(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】通信端末、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20220804BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20220804BHJP
【FI】
H04M1/00 S
H04M1/72448
H04M1/00 H
(21)【出願番号】P 2020126238
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 聖人
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 充
(72)【発明者】
【氏名】榎本 可奈
(72)【発明者】
【氏名】木村 優太
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-019309(JP,A)
【文献】特開2017-112547(JP,A)
【文献】特開2010-177967(JP,A)
【文献】特開2015-126356(JP,A)
【文献】特開2008-060674(JP,A)
【文献】特開2016-103800(JP,A)
【文献】特許第6670407(JP,B1)
【文献】特開2014-081755(JP,A)
【文献】特開2010-273071(JP,A)
【文献】特開2019-213128(JP,A)
【文献】特開2008-271590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末と信号を送受信する通信部と、
迷惑電話に関する迷惑電話情報を記憶する記憶部と、
音声を出力する受話部と、
前記第1端末から着信があった場合に、前記迷惑電話情報に基づいて前記第1端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定する制御部と、
表示部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定した場合に、迷惑電話からの着信であることをユーザに知らせる警告メッセージを前記表示部に表示し、
前記制御部は、前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、
前記警告メッセージの表示に応じて前記ユーザが前記着信への応答を許可することで前記第1端末との通話が開始された場合に、前記受話部から前記第1端末が迷惑電話である旨を示すガイド音声を出力させ、前記通信部に前記ガイド音声を発話信号として前記第1端末に送信させる、
通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記ガイド音声を出力させている間、前記受話部に前記第1端末からの音声の出力をオフさせる、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
音声を入力する送話部、をさらに備え、
前記制御部は、前記ガイド音声を出力させている間、前記送話部の機能をオフさせる、
請求項1又は2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1端末との通話を前記記憶部に記録させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記受話部からの前記ガイド音声の出力が終了した場合に、前記第1端末との通話の記録を開始させる、
請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
前記通信部は、新たな迷惑電話情報を有する管理装置から、前記新たな迷惑電話情報を受信し、
前記制御部は、前記記憶部に既に記憶されている前記迷惑電話情報を、前記新たな迷惑電話情報に更新する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項7】
前記通信端末の初期設定の入力を受け付けた後に、迷惑電話対策を利用するか、利用しないかの選択操作を受け付ける受付部をさらに備え、
前記迷惑電話対策を利用する旨の選択操作が受け付けられた場合に、前記迷惑電話対策のための前記制御部の機能が有効化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項8】
前記表示部は、前記通信端末の発信履歴を表示
し、
前記制御部は、前記迷惑電話情報に基づいて、前記発信履歴の中に前記迷惑電話への発信があると判定した場合には、前記迷惑電話を特定する発信番号とともに、前記迷惑電話への発信である旨を前記表示部に表示させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項9】
前記表示部は、前記通信端末の着信履歴を表示
し、
前記制御部は、前記迷惑電話情報に基づいて、前記着信履歴の中に前記迷惑電話からの着信があると判定した場合には、前記迷惑電話を特定する着信番号とともに、前記迷惑電話の着信である旨を前記表示部に表示させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の通信端末。
【請求項10】
第1端末から着信をあらわす信号を受信するステップと、
記憶部に記憶されている迷惑電話に関する迷惑電話情報に基づいて、前記第1端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定するステップと、
前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定した場合に、迷惑電話からの着信であることをユーザに知らせる警告メッセージを表示部に表示するステップと、
前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、
前記警告メッセージの表示に応じて前記ユーザが前記着信への応答を許可することで前記第1端末との通話が開始された場合に、前記第1端末が迷惑電話である旨を示すガイド音声を出力するステップと、
前記ガイド音声を発話信号として前記第1端末に送信するステップと、
を含む、通信端末の制御方法。
【請求項11】
前記ガイド音声を出力している間、前記第1端末からの音声の出力をオフするステップ、
をさらに含む請求項10に記載の通信端末の制御方法。
【請求項12】
前記ガイド音声を出力している間、送話機能をオフするステップ、
をさらに含む請求項10または11に記載の通信端末の制御方法。
【請求項13】
前記ガイド音声の出力が終了した場合に、前記第1端末との通話の記録を開始するステップ、
をさらに含む請求項10~12のいずれか一項に記載の通信端末の制御方法。
【請求項14】
新たな迷惑電話情報を有する管理装置から、前記新たな迷惑電話情報を受信するステップと、
前記記憶部に既に記憶されている前記迷惑電話情報を、前記新たな迷惑電話情報に更新するステップと、
をさらに含む請求項10~13のいずれか一項に記載の通信端末の制御方法。
【請求項15】
初期設定の入力を受け付けた後に、迷惑電話対策を利用するか、利用しないかの選択操作を受け付けるステップと、
前記迷惑電話対策を利用する旨の選択操作が受け付けられた場合に、前記迷惑電話対策を利用するための機能を有効化するステップと、
をさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の通信端末の制御方法。
【請求項16】
発信履歴を表示するステップであって、前記迷惑電話情報に基づいて、前記発信履歴の中に前記迷惑電話への発信があると判定した場合には、前記迷惑電話を特定する発信番号とともに、前記迷惑電話への発信である旨を表示するステップと、
をさらに含む請求項10~15のいずれか一項に記載の通信端末の制御方法。
【請求項17】
着信履歴を表示するステップであって、前記迷惑電話情報に基づいて、前記着信履歴の中に前記迷惑電話からの着信があると判定した場合には、前記迷惑電話を特定する着信番号とともに、前記迷惑電話の着信である旨を表示するステップと、
をさらに含む請求項10~16のいずれか一項に記載の通信端末の制御方法。
【請求項18】
通信端末に、
第1端末から着信をあらわす信号を受信するステップと、
記憶部に記憶されている迷惑電話に関する迷惑電話情報に基づいて、前記第1端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定するステップと、
前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定した場合に、迷惑電話からの着信であることをユーザに知らせる警告メッセージを表示部に表示するステップと、
前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、
前記警告メッセージの表示に応じて前記ユーザが前記着信への応答を許可することで前記第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、前記第1端末との通話が開始された場合に、前記第1端末が迷惑電話である旨を示すガイド音声を出力するステップと、
前記ガイド音声を発話信号として前記第1端末に送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、振り込め詐欺や悪質な勧誘などを目的とした迷惑電話が大きな社会問題となっている。迷惑電話を防ぐために、ユーザの電話機のメモリなどに迷惑電話で使用された電話番号(迷惑電話番号)を登録し、次回、同一の迷惑電話番号から着信があった場合には、その着信を自動で許否する「迷惑電話お断り機能」を備えた電話機が知られている(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いったんユーザが迷惑電話に応答してしまうと、相手は言葉巧みに高額な商材の購入などを執拗に勧めてくることもあり、ユーザは詐欺まがいの勧誘を断るのに苦労したり、犯罪に巻き込まれたりするおそれがあった。
【0005】
そこで、迷惑電話の着信に応答して通話を開始した場合に、迷惑電話にともなう犯罪行為や迷惑行為による被害を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通信端末は、第1端末と信号を送受信する通信部と、迷惑電話に関する迷惑電話情報を有する記憶部と、音声を出力する受話部と、第1端末から着信があった場合に、迷惑電話情報に基づいて第1端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定する制御部と、を備える。制御部は、第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、第1端末との通話が開始された場合に、受話部から第1端末が迷惑電話である旨を示すガイド音声を出力させ、通信部に前記ガイド音声を発話信号として第1端末に送信させてよい。
【0007】
本発明の一態様に係る通信端末の制御方法は、第1端末から着信をあらわす信号を受信するステップと、記憶部に記憶されている迷惑電話に関する迷惑電話情報に基づいて、第1端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定するステップと、第1端末からの着信が迷惑電話であると判定し、かつ、第1端末との通話が開始された場合に、第1端末が迷惑電話である旨を示すガイド音声を出力するステップと、ガイド音声を発話信号として第1端末に送信するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、通信端末の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、迷惑電話の自動録音機能の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】
図5は、受話部及び送話部に設定される機能制限の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、迷惑電話対策の設定方法の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、迷惑電話の着信履歴に警告表示を行う場合の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、一実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。
【0010】
A.本実施形態
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る通信システム1の構成の一例を示す図である。
通信システム1は、サーバ装置100と、各ユーザが所持する通信端末200を備えてよい。サーバ装置100と各通信端末200とは、ネットワークNを介して相互に通信可能であってよい。なお、
図1では、1台のサーバ装置100及び2台の通信端末200を図示しているが、通信システム1に含まれるサーバ装置100及び通信端末200の数はこれに限定されない。通信システム1は、それぞれ任意の数のサーバ装置100及び通信端末200を含めてよい。
【0011】
ネットワークNは、サーバ装置100と通信端末200との間の通信のための通信ネットワークである。例えば、ネットワークNは、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよい。また、ネットワークNは、有線であるか無線であるかを問わない。また、ネットワークNは、サーバ装置100と通信端末200との間の通信が可能であれば、上記の例に限定されない。
【0012】
サーバ装置(管理装置)100は、例えば専用又は汎用の情報処理装置により構成されてよい。サーバ装置100は、ネットワークNを介して通信端末200に迷惑電話に関する情報(迷惑電話情報)を提供してよい。迷惑電話情報は、例えば、迷惑電話の電話番号、迷惑電話をかけてくる人物名、および迷惑電話をかけてくる企業名などであってよい。まず、サーバ装置100は、警察や自治体などの外部機関や各ユーザから提供される迷惑電話情報を収集してよい。具体的には、サーバ装置100は、例えば、迷惑電話の電話番号を収集してよい。サーバ装置100は、収集した迷惑電話情報に基づいて、迷惑電話番号リストL1を作成してよい。サーバ装置100は、通信端末200に迷惑電話番号リストL1を配信してよい。通信端末200は、定期または不定期に、迷惑電話番号リストL1の取得要求をサーバ装置100に送信してよい。サーバ装置100は、通信端末200からの迷惑電話番号リストL1の取得要求に応じて、迷惑電話番号リストL1を通信端末200に配信してよい。なお、サーバ装置100は、迷惑電話番号リストL1の取得要求を受けることなく、定期または不定期に、最新の迷惑電話番号リストL1を通信端末200にプッシュ配信してもよい。また、サーバ装置100は、単一の情報処理装置により構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、サーバ装置100は、定期または不定期に、迷惑電話情報を取得して迷惑電話番号リストL1を更新してよい。サーバ装置100は、例えば、最新の迷惑電話番号リストL1を通信端末200に配信してよい。また、迷惑電話番号リストL1は、少なくとも迷惑電話の電話番号のデータを含むデータセットであればよい。すなわち、迷惑電話番号リストL1は、任意のデータ構造により構成されてよい。
【0013】
通信端末200は、ユーザが所持する端末である。通信端末200は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などによって構成されてよい。通信端末200は、電話回線網などを介して、通話相手の端末(以下、「相手端末」ともいう。)と通話することができる。相手端末(第1端末)は、例えば携帯電話やスマートフォンなどの電話回線網などを介して通話が可能な任意の端末であってよい。
【0014】
図2は、通信端末200の要部構成の一例を示すブロック図である。
通信端末200は、制御部201、通信部204、記憶部205、受話部206、送話部207、操作受付部208、及び表示部209を備えてよい。制御部201は、CPU202及びメモリ203を備えてよい。なお、
図2は、通信端末200の主要な構成を示しているにすぎない。すなわち、通信端末200は、一般的な情報処理装置が備える他の構成を適宜備えてよい。
【0015】
制御部201は、通信端末200の各部を中枢的に制御してよい。CPU202は、記憶部205等に記憶された各種プログラムをメモリ203に展開して実行することにより、通信端末200が有する機能を実現してよい。制御部201において実行される処理の詳細は後述する。
【0016】
通信部204は、ネットワークNを介してサーバ装置100や相手端末等と通信するための通信インタフェースであってよい。一例として、通信部204は、サーバ装置100に最新の迷惑電話番号リストL1の取得要求を送信してよい。また、通信部204は、例えば、サーバ装置100から取得要求に応じた迷惑電話番号リストL1を受信してよい。通信端末200が受信した迷惑電話番号リストL1は、制御部201によって記憶部205に記憶されてよい。制御部201は、例えば、サーバ装置100から最新の迷惑電話番号リストを受信するたびに、記憶部205にすでに記憶されている迷惑電話番号リストを、最新の迷惑電話番号リストに更新してよい。また、通信部204は、相手端末との間で、通話に関する様々な信号(発信信号、呼出信号、応答信号、切断信号など)を送受信してよい。
【0017】
記憶部205は、半導体記憶装置又はハードディスク等の記憶装置によって構成されてよい。記憶部205は、各種プログラムや各種データを記憶してよい。例えば、記憶部205は、サーバ装置100から受信する迷惑電話番号リストL1を記憶してよい。また、記憶部205は、例えば、発信時または着信時に迷惑電話を検知し、警告メッセージを出力等することができる迷惑電話対策アプリケーション(以下、「迷惑電話対策アプリ」ともいう。)AP1を記憶してよい。また、記憶部205は、例えば、迷惑電話対策用のガイド音声データD1を記憶してよい。
【0018】
迷惑電話対策アプリAP1は、いわゆる常駐アプリケーションであってよい。すなわち、迷惑電話対策アプリAP1は、通信端末200の動作中に常にバックグラウンドで自動実行されてよい。迷惑電話対策用のガイド音声データD1は、迷惑電話の抑止を目的とした音声メッセージ(迷惑電話対策用のガイド音声)を生成するためのデータであってよい。迷惑電話対策用のガイド音声は、迷惑電話の着信に応答した場合に、ユーザの通信端末200だけでなく、相手端末にも出力されるが、この点については後述する。
【0019】
受話部206は、スピーカなどの、音を出力可能な任意の装置によって構成されてよい。受話部206は、通信部204を介して受信した通話相手の音声や、記憶部205に記憶されている効果音に関するデータに基づいて、各種の音を出力してよい。受話部206の機能は、制御部201により制御されてよい。
【0020】
送話部207は、マイクロフォンなどの、入力された音を電気信号に変換可能な任意の装置によって構成されてよい。送話部207は、相手端末との通話においてユーザの音声などが入力されてよい。送話部207の機能は、制御部201により制御されてよい。
【0021】
操作受付部208は、タッチパネルや操作キーなどの、種々の情報を入力可能な任意の装置によって構成されてよい。操作受付部208は、ユーザから様々な操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号を制御部201に送ってよい。操作受付部208の機能は、制御部201により制御されてよい。
【0022】
表示部209は、ディスプレイなどの、種々の情報を表示可能な任意の装置によって構成されてよい。表示部209は、記憶部205に記憶等された画像データに基づいて、画像を出力表示してよい。表示部209の機能は、制御部201により制御されてよい。
【0023】
次に、制御部201が迷惑電話対策アプリAP1を実行することによって実現される迷惑電話の自動録音機能について説明する。
【0024】
<迷惑電話の自動録音機能>
図3は、迷惑電話の自動録音機能の一例を説明するためのシーケンス図である。
通信端末200の制御部201は、ネットワークNを介して相手端末から発呼要求(すなわち着信)をあらわす信号などを受信し、着信があったことを検知してよい(ステップS1)。そして、制御部201は、相手端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定してよい(ステップS2)。
【0025】
具体的には、例えば、制御部201は、発呼要求などに含まれる相手端末の電話番号と、記憶部205に記憶されている迷惑電話番号リストL1とを比較することで、相手端末からの着信が迷惑電話であるか否かを判定してよい。
【0026】
制御部201は、相手端末の電話番号が、迷惑電話番号リストL1のいずれかの迷惑電話番号に一致している場合に、相手端末からの着信は迷惑電話であると判定してよい。(ステップS2:YES)また、制御部201は、迷惑電話番号リストL1のいずれの迷惑電話番号にも一致していない場合に、相手端末からの着信は迷惑電話でないと判定してよい(ステップS2:NO)。
【0027】
制御部201は、相手端末からの着信が迷惑電話でない場合に、通常の通話処理を開始してよい(ステップS3)。
制御部201は、相手端末からの着信が迷惑電話である場合に、迷惑電話からの着信であることをユーザに知らせる警告メッセージを含む着信画面を、ユーザの通信端末200の表示部209に表示してよい(ステップS4)。
【0028】
図4は、表示部209に表示される着信画面G1を例示した図である。
着信画面G1には、例えば、上部に迷惑電話からの着信であることをユーザに知らせる警告メッセージM1や、迷惑電話であることを瞬時にユーザに把握させるための警告アイコンI1が表示されてよい。また、着信画面G1には、例えば、中部から下部に迷惑電話の電話番号や、迷惑電話の着信に応答するため応答許可ボタンB1、迷惑電話の着信に応答しないための応答許否ボタンB2などが表示されてよい。ユーザは、迷惑電話番号などを確認した後、応答許可ボタンB1または応答許否ボタンB2のいずれかを選択操作してよい。なお、着信画面G1に表示されるメッセージやアイコンは、画面上に任意に配置されてよく、上記の例に限定されない。
【0029】
図3の説明に戻る。制御部201は、ユーザによる応答許可ボタンB1または応答許否ボタンB2の選択操作に基づき、ユーザが迷惑電話に応答したか、応答を拒否したかを判断してよい(ステップS5)。 制御部201は、操作受付部208を介して応答許否ボタンB2が選択されたことを検知すると、相手端末の着信を切断し(ステップS6)、処理を終了してよい。なお、この場合、制御部201は、相手端末に対して「この電話番号からの電話は受け付けられません」といった許否メッセージなどを送信した後に、着信を切断してもよい。
【0030】
一方、制御部201は、操作受付部208を介して応答許可ボタンB1が選択されたことを検知すると、相手端末に応答信号などを返して、通信端末200と相手端末との間のコネクションを確立させ(ステップS7)、通話を開始してよい。
【0031】
制御部201は、相手端末との通話が開始された場合に、迷惑電話対策用のガイド音声データD1を記憶部205から読み出してよい。制御部201は、読み出した迷惑電話対策用のガイド音声データD1に基づき、ガイド音声を生成してよい。ガイド音声は、例えば「迷惑電話防止のためこの通話は録音されます。なお、このガイダンスは、あなたの通話相手にも再生されています・・・」等のメッセージを伝達する音声であってよい。なお、ガイド音声により伝達されるメッセージの内容は、迷惑電話からの着信につき何らかの処理を実行する旨をユーザと通話相手に伝達可能な内容であれば、特に限定されない。すなわち、ガイド音声により、通話相手による詐欺等の犯罪行為や迷惑行為をけん制し得れば、メッセージの内容は特に限定されない。また、制御部201は、通話の開始と同時に、迷惑電話対策用のガイド音声データD1を記憶部205から読み出してよい。ここで、同時とは、本発明の機能を損なわない限りにおいて多少の誤差を含んでよい。
【0032】
制御部201は、ガイド音声を生成すると、受話部206及び送話部207に所定の機能制限を設定してよい(ステップS8)。そのうえで、制御部201は、生成したガイド音声を受話部206から出力してよい(ステップS9)。また、制御部201は、通信部204を介して、ガイド音声を相手端末に送信してよい(ステップS10)。なお、制御部201は、通信部204を介して、ユーザが送話部207に音声を入力した場合と同様のシーケンスでガイド音声を相手端末に送信してよい。すなわち、制御部201は、通信部204を介して、ユーザが送話部207に入力した音声と同様の形式で、ガイド音声を相手端末に送信してよい。したがって、相手端末は、ユーザが発話した音声としてガイド音声を認識し、スピーカ等から出力することができる。なお、本開示において、通信端末200から相手端末に送信した信号のうち、相手端末のスピーカ等から音として出力可能な信号を発話信号と称する場合がある。
【0033】
図5は、受話部206及び送話部207に設定される機能制限の一例を説明する図である。
制御部201は、生成したガイド音声が受話部206から出力されている間(以下、「ガイド音声出力期間」ともいう。)、ガイド音声のみを出力し、ガイド音声以外の音声(例えば、通話相手の音声など)の出力をオフとするような機能制限を受話部206に設定してよい(
図5のA参照)。すなわち、制御部201は、ガイド音声出力期間において、ユーザにガイド音声のみが聞こえるように受話部206を制御してよい。
【0034】
また、制御部201は、ガイド音声出力期間において、音声入力をオフ(すなわち送話部207の機能をオフ)とするような機能制限を送話部207に設定してよい(
図5のB参照)。すなわち、制御部201は、ガイド音声出力期間において、通話相手にユーザの声が届かないように送話部207を制御してよい。
【0035】
上述の通り、本発明の一実施形態によれば、ユーザの通信端末200だけでなく、相手端末においても、ガイド音声を出力させることができる。したがって、本発明の一実施形態によれば、ユーザ自身に対して迷惑電話に対する注意喚起を行うとともに、通話相手に対して犯罪行為や迷惑行為をけん制することができる。つまり、ユーザが迷惑電話の着信に応答した場合に、犯罪行為や迷惑行為による被害を抑制することができる。また、ガイド音声出力期間において、通話相手が何らか発話していたとしても、発話内容が受話部206から出力されることはない。さらに、ガイド音声出力期間において、ユーザ本人が何らか発話していたとしても、発話内容が送話部207に入力され、この発話内容が相手端末から出力されることはない。したがって、本発明の一実施形態によれば、ユーザが迷惑電話の着信に応答した場合に、ユーザと通話相手は直ちに会話することができない。つまり、ユーザと通話相手との間で会話がはじまり、ユーザがなし崩し的に被害にあう可能性を低減し得る。
【0036】
図3の説明に戻る。制御部201は、ユーザの通信端末200及び相手端末において、ガイド音声の出力が終了したことを検知すると、受話部206及び送話部207に設定した機能制限を解除してよい(ステップS11)。すなわち、制御部201は、ガイド音声の出力の終了にともない、受話部206及び送話部207の全ての機能をオンとすることで、ユーザと通話相手との通話を可能としてよい。これにより、仮に誤って迷惑電話と判定された場合に、ユーザは通話相手と会話をはじめることができる。
【0037】
制御部201は、通話が開始された場合に、通話の記録(録音)を開始してよい(ステップS12)。具体的には、制御部201は、通信部204を介して受信される通話相手の音声と、送話部207から入力されるユーザの音声を、音声通話データとして記憶部205に記憶してよい。なお、制御部201は、通話の開始と同時に、録音を開始してよい。ここで、同時とは、本発明の機能を損なわない限りにおいて多少の誤差を含んでよい。
【0038】
その後、ユーザが通話終了ボタン(図示略)などを押下し、通話終了の指示が入力されると、制御部201は、通話の記録を終了してよい(ステップS13)。そして、制御部201は、通信部204を介して切断信号などを送信してコネクションを開放し(ステップS14)、以上説明した処理を終了してよい。
【0039】
まとめると、本発明の一実施形態によれば、迷惑電話の着信があり、かつ、その迷惑電話の着信に応答して通話が開始された場合に、通話相手とユーザ本人の双方に、迷惑電話の抑止を目的としたガイド音声が出力され、その後に通話の記録が自動で開始される。これにより、迷惑電話の着信に応答して通話を開始した場合でも、迷惑電話による被害を効果的に抑制することができる。
【0040】
また、本発明の一実施形態によれば、ガイド音声が出力されている間は、通話相手とユーザ本人のいずれも相手の音声は聞こえない。このため、ガイド音声が出力されている間に、例えば通話相手の怒声などが聞こえてユーザが萎縮してしまう等の問題や、例えばユーザの独り言などが通話相手に聞こえることで、ユーザが通話を続けてよいか迷っていることが通話相手に伝わってしまう等の問題を未然に防ぐことが可能となる。また、ガイド音声の出力後に開始される迷惑電話の通話記録は、その後の警察の捜査や証拠に活用することができる。
【0041】
次に、迷惑電話の自動録音機能の設定方法、及び迷惑電話の自動録音機能の補助機能についてそれぞれ説明する。なお、以下では説明の便宜上、迷惑電話の自動録音機能を「迷惑電話対策」と総称する。
【0042】
<迷惑電話対策の設定方法>
図6は、迷惑電話対策の設定方法の一例を示す説明図である。
例えば通信端末200の購入後、ユーザによって初めて電源が投入されると、制御部201は、初期設定画面G2を表示部209に表示してよい。
ユーザは、初期設定画面G2に従い、タッチパネルなどを操作して通信端末200の初期設定(ユーザIDやパスワードの設定など)を行ってよい。
【0043】
操作受付部208は、ユーザによって初期設定の入力を受け付けると、制御部201に設定内容を送ってよい。制御部201は、初期設定の入力が終了したことを検知すると、迷惑電話対策の設定画面G3を表示部209に表示してよい。迷惑電話対策の設定画面G3には、迷惑電話対策を利用しないか、利用するかを選択するためのボタンB3、B4が表示されてよい。迷惑電話対策を利用しない場合、ユーザは、利用許否ボタンB3をタップ操作してよい。一方、迷惑電話対策を利用する場合、ユーザは、利用許可ボタンB4をタップ操作してよい。
【0044】
操作受付部208は、ユーザによる利用許否ボタンB3、または利用許可ボタンB4のいずれかの選択操作を受け付けると、選択操作の結果を制御部201に送ってよい。制御部201は、操作受付部208から受け取った選択操作に基づき、記憶部205に格納されている迷惑電話対策アプリAP1の有効化・無効化を決定してよい。例えば、ユーザによって利用許否ボタンB3が選択された場合には、制御部201は、迷惑電話対策を利用すべきでないと判断してよい。この場合、制御部201は、迷惑電話対策アプリAP1を無効化した後、ホーム画面G4を表示部209に表示してよい。
【0045】
一方、ユーザによって利用許可ボタンB4が選択された場合には、制御部201は、迷惑電話対策を利用すべきと判断してよい。この場合、制御部201は、迷惑電話対策アプリAP1を有効化した後、ホーム画面G4を表示部209に表示してよい。迷惑電話対策アプリAP1が有効化されると、バックグラウンドでの迷惑電話対策アプリAP1の自動実行が開始されてよい。
【0046】
上記方法によれば、ユーザは、通信端末200の初回電源投入時に、迷惑電話対策の設定を完了することができる。よって、迷惑電話対策の設定をし忘れる可能性を低減し得る。すなわち、本発明の一実施形態によれば、迷惑電話による被害を効果的に抑制し得る。また、上記方法によれば、ボタン操作1つで迷惑電話対策の設定を完了し得る。よって、例えばお年寄りなど、通信端末200の操作に不慣れなユーザであっても、簡単に迷惑電話対策の設定を行うことができる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、ユーザの利便性を向上させ得る。
【0047】
<迷惑電話対策の補助機能>
迷惑電話対策の補助機能は、迷惑電話の発着信があったことをユーザに警告表示する機能である。
図7は、迷惑電話対策の補助機能の一例を説明するための図であり、迷惑電話の着信履歴に警告表示を行う場合の説明図である。
【0048】
制御部201は、操作受付部208を介してユーザから着信履歴の表示指示を受け取ると、着信履歴画面G5を生成し、表示部209に表示してよい。
具体的に説明すると、例えば、記憶部205は、通信端末200が着信した通話相手の電話番号(着信番号)を過去一定期間分記憶してよい。制御部201は、着信履歴の表示指示を受け取ると、記憶部205に格納されている着信番号を読み出してよい。そして、制御部201は、読み出した複数の着信番号と、迷惑電話番号リストL1とを比較することで、迷惑電話の着信があるか否かを判定してよい。制御部201は、迷惑電話の着信があると判定すると、この着信番号に、迷惑電話の着信であることをユーザに知らせる警告アイコンI1を対応づけて表示部209に表示してよい。その際、制御部201は、迷惑電話の着信ではないと判定した着信番号も表示部209に表示するが、この点は従来と同様であるため、説明を割愛する。
【0049】
なお、
図7では、迷惑電話の着信履歴に警告表示を行う場合について説明したが、迷惑電話の発信履歴に警告表示を行う場合も同様に説明することができる。
記憶部205は、通信端末200が発信した通話相手の電話番号(発信番号)を過去一定期間分記憶してよい。制御部201は、発信履歴の表示指示を受け取ると、記憶部205に格納されている発信番号を読み出してよい。そして、制御部201は、読み出した複数の発信番号と、迷惑電話番号リストL1とを比較することで、迷惑電話への発信があるか否かを判定してよい。制御部201は、迷惑電話への発信があると判定すると、この発信番号に、迷惑電話への発信であることをユーザに知らせる警告アイコンI1を対応づけて表示部209に表示してよい。
【0050】
かかる構成によれば、発着信履歴の中に、迷惑電話の発着信がある場合に、迷惑電話の発信番号または着信番号に、迷惑電話であることをユーザに知らせる警告アイコンを対応づけて表示することができる。ユーザは、警告アイコンを確認することで、発着信のあった迷惑電話に誤って電話をかけてしまう可能性を低減することができる。なお、警告アイコンの代わりに(あるいは加えて)、迷惑電話の発信番号または着信番号を色付けして表示したり、迷惑電話である旨の文字メッセージを表示したりすることで迷惑電話であることをユーザに知らせるようにしてもよい。すなわち、迷惑電話であることをユーザに認知させることが可能な任意の手法により警告表示を行ってよい。
【0051】
B.その他
上述した本実施形態では、ガイド音声の出力後に、迷惑電話の通話の記録を開始する構成であったが、これに限る趣旨ではない。例えば、ガイド音声の出力の開始と同時に、迷惑電話の通話の記録を開始してもよい。なお、同時とは、本発明の機能を損なわない限りにおいて多少の誤差を含んでよい。
【0052】
また、本実施形態では、ユーザの通信端末200から出力されるガイド音声と、相手端末から出力されるガイド音声は同じであったが、異なっていてもよい。例えば、より警告性の強いガイド音声(例えば「迷惑電話は〇△罪に問われる可能性があります。・・・」など)を相手端末から出力してもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【符号の説明】
【0054】
1…通信システム、100…サーバ装置、200…通信端末、201…制御部、202…CPU、203…メモリ、204…通信部、205…記憶部、206…受話部、207…送話部、208…操作受付部、209…表示部、L1…迷惑電話番号リスト、AP1…迷惑電話対策アプリ、D1…迷惑電話対策用のガイド音声データ。