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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】折り畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20220804BHJP
   B65D 6/26 20060101ALI20220804BHJP
   B65D 19/12 20060101ALI20220804BHJP
   B65D 19/18 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B65D6/18 D
B65D6/26 E
B65D19/12
B65D19/18
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020205808
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022092856
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】593203619
【氏名又は名称】セイカン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(72)【発明者】
【氏名】塚田 真敏
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-82301(JP,A)
【文献】特開2017-24731(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164913(JP,U)
【文献】実開昭61-99522(JP,U)
【文献】特開2021-66472(JP,A)
【文献】特開2002-68187(JP,A)
【文献】特開2001-171664(JP,A)
【文献】特開2009-220821(JP,A)
【文献】特表2015-510568(JP,A)
【文献】特開2011-207532(JP,A)
【文献】国際公開第2007/129986(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/00 - 13/02
B65D 19/00 - 19/44
F26B 1/00 - 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面略四角形の架台(2)と、
前面パネル(8)、後面パネル(10)及び左右の側面パネル(11,11)と、
底部(13)と、を備え、
前記前面パネル(8)と前記後面パネル(10)とは前記左右の側面パネル(11,11)と複数の連結機構(14)にて、前記架台の上に直立するように構成され、
さらに、前記複数の連結機構(14)が、側面パネル側(11)に備えられている鈎部(141A)を備えるアーム(141)と、前記前面パネルまたは前記後面パネルに備えられている、前記アームの鈎部(141A)に嵌合する孔(142)と、を備え、さらに前記連結機構(14)が、前記前面パネル(8)および前記後面パネル(10)のそれぞれに設けられた枠(147)を有し、前記枠(147)は、側面パネル側に備えられた連結孔(143)に挿脱できる連結軸(144)と、前記連結軸を水平面内でスライドさせるためのハンドル(145)と、を備え、
前記前面パネル(8)および前記後面パネル(10)が、上下方向に少なくとも二分割されてな
同軸上に設けられた複数のヒンジ(70)でコンテナの外側に回動可能に構成されており、かつ前記前面パネル(8)および前記後面パネル(10)の上パネル部および下部パネル部の側部に係止機構(90)を設け、前記係止機構(90)により、下パネル部を開いて、上パネル部と重ねた状態で保持することができる、
農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項2】
前記複数の連結機構(14)が、コンテナの前記前面パネル(8)または前記後面パネル(10)と側面パネルで構成される四つの角の垂直方向の複数の位置に備えられている、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項3】
前記前面パネル(8)と前記側面パネル(11)とで構成する角および、前記後面パネル(10)と前記側面パネル(11)とで構成する角(架台の四隅)、のそれぞれに支柱(5)を備え、前記支柱(5)に前記連結孔(143)を備える、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項4】
前記前面パネル(8)と前記後面パネル(10)との、ヒンジ(70)を有するヒンジ金具(700)が、隣接するコンテナのヒンジ金具との間で部品干渉しないように、鉛直方向位置をずらして設けられている、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項5】
前記ハンドル部が磁石(149)またはハンドルストッパー(146)で固定されている、請求項1に記載の農業用折り畳みコンテナ。
【請求項6】
前記側面パネル(11)の上部に、前記農作物用折り畳みコンテナを組み立てた状態で重ねた時に、前記コンテナのズレを防止する、組立時ズレ防止機構を備える、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項7】
前記組立時ズレ防止機構が、前記農作物用折り畳みコンテナを組み立てた状態で重ねた時に、前記架台(2)の前記側面パネル(11)の下方となる辺を構成する部材の内側となる位置に設けられている、請求項6に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項8】
前記農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げた時に、上下方向にコンテナを係止する、折畳時ズレ防止機構を備える、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項9】
前記折畳時ズレ防止機構が、前記支柱(5)から突出するように構成された係止ピン(80)と、前記架台(2)の対応する位置に設けられた係止ピン孔(81)からなる、請求項3に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項10】
前記架台が、側面パネル支持体(60)をその四隅に備え、前記側面パネル(11)が係止片(61)を備える、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項11】
前記底板(13)が、波板である、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項12】
前記架台(2)には、フォーク受け板を設けてなる、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項13】
内部を合成樹脂からなるシートをCリングで固定してなる、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項14】
前記複数の位置が鉛直方向内の、上部、中央部、下部である、請求項2に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項15】
前後方向に相互に隣接して配置された農作物用折り畳みコンテナの、一方のヒンジ金具の位置には、他方のヒンジ金具が存在しないように、双方のヒンジ金具の鉛直方向の位置が定められている、請求項4に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項16】
前記係止機構は、前記上パネル部または前記下パネル部の一方に回転軸(91A)周りに回動可能に設けられたフック(91)と、前記上パネル部または前記下パネル部の多方に設けられた、前記フックと係合可能な突起部(91B)と、からなる請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項17】
前記前面パネル(8)、前記後面パネル(10)および前記側面パネル(11)の少なくとも1つのパネルが、パネルとしてメッシュ構造で構成されている、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【請求項18】
前記連結軸(144)を、水平面内で固定するストッパ(146)を更に有する、請求項1に記載の農作物用折り畳みコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の貯蔵や運搬に用いられるコンテナに係り、特には、簡単に折り畳みが可能であり、収穫および/または出荷、仕分け作業の作業時に有効な、農作物の収穫、乾燥、輸送用折り畳みコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫した農産物は雨、露等で濡れている場合が多い。そして、濡れた状態や湿気を帯びた状態のままでコンテナに収納して貯蔵倉庫で保管すると、カビが生える、微生物やバクテリアが繁殖する等の原因で農産物が傷む場合がある。また、このように傷んだ農作物が更に腐敗することにより、収穫した農産物の品質が劣化することもある。その結果、農産物の商品としての価値が下がることになり得る。
【0003】
そこで、圃場で収穫した作物を効率的に運搬して乾燥するために、農業用の鉄コンテナが開発されている。しかしながら、このような農作物の運搬や乾燥の効率を改善するため、鉄コンテナを大型化することで、かえって乾燥効率の低下を招き、それによる乾燥ムラが生じやすくなっている。このような問題を解決するために、特許文献1に記載のように側面パネルに遮蔽板を設け、ヒンジの位置を改善し、乾燥作業中には複数のコンテナをできるだけ近づけて配置するようにして、効率をあげる鉄コンテナが開発されている(特許文献1)。このような大型鉄コンテナは、農作物の投入および回収、または運搬時の折り畳みなど、人の手を介する作業については、依然として便利であるとは言い難いものであった。さらには、近年の農業従事者の高齢化に伴い、安全でかつ労力を軽減できる農業用具の需要は高くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-82301
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した問題に鑑みなされたもので、農作物用コンテナにおいて、組み立て、分解等の作業が容易にでき、コンテナ自体の運搬・貯蔵・多段積にも有利な設計であり、安全なコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために構成した本発明の手段は、
平面略四角形の架台(2)と、
前面パネル(8)、後面パネル(10)及び左右の側面パネル(11,11)と、
底部(13)と、を備え、
前面パネル(8)と後面パネル(10)とは左右の側面パネル(11,11)と複数の連結機構(14)にて、架台(2)の上に直立するように固定され、
さらに、複数の連結機構のうち、前面パネル(8)および後面パネル(10)に備えられる連結機構(14)が、ハンドル部を有し、
前面パネル(8)および後面パネル(10)が、上下方向に少なくとも二分割されてなる、農作物用折り畳みコンテナ、である。
【0007】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、複数の連結機構(14)が、コンテナの前記前面パネルおよび前記後面パネルと、前記左右の側面パネルと、で構成される四つの角の垂直方向の複数の位置に備えられている、農作物用折り畳みコンテナである。
【0008】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、複数の連結機構(14)が、側面パネル側に備えられている鈎部を備えるアーム(141)と、前面パネルまたは後面パネルに備えられている、アームの鈎部に嵌合する孔(142)と、を備える、あるいは前記連結機構が、前記全面パネル(8)及び前記後面パネル(10)のそれぞれに設けられた枠(147)を有し、前記枠(147)は、側面パネル側に備えられた連結孔(143)に挿脱できる連結軸(144)と、前記連結軸を水平面内でスライドさせるためのハンドル(145)と、を備える、あるいはこれらを組み合わせてなる連結機構である、農作物用折り畳みコンテナである。
【0009】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前面パネル(8)と側面パネル(11)とで構成する角および、後面パネル(10)と側面パネル(11)とで構成する角(架台の四隅)、のそれぞれに支柱(5)を備え、支柱に連結孔(143)を備える、農作物用折り畳みコンテナである。
【0010】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前面パネル(8)と後面パネル(10)とが、上パネル部と下パネル部に二分割されており、同軸上に設けられた複数のヒンジ(70)でコンテナの外側に回動可能に構成されている、農作物用折り畳みコンテナである。
【0011】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前面パネル(8)と後面パネル(10)との、ヒンジを有するヒンジ金具が、隣接するコンテナのヒンジ金具との間で部品干渉しないように鉛直方向での位置をずらして設けられている、農作物用折り畳みコンテナである。本発明における部品干渉とは、同じ部品が同じ位置にあることにより並べたときに備品同士がぶつかり、好ましい状態を阻害することを意味する。具体的には、本発明に係るコンテナにおいてはコンテナを前後に並べたときに、ヒンジの高さを変えることにより、同じ高さにヒンジが来ないため、後面パネルと前面パネルの距離が短くなるという利点が提供される。このことは、送風によりコンテナ内の農作物の乾燥を行う場合には送風のロスが少なくなることから好ましい。
【0012】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前記前面パネル(8)および前記後面パネル(10)の上パネル部および下部パネル部の側部に係止機構(90)を設け、係止機構により、下パネル部を開いて、上パネル部と重ねた状態で保持することができる、農作物用折り畳みコンテナである。
【0013】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、ハンドル部が磁石(149)またはハンドルストッパー(146)で固定されている、農業用折り畳みコンテナである。
【0014】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、側面パネル(11)の上部に、農作物用折り畳みコンテナを組み立てた状態で重ねた時に、前記コンテナのズレを防止する、組立時ズレ防止機構を備える、農作物用折り畳みコンテナである。
【0015】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、組立時ズレ防止機構が、農作物用折り畳みコンテナを組み立てた状態で重ねた時に、架台(2)の側面パネル(11)の下方となる辺を構成する部材の内側に設けられている、請求項9に記載の農作物用折り畳みコンテナである。
【0016】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げた時に、上下方向にコンテナを係止する、折畳時ズレ防止機構を備える、農作物用折り畳みコンテナである。
【0017】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、折畳時ズレ防止機構が、支柱(5)から突出するように構成された係止ピン(80)と、架台(2)の対応する位置に設けられた係止ピン孔(81)からなる、農作物用折り畳みコンテナである。
【0018】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、架台(2)が、側面パネル支持体(60)(Uレグ)をその四隅に備え、側面パネルが係止片(61)を備える、農作物用折り畳みコンテナである。
【0019】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、底板(13)が、波板である、農作物用折り畳みコンテナである。
【0020】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、架台には、フォーク受け部を設けてなる、農作物用折り畳みコンテナである。
【0021】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、内部を合成樹脂シートをCリングで固定してなる、農作作物用折り畳みコンテナである。
【0022】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前記複数の位置が鉛直方向内の上部、中央部、下部である、農作物用折り畳みコンテナ、である。
【0023】
また、本発明の他の態様は、前後方向に相互に隣接して配置された農作物用折り畳みコンテナの、ヒンジ金具の垂直方向内の位置が定められている、農作物用折り畳みコンテナである。
【0024】
また、本発明の他の態様は、前記係止機構は、前記上パネル部または前記下パネル部の一方向に回転軸周りに回動可能に設けられたフックと、前記上パネル部または前記下パネル部の多方に設けられた、前記フックと係合可能な突起部と、からなる農作物用折り畳みコンテナである。
【0025】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前面パネル、後面パネル及び側面パネルの少なくとも一つのパネルが、パネルとしてメッシュ構造で構成されている、農作物用折り畳みコンテナである。
【0026】
また、本発明の他の態様は、上記に加え、前記連結軸(144)を、水平面内で固定するストッパ(146)を更に有する、農作物用折り畳みコンテナ、である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、農作物の収穫後に本発明のコンテナに農作物を収納することにより、そのまま乾燥工程を経て保管することが可能である。また、前・後面パネルが工具なしで、中折れ、あるいはコンテナから外すことができる。そのため、農作物の収納・取り出しに人の手を介する場合、作業性がよくなる。また、乾燥工程にて、農作物が乾燥により収縮して目減りしても、遮蔽版があることから乾燥効率が低下しない。また、ハンドルまたはアーム構造のような簡単な構造を用いて、コンテナの前・後面パネルと側面パネルとの間を、固定または隔離することが可能である。このようなことから、作業性がよく、人が一人で折りたたむことができる。
【0028】
また、本発明の農作物用折り畳みコンテナは、組み立てた状態で、前後パネルが折れることから、長尺の農作物や傷みやすい農作物を人手で投入するのに適している。また、折り畳んだ状態での、コンテナ自体の輸送効率・保管効率もよく、例えば海上コンテナでは124-150基、倉庫内では20段積載可能である。
【0029】
また、本発明の農作物用折り畳みコンテナは、コンテナのパネルの構造を、メッシュを用いた構造とするなどで、コンテナ全体の軽量化を図ることができる。また、底板に波型の板を採用することで、更にコンテナを軽量化できる。また、ネトロンシート(商標)などとして入手可能な合成樹脂シートをCリングなどで適宜設置することができ、収穫した農作物を保護しながら、乾燥・保管することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明に係る農作物用折り畳みコンテナの概要を示す一実施態様における斜視図である。
図2図2は、図1に示す一実施態様における上パネル部を倒した状態を説明する図である。
図3図3は、図1に示す一実施態様における下パネル部を上げた状態を説明する図である。
図4図4は、図1に示す一実施態様における前面パネルを取り外した状態を説明する図である。
図5図5は、本発明に係るコンテナの、複数の連結機構(14)の一態様を示す図である。
図6図6は、図5の実施態様における、連結機構がリリースされた状態を示す図である。
図7図7は、本発明に係るコンテナの、複数の連結機構(14)の他の態様を示す図である。
図8図8は、図7の実施態様における、連結機構のストッパーがリリースされた状態を示す図である。
図9図9は、図8の実施態様における、連結機構のハンドルが倒された状態を示す図である。
図10図10は、図8の実施態様における、連結機構のハンドルが倒された状態を示す図である。
図11図11は、図7の実施態様における、連結機構のストッパーの他の態様を示す図である。
図12図12は、図11の実施態様における、連結機構のストッパーがリリースされた状態を示す図である。
図13図13は、図12の実施態様における、連結機構の係止機構を示す図である。
図14図14は、図11の実施態様における、連結機構のストッパー部分を示す図である。
図15図15は、本発明に係るコンテナを組立てた状態積み重ねる態様を示す図である。
図16図16は、図15の態様における、組立時ズレ防止機構を説明する図である。
図17図17は、図15の態様において、組立時ズレ防止機構が嵌合している状態を示す透視図である。
図18図18は、図15の態様における、組立時ズレ防止機構を他の角度から見た図である。
図19図19は、図18の態様において、組立時ズレ防止機構が嵌合している状態を示す図である。
図20図20は、本発明の二つの農作物用折り畳みコンテナを、前後方向に隣接して配置した状態を説明する図である。
図21図21は、図20の状態でのヒンジの部品干渉を説明する図である。
図22図22は、本発明の農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げた態様を示す図である。
図23図23は、本発明の農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げた時の、折畳時ズレ防止機構を示す図である。
図24図24は、本発明の農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げた態様を示す図である。
図25図25は、本発明の農作物用折り畳みコンテナの後面パネルの下パネル部を、回動により上げたときに、上パネル部に固定するための係止機構を示す図である。
図26図26は、図25の態様において、下パネル部を係止した態様をしめす図である。
図27図27は、本発明の農作物用折り畳みコンテナの他の態様を示す図である。
図28図28は、図27の態様において、前面パネルまたは後面パネルが側面パネルに固定されている状態を示す図である。
図29図29は、図27の態様において、前面パネルまたは後面パネルに設けられるハンドル部およびこれを係止するマグネット部を示す図である。
図30図30は、図27の態様において、架台に設けられ側面パネルを支える機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施態様の農作物用折り畳みコンテナを示す斜視図である。架台2の上には底板13があり、前面パネル8および後面パネル10並びに側面パネル11が架台2の上に直立して固定されている。そして、前面パネル8と、後面パネル10と、は左右の側面パネル11と、連結機構14A、14B及び14Cにより、架台2の上に直立するように構成される。連結機構14は、前面パネル8または後面パネル11と、側面パネル11とが直交して形成する角ごと、即ち架台の四隅に配置される。本実施態様では、14Aおよび14Bは前面パネル8および側面パネル11とに設けられ、14Cは架台2の四隅に配置された支柱5と前面パネル8または後面パネル10とに設けられる。そして後述するように、連結機構14は、それぞれが独立してロック及びリリース可能である。リリースされたときには、前面パネル8または後面パネル10は架台2上での直立状態が解除される。図1に示す態様において、これらの連結機構14A、14B、および14Cはそれぞれロックされている状態である。
【0033】
本実施態様では、前面パネル8および後面パネル10は、それぞれ上パネル部と下パネル部に分割されており、これらはヒンジ70で結合されている。即ち、図1に示すように、上パネル部及び下パネル部間に、同軸上に設けられた複数ヵ所、図1では四ヵ所、のヒンジにより、両パネル部が接続されている。そして、図1において、連結機構14Aおよびそれに対応する他の連結機構をリリースすると、上パネル部が、各ヒンジの軸周りに回動して、図2に示すように、外側に倒れる。なお、本明細書において、「対応する」とは、14A、14B、あるいは14Cに対して水平に位置する他の三ヵ所の連結機構を言う。図2の状態では、作業者が農作物を出しやすくなる。また、連結機構14Cおよびそれに対応する連結機構をリリースすると、下部パネルが、やはりヒンジの軸周りに回動して、図3に示すように、外側から上に跳ね上がる形となる。この状態で下パネル部を以下で詳述するように固定すると、コンテナの下側から農作物を出しやすくなる。なお、本実施態様では、前面パネル8及び後面パネル10を二分割しているが、収納する農作物の形状や作業内容等を考慮して、更に多くの箇所で分割するようにしても良い。
【0034】
次に、図2の態様において、本発明の農作物用折り畳みコンテナの前面および後面パネル(8、10)の上パネル部が外側に倒れている態様を更に詳細に説明する。本発明において、上パネル部を、ヒンジ70の軸周りに回動させて、コンテナ外側に倒すためには、図5に示すように、連結機構14のアーム部分141を持ち、該アーム先端の鈎部分141Aを、連結孔142から外すだけでよい。即ち工具等を必要としない。また、農作物が入った状態で鈎部分141Aと連結孔142に一定程度の応力が発生しても、アーム141を一定の長さにしておくことにより、梃子の原理で比較的容易にリリースすることができる。本態様において、アーム部分141はアームストッパー148Aにて留めることができる。
【0035】
次に、図3の態様において、本発明の農作物用折り畳みコンテナの前面および後面の下パネル部を上げた状態を示す。図1における連結機構14C、即ち各連結機構14A、14B及び14Cのうち支柱5の最下部に配置されている連結機構およびこれに対応する他の連結機構をリリースすると、ヒンジ70により固定された下パネル部はヒンジ軸周りに回動することで上部パネル方向に上がり、後述する係止機構90により回動した下パネル部を上パネル部と重ねた状態で固定することができる。このような下パネル部を上げた状態は、農作物を人手で掻き出す等の作業に好適である。
【0036】
次に、図4を参照して、前面パネル8を取り除いた、本発明に係る農産物用折り畳みコンテナを説明する。図1における14A、14B、14Cおよびそれに対応する前面パネル8の連結機構をリリースすることで、前面パネルを架台から離すことができる。同様に、後面パネルも取り外すことが可能である。このことにより、本発明に係る農産物用折り畳みコンテナは、前面パネル側または後面パネル側のいずれかから農作物を掻き出すような作業に好適である。
【0037】
次に、図5を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナの、前面パネル8または後面パネル10と、側面パネル11とを連結する連結機構を説明する。図5において、アーム部分は鈎部141Aを備える。側面パネルに軸周りに回動可能に設けられたアーム部分141の鈎部141Aが、前面パネルおよび後面パネルにそれぞれ設けられた連結孔142に嵌合するように構成される。そして操作者は、このようなアームの操作という簡便な操作により、嵌合状態をリリースして、再度嵌合することが可能となる。図6は、リリースした状態を示す図である。また、図7図14は、このような連結機構の他の実施例を示す。この実施例では、前面パネル8及び後面パネル10に設けられた枠147の内側に、側面パネル側の連通孔に貫通する連通軸144と、その連通軸をスライドさせることで、これらの連通軸と連通孔とを嵌合させるためのハンドル145と、が設けられている。そして操作者は、このようなハンドルの操作という簡便な操作により、嵌合状態をリリースする、または再度嵌合する、ことが可能になる。図5は、上記一の実施例において、連結アーム141が連結孔143嵌合している状態を示す。図6はアーム部分141を上げて嵌合をリリースした状態を示す。図7は、上記他の実施例において、側面パネル側に支柱5を介して設けられた連通孔143に、連通軸144が貫通し、ハンドル145を上げた状態を示す。この実施例では、ストッパー146が更に設けられ、このストッパー146で、連通軸144の先端、即ち連通孔142に嵌合する先端とは反対の先端、の鈎部148Bが固定される。ストッパー146は、連通機構の枠147に、鉛直方向にスライド可能に設けられている。そして、上方にスライドすることで、連通軸144の鈎部と、ストッパー146と、の間の係止を解除することができる。このように係止を解除すると、図8のように、ハンドル145がリリースされ、図9のようにハンドル145を前方に倒すことができる。このままハンドル145を操作することで、連通軸を水平面内でスライドさせると、連通孔143から連通軸144を抜くことができる(図10)。
なお図1に示す態様では、鉛直方向内の上部と中央部に設けられている連結機構は一の実施例によるものであり、一方、下部に設けられている連結機構は、他の実施例によるものである。
【0038】
次に、図11および図12を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナの、上記他の実施例に係る連結機構の、他の態様を説明する。連通機構の枠147と連通軸144の鈎部148の間には、磁石149が設置されている。この場合、鈎部148は磁石に対向する部分が平面となっていることが好ましい(図13)。本態様では、磁力により連通軸144が固定されるため、スライドストッパーを手でスライドさせる必要がなく、より簡単に連結軸144と連結孔143と、の間の嵌合・リリースを行うことができる。磁石149は、磁石本体149Aの上にカバー(149B)を設けて取り付けることで、連通の枠147にしっかりと固定することができる(図14)。
【0039】
次に、図15を参照して、本発明に係る農作物用折り畳みコンテナを組み立てた状態で積み上げる態様を説明する。農作物の輸送、乾燥工程、および貯蔵において、空間利用を効率的に行うことが望まれている。しかしながら、組み立てた状態で、特に中に農作物が入った状態で、保存等のためにコンテナを積み上げたままにしておくと、横方向への滑りによるズレが懸念される。このような不都合は、外部からの固定方法により解消することが可能ではあるが、本発明において、このような手段の代替となる簡便な構成を取り入れることにより、農作物用折り畳みコンテナを優れたものとしている。
【0040】
図15において、側面パネル11の上部の端に、組立時ズレ防止機構が備えられている。具体的には、側面パネル11の長辺方向の上部に数センチ程度の係止小片50が設けられている。対応する上に積み重ねられるコンテナの架台2には係止小片50と嵌合する孔などが設けられている(図16孔は図示していない)。あるいは、側面パネル11の上部の幅に対して、係止小片50の幅を補完する幅で架台下部の部材を構成して、係止小片50を側面パネル上で固定することも可能である(図17図18および図19)。
【0041】
次に、図20を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナを、前後方向に複数、図示の例では二つ、配置した状態を説明する。農作物を入れたコンテナはこの図のように前後方向、更には左右方向に配置されて乾燥工程に用いられる。コンテナの間の隙間は、なるべく小さい方が乾燥効率がよい。そのため、図21に示すように、本発明の農作物用折り畳みコンテナでは、ヒンジ70を含めたヒンジ金具部分700の位置を、各コンテナ間で鉛直方向内でずらすことが考えられる。なお、前面パネル8または後面パネル10の上パネル部または下パネル部の仕様によっては、ヒンジ70の鉛直方向内の位置が任意に設定できず、ヒンジが部品干渉することも考えられる。その際には、各コンテナのヒンジの位置を、水平方向にずらすことが考えられる。このことにより、ヒンジの部品干渉を可能な限り抑制して、乾燥効率を高く維持することができる。
【0042】
次に、図22を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナを折り畳んだ状態で積み上げる態様を説明する。折り畳まれた状態で本発明に係るコンテナを積み上げる場合にも横方向のズレが生じることが懸念される。本発明において、折りたたまれたコンテナの四隅、このましくは支柱5より上方向に固定用の係止ピン80を設けている。対応する架台2において、このような係止ピンを固定する機構を構成する。一実施態様として、図23においては、係止ピン80を挿入する係止ピン孔81を記載している。
【0043】
次に、上記のように本発明に係るコンテナは上記のように安定した状態で従来のものよりも多く積み上げることが可能である(図24)。このことは、コンテナ自体の輸送の安全や、保管場所での作業員の安全にも資するものである。図1における14A、14B、14Cおよびそれに対応する前面パネルおよび後面パネルの連結機構をリリースすることで、前面パネル8および後面パネル10を架台2から離すことができる。そして、底板13の上にこれらを重ねることができる。更に、側面パネル11の下辺は架台2と連結することにより、先に倒した前面パネルおよび後面パネルの上に、重畳させるように更に側面パネルを倒すことで、各パネルを積層して固定して折り畳み、コンテナを積み上げることができることができる。このように重ねて積むことで、輸送や保管を効率的に行うことができる。本発明によれば、海上コンテナでは124-150基、倉庫内では20段安定して積載可能である。
【0044】
次に、図25を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナの、前面パネル8または後面パネル10の下パネル部を、上方向に回動させたときに、上パネル部と重ねた状態で固定するための係止機構について説明する。下側から下パネル部を持ち上げたときに、上パネル部の側面に取り付けられた係止機構90により、下パネル部を固定することができる。係止機構90は、上パネル部の側面側に設置された回転軸91A周りに回転可能なフック91と、下パネル部の側面側に設けられた突起部91Bとから成る。そして、フック91を突起部91Bに係止させることで、上パネル部と、下パネル部とを重ねた状態で固定する(図26)。このことにより、人の手により簡単に下パネル部を固定することができるとともに、コンテナ内の農作物を安全に取り出すことができる。なお、フック91は、下パネル部の側面側に設けるようにしてもよい。
【0045】
次に、図27を参照して、本発明の農作物用折り畳みコンテナにおける他の態様を示す。前面パネル8、後面パネル10、側面パネル11を本図に示すようにメッシュ構造にすることで、軽量化を図ることができる。さらに、底板13を波板にすることでさらに軽量化を可能としつつ、農作物を保護することができる。なお、メッシュを用いた構造とするのは、すべてのパネルにする必要はなく、軽量化の要請や、収納する農作物の内容などを考慮して判断される。
【0046】
次に、図28を参照して、本態様における、前または後面パネルと側面パネルを結合する機構を示す。例えば、連結機構14はマグネットで係止できるようにしていてもよい(図29)。本態様において、図の正面の前面または後面パネルは、ヒンジ、コイル等で4段階に折り畳むことができる。
【0047】
次に、図30を参照して、本態様の側面パネルの係止構造を説明する。本態様において、係止片61はUレグ60とUレグの受け62の外側に出すことにより、一定の角度で側面パネル11を傾斜状態で保持することができる。Uレグの側面パネル側に係止片61を入れると直立で保持することができる。Sレグ63(図30)があることにより、Uレグを安定して固定するとともに、段済みをした場合に、折りたたんだコンテナを、隙間を確保しながら安定して積むことが可能となる。具体的には、63の下向きのSレグが、本実施態様に係るコンテナを折り畳んだときに、62を係止することができるため、安定に積み重ねることが可能となる。
【0048】
上記の各態様及び実施例は、本発明の実施態様としての一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない限り、さまざまな変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0049】
架台2、前面パネル8、後面パネル10、側面パネル11、底部13、連結機構14、アーム141、アーム嵌合孔142、連結孔143、連結軸144、ハンドル145、係止機構90、磁石149、ハンドルストッパー146、係止小片50、係止ピン80、側面パネル支持体60、Sレグ63

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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