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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】シール装着装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 3/20 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
B65C3/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018062856
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019172317
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】家辺 大佑
(72)【発明者】
【氏名】羽田 繁
(72)【発明者】
【氏名】澤村 卓治
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-026244(JP,A)
【文献】特開平03-000687(JP,A)
【文献】米国特許第05398395(US,A)
【文献】特開平01-037324(JP,A)
【文献】特開2004-059091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシールを供給するシール供給ユニットと、
前記シール供給ユニットから供給されたシールを各々が保持し且つ放射状に配置された複数の保持部と、前記複数の保持部を回転させる回転駆動部と、を有する中継ユニットと、
複数のボトルを搬送する搬送ユニットと、を備え、
前記搬送ユニットに搬送されるボトルに前記中継ユニットから前記シールを装着するシール装着装置であって、
前記ボトルは、第1方向に直立した状態で搬送され、前記第1方向天側において搬送方向前方に突出する天側前端を有し、
前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、前記シールが、少なくとも前記天側前端を収容しており且つ前端縁が前記第1方向底側に向かうほど前記搬送方向後方に位置するように前記第1方向に対して傾いた状態で、前記ボトルに装着され
前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、当該ボトルの中心軸が当該保持部の中心軸よりも搬送方向前方に位置する、ことを特徴とする、シール装着装置。
【請求項2】
少なくとも前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、前記ボトルの搬送速度が前記保持部の周速よりも速い、請求項に記載のシール装着装置。
【請求項3】
前記ボトルの前記天側前端が、前記シールの中心軸と前記前端縁との間に位置するときに、前記ボトルの前記保持部に対する相対速度の加速を開始する、請求項に記載のシール装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルにシールを装着するシール装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の一部を覆うように、シールを装着するシール装着装置が、種々に提案されている。特許文献1には、従来のシール装着装置の一例が開示されている。同文献に開示されたシール装着装置は、シール供給ユニット、中継ユニットおよび搬送ユニットを備える。シール供給ユニットは、筒状のシールを順次供給する。中継ユニットは、シール供給ユニットから供給されたシートを、搬送ユニットによって搬送される順次物品に装着する。中継ユニットは、複数の保持部を有している。複数の保持部は、放射線状に配置されており、物品の搬送に同期するように回転駆動される。保持部と物品とが接近したタイミングで、保持部から物品にシールを移行させることにより、シールの装着が順次行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3870128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筒状のシールを物品に装着するためには、平面視における物品の外形を十分に含む程度に、シールの大きさを設定する必要がある。物品が凹凸を有する場合などは、平面視における物品の外形がより大きくなりうる。このような物品にシールの大きさを対応させると、物品に装着されたシールが、余分な部分を有しやすい。たとえば、物品に装着されたシールを、後の工程において熱収縮させる等によって物品に密着させる場合、余分な部分によって皺等が生じてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より小型のシールを装着することが可能なシール装着装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるシール装着装置は、筒状のシールを供給するシール供給ユニットと、前記シール供給ユニットから供給されたシールを各々が保持し且つ放射状に配置された複数の保持部と、前記複数の保持部を回転させる回転駆動部と、を有する中継ユニットと、複数のボトルを搬送する搬送ユニットと、を備え、前記搬送ユニットに搬送されるボトルに前記中継ユニットから前記シールを装着するシール装着装置であって、前記ボトルは、第1方向に直立した状態で搬送され、前記第1方向天側において搬送方向前方に突出する天側前端を有し、前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、前記シールが、少なくとも前記天側前端を収容しており且つ前端縁が前記第1方向底側に向かうほど前記搬送方向後方に位置するように前記第1方向に対して傾いた状態で、前記ボトルに装着される、ことを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、当該ボトルの中心軸が当該保持部の中心軸よりも搬送方向前方に位置する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、少なくとも前記シールを保持した前記保持部と前記ボトルとが接近し、当該保持部の中心軸が前記第1方向に沿ったときに、前記ボトルの搬送速度が前記保持部の周速よりも速い。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ボトルの前記天側前端が、前記シールの前記中心軸と前記前端縁との間に位置するときに、前記ボトルの前記保持部に対する相対速度の加速を開始する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記シールは、前記前端縁が前記第1方向に対して傾いた状態で、少なくとも前記ノズル前端を収容するように前記ボトルに装着される。たとえば、本発明と異なり、前記前端縁が前記第1方向に対して傾かず、前記第1方向に沿った姿勢で前記ボトルに装着される場合、前記シールは、前記ボトルのうち収容しようとする部分の前記搬送方向における最大寸法よりも大きなサイズとする必要がある。このような前記シールは、余分な部分を有しやすい。前記シールの余分な部分は、たとえば熱収縮工程等を経ると、皺等を生じさせる要因となる。本発明においては、前記シールは、傾いて装着されることにより、前記最大寸法よりも小さい寸法の部分を収容すればよい。このため、前記シールの余分な部分を縮小することが可能である。したがって、熱収縮工程等によって生じる皺等を抑制可能であり、より小型の前記シールの装着を可能とするという効果を奏する。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るシール装着装置を示す正面図である。
図2図1のII-II線に沿う要部断面図である。
図3図2のIII-III線に沿う要部拡大断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う要部拡大断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作の速度グラフの一例である。
図6】(a)~(c)は、本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部正面図である。
図7】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部正面図である。
図8】(a)~(c)は、本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部正面図である。
図9】(a),(b)は、本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部正面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部拡大正面図である。
図11】本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作を示す要部拡大正面図である。
図12】本発明の第1実施形態に係るシール装着装置の装着動作の速度グラフの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1図4は、本発明の第1実施形態に係るシール装着装置を示している。本実施形態のシール装着装置A1は、シール供給ユニット1、中継ユニット2および搬送ユニット3を備えている。シール装着装置A1は、複数のボトル8にシールSを順次装着する装置である。
【0015】
図1は、シール装着装置A1を示す正面図である。図2は、図1のII-II線に沿う要部断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う要部拡大断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う要部拡大断面図である。これらの図において、z方向は、本発明の第1方向に相当し、x方向は、本発明の搬送方向に相当する。y方向は、x方向およびz方向に対して直角な方向である。また、以降の説明では、z方向における天および底、または上および下の語句や、x方向における上流および下流、または前および後ろの語句を、便宜上用いるが、本発明に係るシール装着装置の姿勢や設置方向は、何ら限定されるものではない。
【0016】
ボトル8は、たとえば洗剤やシャンプー等の液体を収容するものである。本実施形態においては、ボトル8は、本体81、キャップ82およびノズル83を有する。本体81は、液体を収容するものであり、たとえば樹脂やガラス等からなる。キャップ82は、本体81に対して螺合等によって取り付けられており、本体81を密閉状態とするためのものである。ノズル83は、キャップ82に取り付けられており、本体81から所定量の液体を吐出させるためのものである。ノズル83の一般的な機構としては、ノズル83がz方向底側(図1における下側)に押下されることにより、ポンプ機構(図示略)によって吐出させるものが挙げられる。なお、図1においては、ボトル8の搬送や保管の便宜上、ノズル83は、キャップ82に対して沈降した状態で固定されており、押下が不可の状態とされている。
【0017】
ノズル83は、ノズル前端831を有する。ノズル前端831は、液体が吐出される部位の先端である。ノズル前端831は、ボトル8において、z方向天側に位置しており、周囲部分よりもx方向前方に突出している。ノズル前端831は、本発明の天側前端の一例である。また、本実施形態においては、キャップ82は、キャップ後端821を有する。キャップ後端821は、ノズル前端831よりもz方向底側に位置しており、x方向後方に突出した部位である。さらに、ノズル前端831は、キャップ82のx方向前端よりもx方向前方に位置している。また、キャップ後端821は、ノズル83のx方向後端よりもx方向後方に位置している。本実施形態においては、ノズル前端831およびキャップ後端821が、シールSによって覆われることが意図されている。すなわち、本実施形態においては、ボトル8は、シールSによって覆われる部位に、上述した構成のノズル前端831とキャップ後端821とを有する。
【0018】
シールSは、ボトル8に装着されるものであり、筒状をなしている。シールSの材質は特に限定されず、たとえば樹脂フィルムからなる。また、シールSをボトル8に密着するために熱収縮の手法を用いる場合、シールSは、熱収縮性を有する樹脂フィルムによって形成される。シールSは、少なくともボトル8のノズル前端831を覆うものであり、本実施形態においては、さらにキャップ後端821を覆う。このようなシールSは、一般的にキャップシールと称される場合がある。
【0019】
シール供給ユニット1は、中継ユニット2へとシールSを順次供給するユニットである。シール供給ユニット1の具体的構成は特に限定されない。以降の説明においては、長尺筒状のシール材料Saを用いてシールSを形成する構成を例に説明するが、たとえば、予め形成された複数のシールSを順次供給する構成であってもよい。シール材料Saは、シールSを形成するための材料であり、長尺筒状の樹脂フィルムが平坦に折り畳まれたものである。シール材料Saは、たとえばロール状に巻き取られた状態で、シール装着装置A1の図示しない設置位置に設置される。
【0020】
図示された例においては、シール供給ユニット1は、複数の送りローラ11、拡開部12および切断部13を有する。送りローラ11は、シール材料SaおよびシールSを、中継ユニット2に向けて適宜送り出すためのものである。送りローラ11は、たとえば図示しないモータ等の駆動源によって駆動される。
【0021】
切断部13は、シール材料Saを切断することにより、シール材料Saの長手方向一部をシールSとするためのものである。切断部13の具体的構成は特に限定されず、シール材料Saを適切に切断するための切断刃等を有する。また、切断部13の設置箇所は特に限定されない。図示された例においては、切断部13は、拡開部12の直上に設けられている。
【0022】
拡開部12は、切断部13の切断によって形成されたシールSを、筒状に拡開するためのものである。図示された例においては、拡開部12は、z方向下方に向かうほど断面形状が大きくなるテーパ形状である。シール材料Saが平坦に折り畳まれていることから、切断されたのみのシールSは、平坦な形状である。拡開部12を包み込むようにシールSがz方向図中下方に送られることにより、シールSが拡開され筒状を呈する。
【0023】
中継ユニット2は、シール供給ユニット1から供給されたシールSを保持し、ボトル8に順次装着するユニットである。本実施形態においては、中継ユニット2は、駆動軸21、複数の保持部22、カム溝ドラム23、複数の従動ロッド24、複数の連結部25、支持部26および回転駆動部27を有する。また、本実施形態の中継ユニット2は、中継補助部29をさらに有する。
【0024】
駆動軸21は、複数の保持部22を支持しており、複数の保持部22を回転させるための軸である。駆動軸21は、回転駆動部27によって回転駆動される。
【0025】
回転駆動部27は、たとえばモータであり、駆動軸21とともに複数の保持部22を回転駆動させる駆動源である。また、本実施形態においては、回転駆動部27は、後述する保持部22の開閉動や、中継補助部29の揺動の駆動源を兼ねている。なお、中継ユニット2は、保持部22の開閉動や中継補助部29の揺動のための、別の駆動源を備えていてもよい。また、後述の装着動作における保持部22とボトル8との相対速度を実現するための具体的構成は特に限定されない。回転駆動部27が駆動軸21の回転速度を加減速自在である構成であってもよいし、ボトル8の搬送速度が加減速されることにより、回転駆動部27による回転速度が一定であってもよい。本実施形態においては、回転駆動部27による回転速度が一定である場合を例に説明する。
【0026】
複数の保持部22は、シール供給ユニット1から供給されたシールSを保持するためのものである。複数の保持部22は、放射線状に配置されている。図示された例においては、中継ユニット2は、6つの保持部22を有している。以降の説明においては、便宜上、複数の保持部22を、保持部22A,22B,22C,22D,22Eとして区別する場合がある。図1に示すように、保持部22A,22B,22C,22D,22Eの中心Oa,Ob,Oc,Od,Oe,Ofは、放射線状に配置されており、互いのなす角度が60度で一定である。なお、複数の保持部22の個数は何ら限定されず、5つ以下であってもよいし、7つ以上であってもよい。
【0027】
図2図4に示すように、本実施形態の保持部22は、一対の保持片221を有する。一対の保持片221は、円筒形状をなす保持部22の一部ずつを構成するものであり、図示された例においては、y方向に並んで配置されている。一対の保持片221は、y方向に接近離間可能である。図3は、一対の保持片221が接近した状態を示している。図4は、一対の保持片221が離間した状態を示している。図4に示した状態において、保持部22は、円筒形状をなす。また、図4においては、一対の保持片221の間には、隙間が設けられる。
【0028】
図2に示すように、駆動軸21の先端に、支持部26が固定されている。支持部26は、複数の保持部22を放射線状に支持しており、駆動軸21によって回転される。より具体的には、保持部22の一方の保持片221が支持部26に対して固定されている。他方の保持片221は、支持部26に対してy方向に移動可能である。
【0029】
カム溝ドラム23は、保持部22の一対の保持片221を開閉動させるための機構の一例である。カム溝ドラム23は、駆動軸21によっては回転されず、固定されている。カム溝ドラム23は、カム溝231を有する。カム溝231は、後述する装着動作において、複数の保持部22の周方向位置に対応して、保持部22を開閉させるためのものである。カム溝231は、たとえば、直線状部分や曲線状部分が組み合わされている。
【0030】
複数の従動ロッド24は、駆動軸21の回転により、複数の保持部22とともに回転させられるものであり、カム溝ドラム23のカム溝231に従動して、y方向に移動させられるものである。中継ユニット2は、6つの従動ロッド24を有している。6つの従動ロッド24は、6つの保持部22の一対の保持片221のうち支持部26に対して固定されていない他方の保持片221をy方向に移動させるためのものである。
【0031】
複数の連結部25は、複数の従動ロッド24と保持部22の他方の保持片221とを連結している。6つの保持部22および6つの従動ロッド24に対応して、中継ユニット2は、6つの連結部25を有する。
【0032】
中継補助部29は、保持部22に保持されたシールSをボトル8へと装着することを補助するためのものである。なお、中継ユニット2は、中継補助部29を有する構成に限定されない。ボトル8およびシールSの形状や、シール装着装置A1の後に行われる工程との関連によって、中継ユニット2は、中継補助部29を備えない構成であってもよい。また、本実施形態の中継補助部29は、複数の保持部22とともに回転する構成ではないが、たとえば、複数の保持部22とともに回転する機構であってもよい。また、シールSの装着を補助する機構としては、力学的な接触等を用いたものに限定されず、たとえば、風力や静電気力等を利用した機構であってもよい。
【0033】
本実施形態においては、中継補助部29は、図1に示すように、中継ユニット2のz方向下方に配置されており、駆動軸291、ロッド292および当接面293を有する。
【0034】
駆動軸291は、ロッド292を揺動させるための軸であり、たとえば回転駆動部27の駆動源を利用したカム機構等によって、ロッド292を揺動させる。ロッド292は、駆動軸291から複数の保持部22に向けて延びている。図2に示すように、本実施形態においては、ロッド292は、開状態である一対の保持片221の間の隙間において揺動する構成とされている。ロッド292の揺動タイミングは、たとえば上述のカム機構によって複数の保持部22の回転と同期される。当接面293は、シールSに当接し、シールSを押すことにより、シールSを保持部22から離脱させる面である。当接面293の角度については、後に詳述する。
【0035】
搬送ユニット3は、複数のボトル8を搬送方向であるx方向に搬送するユニットである。搬送ユニット3は、ボトル8の中心O8がz方向に沿った状態で、複数のボトル8をx方向に搬送する。後述の装着動作における保持部22とボトル8との相対速度を実現するための具体的構成は特に限定されない。搬送ユニット3は、ボトル8を一定速度で搬送する構成であってもよいし、ボトル8の搬送速度を加減速する構成であってもよい。本実施形態においては、搬送ユニット3が、ボトル8の搬送速度を加減速する場合を例に説明する。
【0036】
搬送ユニット3は、スクリューコンベア31を有する。スクリューコンベア31は、長尺の棒状部材に、螺旋状の溝が形成されたものである。スクリューコンベア31は、図示しないモータ等の駆動源によって回転される。溝の断面形状は、ボトル8の本体81を沿わせることが可能な形状である。また、スクリューコンベア31の溝の軌跡形状は、一定速度で回転した場合に、後述のボトル8の搬送速度の速度パターンを実現しうる形状とされている。このため、溝の軌跡形状は、傾斜角度が長手方向(x方向)において一定ではない構成である。
【0037】
次に、シール装着装置A1の装着動作について、図5図11を参照しつつ、以下に説明する。
【0038】
図5は、ボトル8の搬送速度の速度パターンの一例を示している。横軸は時間であり、縦軸はボトル8の搬送速度Vbである。速度Vb0は、中継ユニット2の保持部22の周速と同じ速度である。なお、搬送速度Vbが保持部22の周速と同じである状態は、それぞれの速度において搬送ユニット3が単位時間に搬送するボトル8の個数(搬送ユニット3の搬送能力)と、中継ユニット2が単位時間に中継するシールSの個数(中継ユニット2の中継能力)とが同数となる状態である。搬送速度Vbが速度Vb0よりも速い状態は、搬送ユニット3の搬送能力が中継ユニット2の中継能力を上回っている状態を意味する。一方、搬送速度Vbが速度Vb0よりも遅い状態は、搬送ユニット3の搬送能力が中継ユニット2の中継能力を下回っている状態を意味する。
【0039】
以降に説明する装着動作は、ボトル8と保持部22との相対速度を制御する思想である。その一例として、保持部22の周速が一定であり、ボトル8の搬送速度Vbを加減速する場合を例に説明する。しかし、これに限定されず、上述の相対速度を同様に制御する手法として、搬送速度Vbを一定とし、保持部22の周速を加減速する手法を用いてもよいし、搬送速度Vbと保持部22の周速との双方を加減速する手法を用いてもよい。
【0040】
図6図9は、シール装着装置A1において図5の速度パターンが採用された装着動作を示している。これらの図においては、説明の便宜上、搬送ユニット3によって搬送される複数のボトル8のうち、当該装着動作でシールSが装着されるボトル8のみを示している。また、複数の保持部22のうち、保持部22Aが、図示されたボトル8にシールSを装着する。
【0041】
図6(a)~(c)、図7(a),(b)は、時刻t10から中継ユニット2の回転角度が、30度ずつ進行した状態を示している。図8(a)~(c)、図9(a),(b)は、時刻t20から中継ユニット2の回転角度が、5度ずつ進行した状態を示している。なお、時刻t24から時刻t30は、中継ユニット2の回転角度が10度進行している。
【0042】
図6(a)は、時刻t10の状態を示している。時刻t10においては、搬送速度Vbは、速度Vb0である。また、ボトル8は、x方向において保持部22Aよりも上流側に位置している。また、保持部22は、ボトル8に対してz方向上方に位置している。また、保持部22Aは、シール供給ユニット1から供給されたシールSをすでに保持している。
【0043】
図6(b)は、時刻t20の状態を示している。時刻t10からボトル8が速度Vb0で搬送され続けており、保持部22Aは、これと同速の周速で回転し続けている。時刻t20では、x方向およびz方向においてボトル8と保持部22Aとが接近している。
【0044】
図10は、時刻t20におけるボトル8、保持部22AおよびシールSを示す要部拡大正面図である。同図においては、シールSの正面視における外形をなす線に前端縁s1、後端縁s2、底端縁s3および天端縁s4の符号を付している。同図に示すように、ボトル8のノズル前端831のx方向位置と、シールSがx方向において存在する範囲とが、重なる位置関係となっている。また、図示された状態において、ノズル前端831は、中心Oaと前端縁s1との間に位置しているといえる。また、ノズル前端831は、中心OaとシールSの底端縁s3との交点に対して、寸法x1だけx方向前方(下流側)に位置している。また、シールSの前端縁s1と後端縁s2とが離間する方向においては、ノズル前端831は、中心Oaよりも前端縁s1に近い。すなわち、ノズル前端831と中心Oaとの距離である寸法w1よりもノズル前端831と前端縁s1との距離である寸法w2の方が小さい。また、シールSの前端縁s1と底端縁s3との交点は、ボトル8のz方向上端(天側端)よりも、z方向において寸法z1だけz方向下側(底側)に位置している。図5に示す速度パターンに従い、搬送ユニット3は、時刻t20において、搬送速度Vbの速度Vb0からの加速を開始する。本実施形態においては、この加速は、スクリューコンベア31の溝の軌跡形状によって実現される。
【0045】
時刻t20から搬送速度Vbの加速が開始すると、図5に示すように、搬送速度Vbが徐々に増加する。図示された例においては、搬送速度Vbは、等加速度で加速されている。図8(a)に示す状態から加速され、図8(b)に示す時刻t21には、ボトル8と保持部22とがさらに接近し、ノズル83の一部がシールSに収容される。次いで、図8(c)に示す時刻t22には、ノズル83のより多くの部分がシールSに収容されている。さらに、図9(a)に示す時刻t23には、ノズル83の殆どがシールSに収容されている。
【0046】
時刻t20以降は、搬送速度Vbが加速され続けており、ボトル8が保持部22A(シールS)に対してx方向に相対的に速い速度で移動している。このため、時刻t20におけるノズル前端831が前端縁s1に近い状態から、ノズル前端831が前端縁s1をx方向前方(下流側)に押し広げるような挙動で、時刻t20~時刻t23にかけてノズル83のシールSへの収容が進行する。
【0047】
また、中継補助部29は、上述したカム機構等による動作制御により、たとえば時刻t22から下方への揺動が開始されている。そして、時刻t23には、当接面293がシールSの天端縁s4に略当接する位置関係となっている。なお、時刻23においては、保持部22Aの中心Oaは、z方向に対して傾いており、シールSの天端縁s4もx方向に対して傾いている。中継補助部29の当接面293は、傾いた天端縁s4にスムースに沿う程度に傾いている。
【0048】
次いで、図9(b)に示す時刻t24においては、ボトル8と保持部22Aとがさらに接近している。また、中継補助部29が下方へとさらに揺動しており、中継補助部29の当接面293によってシールSがz方向下側(底側)へと押し下げられている。この結果、ボトル8のノズル83とキャップ82との略すべてが、シールSに収容されている。時刻t24においても、保持部22Aの中心Oaは、z方向に対して傾いており(図中において5度)、シールSの天端縁s4および当接面293はx方向に対して傾いている。また、シールSの前端縁s1は、z方向に対して傾いている。
【0049】
次いで、図6(c)に示す時刻t30においては、保持部22Aからボトル8へとシールSが移行している。図11は、時刻t30におけるボトル8、保持部22AおよびシールSを示す要部拡大正面図である。同図に示すように、時刻t30には、保持部22Aの中心Oaが、z方向に沿っている。シールSは、少なくともノズル前端831を収容しており、さらに、ノズル83の全体とキャップ82の全体とを収容している。すなわち、シールSは、ノズル前端831およびキャップ後端821を収容している。
【0050】
シールSの前端縁s1は、z方向に対して角度αだけ傾いている。より具体的には、前端縁s1は、z方向底側(下側)に向かうほどx方向後方(上流側)に位置するようにz方向に対して傾いている。同様に、天端縁s4は、x方向に対して角度αだけ傾いている。一方、上述した通り、中継補助部29の当接面293は、x方向に対して傾いており、その角度は角度βである。角度βと角度αとは、概ね同じ角度であることが好ましい。
【0051】
また、図5に示すように搬送速度Vbは、時刻t30において、最大速度Vbpとなり、加速が終了する。すなわち、ボトル8と保持部22Aとの相対速度は、時刻t30において最大となり、その大きさは、最大速度Vbpと速度Vb0との差である。このような速度パターンを採用することにより、図11に示すように、時刻t30においては、ボトル8の中心O8は、保持部22Aの中心Oaよりも寸法x2だけ搬送方向であるx方向前方(下流側)に位置している。すなわち、時刻t24から時刻t30の間に、ボトル8が保持部22Aをx方向において追い越した状態であるといえる。
【0052】
この後は、図5に示すように、時刻t30において搬送速度Vbの減速が開始される。本実施形態においては、この減速は、スクリューコンベア31の溝の軌跡形状によって実現される。搬送速度Vbは、速度Vb0とされたのち、時刻t40において最低速度Vbmとなる。この際、図7(a)に示すように、ボトル8は、x方向下流側に位置しており、保持部22Aは、回転運動に伴いボトル8からz方向上方に離れている。また、中継補助部29は、上述したカム機構等の制御により、上方に揺動している。
【0053】
図5に示すように、搬送速度Vbの減速は、時刻t40で終了する。そして、本実施形態においては、時刻t40~時刻t50にかけて、搬送速度Vbが再び加速される。時刻t50には、搬送速度Vbは、速度Vb0に復帰する。図7(b)に示すように、シールSが装着されたボトル8は、中継ユニット2に対してx方向下流側に搬送されている。以上より、シール装着装置A1によるボトル8へのシールSの装着動作が完了する。この後は、たとえば、シールSを熱収縮することにより、ボトル8に密着させる熱収縮工程を行う。また、シール装着装置A1によるシールSの装着工程の後、熱収縮工程の前に、シールSをボトル8に対してより確実に装着させるために、たとえばシールSの天端縁s4を再度押圧する等の工程を行ってもよい。
【0054】
次に、シール装着装置A1の作用について説明する。
【0055】
本実施形態によれば、図6図8および図9に示すように、時刻t10から時刻t30にかけて、シールSを保持した保持部22Aとボトル8とが接近する。そして、図11に示すように、時刻t30において、保持部22Aの中心Oaがz方向に沿った状態となる。このとき、シールSは、前端縁s1がz方向に対して角度αだけ傾いた状態で、少なくともノズル前端831を収容するようにボトル8に装着されている。たとえば、本実施形態と異なり、前端縁s1がz方向に対して傾かず、z方向に沿った姿勢でボトル8に装着される場合、シールSは、ノズル前端831とキャップ後端821とのx方向距離である寸法x3よりも大きなサイズとする必要がある。このようなシールSは、ノズル83やキャップ82を収容した状態で、余分な部分を有しやすい。シールSの余分な部分は、この後の熱収縮工程等を経ると、皺等を生じさせる要因となる。本実施形態においては、シールSは、x方向に対して角度αだけ傾いた方向におけるノズル前端831とキャップ後端821との距離である寸法w3よりも大きなサイズであれば、ノズル83やキャップ82を収容することができる。寸法w3は、寸法x3よりも小さな寸法となるため、シールSの余分な部分を縮小することが可能である。したがって、熱収縮工程等によって生じる皺等を抑制可能であり、より小型のシールSの装着を可能とするという効果を奏する。
【0056】
また、時刻t30においては、ボトル8の中心O8は、保持部22Aの中心Oaよりもx方向前方(下流側)に位置している。これにより、ノズル前端831によってシールSの前端縁s1をx方向前方(下流側)に押し広げうる状態で、シールSをボトル8に装着することができる。ボトル8のノズル前端831は、x方向前方に突出しているため、シールSがx方向前方に押し広げられやすいことは、シールSによってノズル前端831を確実に収容するのに好ましい。
【0057】
また、時刻t30においては、ボトル8の搬送速度vbが、保持部22Aの周速よりも速い。これは、ボトル8へのシールSの装着を行いつつ、ボトル8の中心O8が、保持部22A中心のOaよりもx方向前方(下流側)に位置する状態を実現しやすいという利点がある。
【0058】
また、図5および図10に示すように、時刻t20において、搬送速度Vbの加速が開始されている。時刻t20においては、ノズル前端831が、中心Oaと前端縁s1との間に位置している。このように、ボトル8とシールSとが近づいた状態から搬送速度Vbの加速を開始することにより、ノズル前端831をより確実にシールS内に進入させることができる。また、ノズル前端831が、中心Oaよりも前端縁s1に近い状態(寸法w2<寸法w1)は、搬送速度Vbの加速開始のタイミングとして好ましい。また、シールSの前端縁s1と底端縁s3との交点が、ボトル8のz方向上端(天側端)よりも、z方向においてz方向下側(底側)に位置している状態は、搬送速度Vbの加速開始のタイミングとして好ましい。
【0059】
中継ユニット2が中継補助部29を有することにより、ボトル8へのシールSの装着をより確実に行うことができる。図11に示すように、中継補助部29の当接面293は、時刻t30において、x方向に対して角度βだけ傾く面とされている。これにより、当接面293によって装着が補助されたシールSの前端縁s1を、z方向に対してより確実に傾かせることができる。
【0060】
図12は、搬送速度Vbの速度パターンの他の例を示している。本例に示す時刻t10~時刻t50における中継ユニット2の回転角度は、図5に示す速度パターンの例における回転角度と同じである。本例においては、時刻t20よりも前の時刻t11において、搬送速度Vbの加速が開始されており、時刻t12において加速が終了している。時刻t20~時刻t30においては、搬送速度Vbは、一定である。このときの搬送速度Vbは、上述した最大速度Vbpよりも遅い速度が選択されている。
【0061】
このような例によっても、時刻t30において、シールSを、前端縁s1がz方向に対して角度αだけ傾いた状態で、少なくともノズル前端831を収容するようにボトル8に装着することが可能であり、より小型のシールSの装着を可能とするという効果を奏する。また、本例から理解されるように、保持部22とボトル8との相対速度は、時刻t30においてボトル8が保持部22に対して相対的に速い速度であることが好ましく、時刻t30に至る過程における加速の態様は、適宜設定すればよい。
【0062】
本発明に係るシール装着装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るシール装着装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0063】
A1 :シール装着装置
1 :シール供給ユニット
2 :中継ユニット
3 :搬送ユニット
8 :ボトル
11 :送りローラ
12 :拡開部
13 :切断部
21 :駆動軸
22,22A,22B,22C,22D,22E:保持部
23 :カム溝ドラム
24 :従動ロッド
25 :連結部
26 :支持部
27 :回転駆動部
29 :中継補助部
31 :スクリューコンベア
81 :本体
82 :キャップ
83 :ノズル
221 :保持片
231 :カム溝
291 :駆動軸
292 :ロッド
293 :当接面
821 :キャップ後端
831 :ノズル前端
O8,Oa,Ob,Oc,Od,Oe,Of:中心
S :シール
Sa :シール材料
Vb :搬送速度
Vb0 :速度
Vbm :最低速度
Vbp :最大速度
s1 :前端縁
s2 :後端縁
s3 :底端縁
s4 :天端縁
vb :搬送速度
w1,w2,w3,x,x2,x3,z1:寸法
α,β :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12