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特許7117129直列のN-カラムを使用した擬似移動床分離プロセスのための収集及び分配チャネルの新規概念
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  • 特許-直列のN-カラムを使用した擬似移動床分離プロセスのための収集及び分配チャネルの新規概念 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】直列のN-カラムを使用した擬似移動床分離プロセスのための収集及び分配チャネルの新規概念
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20220804BHJP
   B01J 8/04 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B01D15/00 101A
B01J8/04 301
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018074350
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019000842
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】1753216
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック オージエ
(72)【発明者】
【氏名】オード ロワイヨン-ルボー
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ラインクーゲル ル コック
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ヴォナー
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/062609(WO,A1)
【文献】特表2002-537567(JP,A)
【文献】特開2010-046655(JP,A)
【文献】特表2002-504227(JP,A)
【文献】特表2013-532284(JP,A)
【文献】特表2004-525384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0046545(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0057480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00-15/42
B01J 20/281-20/292
G01N 30/00-30/96
B01J 8/00-8/46
C07B 31/00-61/00,63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成分への分離を行うためのカラムに収容された固体粒状(6)における流体の分配又は収集のためのデバイスであって、
- 流入流体は、その中を流体が0.1~5m/sの範囲にある一定速度 channel で流れる可変部を備えた分配チャネル(3)によって分配され、
- 流出流体は、その中を流体が前記の一定速度 channel で流れる可変部を備えた収集チャネル(8)によって収集され、
カラムは、軸方向の流体流れのカラムまたは径方向の流体流れのカラムであり、
軸方向の流体流れのカラムにおいては、
固体粒状床(6)と分配チャネル(3)の壁(4)との間に配置された第1のスクリーン(5)から定義される分配チャネル(3)の高さh sup (r)が、半径方向座標rの関数として、以下のプロファイル:
を有するとともに、
固体粒状床(6)と収集チャネル(8)の壁(9)との間に配置された第2のスクリーン(7)から定義される収集チャネル(8)の高さh inf (r)が、半径方向座標rの関数として、以下のプロファイル:
を有しており、
(式中、V SL は、固体粒状床(6)における流体の空塔速度であり、カラムの断面に対する体積流量の比として定義され、そしてRは、カラムの半径である)
径方向の流体流れのカラムにおいては、
カラムの軸から測られた分配チャネル(3)の壁(4)の半径方向位置r distrib (z)が、以下のプロファイル:
を有するとともに、
壁(9)によって画定される収集チャネル(8)が、以下の半径方向位置プロファイルr collect (z):
を有する、
(式中、V SL は、固体粒状床(6)における流体の空塔速度であり、カラムの断面に対する体積流量の比として定義され、H bed は、カラムの全高であり、そしてzは、カラムへの流体の入口から測られた軸方向座標であり、E bed は、半径方向に定義される固体粒状床(6)の厚さである)
分配又は収集デバイス。
【請求項2】
固体粒状(6)の内部における流体の循環が軸方向であり、そして固体粒状(6)への注入が、カラムの垂直軸を中心とする導管(2)によって行われ、これにより、壁(4)によって画定される水平分配チャネル(3)に供給し、次いで固体粒状床(6)が、前記分配チャネル(3)から第1のスクリーン(5)を通って供給され、そして流体が、固体粒状床(6)を通って垂直方向に流れ、次いで流体が、第2のスクリーン(7)の下に収集され、曲面壁(9)によって画定される収集チャネル(8)から、外縁導管(10)を経由し、そして流れ全体が、カラムの垂直軸を中心とする単一の排出導管(11)に収集される、請求項1に記載の収集デバイスを使用した擬似移動床プロセス。
【請求項3】
固体粒状(6)の内部の流体の循環が半径方向に行われ、流体が、導管(2)を介してカラムの中心に導入され、これにより、壁(4)によって中心に画定される中央チャネル(3)に供給し、次いで固体粒状床(6)を中心から外縁(スクリーン(5)及び(7)によって画定される)に向けて通過し、ここで、壁(9)によって外側に画定される外縁ゾーン(8)に収集され、これにより流体を、実質的にカラムの軸を中心とする排出導管(11)に外縁導管(10)を介して戻す、請求項1に記載の収集バイスを使用した擬似移動床プロセス。
【請求項4】
分離すべき供給材料が7~9個の炭素原子を含む芳香族化合物の任意の混合物である、請求項1に記載のデバイスを使用した擬似移動床分離プロセス。
【請求項5】
分離すべき供給材料がノルマルパラフィンとイソパラフィンとの混合物である、請求項1に記載のデバイスを使用した擬似移動床分離プロセス。
【請求項6】
分離すべき供給材料がノルマルオレフィンとイソオレフィンとの混合物である、請求項1に記載のデバイスを使用した擬似移動床分離プロセス。
【請求項7】
デバイスを通過する流体が600~950kg/mの範囲の密度及び0.1~0.6cPoの範囲の粘度を有する、請求項1に記載のデバイスを使用した擬似移動床分離プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の内容)
本発明は、粒状媒体として知られている固体粒子の媒体中の流体の流れを用いた、直列のN-カラム系における流体の分配及び収集のための新規なデバイスに関する。
【0002】
N個の別個の又は積み重ねられたカラムを連結したもの(すなわち、共通のエンベロープ内に配置されている)は、直列のN-カラム系と称される。各カラムは、その中を主流体が流れる粒状媒体の床を収容している。N個のカラムは、必要に応じて二次流体の注入/混合又は抜き出しを可能にする導管系を介して互いに接続され、これらの注入及び抜き出しはカラム間で行われる。
【0003】
本発明は、主流体を床の底部から、若しくはカラムの全区画から収集するために、又は相互に、前記流体をカラム間導管から次のカラムに移動させるために使用することができるデバイスに関する。
【0004】
本発明は、本質的に、カラムの底部に位置する収集ゾーン又は分配ゾーンの配置からなる。
【0005】
本発明は、非選択的ゾーンとして知られているゾーンの容積を実質的に最小化しながら、床の頭部の分配ゾーン及び床の底部の収集ゾーンを構成している非選択的(すなわち、粒状媒体の外側)と称される2つのゾーンの間のカラムにおける流体の滞留時間の分散の有利な補償を提供するために使用され得る。
【0006】
実際には、本発明は、プロセスが必要とする高レベルの純度及び収率を保証するために、床、分配系、及び注入/収集系における流体流の集合の同期性が特に重要である擬似移動床(SMB:simulated moving bed)分離プロセスに関する。以下では、簡潔化のために、これを流体同期性と称することとする。
【0007】
「流体同期性(fluid synchronicity)」という用語は、カラム断面を並行して移動する複数の流体チャネルに頭の中で分割した場合に、流体チャネルの全てが、可能な限り、同じ滞留時間(カラムの入口からの出口まで)を有する必要があることを意味する。
【0008】
さらに、非選択的ゾーンの容積が少しでも増加すると、同じ性能レベルで、設備内のポンプ周りの流れの望ましくない増加を引き起こし、このことは、プロセスの選択性の問題となるか、又はプロセス全体のエネルギー消費を増加させる。
【背景技術】
【0009】
(従来技術の検討)
従来技術は、多段カラム、すなわち、実質的に垂直な軸に沿って配置された複数のプレートによって構成され、各プレートが粒状固体の床を支持しているカラムのための分配器の寸法決めの方法を開示している。
【0010】
特許文献1、特許文献2は、特に、多段カラム用の擬似移動床吸着の場合に使用される分配/混合デバイスの例を提供している。これらのデバイスは、上流の床から来る主流体の収集、及び該主流体と二次流体の混合、並びに下流の床への混合物の再分配の連続的な機能を遂行する。
【0011】
これらの特許は、カラムの断面をパネル又は半径方向セクタに分割することを記載している。
【0012】
従来技術はまた、分離に関して必要とされる性能を得るために、分配系における良好な同期性を保証することの重要性を教示している。
【0013】
特に、特許文献3は、カラムの入口の分配器プレートの直前又は直後の非選択的ゾーンにおいて、滞留時間に対する補償エレメント、バッフルを追加することを提案している。
【0014】
非特許文献1は、非選択的容積の増加は純度の低下及び脱着剤消費量の増加をもたらすため、それらの容積を減らすことの重要性を教示している。
【0015】
特許文献4は、粒状床に供給することを意図した接触チャンバであって、気相又は液相を2つの反対方向に横方向に導入するために使用することができる側方孔を有するチャンバを記載している。そのテキストの図3は、直線状の壁を有するテーパー形状のチャネルを示している。
【0016】
特許文献5は、流体を1つの床から次の床へ通過させる、流体の分配のための装置を記載している。該装置は、固体を保持するためのスクリーンと、スクリーンの間に位置しており、かつ厚みが減少していく偏向板とによって特徴付けられる。それらの系はいずれも、滞留時間を補償することを目的としたデバイスは開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】欧州特許第0074815号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0108274号明細書
【文献】仏国特許発明第2933000号明細書
【文献】米国特許第3214247号明細書
【文献】米国特許第3789989号明細書
【非特許文献】
【0018】
【文献】アメリカン インスティチュート オブ ケミカル エンジニアズ ジャーナル(American Institute of Chemical Engineers (AIChE) Journal)、2016年1月、62巻、1号に掲載された、シルバ M.(Silva M.)、ロドリゲス A.(Rodrigues A.)、及びモタ J.(Mota J.)による先行技術文献「工業スケールの擬似移動床パレックス(parex)ユニット又はp-キシレン精製の性能に対する死容積の影響(Effect of dead volumes on the performance of an industrial-scale simulated moving-bed parex unit or p-xylene purification)」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
N-カラム系を備えた擬似移動床を用いることは、注入及び収集、並びに系内の2つのカラム間の単一点における混合が確実になることを意味する。このタイプの構成は、それにより、ポンプ周りの流れによってすすがれない体積を最小化するため、すすぎに関する問題を克服する。この利点に加えて、本発明は、その幾何学的形状が、非選択的であるとされるゾーンにおける滞留時間を最小化しながら、流体が粒状床を通過する際に通る経路にかかわらず、確実に流体の滞留時間をほぼ等しくすることができるデバイスを導入する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
全ての図は下降流モードを表しているが、本発明は上向流モードに関して厳密に対称的である。
図1】頭部に流体の分配のためのデバイスを、かつ底部に収集デバイスを備えたカラム全体の概略図を表す。
図1a】外縁部の収集系の位置が見えるようにした上面図である。
図2】本発明に係る収集系を備えた、流体が半径方向流モードにあるとされる変形例におけるカラムの概略図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の簡単な説明)
本発明は、粒状固体の床を含むカラムにおける流体の分配及び収集のためのデバイスであって、ユニットが、一般に、直列に配置されているいくつかのカラムから構成されている、デバイスと定義することができる。
【0022】
このデバイスは、本出願の一部を形成する実施例に示すように、非選択的容積と称される容積を、これらのゾーンの分散を実質的に最小化することによって、実質的に減少させるために使用することができるため、擬似移動床分離プロセスに特に適している。
【0023】
以下では、用語「流入流体(incoming fluid)」は、カラムに入る流体を示すために使用し、「流出流体(outgoing fluid)」は、カラムから出る流体を示すために使用することとする。
【0024】
本発明のデバイスを使用したプロセスは、一般に、各カラムが本発明に係るデバイスを流入流体を導入するための手段又は流出流体を収集するための手段のいずれかとして使用している、複数のカラムを直列に使用する。
【0025】
これらのカラムの粒状床内の流体流れは、軸方向であっても、又は半径方向であってもよい。
【0026】
本発明に係るデバイスを導入手段又は収集手段のいずれかとして備えた一連のカラムの任意の配置が、本発明の範囲内に入ることとなる。
【0027】
したがって、より正確には、本発明は、粒状固体の床(固体粒状床)を備えた1又は複数のカラムにおける、流体の分配のための、又は流出流体の収集のためのデバイスとして定義され得、ここで:
- 流入流体は、その中を流体が一定速度で流れる可変部を備えた分配チャネルによって分配され、
- 流出流体は、その中を流体が一定速度で流れる可変部を備えた収集チャネルによって収集される。
【0028】
特に、本発明のデバイスは、直列に配置された複数のカラムを使用した擬似移動床分離プロセスに適用可能である。
【0029】
この場合、図1及び図1.aに示す第1の変形例によれば、本発明に係る収集デバイスを使用した擬似移動床プロセスは、以下のように説明され得る:
粒状固体の床の内部における流体の循環は軸方向であり、そして床への注入は、実質的にカラムの垂直軸を中心とする導管(2)によって行われ、これにより、曲面壁(4)によって画定される水平分配チャネル(3)に供給し、次いで粒状固体の床(6)は、前記分配チャネル(3)からスクリーン(5)を通って供給され、そして流体は、粒状床(6)を通って実質的に垂直方向に流れ、次いで流体は、スクリーン(7)の下に収集され、曲面壁(9)によって画定される収集チャネル(8)から、外縁導管(10)を経由し、次いで流れ全体が、実質的にカラムの垂直軸を中心とする単一の排出導管(11)に収集される。
【0030】
図2に示す第2の変形例によれば、本発明に係る分配デバイスを使用したプロセスは、以下のように記載され得る:
粒状固体の床の内部の流体の循環は半径方向に行われ、流体は、導管(2)を介してカラムの中心に導入され、これにより、壁(4)によって中心に画定される中央チャネル(3)に供給し、次いで粒状床(6)を中心から外縁(スクリーン(5)及び(7)によって画定される)に向けて通過し、ここで、壁(9)によって外側に画定される外縁ゾーン(8)に収集され、これにより液体を、実質的にカラムの軸を中心とする排出導管(11)に外縁導管(10)を介して戻す。
【0031】
本発明に係るデバイスを使用した擬似移動床分離プロセスは、分離すべき供給材料が7~9個の炭素原子を含む芳香族化合物の任意の混合物であるようなものであり得る。
【0032】
本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離プロセスは、分離すべき供給材料がノルマルパラフィンとイソパラフィンとの混合物であるようなものであり得る。
【0033】
本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離プロセスは、分離すべき供給材料がノルマルオレフィンとイソオレフィンとの混合物であるようなものであり得る。
【0034】
本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離プロセスは、前記デバイスを通過する主流体が600~950kg/mの範囲の密度及び0.1~0.6cPoの範囲の粘度を有するようなものであり得る。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明が克服しようとする課題は、各カラムが粒状床を備えた直列のN-カラム系の非選択的ゾーンにおける滞留時間の差を制限するという課題である。これらの差は、実際、前記非選択的ゾーンの容積(以下、簡単にするために、非選択的容積と称する)を最小化する一方で分離性能を低下させるが、このことは、非選択的ゾーンを有しない系と同じレベルの性能に対して、設備のポンプ周りの流れの望ましくない増加をもたらす。
【0036】
本発明は、カラムの全区画の規模で分配/収集系における流体の良好な同期性を保証するために使用することができ、かつ、分配チャネル及び収集チャネルの形状を適切に調整することによって非選択的容積も小さくする、系に関する。
【0037】
本発明に係るカラムは、以下の2つの流れモードにまとめられ得る:
- 粒状床の内部の流れが、本質的に、カラムの垂直軸に沿っている、軸方向モード。
【0038】
- 粒状床の内部の流れが、本質的に、外縁からカラムの中心に向かうか、又はカラムの中心から外縁に向かう、半径方向モード。
【0039】
流れモードの関数としてのカラムの寸法は以下のとおりである:
- 軸方向モードの場合、1~15mの範囲、好ましくは7~12mの範囲の直径。粒状床の高さは、0.2~1.5mの間、好ましくは0.4~1mの間で変化する。
【0040】
- 半径方向モードの場合、1.5~15mの範囲の直径、1~200mの範囲、好ましくは5~80mの範囲の断面を呈することができる高さ。粒状床の断面は、流入収集器から流出収集器までの半径の関数として変化する。粒状床の厚さは0.2~1.5mの間、好ましくは0.4~1mの間で変化する。
【0041】
注入及び収集並びに混合は、系(1)の2つのカラム間の単一点で行われる。
【0042】
図1に示す第1の実施形態によれば、床は軸方向モードにあり、床への注入は、実質的にカラムの垂直軸を中心とする導管(2)によって行われ、これにより、噴流によって水平分配チャネル(3)に供給する。一般に、分配チャネルは、図1には示されていない噴流破砕器を備えている。分配チャネル(3)の壁(4)は、分配チャネル(3)における一定速度Vchannelを確実にすることができる形状を有しており、このことは、非選択的容積を根本的に最小化することができること、及び、粒状床(6)において均一な流れの分布を得ることができることを意味する。
【0043】
この速度は0.1~5m/sの範囲に、理想的には0.5~2.5m/sの範囲にある。スクリーン(5)から定義されるチャネル(3)の高さ、hsup(r)は、半径方向座標rの関数として、理想的には以下のプロファイルに従う:
【0044】
【0045】
(式中、VSLは、粒状床における流体の空塔速度であり、カラムの断面に対する体積流量の比として定義され、そしてRは、カラムの半径である)
【0046】
次いで粒状床(6)は、分配チャネル(3)からスクリーン(5)を通って供給される。
【0047】
流体は、粒状床(6)を通って実質的に垂直方向に流れる。
【0048】
次いで流体は、スクリーン(7)の下の収集チャネル(8)に収集される。
【0049】
収集チャネル(8)の壁(9)は、理想的には以下のプロファイルを有する:
【0050】
【0051】
このプロファイルは、導管(2)を通る入口と導管(11)を通る出口との間の全ての流体流の滞留時間が等しいことを意味する。
【0052】
図1の壁4及び9の表示は図式的なものであり、数学的形状には対応していない。
【0053】
この実施形態によれば、チャネル(8)から出る流体は、図1.aに見られるように、外縁に位置する導管系(10)を介して収集され、これにより、排出導管(11)に流出流体を収集する。
【0054】
導管(10)の数は、一般に4~20の間、好ましくは6~12の間で変化する。
【0055】
導管断面の寸法は、1~8m/sの範囲の流体速度を確実にするようなものとなる。
【0056】
さらに、本発明の範囲は、分配系と収集系を逆転させること、すなわち、より正確には、上記の分配系を収集系として使用し、かつ上記の収集系を分配系として使用することによって、分配系と収集系を逆転させることを包含する。
【0057】
一連のカラムを含む工業ユニットでは、これらのカラムは、本発明に係る分配系を有するものであっても、又は、むしろ、本発明に係る収集系を有するものであってもよい。また、カラムを交互に、すなわち、本発明に係る収集系を備えたカラムの次に本発明に係る分配系を備えたカラムを接続することも可能である。
【0058】
図2に示す第2の実施形態によれば、床は半径方向に作動し、床への注入は、垂直導管(2)によって、又は壁(4)によって中心に画定される実質的にカラムの中心に位置する環状管によって行われる。
【0059】
分配チャネル(3)の壁(4)は、分配チャネルにおける一定速度Vchannel及び粒状床(6)における均一な流れの分布を保証することができる形状を有する。この速度は0.1~5m/sの範囲に、理想的には0.5~2.5m/sの範囲にある。カラムの軸から測られた壁(4)の半径方向位置、rdistrib(z)は、カラムへの流体の入口から測られた軸方向座標zの関数として、理想的には以下のプロファイルを有する:
【0060】
【0061】
(式中、Hbedは、粒状床の全高である)
【0062】
液体は、床(6)内を床の中心から床の外縁に向かって半径方向に流れ、外縁ゾーン(8)に収集される。カラムの軸から測られた壁(9)の半径方向位置、rcollect(z)は、カラムへの流体の入口から測られた軸方向座標zの関数として、理想的には以下のプロファイルを有する:
【0063】
【0064】
(式中、Ebedは、半径方向に定義される床の厚さである)
【0065】
図2に示す表示は図式的なものであり、rdistrib(z)及びrcollect(z)の数学的形状を再現するものではない。
【0066】
流れ全体が、流出流体を排出導管(11)に導く、外縁に位置する導管系(10)によって収集される。
【0067】
全てのカラムが本発明に係る分配系を有するか、又はカラム全てが本発明に係る収集系を有するかのいずれかである。また、カラムを交互に、すなわち、本発明に係る収集系を備えたカラムの次に本発明に係る分配系を備えたカラムを接続することも可能である。
【0068】
上に説明したように、本発明の範囲は、分配系と収集系を逆転させること、すなわち、より正確には、上記の分配系を収集系として使用し、かつ上記の収集系を分配系として使用することによって、分配系と収集系を逆転させることを包含する。
【0069】
本発明はまた、分離すべき供給材料が7~9個の炭素原子を含む芳香族化合物の任意の混合物である、本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離のためのプロセスと記載され得る。
【0070】
本発明はまた、分離すべき供給材料がノルマルパラフィンとイソパラフィンとの混合物である、本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離のためのプロセスと見なされ得る。
【0071】
本発明はまた、分離すべき供給材料がノルマルオレフィンとイソオレフィンとの混合物である、本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離のためのプロセスと見なされ得る。
【0072】
本発明はまた、デバイスを通過する主流体が600~950kg/mの範囲の密度及び0.1~0.6cPoの範囲の粘度を有する、本発明に係るデバイスを用いた擬似移動床分離のためのプロセスと見なされ得る。
【実施例
【0073】
従来技術に係る例及び本発明に係る例
高さ1mの粒状床を含む直径10mのカラムを検討する。725kg/mの密度及び0.2cPの粘度を有する流体の流れが、2cm/sの空塔速度でカラムの内部で生じる。この空塔速度は、空(free)であるとみなされるカラムの区画に渡って計算される。
【0074】
仏国特許第2933000号に示されている従来技術は、滞留時間の分布を補正するためのバッフルの寸法決めの方法を説明している。環状部分(縁、バッフルと、カラムの壁との間の液体の通路)とカラムの総断面との間の比は、該特許の実施例のものと同じ、すなわち8.3%になるように選択した。当業者であれば、分配チャネル及び収集チャネル並びに分配導管及び収集導管における最大流速を得るであろうが、この流速は前記チャネル及び前記導管の寸法決めに役立つ。この例では、2.5m/sの最大速度を使用した。この従来技術に従って寸法を決めた場合、13.2mの非選択的容積(分布及び収集)となる。
【0075】
本発明に従い、かつ、粒状床における分散を増加させないように1m/sのチャネルの寸法決め速度(dimensioning velocity)を使用すると、非選択的ゾーンの容積は2.2mとなった。
【0076】
当業者であれば、床における同等の理論段高さを保持するために許容される最大圧力降下が1mmであるという推論に基づいて、1m/sの速度を算出し、調整し得る。
【0077】
したがって、本発明は、米国特許第3214247号によって表される従来技術と比較して、非選択的容積を二分の一にすることができ、仏国特許発明第2933000号に定義されるより古い従来技術を使用して計算された非選択的容積をほぼ四分の一とすることができる。
【0078】
これらの容積の減少は、滞留時間の分散を減少させることによって達成される。実際、非選択的容積及びばらつきの減少は、擬似移動床分離プロセスの性能を維持するための必須要素である。
【0079】
【表1】
【符号の説明】
【0080】
(1)系
(2)導管
(3)分配チャネル(図1
(3)中央チャネル(図2
(4)壁
(5)スクリーン
(6)粒状床
(7)スクリーン
(8)収集チャネル(図1
(8)外縁ゾーン(図2
(9)壁
(10)外縁導管
(11)排出導管
図1
図1a
図2