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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】カテーテルキット
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20220804BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20220804BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
A61J15/00 A
A61M25/00 534
A61M25/06 556
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018215872
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020081016
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000147785
【氏名又は名称】フォルテ グロウ メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】金澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 幸司
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0022326(US,A1)
【文献】特開2007-244771(JP,A)
【文献】特表2010-537744(JP,A)
【文献】特開2005-230059(JP,A)
【文献】特表2008-508059(JP,A)
【文献】特開平2-1294(JP,A)
【文献】特開平2-31765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 25/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルと、前記カテーテルに用いるスタイレットとを備えるカテーテルキットにおいて、
前記カテーテルは、
第1端部から第2端部までが所定長にされた中空部を備えて、当該中空部を除き、長さ方向に物が移動することを遮る管部と、
前記中空部の前記第1端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に対して略直交する方向に前記中空部を開口させる1つ以上の第1開口部と、
前記中空部の前記第2端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に前記中空部を開口させる第2開口部と、
前記中空部の前記第1端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に前記中空部を開口させる第3開口部と
を有し、
前記スタイレットは、
長さが前記所定長の2倍よりも長くされ、太さが前記中空部、前記第2開口部及び前記第3開口部の内径よりも細くされた樹脂製の本体部
を有することを特徴とするカテーテルキット。
【請求項2】
前記第3開口部は、
開口径が前記中空部の内径と略同じであること
を特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項3】
前記本体部は、
少なくとも一端が丸みを帯びた形状にされていること
を特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項4】
前記本体部は、
ポリプロピレン共重合体又は高密度ポリエチレンからなること
を特徴とする請求項1に記載のカテーテルキット。
【請求項5】
前記本体部は、
一端に弾性変形する樹脂が溶接されていること
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のカテーテルキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、スタイレット及びカテーテルキットに関する。
【背景技術】
【0002】
医療において、血管や消化管に挿入する管を備えたカテーテルが用いられることがある。例えば、血管内に挿入され、病変部に造影剤を注入することができる血管造影用カテーテルが知られている(例えば、特許文献1)。また、患者の食道を経由させて腸内に栄養を供給する栄養カテーテルも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-31478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、食道を経由させて腸内に流入食などによる栄養を供給する栄養カテーテルは、一般的には長期間にわたって用いられる。よって、栄養カテーテルは、詰まり、よごれ、又は劣化などが生じる可能性があるため、定期的に交換される必要がある。
【0005】
しかしながら、栄養カテーテルを交換する場合には、食道を通すべき栄養カテーテルが誤って気管に入ってしまうことを防止するために、X線や内視鏡などを用いて観察しながら交換するなど、医療機関の設備を用いる必要があった。また、在宅で容易に栄養カテーテルを交換できるようにしたいという要望もある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カテーテルの交換を容易にすることができるカテーテル、スタイレット及びカテーテルキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るカテーテルキットは、カテーテルと、前記カテーテルに用いるスタイレットとを備えるカテーテルキットにおいて、前記カテーテルは、第1端部から第2端部までが所定長にされた中空部を備えて、当該中空部を除き、長さ方向に物が移動することを遮る管部と、前記中空部の前記第1端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に対して略直交する方向に前記中空部を開口させる1つ以上の第1開口部と、前記中空部の前記第2端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に前記中空部を開口させる第2開口部と、前記中空部の前記第1端部側に設けられ、前記中空部の長さ方向に前記中空部を開口させる第3開口部とを有し、前記スタイレットは、長さが前記所定長の2倍よりも長くされ、太さが前記中空部、前記第2開口部及び前記第3開口部の内径よりも細くされた樹脂製の本体部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係るカテーテルキットは、前記第3開口部は、開口径が前記中空部の内径と略同じであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係るカテーテルキットは、前記本体部は、少なくとも一端が丸みを帯びた形状にされていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係るカテーテルキットは、前記本体部は、ポリプロピレン共重合体又は高密度ポリエチレンからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係るカテーテルキットは、前記本体部は、一端に弾性変形する樹脂が溶接されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カテーテルの交換を容易にすることができるカテーテル、スタイレット及びカテーテルキットを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るカテーテルキットの構成例を示す図である。
図2】(a)は、カテーテルの構成を例示する側面図である。(b)は、(a)に示した第1接続部を第2端部側から見た図である。
図3】(a)は、カテーテルの第1端部側周辺を例示する拡大図である。(b)は、(a)に示した先端部を第1端部側から見た図である。
図4】第1スタイレットの構成を例示する側面図である。
図5】(a)は、第2スタイレットの構成を例示する側面図である。(b)は、第2スタイレットの端部を例示する拡大図である。
図6】第2スタイレットがカテーテルを貫通している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を用いてカテーテルキット1の一実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、一実施形態に係るカテーテルキット1の構成例を示す図である。図1に示すように、カテーテルキット1は、例えばカテーテル2、第1スタイレット3、及び第2スタイレット4がセットにされている。
【0018】
ここで、カテーテル2は、第1端部側(先端側)から第2端部側(後端側)まで延びる例えば経鼻用の食道経由経腸栄養用チューブであり、患者の食道を経由させて十二指腸などの腸内に流入食などを供給することを可能にする。第1スタイレット3は、食道などにカテーテル2を通すときなどに、カテーテル2に挿入されることにより、カテーテル2の形を安定させるものである。第2スタイレット4は、食道などに通されて使用されているカテーテル2を交換するときに用いられる交換用スタイレットである。
【0019】
以下、カテーテル2、第1スタイレット3、及び第2スタイレット4について、それぞれ図面を用いて詳述する。
【0020】
まず、図2,3を用いて、カテーテル2の構成について詳述する。図2は、カテーテル2の構成を例示する図である。図2(a)は、カテーテル2の構成を例示する側面図である。図2(b)は、図2(a)に示した第1接続部24を第2端部側(後端側)から見た図である。図3は、カテーテル2の第1端部側(先端側)周辺を例示する図である。図3(a)は、カテーテル2の第1端部側周辺を例示する拡大図である。図3(b)は、図3(a)に示した先端部22を第1端部側から見た図である。
【0021】
カテーテル2は、管部20、先端部22、第1接続部24及び第2接続部26を有する。管部20は、例えば外径が1.7~4.0mmにされ、内径が1.0~2.8mmにされて第1端部から第2端部までが所定長にされた中空部202を備えたチューブである。
【0022】
先端部22は、管部20の第1端部側に接続されており、実質的に中空部202を延長させている。そして、先端部22は、中空部202の長さ方向に対して略直交する方向に中空部202を開口させる例えば2つの第1開口部220を有する。2つの第1開口部220は、互いに対向するように設けられており、実質的に中空部202を貫通する空間を形成している。
【0023】
また、管部20は、図2に示したように、先端部22の第1開口部220からの長さAが予め定められている。
【0024】
第1接続部24は、中空部202の第2端部側に設けられ、中空部202の長さ方向に中空部202を開口させる第2開口部240を有する。第2開口部240は、開口径が例えば5~12mmにされている。第1接続部24は、図1に示した第1スタイレット3、第2スタイレット4、及び図示しない他の容器に入れられた流動食などを第2開口部240から受け入れ、管部20の中空部202へ導くことができるように内部に空間が形成されている。つまり、図2(a)に示したように、第1接続部24から管部20を介して接続されている先端部22までの長さBがカテーテル2の全長となっている。長さBは、例えば120cmにされている。なお、第1接続部24は、第2開口部240を開閉させるキャップ242が設けられている。
【0025】
第2接続部26は、補助開口部260が設けられており、内部の空間が第1接続部24内の空間に接続されている。補助開口部260は、開口径が例えば5~12mmにされている。第2接続部26は、図1に示した第1スタイレット3、及び図示しない他の容器に入れられた流動食などを補助開口部260からから受け入れ、管部20の中空部202へ導くことができるようにされている。なお、第2接続部26は、補助開口部260を開閉させるキャップ262が設けられている。また、第2接続部26は、カテーテル2に設けられていなくてもよい。
【0026】
また、図3にも示したように、管部20は、先端部22が食道などへ向けて矢印Cの方向に挿入されたときの深度を示すために、先端部22の第1開口部220からの長さDを示す目盛が付されている。管部20に付された目盛は、例えば45cm、55cm、65cm、75cmの長さを示す。
【0027】
また、図3(a),(b)に示したように、先端部22は、中空部202の第1端部側に、中空部202の長さ方向に中空部202を開口させる第3開口部222が設けられている。第3開口部222は、管部20の内径E(中空部202の径)と略同じ開口径Fが設定されている。
【0028】
次に、図4を用いて、第1スタイレット3の構成について詳述する。図4は、第1スタイレット3の構成を例示する側面図である。第1スタイレット3は、本体部30及び把持部32を有する。
【0029】
本体部30は、例えば金属若しくはポリプロピレン共重合体又は高密度ポリエチレンなどの樹脂によって形成されており、カテーテル2に対して挿入される長さGが、図2に示したカテーテル2の長さBよりも例えば短くなるようにされている。ただし、第1スタイレット3は、長さGがカテーテル2の長さBの1.5倍程度に設定されてもよい。そして、本体部30は、カテーテル2の管部20内での滑りがよくなるようにされており、管部20に挿入された場合に、本体部30の強度(いわゆるコシ)と柔軟性によって管部20の形を安定させることができる。
【0030】
把持部32は、本体部30をカテーテル2に挿入させる場合などに使用者が把持する部分である。また、把持部32は、本体部30がカテーテル2に挿入される範囲を制限する機能も兼ねている。
【0031】
次に、図5を用いて、第2スタイレット4の構成について詳述する。図5は、第2スタイレット4の構成を例示する図である。図5(a)は、第2スタイレット4の構成を例示する側面図である。図5(b)は、第2スタイレット4の端部を例示する拡大図である。
【0032】
第2スタイレット4は、例えば長さHがカテーテル2の長さB(図2参照)の2倍以上にされており、太さが中空部202、第2開口部240及び第3開口部222の内径よりも細くされた樹脂製の本体部40を備える。長さHは、例えば280cmにされている。本体部40は、カテーテル2の管部20内での滑りがよくなるようにされており、管部20に挿入された場合に、本体部40の強度(いわゆるコシ)と柔軟性によって管部20の形を安定させることができるようにされている。
【0033】
例えば、本体部40は、密度が0.90g/cm3であり、ロックウェル硬さ(R-スケール)が79であるポリプロピレン共重合体(インパクトコポリマー)によって形成される。また、本体部40は、例えば密度が0.962g/cm3であり、デュロメータ硬さが71である高密度ポリエチレンによって形成されてもよい。
【0034】
また、図5に示すように、本体部40は、例えば先端部400及び後端部402がそれぞれ丸みを帯びた形状にされており、食道や十二指腸内に挿入されても先端部400などが食道や十二指腸を傷つけることを防止されている。
【0035】
さらに、先端部400は、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO:Thermoplastic Olefinic Elastomer)などのゴムのように弾性変形する樹脂が溶接されることによって設けられることが好ましい。この場合、先端部400は、例えば5~30mmの長さにされる。すなわち、本体部40は、コシのある所定の強度の樹脂と、エラストマーとによって構成され、腸壁を傷つけないようにされてもよい。
【0036】
次に、カテーテルキット1の使用方法について説明する。図6は、第2スタイレット4がカテーテル2を貫通している状態を示す図である。図6に示すように、第2スタイレット4は、第3開口部222から第2開口部240まで、又は第2開口部240から第3開口部222まで、カテーテル2の中空部202を通って突き抜けることができるようにされている。
【0037】
例えば、患者に対してカテーテル2を経鼻食道経由で十二指腸まで挿入する場合、医師などの使用者(施術者)は、例えばX線などによる観察を行いながら、第1スタイレット3を用いて、カテーテル2を気管に挿入させることなく、確実に食道を通過させる。
【0038】
患者が所定期間のカテーテル2の使用をした後に、医師などの使用者は、使用後のカテーテル2を新しいカテーテル2に交換する。ここで、医師などの使用者は、患者の食道を通っているカテーテル2の管部20に第2スタイレット4を通し、第2スタイレット4を食道等に通したままで、使用後のカテーテル2を患者から取り出す。
【0039】
カテーテル2は、第3開口部222から第2開口部240まで貫通しているので、第2スタイレット4を食道等に通したままで患者から取り出すことが可能となっている。
【0040】
そして、医師などの使用者は、患者の食道等に通っている第2スタイレット4に対し、新しいカテーテル2の第3開口部222を通し、新しいカテーテル2を患者の食道へ導く。
【0041】
このように、カテーテル2は、第2スタイレット4を用いることにより、X線などの医療機関の設備を用いることなく、容易に交換することが可能となっている。
【符号の説明】
【0042】
1・・・カテーテルキット、2・・・カテーテル、20・・・管部、202・・・中空部、22・・・先端部、220・・・第1開口部、222・・・第3開口部、24・・・第1接続部、240・・・第2開口部、242・・・キャップ、26・・・第2接続部、260・・・補助開口部、262・・・キャップ、3・・・第1スタイレット、30・・・本体部、32・・・把持部、4・・・第2スタイレット、40・・・本体部、400・・・先端部、402・・・後端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6