
【0104】
実施形態における電線架設方法において、第1回転体31の一側方が開放されている場合には、線状材Pの任意の位置で、線状材Pを第1回転体31に巻回セットすることができる。このため、線状材Pの先端(例えば、新設電線W1と線状材Pとの間の連結位置)と電線牽引装置1との間の距離の大小に関わらず、迅速に、線状材Pを第1回転体31に巻回セットすることができる。
【0105】
また、第1回転体31の回転の開始、および/または、第1回転体31の回転の停止が、第1回転体に巻回された線状材Pを操作することにより実行される場合には、作業者は、手元にある線状材Pを操作するだけで、線状材Pの牽引の開始および/または停止を制御することができる。このため、牽引作業の効率が向上する。また、意図せぬトラブルが生じたときに、作業者は、迅速に線状材Pの牽引を停止させることができる。
【0106】
(電線張替方法の第1例)
続いて、図23を参照して、電線架設方法の一形態である電線張替方法の第1例について説明する。図23は、電線架設方法の一形態である電線張替方法の一工程を模式的に示す図である。
【0107】
電線張替方法は、既設電線W2を新設電線W1に張り替えることを含む。電線張替方法の第1例では、上述の第1ステップST1乃至第6ステップST6のうち、第2ステップST2が、次の第2ステップST2’に置き換えられる。
【0108】
第2ステップST2’では、第1に、既設電線W2に線状材Pが連結される(図23(a)を参照。)。第2に、既設電線W2が牽引される(図23(a)の矢印Hを参照。)。既設電線W2の牽引に伴い、線状材Pが、電柱上、より具体的には、電柱に設置されたローラユニットである金車U上に配置される。第3に、線状材Pから既設電線W2が分離される(図23(b)を参照。)。
【0109】
第2ステップST2’の実行後、第3ステップST3において、線状材Pに、直接的または間接的に新設電線W1が連結される(図23(c)を参照。)。
【0110】
電線張替方法の第1例において、第1ステップST1、第3ステップST3乃至第6ステップST6は、上述の電線架設方法において説明された第1ステップST1、第3ステップST3乃至第6ステップと同様である。よって、第1ステップST1、第3ステップST3乃至第6ステップST6についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0111】
(電線張替方法の第2例)
続いて、図24を参照して、電線架設方法の一形態である電線張替方法の第2例について説明する。図24は、電線架設方法の一形態である電線張替方法の一工程を模式的に示す図である。
【0112】
図20(b)に記載の例では、新設電線W1に線状材Pが連結された。これに対し、電線張替方法の第2例では、図24に示されるように、新設電線W1が、既設電線W2を介して線状材Pに連結される。換言すれば、電線張替方法の第2例では、上述の電線架設方法において説明された第2ステップST2および第3ステップST3が、新設電線W1を、既設電線W2を介して線状材Pに連結する工程に置換される。そして、電線張替方法の第2例では、第1回転体31によって、線状材Pおよび既設電線W2を牽引することにより、線状材Pに間接的に連結された新設電線W1が電柱上に配置される。
【0113】
なお、電線張替方法の第2例において、第1ステップST1、第4ステップST4乃至第6ステップST6は、上述の電線架設方法において説明された第1ステップST1、第4ステップST4乃至第6ステップと同様である。このため、第1ステップST1、第4ステップST4乃至第6ステップST6についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0114】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態、各変形例、各構成例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態、各変形例、各構成例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態、他の変形例、他の構成例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態、各変形例、各構成例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の電線牽引装置、および、電線架設方法を用いると、効率的に電線牽引作業または電線架設作業を行うことができる。したがって、電線牽引作業または電線架設作業を行う業者、および、電線牽引装置を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0116】
1、1A、1B…電線牽引装置、2…電線牽引装置本体、3…取付部材、10…取付部、11…ベース部、12…緊締具、12-1…第1の緊締具、12-2…第2の緊締具、21…上部取付部、22…下部取付部、31…第1回転体、32…モータ、40…スイッチ、42…被操作部材、43…付勢部材、50…ガイド部材、51…ガイド部材ベース部、52…開閉部材、53…付勢部材、60…キャスター部材、70…把手部、70a…第1把手部、70b…第2把手部、80…主電源スイッチ、110、110-1乃至110-4…緊締具取付部、110a…ピン部材、111…第1係合部、112…縦材、112a…第1部分、112b…第2部分、113…連結部材、113a…弧状面、115…把手部、117…固定部、117h…穴部、121…第2係合部、122…可撓性ベルト、123…第1端部、123h…孔部、125…長さ調整機構、125a…ラチェット歯、125b…レバー部材、125c…軸部材、211…掛止部、221…固定ピン、421…被操作部、422…作用端、428…ストッパ部材、429…ストッパ部材操作部、AX1…回転軸、AX2…揺動軸、C…連結具、D…巻回ドラム、G…取り付け機構、L…ロック機構、OB…固定対象物、OP…側方開口部、P…線状材、U…金車、W…電線、W1…新設電線、W2…既設電線
図1
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