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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】検体測定システム、ラックの搬送方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018065606
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019174396
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】増谷 晃一
(72)【発明者】
【氏名】若宮 裕二
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-303882(JP,A)
【文献】特開平04-043962(JP,A)
【文献】特開2012-026728(JP,A)
【文献】特表2014-526687(JP,A)
【文献】国際公開第2015/093354(WO,A1)
【文献】特開2010-164332(JP,A)
【文献】特開平07-234228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を用いて検体の測定を行う複数の検体測定ユニットと、
前記複数の検体測定ユニットに供給される前記消耗品を複数収容する消耗品ラックが複数設置される消耗品ラック設置部を含む消耗品設置回収ユニットと、
前記複数の検体測定ユニットに供給される前記検体を複数収容する検体ラックが設置される検体設置ユニットと、
前記消耗品ラックを前記消耗品設置回収ユニットから前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つに搬送する第1搬送路と、
前記消耗品ラックを前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つから前記消耗品設置回収ユニットに搬送する消耗品ラック搬送路と、
前記検体ラックを前記検体設置ユニットから前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つに搬送する第2搬送路と、
前記検体ラックを前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つから前記検体設置ユニットに搬送する検体ラック搬送路と、を備え、
前記第1搬送路と前記消耗品ラック搬送路とが互いに高さ方向の異なる位置に設けられている、および/または、前記第2搬送路と前記検体ラック搬送路とが互いに高さ方向の異なる位置に設けられており、
前記消耗品設置回収ユニットは、前記消耗品ラック搬送路によって搬送された複数の前記消耗品ラックを、前記消耗品ラック設置部とは高さ方向の異なる位置に設けられている消耗品ラック回収部に貯留して回収するように構成されている、検体測定システム。
【請求項2】
前記消耗品設置回収ユニットは、前記消耗品ラックを複数保持しており、前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つを経由して空になった空ラックに消耗品を保持させて、前記第1搬送路に搬送する、請求項1に記載の検体測定システム。
【請求項3】
前記消耗品ラック搬送路は、前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つを経由して空になった空ラックを、検体測定ユニットの少なくとも1つから搬送するための空ラック搬送路である、請求項1または2に記載の検体測定システム。
【請求項4】
前記検体設置ユニットは、前記複数の検体測定ユニットから前記検体ラックを回収する検体ラック回収部を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項5】
前記検体ラック搬送路は、前記検体ラックを前記複数の検体測定ユニットから前記検体ラック回収部に搬送するための検体ラック回収路である、請求項4に記載の検体測定システム。
【請求項6】
前記検体測定ユニットは、前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つを経由して使用された前記消耗品を、前記消耗品設置回収ユニットに回収するための消耗品回収路を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項7】
前記消耗品設置回収ユニットは、前記消耗品回収路を用いて搬送された前記消耗品が集められる消耗品集積部を備える、請求項6に記載の検体測定システム。
【請求項8】
前記消耗品は、ディスポーザブル部品である、請求項1から7のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項9】
前記消耗品は、ピペットチップ、キュベット、試薬容器、シャーレ、ウェルプレート、スライドグラス、ガラス基板、および注射針のうちのいずれかである、請求項1から8のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項10】
前記消耗品設置回収ユニットは前記複数の検体測定ユニットの少なくともいずれかに隣接して配置される、請求項1から9のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項11】
前記消耗品設置回収ユニット、前記検体設置ユニット、および前記複数の検体測定ユニットが一列に配置される場合、前記第1搬送路の長さは、前記第2搬送路の長さ以下である、請求項1から10のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項12】
前記第1搬送路と前記消耗品ラック搬送路とが互いに高さ方向の異なる位置に設けられており、
前記第2搬送路と前記検体ラック搬送路とが互いに高さ方向の異なる位置に設けられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の検体測定システム。
【請求項13】
前記第1搬送路と前記消耗品ラック搬送路との間における前記消耗品ラックの移送を行う第1移送路と、
前記第2搬送路と前記検体ラック搬送路との間における前記検体ラックの移送を行う第2移送路と、をさらに備える、請求項12に記載の検体測定システム。
【請求項14】
消耗品を用いて検体の測定を行う複数の検体測定ユニットに対するラックの搬送方法であって、
前記消耗品を複数収容する消耗品ラックを消耗品ラック設置部から第1搬送路によって前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つに搬送する第1搬送工程と、
複数の前記消耗品ラックを消耗品ラック搬送路によって前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つから、前記消耗品ラック設置部とは高さ方向の異なる位置に設けられている消耗品ラック回収部に貯留して回収する第1回収工程と、
前記検体を複数収容する検体ラックを第2搬送路によって前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つに搬送する第2搬送工程と、
前記検体ラックを検体ラック搬送路によって前記複数の検体測定ユニットの少なくとも1つから回収する第2回収工程と、を含み、
前記第1搬送工程および前記第1回収工程において互いに高さ方向の異なる位置で前記消耗品ラックを搬送する、および/または、前記第2搬送路および前記第2回収工程において互いに高さ方向の異なる位置で前記検体ラックを搬送する、ラックの搬送方法。
【請求項15】
前記第1搬送工程および前記第1回収工程において、互いに高さ方向の異なる位置で前記消耗品ラックを搬送し、
前記第2搬送工程および前記第2回収工程において、互いに高さ方向の異なる位置で前記検体ラックを搬送する、請求項14に記載のラックの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の消耗品を使用して検体の測定を行う検体測定ユニットを複数備える検体測定システム、および複数の消耗品を収容しているラックを複数の検体測定ユニットに供給するラックの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検体を測定する検体測定ユニットを複数組み合わせることにより、複数の検体を自動で測定するシステムが考案されている。このようなシステムにおいて、検体を測定する検体測定ユニットを複数台に増加させたシステムとすることによって検体測定の処理能力の向上が見込まれる。
【0003】
しかし、複数の検体測定ユニットに対して、検体の測定に用いる試薬、および測定対象となる検体等を円滑に供給できなければ、検体測定ユニットの数を増加させたことによるシステムの処理能力の向上は見込めない。そこで、複数の検体測定ユニットに対して、如何にして円滑に検体および試薬などを供給するかに関するさまざまな技術が考案されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、検体を搬送する搬送ラインを使用して、分析ユニットに自動的に試薬を供給する分析システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-27636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の分析システムの構成例を、図28を用いて説明する。図28は、検体を搬送する搬送ラインを使用して、分析ユニットに自動的に試薬を供給する分析システムの構成例を示す図である。
【0007】
分析システムは、検体の分析を行う分析ユニットを2台備えている。さらに、分析システムは、検体供給ユニット、試薬供給ユニット、検体回収ユニット、および試薬回収ユニットを備えている。分析システムは、検体供給ユニットから分析ユニットへ検体容器を搬送するための主搬送ラインを使用して、試薬供給ユニットから分析ユニットへ自動的に試薬容器を供給する機能を有する。検体容器は、検体供給ユニットから主搬送ラインを介して、分析ユニットの各々へ搬送される。試薬容器も、検体容器と同じように主搬送ラインを介して、分析ユニットの各々へ搬送される。主搬送ラインとは逆方向に検体容器を搬送する再検検体搬送ラインも設けられている。分析ユニットにおける分析を終えた検体および使用された試薬はそれぞれ、主搬送ラインを介して、検体回収ユニットおよび試薬回収ユニットへ搬送される。
【0008】
検体測定ユニットを複数備える検体測定システムに、図28に示すような構成を採用しても、次のような改善すべき点がある。
【0009】
検体測定システムは、キュベットまたはピペットチップなどの消耗品を使用する場合が多く、検体測定システムの処理能力を維持させるには、検体測定ユニットに対して消耗品も自動的に供給されることが望ましい。
【0010】
また、試薬容器の搬送のために、検体容器を搬送するための主搬送ラインを用いるため、検体測定システムにおいて検体測定ユニットの数を増加させた場合に、試薬および検体の供給が滞り、検体測定システムの処理能力を維持させることができなくなる虞がある。
【0011】
一般的に、各検体測定ユニットは、共通のキュベットまたはピペットチップなどのディスポーザブル部材である消耗品を使用する場合が多い。それゆえ、検体および試薬と同様に各ユニットにおいて使用される消耗品を、自動で供給するシステムを実現することができれば、システムの利便性が向上することになる。しかし、検体および試薬を共給すべき頻度と、消耗品を供給すべき頻度とでは差があるため、同じ搬送ラインを利用しての供給を行った場合、検体、試薬、および消耗品のいずれかの供給が滞り、システムの処理能力を維持させることができなくなる虞がある。
【0012】
本発明の一態様は、消耗品を使用して検体の測定を行う検体測定ユニットを複数備える検体測定システムにおいて、各検体測定ユニットへの消耗品の供給を一括して行うことができる検体測定システム、および複数の消耗品を収容しているラックを複数の検体測定ユニットに供給するラックの搬送方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検体測定システム(100)は、消耗品を用いて検体の測定を行う複数の検体測定ユニット(1a、1b)と、複数の検体測定ユニット(1a、1b)に供給される消耗品を複数収容する消耗品ラックが設置される消耗品設置ユニット(2)と、複数の検体測定ユニット(1a、1b)に供給される検体を複数収容する検体ラックが設置される検体設置ユニット(4)と、消耗品ラックを消耗品設置ユニット(2)から複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つに搬送する第1搬送路(F)と、検体ラックを検体設置ユニット(4)から複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つに搬送する第2搬送路(KF)と、を備える。
【0014】
上記の構成によれば、検体測定システム(100)は、消耗品を消耗品設置ユニット(2)から複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々に搬送するための第1搬送路(F)と、検体を検体設置ユニット(4)から複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々に搬送するための第2搬送路(KF)とを備えている。
【0015】
これにより、検体測定ユニット(1a、1b)の各々に供給される消耗品および検体をそれぞれに専用の搬送路を用いて搬送するため、各検体測定ユニット(1a、1b)への各部材の供給を円滑に行うことができる。よって、検体測定ユニット(1a、1b)への消耗品および検体の供給が滞ることに起因する処理能力の低下を抑制することができる。
【0016】
消耗品設置ユニット(2)は、消耗品ラックを複数保持しており、消耗品設置ユニット(2)は、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つを経由して空になった空ラックに消耗品を収容して、第1搬送路(F)に搬送する構成であってもよい。
【0017】
これにより、消耗品を、第1搬送路(F)を介して、消耗品設置ユニット(2)から各検体測定ユニット(1a、1b)へ自動的に供給することができる。
【0018】
検体測定システム(100)は、複数の検体測定ユニットの少なくとも1つを経由して空になった空ラックを、検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つから搬送するための空ラック搬送路(R)をさらに備えていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、消耗品を、消耗品設置ユニット(2)から各検体測定ユニット(1a、1b)へ供給する際に用いる消耗品ラックを回収して、再利用することができる。
【0020】
検体設置ユニット(2)は、複数の検体測定ユニット(1a、1b)から検体ラックを回収する検体ラック回収部(検体回収部42)を備えていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、検体設置ユニット(4)は、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々から回収された検体を保持する。
【0022】
これにより、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々における測定前の検体も、測定後の検体も、検体設置ユニット(4)に保持される。それゆえ、検体測定システム(100)を使用する検査技師などのユーザは、検体測定システム(100)に検体を保持させるのも、処理後の検体を取り出すのも、同じ検体設置ユニット(検体保持ユニット4)において行うことができる。よって、検体測定システム(100)の利便性を向上させることができる。
【0023】
検体設置ユニット(4)は、検体ラックを複数の検体測定ユニット(1a、1b)から検体ラック回収部(検体回収部42)に搬送するための検体ラック回収路(KR)をさらに備える構成であってもよい。
【0024】
これにより、検体測定ユニット(1a、1b)における測定を終えた検体を、各検体測定ユニット(1a、1b)から、検体ラック回収路(KR)を介して検体設置ユニット(4)へ搬送することができる。
【0025】
検体測定ユニット(1a、1b)は、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つを経由して使用された消耗品を、消耗品設置ユニット(2)に回収するための消耗品回収路(RR)を備えていてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つを経由して使用された消耗品を、消耗品設置ユニット(2)に回収する。
【0027】
これにより、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つを経由して使用された消耗品は、消耗品設置ユニット(2)に搬送されるため、検体測定システム(100)を使用する検査技師などのユーザは、使用済の消耗品を、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々から取り出して廃棄する必要が無い。よって、検体測定システム(100)の利便性を向上させることができる。
【0028】
消耗品設置ユニット(2)は、消耗品回収路(RR)を用いて搬送された消耗品が集められる消耗品集積部(26)を備えていてもよい。
【0029】
これにより、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々にて使用済となった消耗品は、消耗品設置ユニット(2)に集められるため、検体測定システム(100)を使用する検査技師などのユーザは、使用済の消耗品を消耗品設置ユニット(2)から取り出して廃棄すればよい。
【0030】
消耗品は、ディスポーザブル部品であってもよい。
【0031】
より具体的には、消耗品は、ピペットチップ、キュベット、試薬容器、シャーレ、ウェルプレート、スライドグラス、ガラス基板、および注射針のうちのいずれかであってもよい。
【0032】
消耗品設置ユニット(2)は複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくともいずれかに隣接して配置されてもよい。
【0033】
消耗品設置ユニット(2)、検体設置ユニット(4)、および複数の検体測定ユニット(1a、1b)が一列に配置される場合、第1搬送路(F)の長さは、第2搬送路(KF)の長さ以下でとなるよう構成され得る。
【0034】
上記の課題を解決するために、本発明の別の態様に係るラックの搬送方法は、消耗品を用いて検体の測定を行う複数の検体測定ユニット(1a、1b)に対して、消耗品を複数収容する消耗品ラック、および検体を複数収容する検体ラックを搬送する、ラックの搬送方法であって、消耗品ラックを第1搬送路によって複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つに搬送する第1搬送工程と、検体ラックを第2搬送路によって複数の検体測定ユニット(1a、1b)の少なくとも1つに搬送する第2搬送工程と、を含む。
【0035】
上記の構成によれば、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々に対して、消耗品を消耗品設置ユニット(2)から第1搬送路(F)を介して供給し、複数の検体測定ユニット(1a、1b)の各々に対して、検体を検体設置ユニット(4)から第2搬送路(KF)を介して供給する。
【0036】
これにより、検体測定ユニット(1a、1b)の各々に供給される消耗品および検体をそれぞれに専用の搬送路を用いて搬送するため、各検体測定ユニット(1a、1b)への各部材の供給を円滑に行うことができる。よって、検体測定ユニット(1a、1b)への各部材の供給が滞ることに起因する処理能力の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、消耗品を使用して処理を行う検体測定ユニットを複数備える検体測定システムにおいて、検体測定ユニットへの消耗品の供給が滞ることに起因する処理能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態に係る検体測定システムの構成の一例を示す外観図である。
図2】(a)は検体容器の構成例を示す斜視図であり、(b)は検体容器の上部構成の一例を示す断面図であり、(c)は検体容器を複数収容する検体ラックの構成例を示す斜視図である。
図3】検体測定ユニットにおける測定に用いられるキュベット、複数のキュベットを保持する消耗品ラック、ピペットチップ、および複数のピペットチップを保持する消耗品ラックの例を示す図である。
図4A】検体測定システムが備える搬送路の概略を示す模式図である。
図4B】検体測定システムが備える消耗品ラック回収部の他の例を示す模式図である。
図5】キュベットおよびピペットチップを検体処理ユニットに個別に搬送するための搬送路の概略を示す模式図である。
図6】消耗品回収路の概略を示す模式図である。
図7】検体測定システムが備える各機能ユニットの動作を統括的に制御する構成の一例を示す図である。
図8】複数の検体測定ユニットを備える検体測定システムにおける機能ユニットの配列例および搬送路を示す斜視図である。
図9】複数の検体測定ユニットを備える検体測定システムにおける機能ユニットの配列例および搬送路を示す透過斜視図である。
図10】検体測定ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図11】検体測定ユニットの測定部を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
図12】キュベット供給部およびピペットチップ供給部の上部に設けられた蓋を示す斜視図である。
図13】キュベット供給部の構成を示す斜視図である。
図14】(a)は、キュベット供給部を側面から見たときの断面図であり、(b)および(c)は、揺動レールと移送レールの構成を示す斜視図である。
図15】(a)および(b)は、第2ホッパーの底面にあるキュベットが、揺動部により送り出される手順を示す図である。
図16】(a)および(b)は、移送部の腕部に設けられているキュベットキャッチの構成例を示す模式図であり、(c)は緊急検体・チップ搬送部および検体分注アームの構成例を示す側面図であり、(d)は検体分注アームに装着されたピペットチップの脱離動作を説明するための側面図である。
図17】緊急検体・チップ搬送部の構成例を示す斜視図である。
図18】検体測定ユニットにおける、検体容器を搬送する搬送路および搬送路から検体容器を搬入する機構の一例を説明するための模式図である。
図19】消耗品回収路の概略構成を示す模式図である。
図20】消耗品設置ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図21】検体設置ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図22】検体設置ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図23】検体仕分けユニットの概略構成を示す斜視図である。
図24】測定結果に応じて検体を仕分けるルールの一例を示す図である。
図25】試薬容器保持ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図26】試薬容器保持ユニットにおいて試薬容器を搬送路に移送する機構の一例を説明する図である。
図27】洗浄液保持ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図28】検体を搬送する搬送ラインを使用して、分析ユニットに自動的に試薬を供給する従来の分析システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(検体測定システム100の概要)
検体測定システム100は、例えば、検体の検査および分析などに関連する測定を自動で行うシステムであり、複数の機能ユニットを組み合わせて成る。なお、本明細書において、検体測定システム100が行う「測定」とは、検体の検査および分析などに関連する任意の測定であり得る。すなわち、検体測定システム100が行う測定には、これに限定されるものではないが、例えば、加熱、冷却、培養、振とう、分注、混合、分離、回収、塗布、スポッティングなどの工程が含まれ得る。
【0040】
また、本明細書において、「検体」とは、検査および分析などの対象物から採取される任意の物を意図している。例えば、検体測定システム100が、生体(例えば、患者)の健康状態判定および所定の疾患に関する診断基準において、検査項目として挙げられている検査に関する測定を行うシステムである場合、検体は、血液、尿、組織、骨、呼気などであり得る。検体測定システム100が、環境アセスメントなどに関する検査および分析を行うシステムである場合、検体は、対象となる場所において採取された水、土、空気、植物、微生物などであり得る。
【0041】
なお、以下では、検体測定システム100が免疫系の検査項目に関する測定および分析を行う免疫分析システムである場合の実施形態を例に挙げて説明する。診断基準に免疫系の検査項目が含まれる疾患としては、これに限定されるものではないが、B型肝炎、C型肝炎、腫瘍、および甲状腺ホルモン異常が挙げられる。
【0042】
例えば、B型肝炎、C型肝炎、腫瘍、および甲状腺ホルモン異常の有無に応じて血液中における存在量が変動するさまざまな分子が知られている。このような分子は一般に「分子マーカー」と呼称される。B型肝炎、C型肝炎、腫瘍、および甲状腺ホルモン異常の有無などを早期に、かつ精度良く診断するための診断基準は、被験者から採取された血液中の分子マーカーの含有量および濃度などを測定することを求めている。免疫系の検査項目に関する測定は、血液中の特定の分子マーカーを標的分子とする抗原抗体反応を利用して、高感度、かつ特異的に分子マーカーを検出・定量する測定である。検体測定システム100は、この免疫系の検査項目に関する測定を行い、診断基準に従って各測定結果を評価し、分析する機能を有するシステムである。
【0043】
(検体測定システム100の概略構成)
次に、検体測定システム100の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る検体測定システム100の構成の一例を示す図である。検体測定システム100は、典型的には前述した測定を行う機能を有する機能ユニットである検体測定ユニットを複数備えている。例えば、図1に示された検体測定システム100は、検体測定ユニット1a、1b、消耗品設置ユニット2(設置部、ラック設置ユニット)、検体仕分けユニット3、検体設置ユニット4(ラック設置ユニット)、試薬容器保持ユニット5、洗浄液保持ユニット6、および情報管理装置7を備えている。
【0044】
図1において一点鎖線で示すように、情報管理装置7と、検体測定システム100の各機能ユニットは通信可能に接続されており、情報管理装置7は、検体測定システム100が備える各機能ユニットの動作を統括的に制御する。また、情報管理装置7は、検体測定ユニット1a、1bにおいて測定された結果を集積し、測定結果に基づいた各種分析を行う機能も備えていてもよい。
【0045】
<検体測定システム100の拡張性>
多くの被験者についての検査および診断を行う病院、および検査機関などでは、多種多様な検査項目に関する測定を、日常的に数多く行うことが要求される。ここで、検査機関とは、医療機関から検査の依頼を受けた検体について、当該医療機関から指定された検査項目に関する測定および分析を行い、検査結果を医療機関に提供する機関である。このような場合、検体測定システム100は、検体の測定を行う検体測定ユニットの数を増やすことにより、処理能力を容易に向上させることが可能である。ただし、測定される検体、測定に用いられる試薬、および消耗品に不足が生じないように、これらを安定的に各検体測定ユニット1a、1bに供給できなければ、検体測定システム100の処理能力は向上しない。加えて、検体測定ユニットを増設するためには、検体測定システム100を設置するための場所が十分か否かという問題も解決されなければならない。
【0046】
また、診断基準は、改訂されることもあり得る。例えば、従来の診断基準には含まれていなかった分子マーカーの免疫系検査を実施する必要が生じた場合、病院および検査機関は、新たな分子マーカーについての測定を行う機能を有する測定装置を、検体測定システム100とは別に導入してもよい。しかし、被験者の血液などの検体を、検体測定システム100に適用される検体容器と、新規に導入した測定装置に適用される検体容器とに分けて採取する必要がある。また、検体測定システム100と、新規に導入した測定装置とでは作業ルーチンが異なるため煩わしい。さらに、高額な測定装置を新規に別途導入するための費用の問題、および新しい測定装置の設置場所の問題などが解決されなければならない。
【0047】
検体測定システム100の、検体測定ユニット1a、1bを含む各機能ユニットは、水平方向の寸法を小さくするように構成されている。これにより、検体測定システム100のための設置面積の拡大を抑制している。また、検体測定システム100は必要に応じて、検体測定ユニット1a、1b、検体仕分けユニット3、および検体設置ユニット4などを増設することが可能であり拡張性を有する。検体測定ユニット1a、1bなど所望の機能ユニットを検体測定システム100に追加することにより、検体測定システム100の処理能力を容易に向上させることができる。例えば、図1に示す検体測定システム100において、検体測定ユニット1c、1dなどをさらに増設して、検体測定システム100の処理能力を向上させることも可能である。
【0048】
(検体容器C3、検体ラックC30、試薬容器、消耗品、消耗品ラックC10、C20)
検体測定システム100において使用される消耗品、検体容器C3、および試薬容器などの形態および構造などは共通である。すなわち、図1に示す検体測定システム100に、検体測定ユニット1c、1dなどを増設した場合であっても、増設前から用いている消耗品、検体容器C3、試薬容器などを変更することなく使用することが可能である。
【0049】
一般的に、免疫系の検査に関する測定は消耗品を使用して行われることが多く、検体測定ユニット1a、1bにおいても消耗品が使用される。なお、本明細書において、「消耗品」とは、所定の回数(例えば、1回)使用された後に交換され、廃棄されることを意図した部品(いわゆる、ディスポーザブル部品)である。「消耗品」は、これに限定されるものではないが、例えば、ピペットチップC2、キュベットC1、試薬容器、シャーレ、ウェルプレート(ウェルの数は、例えば、48、96、384など)、スライドグラス、ガラス基板、注射針などを含む針であってもよい。なお、キュベットC1は、検体測定ユニット1a、1bにおいて、検体容器C3から分注された検体と、試薬容器から分注された試薬とを混合し、抗原抗体反応などをさせるための反応容器として用いられたり、蛍光検出などの分光学的測定に供されたりし得るチューブである。なお、消耗品ラックC10、C20は、消耗品と同様に使用後に廃棄されてもよいし、再利用されてもよい。以下では、消耗品ラックC10、C20が再利用される場合を例に挙げて説明する。
【0050】
<<検体容器C3>>
ここで、図2を参照して、検体測定システム100に適用される検体容器C3の構成を説明する。検体容器C3は、図2の(a)に示すように、蓋部C31と、胴部C32と、バーコードラベルC34と、を備えていてもよい。なお、検体容器C3において、蓋部C31は必須の構成ではなく、検体容器C3は、胴部C32とバーコードラベルC34とを備えていればよい。胴部C32は、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された採血管であり、内部に検体を収容する。蓋部C31は、検体を収容した胴部C32の上端の開口を密封する。蓋部C31は、プラスチックにより構成される。バーコードラベルC34は、胴部C32の側面に貼られている。バーコードラベルC34には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体IDは、各検体容器C3に収容されている検体を個別に識別可能な情報である。
【0051】
<<検体ラックC30>>
次に、図2の(b)を参照して、検体ラックC30の構成を説明する。検体ラックC30は、複数の検体容器C3を保持することができ、例えば、図2の(b)に示すように、検体容器C3を所定の数(例えば10本)まで保持可能である。検体ラックC30の外側面にはバーコードラベルC304が設けられている。バーコードラベルC304には、検体ラックIDを示すバーコードが印刷されている。検体ラックIDは、各検体ラックC30を個別に識別可能な情報である。なお、バーコードラベルC304の位置は、図2の(b)に示す位置に限定されない。例えば、バーコードラベルC304の位置、およびバーコードの向きを、検体容器C3のバーコードラベルC34を読み取るバーコード読み取り部によって読み取られる位置および向きに合わせてもよい。
【0052】
<<試薬容器>>
検体測定ユニット1a、1bにおいて、検体に対して行われる測定では試薬が使用される。試薬容器は各試薬を収容している容器である。試薬容器は、一般に、栓体と、胴部と、蓋部と、を備えている。胴部は、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成されたボトルまたは広口瓶であり、内部に試薬を収容する。栓体は、試薬を収容した胴部の上端の開口を密封する。栓体は、弾力性を有する合成樹脂などにより構成されていてもよい。栓体の上面には、凹部が形成されていてもよい。蓋部は、プラスチックにより構成され、胴部に装着された栓体を上側から覆っている。蓋部の内側には、胴部の外側に設けられたねじ山と嵌合するねじ山が設けられていてもよい。蓋部には、貫通する孔が形成されていてもよい。栓体の凹部、および蓋部に設けられた孔は、検体測定ユニット1a、1bにおいて試薬容器から試薬を吸い出すための管またはノズルなどの先端が試薬容器内に侵入可能となるために設けられている。胴部の側面に、バーコードラベルが貼られていてもよい。このバーコードラベルには、試薬IDを示すバーコードが印刷されている。なお、試薬IDには、試薬の種類、製造番号、製造年月日などを示す情報が含まれていてもよい。
【0053】
<<バーコード読み取り部>>
検体測定ユニット1a、1b、検体設置ユニット4、および検体仕分けユニット3など、検体容器および検体ラックC30の設置、搬出、移送、および搬入の少なくともいずれかを行う機能を有する機能ユニットは、検体容器のバーコードラベルC34および検体ラックのバーコードラベルC304を読み取るバーコード読み取り部を備えている。このバーコード読み取り部の各々には固有の読み取り部IDが割当てられており、各読み取り部は、読み取った検体IDおよび検体ラックIDを、自身の読み取り部IDとともに、情報管理装置7に送信する。情報管理装置7は、読み取り部IDと、読み取られた検体IDおよび検体ラックIDとの組み合わせを随時取得してもよい。情報管理装置7は、これらのバーコード読み取り部が読み取ったバーコードラベルC304に関する情報および読み取り部IDを取得することにより、例えば、検体設置ユニット4から検体測定ユニット1aに搬送されるべき検体ラックC30が、検体設置ユニット4から搬送されたこと、および検体測定ユニット1aに供給されたこと、などをリアルタイムに確認して管理することができる。これにより、情報管理装置7は、検体設置ユニット4から搬送した検体容器C3を、その検体容器C30が供給されるべき検体測定ユニット1a、1bに着実に供給することができる。
【0054】
同様に、情報管理装置7は、バーコード読み取り部が読み取った試薬容器のバーコードラベルに関する情報および読み取り部IDを取得する。これにより、情報管理装置7は、試薬容器保持ユニット5から検体測定ユニット1a、1bに搬送されるべき試薬容器が、試薬容器保持ユニット5から搬送されたこと、および検体測定ユニット1a、1bに供給されたこと、などをリアルタイムに確認して管理する。
【0055】
<<消耗品:キュベットC1およびピペットチップC2>>
ここで、図3を参照して、検体測定ユニット1a、1bにおいて使用される消耗品の例を説明する。図3は、検体測定ユニット1a、1bにおける測定に用いられるキュベットC1、複数のキュベットC1を保持する消耗品ラックC10、ピペットチップC2、および複数のピペットチップC2を保持する消耗品ラックC20の例を示す図である。
【0056】
図3の(a)に示すように、キュベットC1は、直径d11である鍔部C11と、直径d11よりも小さい直径d12である胴部C12から構成されている。キュベットC1は、検体と試薬を反応させるために用いられ、各検体の測定が終了すると廃棄される。一方、図3の(c)に示すように、ピペットチップC2は、直径d11よりも小さい直径d21である装着部C21と、直径d21よりも小さい直径である胴部C22から構成されている。ピペットチップC2は、検体の吸引と吐出に用いられ、検体の吸引と吐出が行われる度に廃棄される。すなわち、キュベットC1とピペットチップC2はディスポーザブル部材であり、検体が混ざり合うのを防ぐために、使い捨てとされる消耗品である。
【0057】
<<消耗品ラックC10、C20>>
次に、消耗品ラックC10、C20について説明する。消耗品ラックC10、C20はそれぞれ、キュベットC1、ピペットチップC2を複数保持できるラックである。図3の(b)には、キュベットC1を16本保持する消耗品ラックC10、C20の例を示し、図3の(d)には、ピペットチップC2を10本保持する消耗品ラックの例を示している。消耗品ラックC10、C20の寸法が大きくなると、これらを搬送する搬送路の幅を広くする必要がある。それゆえ、検体測定システム100の水平方向の寸法が大きくならないように構成してもよい。例えば、消耗品ラックC10、C20が保持できる消耗品の数を10~30本程度に抑え、その代わりに、消耗品設置ユニット2から検体測定ユニット1a、1bへの供給頻度を上げるように構成してもよい。
【0058】
消耗品ラックC10、C20は、各消耗品に付与されたラック識別情報を記憶するRFIDタグC104およびC204を備えている。RFIDタグC104およびC204はそれぞれ、図3の(b)および(d)に示すように、消耗品ラックC10、C20の側面に設けられていてもよい。
【0059】
なお、キュベットC1およびピペットチップC2は、一般的には、袋に所定数(例えば、500)収容された状態で市販されたり、所定数を予め所定の容器内に整列させ収容した状態で市販されたりしている。所定数のキュベットC1またはピペットチップC2を収容している市販時の容器をそのまま、検体測定システム100の消耗品ラックC10、C20として使用可能とする構成であってもよい。
【0060】
<<RFIDリーダライタ>>
消耗品設置ユニット2から検体測定ユニット1a、1bへの消耗品ラックC10、C20の供給も、検体ラックC30の搬送と同様、情報管理装置7によって管理される。消耗品設置ユニット2は、情報管理装置7から、検体測定ユニット1a、1bに、どの消耗品ラックを供給すべきかに関する情報を含む搬送指示を取得する。消耗品設置ユニット2は、RFIDリーダライタを備えている。各消耗品ラックC10、C20のRFIDタグC104およびC204には、消耗品が供給されるべき検体測定ユニット1a、1bに割り当てられたユニットIDなどの識別情報が、RFIDリーダライタによって書き込まれる。検体測定ユニット1a、1bは、自身のユニットIDが書き込まれたRFIDタグを有する消耗品ラックC10、C20を受け取る。例えば、RFIDリーダライタは、消耗品ラック設置部21および消耗品ラック回収部22に設けられている。複数の検体測定ユニット1a、1bの少なくとも1つを経由して空になった消耗品ラック(空ラック)C10、C20が消耗品ラック回収部22に回収されたとき、回収された消耗品ラックC10、C20のRFIDタグに書き込まれている情報は、消耗品ラック回収部22のRFIDリーダライタによって消去される。このようにRFIDタグを利用すれば、消耗品ラックC10、C20の供給が必要な検体測定ユニット1a、1bを指定して、消耗品ラックC10、C20を搬送することができる。例えば、複数の検体測定ユニット1aを経由して空になった消耗品ラックC10、C20を、次に、検体測定ユニット1bへ消耗品を供給するための消耗品ラックC10、C20として再利用することができる。
【0061】
(検体測定システム100が備える搬送路)
次に、検体測定システム100が備える搬送路について図4Aを用いて説明する。図4Aは、検体測定システム100が備える搬送路の概略を示すイメージ図である。なお、図4Aでは、検体仕分けユニット3を省略している。検体仕分けユニット3は、検体測定システム100を構成する上で必須の機能ユニットではない。
【0062】
図4Aに示すように、消耗品設置ユニット2は、消耗品ラック設置部21(設置部)と、消耗品ラック回収部22(回収部)とを備えている。消耗品設置ユニット2は、消耗品を複数保持している。消耗品ラック設置部21には、検体測定ユニット1a、1bでの検体の測定の際に用いられる消耗品を複数収容した消耗品ラックC10、C20が、検査技師などのユーザによって設置される。消耗品ラック設置部21に設置された消耗品ラックC10、C20は第1搬送路Fによって第1方向に向けて搬送され(第1搬送工程)、検体測定ユニット1a、1bに供給される(供給工程)。なお、消耗品設置ユニット2が、ユーザによって供給された消耗品を自動的に、空の消耗品ラックC10、C20(空ラック)に収容させる機構を備えていてもよい。この場合、消耗品ラック設置部21には、消耗品を収容していない空の消耗品ラックC10、C20が設置されればよい。ここで、消耗品とは、例えば、キュベットC1および/またはピペットチップC2であり得る。キュベットC1および/またはピペットチップC2検体測定ユニット1a、1bの各々において使用された後に交換されるディスポーザブル部材である。
【0063】
なお、図4Aでは、消耗品設置ユニット2が、消耗品ラック設置部21および消耗品ラック回収部22を備える例を示したが、この構成に限定されない。検体測定システム100が備える消耗品ラック回収部22の他の例について、図4Bを用いて説明する。例えば、図4Bの(a)に示すように、消耗品ラック回収部22を、消耗品設置ユニット2とは別体として設ける構成であってもよい。具体的には、消耗品ラック回収部22を備えるユニットであって、消耗品設置ユニット2とは異なる機能ユニット(例えば、「消耗品ラック回収ユニット」)として構成し、この機能ユニットを、例えば、消耗品設置ユニット2の隣に配置してもよい。あるいは、図4Bの(b)に示すように、消耗品設置ユニット2の近傍に、消耗品ラックを回収するための棚またはボックスを設け、この棚またはボックスを消耗品ラック回収部22としてもよい。
【0064】
第1搬送路Fは、消耗品ラック設置部21から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。すなわち、第1搬送路Fは、検体測定ユニット1a、1bの筐体内に設けられている。第1搬送路Fは、消耗品を消耗品設置ユニット2から検体測定ユニット1a、1bの少なくとも1つに搬送するためのものである。消耗品ラック設置部21に設置された消耗品ラックC10、C20は、第1搬送路Fを介して、消耗品を検体測定ユニット1a、1bの各々に供給するために用いられ、繰返し利用され得る部材である。
【0065】
第2搬送路R(空ラック搬送路)は、検体測定ユニット1a、1bの少なくともいずれかを経由し、消耗品が使用されて空になった消耗品ラックC10、C20を、上述の第1方向とは異なる第2方向に向けて検体測定ユニット1a、1bから搬送する(第2搬送工程)ためのものである。第2搬送路Rは、消耗品ラック回収部22から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。すなわち、第2搬送路Rは、検体測定ユニット1a、1bの筐体内に設けられている。第2搬送路Rは、検体測定ユニット1a、1bで消耗品が使用されることにより空になった消耗品ラックC10、C20を消耗品設置ユニット2に搬送するためのものである。第2搬送路Rによって、検体測定ユニット1a、1bから、空になった消耗品ラックC10、C20は消耗品設置ユニット2の消耗品ラック回収部22に回収される(回収工程)。
【0066】
なお、消耗品ラック回収部22は、消耗品ラック設置部21に隣接して設置されている。あるいは、第1搬送路Fと第2搬送路Rとが高さ方向の異なる位置(階層)に設けられている場合、消耗品ラック設置部21と消耗品ラック回収部22も、互いに高さ方向の異なる位置に設けられていてもよい。この場合、消耗品ラック回収部22は、消耗品ラック設置部21に高さ方向において隣接して設置されていてもよい。典型的には、消耗品ラック回収部22が、消耗品ラック設置部21の上方に設けられてもよい。このように構成すれば、検査技師などのユーザは、検体測定システム100が備えるすべての検体測定ユニット1a、1bへの消耗品の供給、および空になった消耗品ラックC10、C20の回収の両方を、消耗品設置ユニット2近傍に居ながら行うことが可能となる。よって、検体測定システム100の利便性を向上させることができる。
【0067】
消耗品移送路Ta(移送路)は、検体測定ユニット1a内に設けられ、第1搬送路Fと第2搬送路Rとの間に設けられている。消耗品移送路Taは、第1搬送路Fによって搬送された消耗品ラックC10、C20が収容する消耗品が検体測定ユニット1aで使用された後、空になった消耗品ラックC10、20を第2搬送路Rへ移送する。消耗品移送路Taは、供給工程によって消耗品の供給が行われた後に空となった消耗品ラックC10、20を、第1搬送路Fとは高さ方向の異なる位置に設けられた第2搬送路Rに移送する(昇降工程)ためのものである。
【0068】
消耗品移送路Tb(移送路)は、検体測定ユニット1b内に設けられ、第1搬送路Fと第2搬送路Rとの間に設けられている。消耗品移送路Tbは、第1搬送路Fによって搬送された消耗品ラックC10、C20が収容する消耗品が検体測定ユニット1bで使用された後、空になった消耗品ラックC10、C20を第2搬送路Rに移送する。消耗品移送路Tbは、供給工程によって消耗品の供給が行われた後に空となった消耗品ラックC10、20を、第1搬送路Fとは高さ方向の異なる位置に設けられた第2搬送路Rに移送する(昇降工程)ためのものである。
【0069】
なお、検体測定システム100の水平方向の寸法が大きくなることを抑制するために、第1搬送路Fと第2搬送路Rはそれぞれ、上段と下段の2段に分けて段違いに設けられることが望ましい。すなわち、第1搬送路Fの戴置面の高さと第2搬送路Rの戴置面の高さとは異なっていてもよい。典型的には、第1搬送路Fの実質的に真下に第2搬送路Rを設けたり、第1搬送路Fの実質的に真上に第2搬送路Rを設けたりしてもよい。
【0070】
消耗品ラック回収部22には、検体測定ユニット1a、1bで消耗品が使用され、空になった消耗品ラックC10、C20が保持される。ユーザは、消耗品ラック回収部22に保持された消耗品ラックC10、C20を取り出し、消耗品を消耗品ラックC10、C20に収容させた後に、消耗品ラック設置部21に設置してもよい。あるいは、消耗品ラック設置部21が、自動的に消耗品を消耗品ラックC10、C20に収容する機能を備えていてもよい。
【0071】
検体設置ユニット4は、検体ラック設置部41と、検体ラック回収部42とを備えている。検体ラック設置部41は、検体測定ユニット1a、1bにおける測定に供される検体を収納している検体容器C3を受け入れ、これを検体搬送路KF(第1搬送路)に搬出する。なお、検体ラック設置部41は、検体容器C3を、複数の検体容器C3を保持する検体ラックC30を用いて、複数の検体容器C3をまとめて検体搬送路KFに搬出する構成であってもよい。検体ラック設置部41は、検体搬送路KFに設けられた検体の滞留部として機能する。
【0072】
検体搬送路KFは、検体ラック設置部41から延びており、消耗品設置ユニット2の筐体内、および検体測定ユニット1a、1bに設けられている保護カバー内を通過している。この保護カバーは、検体測定ユニット1a、1bの筐体の、ユーザからの操作を受け付ける側に設けられている。検体搬送路KFは、検体ラックC30を検体設置ユニット4から検体測定ユニット1a、1bの少なくとも1つに、第1方向に向けて搬送するためのものである。検体ラック設置部41から搬送された検体ラックC30は、検体搬送路KFを介して、検体ラックC30を検体測定ユニット1a、1bの各々に供給される(供給工程)。
【0073】
検体回収路KR(第2搬送路、検体ラック回収路)は、検体ラック回収部42から延びており、消耗品設置ユニット2および検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。検体回収路KRは、検体測定ユニット1a、1bのいずれかにおいて測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30を、上述の第1方向とは異なる第2方向に向けて検体設置ユニット4に搬送するためのものである。具体的には、検体回収路KRは、検体設置ユニット4の検体ラック回収部42に検体容器または検体ラックを搬送する。
【0074】
ここで、検体搬送路KFと検体回収路KRとは、高さ方向の異なる位置(階層)に設けられている。これに伴い、検体ラック設置部41と検体ラック回収部42も、互いに高さ方向の異なる位置に設けられていてもよい。この場合、検体ラック回収部42は、検体ラック設置部41に高さ方向において隣接して設置されていてもよい。
【0075】
検体移送路KTa(移送路)は、検体測定ユニット1a内に設けられ、検体搬送路KFと検体回収路KRとの間に設けられている。検体移送路KTaは、検体搬送路KFによって搬送された検体ラックC30を筐体内に移送したり、検体測定ユニット1aで測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30を検体回収路KRに移送したりする場合に用いられる。検体移送路KTaは、供給工程によって供給された検体ラックC30を、検体搬送路KFとは高さ方向の異なる位置に設けられた検体回収路KRに移送する(昇降工程)ためのものである。
【0076】
検体移送路KTb(移送路)は、検体測定ユニット1b内に設けられ、検体搬送路KFと検体回収路KRとの間に設けられている。検体移送路KTbは、検体搬送路KFによって搬送された検体ラックC30を筐体内に移送したり、検体測定ユニット1bで測定された検体を収容する検体容器C3を保持する検体ラックC30を検体回収路KRに移送したりする場合に用いられる。検体移送路KTbは、供給工程によって供給された検体ラックC30を、検体搬送路KFとは高さ方向の異なる位置に設けられた検体回収路KRに移送する(昇降工程)ためのものである。
【0077】
検体ラック回収部42は、検体測定ユニット1a、1bで測定された検体を収容する検体容器C3を保持する検体ラックC30を回収し、その検体ラックC30を保持する。ユーザは、検体ラック回収部42に回収された検体容器C3、または検体ラックC30を検体ラック回収部42から取り出すことができる。
【0078】
また、検体ラックC30は、検体測定ユニット1aまたは検体測定ユニット1bの内部に留まっていてもよい。具体的には、まず、検体測定ユニット1aまたは検体測定ユニット1bの内部にある検体ラックC30は、検体ラック設置部41から供給された検体容器C3を受け取る。次に、検体ラックC30が検体測定ユニット1aまたは検体測定ユニット1bで処理された後、検体ラックC30は、検体容器C3を検体回収路KRに搬出する。
【0079】
なお、検体測定システム100の水平方向の寸法が大きくなることを抑制するために、検体搬送路KFと検体回収路KRはそれぞれ、上段と下段の2段に設けられることが望ましい。典型的には、検体搬送路KFの真下に検体回収路KRを設けたり、検体搬送路KFの真上に検体回収路KRを設けたりしてもよい。すなわち、検体搬送路KFと検体回収路KRは、垂直方向から見て略重なる位置に設けられている。例えば、検体搬送路KFを上段に設け、検体回収路KRを下段に設けた場合、検体ラック設置部41は検体ラック回収部42の上部に設けられる。なお、検体搬送路KFと検体回収路KRのいずれを上に配置してもよいが、検体回収路KRを下の階層に設ける構成とする方が直観的に分かりやすく、使い勝手がよい。
【0080】
試薬容器保持ユニット5は、試薬容器を複数保持しており、試薬容器供給部51を備えている。試薬容器供給部51は、検体測定ユニット1a、1bに供給される試薬を保持し、その試薬を試薬容器に入れ、その試薬容器を試薬容器搬送路LF(第2搬送路、搬送路)に搬出する。
【0081】
試薬容器搬送路LFは、試薬容器供給部51から延びており、検体設置ユニット4および消耗品設置ユニット2の上方を横切り、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。
【0082】
試薬容器搬送路LFは、試薬容器を試薬容器保持ユニット5から検体測定ユニット1a、1bの各々に搬送するためのものである。試薬容器供給部51は、試薬容器搬送路LFを介して、試薬容器を検体測定ユニット1a、1bの各々に供給する。
【0083】
使用済試薬容器搬送路LR(回収路)は、消耗品設置ユニット2が備える使用済試薬容器集積部25から延びており、検体設置ユニット4、消耗品設置ユニット2、および検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。使用済試薬容器搬送路LRは、検体測定ユニット1a、1bで使用されることにより空になった試薬容器を使用済試薬容器集積部25に搬送するためのものである。使用済試薬容器集積部25は、使用済の試薬容器を集めるためのものである。
【0084】
試薬容器移送路LTaは、検体測定ユニット1a内に設けられ、試薬容器搬送路LFと使用済試薬容器搬送路LRとの間に設けられている。試薬容器移送路LTaは、試薬容器搬送路LFによって搬送された試薬容器が検体測定ユニット1aで使用された後、その使用された試薬容器を使用済試薬容器搬送路LRに移送する。試薬容器移送路LTbは、検体測定ユニット1b内に設けられ、試薬容器搬送路LFと使用済試薬容器搬送路LRとの間に設けられている。試薬容器移送路LTbは、試薬容器搬送路LFによって搬送された試薬容器が検体測定ユニット1bで使用された後、その使用された試薬容器を使用済試薬容器搬送路LRに移送する。
【0085】
使用済試薬容器集積部25は、検体測定ユニット1a、1bで使用されることにより空になった試薬容器を回収する。ユーザは、使用済試薬容器集積部25に回収された試薬容器を破棄することができる。
【0086】
検体測定システム100において、消耗品ラック設置部21および第1搬送路と、消耗品ラック回収部22および第2搬送路とを、消耗品の種別毎に設けてもよい。例えば、図5に示す例では、消耗品設置ユニット2は、キュベットC1を複数収容する消耗品ラックC10専用のキュベットラック設置部211およびキュベットラック回収部221と、ピペットチップC2を複数収容する消耗品ラックC20専用のピペットチップラック設置部212およびピペットチップラック回収部222を備えている。なお、図5では、検体測定システム100のうち検体設置ユニット4、試薬容器保持ユニット5、洗浄液保持ユニット6、および情報管理装置7を省略している。
【0087】
第1搬送路F1は、キュベットラック設置部211から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。第1搬送路F1は、キュベットC1を消耗品設置ユニット2から検体測定ユニット1a、1bの各々に搬送するためのものである。第1搬送路F1を介して、キュベットC1がキュベットラック設置部211から検体測定ユニット1a、1bの各々へ供給される。
【0088】
第1搬送路F2は、ピペットチップラック設置部212から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。第1搬送路F2は、ピペットチップC2を消耗品設置ユニット2から検体測定ユニット1a、1bの各々に搬送するためのものである。第1搬送路F2を介して、ピペットチップC2がピペットチップラック設置部212から検体測定ユニット1a、1bの各々へ供給される。
【0089】
第2搬送路R1は、キュベットラック回収部221から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。第2搬送路R1は、検体測定ユニット1a、1bの少なくとも何れかにおいてキュベットC1が使用されることにより空になった消耗品ラックC10を消耗品設置ユニット2に搬送するためのものである。具体的には、第2搬送路R1は、消耗品設置ユニット2のキュベットラック回収部221に消耗品ラックC10を搬送する。
【0090】
第2搬送路R2は、ピペットチップラック回収部222から延びており、検体測定ユニット1a、1bの筐体内を通過している。第2搬送路R2は、検体測定ユニット1a、1bの少なくとも何れかにおいてピペットチップC2が使用されることにより空になった消耗品ラックC20を消耗品設置ユニット2に搬送するためのものである。具体的には、第2搬送路R2は、消耗品設置ユニット2のピペットチップラック回収部222に消耗品ラックC10を搬送する。
【0091】
消耗品移送路T1aは、検体測定ユニット1a内に設けられ、第1搬送路F1と第2搬送路R1との間に設けられている。消耗品移送路T1aは、第1搬送路F1によって搬送されたキュベットC1が検体測定ユニット1aで使用された後、その処理されたキュベットC1を第2搬送路R1に移送する。消耗品移送路T1bは、検体測定ユニット1b内に設けられ、第1搬送路F1と第2搬送路R1との間に設けられている。消耗品移送路T1bは、第1搬送路F1によって搬送されたキュベットC1が検体測定ユニット1bで使用された後、その処理されたキュベットC1を第2搬送路R1に移送する。
【0092】
キュベットラック回収部221は、検体測定ユニット1a、1bで使用されたキュベットC1を回収する。ユーザは、キュベットラック回収部221で回収されたキュベットC1を破棄することができる。
【0093】
一方、第1搬送路F2、第2搬送路R2、消耗品移送路T2a、および消耗品移送路T2bでは、第1搬送路F1、第2搬送路R1、消耗品移送路T1a、および消耗品移送路T1bと同様に、ピペットチップC2に対して処理が行われる。
【0094】
次に、複数の検体測定ユニット1a、1bの少なくとも1つを経由して使用された消耗品を、消耗品設置ユニット2に回収するための消耗品回収路RRについて図6を用いて説明する。なお、図6では、検体測定システム100のうち検体設置ユニット4、試薬容器保持ユニット5、洗浄液保持ユニット6、および情報管理装置7を省略している。消耗品回収路RRは、検体測定ユニット1aおよび検体測定ユニット1bそれぞれの内部に設けられた消耗品回収機構RRaおよびRRbから構成される。
【0095】
具体的には、検体測定ユニット1bは、消耗品設置ユニット2から遠位側の検体測定ユニット1bにおいて使用済となった消耗品を、消耗品設置ユニット2から近位側に位置する、検体測定ユニット1aまたは消耗品設置ユニット2に搬送するための消耗品回収機構RRbを備える。このとき、検体測定ユニット1a、1bの各々は互いの隣に配置されている。
【0096】
消耗品回収機構RRaおよびRRbはそれぞれ、収納部rraおよびrrbを備えている。使用された消耗品の搬送は、収納部rraおよびrrbを移動させることにより行われる。収納部rraおよびrrbはその上部が解放された構造になっており、上部に位置する測定部10において使用された消耗品が収容部rraおよびrrbに収容されるように構成され得る。
【0097】
検体測定ユニット1bは、検体測定ユニット1bで使用された消耗品を収納部rrbに収容した後、消耗品回収機構RRbを駆動することにより、収納部rrbを検体測定ユニット1aの近くまで移動させる。収納部rrbが検体測定ユニット1aの近くまで移動した後、検体測定ユニット1bは、収納部rrbを傾けることにより、収納部rrbに収納されている消耗品は、検体測定ユニット1aの収納部rraに受け渡される。
【0098】
検体測定ユニット1aは、検体測定ユニット1bで使用された消耗品、および検体測定ユニット1aで使用された消耗品を収納部rraに収容した後、消耗品回収機構RRaを駆動することにより、収納部rraを隣接する消耗品設置ユニット2の近くまで移動させる。収納部rraが消耗品設置ユニット2の近くまで移動した後、検体測定ユニット1aは、収納部rraを傾けることにより、収納部rraに収納されている消耗品を消耗品集積部26に集積する。なお、消耗品集積部26は、消耗品設置ユニット2の近傍に設けられることが望ましく、例えば、消耗品設置ユニット2の筐体内に設けられてもよい。複数の検体測定ユニット1a、1bにおいて使用された消耗品が、消耗品集積部26に集められる。このように構成すれば、各検体測定ユニット1a、1bに使用済みの消耗品をユーザが回収して回る必要が無くなり、検体測定システム100の利便性を向上させることができる。
【0099】
(検体測定システム100の制御系統)
次に、検体測定システム100の制御系統について図7を用いて説明する。図7は、検体測定システム100が備える各機能ユニットの動作を統括的に制御する構成の一例を示す図である。図7に示すように、情報管理装置7によって、検体測定システム100が備える各機能ユニットの動作を統括的に制御される。
【0100】
<情報管理装置7>
情報管理装置7は、検体測定システム100が備える各機能ユニットの制御部と通信可能に接続されており、各機能ユニットから当該ユニットにて取得される各種情報を統括して管理している。例えば、情報管理装置7は、検体測定システム100におけるWAM(ミドルウェア)として機能し得るコンピュータであってよい。
【0101】
各機能ユニットの制御部には、各機能ユニットに設けられている検知部(例えば、バーコード読み取り部、各種センサなど)によって検知された検知情報が送信される。
【0102】
すなわち、情報管理装置7は、これらに限定されるものではないが、例えば、
・各検体測定ユニット1a、1bに保持されている試薬容器に関する情報(例えば、試薬ID、試薬の使用量、使用頻度、または残量など)、
・試薬容器保持ユニット5が保持している検体容器C3に関する情報(例えば、検体IDなど)、
・各検体測定ユニット1a、1bの処理動作の状況(例えば、異常の有無など)、
・各検体測定ユニット1a、1bが保持している試薬容器に関する情報(例えば、試薬IDなど)、
・消耗品設置ユニット2から搬送される消耗品ラックC10、C20の識別情報、などを適宜取得し、検体測定ユニット1a、1bの各々への試薬容器、検体ラックC30、および消耗品ラックC10、C20の供給状態を管理する・管理している。
【0103】
(検体測定システム100における各機能ユニットの配置および搬送路)
続いて、検体測定ユニット1a、1bという2台の検体測定ユニットを備える検体測定システム100の各機能ユニットがx軸方向に一列に配置された場合の配列例および搬送路について。図8および9を用いて説明する。図8は、複数の検体測定ユニット1a、1bを備える検体測定システム100における機能ユニットの配列例および搬送路を示す斜視図であり、図9は、複数の検体測定ユニット1a、1bを備える検体測定システム100における機能ユニットの配列例および搬送路を示す透過斜視図である。なお、この配列に限定されず、各機能ユニットを所望の位置に配置すればよい。
【0104】
ここで、検体測定システム100が備える複数の検体測定ユニット1a、1bの各々の処理能力を維持させるために、検体測定ユニット1a、1bにおいて使用される消耗品、測定に供される検体および試薬を円滑に供給可能な配置とすることが望ましい。一般的に、1つの検体についての測定が完了するまでに、ピペットチップC2およびキュベットC1は1つずつ必要である。それに対して、試薬容器には、複数の検体についての測定を行うことができる分量が収容されている。したがって、検体測定ユニット1a、1b以外の機能ユニットから検体測定ユニット1a、1bに対して消耗品および検体を供給する数に対して、供給すべき試薬容器の数は少ない。
【0105】
例えば、図1、8、および9に示すように、検体測定ユニット1a、1bが互いの隣に配置されている場合、検体測定システム100の中央部に近い方の検体測定ユニットである検体測定ユニット1aのすぐ隣には、消耗品設置ユニット2が配置されることが望ましい。消耗品設置ユニット2は、検体測定ユニット1a、1bの少なくともいずれかの隣に配置されることが望ましい。
【0106】
図8および9は、検体測定システム100に設けられた各搬送路の配置例を示している。なお、図4Aおよび4Bで既に説明した搬送路には、同じ符号が付けられている。
【0107】
(検体測定システム100が備える各機能ユニットの概要)
以下、検体測定システム100が備える各機能ユニットの主な機能および概略構成について説明する。なお、以下では、検体測定システム100の各機能ユニットが、図1、7、および8に示すような配列順で構成された場合を例に挙げて説明する。すなわち、検体測定ユニット1aの右側に検体測定ユニット1bが配置しており、検体測定ユニット1aの左側には、順に、消耗品設置ユニット2、検体仕分けユニット3、検体設置ユニット4、試薬容器保持ユニット5、洗浄液保持ユニット6が配置されている。
【0108】
<検体測定ユニット1a、1b>
まず、検体測定ユニット1a、1bの構成について、図10を参照して説明する。図10の(a)~(d)は、検体測定ユニット1aの概略構成を示す斜視図である。図10の(a)~(d)に示すように、検体測定ユニット1aには、蓋301a、302aが形成されている。蓋301a、302aの詳細については後述する。
【0109】
検体測定ユニット1aの左側面には、開口部10F1、10R1、11F1、11R1、10KF1、10KR1、10L1が形成されている。検体測定ユニット1aの左側面とは、消耗品設置ユニット2と対向する側の面である。開口部10F1、11F1には、消耗品設置ユニット2から第1搬送路Fを介して搬送される消耗品が入る。具体的には、開口部10F1、11F1にはそれぞれ、キュベットC1およびピペットチップC2が入る。
【0110】
開口部10R1、11R1からは、検体測定ユニット1aで使用された消耗品が第2搬送路Rに向かって搬出される。具体的には、開口部10R1、11R1からはそれぞれ、検体測定ユニット1aで使用されたキュベットC1およびピペットチップC2が第2搬送路Rに向かって搬出される。
【0111】
開口部10KF1には、検体設置ユニット4から検体搬送路KFを介して搬送される検体ラックC30が入る。開口部10KR1からは、検体測定ユニット1aで測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30が検体回収路KRに向かって搬出される。
【0112】
開口部10L1には、試薬容器保持ユニット5から試薬容器搬送路LFを介して搬送される試薬容器が入る。また、開口部10L1からは、検体測定ユニット1aで使用された試薬容器が使用済試薬容器搬送路LRに向かって搬出される。
【0113】
一方、検体測定ユニット1aの右側面には、開口部10F2、10R2、11F2、11R2、10KF2、10KR2、10L2が形成されている。検体測定ユニット1aの右側面とは、検体測定ユニット1bと対向する側の面である。開口部10F2、11F2からは、検体測定ユニット1bで使用される消耗品が第1搬送路Fに向かって搬出される。具体的には、開口部10F2、11F2からはそれぞれ、検体測定ユニット1bで使用されるキュベットC1およびピペットチップC2が第1搬送路Fに向かって搬出される。
【0114】
開口部10R2、11R2には、検体測定ユニット1bで使用された消耗品が第2搬送路Rを介して入る。具体的には、開口部10R2、11R2にはそれぞれ、検体測定ユニット1bで使用されたキュベットC1およびピペットチップC2が第2搬送路Rを介して入る。
【0115】
開口部10KF2からは、検体測定ユニット1bでの検体の測定に供される試薬が収容されている検体容器C3を保持する検体ラックC30が検体搬送路KFに向かって搬出される。開口部10KR2には、検体測定ユニット1bで測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30が検体回収路KRを介して入る。
【0116】
開口部10L2からは、検体測定ユニット1bで使用される試薬容器が試薬容器搬送路LFに向かって搬出される。また、開口部L2には、検体測定ユニット1bで使用された試薬容器が使用済試薬容器搬送路LRを介して入る。
【0117】
次に、検体測定ユニット1a、1bの内部構成について、図11を参照して説明する。
【0118】
図11は、検体測定ユニット1aの測定部10を上側から見た場合の構成を示す平面図である。検体測定ユニット1aは、測定部10と、タッチパネルからなる表示入力部(図1参照)とを備えている。
【0119】
検体測定ユニット1aには、検体を収容した検体容器が保持された検体ラックC30が検体設置ユニット4から搬送される。測定部10は、検体設置ユニット4から搬送され所定位置に位置付けられた検体容器から、検体を吸引して測定を行う。
【0120】
測定部10は、キュベット供給部101と、ピペットチップ供給部102とを備えるとともに、キュベット供給部101から供給されたキュベットC1およびピペットチップ供給部102から供給されたピペットチップC2を用いて検体測定を行うための測定機構部として、検体分注アーム111と、R1試薬分注アーム112と、R2試薬分注アーム113と、R3試薬分注アーム114と、反応部120と、1次BF(Bound Free)分離部131と、2次BF分離部132と、R4/R5試薬供給部140と、試薬設置部150と、検出部160と、を備えている。
【0121】
図12に示すように、キュベット供給部101およびピペットチップ供給部102の上部には、それぞれ蓋301aおよび蓋302aが設けられている。ユーザは、蓋301aを開けて、測定動作で用いるキュベットC1をキュベット供給部101内に投入し、蓋302aを開けて、測定動作で用いるピペットチップC2をピペットチップ供給部102内に投入する。
【0122】
図11に戻り、検体測定ユニット1aでは、測定対象である血液などの検体と緩衝液(R1試薬)とを混合させ、得られた混合液に、検体に含まれる抗原に結合する捕捉抗体を担持した磁性粒子を含む試薬(R2試薬)を添加する。抗原と結合した捕捉抗体を担持する磁性粒子を1次BF分離部131の磁石に引き寄せることにより、捕捉抗体と結合しなかった検体内の成分を除去する。そして、標識抗体(R3試薬)をさらに添加した後に、標識抗体および抗原に結合した捕捉抗体を担持する磁性粒子を2次BF分離部132の磁石に引き寄せることにより、未反応の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)および標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原が定量的に測定される。
【0123】
ピペットチップラック設置部212は、ピペットチップC2を、検体分注アーム111によるチップ装着位置(図示せず)に1つずつ供給する。チップ装着位置に位置付けられたピペットチップC2は、検体分注アーム111のピペット(図示せず)の先端に装着される。
【0124】
R1試薬分注アーム112は、ピペット(図示せず)を用いて、試薬設置部150に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を試薬吐出位置P1のキュベットC1に吐出する。R1試薬が吐出されたキュベットC1は、図示しないキャッチャにより検体の位置P2に位置付けられる。検体分注アーム111は、装着されたピペットチップC2を用いて、検体設置ユニット4から位置P3に搬送された検体容器内の検体を吸引し、吸引した検体を位置P2のキュベットC1に吐出する。このキュベットC1は、図示しないキャッチャにより、反応部120に移送される。検体分注アーム111による1つの検体の分注が終了すると、この検体の分注に使用されたピペットチップC2は、第2搬送路Rに戻される。
【0125】
R2試薬分注アーム113は、ピペット(図示せず)を用いて、試薬設置部150に設置されたR2試薬を吸引し、吸引したR2試薬を、R1試薬および検体を収容するキュベットC1に吐出する。
【0126】
反応部120は、試薬設置部150の周囲を取り囲むように円環状に形成されており、外形に沿って所定間隔に配置された複数のキュベット設置部120aを有する。また、反応部120は、回転可能に構成されており、キュベット設置部120aを、各種処理(試薬の分注など)が行われるそれぞれの処理位置まで移動させる。キュベット設置部120aにセットされたキュベットC1は約42℃に加温される。これにより、キュベットC1内の検体と各種試薬との反応が促進される。
【0127】
検体、R1試薬およびR2試薬を収容するキュベットC1は、図示しないキャッチャにより反応部120から1次BF分離部131に移送される。1次BF分離部131は、キュベットC1内の試料から捕捉抗体と結合しなかった検体内の成分を除去する。R3試薬分注アーム114は、ピペット(図示せず)を用いて、試薬設置部150に設置されたR3試薬を吸引し、吸引したR3試薬を1次BF分離部131から反応部120に移送されたキュベットC1に吐出する。
【0128】
1次BF分離部131による除去処理後の試料とR3試薬とを収容するキュベットC1は、図示しないキャッチャにより反応部120から2次BF分離部132に移送される。2次BF分離部132は、未反応の標識抗体を含むR3試薬を除去する。R4/R5試薬供給部140は、図示しないチューブにより、2次BF分離部132による除去処理後の試料を収容するキュベットC1に、R4試薬およびR5試薬を順に分注する。
【0129】
検出部160は、キュベットC1内の所定の処理が行われた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。検出部160による1つの検体の測定が終了すると、この検体を収容するキュベットC1は、図示しないキャッチャにより第2搬送路Rに戻される。
【0130】
図13は、キュベット供給部101の構成を示す斜視図であり、図14の(a)は、キュベット供給部101を側面から見たときの断面図である。図14の(b)、(c)は、揺動レール523gと移送レール531gの構成を示す斜視図である。なお、図13および14に示すx、y、z方向は、その他の図面で示したx、y、z方向とは必ずしも一致しない。
【0131】
<<キュベットC1の移送>>
まず、キュベット供給部101の構成と共に、キュベット供給部101によってキュベットC1が移送される手順について説明する。キュベット供給部101の内部に投入されたキュベットC1は、第2貯留部52gに移送される。
【0132】
図13図14の(a)を参照して、第2貯留部52gは、第2ホッパー521と、発光部と受光部からなるセンサ522と、揺動レール523と、揺動ガイド524とを備えている。第2ホッパー521の底面には斜面が形成されている。第2ホッパー521には、数個のキュベットC1が貯留されるよう、第1貯留部51gからキュベットC1が移送される。第1貯留部51gから移送されたキュベットC1は、第2ホッパー521の底面から順に積み重なって貯留される。センサ522は、第2ホッパー521の底面に位置するキュベットC1を検出する。
【0133】
図14の(a)、(b)を参照して、揺動レール523は、一対の扇形状の板523aと、一対の板523aに挟まれるように固定されるスペーサ523bを備えている。一対の板523aの間隔d3(スペーサ523bの厚み)は、キュベットC1の鍔部C11の直径d11よりも小さく、且つ、胴部C12の直径d12よりも大きい。また、一対の板523aには、それぞれ、軸孔523cが形成されている。y軸負方向側の板523aの軸孔523cは、y軸負方向側から軸支され、y軸正方向側の板523aの軸孔523cは、y軸正方向側から軸支される。これにより、揺動レール523は、y軸回りに回動可能となる。また、スペーサ523bには、切欠523dが形成されており、一対の板523aとスペーサ523bにより、空間S1が形成される。
【0134】
揺動ガイド524は、揺動レール523の外側に接する一対の扇形状の板524aと、一対の板524aに挟まれるように固定されるスペーサ524bを備えている。一対の板524aには、それぞれ、軸孔524cが形成されており、一対の板524aは、それぞれ、y軸負方向側とy軸正方向側から軸支される。これにより、揺動ガイド524は、y軸回りに回動可能となる。
【0135】
このように構成された揺動レール523と揺動ガイド524は、一体的に回動可能となるよう連結されている。キュベットC1は、揺動レール523と揺動ガイド524が揺動されることにより、揺動レール523と揺動ガイド524のスペーサ524bとの間を通って移送部53gの移送レール531に送り出される。
【0136】
図13図14の(a)、(c)を参照して、移送部53gは、一対の移送レール531と、カバー532と、反射型のセンサ533、534を備えている。一対の移送レール531の間隔d4は、一対の板523aの間隔d3と同じである。一対の移送レール531の間に設けられた間隔d4により、空間S2が形成される。
【0137】
揺動レール523と揺動ガイド524(以下、「揺動部」という)によって送り出されたキュベットC1は、一対の移送レール531の上辺に沿って自重によって滑り落ち、移送レール531の下から順に一列になって並ぶ。このとき、キュベットC1の胴部C12は空間S2に入り込み、鍔部C11のみが一対の移送レール531の上辺に支持された状態となる。
【0138】
カバー532は、移送レール531の上方を保護するために設置されている。センサ533、534は、それぞれ、移送レール531の中段付近と、移送レール531の最下段付近に設置されている。センサ533は、センサ533の正面(y軸正方向)位置(移送レール531の中段位置)にあるキュベットC1を検出し、センサ534は、センサ534の正面(y軸正方向)位置(移送レール531の最下段位置P4)にあるキュベットC1を検出する。
【0139】
図15の(a)、(b)は、第2ホッパー521の底面にあるキュベットC1が、揺動部により送り出される手順を示す図である。まず、揺動レール523と揺動ガイド524が下方向に回動され、図15の(a)に示す位置に位置付けられる。これにより、第2ホッパー521の底面に位置付けられている1個のキュベットC1が、揺動レール523とスペーサ524bとの間に引き込まれる。
【0140】
続いて、揺動レール523と揺動ガイド524が上方向に回動され、図15の(b)に示す位置に位置付けられる。これにより、揺動レール523とスペーサ524bとの間に引き込まれたキュベットC1が、一対の板523aの上辺(スペーサ524bと向かい合う端部)に沿って自重によって滑り落ち、一対の移送レール531上に送り出される。
【0141】
このとき、滑り落ちるキュベットC1は空間S1に差し掛かると、位置t1のキュベットC1に示すように、鍔部C11が一対の板523aの上辺に支持され、胴部C12が空間S1の間に入り込む。位置t1のキュベットC1は、さらに自重によって滑り落ちると、位置t1と同様、鍔部C11が一対の板523aの上辺に支持され、胴部C12が空間S1の間に入り込んだ状態で位置t2に位置付けられる。位置t2のキュベットC1は、さらに自重によって滑り落ちると、位置t1、t2と同様、鍔部C11が一対の移送レール531に支持され、胴部C12が空間S2の間に入り込んだ状態で位置t3に位置付けられる。
【0142】
なお、図15の(a)、(b)では、キュベットC1が、胴部C12を先頭にして、揺動レール523とスペーサ524bとの間に入る場合について示したが、キュベットC1は、鍔部C11を先頭にして揺動レール523とスペーサ524bとの間に入った場合でも、キュベットC1は、上記の場合と同様にして移送レール531に送り出される。すなわち、鍔部C11を先頭にして空間S1に差し掛かったキュベットC1は、上記と同様に、鍔部C11が一対の板523aの上辺に支持され、胴部C12が空間S1の間に入り込む。このため、移送レール531に送り出されたキュベットC1は、上記と同様、鍔部C11が移送レール531に支持された状態となる。
【0143】
切り出し部54gは、移送レール531の最も下に位置付けられているキュベットC1を停止させる。また、切り出し部54gは、測定動作においてキュベットC1が必要になると、移送レール531に並ぶキュベットC1のうち、最も下に位置付けられているキュベットC1のみを、試薬吐出位置P1まで搬送する。
【0144】
なお、移送レール531上のキュベットC1は、センサ533の正面(y軸正方向)位置まで並び、センサ533の正面位置よりも高い位置には並ばない。また、移送レール531上には、カバー532が設置されている。
【0145】
<<キュベットキャッチ>>
次に、検体測定ユニット1a、1bにおいて、キュベットC1を移送する機能を有するキュベットキャッチの構成を図16の(a)および(b)を用いて説明する。図16の(a)および(b)は、移送部の腕部に設けられているキュベットキャッチの構成例を示す模式図である。なお、図16に示すx、y、z方向も、図13および14と同様、他の図に示されたx、y、z方向とは必ずしも一致しない。
【0146】
図16の(a)に示すようにキュベットキャッチは、支持部材267hのZ軸負側の面に、腕部267ahのY軸正側の端部が設置されている。したがって、キュベットキャッチの腕部267ahは、支持部材267hの移動に伴い、Y軸方向に移動する。腕部267ahのY軸負側の端部には、一対の爪267bhがX軸方向に接近および離間可能に設けられている。一対の爪267bhの間にバネ267chが架けられている。これにより、一対の爪267bhは、互いに接近する方向に付勢される。図16の(a)のように、一対の爪267bhは、所定の間隔の位置で移動が規制され、この位置に位置決めされる。
【0147】
モータが駆動され、支持部材267hがY軸負方向に移動されると、腕部267ahがY軸負方向に移動する。図16の(a)のように一対の爪267bhがキュベットC3の側面に当った状態から、さらに、腕部267ahがY軸負方向に移動されると、爪267bhがキュベットC3の側面を滑って、互いに離間する方向に開く。これにより、図16の(b)に示すように、一対の爪267bhがキュベットC3を把持する。バネ267chは、一対の爪267bhに、キュベットC3を把持する力を付与する。一対の爪267bhは、キュベットC3を把持する把持部を構成する。キュベットC3の把持の解除は、たとえば、キュベットC3を保持部(図示せず)に挿入した状態で、爪272bhをY軸正方向に移動させる。これにより、爪267bhがキュベットC3の側面を滑って、キュベットC3の把持が解除される。例えば、検体測定ユニット1bにおいて使用された後のキュベットC3は、収納部rrbに収容される。
【0148】
<<緊急検体・チップ搬送部20hおよび検体分注アーム111>>
次に、検体測定ユニット1a、1bが備える緊急検体・チップ搬送部20hおよび検体分注アーム111の構成について図16の(c)を用いて説明する。図16の(c)は、緊急検体・チップ搬送部20hおよび検体分注アーム111の構成例を示す側面図である。なお、緊急検体・チップ搬送部20hは、検体設置ユニット4から搬送される検体に割り込んで検査する必要がある緊急検体を収容した検体容器C3を検体分注アーム111の装着位置まで搬送するように構成されている。この緊急検体・チップ搬送部20hは、スライドレール21hおよびスライドレール21hに沿って移動可能に設けられるスライド本体22hからなる直動ガイドと、スライド本体22hに取り付けられる搬送ラック23hと、搬送ラック23hの下部に取り付けられる検出片24hと、検出片24hによって遮光される遮光センサ25hとを含んでいる。また、搬送ラック23hには、緊急の検体が収容された検体容器C3を載置するための試験管設置部23ahと、ピペットチップC2を供給する機構30hから供給されるピペットチップC2を載置するための長穴状のチップ設置部23bhとが設けられている。また、検出片24hは、ピペットチップを供給する機構30hからピペットチップC2を受け取る位置に配置された場合に、遮光センサ25hを遮光するように配置されている。そして、搬送ラック23hは、図示しないモータからの駆動力によりスライドレール21hに沿って移動することにより、緊急の検体が収容された検体容器C3およびピペットチップC2を検体分注アーム111の装着位置まで搬送する。
【0149】
図16の(c)に示すように、検体分注アーム111のアーム部のノズル部111aを装着位置まで回動させた後、そのアーム部を下方に移動させることにより、アーム部のノズル部111aの先端111bをピペットチップC2の装着部C21に圧入する。これにより、ピペットチップC2を供給する機構30hから検体分注アーム111にピペットチップC2が供給される。
【0150】
続いて、検体分注アーム111からピペットチップC2を脱離させる動作について図16の(d)を用いて説明する。図16の(d)は、検体分注アーム111に装着されたピペットチップC2の脱離動作を説明するための側面図である。
【0151】
ピペットチップC2を装着した検体分注アーム111を上方に移動させることにより、チップ脱離部140hの解除片142hの下面とピペットチップC2の装着部C21の上面とを接触させる。この後、図16の(d)に示すように、検体分注アーム111を上方に移動させることにより、アーム部のノズル部111aの先端111bからピペットチップC2が脱離される。例えば、検体測定ユニット1bにおいて使用された後のピペットチップC2は、キュベットC1と同様、収納部rrbに収容される。
【0152】
図17は、緊急検体・チップ搬送部20hの構成例を示す斜視図である。図17に示すように、ピペットチップC2は緊急検体・チップ搬送部20hの搬送ラック23hのチップ設置部23bhに設置される。この際、緊急検体・チップ搬送部20hの検出片24hが遮光センサ25hにより検出されることにより、緊急検体・チップ搬送部20hがピペットチップC2を受け取り可能な位置に配置されている。
【0153】
そして、搬送ラック23hのチップ設置部23bhに載置されるピペットチップC2は、検体分注アーム111の装着位置に対応する位置まで搬送される。そして、検体分注アーム111のアーム部のノズル部111aを装着位置まで回動させた後、そのアーム部を下方に移動させることにより、アーム部のノズル部111aの先端111bをピペットチップC2の装着部C21に圧入する。これにより、ピペットチップC2を供給する機構30hから検体分注アーム111にピペットチップC2が供給される。
【0154】
<<検体移送路KTa、KTb>>
ここでは、検体測定ユニット1a、1bが検体搬送路KFから検体ラックC30を取り込む動作について、図18を用いて説明する。図18は、検体測定ユニット1a、1bにおける、検体容器C3を搬送する検体搬送路KFおよび検体搬送路KFから検体ラックC30を搬入する機構の一例を説明するための模式図である。なお、図18では、短い部分搬送路KFaが一列に配列することによって、検体搬送路KFが形成されている場合を例に挙げて説明するが、この構成に限定されない。
【0155】
図18の(a)~(c)に示すように、検体測定ユニット1a、1bはそれぞれ、検体搬送路KFから供給された検体ラックC30を複数貯留する検体ラック貯留部180a、180b(検体貯留部)を備えている。また、検体測定ユニット1a、1bのそれぞれにおいて、検体分注アーム111により検体が分注される位置には移送機構181a、181b(昇降機構)が設けられている。移送機構181a、181bは、部分搬送路KFxとしての機能を有している。図18の(a)は、検体ラック貯留部180bに空きができた検体測定ユニット1bに対して、検体ラックが搬送されてきた様子を示している。なお、検体ラックC30が着実に供給されるように、検体測定ユニット1bは、検体搬送路KF上の検体ラックC30が通り過ぎないように停止させるストッパーSbを作動させてもよい。検体測定ユニット1aの検体ラック貯留部180aに空きが無い場合、ストッパーSaは作動しておらず、検体搬送路KF上の検体ラックC30が通り過ぎる。
【0156】
次に、図18の(b)および(c)に示すように、検体移送路KTbによって、検体測定ユニット1bが検体ラックC30を検体ラック貯留部180bに搬入する。検体測定ユニット1aも、検体測定ユニット1bと同様に、検体ラックC30を検体搬送路KFから検体ラック貯留部180aに搬入する機構を備えている。
【0157】
次に、検体測定ユニット1a、1bから測定を終えた検体を収容している検体容器C3を保持した検体ラックC30を検体回収路KRまで移送する構成について図19を用いて説明する。図19は、検体測定ユニット1a、1bから検体ラックC30を検体回収路KRに移送する構成例を示す模式図である。なお、図19では、短い部分搬送路KRaが一列に配列することによって、検体搬送路KRが形成されている場合を例に挙げて説明するが、この構成に限定されない。
【0158】
検体測定ユニット1a、1bの筐体内で測定を終えた検体を収容している検体容器C3を保持した検体ラックC30は、まず、昇降機構により移送機構181bごと下段に移送され、検体搬送路KFの下に設けられている検体回収路KRの位置までさらに移送される。なお、昇降機構としては、例えば、エレベータ方式、すべり台方式などが考えられる。ただし、検体を移送する場合、検体容器に衝撃が加わることは好ましくないため、検体容器の移送では、水平を保ったまま高さ方向に移送可能なエレベータ機構が望ましい。検体ラックC30と共に検体移送路KTbに沿って移動してきた移送機構181bが、検体回収路KRを構成していた部分搬送路KFxと置き換わることにより、検体ラックC30の検体回収路KR上への移送が完了する。なお、移送機構181bと置き換わった部分搬送路KFxは、検体測定ユニット1bの筐体内に移動し、検体測定ユニット1bにおける移送機構181bとして機能する構成であってもよい。
【0159】
<消耗品設置ユニット2>
図20の(a)~(d)は、消耗品設置ユニット2の概略構成を示す斜視図である。図20の(a)~(d)に示すように、消耗品設置ユニット2の左側面には、開口部20KF1、20KR1が形成されている。消耗品設置ユニット2の左側面とは、検体仕分けユニット3と対向する側の面である。開口部20KF1には、検体設置ユニット4から検体搬送路KFを介して搬送される検体容器または検体ラックC30が入る。開口部20KR1からは、検体測定ユニット1a、1bで使用された検体容器または検体ラックC30が検体回収路KRに向かって搬出される。
【0160】
一方、消耗品設置ユニット2の右側面には、開口部20F2、20R2、21F2、21R2、20KF2、20KR2が形成されている。消耗品設置ユニット2の右側面とは、検体測定ユニット1aと対向する側の面である。開口部20F2、21F2からは、検体測定ユニット1a、1bで使用される消耗品が第1搬送路Fに向かって搬出される。具体的には、開口部20F2、21F2からはそれぞれ、検体測定ユニット1a、1bで使用されるキュベットC1およびピペットチップC2が第1搬送路Fに向かって搬出される。
【0161】
開口部20R2、21R2には、検体測定ユニット1a、1bで使用された消耗品が第2搬送路Rを介して入る。具体的には、開口部20R2、21R2にはそれぞれ、検体測定ユニット1a、1bで使用されたキュベットC1およびピペットチップC2が第2搬送路Rを介して入る。
【0162】
開口部20KF2からは、検体測定ユニット1a、1bで使用される検体容器または検体ラックC30が検体搬送路KFに向かって搬出される。開口部20KR2には、検体測定ユニット1a、1bで測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30が検体回収路KRを介して入る。
【0163】
消耗品設置ユニット2は、検体測定ユニット1a、1bにて使用される消耗品を保持しているユニットである。消耗品設置ユニット2は、検体測定ユニット1a、1bの各々で使用されるキュベットC1およびピペットチップC2をそれぞれ消耗品ラックC10、C20に収納して第1搬送路Fに搬出する。
【0164】
消耗品設置ユニット2は筐体を備え、その筐体の内部は、図20に示すように、高さ方向に複数の階層に分かれている。筐体内の上層部には、複数の消耗品および消耗品を複数保持するための消耗品ラックC10、C20がユーザによって設置される消耗品ラック設置部21、および、回収された空の(すなわち、消耗品を保持していない)消耗品ラックC10、C20を保持する消耗品ラック回収部22が設けられている。
【0165】
窓23は、検体設置ユニット4から検体搬送路KFによって搬送される検体ラックC30が視認できる窓であり、窓24は、検体測定ユニット1a、1bから検体回収路KRによって搬送される検体ラックC30が視認できる窓である。
【0166】
筐体内の下層部には、消耗品集積部26、および使用済試薬容器集積部25が設けられている。消耗品集積部26は、検体測定ユニット1a、1bにおいて使用され使用済となった消耗品が集められる容器である。使用済試薬容器集積部25は、検体測定ユニット1a、1bのいずれかにおいて使用され、空になった試薬容器が集められる容器である。
【0167】
消耗品集積部26は、ユーザによってY軸正方向に引き出されるように構成されている。これにより、ユーザは、消耗品集積部26に集められた消耗品を容易に取り出して廃棄することができる。
【0168】
使用済試薬容器集積部25の底面はY軸正方向に向かって高さが低下するように傾斜が設けられている。この傾斜に沿って、使用済試薬容器集積部25に集められた試薬容器は前面側に移動するため、ユーザが試薬容器を使用済試薬容器集積部25から取り出しやすい。
【0169】
<検体設置ユニット4>
検体設置ユニット4は、検体測定ユニット1a、1bにて行われる測定に供する検体を保持しているユニットである。
【0170】
図21の(a)~(d)は、検体設置ユニット4の概略構成を示す斜視図である。図21の(a)~(d)に示すように、検体設置ユニット4の右側面には、開口部40KF、40KR、40KRx、40KRyが形成されている。検体設置ユニット4の右側面とは、検体仕分けユニット3と対向する側の面である。開口部40KFからは、検体測定ユニット1a、1bで使用される検体容器または検体ラックC30が検体搬送路KFに向かって搬出される。開口部40KRには、検体測定ユニット1a、1bにて測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30が検体回収路KRを介して入る。
【0171】
開口部40KRxには、検体仕分けユニット3において「再測定検体」であると仕分けされた検体容器C30または検体ラックC30が、再測定検体搬送路KRxを介して入る。開口部40KRyには、検体仕分けユニット3において「測定済検体」であると仕分けされた検体ラックC30が、測定済検体搬送路KRyを介して入る。
【0172】
また、検体設置ユニット4は、図22に示すように、検体ラックC30を保持するカート43を備えている。カート43は、検体設置ユニット4の内部に収納されている。カート43はキャスター44を備えており、検体設置ユニット4の筐体の外部に容易に引き出される。カート43の上段は検体ラック設置部41であり、下段は検体ラック回収部42である。検体測定システム100を使用する検査技師などは、カート43を検体設置ユニットから引き出して、処理を行う対象である検体を収容している検体ラックC30をカート43の上段に戴置したり、測定が済んでいる検体を収容している検体容器C3をこのカート43の下段から取り出したりすることを容易に行うことができる。
【0173】
<検体仕分けユニット3>
検体仕分けユニット3は、検体測定ユニット1a、1bにおける処理の結果に基づいて、測定後の検体を仕分ける機能を有する機能ユニットである。
【0174】
図23の(a)~(d)は、検体仕分けユニット3の概略構成を示す斜視図である。図23の(a)~(d)に示すように、検体仕分けユニット3の左側面には、開口部30KF1、30KRx、30KRyが形成されている。検体仕分けユニット3の左側面とは、検体設置ユニット4と対向する側の面である。開口部30KF1には、検体設置ユニット4から検体搬送路KFを介して搬送される検体容器または検体ラックC30が入る。開口部30KRxからは、検体仕分けユニット3によって「再測定検体」および「要再検査検体」であると判定された検体容器または検体ラックC30が、再測定検体搬送路KRxに向けて搬出される。開口部40KRyからは、検体仕分けユニット3によって「測定済検体」であると判定された検体容器または検体ラックC30が、測定済検体搬送路KRyに向けて搬出される。
【0175】
一方、検体仕分けユニット3の右側面には、開口部30KF2、30KR2が形成されている。検体仕分けユニット3の右側面とは、消耗品設置ユニット2と対向する側の面である。開口部30KF2からは、検体測定ユニット1a、1bで使用される検体容器または検体ラックC30が検体搬送路KFに向かって搬出される。開口部30KR2には、検体測定ユニット1a、1bで測定された検体を収容している検体容器C3を保持している検体ラックC30が検体回収路KRを介して入る。
【0176】
次に、検体仕分けユニット3による検体の仕分けの方法について図24を用いて説明する。検体仕分けユニット3は、情報管理装置7からの指示に従って、各検体を「測定済検体」、「再測定検体」、および「要再検査検体」のいずれかに仕分ける。情報管理装置7は、各検体についての測定結果を各検体測定ユニット1a、1bから取得し、所定の仕分け基準と測定結果との比較に基づいて、各検体が「測定済検体」、「再測定検体」、および「要再検査検体」のいずれかに仕分けられるべきかを決定する。なお、情報管理装置7ではなく検体仕分けユニット3が、各検体ラックC30の仕分けの判断を行う構成であってもよい。
【0177】
例えば、検体仕分けユニット3は、測定が正常に完了した検体を収容している検体容器C3のみを保持する検体ラックC30を「測定済検体」として仕分ける。「測定済検体」として仕分けられた検体ラックC30は、測定済検体搬送路KRyから検体設置ユニット4へ搬送される。
【0178】
例えば、検体仕分けユニット3は、測定値が正常値から所定の基準範囲以上外れている検体を収容する検体容器を少なくとも1つ保持している場合、その検体ラックC30を「再測定検体」として仕分ける。「再測定検体」として仕分けられた検体ラックC30は、再測定検体搬送路KRxから検体設置ユニット4へ搬送された後に、再度、検体設置ユニット4から検体測定ユニット1a、1bに搬送される。
【0179】
例えば、検体仕分けユニット3は、以下の(1)および(2)の条件を満たす検体ラックC30を「要再検査検体」として仕分ける。「要再検査検体」として仕分けられた検体ラックC30は、検体仕分けユニットの仕分け部32から要再検査検体貯留部31に移送される。要再検査検体貯留部31に移送された検体ラックC30は、検査技師などのユーザによって取り出されるまで、要再検査検体貯留部31に保持される。
【0180】
検体仕分けユニット3も、検体設置ユニット4と同様、検体ラックC30を保持するカート33を備えている。カート33は、検体仕分けユニット3の内部に収納されている。カート33はキャスター34を備えており、検体仕分けユニット3の筐体の外部に容易に引き出される。これにより、ユーザは、要再検査検体貯留部31に貯留している検体ラックC30を容易に取り出すことができる。
【0181】
(1)測定値が正常値から外れている度合いは所定の基準範囲未満である。
【0182】
(2)被験者から再度、検体を採取することが望ましい検体、あるいは検査技師による確認作業を要求すべき検体を少なくとも1つ保持している。
【0183】
例えば、検体に乳び(chyle)が見られる場合、免疫系検査に関する測定値が影響を受ける場合がある。乳びが認められる検体では、被験者から検体を採取し直したり、検体に対して遠心分離を行って検体中の乳びと血漿とをしっかりと分離した直後に測定を行うようにしたりする必要がある。このような検体などが上記「要再検査検体」に該当する。
【0184】
なお、検体測定システム100が備える各機能ユニットの台数は図1に示す例に限定されない。例えば、検体設置ユニット4および検体仕分けユニット3の数も、1台であってもよいし、2台より多くてもよい。ただし、検体設置ユニット4の数と検体仕分けユニット3の数とは、互いが保持できる総検体数に差が無いように決定されることが望ましい。検体設置ユニット4が保持可能な検体数と検体仕分けユニット3が保持可能な検体数とが等しい場合、検体測定システム100が備える両者の台数は等しくすることが望ましい。
【0185】
<試薬容器保持ユニット5>
試薬容器保持ユニット5は、検体測定ユニット1a、1bが測定に使用する試薬を収容している試薬容器が保持されている機能ユニットである。試薬容器保持ユニット5の構成について、図25を用いて説明する。図25は、試薬容器保持ユニット5の概略構成を示す斜視図である。
【0186】
図25に示すように、試薬容器保持ユニット5の左側面には、試薬容器を搬送する試薬搬送路LFのための開口部50LFが設けられている。
【0187】
<<試薬容器の搬送、使用済試薬容器の回収>>
情報管理装置7は、試薬容器保持ユニット5に対して、検体測定ユニット1a、1bに供給すべき試薬容器に関する情報(例えば、前述の試薬ID)を送信し、試薬容器保持ユニット5は、対象となる試薬IDが付与された試薬容器を取り出して、試薬搬送路LFに移送する。
【0188】
試薬容器保持ユニット5が取り出した試薬容器は、試薬容器保持ユニット5から試薬容器専用の搬送路である試薬搬送路LFを介して検体測定ユニット1a、1bに搬送される。
【0189】
情報管理装置7は、検体測定ユニット1a、1bに回収すべき試薬容器に関する情報(例えば、前述の試薬ID)を送信する。検体測定ユニット1a、1bは、回収されるべき試薬容器を試薬IDに基づいて特定し、その試薬登記を取り出して、所定の位置まで移送する。ここで、回収すべき試薬容器とは、検体測定ユニット1a、1bにおいて空になった試薬容器、あるいは有効期限が切れた試薬を収容している試薬容器等である。
【0190】
試薬容器保持ユニット5は、試薬R1~R5が冷蔵保管されることが要求される試薬である場合、保冷庫としての機能を備えており、試薬容器保持ユニット5の筐体内に保持されている試薬容器内の試薬R1~R5は所定の温度にて維持される。例えば、試薬容器保持ユニット5は試薬R1~R5を収容する試薬容器を、2~8℃にて保持する。なお、試薬容器保持ユニット5から試薬容器を検体測定ユニット1a、1bへ搬出する場合、搬送中は試薬容器が室温に曝されることになることを考慮して、試薬容器保持ユニット5が試薬容器を保持する温度は、低めの温度に設定されることが望ましい。あるいは、試薬R1~R5を収容する試薬容器が、外気の温度からの影響を受けにくい材料を用いて製造されていてもよい。
【0191】
図26は、試薬容器保持ユニット5において試薬容器を試薬搬送路LFに移送する機構の一例を説明する図である。
【0192】
試薬容器保持ユニット5は、各試薬の試薬容器が配置されている試薬容器棚、および、試薬容器棚上の試薬容器を掴んで移動させ、所定の位置に試薬容器を戴置したりするためのクランプ付アーム51a、クランプ付アーム51aを移動させるためのレールRを備えている。
【0193】
レールRに沿ってクランプ付アーム51aが上下に移動し、各試薬容器棚上の位置Qに戴置されている試薬容器を把持し、位置Pまで移送することができる。位置Pに移送された試薬容器は、試薬搬送路LFを介して、検体測定ユニット1a、1bにまで搬送される。
【0194】
<洗浄液保持ユニット6>
検体測定システム100は、検体測定ユニット1a、1bにおける、試薬R1~R5のそれぞれが通る流路およびノズルなどを自動で洗浄する機能を有していてもよい。この場合、検体測定システム100は、上述のユニットの他に、洗浄液保持ユニット6を備えていてもよい。洗浄液保持ユニット6は、検体測定ユニット1a、1bの流路を洗浄するために使用される洗浄液が保持された機能ユニットである。
【0195】
ここでは、図27を用いて洗浄液保持ユニット6の構成を説明する。図27は、洗浄液保持ユニット6の概略構成を示す斜視図である。洗浄液保持ユニット6は、洗浄液が収容されている洗浄液容器61、および洗浄液容器61から洗浄液を吸い出す洗浄液ポンプ62を保持している。洗浄液保持ユニット6と、検体測定ユニット1a、1bとの間には、検体測定ユニット1a、1bの所定の流路およびノズルなどに洗浄液が供給されるように洗浄液供給流路(図示せず)が設けられる。
【0196】
洗浄液保持ユニット6も、洗浄液容器61を戴置するカート63を備えている。カート63は、洗浄液保持ユニット6の内部に収納されている。カート63はキャスター64を備えており、洗浄液保持ユニット6の筐体の外部に容易に引き出される。これにより、ユーザは、洗浄液保持ユニット6に洗浄液容器61を容易に戴置することができる。
【0197】
この洗浄液流路には開閉バルブ(図示せず)が設けられている。この開閉バルブは、洗浄液ポンプ62と共に情報管理装置7によって制御され得る。検体測定システム100が、このような構成を備えている場合、例えば、情報管理装置7は、洗浄液保持ユニット6にて保持されている洗浄液容器内の洗浄液残量、および検体測定ユニット1a、1bにおいて行われた洗浄処理の回数などの情報を管理している。
【0198】
情報管理装置7は、検体測定ユニット1a、1bにて測定が行われている間は、洗浄液が検体測定ユニット1a、1bに流れ込まないように閉状態を維持している。情報管理装置7は、例えば、検体測定ユニット1aが全ての検体の測定を終えた場合、あるいは、検体測定ユニット1aが所定の回数の測定を終えた場合に、検体測定ユニット1aへの洗浄液供給流路に設けられたバルブを開状態に遷移させ、洗浄液ポンプを作動させてもよい。これにより、検体測定ユニット1aが全ての検体の測定を終えた場合、あるいは、検体測定ユニット1aが所定の回数の測定を終えた場合に自動的に所定の流路およびノズルに洗浄液が送液されるため、流路の汚れ・詰まりを防止することができる。
【0199】
なお、洗浄液保持ユニット6が保持している洗浄液容器に収容されている洗浄液の容量が、所定の処理回数分である場合、情報管理装置7は、洗浄液容器61が洗浄液保持ユニット6に収納されてから以降に、検体測定ユニット1a、1bにおいて行われた洗浄回数を示す情報を管理してもよい。
【0200】
なお、検体測定システム100の情報管理装置7および各機能ユニットの制御部は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0201】
後者の場合、検体測定システム100の情報管理装置7および各機能ユニットの制御部は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0202】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0203】
検体測定ユニット1a、1bは、消耗品、検体、および試薬のいずれが枯渇しても検体の測定を行うことができない。例えば、検体測定システム100が備える第1搬送路F、第2搬送路KF、および試薬容器搬送路LFなどのいずれかに不具合が生じた場合、検体測定ユニット1a、1bに対する消耗品、検体、および試薬の供給が途絶えてしまう。このような場合、第1搬送路F、検体搬送路KF、および試薬容器搬送路LFなどの不具合が解消されるまで、検体測定システム100における検体の測定が停止してしまう。
【0204】
病院および検査機関での検体処理数は近年ますます増加しており、病院および検査機関では、検体測定ユニット数が多い(例えば、5台、10台)検体測定システム100を導入する可能性が高い。しかし、検体測定ユニット数を増やせば、第1搬送路F、検体搬送路KF、および試薬容器搬送路LFの長さが延びるため、第1搬送路F、検体搬送路KF、および試薬容器搬送路LFの不具合が生じる頻度が増すかもしれない。
【0205】
そこで、検体測定システム100は、これらの搬送路から検体測定ユニット1a、1bへの消耗品、検体、および試薬の供給が停止した場合も、測定を直ちに中断する必要が無く、測定を継続させることが可能な構成を備えることが望ましい。
【0206】
(第1搬送路Fから検体測定ユニット1a、1bへの消耗品ラックC10、C20の供給が停止した場合)
検体測定ユニット1a、1bはそれぞれ、第1搬送路Fから供給された消耗品ラックC10、C20を複数貯留する消耗品ラック貯留部182a、182b(図18参照)、および第1搬送路Fとは異なる経路からの消耗品の供給を受け付けるキュベット供給部101、ピペットチップ供給部102(図11参照)、および、緊急検体・チップ搬送部20hを備えている。
【0207】
検体測定ユニット1a、1bが検体の測定を継続中に、第1搬送路Fからの消耗品の供給が停止した場合、検体測定ユニット1a、1bは、消耗品ラック貯留部182aおよび182bに貯留されている消耗品ラックC10、C20に保持されている消耗品、およびキュベット供給部101およびピペットチップ供給部102に供給された消耗品を使用して検体の測定を継続することができる。
【0208】
これにより、検体測定システム100は、第1搬送路Fから検体測定ユニット1a、1bへの消耗品の供給が停止した場合も、測定を直ちに中断することなく、処理を継続させることができる。よって、消耗品が消耗品設置ユニット2から供給されなくなった状態であっても検体の測定を続行でき、ダウンタイムの低減を図ることができる。
【0209】
(第2搬送路KFから検体測定ユニット1a、1bへの検体容器の供給が停止した場合)
検体測定ユニット1a、1bはそれぞれ、図18に示すように、検体搬送路KFからの、検体を保持している検体ラックC30を貯留する検体ラック貯留部180aおよび180b、および検体搬送路KFとは異なる経路からの検体を保持する検体保持部183a、183bを備えている。ここで、検体搬送路KFとは異なる経路としては、例えば、検体測定システム100を使用する検査技師などによって検体測定ユニット1a、1bに検体ラックC30が手動で直接設置されるような場合が挙げられる。
【0210】
検体測定ユニット1a、1bが検体の測定を継続中に、検体搬送路KFからの検体の供給が停止した場合、検体測定ユニット1a、1bは、検体ラック貯留部180aおよび180bに貯留されている検体、および検体保持部183a、183bに保持されている検体を使用して検体の測定を継続してもよい。
【0211】
これにより、検体測定システム100は、検体搬送路KFから検体測定ユニット1a、1bへの検体の供給が停止した場合も、検体の測定を直ちに中断することなく、測定を継続させることができる。よって、検体が検体設置ユニット4から供給されなくなった状態であっても測定を続行でき、ダウンタイムの低減を図ることができる。
【0212】
(第2搬送路LFから検体測定ユニット1a、1bへの試薬容器の供給が停止した場合)
検体測定ユニット1a、1bは、試薬R1~R5の各試薬容器を、筐体内に複数貯留するように構成されている。
【0213】
検体測定ユニット1a、1bが検体の測定を継続中に、試薬搬送路LFからの試薬容器の供給が停止した場合、検体測定ユニット1a、1bは、筐体内に貯留されている試薬R1~R5の試薬容器を使用して検体の測定を継続してもよい。
【0214】
これにより、検体測定システム100は、試薬搬送路LFから検体測定ユニット1a、1bへの試薬容器の供給が停止した場合も、測定を直ちに中断することなく、検体の測定を継続させることができる。よって、試薬容器が試薬容器保持ユニット5から供給されなくなった状態であっても検体の測定を続行でき、ダウンタイムの低減を図ることができる。
【0215】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0216】
1a、1b 検体測定ユニット
2 消耗品設置ユニット(設置部、ラック設置ユニット)
3 検体仕分けユニット
4 検体設置ユニット(ラック設置ユニット)
5 試薬容器保持ユニット
6 洗浄液保持ユニット
7 情報管理装置
21 消耗品ラック設置部(設置部)
22 消耗品ラック回収部(回収部)
26 消耗品集積部
41 検体ラック設置部
42 検体ラック回収部
101 キュベット供給部
102 ピペットチップ供給部
180a、180b 検体ラック貯留部
181a、181b 移送機構(昇降機構)
182a、182b 消耗品ラック貯留部(消耗品貯留部)
C1 キュベット
C2 ピペットチップ
C3 検体容器
C10、C20 消耗品ラック
C30 検体ラック
F 第1搬送路
R 第2搬送路(空ラック搬送路)
KF 検体搬送路
KR 検体回収路(検体ラック回収路)
LF 試薬容器搬送路
LR 使用済試薬容器搬送路
RR 消耗品回収路
Ta、Tb 消耗品移送路
KTa、KTb 検体移送路
LTa、LTb 試薬容器移送路
図1
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図4A
図4B
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