(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む前立腺疾患の予防、治療、又は改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/254 20060101AFI20220804BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20220804BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20220804BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20220804BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220804BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220804BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220804BHJP
A61K 31/7034 20060101ALN20220804BHJP
A61K 31/192 20060101ALN20220804BHJP
【FI】
A61K36/254
A61K36/899
A61K36/15
A61P13/08
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A23L33/105
A61K31/7034
A61K31/192
(21)【出願番号】P 2020554996
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2018014166
(87)【国際公開番号】W WO2019124757
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0175089
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520224317
【氏名又は名称】ゲノム アンド メディスン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GENOME & MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】イ ミンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ギュヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ユンオク
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソンヘ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジェスン
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-278003(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0067255(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0084175(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0125090(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0081131(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0015199(KR,A)
【文献】特開2010-100601(JP,A)
【文献】特開2017-137290(JP,A)
【文献】Prostate Cancer Prevention Trial(PCPT):Questions and Answers, [online], (2013.08.14), NIH national cancer institute, [Retrieved on 2005-JUL-19]. Retrieved from the internet:< https://www.cancer.gov/types/prostate/research/prostate-cancer-prevention-trial-qa>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/05
A61K 36/07-36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物であって、
前記前立腺疾患は、前立腺癌又は前立腺肥大症であり、
前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してゴカヒ抽出物2~5重量部を含み、ロコン抽出物1~3重量部を含
み、
前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物が、アカントシドD及びp-クマル酸を含有している
ことを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項2】
前記組成物は、5アルファ-還元酵素(5α-reductase)の活性を抑制することを特徴とする、請求項1記載の前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してゴカヒ抽出物4重量部及びロコン抽出物2重量部を含むことを特徴とする、請求項1記載の前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項4】
ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物であって、
前記前立腺疾患は前立腺癌又は前立腺肥大症であり、
前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してゴカヒ抽出物2~5重量部を含み、ロコン抽出物1~3重量部を含
み、
前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物が、アカントシドD及びp-クマル酸を含有している
ことを特徴とする、健康機能食品組成物。
【請求項5】
前記組成物は、5アルファ-還元酵素の活性を抑制することを特徴とする、請求項
4記載の前立腺疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴカヒ(五加皮)、ロコン(芦根)、及びアカマツ(赤松)抽出物を有効成分として含む前立腺疾患の予防、治療、又は改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
テストステロン5アルファ-還元酵素(testosterone 5α-reductase)は、男性ホルモンのうちの1つであるテストステロン(testosterone)を活性型男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)に変換し、このように活性化されたジヒドロテストステロンから誘発される疾患のうちの1つとして良性前立腺肥大症がある。
【0003】
前立腺肥大症は、過去においては、前立腺が肥大化して、膀胱下部の尿が出る通路を遮って尿道閉塞を起こし、尿の流れが減少した状態であると定義し、組織学的では、前立腺癲癇や前立腺の上皮組織細胞が増殖したものであると定義した。
【0004】
しかしながら、最近では、上記のような定義や概念で説明するには疾病の病態生理がとても複雑であり、現在50才以上の男性で1日に8回以上排尿する頻尿、夜間頻尿、強くて急激な尿意(小便がしたい感じ)を感じながらも尿意が起こると我慢できない尿意切迫感などの蓄尿症状と、排尿遅延(排尿時に、すぐに尿がでなく、時間がかかる現象)、尿線途絶(排尿中、尿の流れが途切れる現象)、排尿時にお腹に力を入れないと尿が出にくい現象など、膀胱の排出障害を示す症状を通称する「下部尿路症状の訴え」として前立腺肥大症を定義している。
【0005】
前記の疾患は薬物により治療することができるが、その中でも抗アンドロゲン剤を服用して治療することができる。
【0006】
抗アンドロゲン剤中の1つであるテストステロン5アルファ-還元酵素阻害剤が前立腺肥大症の治療剤として使用されており(国際特許出願の出願公開公報第1994-7000080号)、市中ではフィナステリド(Finasteride)とデュタステリド(Dutasteride)が販売されている。
【0007】
これらの薬剤は、アンドロゲンに敏感な前立腺でアンドロゲンの作用を抑制して、前立腺の大きさを減らす作用をあらわす。
【0008】
最近の研究では、長期間の服用時に急性尿閉と手術頻度を減少させて前立腺肥大症の進行を抑制するのに有効であるという結果が報告されているが、このような薬物治療は前立腺特異抗原(PSA)値が高い場合と、前立腺の大きさが大きい場合のみに服用が推奨される。
【0009】
手術治療と薬物治療で肥大化した前立腺組織の切除術によって原因的治療が可能ではあるが、患者の大部分が高齢者で手術の対象が制限され、手術後の副作用及び再発などの問題がある。
【0010】
また、5アルファ-還元酵素阻害剤は、大部分が輸入に依存しているため、国家経済に少なくない負担として作用しており、服用してから効果が現われるまでに長時間がかかり、性慾減退、勃起不全などといった男性の性機能を低下させる副作用のみならず、目まい、疲労感及び過度な血圧低下のような副作用があるため、天産物新薬の開発について期待が増大しつつある。
【0011】
一方、ゴカヒは、ウコギ科(Araliaceae)の五加木(Acanthopanax sessiliflorum Seeman)又は同属植物の根、幹及び枝 の皮を称するものであって、ゴカヒは葉が5枚に分かれているが、1本の枝に5枚の葉が生えた方が良いとして「(ウコ)五佳」と言われていたものの、今は「(ウコ)五加」と記載するようになってきた。
【0012】
ゴカヒの薬理作用としては、免疫増強、抗酸化、抗疲労、抗高温、抗刺激作用、内分泌機能の調節、血圧調節、抗放射能、解毒作用が報告された。
【0013】
また、ロコンは、イネ科(Poaceae)のヨシ(Phragmites communis Trinius)の根茎をいうものであって、未だ穂が咲き始めないヨシのことをロコンと言う。
【0014】
ロコンは、肺の熱を下げて、胸が息苦しくて落ち着かなく、熱が出ながら津液が乾くて渇きを覚え、口の中が焼けるような症状に使用する。
【0015】
胃の熱をさげて、吐き気、悪心、嘔吐を止めるようにする。肺の熱による咳嗽、痰、肺結核、肺膿瘍に使用し、魚毒を解毒するものであると知られており、その薬理作用としては利尿作用、解熱作用、肝保護作用、造血機能強化作用などが報告された。
【0016】
また、アカマツは、松、松の木、松樹と呼ばれるマツ科(Pinaceae)に属する常緑喬木であって、種子は長さ5~6mm、幅3mmの卵形で黒褐色であり、羽片は淡褐色の地に黒褐色の縞がある。
【0017】
葉はそれぞれ消化不良又は強壮剤として、花は疫痢に、松脂は膏薬の原料などに薬用として用いられ、花粉は松の花粉で茶食を作り、皮は松肌餅を作って食用し、建築用材、パルプ用材として用いられ、テレピン油はペイント、ワニス用材、合成樟脳の原料として用いられる。昔から観賞用、亭子(東屋)木、神木、堂山木として多く植えている。
【0018】
しかし、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の5アルファ-還元酵素の活性抑制効果及び前立腺疾患の治療効果については、未だに明かになっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0021】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されることなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から当該技術の分野における通常の技術者にとって明確に理解されるべきであると考える。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記のような問題点を解決すべく、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0023】
また、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0024】
本発明の一具現例として、前記組成物は、5アルファ-還元酵素の活性を抑制するものであり得る。
【0025】
本発明の他の具現例として、前記前立腺疾患は、前立腺肥大症であり得る。
【0026】
本発明のさらに他の具現例として、前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物は、水、炭素数1~4のアルコール、n-ヘキサン、エチルアセテート、アセトン、ブチルアセテート、1,3-ブチレングリコール、メチレンクロライド、及びこれらの混合溶媒からなる群より選択される1つ以上の溶媒で抽出されたものであり得る。
【0027】
本発明のさらに他の具現例として、前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してゴカヒ抽出物2~5重量部を含むものであり得る。
【0028】
本発明のまたさらに他の具現例として、前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してロコン抽出物1~3重量部を含むものであり得る。
【0029】
本発明のまたさらに他の具現例として、前記組成物は、アカマツ抽出物1重量部に対してゴカヒ抽出物4重量部及びロコン抽出物2重量部を含むものであり得る。
【0030】
また、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を含む組成物を個体に投与する段階を含む、前立腺疾患の治療方法を提供する。
【0031】
さらに、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を含む組成物の前立腺疾患治療用途を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明のゴカヒ、ロコン、及びアカマツ複合抽出物は、前立腺肥大症と関連のある5アルファ還元酵素の活性を抑制する効果があり、天然植物来由の成分を用いていることから、既存に見られていた、合成化合物を用いることによる男性の性機能低下といった副作用が少ない又は無いという利点がある。
【0033】
また、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の各々よりも、適切な比率で混合された複合抽出物の方が、5アルファ還元酵素の抑制活性が顕著に優れていることを確認しており、前立腺肥大症の予防又は治療のために輸入に依存していた合成化合物を代替することから、国家経済に寄与し、既存の5アルファ還元酵素阻害剤の持つ副作用が減少した前立腺肥大症の予防又は治療剤として、医薬品用、医薬部外品用、機能性バイオ素材用、及び機能性食品素材用など多方面にわたって利用することができると期待される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、複合抽出物のHPLCの結果を示す図である。
【
図2】
図2は、複合抽出物より5アルファ還元酵素の抑制活性を確認した図である。
【
図3】
図3は、複合抽出物とアカントシドDのHPLCの結果を示す図である。
【
図4】
図4は、複合抽出物とp-クマル酸のHPLCの結果を示す図である。
【
図5】
図5は、複合抽出物の効能指標成分であるアカントシドDとp-クマル酸の検量線と直線性を示す図である。
【
図6】
図6は、複合抽出物の効能指標成分であるアカントシドDとp-クマル酸の精密性と正確性を示す図である。
【
図7】
図7は、複合抽出物のウエスタンブロッティングの実施順序及び条件を図式化したものである。
【
図8】
図8は、複合抽出物の処理によって5アルファ還元酵素II型のタンパク質発現量が減少することを、ウエスタンブロッティングを通じて確認したものである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明者らは、天産物来由の前立腺疾患治療剤の開発のために鋭意研究した結果、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物に5アルファ還元酵素の抑制活性があることを確認して、特に、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を4:2:1の重量比で混合した複合抽出物の方が5アルファ還元酵素の抑制活性に顕著に優れていることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0036】
本発明者らは、ゴカヒ、ロコン、又はアカマツ抽出物と前記抽出物を混合した複合抽出物の5アルファ還元酵素の抑制活性を、合成5アルファ還元酵素阻害剤を陽性対照群として比較確認した結果、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ複合抽出物の5アルファ還元酵素の抑制活性に優れていることを確認し(実施例3参照)、それぞれの抽出物でアカントシドD(acanthoside D)及びp-クマル酸(p-coumaric acid)の効能指標化合物を確認することができ(実施例4参照)、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ複合抽出物にアカントシドDが1.06%含まれており、p-クマル酸が0.07%含まれていることを具体的な実験により確認した(実施例5参照)。
【0037】
本明細書におけるゴカヒ(Acanthopanax sessiliflorus、五加皮)とは、ウコギ科の五加木(Acanthopanax sessiliflorum Seeman)又は同属植物の根、幹及び枝の皮を称するものであり、ロコン(Phragmitis Rhizome、芦根)とは、イネ科のヨシの根茎を意味し、アカマツ(Pinus densiflora、赤松)とは松、松の木と呼ばれるマツ科に属する常緑喬木を意味する。
【0038】
ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の5アルファ還元酵素の抑制活性に関連する生理学的研究は全くない。
【0039】
本明細書における抽出物は、前記ゴカヒ、ロコン、又はアカマツの抽出処理で得られる抽出液、前記抽出液の希釈液や濃縮液、前記抽出液を乾燥して得られる乾燥物、前記抽出液の粗精製物や精製物、又はこれらの混合物など、抽出液自体及び抽出液を用いて形成可能な全ての剤形の抽出物を含み、複合抽出物は、前記ゴカヒ、ロコン、又はアカマツ抽出物を適切な重量比で混合したものであって、アカマツ抽出物1重量部に対して2~5重量部のゴカヒ抽出物及び/又は1~3重量部のロコン抽出物を含むものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0040】
また、本発明の一具現例によれば、前記混合抽出物は、好ましくはゴカヒ、ロコン、及びアカマツを4:2:1の重量比で混合し得るが、これに制限されるものではない。
【0041】
本発明の前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の獲得において、抽出方法は特に制限されることなく、当該技術の分野において通常的に使用する方法に従って抽出することができる。
【0042】
前記抽出方法の非制限的な例としては、熱水抽出法、超音波抽出法、ろ過法、還流抽出法などが挙げられ、これらは単独で行ってもよく、2種以上の方法を併用して行ってもよい。
【0043】
本発明において、前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の獲得に用いられる抽出溶媒の種類は特に制限されることなく、当該技術の分野において公知になった任意の溶媒を使用することができる。
【0044】
前記抽出溶媒の非制限的な例としては、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのC1~C4の低級アルコール;グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール;及び、メチルアセテート、エチルアセテート、アセトン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどの炭化水素系溶媒;又は、これらの混合物を使用することができる。
【0045】
また、本発明の前記ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物は抽出及び/又は分画過程を行った後に、減圧ろ過過程を行って、或いは追加に濃縮及び/又は凍結乾燥を行って濃縮するか、溶媒を除去することができ、前記取り入れた各植物抽出物は使用時まで急速冷凍冷蔵庫に保管することができる。
【0046】
本明細書における前立腺疾患とは、男性の前立腺に発生する各種の疾患であって、好ましくは前立腺癌、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺精嚢炎又は前立腺小室炎であり得、さらに好ましくは前立腺肥大症であり得る。
【0047】
また、本明細書における前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)とは、種々の理由により前立腺が肥大化する疾患であって、尿道や膀胱頸部、膀胱三角部などの粘液分泌腺や傍尿道腺などが肥大化する下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)を含む。
【0048】
前立腺肥大症患者は、尿をよく我慢できなく、小便の筋が細くて勢いがないし、排尿をしようとしてもしばらく時間がかかってから尿が出始めたり、排尿が終わったあとも尿が残っている感じがする残尿感などの症状が現われる。
【0049】
また、本明細書における5アルファ還元酵素(5α-reductase)とは、前立腺でテストステロン(testosterone)を前立腺組織の成長に関与する主要な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)に変換する酵素のことであって、前立腺肥大症の治療への5アルファ還元酵素阻害剤の利用は、当該業界の従事者にとって自明な水準に至った。
【0050】
しかし、合成5アルファ還元酵素阻害剤の利用は、服用してから効果が現われるまでに長時間がかかり、性慾減退、勃起不全などといった男性の性機能を低下させる副作用のみならず、目まい、疲労感及び過度な血圧低下のような副作用があるため、天産物新薬の開発が必要となった実情である。
【0051】
それで、本発明者らは、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の複合抽出物より5アルファ還元酵素の抑制活性を確認し、これを前立腺肥大症の予防、治療、又は改善に提供しようとする。
【0052】
本発明における「予防」とは、本発明の組成物を投与することで前立腺疾患の発生、拡散又は再発を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、本発明における「治療」とは、本発明の組成物を投与することで前記疾患の症状が好転するか、好適に変更される全ての行為を意味する。
【0053】
したがって、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツの複合抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物を個体に投与する段階を含む、前立腺疾患の治療方法を提供することができ、前記前立腺疾患は、前立腺癌、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺精嚢炎及び前立腺小室炎からなる群より選択される疾患であり得、好ましくは前立腺肥大症であり得るが、これに制限されるものではない。
【0054】
本発明における「個体」とは、ネズミ、家畜、マウス、ヒトなどの哺乳類であり得、具体的には、前記疾患の治療が必要な伴侶犬、競走馬、ヒトなどであり得、好ましくはヒトであり得る。
【0055】
本発明によるゴカヒ、ロコン、及びアカマツの複合抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の予防又は治療用薬学的組成物は、それぞれ通常の方法に従って、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの外用剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して使用されることができ、好ましくはクリーム、ゲル、パッチ、スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤又はパップ剤(cataplasm)の剤形を有することができる。
【0056】
前記複合抽出物を含む組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、カリン抽出物、ユスラウメ抽出物、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム(calcium phosphate)、ケイ酸カルシウム(calcium silicate)、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル(methyl hydroxybenzoate)、ヒドロキシ安息香酸プロピル(propyl hydroxybenzoate)、タルク、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)及び鉱物油が挙げられる。
【0057】
製剤化するときは、一般的に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調製される。
【0058】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えばでん粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。
【0059】
また、単純な賦形剤の他に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用される。
【0060】
経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。
【0061】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。
【0062】
非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物性油、オレイン酸エチル(Ethyl oleate)塩のような注射可能なエステルなどが使用されることができる。
【0063】
坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴ-ル、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されることができる。
【0064】
本発明の薬学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当該業界の従事者により適宜に選択されることができる。
【0065】
投与は、1日に1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。
【0066】
前記投与量は、いずれの面でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0067】
加えて、本発明は、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツの複合抽出物を有効成分として含む、前立腺疾患の抑制又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0068】
また、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツの複合抽出物は、前立腺の健康を目的として食品に添加されることができる。
【0069】
本発明のゴカヒ、ロコン、及びアカマツの複合抽出物を食品添加物として使用する場合、前記複合抽出物をそのまま添加するか、他の食品又は食品成分とともに使用することができ、通常的な方法に従って適宜に使用することができる。
【0070】
有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)によって適するように決定されることができる。
【0071】
前記食品の種類には、特別な制限はない。
【0072】
前記物質を添加し得る食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品(乳製品)、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常的な意味での健康機能食品を全て含む。
【0073】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。
【0074】
上述した天然炭水化物は、ブドウ糖及び果糖のようなモノサッカライド、マルトース及びスクロースのようなジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンのようなポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリスリトールなどの糖アルコールである。
【0075】
甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。
【0076】
前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり、一般的に約0.01~0.20g、好ましくは約0.04~0.10gである。
【0077】
前記以外に、本発明の組成物は、様々な営養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。
【0078】
その他、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。
【0079】
このような成分は、単独で又は組み合わせて使用することができる。このような添加剤の割合は、あまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり、0.01~0.20重量部の範囲において選択されるのが一般的である。
【0080】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。
【0081】
しかし、これは本発明を特定の実施形態に対し限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術的範囲に含まれる全ての変更、均等物や代替物を含むものと理解されるべきである。
【0082】
本発明を説明するにおいて、関連する公知技術についての詳しい説明が本発明の要旨を濁らし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0083】
以下、本発明の理解を助けるために、好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記の実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0084】
[実施例]
実施例1.ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ複合抽出物の調製
乾燥したゴカヒ、ロコン、及びアカマツをそれぞれ溶媒に入れて加熱することでその抽出物を獲得し、前記抽出物を濃縮して各抽出物の濃縮抽出物を調製した。
【0085】
前記濃縮抽出物を凍結乾燥し、粉末化して使用した。
【0086】
以下、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物を混合した複合抽出物は、各抽出物の混合倍率を4:2:1にして調製した。
【0087】
実施例2.ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物のファイトケミカル(phytochemical)の確認
結合相クロマトグラフィー(Bonded Phase Chromatography:BPC)は、各有効化合物と固定相及び移動相間の親和性によって分離される性質を用いる。
【0088】
固定相の作用機序に従って、再度、順相(normal-phase)と逆相(reverse-phase)とに分類されるが、順相の場合、固定相は極性溶媒(例:シリカゲル(silica gel))、移動相は非極性有機溶媒を使用し、分子と極性固定相間の強い化学的結合(イオン結合など)と分離による速度差によって各有効化合物が分離されることを用いる。
【0089】
逆相の場合、シリカゲルの表面に官能基(C18、C8、アルキル基、芳香族フェニル基、アミン基など)を結合したものを固定相として(例:オクタデシルシリルゲル(ODS gel)、極性有機溶媒を移動相として使用し、分子と非極性固定相間の非特異的な疎水性相互作用(Non-specific hydrophobic interaction)に基づく結合と分離による速度差によって各有効化合物が分離されるので、分子内に疎水性基を持つほぼ全ての有機物の分離に使用することができる。
【0090】
したがって、各特性と状況によって、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツの指標成分をセファデックス(Sephadex)LH-20、MCIゲル(MCI GEL)CHP20P、ODS-Bゲル、シリカゲル60などを使用して分離した。
【0091】
具体的に、ゴカヒより分離したアカントシドD(acanthoside D)、シリンギン(Siringin)、ロコンより分離した没食子酸メチル(Methyl gallate)、p-ヒドロけい皮酸(p-hydrocinnamic acid)、(+)-リオニレシノール(Lyoniresinol)、(+)-リオニレシノール-3α-O-β-D-グルコピラノシド(glucopyranoside)とアカマツより分離した(+)-カテキン(Catechine)、タキシフォリン(Taxifolin)誘導体、プロシアニジン(procyanidin)系列などの多様な化合物を確保して、5アルファ還元酵素の抑制活性の評価に用いた。
【0092】
実施例3.ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の5アルファ-還元酵素の活性抑制効果の確認
テストステロンの低下は、更年期男性に現われる最も重要な指標として、総テストステロン(Total Testosterone:TT)を測定した。
【0093】
液体クロマトグラフィーを用いたテストステロン測定法は、最も標準化された方法であって、特に濃度の低い場合に敏感度が高く、正確なテストステロンの測定に適用可能な最も信頼性の高い試験方法であると知られている。
【0094】
具体的に、総テストステロンの測定のために、0.02mMリン酸バッファー(pH6.5)、150μMテストステロン、50μM NADPH(Nicotinamide Adenine Dinucleotide Phosphate)と各サンプルは200μlで処理した後、ラット(rat)の肝から得た酵素液を使用して37℃で30分間反応させた。
【0095】
次いで、500μlジクロロメタン(dichloromethane)を添加して反応を終決させた後、3000rpmで10分間遠心分離後、-50℃で冷却させ、凍らなかった有機溶媒層を分離して濃縮した後、各サンプルに1mlのメタノール(methanol)を入れて希釈し、試料として使用した。
【0096】
テストステロンのHPLC(High Performance Liquid Chromatography)分析条件は、下記の表1及び表2に示しており、その結果は
図1に示した。
【0097】
HPLCを用いた総テストステロン含量の評価は、添加したテストステロンのHPLC分析条件の化学的特性を考慮しており、分析カラムはC18を使用しており、得られたそれぞれのサンプルで減少したテストステロンの面積値を計算し、前記実施例2で確保された天然ポリフェノール(アカントシドD(acanthoside D)、シリンギン(Siringin)、没食子酸メチル(Methyl gallate)、p-クマル酸(p-coumaric acid)、リオニレシノール(Lyoniresinol)、リオニレシノール-グルコピラノシド(Lyoniresinol-glucopyranoside)、カテキン(Catechine)、タキシフォリン(Taxifolin)、プロシアニジンB1(procyanidin B1))と、ゴカヒ、ロコン、又はアカマツ抽出物及び前記抽出物を混合した複合抽出物の5アルファ還元酵素に対する影響を評価した。
【0098】
陽性対照群には、市中で5アルファ還元酵素阻害剤として販売されているフィナステリド(Finasteride)を用いた。
【0099】
その結果をもとに、SPSS(Statistical Package for the Social Science)統計プログラムを用いてt-検定(t-test)で定量して、5アルファ還元酵素の抑制活性能を判断した。
【0100】
【0101】
【0102】
その結果、
図2に示したように、フィナステリド(finasteride)のIC
50は11.9であると現れ、化合物(Compound)のうちでアカントシドD(acanthoside D)は、IC
50が108.3であって、5アルファ還元酵素の抑制活性が最もよく、抽出物においてはゴカヒ、ロコン、及びアカマツ抽出物の複合抽出物が、IC
50が40.9であって、最も高い5アルファ還元酵素の抑制活性の評価を示した。
【0103】
実施例4.効能指標化合物の確認
前立腺肥大症の改善に役立つ候補素材であるロコン、アカマツより分離した活性化合物(active compound)を基準に、それぞれの植物内含量及びバリデーション(validation)を評価して、機能性素材としての可能性を評価した。
【0104】
具体的に、HPLCを用いて有機溶媒の組成、流量などを変化させながら、植物内の有効成分を分析し得る最適なHPLC分析条件を決定後、有効成分の含量を確認し、食品医薬品安全処発行のバリデーションガイドライン(validation guideline)に従って、指標成分の特異性、正確性、精密性などに対する評価を行った。
【0105】
HPLC分析に用いられた条件は、前記表1及び表2に示したとおりである。
【0106】
4-1.特異性の確認
HPLCを用いて複合抽出物のクロマトグラフィーを比較することで、アカントシドD及びp-クマル酸のピークが分離されるかどうかを確認した結果、
図3及び
図4に示したように、他の成分の干渉なしにアカントシドD及びp-クマル酸が分離されることを確認することができた。
【0107】
4-2.検量線及び直線性(Linearity)の確認
図5から確認できるように、アカントシドDをHPLCで分析して作成した検量線の一次回帰式(Linear regression equation)は、y=22027 x-105709であり、検量線の相関係数(R
2)は0.9998であって、良好な直線性を呈し、p-クマル酸をHPLCで分析して作成した検量線の一次回帰式は、y=46962 x-107117であり、検量線の相関係数(R
2)は1であって、高い直線性を確認することができた。
【0108】
4-3.正確性(Accuracy)及び精密性(Precision)の確認
図6に示したように、アカントシドDの正確性は、96.77~101.46%以内であることを確認し、精密性は変動係数(C.V.:Coefficient Variation)で0.46~1.13%であって、良好な値を示した。
【0109】
また、p-クマル酸の正確性は、96.39~100.96%以内であることを確認したし、精密性は変動係数(C.V.: Coefficient Variation)で、0.12~0.62%であって、良好な値を示すことを確認することができた。
【0110】
実施例5.ゴカヒ、ロコン、及びアカマツ複合抽出物のアカントシドDとp-クマル酸の含量の確認
アカントシドD及びp-クマル酸を効能指標にして、前記実施例1で調製した複合抽出物の指標成分の含量を評価した。
【0111】
具体的に、前記表1及び表2に示した、確立された分析法を用いて指標成分の含量を測定した結果、複合抽出物内のアカントシドDの含量は1.06%であることが確認され、p-クマル酸の含量は0.07%であることが確認された。
【0112】
実施例6.ウエスタンブロッティング(Western blotting)
5アルファ還元酵素は、総3種類の亜型(I型、II型、III型)が明らかになっており、その中でもI型、III型は男性型脱毛やにきびなどのような疾患を対象にして研究されており、II型は前立腺肥大症と直接関連があるものと知られている。
【0113】
それで、本実施例では、5アルファ還元酵素II型(5-alpha reductase type2: SRD5A2)のタンパク質発現量をウエスタンブロッティングを通じて分析することで、5アルファ還元酵素の抑制能を確認した。
【0114】
具体的に、細胞を2.0×105cells/well濃度で分注し、1%ウシ胎児血清(FBS)が含まれたPRMI1640培地で、前記ゴカヒ抽出物100μg/ml、アカマツ抽出物600μg/ml、ロコン抽出物600μg/ml、又は前記抽出物を4:2:1で混合した複合抽出物(抽出物4)350μg/mlを細胞に処理して、24時間培養した。
【0115】
陽性対照群としては、市中で5アルファ還元酵素阻害剤として販売されているフィナステリド(finasteride)を処理した。
【0116】
細胞に処理したそれぞれの抽出物と化合物の情報は、下記の表3に示したとおりである。
【0117】
次いで、前記培養した細胞を溶解(lysis)させ、0.45μmメッシュ(mesh)でフィルタリングした後、
図7に示した手順に従ってウエスタンブロッティングを行った。
【0118】
具体的に、一次抗体(Anti-SRD5A2、Sigma)を1:200で希釈して処理し、二次抗体(m-IgGBP-HRP、Santa Cruz)を1:3000で希釈して処理した後、それぞれの抽出物と化合物の処理による5アルファ還元酵素II型の発現量を確認した。
【0119】
前記用いられた抗体の情報は、下記の表4に示した。
【0120】
【0121】
【0122】
その結果、
図8に示したように、各抽出物、複合抽出物、及び各化学物の処理によって、5アルファ-還元酵素II型の発現量を確認することができ、特に、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツを4:2:1で混合した複合抽出物(抽出物4)を処理した場合、市中で5アルファ還元酵素阻害剤として販売されているフィナステリド(finasteride)を処理した場合と比較して、5アルファ-還元酵素II型の発現量が顕著に減少することを確認することができた。
【0123】
また、複合抽出物の指標成分であるアカントシドD(化合物2)とp-クマル酸(化合物1)を処理したときも、5アルファ還元酵素II型の発現量が顕著に減少することを確認することができ、アカントシドDとp-クマル酸が5アルファ還元酵素の抑制に高い活性を有することが分かり、ゴカヒ、ロコン、及びアカマツを適正な比率(4:2:1)で混合した複合抽出物の方が、5アルファ還元酵素の抑制活性に優れていることを確認することができた。
【0124】
前記複合抽出物のアカントシドDの含量は1.06%であり、p-クマル酸の含量は0.07%であるが、これは前記複合抽出物が前立腺疾患の改善及び予防のための天然機能性素材として使用され得ることを示唆する。
【0125】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形し得ることが理解できると考える。よって、以上で記述した実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的でないものであると理解すべきである。