(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】遠心分離ユニット
(51)【国際特許分類】
B04B 5/02 20060101AFI20220804BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220804BHJP
C12M 1/28 20060101ALI20220804BHJP
G01N 1/40 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B04B5/02 Z
C12M1/00 A
C12M1/28
G01N1/40
(21)【出願番号】P 2019521814
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2017107091
(87)【国際公開番号】W WO2018077120
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2019-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】201610936523.6
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519142675
【氏名又は名称】深▲せん▼市孔雀生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN PEACOCK BIOTECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room 705,Kelunte Reseach and Development Building,No.1 Ganliwu Road,Buji Technology New Town,Bulan Road,Buji Street,Longgang District,Shenzhen,Guangdong 518000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】尤 剣琴
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】関根 崇
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2638968(EP,A2)
【文献】特公昭50-19791(JP,B2)
【文献】米国特許第3494508(US,A)
【文献】実開平5-60542(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104884602(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M1/
B04B
C12M1/
G01N35/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心機に装着して使用されるものであって、遠心分離の対象となる
比重の異なる細胞成分を含む懸濁液が内蔵される負圧保存チャンバを有する遠心分離ユニットにおいて、
前記負圧保存チャンバには、細管が連通されていること、
前記細管の途中には、前記遠心分離ユニットを前記遠心機に固定するための固定手段を備えること、
前記負圧保存チャンバは
、前記細管の先端から前記懸濁液を吸引し、内蔵すること、
前記遠心機で遠心分離が行われたときに、比重の軽い含有量が少ない成分液が前記細管内に分離されること、
を特徴とする遠心分離ユニット。
【請求項2】
前記固定手段は、前記遠心分離ユニットを前記遠心機に固定するように、前記遠心機と係合する係合機構であることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項3】
前記固定手段は、前記遠心分離ユニットを遠心管内に固定するように、前記遠心管と接続され且つ前記細管が挿設される遠心蓋であることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項4】
前記負圧保存チャンバ
は、弾性容器からなり、前記弾性容器が押圧され、押圧が解放されることにより負圧を発生することを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項5】
前記負圧保存チャンバは、そのうちの一方が押圧され、押圧が解放されることにより負圧を発生する少なくとも2つの互いに連通する弾性容器を含むことを特徴とする請求項4に記載の遠心分離ユニット。
【請求項6】
前記遠心分離ユニットは、前記少なくとも2つの互いに連通する前記弾性容器の間に設置される締付け部品をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の遠心分離ユニット。
【請求項7】
前記締付け部品は、ピンチ弁を含むことを特徴とする請求項6に記載の遠心分離ユニット。
【請求項8】
前記負圧保存チャンバには、負圧を発生する注射式針管である負圧発生器と接続される開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項9】
前記負圧保存チャンバには、負圧を発生する真空ポンプである負圧発生器と接続される開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項10】
前記細管の内径は、2mm以下に形成され、前記負圧保存チャンバの幅方向における横断面積は、前記細管の幅方向における横断面積の3倍~20倍であることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【請求項11】
前記細管は、透明又は半透明となり、前記負圧保存チャンバは、透明又は半透明となり、前記細管は前記負圧保存チャンバと一体成型されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術分野に関し、特に細胞成分の分層に適用する組合せ式遠心装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心技術は、細胞生物学、分子生物学、生物化学及びその他の関連分野において幅広く応用されている。遠心力の作用によって、懸濁液における比重が異なる細胞が分層されて分離濃縮されるようにする。
【0003】
伝統の遠心管は、分層前の懸濁液を上から下へ注ぎ、上部の直径が中部及び底部の直径以上であるように構成される注入式のものである。
【0004】
伝統の遠心操作によって、懸濁液における比重が異なる細胞は、遠心された後、遠心管において異なる層になり、一部の含有量が極めて少ない細胞成分により伝統の遠心管に形成された層が非常に薄いので、吸出し、分離することが比較的困難になる。末梢血を例とすると、抗凝固性の末梢血は、赤血球、顆粒球及び単球を含む血球と、血漿とからなる。各血球は、その比重が異なるので、自然沈殿又は遠心を経て、遠心管において異なる層に位置するようになる。そのうち、末梢血における単球は、血球成分の僅か千分の一ほどを占めている。遠心後の赤血球及び顆粒球が遠心管の下層に位置し、血漿が遠心管の上層に位置し、単球により形成された層が遠心管の中層に位置するが、単球の含有量が極めて少ないので、吸出しが非常に困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、懸濁液における含有量が極めて少ない成分を有効に分離できる組合せ式遠心装置を提供することを主な解決しようとする技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術課題を解決するために、本発明の技術方案は、組合せ式遠心装置を提供し、細管と、負圧保存チャンバと、を備え、前記負圧保存チャンバは、細管と連通し、負圧の発生及び懸濁液の保存に用いられ、負圧が発生した際に、細管を介して懸濁液を負圧保存チャンバ及び細管内に吸い込むように構成され、細管には、遠心機で組合せ式遠心装置における懸濁液を遠心するように、組合せ式遠心装置を遠心機に固定する固定装置が設けられている。
【0007】
そのうち、固定装置は、組合せ式遠心装置を遠心機に固定するように、遠心機と係合される係合機構である。
【0008】
そのうち、固定装置は、組合せ式遠心装置を遠心管内に固定するように、遠心管と接続され且つ細管が挿設される遠心蓋である。
【0009】
そのうち、負圧保存チャンバは、押圧されて負圧を発生させる弾性容器を含む。
【0010】
そのうち、負圧保存チャンバは、そのうちの一方が押圧されて負圧を発生させる少なくとも2つの互いに連通する弾性容器を含む。
【0011】
そのうち、組合せ式遠心装置は、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の間に設置される締付け部品をさらに含む。
【0012】
そのうち、締付け部品は、ピンチ弁を含む。
【0013】
そのうち、負圧保存チャンバには、負圧を発生させる注射式針管又は真空ポンプである負圧発生器に接続される開口が設けられている。
【0014】
そのうち、細管の内径は、2mm以下に形成され、負圧保存チャンバの幅方向における横断面積は、細管の幅方向における横断面積の3倍~20倍である。
【0015】
そのうち、細管は、透明又は半透明となり、負圧保存チャンバは、透明又は半透明となり、細管は負圧保存チャンバと一体成型されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、以下のようである。
従来技術と異なって、本発明により公開された組合せ式遠心装置は、細管と、負圧保存チャンバと、を備え、前記負圧保存チャンバは、細管と連通し、負圧の発生及び懸濁液の保存に用いられ、負圧が発生した際に、細管を介して懸濁液を負圧保存チャンバ及び細管内に吸い込むように構成され、細管には、組合せ式遠心装置を遠心機に構成する固定装置が設けられている。以上により、本発明は、固定装置で組合せ式遠心装置が遠心機に直接固定され、遠心機による遠心中に、細管で懸濁液における含有量が極めて少ない成分を保存でき、且つ直接に懸濁液における含有量が極めて少ない成分の細管における厚みを増加させることできるので、懸濁液における含有量が極めて少ない成分をよりよく分離でき、効率を大幅に向上させ、分層及び分離の効果がよりよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の組合せ式遠心装置の構成1の模式図である。
【
図2】本発明の組合せ式遠心装置と注射式針管との接続構成の模式図である。
【
図3】本発明の組合せ式遠心装置の構成2の模式図である。
【
図4】本発明の組合せ式遠心装置の構成3の模式図である。
【
図5】本発明の組合せ式遠心装置と遠心管との接続構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施形態を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【0019】
図1に示すように、
図1は、本発明の組合せ式遠心装置の構成1の模式図である。該組合せ式遠心装置は、細管10、負圧保存チャンバ20及び固定装置30を備えている。
【0020】
細管10は、懸濁液を吸い込むためのものである。懸濁液は、血液、末梢血又はその他の生体混合懸濁成分であってもよい。
【0021】
本実施例において、細管10の内径は、2mm以下である。細管10の内径が2mm以下に形成されたので、細管において希有成分の厚さが厚くなり、分層及び分離により有利である。また、懸濁液において粒子が存在し、且つ懸濁液自身が一定の粘度を有するので、細管10の内径が2mm以下に形成された場合、懸濁液は、無圧力の状態で細管10内に留まることができるようになり、これによって細管10を密封することができる。
【0022】
負圧保存チャンバ20は、懸濁液を保存するためのものであり、細管10と連通されている。本実施例において、負圧保存チャンバ20は、負圧を発生することができるので、負圧が発生した際に、細管10を介して懸濁液を負圧保存チャンバ20及び/又は細管10内に吸い込むことができる。
【0023】
本実施例において、負圧保存チャンバ20は、押圧されて負圧を発生させる弾性容器20を含んでいる。なお、本発明において、弾性容器の形状は限定されず、球状、円柱状、矩形状、楕円形状又はその他の不規則形状に形成されてもよい。
【0024】
具体的には、負圧保存チャンバ20は、押圧の際に原形状に復元することができる弾性材料からなる弾性容器を含んでいる。使用する際に、細管10を懸濁液に入れて、手動で弾性容器を押圧することで、弾性容器の内部で負圧が発生するように弾性容器の内部の残留空気を排出させる。これによって、細管10で懸濁液を弾性容器及び/又は細管10内に吸い込むことができる。また、細管10により懸濁液を吸い込んだ後、少量の気泡が存在することがある。これに対して、負圧保存チャンバ20が弾性容器であるので、弾性容器を揺らすとともに押圧して懸濁液を吸い込み、さらに上記操作を繰り返すことによって、完全に残留する気泡を排出することができる。
【0025】
一部の実施例において、負圧保存チャンバ20は、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器を含み、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器のうちの一方を押圧することで負圧を発生させるものである。また、組合せ式遠心装置は、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の間に設置される締付け部品20aをさらに有している。締付け部品20aは、ピンチ弁を含んでもよいが、ピンチ弁に限らず、その他実施例において、その他の締付け部品を含んでもよい。また、本発明において、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の形状及び数量が限定されていない。具体的には、
図3に示すように、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器は、第1球状弾性容器201及びそれと連通する第2球状弾性容器202を備え、締付け部品20aが第1球状弾性容器201と第2球状弾性容器202との間を挟んで設置されている。第1球状弾性容器201と第2球状弾性容器202とは、1つの小さな細管で連通され、締付け部品20aが小さな細管を挟むように設置されている。または、
図4に示すように、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器は、第1楕円形状弾性容器203、第1楕円形状弾性容器203と連通する第2楕円形状弾性容器204及び第2楕円形状弾性容器204と連通する第3楕円形状弾性容器205を備え、締付け部品20aが、第1楕円形状弾性容器203と第2楕円形状弾性容器204と第3楕円形状弾性容器205との間を挟んで設置されている。具体的には、締付け部品20aは、第2楕円形状弾性容器204と第3楕円形状弾性容器205との間を挟むように設置されている。第1楕円形状弾性容器203と第2楕円形状弾性容器204と第3楕円形状弾性容器205とはそれぞれ1つの小さな細管で連通され、締付け部品20aが小さな細管を挟んで設置されている。
【0026】
具体的には、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器は、いずれも押圧される際に負圧が発生する弾性材料からなる弾性容器である。使用する際に、細管10を懸濁液に入れて、手動で少なくとも2つの互いに連通する弾性容器中のうちの一方を押圧することで、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の内部で負圧が発生するように少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の内部の残留空気を排出させる。これによって、細管10で懸濁液を少なくとも2つの互いに連通する弾性容器内に吸い込むことができる。また、細管10で懸濁液を吸い込む際に、負圧保存チャンバ20の内部において少量の空気が残留することがある。これに対して、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器が設けられ、締付け部品20aで2つの互いに連通する弾性容器の間を締め付けることによって、残留する少量の空気が少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の一方に収容されるように隔離され(即ち、細管10から最も離間する一方)、少なくとも2つの互いに連通する弾性容器の残りのものが懸濁液の保存に用いられるので、懸濁液に気泡が存在しないよう保証することができる。本実施例において、2つ以上の弾性容器及び締付け部品20aで便利且つ素早く気泡を弾性容器の後部又はその他の位置に収容されるように隔離することができる。さらに、弾性容器を繰り返して揺らすとともに押圧して懸濁液を吸い込むことで残留の気泡をさらに排出させる方法に合わせて、複数の手段で気泡を排出させることができるので、負圧保存チャンバ20内の懸濁液に気泡が存在しないよう保証することができる。
【0027】
また、一部の実施例において、
図2に示すように、負圧保存チャンバ20には、負圧を発生させる負圧発生器と接続される開口が設けられている。本実施例において、負圧保存チャンバ20の開口の位置は限定されず、該開口が、負圧保存チャンバ20の底部、側部又はその他の位置等に設けられても良い。具体的には、負圧発生器は、負圧を発生させる注射式針管50又は真空ポンプであってもよい。また、開口の内径が2mm以下に形成され、これによって注射式針管50又は真空ポンプを介して懸濁液を硬質容器内に吸い込むことができる。また、負圧保存チャンバ20には、開口を密封するためのシール蓋が設けられても良い。より具体的には、負圧保存チャンバ20は、硬質容器であって、該硬質容器には、負圧を発生させる負圧発生器と接続される開口が設けられ、さらに硬質容器には開口を密封するためのシール蓋が設けられるように構成されている。
【0028】
本実施例において、細管10は、透明又は半透明となり、つまり透明又は半透明の材料からなり、これによって懸濁液の細管10の内部における状態、つまり懸濁液における希有成分の細管10における厚みを観察することができるようになる。また、細管10には、懸濁液の細管10における厚みを読み取るための目盛りが設けられても良い。
【0029】
本実施例において、負圧保存チャンバ20は、透明又は半透明となり、つまり透明な材料からなり、これによって懸濁液の負圧保存チャンバ20の内部における状態、つまり懸濁液の負圧保存チャンバ20における厚みを観察することができるようになる。また、負圧保存チャンバ20には、懸濁液の負圧保存チャンバ20における厚みを読み取るための目盛りが設けられても良い。
【0030】
本実施例において、細管10は負圧保存チャンバ20と一体成形されたので、構成が簡単であり、設計コストを低減させることができる。なお、その他の実施例において、細管10は、着脱可能に負圧保存チャンバ20に設けられている。具体的には、細管10は、負圧保存チャンバ20とネジ接続され、つまり細管10に雄ネジが設けられ、負圧保存チャンバ20に雌ネジが設けられ、雄ネジと雌ネジとのネジ接続によって、細管10と負圧保存チャンバ20との着脱可能な接続を実現した。
【0031】
本実施例において、細管10の内径は、均一になっている。なお、その他の実施例において、細管10の内径は、徐々に小さくなるように変化し、つまり細管10の内径が、負圧保存チャンバ20と接続される一端から負圧保存チャンバ20の他端へ離間することに伴って徐々に小さくなるので、含有量が極めて少ない成分であっても、細管10では拡大して表示されることが可能になる。
【0032】
本実施例において、細管10の内径と負圧保存チャンバ20の内径とは円弧状に接続されているので、懸濁液における含有量が極めて少ない成分を素早く細管10に分離することができる。好ましくは、細管10と負圧保存チャンバ20との接続箇所の円弧状接続の角度は30°~60°である。
【0033】
また、細管10には、組合せ式遠心装置を遠心機に固定するための固定装置30が設けられ、遠心機で組合せ式遠心装置における懸濁液を遠心することによって、負圧保存チャンバ20の懸濁液における含有量が極めて少ない成分を細管10に分離することができる。これによって、構成が簡単な組合せ式遠心装置を利用して懸濁液を遠心することで、操作の時間及び設計コストを大幅に低減させることができる。
【0034】
本実施例において、負圧保存チャンバ20の内径は、均一になり、負圧保存チャンバ20の幅方向における横断面積は、細管10の幅方向における横断面積の3倍~20倍となる。具体的には、負圧保存チャンバ20の幅方向における横断面積は、細管10の幅方向における横断面積の10倍(即ち、細管10の内径が均一となる状態)となる。これによって、負圧保存チャンバ20の懸濁液に存在する含有量が極めて少ない成分であっても、細管10では拡大して表示されることができる。従って、細管10における成分を直接吸出し又は細管10を切断してから細管10における成分を吸い出すことが可能になり、懸濁液における含有量が極めて少ない成分を分離することが可能となる。また、細管10の長さH1は、負圧保存チャンバ20の長さの10倍~20倍となる。なお、その他の実施例において、負圧保存チャンバ20の内径が均一でなくてもよい。つまり、負圧保存チャンバ20の形状が、球形、ヒョウタン形状又は不規則形状に形成されてもよい。
【0035】
本実施例において、固定装置30は、細管10と一体成型されている。なお、その他の実施例において、固定装置30は、着脱可能に細管10に設けられている。
【0036】
本実施例において、固定装置30は、遠心機と係合され、組合せ式遠心装置を遠心機に固定する係合機構30である。具体的には、係合機構30が細管10に固定され、係合機構30に突起が設けられ、遠心機のプレート又は栓体に凹溝が設けられ、突起と凹溝との係合且つ突起と凹溝の隙間嵌めによって、組合せ式遠心装置を遠心機に係合させる。
【0037】
一部の実施例において、
図5に示すように、固定装置30は、組合せ式遠心装置を遠心管40に固定するための、遠心管40と接続され且つ細管10が挿設される遠心蓋である。これによって、遠心管40で組合せ式遠心装置を遠心機に固定するようになる。なお、細管10が着脱可能に遠心蓋に設けられ、具体的には、遠心蓋に開口が設けられ、細管10が開口に挿設されるように設けられても良い。また、細管10の外径が負圧保存チャンバ20と接続される一端から負圧保存チャンバ20の他端へ離間することに伴って徐々に小さくなる場合、細管10の外径と開口の内径が等しくなる際に、遠心蓋が細管10に係合され、遠心蓋で細管10を遠心管に固定することができる。なお、その他の実施例において、細管10が遠心蓋と一体成型されている。
【0038】
また、細管10と負圧保存チャンバ20との合計長さは、遠心管20の長さより長く形成されている。つまり、組合せ式遠心装置が遠心管40内に固定されたとき、負圧保存チャンバ20が遠心管40の底部に位置し、負圧保存チャンバ20が遠心中に移動しないように、遠心管40の底部で負圧保存チャンバ20が支持されている。また、組合せ式遠心装置が遠心管40内に固定されたとき、細管10の端部が固定装置30の水平高さより高くなるようにする。このように、遠心される際に、細管10が遠心作用で若干移動しても、分層及び増厚の効果に影響しない。
【0039】
本実施例において、負圧を発生する方法で混合された懸濁液を吸い込むので、伝統技術と従来技術における懸濁液を遠心管に注入する操作方法を避けて、汚染及び気泡の生成を低減させることができる。また、本発明において、組合せ式遠心装置に長手状の細管が設けられることによって、同体積の懸濁液、特に少量又は微量の成分を含む懸濁液に対して、遠心機で遠心された後、組合せ式遠心装置の細管で、懸濁液における含有量が極めて少ない成分の負圧保存チャンバにおける厚みを拡大することができるので、含有量が極めて少ない細胞成分の遠心分離がより便利となる。
【0040】
以上により、本発明により公開された組合せ式遠心装置は、細管と、負圧保存チャンバと、を備え、前記負圧保存チャンバは、細管と連通し、負圧の発生及び懸濁液の保存に用いられ、負圧が発生した際に、細管を介して懸濁液を負圧保存チャンバ及び細管内に吸い込むように構成され、細管には、組合せ式遠心装置を遠心機に固定する固定装置が設けられている。以上により、本発明は、固定装置で組合せ式遠心装置が遠心機に直接固定され、遠心機による遠心中に、細管で懸濁液における含有量が極めて少ない成分を保存でき、且つ直接に懸濁液における含有量が極めて少ない成分の細管における厚みを増加させることができるので、懸濁液における含有量が極めて少ない成分をよりよく分離でき、効率を大幅に向上させ、分層及び分離の効果がよりよくなる。
【0041】
以上の記載は、本発明の実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面に基づいてなされた均等な構成、均等な流れの変換、又は直接或いは間接にその他の関連技術分野に組み込むことは、何れも本発明の保護範囲内に属する。