(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】地下茎作物収穫機及び作業方法
(51)【国際特許分類】
A01D 27/00 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
A01D27/00
(21)【出願番号】P 2019109136
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-048642(JP,A)
【文献】特開2012-070695(JP,A)
【文献】実開昭53-042947(JP,U)
【文献】特開2018-186746(JP,A)
【文献】特開平06-153644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行前方向から後上がりに斜設され地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取るとともに後方に搬送する引き抜きコンベアと、
前記引き抜きコンベアの下方に設けられ、抜き取られた地下茎作物が前記引き抜きコンベアによって搬送される途中において地下茎作物の球根部と茎葉部との間を切断して分離する切断部と、
前記引き抜きコンベア及び切断部の下方に前端部を位置させるとともに進行方向の前方から後上がりに斜設させ、前記切断部で分離後の地下茎作物の球根部の落下を受け止めた後に後方に搬送
し、前記引き抜きコンベアの全幅よりも狭く設けた球根搬送コンベアと、
前記球根搬送コンベアの前端部には前記切断部によって分離された前記球根部を集めるシュートと、を備え、
前記球根搬送コンベアの後端部下方に位置した収納容器に対して相対的な前後距離を調整することで前記収納容器に前記球根部を偏りなく投入可能な構成である、
ことを特徴とする地下茎作物収穫機。
【請求項2】
前記引き抜きコンベアの進行方向に対する左右側方のそれぞれに設けた地面と接するための接地手段と、
前記進行方向に対する左右に設けた接地手段のそれぞれを繋ぐとともに、前記球根搬送コンベアを着脱自在にするための取付部を有した梁部材と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の地下茎作物収穫機。
【請求項3】
前記球根搬送コンベアの搬送長は前記引き抜きコンベアの搬送長より長く設定されるとともに、前記球根搬送コンベアの終端部の高さは前記引き抜きコンベアの終端部の高さより高く設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地下茎作物収穫機。
【請求項4】
前記引き抜きコンベアの上方には、前記引き抜きコンベアの前方に位置させた走行機体に装着するための装着部と、
前記引き抜きコンベアの後方端上方に位置して茎葉部を搬送する茎葉部排出コンベアと、
前記装着部の近傍に位置し、前記走行機体から回転動力を獲得するための入力軸を有し、前記引き抜きコンベア、前記切断部、前記茎葉
部排出コンベアへ回転動力を伝達する入力部と、
前記入力軸の近傍に設けられ、前記球根搬送コンベアを駆動させるためのエネルギ発生装置と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地下茎作物収穫機。
【請求項5】
前記引き抜きコンベアの上方位置で引き抜きコンベアの終端部側で前部に重合部分を有し、前記切断部で分離後の地下茎作物の茎葉部を搬送する茎葉
部排出コンベアと、
前記茎葉
部排出コンベアの終端部下方に位置し前記茎葉
部排出コンベアから落下する茎葉部を後方に排出する茎葉排出シュートと、
前記引き抜きコンベアの下方で前記切断部の前方には、前記引き抜きコンベアによって搬送された地下茎作物の球根部に付着した土を叩き落とし、進行方向と直交方向を軸にして後方側を回動可能に設けた土落し装置と、
前記土落し装置の前方で進行方向と直交方向を軸にして回転駆動し、マルチフィルムを押さえつけるマルチ押えローラと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地下茎作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機械に関する。詳細には、作物を土壌から引き抜き、この作物を次工程に搬送することができる収穫機械に関する。
【背景技術】
【0002】
畝に植えられた地下茎作物を上方に引き抜くと共に後方及び上方に搬送する収穫装置として、特許文献1の地下茎作物の収穫装置が開示されている。この装置は、引き抜きコンベアと、この引き抜きコンベアの下方に設けられた切断部と、この切断部下方に設け、底部が可撓性部材から成るとともに、底部を球根部収容可能状態および球根部排出可能状態に可変可能な収容部底部可変手段を備えた球根収容部を有している。この発明によれば、走行収穫作業を続けながら、球根収容部に球根部を収容させ、満杯になったら一度に畝上にまとめて球根部を排出可能である旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の地下茎作物の収穫装置は、走行収穫作業を続行させることが可能であるものの、球根部を畝上に排出させる構造上、球根部を再度別の収納容器に拾い集めなくてはならない課題が生じる。この反面、引き抜きコンベア後方に別の収納容器を設置させるとしても、十分な設置スペースが必要である課題が生じる。特に、狭い圃場で地下茎作物の収穫をする場合は、トラクタに装着される収穫機械は小型である方が望まれている。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、連続的な地下茎作物の収穫作業を可能にするとともに、圃場への適応性を向上させることができる地下茎作物収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、走行前方向から後上がりに斜設され地下茎作物の茎葉部を挟持して抜き取るとともに後方に搬送する引き抜きコンベアと、引き抜きコンベアの下方に設けられ、抜き取られた地下茎作物が引き抜きコンベアによって搬送される途中において地下茎作物の球根部と茎葉部との間を切断して分離する切断部と、引き抜きコンベア及び切断部の下方に前端部を位置させるとともに進行方向の前方から後上がりに斜設させ、切断部で分離後の地下茎作物の球根部の落下を受け止めた後に後方に搬送する球根搬送コンベアと、を備えた地下茎作物収穫機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連続的な地下茎作物の収穫作業を可能にするとともに、圃場への適応性を向上させることができる地下茎作物収穫機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本発明の実施形態の搬送に係る部分を進行方向と平行に断面した正面断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の球根搬送部の取付け部分を拡大した拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、
図1に示す左側を進行方向の前方側、右側を進行方向の後方側、また、
図2に示す下側を進行方向の左側、上側を進行方向の右側として説明する。
説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
地下茎作物収穫機Aは、図示しないトラクタなどの走行機体の後方の3点リンク(図示せず)に装着して、前方に進行しながらニンニク等の地下茎作物Cを収穫する。地下茎作物収穫機Aの前方部にはトラクタの3点リンクに連結する機枠である装着部1を備えている。装着部1の上部にトップリンクピン111と、下部にロアリンクピン112を、取付けていて、これらをトラクタの3点リンクに連結することで、地下茎作物収穫機Aは昇降自在である。
【0011】
装着部1のやや後方には、トラクタのPTO軸から回転動力を獲得するための入力部12が位置している。入力部12から前方に突出して設けた入力軸121の前端部をトラクタのPTO軸(図示せず)とユニバーサルジョイント等(図示せず)にて連結することによって、入力部12に動力が伝達される。この入力部12から、回転動力を必要とされる部位に伝達される。
【0012】
装着部1及び入力部12の下方には、根切り部2及び引き抜きコンベア3が位置している。根切り部2は、機体前方側に配置されていて、走行方向と直交方向に設けられる刃部22を、畝の土中に栽培されているニンニク等の地下茎作物Cの球根部Bの下方を通過させて地下茎作物Cを掘り起こす。刃部22は、地下茎作物Cが栽培されている畝Rと、畝Rの両側の畝間の地面Gの両方を掘り起こすために、中央部が上方に位置するようにクランク状に設けている。こうすることで畝Rの土全体が膨軟になり、地下茎作物Cを引き抜き易くなる。
【0013】
根切り部2は、機体両側それぞれに上下向けて配置した根切りフレーム21を設けている。根切りフレーム21は装着部1に対し回動自在に上部を支持するとともに、入力軸121に設けたクランク部122と連結される。クランク部122の偏心部により、入力軸121の回転によって、根切りフレーム21を前後に揺動振動させ、根切りフレーム21下部に固定される刃部22も同時に前後に揺動振動させる。刃部22は、進行方向と直行する方向に掛け渡されているので、揺動振動によって、地下茎作物の下方部を通過して根を切断するとともに、土壌を膨軟にして作物を浮き上がらせ抜き取りやすくする。
【0014】
その後、根切り部2の後方部に前方側下端部を位置させ、後方に向けて上方斜めに配置した引き抜きコンベア3によって、地下茎作物Cの茎葉部Lを挟持して抜き取る。斜めに配置した引き抜きコンベア3は、抜き取り後も地下茎作物Cを挟持しながら後方に搬送する。引き抜きコンベア3は複数列を進行方向と直交する方向に平行に配置させることが可能で、この実施形態では4列設けている。すなわち、畝に植えられている地下茎作物Cを4列同時に進行させながら抜き取ることができる。
【0015】
それぞれ1列の引き抜きコンベア3は、走行前方向から後上がりに斜めに設置される2つの引き抜きベルト30からなる。引き抜きベルト30はベルト背面を垂直方向に位置させ、互いの背面を対面させるとともに接触させている。引き抜きベルト30の前端部は畝面Rよりやや高い位置に設定させ、2つの対面させた引き抜きベルト30間の前端部で地下茎作物Cの茎葉部Lを挟持して、地下茎作物Cを畝面Rから抜き取るとともに機体後方に搬送する。引き抜きコンベア3は、入力部12から、シャフト、チェーン、ギヤ等を介して後方の駆動プーリ31に伝達されて回転駆動を可能にしている。
【0016】
引き抜きコンベア3は、後方斜め上に向かって傾斜させているので、トラクタの進行とともに地下茎作物Cを畝面Rに対し上方に抜き取るとともに、機体後方に搬送させることができる。引き抜きコンベア3は、畝面Rに対して30~50度が良いとされ、実施形態において、最も好適な40度を採用している。
【0017】
引き抜きコンベア3の進行方向両側にそれぞれ接地手段6を配置している。地下茎作物収穫機Aは、地下茎作物Cが栽培されている畝Rの両側の2つの畝間の地面Gをそり状のシュー61を有した接地手段6によって接地させながら走行する。引き抜きコンベア3の左右両側のそれぞれから下方に延設したシューフレーム62が設けられ、下端にはシュー61が畝間の地面Gに平行に接するように角度調整可能に配設されている。シュー61は作物抜取位置を安定させるためのもので、地下茎作物収穫機Aは機体を安定させながら収穫作業をすることができる。
【0018】
それぞれの引き抜きコンベア3の前後方向に対する中間位置の下方には、球根部Bの根の土落としを行う土落し部33を設ける。土落し部33は、進行方向と直交する水平回転軸331に星形の板状体の可堯性材質からなるスターホイール330を軸方向に複数設けている。このスターホイール330を入力部12から得た動力で回転駆動させて、星形の突起を球根部Bに接触させることによって、球根部Bの根の土落しを行う。スターホイール330は回転外径の上部が引き抜きコンベア3の搬送方向と同じ方向、つまり、
図1又は
図4において右回転になるように設定している。そして、回転駆動するスターホイール330の外周速度は、引き抜きベルト30の搬送速度より4~5倍程度速くなるように設定することによって、球根部Bに付着した土を効果的に落す。
【0019】
この実施形態において、スターホイール330は、前後方向に駆動する回転方向が同一の水平回転軸331を2列設けていて、これらそれぞれに取り付けることによって、より効果的に球根部Bに付着した土を落すことができる。さらに、水平回転軸331を3列以上設けることは、より効果を向上させることは言うまでもない。
【0020】
土落し部33は、前方側の水平回転軸331を支点にして後方部が上下に回動自在にされるとともに、後方側を上方に向けて弾性体332で付勢している。これにより、土落し部33を引き抜きコンベア3により搬送される地下茎作物Cの球根部Bに可能な限り近接して位置させることを可能にしている。さらに、球根部Bの付着した土に量が多くスターホイール330の回転に負荷がかかる場合は、弾性体332が伸長することで土落し部33の後部を下方に移動させ、球根部Bへ過剰に圧迫するようにスターホイール330が接触することを防ぐ。
【0021】
土落し部33の前方には、押えローラ34が位置している。押えローラ34は、円筒状部材で進行方向と直交する方向に回転軸を有していて、畝面Rに接触する、あるいは畝面Rよりやや上方に位置しながら入力部12から伝動された動力で回転駆動する。押えローラ34は、畝面Rに敷設しているマルチフィルムを下方に押さえ付け、上方に抜き取られる地下茎作物Cが、この球根部Bにマルチフィルムが絡まり、上方に持ち上がらないようにする。押えローラ34の回転方向は、
図1又は
図4に示す左方向、つまり回転外周下方において後方に向けている。さらに、押えローラ34の外周における回転速度は機体の進行速度より速く設定されている。このように構成することで、押えローラ34の前方側にマルチフィルムの皴が寄ることなく、且つ、押えローラ34の前方にマルチフィルムが溜まらないので、押えローラ34の前方のマルチフィルムを常時張った状態にできる。結果、マルチフィルムが球根部Bに引っ掛かり、上方に持ち上がらない。
【0022】
土落し部33の後方側で、引き抜きコンベア3の搬送方向下流側となる後部の下方には、円盤状カッタ40を有した切断部4が設けられている。円盤状カッタ40は引き抜きベルト30の駆動プーリ31と同軸上にそれぞれ配置していて、駆動プーリ31の外径より大きく設定されている。複数設けた円盤状カッタ40は、互いに干渉しないように上下に位置をずらしていて、この間に引き抜きベルト30によって搬送された地下茎作物Cの茎部が、通過することで切断する。切断部4は、抜き取られた地下茎作物Cが引き抜きコンベア3によって搬送される途中において地下茎作物Cの球根部Bと茎葉部Lとの間を切断して分離する。
【0023】
切断部4によって切断され分離された地下茎作物Cの球根部Bは、切断部4の下方に位置した球根搬送部7に自然落下する。球根搬送部7は、左右両側に配置した板状のコンベアフレーム70に挟んで配置されるとともに、コンベアフレーム70前後の両端部に水平に配置した回転軸に巻き掛けた無端状のベルトコンベア71が、後方斜め上方に向かうように配置している。ベルトコンベア71は、周回駆動することで落下した球根部Bを後方側に搬送させることができ、搬送面となる外周面に搬送方向に面を向けた板材712を立てて配置している。この板材712によって、傾斜がかかったベルトコンベア71の搬送面を球根部Bが、下方に転がり落ちることを防止する。
【0024】
この実施形態では、球根搬送部7の進行方向の左右に対する全幅は、上方に設けられた複数の引き抜きコンベア3をすべて合わせた進行方向の左右に対する全幅よりも、狭く設定している。このようにすると、球根搬送部7に係る構成部材の増加を抑制できるので、重心が後方に偏ることを抑制でき、トラクタに地下茎作物収穫機Aを装着した場合に、トラクタのタイヤ等の走行部に係る前後接地バランスを良好に保てる。また、後方部の球根搬送部7の全幅は引き抜きコンベア3の全幅より狭いので、地下茎作物収穫機Aを装着したトラクタが旋回時に、地下茎作物収穫機Aの後方部にある球根搬送部7の左右側部を他の構造物等に干渉させずに済む。
【0025】
図4に示すように、ベルトコンベア70の前端の上方には円盤状カッタ40の前端が位置していて、切断部4によって分離された球根部Bは、ベルトコンベア71前端に落下する。ベルトコンベア71の前部上方には落下した球根部Bをベルトコンベア71前端に集めるためのシュート72を設置している。
【0026】
シュート72の左右両側の上端部は、引き抜きコンベア3の左右両端部の下方に位置させ、前方側の上端部は、円盤状カッタ40の前端より前で下方に位置するように設定している。引き抜きコンベア3によって茎葉部L挟持されて搬送中の地下茎作物Cを、円盤状カッタ40で切断した場合に、地下茎作物Cの球根部Bがある下端部は自由状態であり、この状態で切断した球根部Bが周囲に散ることがある。
【0027】
シュート72を備え付けることで、周囲に散った球根部Bも、
図2に示す平面視で、機体の進行方向の左右に対し、中央に位置させた球根搬送部7に導くことができる。このようにして切断した球根部Bを、ベルトコンベア71の前端に集めるとともに、ベルトコンベア71の前端部から後方の上部に向けて搬送する。ベルトコンベア71の前端部が円盤状カッタ40の前端の直下に位置していることで、球根部Bを周囲に飛び散らすことなく効果的にベルトコンベア71の前端部に集めることができる。
【0028】
ベルトコンベア71の搬送距離D2は、引き抜きコンベア3の搬送距離D1より長く設定されている。また、ベルトコンベア71の畝面Rに対する搬送角度E2は、引き抜きコンベア3の畝面Rに対する搬送角度E1に対して同じかそれ以上としている。このように設定することで、地下茎作物収穫機Aと伴走可能にされた収納容器Vを、球根搬送部7の下方に位置させることができる。球根搬送部7のベルトコンベア71の後端部は、
図1に示すように、収納容器Vの前後方向に対して、前端部より後方に位置させることが可能になる。結果、球根部Bは相対的に地下茎作物収穫機Aとの前後距離を調整することで、収納容器Vに偏りなく投入することができる。
【0029】
この実施形態において、ベルトコンベア71の搬送距離D2は、引き抜きコンベア3の搬送距離D1より1.5~1.9倍の長さを有している。また、ベルトコンベア71の搬送角度E2は、引き抜きコンベア3の搬送角度E1の40度より、やや大きい45度を採用している。
【0030】
ベルトコンベア71の後部のコンベアフレーム70には球根排出シュート73が設けられている。球根排出シュート73は、後端側を上下回動自在に設けてあり、ベルトコンベア71の後後端部から受け渡された球根部Bの排出方向を任意に決めることができる。球根排出シュート73は、球根部Bの収納容器Vへの偏りない投入を、より一層が向上させる。
【0031】
ベルトコンベア71の周回駆動は、駆動モータ75によって行われる。駆動モータ75は、ベルトコンベア71の後部の回転軸を駆動させてベルトコンベア71を搬送可能状態にさせる。駆動モータ75は、入力部12の近傍に配置したエネルギ発生装置74で、入力部12から回転動力を得てエネルギを発生させたエネルギを使用して駆動する。この実施形態のエネルギ発生装置74は、入力軸121とエネルギ発生装置74の前方側に設けた軸にチェーン741を巻き掛けて回転動力を獲得している。
【0032】
また、図示する実施形態では、駆動モータ75は油圧モータであり、エネルギ発生装置74は油圧ポンプを使用している。また、図示はしないが、駆動モータ75は電気モータであり、エネルギ発生装置74は発電機の構成としても良い。このようすることで、エネルギ発生装置74と駆動モータ75の間には図示しない配管あるいは配線をするのみで、駆動モータ75を駆動することが可能となる。したがって、チェーン、シャフト、ギヤ等の駆動に係る機構部材を廃することができるので、駆動モータ75の設置に対する自由度が向上する。
【0033】
駆動モータ75である油圧モータは、配管経路の途中にスピードコントローラを設置している。これにより、ベルトコンベア71を作業者の所望する搬送速度に調整することが可能である。駆動モータ75が電機モータであっても、電気回路の途中にスピードコントローラを設置することで同様の効果がある。
【0034】
球根搬送部7は、進行方向左右両側からそれぞれ下方に向けた柱材を2本平行に配置したシューフレーム62に、進行方向左右に架け渡すように取付けた梁部材8を介して固定されている。梁部材8は、進行方向に対し左右水平に配置したパイプ81を有し、このパイプ81の左右にシューフレーム62の下部に固定するための固定部82によって、シューフレーム62間に固定されている。この実施形態の場合、梁部材8は、前後に2個設けている。固定部82とシューフレーム62との固定は鋲螺によって固定されているので、接地手段6と梁部材8の固定は強固である。また、梁部材8はシューフレーム62に対して鋲螺による固定であるので、着脱が自在である。
【0035】
パイプ81の中央部の2箇所には、球根搬送部7を取り付けて固定するための部材である取付部83を設けている。取付部83は、板部材は垂直に立てた板部材831に、複数のピン832を進行方向の左右いずれかの側方に向けて突出させている。この実施形態の場合、進行方向右側の水平方向にピン832を複数突出させるとともに固着している。球根搬送部7に設けているコンベアフレーム70の下部には取付孔701を複数個所に設けている。ピン832に取付孔701を差し込むことで、球根搬送部7は取付部83と固定状態となり、梁部材8とともに地下茎作物収穫機Aと一体となる。
【0036】
梁部材8は球根搬送部7の下方に位置していて、ベルトコンベア71の搬送を阻害することがないため、球根搬送部7によって連続作業ができる。また、ピン832の端部には図示しない抜け止めがされており、球根搬送部7は容易に抜け落ちることがないため、地下茎作物収穫機Aによって安定した作業が可能である。また、梁部材8に複数設けたピン832と、コンベアフレーム70の複数設けた取付孔701の係合によって、複数個所を固定しているので、地下茎作物収穫機A及び梁部材8に対して、球根搬送部7は固定が安定する。梁部材8は接地手段6に対して強固に固定が可能であるので、より一層球根搬送部7の固定が安定する。さらに、梁部材8は接地手段6に対して着脱自在であり、球根搬送部7は梁部材8に対して着脱自在であるので、梁部材8及び球根搬送部7は、それぞれ個別に接地手段6、梁部材8、球根搬送部7に対して取り付けあるいは取り外しが可能である。
【0037】
球根搬送部7を梁部材8に対して取り外す場合は、取付孔701をピン832の係合から外して固定を解除することで、取り外しが完了する。
【0038】
取付部83には、ピン832を使用して球根搬送部7を梁部材8に固定する形態で説明したが、ピン832に代えて、ボルト、ナット等の鋲螺を用いて締結しても良い。
【0039】
一方、切断部4によって切断され分離された地下茎作物Cの茎葉部Lは、引き抜きコンベア3の後方端上方に位置する茎葉部排出コンベア5に挟持されて、より後方に搬送され、終端部の下方に位置する茎葉部排出シュート51に落下する。
【0040】
茎葉部排出コンベア5は、引き抜きコンベア3と同様に複数列、この実施例では4列設けられている。各茎葉部排出コンベア5は、前端部が引き抜きコンベア3の後方の駆動プーリ31と同軸で位置したプーリ501と、後方に位置させたプーリ502に巻き掛けたベルト503によって、茎葉部Lを引き抜きコンベア3から引き続き後方に搬送する。
図1に示すように、茎葉部排出コンベア5は引き抜きコンベア3の上方で引き抜きコンベア3に対して、左右両側に傾けて設けている。
図2に示す実施形態においては、茎葉部排出コンベア5の搬送方向は、進行方向の左2列が左側に、進行方向の右2列が右側にそれぞれ傾けて配置している。
【0041】
茎葉部排出コンベア5後方のコンベア終端部の下方には、茎葉部の排出シュート51を配置させている。排出シュート51は球根搬送部7の進行方向に対する左右両側にそれぞれ配置していて、落下した茎葉部Lは排出シュート51に誘導されて、左右の畝と畝の間の畝間に落下する。畝上のマルチフィルムには茎葉部Lが落下しないため、後工程のマルチフィルムの回収作業を効率よく行うことができる。
【0042】
次に、この発明の実施形態である地下茎作物収穫機Aの実際の作業に基いて説明する。地下茎作物収穫機Aは、トラクタなどの走行装置に装着して走行しながらニンニク等の地下茎作物を収穫する。
【0043】
地下茎作物収穫機Aは、地下茎作物Cが栽培されている畝Rの両側の2つの畝間の地面Gをそり状のシュー61によって接地させながら走行させる。同時に、根切り部2の刃部22を畝の土中に栽培されているニンニク等の地下茎作物Cの球根部Bの下方を通過させるとともに、4列の引き抜きコンベア3によって地下茎作物Cの茎葉部Lを挟持して抜き取り、後方に搬送する。
【0044】
引き抜きコンベア3によって搬送途中の地下茎作物Cの球根部Bは、球根部Bの下方に位置する土落し部33のスターホイール330の回転によって、周囲及び根部に付着した土を叩き落とす。
【0045】
引き抜きコンベア3の下方位置の前方端より後方であり、土落し部33の前方のフィルム押えローラ34は、地下茎作物Cの引き抜きにより浮き上がったマルチフィルムFをフィルム押えローラ34の下方で押さえ込むとともに、回転駆動することにより、上方の引き抜きコンベア3側から引き離すように後方に送り出す。これにより、マルチフィルムが引き抜きコンベア3などの可動部に巻き込まれて作業が中断することがなく効率よい作業が可能となる。
【0046】
それぞれの引き抜きコンベア3によって搬送されてくる地下茎作物Cは、切断部4によって球根部Bと茎葉部Lとの間を切断して分離する。分離された球根部Bは、シュート72に案内されながら、球根搬送部7のベルトコンベア71前部に自然落下する。土落し部33によって、球根部Bの不要な土を取り除いているので、球根搬送部7のベルトコンベア71に土を落とすことを減少させている。
【0047】
搬送面を後方側に移動可能に駆動するベルトコンベア71の前端部に落下した球根部Bは、板材712によって係止され、下方への落下を阻止されながらベルトコンベア71の後端部へ搬送されていく。後端部に達した球根部Bは、球根排出シュート73を滑り落ち、後方で伴走する収納容器Vに収納される。
【0048】
切断部4によって切断され分離された地下茎作物Cの茎葉部Lは、引き抜きコンベア3の上方に位置する茎葉部排出コンベア5に挟持されて、引き抜きコンベア3より後方に搬送される。茎葉部排出コンベア5の後端部から下方に落下して茎葉排出シュート51により案内されて、畝の左右部の畝間Gへ落下する。
【0049】
収穫作業時に、トラクタに装着した地下茎収穫機Aの後部の球根搬送部7の設置スペースや、球根搬送部7の後方に位置する収納容器Vを配置させることが困難な狭い圃場で地下茎収穫機Aを使用する場合は、球根搬送部7を取り外す。
【0050】
球根搬送部7を取り外した後の梁部材8の上に、作業者が持ち運び可能な小型の収納容器(図示せず)を載せて、この中に球根部Bを一時収納する。その後、作業者によって球根部Bを一時収納した小型の収納容器を持ち出して球根部Bを集める。
さらに梁部材8を接地手段6から取り外せば、切断部4で分離した球根部Bは、畝面R上に直接落下させることが可能である。その後、畝面R状の球根部Bは作業者によって集められる。
【0051】
以上、説明した通り、球根搬送部7を取り外し可能にすることで、連続的な地下茎作物の収穫作業を可能にするとともに、圃場への適応性を向上させることができる地下茎収穫機Aを提供できる。また、説明した本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明は、走行機であるトラクタの後方に装着されて使用される地下茎作物の収穫機に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 装着部
2 根切り部
3 引き抜きコンベア
30 引き抜きベルト
4 切断部
6 接地手段
61 シュー
62 シューフレーム
7 球根搬送部
70 コンベアフレーム
71 ベルトコンベア
8 梁部材
81 パイプ
82 固定部
83 取付部
A 地下茎作物収穫機