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  • 特許-貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20220804BHJP
   B65G 67/60 20060101ALI20220804BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220804BHJP
【FI】
B65G63/00 G
B65G63/00 J
B65G67/60 A
G06Q10/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021092345
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】521238524
【氏名又は名称】株式会社プロギア九州
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】林 鋭典
(72)【発明者】
【氏名】江藤 史和
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-189415(JP,A)
【文献】特開2020-166724(JP,A)
【文献】特開2004-26347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00
B65G 67/60
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤードに駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリーへ搬送し、該フェリー内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理方法であって、
前記シャーシに取付けられたナンバープレートAに基づいて簡易入力データを作成する入力データ作成工程と、
前記フェリーによって搬送予定のシャーシのナンバープレートBを変換照合手段に入力する元データ入力工程と、
前記入力データ作成工程で作成した前記簡易入力データを前記変換照合手段に入力し、該簡易入力データを前記ナンバープレートBと照合できるように変換した後に照合するデータ照合工程と、
前記ヤードに駐車された前記シャーシのうち、前記データ照合工程で照合して一致した前記ナンバープレートBが取付けられた前記搬送予定のシャーシを、前記トラクターヘッドにより前記ヤードから前記フェリーへ搬送するシャーシ搬送工程とを有することを特徴とする貨物情報管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の貨物情報管理方法において、前記入力データ作成工程で作成する前記簡易入力データは、前記ナンバープレートAの地名を意味する2文字のアルファベットと、前記ナンバープレートAの一連指定番号とからなることを特徴とする貨物情報管理方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の貨物情報管理方法において、前記入力データ作成工程で作成する前記簡易入力データには、前記シャーシのサイズ、前記貨物の有無、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物のサイズを付すことを特徴とする貨物情報管理方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の貨物情報管理方法において、前記データ照合工程で前記簡易入力データと照合する前記ナンバープレートBは、地名と一連指定番号とからなる元データであり、該元データに、前記貨物の荷主の情報、前記シャーシの優先下船情報、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物の種類を付すことを特徴とする貨物情報管理方法。
【請求項5】
ヤードに駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリーへ搬送し、該フェリー内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理装置であって、
前記シャーシに取付けられたナンバープレートAの記載に基づいて作成された簡易入力データと、前記フェリーによって搬送予定のシャーシのナンバープレートBとが、それぞれ入力され、前記簡易入力データを前記ナンバープレートBと照合できるように変換して照合する変換照合手段を有することを特徴とする貨物情報管理装置。
【請求項6】
請求項5記載の貨物情報管理装置において、前記簡易入力データは、前記ナンバープレートAの地名を意味する2文字のアルファベットと、前記ナンバープレートAの一連指定番号とからなることを特徴とする貨物情報管理装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の貨物情報管理装置において、前記簡易入力データには、前記シャーシのサイズ、前記貨物の有無、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物のサイズが付されていることを特徴とする貨物情報管理装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の貨物情報管理装置において、前記簡易入力データと照合する前記ナンバープレートBは、地名と一連指定番号とからなる元データであり、該元データに、前記貨物の荷主の情報、前記シャーシの優先下船情報、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物の種類が付されていることを特徴とする貨物情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤードに駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引してフェリーへ搬送し、フェリー内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物は、シャーシ(トレーラ)に積載され、このシャーシをトラクターヘッドで牽引することで、目的の場所まで陸上輸送されている。しかし、陸上で長距離輸送する場合、道路の混雑等によりスムーズに移動することができず(輸送効率が悪く)、また、多量の燃料を消費することから、フェリーによる海上輸送が普及している。
フェリーによる海上輸送では、貨物が積載されたシャーシをトラクターヘッドで牽引してヤード(フェリーターミナルとも称す)まで陸上輸送した後、シャーシからトラクターヘッドを切り離し、シャーシのみをヤードに駐車しておく。フェリーが接岸すると、ヤード専用のトラクターヘッドにより、フェリーとヤードとの間でシャーシの乗船作業を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
シャーシを所定のフェリーへ搬送するに際しては、予め管理者が、ヤードに駐車された全てのシャーシや、これに積載された貨物の各情報を確認している。具体的には、管理者は、例えば、徒歩や車に乗って、ヤードにおけるシャーシの駐車位置や、シャーシや貨物の各種情報(例えば、シャーシのナンバープレートやサイズ、また、貨物の種類やサイズ)等を確認し、これを紙面に記載する。次に、この紙面を使用し、フェリーによって搬送予定のシャーシが、ヤードに到着しているか否かを確認し、各シャーシのフェリーでの配置位置を設定した指示書(いわゆるストウェージプラン)を作成する。
そして、この指示書を、ヤード専用のトラクターヘッドの運転手に渡し、フェリーへのシャーシの搬送が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-189415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヤードには多数のシャーシが駐車されていることから、全てのシャーシや貨物の各情報を、ヤードで紙面に詳細に記載することは困難であった。通常は、全てのシャーシや貨物の各情報を、夜間(フェリーの出港前)に1枚の紙面(例えば、B5程度)に記載しているため、全ての情報を詳細に記載することは困難であり、また、小さな字で記載するため紙面に記載した字が読みづらくなるおそれもあった。
また、フェリーによる搬送予定のシャーシの台数は、例えば、百台程度あることから、上記した紙面を使用し、予め提供された搬送予定のシャーシの情報との照合を行う場合、人為的なミスが発生するおそれもあった。特に、ヤードには、他のフェリーで搬送する予定のシャーシも駐車されていることから、照合作業には時間を要していた。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、シャーシをフェリーへ搬送するための指示書を、長期の習熟を要することなく、従来よりも短時間で効率よく作成可能な貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る貨物情報管理方法は、ヤードに駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリーへ搬送し、該フェリー内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理方法であって、
前記シャーシに取付けられたナンバープレートAに基づいて簡易入力データを作成する入力データ作成工程と、
前記フェリーによって搬送予定のシャーシのナンバープレートBを変換照合手段に入力する元データ入力工程と、
前記入力データ作成工程で作成した前記簡易入力データを前記変換照合手段に入力し、該簡易入力データを前記ナンバープレートBと照合できるように変換した後に照合するデータ照合工程と、
前記ヤードに駐車された前記シャーシのうち、前記データ照合工程で照合して一致した前記ナンバープレートBが取付けられた前記搬送予定のシャーシを、前記トラクターヘッドにより前記ヤードから前記フェリーへ搬送するシャーシ搬送工程とを有する。
【0008】
本発明に係る貨物情報管理方法において、前記入力データ作成工程で作成する前記簡易入力データは、前記ナンバープレートAの地名を意味する2文字のアルファベットと、前記ナンバープレートAの一連指定番号とからなることが好ましい。
【0009】
本発明に係る貨物情報管理方法において、前記入力データ作成工程で作成する前記簡易入力データには、前記シャーシのサイズ、前記貨物の有無、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物のサイズを付すことが好ましい。
【0010】
本発明に係る貨物情報管理方法において、前記データ照合工程で前記簡易入力データと照合する前記ナンバープレートBは、地名と一連指定番号とからなる元データであり、該元データに、前記貨物の荷主の情報、前記シャーシの優先下船情報、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物の種類を付すことが好ましい。
【0011】
前記目的に沿う本発明に係る貨物情報管理装置は、ヤードに駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリーへ搬送し、該フェリー内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理装置であって、
前記シャーシに取付けられたナンバープレートAの記載に基づいて作成された簡易入力データと、前記フェリーによって搬送予定のシャーシのナンバープレートBとが、それぞれ入力され、前記簡易入力データを前記ナンバープレートBと照合できるように変換して照合する変換照合手段を有する。
【0012】
本発明に係る貨物情報管理装置において、前記簡易入力データは、前記ナンバープレートAの地名を意味する2文字のアルファベットと、前記ナンバープレートAの一連指定番号とからなることが好ましい。
【0013】
本発明に係る貨物情報管理装置において、前記簡易入力データには、前記シャーシのサイズ、前記貨物の有無、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物のサイズが付されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る貨物情報管理装置において、前記簡易入力データと照合する前記ナンバープレートBは、地名と一連指定番号とからなる元データであり、該元データに、前記貨物の荷主の情報、前記シャーシの優先下船情報、及び、前記シャーシに積載されている前記貨物の種類が付されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置は、シャーシに取付けられたナンバープレートAに基づいて簡易入力データを作成するので、例えば、ヤードにおいて、全てのシャーシや貨物の情報をそれぞれ詳細に記載する必要がなくなるため、夜間であっても1枚の紙面に記載できる。この簡易入力データを、変換照合手段で、所定のフェリーによって搬送予定のシャーシのナンバープレートBと照合できるように変換し、ナンバープレートBと照合するので、人為的なミスの発生を抑制、更には防止でき、照合作業に要する時間も短縮できる。
従って、シャーシをフェリーへ搬送するための指示書を、長期の習熟を要することなく、従来よりも短時間で効率よく作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る貨物情報管理方法を適用するヤードの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る貨物情報管理方法は、ヤード10に駐車され貨物(以下、荷物とも記載)を積載可能な多数のシャーシ(荷台)を、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリー11へ搬送し、該フェリー11内の予め設定した場所に配置するための貨物の情報を管理する方法であり、シャーシをフェリー11へ搬送するための指示書を、長期の習熟を要することなく、従来よりも短時間で効率よく作成可能な方法である。
以下、詳しく説明する。
【0018】
フェリー11が接岸する岸壁に設けられたヤード10には、貨物を積載可能な多数のシャーシが駐車されている。
フェリー11は、例えば、メインデッキ(1階)、アッパーデッキ(2階)、タンクトップ(地下1デッキ)の3層構造となっているが、これに限定されるものではない。
ヤード10には、予めシャーシを駐車するための場所が設けられ、その各場所にシャーシの駐車位置を示す符号が付されている。具体的には、図1に示すように、複数のシャーシを横並びで駐車するための領域がヤード10に複数設けられ(A列、B列、C列、・・・、等)、その各領域を区分して、シャーシを駐車するための枠が複数設けられ、その各枠に駐車位置を示す符号が付されている(A-1、A-2、A-3、・・・、等)。
【0019】
シャーシは、トラクターヘッドで牽引されヤード10まで陸上輸送された後、トラクターヘッドから切り離されたものであるが、トラクターヘッドが接続された状態のものもある(シャーシに接続されたトラクターヘッドが、そのままの状態で、シャーシをフェリー11に搬送する場合もある)。
また、シャーシには、貨物が積載されているもの(以下、実車とも記載)や、積載されていないもの(以下、空車とも記載)がある。
上記したシャーシの型は、同一規格のものばかりでなく、例えば、積載する貨物に応じて、バン型(ウィング車)、アオリ型(平台車)、コンテナ型、スタンション型等があり、その長さや幅も複数あり、また、タイヤも2対(2軸)や3対(3軸)等がある。
【0020】
次に、ヤード10の管理者は、ヤード10に駐車された全てのシャーシ及びこれに積載された貨物の情報をそれぞれ確認する。
具体的には、管理者はヤード10を、例えば、徒歩や車に乗って移動しながら、ヤード10におけるシャーシの駐車位置(例えば、上記したA-1、A-2、A-3、・・・)、また、シャーシや貨物の各種情報(例えば、シャーシのナンバープレートやサイズ、また、貨物の種類やサイズ)等を目視で確認し、これを紙面に記載する。なお、紙面には、駐車位置を示す全ての符号が予め記載され、この各符号の位置に、駐車されたシャーシと貨物の各種情報を記載(記入)する。この記載作業は、通常、夜間(フェリーの出港前)に1枚の紙面(例えば、B5程度)に対して行われる。
【0021】
紙面に記入するシャーシの情報は、シャーシに取付けられたナンバープレートAに基づいて作成した簡易入力データである。この簡易入力データは、ナンバープレートAの地名を意味する2文字のアルファベットと、ナンバープレートAの一連指定番号とからなる。例えば、ナンバープレートAが、「北九州11 な 1213」である場合、「KK1213」とする。この2文字のアルファベットは、異なる地名で異なるアルファベットとなるように、予め設定しておく。
なお、ヤード10で簡易入力データを作成することなく、ヤード10で簡易データを作成した後、後述するコンピュータに入力する際に、簡易データから簡易入力データを作成することもできる。この簡易データは、ナンバープレートAの地名と、ナンバープレートAの一連指定番号とからなる。なお、地名は、1文字の漢字、平仮名、カタカナ、アルファベット等からなることが好ましいが、見間違い等が発生するおそれがある場合は、2文字以上の複数文字(例えば、3文字)でもよい。
【0022】
上記した簡易入力データ(又は簡易データ、以下同じ)には、シャーシのサイズ、貨物の有無、及び、シャーシに積載された貨物のサイズも付している(紙面に記載)。これは、フェリー11内でのシャーシの配置場所に制限が生じるため、管理者が実際に目視で確認する必要があることによる。
ここで、シャーシのサイズとは、シャーシの長さと幅であり、例えば、幅が広い場合は、幅方向に2台分の配置スペースを確保する必要がある。また、トラクターヘッドが接続されたシャーシについては、長さ方向に2台分の配置スペースを確保する必要がある。
貨物の有無とは、シャーシに貨物が積載されているか否かであり、シャーシに貨物が積載されている場合を実車、積載されていない場合を空車として記載する。
貨物のサイズとは、貨物の長さと幅であり、例えば、積載した鉄骨等がシャーシより後方へ突出する場合は、突出した長さも含めてシャーシの長さとして記載する。
【0023】
上記した簡易入力データには更に、シャーシの補助脚の状況、補助脚の巻上げハンドルの位置、タイヤの対数、貨物の種類、発動機搭載シャーシ(電源車とも称す)、シャーシの優先下船情報、荷主の情報等も付している(紙面に記載)。これは、フェリー11内でのシャーシの移動や配置場所に制限が生じるため、管理者が実際に目視で確認する必要があることによる。
ここで、シャーシの補助脚の状況とは、補助脚の下端部に設けられた皿(地面との接触部分)の構造である。一般的な補助脚の皿は大きくて高さがあるため、補助脚の巻上げ量が少ないものを低脚と記載する。なお、シャーシがフェリー11内の角度のある箇所(スロープの入口や出口)を通過する際、皿が接触するおそれがあるため注意が必要となる。
補助脚の巻上げハンドルは、一般的なシャーシでは左側位置(シャーシのトラクターヘッドとの連結部分を前方に見て)にあるが、右側位置にあるシャーシもある。これは、配置位置に対してシャーシの寄せ方が変わることによる(通常は右寄せであるが、巻上げハンドルが右側位置にある場合は左寄せとなる)。
【0024】
タイヤの対数は、前記したように、2対の場合を2軸、3対の場合を3軸、とそれぞれ称すが、所定の位置に駐車する際、2軸のシャーシよりも3軸のシャーシの方が旋回距離を多く必要とするため、旋回範囲が狭いタンクトップへの配置はできない場合がある。
貨物の種類は、例えば、紙、板紙、巻取り紙、平紙等の紙系や、鉄骨、鉄塔、鋼材、コンクリート等の鉄骨系等があるが、これに限定されるものではない。なお、紙系の場合、シャーシ内での固縛をしっかりとできない(固縛をきつくすると製品にキズが付く)ため、基本的にはフェリーのタンクトップへの配置が優先される。また、鉄骨系の場合、基本的に荷姿が悪いため、主としてフェリーのメインデッキへの配置が優先される。一般的に、アオリ型のシャーシは、外観が見えるため貨物のチェックが可能であるが、バン型のシャーシは外からのチェックが不可能である(扉の開閉は荷崩れ等を考慮して禁止であることによる)。
【0025】
なお、貨物の種類がフィルムの場合は、上記した紙系と同様、固縛がしっかりとできずに滑り易く、紙系以上に注意が必要な荷物となるため、メインデッキへ配置される。
また、取扱い注意項目が危険物や危険品(海洋汚染物質を含む化学製品等)である荷物の場合、フェリーにおいて指定した配置位置があればその配置位置に配置され、特になければメインデッキへ配置される。
発動機搭載シャーシとは、荷物が温度管理を必要とする物であり、フェリーからの電源供給を必要とするため、フェリーにおいて配置位置が限定される。なお、フェリー外では、シャーシ自体に備え付けてある燃料タンクの燃料を使用し、発動機を稼動させることによって温度管理を行う。この場合、可燃物を積載していることから、火災発生の危険があるため、特に紙面への明記が必要である。
シャーシの優先下船情報とは、シャーシをフェリーから下船させるタイミングである。
荷主の情報とは、貨物の依頼主の名称(企業名等)であり、シャーシに貨物が積載されている場合等に確認できる(以上、入力データ作成工程)。
【0026】
一方、貨物の輸送を依頼された会社からは、フェリー11によって搬送予定のシャーシのナンバープレートBが記載された元データ(照合元データ)の一覧が、予め管理者に送られる。
このナンバープレートBは、地名と一連指定番号とからなる元データであり、例えば、ナンバープレートの地名の2文字と、ナンバープレートの一連指定番号とからなる。具体的には、ナンバープレートが、「北九州11 な 1213」である場合、ナンバープレートBは「北九1213」となる。
この元データには更に、貨物の荷主の情報、シャーシの優先下船情報、及び、シャーシに積載された貨物の種類やサイズも付されている。
【0027】
上記した元データは、例えば、ヤード10に設けられた事務所(建屋)内のコンピュータ(即ち、貨物情報管理装置)に送信(入力)される。
このコンピュータは、管理者がその後の作業を行うコンピュータ(データ照合手段を有する装置)であるが、他のコンピュータで受信した後、作業を行うコンピュータに送信(入力)することもでき、また、管理者が、元データの一覧が記載された紙面を確認しながら、キーボードやマウス(入力手段)を用いて直接入力することもできる。なお、作業を行うコンピュータは、RAM、CPU、ROM、I/O、及び、これらの要素を接続するバスを備えた従来公知のものである。
上記した元データをコンピュータに入力し、ディスプレイに表示された表計算ソフト(例えば、マイクロソフトのEXCEL(登録商標))の抜粋を、表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
ここで、表1に示す「車番」がナンバープレートBを、「荷物」が貨物の種類を、「荷主」が依頼主の情報を、「M数」が貨物のサイズ(長さ:単位が「m」)を、それぞれ意味する(以上、元データ入力工程)。
【0030】
管理者は、元データが入力されたコンピュータに、キーボードやマウス(入力手段)を用いて、前記した簡易入力データを入力する。
この簡易入力データをコンピュータに入力し、ディスプレイに表示された表計算ソフト(例えば、マイクロソフトのEXCEL(登録商標))の抜粋を、表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
ここで、表2に示す「入力データ」は簡易入力データを、「荷主」は依頼主を、それぞれ意味する。
なお、表2において、アルファベットや数字について、全角や半角、また、大文字や小文字が混在しているのは、複数の管理者が同じコンピュータを使用していることによるものであり、これらは、コンピュータ内で自動的に、統一された書体へと変換される。
【0033】
なお、コンピュータには、簡易入力データとナンバープレートBとを関連付けるための関連付けデータが、予め入力されている。
この関連付けデータは、簡易入力データの2文字のアルファベット(記号)と、ナンバープレートBの2文字の地名(地名)を、1文字の略号に変換するためのデータベースである。なお、1文字の略号は、地名ごとに、異なる漢字、平仮名、カタカナ、アルファベット等となるように、予め設定しておく。
コンピュータのディスプレイに表示され、関連付けデータを表す表計算ソフト(例えば、マイクロソフトのEXCEL(登録商標))の抜粋を、表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
コンピュータのデータ照合手段により、上記した関連付けデータを用いて、表1に示す元データの地名と、表2に示す簡易入力データの記号を、それぞれ略号に置き換えた(変換した)結果を、表4と表5にそれぞれ示す。なお、表4と表5は、コンピュータのディスプレイに表示された表計算ソフト(例えば、マイクロソフトのEXCEL(登録商標))の抜粋である。また、表5には、管理者が確認した依頼主(「荷主」)と駐車場所(「場所」)も表示されている。
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
このように、簡易入力データはナンバープレートBと照合できるように変換される(ここでは、ナンバープレートBも変換しているが、簡易入力データの記号を元データの地名に変換できれば、ナンバープレートBを変換しなくてもよい)。
【0039】
次に、コンピュータのデータ照合手段により、表4と表5の「略号車番」を比較し照合する。
この照合した結果は、上記した表4において、シャーシの到着状況(駐車場の有無)と駐車場所(場所)により表示される。具体的には、シャーシがヤード10に到着していれば「着」と「略号車番」と「場所」がそれぞれ表示され、到着していなければ「未着」のみが表示される(以上、データ照合工程)。
【0040】
なお、元データは、前記したように、ナンバープレートの地名の2文字と、ナンバープレートの一連指定番号とからなることから、同じ元データが発生(重複(ダブリが発生))する場合がある。
例えば、表6の「7」と「11」に示すように、同じ「水戸1234」が発生する。この表6は、コンピュータのディスプレイに表示された表計算ソフト(例えば、マイクロソフトのEXCEL(登録商標))の抜粋である。
【0041】
【表6】
【0042】
この場合、例えば、同じ元データの一方に、荷主の頭文字を予め設定し、元データの末尾に荷主の頭文字が表示されるようにしておく。具体的には、表6に示すように、「7」の元データが「水戸1234B」と表示されるように設定する。
そして、上記したデータ照合工程を行う。
【0043】
以上の方法で得られた結果から、データ照合工程で照合して一致したナンバープレートが取り付けられた各シャーシのフェリーでの配置位置を設定した指示書(いわゆるストウェージプラン)を作成する。
この指示書は、フェリー内を平面視した図面であり、シャーシの駐車可能な位置が記載されており、この各位置に、前記したシャーシや貨物の各種情報、シャーシを牽引する複数台のトラクターヘッドの経路(導線)、シャーシの搬送の順番(積込順番)等を考慮しながら、配置するシャーシを決定し、このシャーシの略号車番が記載された図面を作成する。
なお、管理者がヤード10で確認できなかったシャーシも、フェリー11で搬送する必要があるため、ヤード10に到着した後、上記したシャーシや貨物の各種情報を確認して、シャーシの配置位置を決定する。
【0044】
そして、作成した指示書を、例えば、コンピュータのプリンターから紙面で出力し、この紙面を各トラクターヘッドの運転手に渡して、フェリー11とヤード10との間でシャーシの乗船作業を行う。具体的には、複数台のトラクターヘッドをフェリー11のタンクトップとアッパーデッキに分け、両方同時に搬送作業を開始する。次に、搬送作業が終了した階層のトラクターヘッドが先に、メインデッキでの搬送作業を開始した後、残りの階層の搬送作業が終了したトラクターヘッドが、メインデッキでの搬送作業に合流する。
これにより、ヤード10に駐車されたシャーシのうち、上記したデータ照合工程で照合して一致した元データに該当する(ナンバープレートBが取付けられた)搬送予定のシャーシを、トラクターヘッドによりヤード10からフェリー11へ搬送できる(以上、シャーシ搬送工程)。
【0045】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、入力データ作成工程を行った後に、元データ入力工程が行われているが、元データ入力工程は、データ照合工程が行われる前であればよく、入力データ作成工程を行う前に、又は、入力データ作成工程を行いながら、行うこともできる。
【符号の説明】
【0046】
10:ヤード、11:フェリー
【要約】
【課題】シャーシをフェリーへ搬送するための指示書を、長期の習熟を要することなく、従来よりも短時間で効率よく作成可能な貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置を提供する。
【解決手段】ヤード10に駐車され貨物を積載可能な多数のシャーシを、トラクターヘッドで順次牽引して所定のフェリー11へ搬送し、フェリー11内の予め設定した場所に配置するための貨物情報管理方法及び貨物情報管理装置であり、シャーシに取付けられたナンバープレートAの記載に基づいて作成した簡易入力データと、フェリー11によって搬送予定のシャーシのナンバープレートBとを、変換照合手段にそれぞれ入力し、簡易入力データをナンバープレートBと照合できるように変換して照合し、一致したナンバープレートBが取付けられたシャーシを、トラクターヘッドによりヤード10からフェリー11へ搬送する。
【選択図】図1
図1