(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】気体計測装置、気体計測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/407 20060101AFI20220804BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220804BHJP
【FI】
G01N27/407
H01M8/04 Z
H01M8/04 N
(21)【出願番号】P 2019120490
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年6月20日、矢部川電気工業株式会が、東京ガス株式会社応用技術研究所において公開。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509031899
【氏名又は名称】矢部川電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【氏名又は名称】羽立 幸司
(74)【代理人】
【識別番号】100180921
【氏名又は名称】峰 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】阪本 一平
(72)【発明者】
【氏名】寺本 要一
(72)【発明者】
【氏名】梅原 未貴
(72)【発明者】
【氏名】木下 阿耶
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-219405(JP,A)
【文献】特開2016-039139(JP,A)
【文献】特開2019-029170(JP,A)
【文献】特開2004-117123(JP,A)
【文献】特開平08-327590(JP,A)
【文献】特開2008-164309(JP,A)
【文献】特開平08-327592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
H01M 8/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の中の不純物を計測する気体計測装置であって、
前記不純物を通さない電解質膜と、
前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、
前記気体を前記電解質膜に送る流路と、
電
源と、
前記電解質膜に一定の振幅の値となる交流電流が生じるように前記一対の触媒層の間に交流電圧を印加する
前記電源を制御する電源制御部と、
前記電解質膜
を介した前記一対の触媒層の間で前記不純物の濃度に応じて生じる電圧の値の変化について、前記不純物が含まれない気体の場合をゼロ基準にするとともに、前記ゼロ基準と比較される電圧
の値を計測する電圧計と
を備え
た、気体計測装置。
【請求項2】
前記電源
制御部は、
前記電源に対し、前記一定の振幅の値となる交流電流が生じるように、正弦波
の交流電圧を印加する制御を行う、請求項1記載の気体計測装置。
【請求項3】
前記流路の一部がイオン交換樹脂を壁の素材とする筒状の水蒸気付与流路であり、
前記水蒸気付与流路の周囲に水蒸気を発生させる水蒸気発生部をさらに備え、
前記水蒸気付与流路の壁を介して当該水蒸気付与流路の中の前記気体に湿度を与える、請求項1又は2記載の気体計測装置。
【請求項4】
前記イオン交換樹脂は、ナフィオン
(登録商標)である、請求項3記載の気体計測装置。
【請求項5】
前記水蒸気発生部は、前記水蒸気付与流路に対して、30℃以上かつ50℃以下の水蒸気の雰囲気を発生させる、請求項3又は4記載の気体計測装置。
【請求項6】
気体の中の不純物を計測する気体計測装置であって、
前記不純物を通さない電解質膜と、
前記気体を前記電解質膜に送る流路と、
前記電解質膜に電圧を印加する電源と、
前記電源を制御する電源制御部と、
前記電解質膜に印加される電圧を計測する電圧計と、
前記電解質膜に流れる電流を計測する電流計とを備え、
前記電源制御部は、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加し、
前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、
前記電解質膜及び前記一対の触媒層とを安定に保持するセンサホルダーをさらに備え、
前記センサホルダーは、
前記一対の触媒層を挟む一対の金網と、
前記金網を挟み込み、一端が信号を出力するコネクタ部である複数の棒状の集電電極と、
複数の前記集電電極の前記一端とは逆の端を保持する保持サポータと、
前記集電電極の前記保持サポータ及び前記コネクタ部の間を保持し、複数の前記集電電極の間の距離を固定して保持する固定サポータとを有する、
気体計測装置。
【請求項7】
気体の中の不純物を計測して分析する気体分析システムであって、
気
体計測装置
を備え、
前記気体計測装置は、
前記不純物を通さない電解質膜と、
前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、
前記気体を前記電解質膜に送る流路と、
前記電解質膜に電圧を印加する電源と、
前記電源を制御する電源制御部と、
前記電解質膜に印加される電圧を計測する電圧計と、
前記電解質膜に流れる電流を計測する電流計とを備え、
前記電源制御部は、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加するものであり、
前記気体計測装置の計測結果を分析する分析部
をさらに備え、
前記分析部は、
複数の前記不純物として第1不純物及び第2不純物を分析するものであり、
前記第2不純物の不純物濃度に基づく第2パラメータを前記第1不純物の不純物濃度に基づく第1パラメータに換算する換算部を有する、気体分析システム。
【請求項8】
前記電源は、前記電解質膜に一定の振幅の電流を流すように前記交流電圧を印加するものであり、
前記換算部は、前記第2不純物の不純物濃度に基づく前記交流電圧の上昇値から、前記第1不純物に換算した場合の不純物濃度を算出する、請求項7記載の気体分析システム。
【請求項9】
気体の中の不純物を計測する気体計測装置を用いた気体計測方法であって、
前記気体計測装置は、
前記不純物を通さない電解質膜と、
前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、
前記気体を前記電解質膜に送る流路と、
電源と、
前記電解質膜に一定の振幅の値となる交流電流が生じるように前記一対の触媒層の間に交流電圧を印加する
前記電源を制御する電源制御部と、
前記電解質膜に印加される電圧を計測する電圧計とを備え、
前記流路の一部がイオン交換樹脂を壁の素材とする筒状の水蒸気付与流路であり、
前記水蒸気付与流路の周囲に水蒸気を発生させる水蒸気発生部をさらに備え、
前記水蒸気発生部が前記水蒸気付与流路の壁を介して当該水蒸気付与流路の中の前記気体に湿度を与えており、
前記電圧計が、前記電解質膜を介した前記一対の触媒層の間で前記不純物の濃度に応じて生じる電圧の値の変化について、前記不純物が含まれない気体の場合をゼロ基準にするとともに、前記ゼロ基準と比較される電圧の値を計測する
計測ステップを含む、気体計測方法。
【請求項10】
気体の中の不純物を計測する気体計測装置を用いた気体分析方法であって、
前記気体計測装置は、
前記不純物を通さない電解質膜と、
前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、
前記気体を前記電解質膜に送る流路と、
前記電解質膜に電圧を印加する電源と、
前記電源を制御する電源制御部と、
複数の前記不純物として第1不純物及び第2不純物を分析する分析部とを備え、
前記電源制御部が、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加する交流印加ステップと、
前記分析部が、前記第2不純物の不純物濃度に基づく第2パラメータを前記第1不純物の不純物濃度に基づく第1パラメータに換算する換算ステップを含む、気体分析方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項9記載の気体計測方法を実現するための計測ステップ、又は、請求項10記載の気体分析方法を実現するための交流印加ステップ及び換算ステップを実行させる
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体計測装置、気体分析システム、気体計測方法、気体分析方法及びプログラムに関し、特に、気体の中の不純物を計測する気体計測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池の実用化に向けて良質な水素気体を提供するニーズが高まっている。
図10を参照して、水素ステーションにおける不純物濃度監視の一例について述べる。
図10は、水素燃料の製造から供給までの流れの一例を示すフロー図である。まず、都市ガスやLPGが例えば0.6MPaのような低圧で水素製造装置101に供給される。水素製造装置101で製造された水素ガスは、圧縮機103に供給される。この際に、水素製造装置101から圧縮機103への供給ラインに気体計測装置105が接続されて不純物濃度が監視される。続いて、圧縮機103で例えば87.5MPaのような高圧とされた水素ガスは蓄圧器107に供給される。蓄圧器107からディスペンサー111に供給される前に点検用低圧配管へ接続された水素ガスが気体計測装置109に接続されて不純物濃度が監視される。最終的に、ディスペンサー111から燃料電池車113に水素ガスが供給されて消費される。
【0003】
なお、圧縮機103に供給されるルートとしては、上記のオンサイト供給の他、オフサイトに供給される場合もある。この場合、水素カードルが水素トレーラーにより運搬され、14.7MPa~45MPaに圧縮された水素カードル内の水素が圧縮機103に供給される。ここに記載した以外は、オンサイト供給と同様である。
【0004】
本願発明者は、これまでに燃料電池セルの保護装置、温湿度調整装置、流体移送装置等を開発してきた(特許文献1~3)。
【0005】
また、ガスクロマトグラフィー法により連続的にサンプルガスを分析するガスクロマトグラフィー装置が知られていた(特許文献4)。さらに、1つのセンサーセルで燃料水素中の各種の不純物を監視するセンサーセルが知られていた(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-092786号公報
【文献】特開2016-039139号公報
【文献】特開2014-177892号公報
【文献】特開2002-181798号公報
【文献】特許第5597004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、硫化水素ガス(H2S)を高精度に連続で計測できる装置は提供されていなかった。ここで、計測セルは、硫化水素ガスがわずか4ppb混入するだけで破壊されてしまう。硫化水素ガスを連続で計測できないと、硫化水素ガスの混入を即座に検出できず、計測セルを十分に保護できていなかった。その結果、10ppbの硫化水素ガスが混入したために水素ステーションを全て停止させるという事態も生じていた。
【0008】
特許文献5に記載の装置は、精度の高さの点で有利と言えるが、不純物が短期間のうちに蓄積して3日ほどで計測セルが寿命を迎える点で改善の余地があった。
【0009】
ゆえに、本発明は、連続的に不純物を計測すると共に、計測セルの寿命が長い気体計測装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、気体の中の不純物を計測する気体計測装置であって、前記不純物を通さない電解質膜と、前記気体を前記電解質膜に送る流路と、前記電解質膜に電圧を印加する電源と、前記電源を制御する電源制御部と、前記電解質膜に印加される電圧を計測する電圧計と、前記電解質膜に流れる電流を計測する電流計とを備え、前記電源制御部は、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加する、気体計測装置である。
【0011】
本発明の第2の観点は、第1の観点の気体計測装置であって、前記電源は、前記交流電圧として、正弦波を用いる。
【0012】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の気体計測装置であって、前記流路の一部がイオン交換樹脂を壁の素材とする筒状の水蒸気付与流路であり、前記水蒸気付与流路の周囲に水蒸気を発生させる水蒸気発生部をさらに備え、前記水蒸気付与流路の壁を介して当該水蒸気付与流路の中の前記気体に湿度を与える。
【0013】
本発明の第4の観点は、第3の観点の気体計測装置であって、前記イオン交換樹脂は、ナフィオンである。
【0014】
本発明の第5の観点は、第3又は第4の観点の気体計測装置であって、前記水蒸気発生部は、前記水蒸気付与流路に対して、30℃以上かつ50℃以下の水蒸気の雰囲気を発生させる。
【0015】
本発明の第6の観点は、第1から第5のいずれかの観点の気体計測装置であって、前記電解質膜を挟む一対の触媒層と、前記電解質膜及び前記一対の触媒層とを安定に保持するセンサホルダーをさらに備え、前記センサホルダーは、前記一対の触媒層を挟む一対の金網と、前記金網を挟み込み、一端が信号を出力するコネクタ部である複数の棒状の集電電極と、複数の前記集電電極の前記一端とは逆の端を保持する保持サポータと、前記集電電極の前記保持サポータ及び前記コネクタ部の間を保持し、複数の前記集電電極の間の距離を固定して保持する固定サポータとを有する。
【0016】
本発明の第7の観点は、気体の中の不純物を計測して分析する気体分析システムであって、第1から第5のいずれかの観点の前記気体計測装置と、前記気体計測装置の計測結果を分析する分析部とを備え、前記分析部は、複数の前記不純物として第1不純物及び第2不純物を分析するものであり、前記第2不純物の不純物濃度に基づく第2パラメータを前記第1不純物の不純物濃度に基づく第1パラメータに換算する換算部を有する、気体分析システムである。
【0017】
本発明の第8の観点は、第7の観点の気体分析システムであって、前記電源は、前記電解質膜に一定の振幅の電流を流すように前記交流電圧を印加するものであり、前記換算部は、前記第2不純物の不純物濃度に基づく前記交流電圧の上昇値から、前記第1不純物に換算した場合の不純物濃度を算出する。
【0018】
本発明の第9の観点は、気体の中の不純物を計測する気体計測装置を用いた気体計測方法であって、前記気体計測装置は、前記不純物を通さない電解質膜と、前記気体を前記電解質膜に送る流路と、前記電解質膜に電圧を印加する電源と、前記電源を制御する電源制御部とを備え、前記電源制御部が、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加する交流印加ステップを含む、気体計測方法である。
【0019】
本発明の第10の観点は、気体の中の不純物を計測する気体計測装置を用いた気体分析方法であって、前記気体計測装置は、前記不純物を通さない電解質膜と、前記気体を前記電解質膜に送る流路と、前記電解質膜に電圧を印加する電源と、前記電源を制御する電源制御部と、複数の前記不純物として第1不純物及び第2不純物を分析する分析部とを備え、前記電源制御部が、前記電源を制御して、前記電解質膜に交流電圧を印加する交流印加ステップと、前記分析部が、前記第2不純物の不純物濃度に基づく第2パラメータを前記第1不純物の不純物濃度に基づく第1パラメータに換算する換算ステップを含む、気体分析方法である。
【0020】
本発明の第11の観点は、コンピュータを、第9又は第10の観点の前記電源制御部、又は、第10の観点の分析部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の各観点によれば、気体中の一酸化炭素等の不純物によって計測セル中の電解質膜が劣化するのを遅らせて計測セルの寿命を延ばすことが可能となる。このため、連続的に不純物を計測すると共に、計測セルの寿命が長い気体計測装置等を提供することが可能となる。本発明者らは、従来の直流を用いる方法に比べて、100倍以上に寿命を延ばすことができることを実験により確認した。
【0022】
また、本発明の第2の観点によれば、本発明に係る気体計測装置においては、他の波形の交流を印加する場合と比較して安定したデータを得ることが容易となる。
【0023】
ここで、本発明に係る気体計測装置においては、電解質膜に80%等の一定の湿度を安定的に供給することが計測に必要である。本発明の第3及び第4の観点によれば、細かい粒径の水蒸気を気体に提供することにより、結露しにくい状態で安定した湿度を気体に供給することが可能となる。
【0024】
さらに、本発明の第5の観点によれば、比較的低温で気化した水蒸気を水蒸気付与流路に供給することにより、細かい粒径の水蒸気を提供して結露しにくい状態で安定した湿度を気体に供給することが容易となる。
【0025】
また、本発明の第6の観点によれば、センサと被計測ガスとの接触面積を安定させつつ、センサと電極との均一な接触を実現できるため、安定した信号の取得が可能となる。そのため、センサの感度と信号取得の両方の安定性向上を両立させることが容易となる。
【0026】
さらに、本発明の第7又は第8の観点によれば、異なる種類の不純物濃度による計測セルへの劣化の影響を共通の指標により評価することが可能となる。そのため、計測セルの寿命及び寿命に与えられた影響を評価することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施例に係る気体計測装置1による気体計測結果の(a)個別表示方式、及び、(b)一括表示方式による表示例を示す図である。
【
図2】水素供給ラインの連続計測の必要性について示す図である。
【
図3】気体分析システム1の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【
図4】気体分析システム1の配管系統の一例を示す図である。
【
図5】水素ポンプ型セルの原理を説明する図である。
【
図6】検出セル15を保持するセンサホルダーの一例を示す図である。
【
図7】気体分析システム1を用いた分析結果の一例を示す図である。
【
図8】検出セル15に直流電圧を印加した場合の約5日間の出力電圧等の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図9】検出セル15に交流電圧を印加した場合の約27日間の出力電圧等の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図10】水素燃料の製造から供給までの流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
本実施例に係る気体分析システム1(本願請求項に記載の「気体分析システム」の一例である)の概要を述べる。気体分析システム1は、燃料電池自動車の性能低下を引き起こす水素燃料中の一酸化炭素(CO)等の複数の被毒物質(本願請求項に記載の「不純物」の一例である)を一括で、リアルタイムにかつ連続的に品質監視する分析システムである。
【0030】
そもそも、不純物成分が複数あれば、その数に対応したセンサーを配置して監視する必要がある。しかし、従来、選択的に識別できる高感度なセンサーは実用化されていない。そのため、複数の計測装置を必要としていた。
【0031】
これに対して、気体分析システム1が有する水素ポンプ型セル3は、1つのセルで少なくとも一酸化炭素及び硫化水素を検出可能である。
【0032】
また、
図1を参照して一括表示について述べる。
図1は、気体分析システム1による気体分析結果の表示例を示す図である。気体分析システム1は、一酸化炭素(本願請求項における「第1不純物」の一例)及び硫化水素(本願請求項における「第2不純物」の一例)のような複数の不純物を別々に表示するだけでなく、CO換算で一括して表示することも可能である。しかも、校正ガス以外の不純物も計測及び表示可能である。これにより、
図1(a)に示すように、予想された不純物のみを個別に表示することに加え、予想外の不純物も個別に表示できる。しかも、
図1(b)に示すように、COが触媒層に接したときの抵抗値の増大や電圧の増大のような単一のCO換算基準で不純物の混入の度合いを一括して表示可能である。ここで、CO換算値を求めるには、例えば、CO標準ボンベで校正した計器で、CO以外のガスを計測した際の指示値を参照することで求められる。例えば、CO200ppbで校正した計器にH
2S100ppbを流したとき、計器の指示値が200ppbであった。この場合、H
2S100ppbのCO換算値は、CO200ppbとなる。さらに、H
2SをCO換算したときの換算値を、比例関係にあると考えてH
2S1ppbに対してCO2ppbとしてもよいし、他の関係式を用いてもよい。
【0033】
次に、
図2を参照して、連続計測の必要性について述べる。
図2は、水素供給ラインの連続計測の必要性について示す図である。従来、水素ガス中の不純物を連続的に計測する計測器は存在せず、抜取検査が行われていた。しかし、
図2に示すように、一時的に不純物ガスが混入した水素ガスが供給されてしまうと、その後は不純物ガスが混入していない水素ガスがラインに供給される。そのため、抜取検査においては、混入のタイミングと検査のタイミングが合致した場合のみ不純物ガスの混入が検出される。他方、混入のタイミングと検査のタイミングが合致しなければ不純物ガスの混入が見逃されてしまう。これに対して、連続計測(連続検査)の場合であれば、常時検査を行っているため、どのようなタイミングで不純物が混入したとしても検出可能である。連続計測を行うことにより、不純物混入による異常値を早期に発見し、ガスクロマトグラフィー等で検証し、対策を図ることが可能となる。
【0034】
気体分析システム1で連続計測を行う場合、サンプルガス及びゼロガスを常時供給する必要がある。従来、不純物の計測装置としてガスクロマト装置があるが、カラムで試料を分離するために3L/minといった多量のキャリアガスを必要としていた。しかし、気体分析システム1は、ガスクロマト装置を用いないため、そのように多量のキャリアガスを使用しない。また、従来の分析システムでは不純物成分ごとに分析システムを要していたところ、気体分析システム1は、後述する検出セルを使用することにより、複数の不純物を1台で分析することが可能である。そのため、必要とするガス量が一般的な計測装置の流量の30分の1で済み、ランニングコストを低減できる。
【0035】
続いて、
図3を参照して、気体分析システム1の構成について述べる。
図3は、気体分析システム1の構成の概要の一例を示すブロック図である。気体分析システム1は、気体計測装置3(本願請求項に記載の「気体計測装置」の一例である)と、電子クーラ5と、分析部7(本願請求項における「分析部」の一例)と、無停電装置9とを備える。気体計測装置3は、水素燃料供給部11と、加湿器13(本願請求項に記載の「水蒸気発生部」の一例である)と、検出セル15と、排出部17と、流路19と、流量調整部21と、電力調整部23と、セル電源25と、表示部27と、制御部29とを備える。加湿器13は、水蒸気付与流路31(本願請求項に記載の「水蒸気付与流路」の一例である)を有する。制御部29は、気体流量制御部33と、加湿器温度制御部35と、流路温度制御部37と、電源制御部39(本願請求項に記載の「電源制御部」の一例である)と、セル温度制御部41と、セル湿度制御部43とを有する。分析部7は、換算部45(本願請求項における「換算部」の一例)を有する。
【0036】
気体計測装置3は、分析対象である水素燃料の不純物濃度を計測する。電子クーラ5は、気体分析システム1の温度を調整する。分析部7は、気体計測装置3の計測結果を取得して分析する。無停電装置9は、バッテリーを有しており、停電等で電力が電源から正常に供給されない電源異常時に気体計測装置等に電力を供給する。水素燃料供給部11は、水素燃料を供給する。加湿器13は、水蒸気付与流路において水素燃料に水蒸気を付与して水素燃料を加湿する。検出セル15は、水素燃料中の不純物を検出して電圧の変化として出力する。排出部17は、計測後の水素燃料や水滴を排出する。水素燃料は、水素燃料供給部11から排出部17に至るまで流路19(本願請求項に記載の「流路」の一例である)を通過する。流量調整部21は、水素燃料供給部11から流路19に供給される水素燃料の流量を調整する。電力調整部23は、検出セル15に印加される電力、特に、電圧を調整する。セル電源25(本願請求項に記載の「電源」の一例である)は、検出セル15に電圧を印加する。表示部27は、気体分析システム1の分析結果及び/又は気体計測装置3の計測結果を使用者に表示する。
【0037】
制御部29は、気体計測装置の各パラメータを制御する。気体流量制御部33は、水素燃料供給部11を制御して、供給される水素燃料の流量を調整させる。流路温度制御部37は、流路19の温度、特に、加湿器13と検出セル15の間の流路の温度の計測結果に基づき、例えば検出セル15の温度よりも高く保つように制御する。電源制御部39は、検出セル15に流れる電流の計測結果に基づき、電力調整部23を制御して一定の電流が検出セル15に流れるように、セル電源25が検出セル15に印加する電圧を調節させる。セル温度制御部41は、検出セル15の温度の計測結果に基づき、例えば加湿器温度制御部35により制御される温度と同じ又は同程度であるように調節させる。セル湿度制御部43は、検出セル15の湿度の計測結果に基づき、加湿器13の温度を制御して、加湿器13が水蒸気付与流路31に付与する水蒸気を調節させる。
【0038】
気体流量制御部33は、定期的に純粋な水素燃料を流路19に流す。これにより、専門の分析員による校正が不要となる。
【0039】
加湿器13が有する水蒸気付与流路31は、流路19の一部である。加湿器13が水蒸気付与流路31に水蒸気を付与することにより、水蒸気付与流路31及びその下流に位置する流路19が加湿され、結果として検出セル15が加湿される。
【0040】
分析部7が有する換算部45は、一酸化炭素以外の水素燃料中の不純物による検出セル15の電圧上昇の値と、一酸化炭素による検出セル15の電圧上昇の値とを比較することにより、一酸化炭素以外の不純物濃度を一酸化炭素の場合の不純物濃度に換算する。
【0041】
次に、
図4を参照して、気体分析システム1の配管系統について述べる。
図4は、気体計測装置1の配管系統の一例を示す図である。
【0042】
水素燃料電池611~61nに水素を供給する水素パイプライン62の途中に水素受入装置63がある。分析対象となるサンプル水素ガスが、水素受入装置63から元栓65を経由して、例えば屋外のキャビネットに収納された気体分析システム1に供給される。サンプル水素ガスは、例えば0.1Mpa、0.2L/minで供給される。サンプル水素ガスを気体計測装置3に供給するラインは、弁69及びゼロガスフィルター71を経由して気体計測装置3に入るラインと、弁73のみを経由して気体計測装置3に入るラインに分岐している。また、気体計測装置3には、標準ガスを収容するガスボンベ75から、例えば0.2ppmのCOが混入した水素ガスが供給されるラインも接続されている。気体計測装置3は、電気的に無停電装置9を経由して電子クーラ5、データロガー77、電源67(AC100V,15A)に接続されている。データロガー77は、例えば分析部7を有するノートパソコンである。
【0043】
ゼロガスフィルター71を用いることにより、ゼロ調整が安定化し、計測の安定化を図ることが可能となる。また、純粋な水素ボンベを用意する費用とボンベ交換の手間を削減することが可能となる。
【0044】
次に、
図5を参照して、気体計測装置1の不純物検出を担う検出セル15の一例である、水素ポンプ型セルについて述べる。
図5は、水素ポンプ型セルの原理を説明する図であり、(a)純水素ガスを流す場合と、(b)水素ガスにCO等の不純物が混入した場合とを示す図である。水素ポンプ型セルは、ナフィオン(登録商標)等の電解質膜81(本願請求項に記載の「電解質膜」の一例である)と、電解質膜を挟むように存在する第1触媒層83及び第2触媒層85(本願請求項に記載の「一対の触媒層」の一例である)と、図示しないセル電源と、電流計87と、電圧計89とを備える。電解質膜81は、水素イオンを通過させる。第1触媒層83及び第2触媒層85は、それぞれ白金を素材として有する。電解質膜81の正極側に第1触媒層83が存在する場合、第1触媒層83が有する白金は、水素分子と接触すると、水素分子を2つの水素イオンに分解する分解反応の触媒として作用する。発生した水素イオンは、電解質膜81を通って負極側に存在する第2触媒層85に達する。第2触媒層85が有する白金は、2つの水素イオンが結合して水素分子を形成する触媒として作用する。電源は、第1触媒層83、電解質膜81、第2触媒層85の間に電圧を印加する。
【0045】
図5(a)に示すように、第1触媒層83、電解質膜81、第2触媒層85の間に一定の電流が流れるように電圧を管理することにより、不純物が存在しない間は、電圧は一定に保たれる。ここで、
図5(b)に示すように、一酸化炭素などの不純物が第1触媒層83に接触すると、水素分子が第1触媒層83に接触することが阻害されるため、抵抗値が増大する。その場合も一定の電流が流れるように電圧が管理されているため、電圧の値が大きくなる。この電圧上昇により、不純物の存在を検出することが可能となる。
【0046】
従来、不純物の検出にはガスクロマトグラフィーが使用されていたが、高度な知識が必要だった。水素ポンプ型セルは、ポンプ型であることから、最初に不純物がない純粋な水素ガスを流してゼロ点を決め、計測対象のガスを流すというシンプルな構造とできる。しかも、安定なゼロ点を得ることができる。
【0047】
ここで、上記の水素ポンプ型セルは、加湿をしないとインピーダンスが高く陽子が移動できないため計測できない。また湿度は、超精密に制御しないと計測値が不安定となる。また、高湿度(80%)にすると長寿命になるが結露しやすくなる等、水素ポンプ型セルを用いた水素ガス分析には湿度制御が制御の中でも最重要である。気体計測装置3においては、イオン交換樹脂であるナフィオンの壁を通して水蒸気付与流路31でサンプル気体に水蒸気が付与される。ペルチェ素子で30℃以上50℃以下、さらに好ましくは、35℃以上40℃以下に温度制御して加湿することと、壁を通らせることで粒子サイズが小さい水蒸気を付与可能となる。結果として、結露せずに安定に湿度を80.00%のように高く安定に制御することが可能である。また、仮に結露してもすぐに気化することとなる。
【0048】
電源が検出セル15に直流電流を流す場合、感度の観点からは優れているものの、不純物が蓄積して3日程度でセルの交換が必要となっていた。これに対して電源が交流電圧を検出セル15に印加する場合、1年以上を想定した耐久試験において十分に計測できることを確認した。
【0049】
本実施例では、検出セル15に印加する交流電圧の波形として正弦波を用いた。なお、正弦波の代わりに矩形波や三角波を用いることとしてもよい。交流の周波数は、電解質膜を水素イオンが通過する速度との関係で決定すればよく、安定した結果を得られる周波数であればよい。
【0050】
さらに、
図6を参照して、検出セル15を保持するセンサホルダーについて述べる。
図6は、本発明者らが開発したセンサホルダー151の一例を示す図であり、(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)右側面図、(e)側面図の一部の拡大参考図を示す図である。なお、背面図及び左側面図は、それぞれ正面図及び右側面図と同一に表れるため、省略している。
【0051】
そもそも、水素ガスの雰囲気下において、CO等の不純物ガスに反応するセンサをいかに固定して被計測ガス内に設置し、信号を取り出すかが課題であった。
【0052】
従来、以下のような方法で固定及び設置し、信号を取得していた。すなわち、電極を兼ねたばねの力でセンサを挟み、絶縁体で固定して使用していた。あるいは、固定電極とねじ電極でセンサを挟み、絶縁体で固定して使用していた。あるいは、センサに蒸着法などにより電極を形成して使用していた。
【0053】
上記のいずれの方法でもセンサとしての機能は確認できた。ただし、ビスの締付具合で接触抵抗が変化し、挟み込み時の力加減や信号取り出し位置の高精度な調整等が必要であり、センサの検知能力のバラツキとして現れ、不確定要素でもあった。振動や温度変化でもデータが変動していた。このような観点から、誰が製作してもきちんと安定した能力が得られ、かつ、できるだけ簡便に作業できるようなセンサ収納器具が必要であった。そこで、本発明者らは、安定したセンサ能力が得られるセンサホルダー等を開発し提供することとした。
【0054】
このようなセンサホルダーとして、以下の内容が前提となる。センサホルダーが保持するセンサは、ナフィオン膜と、ナフィオン膜を間に挟んだ触媒層とを有する。触媒層の表面を流れる被計測ガスが触媒層に接する際の抵抗変化によりセンサとして機能する。そのため、センサとしての感度を高めるためには、できるだけ多くのガスが触媒層の表面に接することができることが好ましい。
【0055】
他方、センサに対して外部から駆動電源を供給し、及び/又は、信号の取り出しをするには触媒層の表面に電極を配置する必要がある。触媒層は、電極を兼ねるものであってもよい。ここで、信号を安定して取得するには、できるだけ触媒層の多くの面積が電極である方が好ましい。
【0056】
そのため、センサの感度の観点と出力信号の取り出しの観点との相反する要請をできるだけ満たすような妥協点を見出すことが必要となる。
【0057】
図6を参照して、センサホルダー151は、複数の棒状の集電電極153(本願請求項における「集電電極」の一例)と、保持サポータ155(本願請求項における「保持サポータ」の一例)と、固定サポータ157(本願請求項における「固定サポータ」の一例)と、コネクタ部159(本願請求項における「コネクタ部」の一例)と金網161とを備える。センサホルダー151は、検出セル15を保持する。検出セル15は、ナフィオン膜81と、ナフィオン膜81を間に挟む第1触媒層83及び第2触媒層85とを有する。
図6に示すように、センサホルダー151は、4本×2列の8本の集電電極153を有する。集電電極153は、金メッキ処理されており、検出セル15を保持すると共に、検出セル15から出力される信号を取得する。保持サポータ155は、樹脂製であり、2列の集電電極153の間に検出セル15及び1対の金網161(本願請求項に記載の「一対の金網」の一例である)を保持する。固定サポータ157は、樹脂製であり、集電電極153の保持サポータ155及びコネクタ部159の間を保持する。また、固定サポータ157は、複数の集電電極153の間の距離を固定するように複数の集電電極153を保持する。コネクタ部159は、集電電極153の一端であり、又は、集電電極153の一端に接続されており、集電電極153が取得した信号を外部に出力する。金網161は、少なくとも表面が金や白金等の金属でできており、網状の構造をしている。また、金網161は、第1触媒層及び第2触媒層85を挟み込むように一対となっている。
【0058】
金網161が第1触媒層83及び第2触媒層85の全面に一定間隔で接することにより安定した信号取得が可能となる。しかも、金網161の隙間において被計測ガスが第1触媒層83及び第2触媒層85に接触する面積を確保している。そのため、センサホルダー151は、センサの感度と出力信号の取り出しを両立させることが可能となる。また、保持サポータ155及び固定サポータ157が棒状の集電電極153をしっかり固定することにより、安定した出力信号が得られると共に、集電電極153の一端にあるコネクタ部と外部とを安定に電気的に接続することが容易となる。
【0059】
センサホルダー151により、センサと被計測ガスとの接触面積を安定させることが可能となる。また、センサと電極との均一な接触を実現できるため、安定した信号の取得が可能となる。さらに、センサホルダー151の組立作業及び検出セル15の組込作業を単純化したため、人的エラーや組立誤差がなく、センサホルダー151の製作精度が向上する。また、センサホルダー151は、温度変化に安定である。さらに、スマートなセンサホルダーで設置した配管内でガスが抵抗なく流れるため、被計測ガスの残留による計測誤差が減少する。結果として、気体計測装置3の向上に寄与する。
【0060】
次に、
図7を参照して、気体分析システム1を用いた分析結果について説明する。
図7は、気体分析システム1を用いた分析結果の一例を示す図である。
【0061】
気体分析システム1の精度を確認するために、CO濃度490ppbのガスボンベ75からガスボンベ75に接続された調節弁を用いて様々な濃度のCOが混入した水素ガスを計測した。約2時間の計測時間の間に、490ppb→400ppb→300ppb→200ppb→100ppb→0ppb→100ppb→200ppb→300ppb→400ppb→490ppbとCOの不純物濃度を変化させた。
図7に計測結果を示すように、491ppb→399ppb→294ppb→193ppb→94ppb→0.0ppb→96ppb→191ppb→290ppb→393ppb→494ppbとCO濃度の高精度な分析結果を得られた。また、この間のCOセンサー電圧[mV]は、約352mVで安定していた。
【0062】
続いて、
図8及び
図9を参照して、検出セルに交流電圧を印加することで検出セルの寿命が飛躍的に伸びることを示す。
図8は、検出セル15に直流電圧を印加した場合の約5日間の出力電圧等の経時変化の一例を示すグラフである。
図9は、検出セル15に交流電圧を印加した場合の約27日間の(a)出力電圧、(b)検出セル15の湿度、(c)加湿器13の温度の経時変化の一例を示すグラフである。
【0063】
図8には、横軸に時刻、縦軸に検出セル15に直流電圧を印加した場合の出力電圧[mV]、電流[mA]、出力電圧の変化率[mV]、水素流量[ml/分]、乾燥流量[ml/分]、検出セル15の温度[℃]、検出セル15の湿度[%RH]が示されている。特に、検出セル15の出力電圧は、約2.5日でオーバーフローしてしまい、その後は検出セル15が機能しなくなってしまっている。1年中使用することが想定される検出セルとしては、これほど交換時期が短いと実用的でなくなってしまう。
【0064】
図9(a)に示すように、検出セル15に交流電圧を印加した場合は、出力電圧は27日で56[mV]上昇しただけであり、1日平均で2mV強の増加にすぎなかった。このため、上限の1000[mV]に到達するまで少なくとも1年以上は使用できる見込みである。加えて、500mVを超えると、出力電圧の上昇が1日平均で1mV以下になる傾向を考慮すると、2年近く使用できる計算となる。したがって、検出セル15に交流電圧を印加することにより、実用に堪える気体分析システムを提供することが可能となる。
【0065】
さらに、検出セル15にとって高精度な検出のためには湿度を高いレベルで安定に保つことが重要である。
図9(b)に示すように、27日間にわたって加湿器13の温度を37±0.1℃に制御することが可能であった。また、
図9(c)に示すように、27日間にわたって検出セル15の湿度は、70%±0.1%と高い精度で保つことが可能であった。
図9(b)及び(c)には、加湿器13の温度を高精度に制御できた結果として、検出セル15の湿度が高精度に制御されていることが示されている。
【0066】
気体分析システム1を用いることにより、従来装置のように専門の分析員を必要とせずに、不純物濃度を確認することができる。そのため、水素社会の到来を間近に控えて、必ずしも専門的な教育を受けていない使用者が、数多くの現場で気体分析システム1を使用することが可能である。また、水素分析システム1により異常値が検出された際には、ガスクロマトグラフィー等と併用することにより、早期検出とトータル成分分析を行って、水素燃料の品質管理を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1;気体分析システム、3;気体計測装置、7;分析部、13;加湿器、15;検出セル、23;電力調整部、25;セル電源、29;制御部、31;水蒸気付与流路、37;流路温度制御部、39;電源制御部、41;セル温度制御部、43;セル湿度制御部、45;換算部、81;電解質膜、83;第1触媒層、85;第2触媒層、87;電流計、89;電圧計、151;センサホルダー