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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ホール位置検出システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 57/50 20150101AFI20220804BHJP
   A63B 57/40 20150101ALI20220804BHJP
【FI】
A63B57/50
A63B57/40
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019090970
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020185117
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】395023118
【氏名又は名称】株式会社テクノクラフト
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】栂坂 昌業
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-117570(JP,A)
【文献】特開2004-144709(JP,A)
【文献】特開2009-063588(JP,A)
【文献】特開平04-312479(JP,A)
【文献】特開2006-288416(JP,A)
【文献】特開2007-101555(JP,A)
【文献】特表平10-500883(JP,A)
【文献】特開2003-000788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 57/50
A63B 57/40
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場のグリーンにホールを開けるためのホールカッターに取り付けられる装置本体と、
前記装置本体に設けられ、準天頂衛星からの補強信号と航法衛星からの航法信号とを受信して、前記航法信号により特定された位置を前記補強信号で補正処理した測位データを出力する受信モジュールと、
前記装置本体に設けられ、当該装置本体から外部機器への情報送信を可能とする通信部と、
前記装置本体に設けられ、前記受信モジュールからの前記測位データを取り込んで、前記ホールの位置となる位置情報を前記通信部に送出する制御部と、
前記装置本体に設けられ、前記ホールカッターの加速度を検出する加速度センサと、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体による測定開始を指示するために押動操作される測定開始ボタンと、 を備え、
前記制御部は、前記測定開始ボタンが押動操作されて測定開始の指示を受領した後に、前記加速度センサが前記加速度を検出すると、前記受信モジュールからの前記測位データを取り込んで、前記位置情報を生成し始め
前記制御部は、前記測定開始ボタンが押動操作されて前記加速度を検出し、前記測位データを取り込んで前記位置情報を生成し始めた後、前記測定開始ボタンが再び押動操作されるまで、前記受信モジュールからの前記測位データの取り込みを停止す ることを特徴とするホール位置検出システム。
【請求項2】
前記測定開始ボタンの押動操作の時間の長短により別々の指示が行われ、前記測定開始ボタンが短い時間押動操作されると、前記装置本体による測定開始の指示が行われ、前記測定開始ボタンが前記短い時間よりも長い時間押動操作されると、前記制御部が全ホールの前記位置情報を前記通信部に送出するように指示が行われる ことを特徴とする請求項1記載のホール位置検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場のグリーンの適所に穿設されたホールの位置を精度良く検出するホール位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場のコースを構成する各ホールでは、カップの位置となるグリーン上のピン(旗)位置が個々に設定される。ピン位置は基本的に毎日、グリーンキーパーがホールカッターでグリーンにホール(穴)を開けて、そこに凹状のカップを設置することで、その日の位置を決定しており、ピン位置次第でホールの難易度が大きく変わってしまう。そのため、ゴルファーがプレイの戦略を立てる上で、ピン位置を決める基準となるホール位置は、非常に大切なポイントとなっている。
【0003】
従来、ピン位置(ホール位置)をプレイ前のゴルファーに伝えるには、グリーンキーパーがピン位置をメモして、それを管理サーバの画面上で手入力する作業が行なわれていた。この場合、手入力された内容を、通信手段によりゴルフカートに取付けたナビゲーション端末や、ゴルファーが保有する携帯端末(主にスマートフォン)にピン位置情報として配信し、これらの端末に備えた表示器でピン位置を表示していた。
【0004】
また、このような手入力に代わって、グリーン上のカップ位置に装置を移動し、タッチ操作によりカップ位置の地点登録を行なうと、GPS(Global Positioning System)受信部から取得した現在位置をバッファメモリに登録して、プレイ中にそのカップ位置を旗アイコンで表示させる考えが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-212419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した手入力での作業は煩雑である上に、入力の際に人為的なエラーが発生する可能性があり、問題であった。また、手入力を省くために、特許文献1に示すようなGPS受信部でカップ位置を取得して、その情報を何らかの通信手段で管理サーバ側に伝達することも可能であるが、GPS受信部の測位精度は誤差が数メートル程度で低く、カップ位置を正確に検出して表示させることができず、実用に耐えられなかった。さらに特許文献1では、グリーンキーパーがホール(穴)にカップを設置した後に、ゴルファーがカップの近くにまでわざわざ装置を持って行って、タッチ操作でカップ位置の地点登録を行わなければならず、端末を保有するゴルファーの負担も大きかった。
【0007】
そこで本発明は、ゴルファーの手を煩わすことなく、設定したホール位置を実用に耐え得る精度で検出して、ゴルファーに伝えることが可能なホール位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホール位置検出システムは、上記目的を達成するために、ゴルフ場のグリーンにホールを開けるためのホールカッターに取り付けられる装置本体と、前記装置本体に設けられ、準天頂衛星からの補強信号と航法衛星からの航法信号とを受信して、前記航法信号により特定された位置を前記補強信号で補正処理した測位データを出力する受信モジュールと、前記装置本体に設けられ、当該装置本体から外部機器への情報送信を可能とする通信部と、前記装置本体に設けられ、前記受信モジュールからの前記測位データを取り込んで、前記ホールの位置となる位置情報を前記通信部に送出する制御部と、前記装置本体に設けられ、前記ホールカッターの加速度を検出する加速度センサと、前記装置本体に設けられ、前記装置本体による測定開始を指示するために押動操作される測定開始ボタンと、を備え、前記制御部は、前記測定開始ボタンが押動操作されて測定開始の指示を受領した後に、前記加速度センサが前記加速度を検出すると、前記受信モジュールからの前記測位データを取り込んで、前記位置情報を生成し始め、前記制御部は、前記測定開始ボタンが押動操作されて前記加速度を検出し、前記測位データを取り込んで前記位置情報を生成し始めた後、前記測定開始ボタンが再び押動操作されるまで、前記受信モジュールからの前記測位データの取り込みを停止することを特徴とする。
【0009】
また本発明のホール位置検出システムは、前記測定開始ボタンの押動操作の時間の長短により別々の指示が行われ、前記測定開始ボタンが短い時間押動操作されると、前記装置本体による測定開始の指示が行われ、前記測定開始ボタンが前記短い時間よりも長い時間押動操作されると、前記制御部が全ホールの前記位置情報を前記通信部に送出するように指示が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、予め装置本体が取り付けられたホールカッターを使用して、グリーンキーパーがグリーン上の任意の位置で、ピンを立てるカップを設置するためのホールを開けると、装置本体に設けられた制御部が受信モジュールからの測位データを取り込んで、ホールの位置を自動的に算出し、その位置情報を通信部から外部機器に送出する。このとき受信モジュールは、航法衛星からの航法信号に加えて、準天頂衛星からの補強信号に対応した受信が可能で、受信モジュールの位置を特定する測位データの測位精度を、数センチメートル程度の誤差に大幅に向上させて制御部に送出できるので、ゴルファーの手を煩わすことなく、設定したホール位置を実用に耐え得る精度で検出して、外部機器からゴルファーに伝えることが可能となる。
【0011】
請求項2の発明によれば、ゴルファーが利用する外部機器に予め端末制御部を組み込んでおけば、ホールカッターで開けられたホールの位置を、複数の外部機器の表示部に共有して表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のホール位置検出システムについて、装置本体が取り付けられるホールカッターの全体斜視図である。
図2】同、装置本体をホールカッターに装着した状態の斜視図である。
図3】同、装置本体内部の電気的構成を示すブロック図である。
図4】同、通信手段に接続する外部機器の一形態を示す図である。
図5】同、通信手段に接続する外部機器の別な形態を示す図である。
図6】同、通信手段に接続する外部機器のさらに別な形態を示す図である。
図7】同、外部機器の主な電気的構成を示すブロック図である。
図8】同、端末機器の表示器に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明におけるホール位置検出システムの好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、ゴルフ場でハウスキーパーが使用するホールカッター1の全体概要を示している。ホールカッター1は、下端に切削刃(図示せず)を有する円筒状の筒部2と、筒部2の中心軸線上に設けられ、筒部2と共に回動する回動軸3と、回動軸3の上端に設けられる左右一対の手動ハンドル4,4と、により構成される。ここでは、芝生が敷設されたグリーンGの任意の位置に、筒部2の下端を接地した状態でホールカッター1が使用され、手動ハンドル4,4を両手で把持し、回転軸3と共に筒部2を手動で押し下げながら左右に回転させることで、切削刃がグリーンGを筒部2の外形形状に沿って切削して、グリーンGに凹状の穴となるホールHを穿設するようになっている。
【0015】
回動軸3と手動ハンドル4,4は、ホールカッター1の切削部となる筒部2に回転力を与える駆動部に相当する。代わりに、駆動部として減速機構付きのモータを回転軸3に取り付けた構成としてもよい。この場合、モータに所定の電力を供給することで、筒部2を電動で左右に回転させることができる。
【0016】
背景技術でも説明したように、ゴルフ場の各ホールでは、グリーンキーパーがホールカッター1でグリーンGにホールHを開け、そこにカップ(図示せず)を挿入設置することで、ホールHの位置に一致するピン位置が設定される。カップは平面視が円形で有底凹状の金属部材からなり、どのホールでも同じ形状のカップが設置される。各ホールのピン位置は、その日の状況に応じて、若しくは決められたローテーションに従って、ゴルフ場側で変更しているが、本実施形態ではホールカッター1でグリーンGにホールHを開ける際に、後述する受信モジュール21(図3を参照)がホールHの中心位置に一致して配置されるように、装置本体11の内部で位置決めされる。
【0017】
図2は、ホール位置検出システムを構成する位置測定用の装置本体11を、ホールカッター1に取り付けた状態を示している。同図において、装置本体11は筒部2の中心直上に位置して回転軸3の上端に配設される。装置本体11の上面には、押動操作される測定開始ボタン12が、装置本体11による測定開始を指示するための測定開始指示手段として露出して配設される。
【0018】
図3は、装置本体11に配設した各部の電気的構成を示したものである。同図において、装置本体11の内部には、受信モジュール21と、制御部22と、通信部23と、バッテリー24がそれぞれ組み込まれる。また受信モジュール21は、電波を捕捉する受信アンテナ31や、受信モジュール21の制御部となるASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)32を含んで構成される。電源部となるバッテリー24は、装置本体11の各部、具体的には制御部22や通信部23の他に、受信モジュール21のASIC32に、所望の動作電圧を供給するものであり、例えば電池(一次電池や二次電池)と電源回路の組み合わせにより構成される。
【0019】
ASIC32は、ソフトウエア上の機能構成として、受信モジュール31の位置を示す測位データを算出する測位データ生成手段33を備えている。測位データ生成手段33は、受信アンテナ31で捉えた4つ以上の航法衛星Sからの航法信号と、1つ以上の準天頂衛星Sからの補強信号とをそれぞれ取り込んで、受信モジュール2がどの時刻にどの位置にあるのかを航法信号で特定し、この特定した位置を補強信号で補正処理することで、測位精度を数センチメートル程度の誤差に向上させた測位データを算出する構成となっている。
【0020】
なお現時点において、航法衛星Sは各国が打ち上げたGPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、ガリレオ、北斗などの人工衛星を指し、準天頂衛星Sは日本が打ち上げた人工衛星「みちびき」を指す。将来的には、それ以外の航法衛星Sや準天頂衛星Sを含んでもよい。また、補強信号は人工衛星「みちびき」が発するL6信号、すなわちセンチメーター級測位補強信号を指す。航法信号は周知のように、航法衛星Sに搭載された原子時計を使用して、航法衛星Sの軌道に基づき生成される測位信号である。
【0021】
制御部22は、ソフトウエア上の機能構成として、測位データ生成手段33で生成出力される測位データに基づいて、受信モジュール21の位置に一致するホールHの位置情報を生成して、これを通信部23に送出するホール位置情報生成手段41を備えている。ホール位置情報生成手段41は、測定開始ボタン12からの操作信号を受けて、測位データ生成手段33からの測位データの取込みを開始し、測位データそのものをピン位置の情報(緯度、経度)として、若しくは測位データからピン位置の情報を算出して、通信部23に送出する構成を備えている。
【0022】
また制御部22は、ホール位置情報生成手段41で生成されたホールHの位置情報を記憶する記憶手段42を好ましくは備える。これによりホール位置情報生成手段41は、ホールHの位置情報をすぐに通信部23に送出するのではなく、記憶手段42に一旦記憶させてから、後で装置本体11とは別体の外部機器100が通信部23と接続されたときに、それまで記憶手段42に記憶保持させていたホールHの位置情報を、通信部23を介して外部機器100に送出できる。
【0023】
通信部23は、ホール位置情報生成手段41から送り出されたホールHの位置情報を、ゴルフ場でプレイする複数のゴルファーに伝えるために、適切な外部機器100に送出するものである。外部機器100の具体的な構成については、次に詳しく説明する。
【0024】
図4図6は、外部機器100の具体的な形態を示したものである。これらの各図に共通して、111は装置本体11の測定対象となるゴルフ場の各ホールの地図情報を記憶手段112(図7を参照)に保有する管理サーバ、121aはゴルファーが携帯するスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、121bはゴルフ場内を走行するゴルフカート(図示せず)に搭載可能なナビゲーション端末である。管理サーバ111と携帯端末121aとの間は、例えばインターネット131を経由して、また管理サーバ111とナビゲーション端末121bとの間は、例えばUHF無線回線132を経由して、相互にデータや情報のやり取りが行なえるようになっている。通信部23に接続する外部機器100は様々な形態を有するが、どの形態であっても、最終的にはゴルファーがホールHの位置情報を取得するために、携帯端末121aやナビゲーション端末121bなどの端末、すなわち端末機器121を終端に備える。なお、管理サーバ111には表示器を備えた何台の端末機器121が接続されてもよく、携帯端末121aやナビゲーション端末121b以外の端末機器121を用いてもよい。
【0025】
図4に示す外部機器100は、装置本体11の通信部23とインターネット131とを接続する接続手段として、例えば携帯電話網141が用いられる。この場合、携帯電話網141などを使用して装置本体11の通信部23とインターネット131とを接続し、ホール位置情報生成手段41で生成されたホールHの位置情報を、記憶手段42に記憶することなく通信部23から携帯電話網141とインターネット131を順に経由して、管理サーバ111にアップロードすることができる。ここでは、携帯電話網141以外の接続手段を利用してもよい。また、記憶手段42にホールHの位置情報を一旦記憶させた後に、装置本体11を別な場所に移動して通信部23と携帯電話網141との通信を確立させ、記憶手段42に記憶されているホールHの位置情報を、上述の経路で管理サーバ111にアップロードさせてもよい。
【0026】
図5に示す外部機器100は、記憶手段42に記憶したホールHの位置情報を取り出す情報取得機器として、例えばパーソナルコンピュータ151が用いられる。この場合、各ホールのグリーンGでホールHの位置を測定した後に、装置本体11を別な場所に移動させ、例えばBluetooth(登録商標)のような近距離無線通信を利用して、装置本体11の通信部23とパーソナルコンピュータ151とを無線で接続し、記憶手段42に記憶されているホールHの位置情報をパーソナルコンピュータ151に転送する。この後、パーソナルコンピュータ151を管理サーバ111と接続することで、パーソナルコンピュータ151から管理サーバ111にホールHの位置情報をアップロードできる。ここでは、パーソナルコンピュータ151以外の情報取得機器を利用してもよい。
【0027】
図6に示す外部機器100は、装置本体11の通信部23とインターネット131との間に接続する情報転送機器として、例えばハンディ端末(主にスマートフォン)161が用いられる。この場合、例えばBluetoothのような近距離無線通信を利用して、装置本体11の通信部23とハンディ端末161とを無線で接続し、ホール位置情報生成手段41で生成されたホールHの位置情報を、記憶手段42に記憶することなく通信部23を介してハンディ端末161に転送し、ハンディ端末161からインターネット131を経由して、管理サーバ111にアップロードすることができる。ここでは、ハンディ端末161以外の情報転送機器を利用してもよい。また、記憶手段42にホールHの位置情報を一旦記憶させた後に、装置本体11を別な場所に移動して通信部23とハンディ端末161との通信を確立させ、記憶手段42に記憶されているホールHの位置情報を、上述の経路で管理サーバ111にアップロードさせてもよい。
【0028】
図4図6に共通して、管理サーバ111は装置本体11の通信部23から送出されるホールHの位置情報をアップロードして取り込むと、これを記憶手段112の地図情報とは別な記憶領域に保存する。ゴルファーが普段から携帯する携帯端末121aや、ゴルファーが利用するゴルフカートに設置したナビゲーション端末121bには、管理サーバ111にアクセスできる専用のアプリケーションが予めダウンロードされており、このアプリケーションを立ち上げて、自分がプレイを行なうゴルフ場の中で、表示させたいホールを管理サーバ111に指示すると、管理サーバ111は指示されたホールの地図情報と、その地図情報内に位置するホールHの位置情報とを管理サーバ111の記憶手段112から取得して、指示されたホールの地図情報にホールHの位置を重ね合わせた表示用データを、指示された携帯端末121aやナビゲーション端末121bに送出する。これにより、携帯端末121aやナビゲーション端末121bの表示器127(図7を参照)には、指示したホールの地図情報にホールHの位置を重ね合わせた表示が行われるように構成される。
【0029】
また、図5図6では、何れも通信部23に組み込まれた無線通信インターフェースなどの無線接続手段(図示せず)を介して、管理サーバ111にピン位置の情報を転送する通信端末としてのパーソナルコンピュータ151やハンディ端末161と無線通信を確立する構成となっているが、代わりに通信部23に有線接続手段としての例えばUSB(Universal Serial Bus)ソケットを組み込み、このUSBソケットを利用して通信部23と通信端末との間をUSBケーブルで接続して、有線通信を確立する構成としてもよい。
【0030】
図7は、外部機器100の主な電気的構成を示したものである。同図において、ホール位置検出システムのセンター装置となる管理サーバ111は、記憶手段112を有する制御部113を主な構成要素とする。管理サーバ11の制御部113や、前述した装置本体11の制御部22は、何れもCPU(中央処理装置)やメモリや入出力インターフェースなどを備えたマイクロコンピュータで構成される。記憶手段112は、前述の地図情報を記憶する地図情報記憶手段115と、装置本体11で測位したホールHの位置情報を記憶するホール位置情報記憶手段116と、をそれぞれ備える。
【0031】
装置本体11の通信部23と管理サーバ111の制御部113との間には、双方向の通信を可能にする接続部201が設けられる。図4に示すインターネット131及び携帯電話網141や、図5に示すパーソナルコンピュータ151や、図6に示すインターネット131及びハンディ端末161は、接続部201に相当する。同様に、管理サーバ111の制御部113と端末機器121の制御部122との間には、双方向の通信を可能にする接続部211が設けられる。図4~6に示すインターネット131及び無線回線132は、接続部211に相当する。
【0032】
制御部113は、ソフトウエア上の機能構成として、装置本体11の通信部23から接続部201を介してホールHの位置情報を取り込むと、自動的にそれがどのゴルフ場のどのコース(ホール)のどのグリーンGに位置するのかを、地図情報記憶手段115に記憶する地図情報の中から判別して特定し、その特定した地図情報と関連付けて、取り込んだホールHの位置情報をホール位置情報記憶手段116に記憶させるホール位置情報関連付け手段117を備えている。ホール位置情報関連付け手段117は、端末機器121からの指示を受けて、当該端末機器121で表示させたいホールの地図情報を、地図情報記憶手段115に記憶する地図情報の中から抽出し、その抽出した地図情報そのものと、抽出した地図情報に関連付けられた特定のホールHの位置情報を、指示を受けた端末機器121の制御部122に送出する構成を備えている。
【0033】
端末機器121は共通の構成として、記憶手段123を有する制御部122の他に、操作部125と、測位装置126と、表示部となる表示器127と、を備える。操作部125は、押動操作が可能なキーやボタンの他に、表示器127の表面に設けられるタッチパネルとすることができる。測位装置126は、端末機器121の位置を検出する位置検出部に相当し、前述の受信モジュール21と同等の機能を有する。表示器127は、端末機器121の本体表面側に設けた液晶ディスプレイで構成される。
【0034】
端末機器121の制御部122は、CPUやメモリや入出力インターフェースなどを備えたマイクロコンピュータで構成され、記憶手段123にダウンロードで保存されたアプリケーションのプログラムを読み取ることで、表示器127による表示を制御する表示制御手段128として制御部122を機能させる構成となっている。表示制御手段128は、操作部125からの操作信号や、測位装置126からの測位データを受けて、どのゴルフ場のどのコース(ホール)を表示させたいのかを特定すると、その表示させたいホールの情報を管理サーバ111に指示し、これを受けて管理サーバ111のホール位置情報関連付け手段118から、指示したホールの地図情報と、その地図情報に関連付けられたホールHの位置情報が送られてくると、指示したホールの地図情報にホールHの位置を重ね合わせた画面を、端末機器121の表示器127に表示させる構成を備えている。
【0035】
次に上記構成について、図8図7を参照しながらその作用を説明する。先ず、装置本体11を利用してホールHの位置を測定する手順から説明すると、ゴルフ場の各ホールでは、グリーンキーパーがその日のピン位置を設定するために、グリーンG上で目標となるピン位置に合せてホールHを開け、そのホールHにピンを立てるためのカップを挿入設置する。
【0036】
この一連の作業では、図2に示すように、予めホールカッター1の上部に装置本体11を装着し、装置本体11の図示しない電源スイッチをオンにして、バッテリー23から装置本体11の各部への通電を開始させておく。これにより、受信モジュール21や制御部22がそれぞれ起動し、受信モジュール21による航法衛星Sや準天頂衛星Sからの電波の受信が開始する。受信モジュール21は、所定数(例えば4つ)の別な位置にある航法衛星Sからの航法信号を受信アンテナ31で捕捉することにより、受信モジュール21がどの時刻にどの位置にあるのかを測位データ生成手段33で測位し、さらに少なくとも1つの準天頂衛星Sからの補強信号を受信アンテナ31で捕捉することにより、所定数の航法信号から測位した位置を測位データ生成手段33で補正処理する。こうして受信モジュール21の測位データ生成手段33で補正処理された測位データは、実際のピン位置に対して数センチメートル程度の誤差に留まり、制御部22に送出される。
【0037】
一方、グリーンキーパーはホールカッター1の手動ハンドル4,4を両手で把持しながら、目標となるピン位置に筒部2の中心軸を合わせて、手動ハンドル4,4からの力で筒部2を押し下げながら左右に回転させる。すると、筒部2の下端に位置する切削刃が、グリーンGを筒部2の外形形状に沿って切削し、グリーンGに凹状のホールHが形成される。
【0038】
ホールカッター1の筒部2が地中のホールHに差し込まれた状態で、装置本体11の測定開始ボタン12を押動操作すると、制御部22のホール位置情報生成手段41は、測位データ生成手段33からの測位データの取込みを開始する。このときホール位置情報生成手段41は、短時間でのデータ送出を実現するために、測位データ生成手段33から取込んだ1回の測位データを、そのままホールHの中心の位置情報として通信部23に送出してもよいし、或いは測位精度をさらに向上させるために、測位データ生成手段33からの測位データを複数回取込み、その測位データの平均値をホールHの中心の位置情報として通信部23に送出してもよい。何れにせよホール位置情報生成手段41は、外部機器100に対する必要以上の送信を避けるために、ホールHの位置情報を通信部23に一旦送出すると、次に測定開始ボタン12が再び押動操作されるまで、測位データ生成手段33からの測位データの取込みを停止する。こうして、一つのホールでのホールHの位置情報が、通信部23を介して遠隔の管理サーバ111に送出され、装置本体11を利用したホールHの中心位置の測定が終了する。
【0039】
なお、1つのゴルフ場では通常、複数のホール数を有してコースが造成されているので、上述したピン位置の設定と装置本体11によるホールHの中心位置の測定は、ホール毎に繰り返し行なわれ、ホールHの位置情報が管理サーバ111にその都度送出される。また、制御部22の記憶手段42に、ホールHの位置情報を記憶する領域が設けられている場合には、各ホールでホールHの中心位置の測定を行なう毎に、そのホールHの位置情報を管理サーバ111に送出することなく記憶手段42に一旦記憶させ、全てのホールでピン位置の設定と装置本体11によるホールHの中心位置の測定が終了したら、それまで記憶手段42に記憶されていた全てのホールHの位置情報を、管理サーバ111に一括で送出してもよい。この場合、各ホールでのピン位置を測定開始する際には、例えば測定開始ボタン12を短い時間押動操作し、全ホールのピン位置情報を管理サーバ111に送出する際には、例えば測定開始ボタン12をそれよりも長い時間押動操作するなどして、操作の仕方を変えることで、一つの共通する操作部である測定開始ボタン12を利用して、別々の指示を行なうことが可能になる。
【0040】
また変形例として、ホールカッター1の加速度を検出する加速度センサを、制御部22と電気的に接続するように装置本体11に配設し、測定開始ボタン12を押動操作した後に、手動ハンドル4,4からの力で筒部2を押し下げながら左右に回転させたときに発生する加速度が、加速度センサで検出されたと判断したら、ホール位置情報生成手段41が受信モジュール21からの測位データを取り込んで、ホールHの位置情報を生成し始めてもよい。これにより、測定開始ボタン12を不意に押したときに、ホールHの位置情報が勝手に生成されるのを防ぐことができる。
【0041】
図8は、端末機器121としての携帯端末121aやナビゲーション端末121bの表示器127に表示される画面の一つであるナビゲーション画面171を示している。ここでのナビゲーション画面171は、端末機器121にインストールされた専用のアプリケーションを立ち上げた後に、表示制御手段128が表示器127を制御して表示されるもので、ゴルフ場内の1つのホールの地図情報を表示する地図情報表示部173や、地図情報表示部173に表示されるホールのグリーンGとその周辺を拡大して表示する拡大地図表示部174や、拡大地図表示部174の中で、その日のホールHの位置を表示するホール位置表示部175などを備えて構成される。
【0042】
管理サーバ111は、端末機器121の位置に合せて、図8に示すようなナビゲーション画面171を表示させるためのデータを配信する。端末機器121には、航法衛星Sからの航法信号を受信してその位置を検出する測位装置126が組み込まれており、測位装置126からの測位データを所定時間毎に管理サーバ111へ送出する。これを受けて、管理サーバ111は端末機器121に対して、ナビゲーション画面171のほぼ全体に地図情報表示部173を表示させるために、端末機器121の検出位置近傍にあるホールの地図情報を地図情報記憶手段115から読み出して配信すると共に、地図情報表示部173の一部にホール位置表示部175を含む拡大地図表示部174を重ね合わせて表示させるために、ホール位置情報記憶手段116に記憶されているホールHの位置情報を読み出して配信し、さらにはこのホールHの位置情報に関連付けられた拡大した地図情報を地図情報記憶手段115から読み出して配信する。これにより、ゴルフ場でプレイをするゴルファーは、端末機器121の表示器127に表示されるナビゲーション画面171を参照して、どのコースのどのホールでプレイを行なっていても、現時点でのホールHの位置がグリーンGでどこにあるのかを、拡大地図表示部174に表示されるホールHの位置から、ゴルファーの手を煩わすことなく、実用に耐え得る高い精度で確認することができる。
【0043】
さらに、地図情報記憶手段115に記憶されるホールの地図情報は、標準位置のホールH’が予め含まれているため、これがナビゲーション画面171で拡大地図表示部174と共に地図情報表示部173として表示したときに、標準のホールH’の位置に対して、現在はホールHがどの程度違う場所にあるのかを、ゴルファーが端末機器121の表示器127を介して正確に把握することができる。
【0044】
なお、図8に示すナビゲーション画面171は一例に過ぎず、表示のレイアウトなどは適宜変更して構わない。どのような表示形態であっても、各ホールにおけるホールHの位置の測位データは、数センチメートル程度の誤差に向上されており、最終的に端末機器121の表示器172には、ゴルファーの手を煩わすことなく、実用に耐えうる精度でホールHの位置を正しく表示させることが可能となる。
【0045】
また図8に示すように、管理サーバ111から送られてくる表示用データにより、グリーンGの幅や奥行きと、ホール位置表示部175で示すホールHの位置からグリーンGの端部までの最短距離を数字で示す距離表示部176を、拡大地図表示部174と共に表示させてもよい。これによりゴルファーは、グリーンGの大きさだけでなく、グリーンGの中にあるホールHの位置までの距離を、実用に耐え得る高い精度で確認することができる。図8では、距離表示部176の「31」や「37」が、グリーンGの幅と奥行きをヤード数として示し、距離表示部176の「8」が、ホールHの位置からグリーンGの端部までの最短距離をヤード数として示している。
【0046】
以上のように、本実施形態のホール位置検出システムは、ゴルフ場のグリーンGにホールHを開けるためのホールカッター1に取り付けられる装置本体11と、装置本体11に設けられ、準天頂衛星SNからの補強信号と航法衛星SQからの航法信号とを受信して、航法信号により特定された位置を補強信号で補正処理した測位データを出力する受信モジュール21と、装置本体11に設けられ、その装置本体11から外部機器100への情報送信を可能とする通信部23と、前記装置本体11に設けられ、受信モジュール21からの測位データを取り込んで、ホールHの位置となる位置情報を通信部23に送出する制御部22と、装置本体11に設けられ、ホールカッター1の加速度を検出する加速度センサと、を備え、制御部22は、加速度センサが加速度を検出すると、受信モジュール21からの測位データを取り込んで、位置情報を生成し始めるように構成される。
【0047】
この場合、予め装置本体11が取り付けられたホールカッター1を使用して、グリーンキーパーがグリーンG上の任意の位置で、ピンを立てるカップを設置するためのホールHを開けると、装置本体11に設けられた制御部22が受信モジュール21からの測位データを取り込んで、ホールHの位置を自動的に算出し、その位置情報を通信部23から外部機器100に送出する。このとき受信モジュール21は、航法衛星Sからの航法信号に加えて、準天頂衛星Sからの補強信号に対応した受信が可能で、受信モジュール21の位置を特定する測位データの測位精度を、数センチメートル程度の誤差に大幅に向上させて制御部22に送出できるので、ゴルファーの手を煩わすことなく、設定したホールHの位置を実用に耐え得る精度で検出して、外部機器100である例えば携帯端末121aやナビゲーション端末121bから、ゴルファーに伝えることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態のホール位置検出システムは、外部機器100に組み込まれ、装置本体11の通信部23からのホールHの位置情報を取り込んで、外部機器100の表示部である表示器127に、例えばそのホールHを含むグリーンGの地図情報に重ね合わせて、ホールHの位置を表示させる端末制御部としての制御部122をさらに備えている。
【0049】
この場合、ゴルファーが利用する外部機器100に予め制御部122を組み込んでおけば、ホールカッター1で開けられたホールHの位置を、複数の外部機器100の表示器127に共有して表示させることが可能となる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。例えば装置本体11が取り付けられるホールカッター1は、どのような形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0051】
1 ホールカッター
11 装置本体
21 受信モジュール
22 制御部
23 通信部
100 外部機器
122 制御部(端末制御部)
127 表示器
G グリーン
H ホール
準天頂衛星
航法衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8