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特許7117164ラベル付き容器の製造方法、及びラベル付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ラベル付き容器の製造方法、及びラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/25 20060101AFI20220804BHJP
   B65B 53/00 20060101ALI20220804BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20220804BHJP
   B65C 3/14 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B65C9/25
B65B53/00 N
B65D25/20 Q
B65C3/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018111827
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019214396
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩庄 一益
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-137690(JP,A)
【文献】特開2014-019492(JP,A)
【文献】特開2014-046916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B53/00-55/24
B65C 1/00-11/06
B65D23/00-25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向第1側から第2側に向かって順に第1凸部、凹部及び第2凸部が形成されている胴部を有する容器であって、前記凹部の第2側寄りに、感熱接着剤からなり且つ前記凹部の深さ以上の厚みを有する厚肉接着部が設けられている容器を準備する工程、
前記厚肉接着部を含んで前記胴部に、その第2側から熱収縮性筒状ラベルを外嵌する工程、
前記熱収縮性筒状ラベルを加熱して熱収縮させる工程、
を有するラベル付き容器の製造方法。
【請求項2】
前記厚肉接着部が、前記第2凸部から外側に0.1~0.6mm突出されている、請求項1に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項3】
前記凹部が、容器の周方向全体に亘って形成されており、
前記厚肉接着部が、縦断面視で略半円状又は略半楕円状に形成され且つ前記凹部の全体に亘って周設されている、請求項1または2に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項4】
前記厚肉接着部の第1縁が前記凹部の軸方向中間点に又は前記中間点よりも第2側に位置するように、前記厚肉接着部が設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項5】
胴部を有する容器と、前記胴部に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベルと、を有し、
前記胴部には、軸方向第1側から第2側に向かって順に第1凸部、凹部及び第2凸部が形成され、
前記凹部の第2側寄りに、感熱接着剤からなり且つ前記凹部の深さ以上の厚みを有する厚肉接着部が設けられており、
前記熱収縮性筒状ラベルが、前記厚肉接着部の第1側面に回り込み、前記厚肉接着部の頂面から第1側面にかけて接着されている、ラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に熱収縮性筒状ラベルが装着されているラベル付き容器の製法などに関する。
【背景技術】
【0002】
容器の少なくとも胴部に熱収縮性筒状ラベルが熱収縮装着されたラベル付き容器が公知である。
例えば、特許文献1には、胴部に筒状のシュリンクラベル(熱収縮性筒状ラベル)が装着されたラベル付き容器であって、シュリンクラベルが、胴部外周面に形成された、感熱接着剤からなる厚みが10~40μmの接着層を介して貼着されているラベル付き容器が開示されている。
かかるラベル付き容器は、接着層の厚みが10~40μmと薄いので、容器本体の胴部外周面に接着層を形成した後、直ちにシュリンクラベルを嵌挿でき、また、その際に、シュリンクラベルが接着層に引っ掛かり難く、シュリンクラベルを高速で容器に嵌挿できるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-88839号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1のラベル付き容器は、嵌挿時にシュリンクラベルが接着層に引っ掛かり難いが、接着層が薄いので、シュリンクラベルが十分に接着せず、容器装着後にシュリンクラベルが抜け出る或いは回転するおそれがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、容器の胴部に対して熱収縮性筒状ラベルを外嵌する際に、熱収縮性筒状ラベルが引っ掛かり難く、熱収縮性筒状ラベルが容器にしっかりと装着されたラベル付き容器の製造方法及びラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のラベル付き容器の製造方法は、軸方向第1側から第2側に向かって順に第1凸部、凹部及び第2凸部が形成されている胴部を有する容器であって、前記凹部の第2側寄りに、感熱接着剤からなり且つ前記凹部の深さ以上の厚みを有する厚肉接着部が設けられている容器を準備する工程、前記厚肉接着部を含んで前記胴部に、その第2側から熱収縮性筒状ラベルを外嵌する工程、前記熱収縮性筒状ラベルを加熱して熱収縮させる工程、を有する。
【0007】
本発明の好ましいラベル付き容器の製造方法は、前記厚肉接着部が、前記第2凸部から外側に0.1~0.6mm突出されている。
本発明の好ましいラベル付き容器の製造方法は、前記凹部が、容器の周方向全体に亘って形成されており、前記厚肉接着部が、縦断面視で略半円状又は略半楕円状に形成され且つ前記凹部の全体に亘って周設されている。
本発明の好ましいラベル付き容器の製造方法は、前記厚肉接着部の第1縁が前記凹部の軸方向中間点に又は前記中間点よりも第2側に位置するように、前記厚肉接着部が設けられている。
【0008】
本発明の別の局面によればラベル付き容器を提供する。
本発明のラベル付き容器は、胴部を有する容器と、前記胴部に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベルと、を有し、前記胴部には、軸方向第1側から第2側に向かって順に第1凸部、凹部及び第2凸部が形成され、前記凹部の第2側寄りに、感熱接着剤からなり且つ前記凹部の深さ以上の厚みを有する厚肉接着部が設けられており、前記熱収縮性筒状ラベルが、前記厚肉接着部の第1側面に回り込み、前記厚肉接着部の頂面から第1側面にかけて接着されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のラベル付き容器の製造方法によれば、熱収縮性筒状ラベルが容器に引っ掛かり難く、熱収縮性筒状ラベルの外嵌挿の不良を抑制して、歩留まり良くラベル付き容器を製造できる。また、本発明のラベル付き容器は、熱収縮性筒状ラベルが容器に十分に接着されており、熱収縮性筒状ラベルの空回りなどを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ラベル付き容器の左半分を縦断面で示した正面図。
図2図1の断面部分の一部分を拡大した拡大図。
図3】熱収縮性筒状ラベルの斜視図。
図4】容器の左半分を縦断面で示した正面図。
図5図4の断面部分の一部分を拡大した拡大図。
図6】ラベル付き容器の製造方法の外嵌工程において、熱収縮性筒状ラベルを筒状に開いた状態を示す正面図。
図7図6のVII-VII線で切断した断面図。
図8】熱収縮性筒状ラベルを容器に外嵌する途中を示す正面図。
図9】(a)は、熱収縮性筒状ラベルを容器に外嵌している途中であって熱収縮性筒状ラベルの第1縁が厚肉接着部の近傍位置にまで熱収縮性筒状ラベルが外嵌されたときの状態を縦断面で示した一部拡大断面図、(b)は、熱収縮性筒状ラベルが所定位置まで外嵌されたときの状態を縦断面で示した一部拡大断面図。
図10】変形例に係る容器の断面部分の一部分を拡大した拡大図。
図11】外嵌工程の変形例であって、熱収縮性筒状ラベルを容器に外嵌する途中を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、「第1」及び「第2」は、容器(及び熱収縮性筒状ラベル)の軸方向において相対する側を指し、「第1側」は、容器(及び熱収縮性筒状ラベル)の軸方向一方側を指し、「第2側」は、容器(及び熱収縮性筒状ラベル)の軸方向反対側を指す。容器の軸方向は、容器を平坦面上に置いて自立させた状態で、その上下方向(縦方向)を意味する。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
各図に示される部材などの寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0012】
[ラベル付き容器の概要]
図1及び図2において、本発明のラベル付き容器1は、胴部22を有する容器2と、前記胴部22に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル3と、を有する。前記胴部22には、軸方向第1側から第2側に向かって順に第1凸部4、凹部5及び第2凸部6が形成されている。前記胴部22の凹部5の第2側寄りには、感熱接着剤からなる厚肉接着部7が設けられている。前記熱収縮性筒状ラベル3は、厚肉接着部7に接着されている。
以下、熱収縮性筒状ラベル3及び容器2をそれぞれ分説した後、ラベル付き容器の製造方法などを説明する。
【0013】
[熱収縮性筒状ラベル]
図3は、円筒状に開いた熱収縮性筒状ラベルを示す。
なお、容器に熱収縮装着される前の熱収縮性筒状ラベル3Aは、図3に示すように、円筒状に開くことができる。この[熱収縮性筒状ラベル]の欄においては、熱収縮性筒状ラベル3Aは、熱収縮させる前の状態(容器に装着する前の状態)を指し、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル3と区別するために、符号3Aを付す。
【0014】
熱収縮性筒状ラベル3Aは、容器に装着する際には筒状に開かれるが、運搬及び保管時には、通常、扁平状に折り畳まれている。
なお、現実的な製造工程では、熱収縮性筒状ラベル3Aは、その複数が連続的に繋がった連続体であって扁平状に折り畳まれた連続体の形態で提供される。この連続体を適宜切断することにより、扁平状の熱収縮性筒状ラベル3Aが得られる。
【0015】
熱収縮性筒状ラベル3Aは、熱収縮性フィルムが筒状に形成されたものである。
前記熱収縮性フィルムは、熱収縮温度に加熱されると、熱収縮方向に収縮するフィルムである。前記熱収縮温度は、例えば、60℃~120℃が例示され、好ましくは80℃~110℃である。
前記熱収縮性フィルムとしては、熱収縮性を有する合成樹脂フィルム、熱収縮性を有する断熱フィルム、これらの積層フィルムなどが挙げられる。前記断熱フィルムとしては、不織布、発泡樹脂フィルムなどが挙げられる。なお、前記積層フィルムは、その積層物全体として熱収縮性を有することを条件として、熱収縮性を有さないものと熱収縮性を有するものの積層物であってもよい。
好ましくは、熱収縮性フィルムとして、前記合成樹脂フィルム若しくは合成樹脂フィルムと任意の機能層が積層された積層フィルム、又は、前記断熱フィルム若しくは断熱フィルムと任意の機能層が積層された積層フィルム、又は、合成樹脂フィルムと断熱フィルムが積層された積層フィルム若しくはこれに任意の機能層がさらに積層された積層フィルムが用いられる。前記任意の機能層としては、金属蒸着層などのガスバリア層及び/又は光バリア層などが挙げられる。
【0016】
前記合成樹脂フィルム及び発泡樹脂フィルムの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。
熱収縮性フィルムは、透明又は不透明の何れでもよいが、断熱フィルムを含んでいる場合には、不透明であることが多い。
前記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば20μm~300μm、更に、30μm~200μm程度のものを用いることができる。
【0017】
前記熱収縮性フィルムとしては、少なくとも第1方向に主として熱収縮するフィルムが用いられる。熱収縮性フィルムは、第2方向に若干熱収縮又は熱伸長してもよいが、好ましくは、第2方向に若干熱収縮するフィルムが用いられる。
前記第1方向は、フィルムの面内における1つの方向を意味し、第2方向は、前記面内において前記第1方向と直交する方向である。
前記熱収縮性フィルムの第1方向(熱収縮方向)における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは20%以上であり、より好ましくは、30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。なお、前記第1方向における熱収縮率は、大きいほど好ましいが、それにも自ずと限界があるため、前記第1方向における熱収縮率は、理論上、100%未満である。前記熱収縮性フィルムが第2方向に熱収縮するフィルムである場合、その第2方向における熱収縮率は、例えば、0を超え15%以下であり、好ましくは1%~10%である。
ただし、熱収縮率は、加熱前(標準状態(23℃、1気圧、50RH%)雰囲気下で24時間保存)のフィルムの長さ(元の長さ)と、90℃温水中に10秒間浸漬して取り出した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)と、をそれぞれ標準状態下で計測し、下記式に代入して求められる。なお、各フィルムの長さは、標準状態下で計測する。
前記熱収縮率(%)=[{(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)-(第1方向(又は第2方向)の浸漬後の長さ)}/(第1方向(又は第2方向)の元の長さ)]×100。
【0018】
前記熱収縮性フィルムの第1方向(熱収縮方向)が周方向となるように、そのフィルムを筒状に丸め、一側端部を他側端部に重ね合わせて接着してシール部31を形成することにより、熱収縮性筒状ラベル3Aが構成されている。前記重ね合わせた部分は、全体的に接着されていてもよく、重ね合わせ部分のうち周方向の少しの部分が非接着とされ且つ残る大部分が接着されていてもよい。この一側端部と他側端部の重ね合わせ幅(シール部31の幅)は、例えば、2mm~15mmであり、好ましくは、3mm~10mmである。シール部31は、熱収縮性筒状ラベル3Aの軸方向に帯状に延びている。
前記一側端部と他側端部の接着方法は、特に限定されず、溶剤を用いた溶着、接着剤を用いた接着などが挙げられる。
熱収縮性筒状ラベル3Aの周長は、例えば、容器の被装着部位の最大周長×1倍を超え同×1.5倍以下であり、好ましくは同×1.01倍~同×1.3倍であり、より好ましくは同×1.02倍~同×1.15倍である。
【0019】
熱収縮性フィルムには、必要に応じて、所望の文字や絵柄などを表したデザイン印刷層が設けられていてもよい(デザイン印刷層は不図示)。デザイン印刷層を熱収縮性フィルムの裏面側(熱収縮性フィルムの裏面は、それが熱収縮性筒状ラベル3Aとされた際に内面となる)に設ける場合には、透明な熱収縮性フィルムが用いられる。
さらに、熱収縮性フィルムには、必要に応じて、任意の機能印刷層(図示せず)が設けられていてもよい。前記機能印刷層としては、表面保護層、滑り層などが挙げられる。
前記デザイン印刷層及び機能印刷層などは、熱収縮性筒状ラベル3Aの構成要素として従来公知であり、本発明においても公知の構成を採用できる。
また、特に図示しないが、熱収縮性筒状ラベル3Aには、ミシン目線などの従来公知の構造が付加されていてもよい。
【0020】
[容器]
図4及び図5は、容器2を示す。容器2は、内容物を収容可能な容体である。
容器2は、底面部21と、底面部21の周囲から第1側に立ち上げられた胴部22と、を有する。
前記容器2は、付属的な構成としてフランジ部23を有し、前記フランジ部23は、胴部22の第1縁から外側に向けて突設されている。
【0021】
前記底面部21は、容器2を自立させる際の接地面となる部分である。前記底面部21の下面視形状(容器2を第2側から見たときの底面部21の外形)は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略正方形状、略長方形状、略六角形状などの略多角形状などが挙げられる。図示例では、底面部21は、下面視略円形状である。本明細書において「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を意味する。前記略円形状及び略楕円形状の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。略正方形状などの略多角形状の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。なお、角部が面取りされているとは、角張った部分の角を取り去り、その部分を弧状又はなだらかな鈍角状に形成することをいう。
【0022】
容器2の胴部22は、凹部5が形成されているものであれば特に限定されず、全体的に略直胴状であってもよく、或いは、非直胴状であってもよい。前記略直胴状は、軸方向において複数の水平断面を観念した際に、各水平断面形状の周長及び重心が軸方向において変わらない立体形状をいい、非直胴状は、前記各水平断面形状の周長及び重心の少なくとも一方が軸方向において異なる部分を有する立体形状をいう。
容器2の概略的な形態は、図示のような略カップ型、特に図示しないが、略ボトル型、略オーバル型などが挙げられる。
容器2が図示例のような略カップ型である場合、胴部22の全体的な形状は、略直胴状であってもよく、或いは、図示のように、第2側に向かって次第に周長が小さくなった非直胴状であってもよい。図示例の胴部22は、後述する凹部5を除いて、軸方向に水平断面を観念した際の各水平断面形状の周長が第2側に向かうに従って徐々に小さくなり且つ各水平断面形状の重心が軸方向上に位置する立体形状である。
【0023】
前記胴部22の上面視形状(容器2を第1側から見たときの胴部22の外形)は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略正方形状、略長方形状、略六角形状などの略多角形状などが挙げられる。図示例では、胴部22の形状は、上面視略円形状である。
容器2の材質は、特に限定されず、合成樹脂、ガラス、金属、陶器などが挙げられる。
容器2に収容する内容物は、特に限定されず、飲料、調味料などの食品、医薬品、化粧品などが挙げられる。内容物の形態は、液状、粒状、固形状の何れでもよい。
なお、胴部22の第1側には、内容物を出し入れする開口が形成されている。胴部22の第1縁(第1凸部4の第1縁)から胴部22の径外方向に向けて突設されたフランジ部23は、前記開口を閉塞する蓋部材29を取り付ける部分である。
蓋部材29は、容器2の形態に応じて適宜適切なものが用いられ、図示例のようなカップ型の容器2に対しては、例えば、シート状の蓋部材29が用いられる。シート状の蓋部材29は、熱融着又は接着剤などを用いた接着などにより、フランジ部23に取り付けられる。
【0024】
胴部22の外面には、凹部5が形成され、前記凹部5を基準にしてその軸方向第1側及び第2側には、それぞれ凸部(第1凸部4及び第2凸部6)が形成されている。胴部22の外面に形成された凹凸(凹部5及び凸部)は相対的な概念であり、凹部5は、凸部を基準にするとその凸部よりも凹んでいる部分であり、逆に、凸部4,6は、凹部5を基準にするとその凹部5よりも突出している部分であると言える。
凹部5は、軸方向において2つの凸部(第1凸部4及び第2凸部6)に挟まれており、第1凸部4及び第2凸部6に連続して形成されている。
凹部5は、第1土手部51と、第2土手部53と、第1土手部51と第2土手部53の間の底部52と、からなる。
第1土手部51は、第1凸部4と底部52の間に形成され、第2土手部53は、第2凸部6と底部52の間に形成されている。
【0025】
底部52の縦断面視形状は、略直線状でもよく、或いは、略円弧状でもよく、或いは、略く字状などでもよい。図示例の底部52は、縦断面視で軸方向に延びる略直線状である。なお、縦断面視形状は、水平と直交する方向で切断したときの形状をいう。
また、第1土手部51及び第2土手部53の縦断面視形状は、それぞれ独立して、略直線状でもよく、或いは、略円弧状でもよく、或いは、略く字状などでもよい。図示例の第1土手部51及び第2土手部53は、縦断面視で略直線状である。
第1土手部51及び第2土手部53は、それぞれ独立して、縦断面視で底部52に対して直角状に延設されていてもよく、或いは、底部52に対して鋭角状又は鈍角状に延設されていてもよい。図示例では、第1土手部51及び第2土手部53は、それぞれ縦断面視で底部52に対して鈍角を成して延設されている。
縦断面視が略直線状の第1土手部51、第2土手部53及び底部52からなる凹部5は、全体として、縦断面視で略台形状に形成されている。
なお、縦断面視形状が直線状以外の形状、例えば縦断面視略円弧状の第1土手部51、第2土手部53及び底部52からなる凹部5は、全体として、縦断面視半円弧状となり、例えば縦断面視略く字状の第1土手部51、第2土手部53及び底部52からなる凹部5は、全体として、縦断面視略多角形状となる。このような縦断面視略台形状以外の形状の凹部について、第1土手部、第2土手部及び底部を区別する必要がある場合には、その凹部と同じ容積の縦断面視略台形状の凹部を仮想的に観念し、その仮想の凹部を前記略台形状以外の形状の凹部に当てはめて、第1土手部、第2土手部及び底部を区別するものとする。
【0026】
また、第1土手部51、第2土手部53及び底部52は、図示のように平滑面でもよく、或いは、微細な凹凸を有していてもよい。
同様に、第1凸部4及び第2凸部6は、それぞれ独立して、図示のように平滑面であってもよく、或いは、微細な凹凸を有していてもよい。
なお、第2凸部6の第2側には、段部69が形成されている。
【0027】
凹部5は、胴部22の周方向全体に亘って形成されていてもよく、或いは、胴部22の周方向の一部分に形成されていてもよい。好ましくは、図示例のように、凹部5は、胴部22の周方向全体に亘って形成されている。従って、凹部5は、胴部22の周囲に帯環状に存在している。
第1凸部4及び第2凸部6も、胴部22の周方向全体に亘って形成されていてもよく、或いは、胴部22の周方向の一部分に形成されていてもよい。好ましくは、図示例のように、第1凸部4及び第2凸部6は、胴部22の周方向全体に亘って形成されている。従って、第1凸部4及び第2凸部6は、胴部22の周囲に帯環状に存在している。
【0028】
凹部5の深さ5Dは、特に限定されないが、余りに大きいと熱収縮性筒状ラベルが凹部5に対応する箇所で大きく熱収縮して段差を生じ易くなり、余りに小さいと凹部5を設けた意義が実質的に消失する。かかる観点から、凹部5の深さ5Dは、例えば、0.3mm~1mmであり、好ましくは、0.4mm~0.8mmである。
なお、凹部5の深さ5Dは、凹部5の底部52と第2凸部6の高低差(径外方向における高低差)をいう。ただし、周方向において凹部5の底部52と第2凸部6の高低差が異なる場合には、凹部5の深さ5Dは、その最大値とする。
【0029】
凹部5の軸方向長さ5Lは、特に限定されないが、余りに小さいと凹部5の第2側寄りに厚肉接着部7を設けることができないおそれがある。かかる観点から、凹部5の軸方向長さ5Lは、例えば、2mm以上であり、好ましくは、3mm以上である。凹部5の軸方向長さの上限は特に限定されない。
なお、凹部5の軸方向長さ5Lは、凹部5の第1縁5aから第2縁5bまでの長さをいう。凹部5の第1縁5aは、凹部5の第1土手部51と第1凸部4の境界点であり、凹部5の第2縁5bは、凹部5の第2土手部53と第2凸部6の境界点である。ただし、周方向において前記軸方向長さが異なる場合には、凹部5の軸方向長さ5Lは、その最大値とする。
【0030】
前記容器2の凹部5には、感熱接着剤から構成された厚肉接着部7が設けられている。
厚肉接着部7の軸方向における配置を説明すると、厚肉接着部7は、凹部5の第2側に寄って配設されている。前記厚肉接着部7が凹部5の第2側寄りの位置に配設されているとは、厚肉接着部7の軸方向中間点Xが、凹部5の軸方向中間点Yよりも第2側に位置していることをいう。好ましくは、厚肉接着部7は、厚肉接着部7の第1縁7aが凹部5の軸方向中間点Yに位置し又はその中間点Yよりも第2側に位置するように配設され、より好ましくは、厚肉接着部7の第1縁7aが凹部5の軸方向中間点Yよりも第2側に位置するように配設される。なお、凹部5の軸方向中間点Yは、凹部5の第1縁5aから第2縁5bの間の1/2の地点を指す。
【0031】
厚肉接着部7の第2縁7bは、第2凸部6に位置していてもよい。この場合、厚肉接着部7は、凹部5の一部分から第2凸部6の一部分にかけて設けられる(つまり、厚肉接着部7は、凹部5と第2凸部6に跨がって設けられる)。好ましくは、厚肉接着部7の全体が凹部5内に位置するように設けられる。厚肉接着部7の全体が凹部5内に位置するように設けられる場合としては、例えば、厚肉接着部7の第2縁7bが凹部5の第2縁5bに配置される、或いは、厚肉接着部7の第2縁7bが第2土手部53内に配置される、或いは、厚肉接着部7の第2縁7bが第2土手部53と底部52の境界点に配置される、或いは、厚肉接着部7の第2縁7bが底部52内に配置される場合が挙げられる。好ましくは、厚肉接着部7の第2縁7bが第2土手部53内に、又は、第2土手部53と底部52の境界点に配置されるように、厚肉接着部7が設けられる。
【0032】
軸方向における前記位置に厚肉接着部7を配置することにより、凹部5の第1縁5aから厚肉接着部7の第1縁7aまでの間には、凹部5の深さに対応した凹み空間部59が確保される。凹み空間部59の軸方向長さ59L(凹部5の第1縁5aから厚肉接着部7の第1縁7aまでの長さ)は、特に限定されないが、余りに小さいと熱収縮時に熱収縮性筒状ラベルが厚肉接着部7の第1側面側に回り込み難くなるおそれがある。かかる観点から、凹み空間部59の軸方向長さ59Lは、例えば、1mm以上であり、好ましくは、2mm以上であり、より好ましくは、3mm以上である。凹み空間部59の軸方向長さ59Lの上限は特に限定されない。凹み空間部59の軸方向長さは、凹部5の軸方向長さ及び厚肉接着部7の軸方向長さ並びに厚肉接着部7の配置などを適宜設定することによって調整できる。
【0033】
厚肉接着部7の軸方向長さ7Lは、特に限定されないが、余りに小さいと熱収縮性筒状ラベルに対する接着面積が小さくなり過ぎるおそれがある。かかる観点から、厚肉接着部7の軸方向長さ7Lは、例えば、0.3mm以上であり、好ましくは、0.5mm以上であり、より好ましくは、0.7mm以上である。厚肉接着部7の軸方向長さ7Lの上限は特に限定されない。厚肉接着部7の軸方向長さ7Lは、厚肉接着部7の第1縁7aから第2縁7bまでの長さをいう。
【0034】
厚肉接着部7の径外方向における詳細を説明すると、厚肉接着部7は、その頂面72が第2凸部6よりも外側に位置していてもよく、或いは、その頂面72が第2凸部6と一致していてもよい。熱収縮性筒状ラベルに対する接着面積が大きくなることから、図示のように、厚肉接着部7の頂面72が第2凸部6よりも突出するように厚肉接着部7は設けられていることが好ましい。
この場合、厚肉接着部7の第2凸部6に対する突出高さ7Dは、特に限定されないが、余りに小さいと実質的に厚肉接着部7が第2凸部6よりも外側に突出されたものとはいえず、余りに大きいと熱収縮性筒状ラベルを外嵌する際に、熱収縮性筒状ラベルが厚肉接着部7に引っ掛かるおそれがある。かかる観点から、厚肉接着部7の第2凸部6に対する突出高さ7Dは、例えば、0.1mm~0.6mmであり、好ましくは、0.2mm~0.5mmである。
なお、厚肉接着部7の厚みは、凹部5の深さ以上である。凹部5の深さ以上の厚みを有する厚肉接着部7は、その頂面72が第2凸部6と一致し又は第2凸部6から外側に突出される。厚肉接着部7の厚みは、例えば、0.4mm~1.6mmであり、好ましくは、0.6mm~1.3mmである。
【0035】
厚肉接着部7の周方向における配置を説明すると、厚肉接着部7は、胴部22の周方向全体に亘って設けられていてもよく、或いは、胴部22の周方向の一部分に設けられていてもよい。
厚肉接着部7が胴部22の周方向の一部分に設けられる場合としては、例えば、周方向に複数の厚肉接着部7が点線状に設けられる場合、厚肉接着部7が上面視でC字状に設けられる場合などが挙げられる。
熱収縮性筒状ラベルの周方向全体に接着できることから、厚肉接着部7は、図示のように周方向全体に亘って設けられることが好ましい。ただし、厚肉接着部7は、後述するように感熱接着剤を凹部5に塗布して形成されるので、周方向全体に亘って形成したとしても継ぎ目において離れている箇所を有する場合があることを留意されたい。
【0036】
厚肉接着部7の立体形状について説明すると、厚肉接着部7の縦断面視形状は特に限定されない。例えば、厚肉接着部7は、図示のように縦断面視で略半円状又は略半楕円状のほか、略台形状、略長方形状、略正方形状、略三角形状などの略多角形状などに形成される。
熱収縮性筒状ラベルが厚肉接着部7の頂面72から第1側面71に接着し易くなることから、厚肉接着部7は、その頂面72と第1側面71が連続した曲線状に形成されていることが好ましい。また、熱収縮性筒状ラベルが引っ掛かり難くなることから、厚肉接着部7は、その頂面72と第2側面73が連続した曲線状に形成されていることが好ましい。縦断面視で略半円状又は略半楕円状に形成された厚肉接着部7は、その頂面72と第1側面71及び頂面72と第2側面73のそれぞれが連続した曲線状となる。なお、縦断面視形状は、水平断面と直交する方向で厚肉接着部7を切断したときの形状をいう。
【0037】
厚肉接着部7は感熱接着剤から形成される。感熱接着剤は、加熱前は接着性を有さず、加熱することによって接着性を発現し、冷えた後に固化して接着する接着剤である。
容器2に設けられた状態で、厚肉接着部7は、標準状態において接着性を有さない。
感熱接着剤としては、代表的には、例えば、ホットメルト型感熱接着剤、パートコート型感熱接着剤、ディレードタック型感熱接着剤などを用いることができる。
前記ホットメルト型感熱接着剤は、標準状態下では接着性はないが加熱することによって接着可能となるものであって加熱溶融によって塗工可能な接着剤であり、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン-ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが例示される。
前記パートコート型感熱接着剤は、ホットメルト型と同様に加熱によって接着性が生じる接着剤であって、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを有機溶剤などに溶解又は分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗布可能な接着剤であり、塗布後乾燥して使用するものである。
前記ディレードタック型感熱接着剤は、加熱することによって活性化して接着性が生じ且つ冷却後長時間に亘ってそれが持続するものであってグラビアコーティングなどの印刷によって塗布可能な接着剤である。
比較的厚みのある厚肉接着部7を簡単に形成できることから、ホットメルト型感熱接着剤を用いることが好ましい。
【0038】
[ラベル付き容器の製造方法]
本発明のラベル付き容器1の製造方法は、第1側から第2側に向かって順に第1凸部4、凹部5及び第2凸部6が形成されている胴部22を有する容器2であって、前記凹部5の第2側寄りに、感熱接着剤からなる厚肉接着部7が設けられている容器2を準備する工程、前記厚肉接着部7を含んで前記胴部22に、その第2側から熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌する工程、前記熱収縮性筒状ラベル3Aを加熱して熱収縮させる工程、を有する。
本発明の製造方法は、前記各工程以外に、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。また、これら各工程を1つの製造ラインで一連に行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を、1つのラインで行い、且つ残る工程を他の1つ又は2つ以上のラインで行ってもよい。また、前記各工程の全てを1人の実施者が行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を1人の実施者が行い、且つ残る工程を他の実施者が行ってもよい。
【0039】
<準備工程>
まず、厚肉接着部7が設けられている容器2と、熱収縮性筒状ラベル3Aとをそれぞれ準備する。
厚肉接着部7が設けられている容器2は、上記[容器]の欄で説明したような厚肉接着部7を含む容器2(図4及び図5参照)である。
容器そのものは、従来公知の製法で製造できる。例えば、上記のようなカップ型の容器2は、合成樹脂を用いたシート成形や射出成形などで形成できる。なお、カップ型の容器2が合成樹脂以外の材質である場合には、その材質に応じた適切な方法で製造される。
また、ボトル型やオーバル型の容器である場合には、合成樹脂を用いたブロー成形や射出成形などで形成できる。ボトル型などの容器についても、それが合成樹脂以外の材質である場合には、その材質に応じた適切な方法で製造される。
【0040】
容器2の凹部5に感熱接着剤を塗布することにより、厚肉接着部7を形成する。
例えば、ホットメルト型感熱接着剤を用いた場合には、ホットメルトガンなどを用いて、感熱接着剤を容器2の周方向に塗布し、自然冷却又は強制冷却することにより、凹部5のうち第2側に寄った位置に厚肉接着部7が設けられた容器2を得ることができる。また、パートコート型感熱接着剤などを用いた場合には、各種の印刷版又はコーターなどを用いて、感熱接着剤を容器2の周方向に塗布し、自然乾燥又は強制乾燥することにより、前記凹部5の第2側寄りの位置に厚肉接着部7が設けられた容器2を得ることができる。
熱収縮性筒状ラベル3Aについては、上記[熱収縮性筒状ラベル]の欄で説明したように、熱収縮性フィルムの第1方向(熱収縮方向)が周方向となるように、そのフィルムを筒状に丸め、一側端部を他側端部に重ね合わせて接着することによって得られる。現実的な製造工程では、熱収縮性筒状ラベル3Aは連続的に繋がった連続体の形態で製造される。扁平状の連続体を切断することにより、1つの扁平状の熱収縮性筒状ラベル3Aが得られる。
【0041】
<外嵌工程>
前記熱収縮性筒状ラベル3Aを筒状に開き、それを容器2の第2側から外嵌する。
上述の連続体から切り出した扁平状の熱収縮性筒状ラベル3Aを、図6及び図7に示すように、開口装置を用いて筒状に開く。開口装置は、従来公知のシュリンクラベラーに具備されているものを用いることができる。開口装置は、様々なタイプが知られており、図示のような複数の治具からなるもの、その他、図示しないが、熱収縮性筒状ラベルの外側からバキュームで吸引して熱収縮性筒状ラベルを開口させるもの、熱収縮性筒状ラベルを挿通体(例えばマンドレルなど)に通すことによって開口させるものなどがある。
図示例の開口装置は、複数の治具9を有し、各治具9は、熱収縮性筒状ラベル3Aの内面に接する挿入部91と、前記挿入部91と駆動装置(図示せず)とを連結する連結部92と、を有する。
開口装置の治具9の数は、少なくとも3つ以上であり、好ましくは、4つ以上であり、より好ましくは、6つ以上であり、特に好ましくは、6つ以上の偶数個である。3つ以上の治具9を有する開口装置を用いることにより、熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2の胴部22に外嵌できるほどに開口させることができ、特に、6つ以上の治具9を有する開口装置は、熱収縮性筒状ラベル3Aを円形に近い形で開口させることができるので好ましい。
ただし、水平断面形状が略円形状の胴部22に対しては、熱収縮性筒状ラベル3Aをできるだけ円形に開口させることが好ましく、このような胴部22を有する容器2に装着する場合には、4つ又は4の倍数個の治具9を有する開口装置を用いて熱収縮性筒状ラベル3Aを略四角筒状又は4の倍数筒状に開口させることが好ましい。
治具9は、周方向にランダムな間隔で配置されていてもよいが、好ましくは、周方向に均等な間隔で配置される。
【0042】
図示例の治具9は、L字形をなしており、そのL字の長手部分が熱収縮性筒状ラベル3Aの内側に挿入される挿入部91とされ、そのL字の短手部分が駆動装置(図示せず)に連結される連結部92とされている。
前記複数の治具9の挿入部91を熱収縮性筒状ラベル3Aの第2側から内側に挿入し、各治具9を径外方向に動かすことにより、熱収縮性筒状ラベル3Aを筒状に開き、その状態を維持できる。
【0043】
筒状に開かれた熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2の外側から嵌挿する。熱収縮性筒状ラベル3A及び容器2の少なくとも一方を移動させることにより、熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2の胴部22に外嵌できる。
例えば、図8に示すように、底面部21を下にした容器2を所定位置に位置決め固定し、その容器2の第2側から、筒状に開いた熱収縮性筒状ラベル3Aを第1側に移動させることにより、熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2の胴部22に外嵌する。なお、筒状に開いた熱収縮性筒状ラベル3Aを所定位置に位置決め固定し、その熱収縮性筒状ラベル3Aに向かって容器2を移動させてもよく、或いは、熱収縮性筒状ラベル3A及び容器2の双方を移動させてもよい。
なお、熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌する際には、容器2の厚肉接着部7は、接着性を有さない。
【0044】
容器2の第2側から熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2に対して相対移動させると、図9(a)に示すように、熱収縮性筒状ラベル3Aの第1縁3aが厚肉接着部7の外側を通過する。厚肉接着部7は、少なくとも凹部5に設けられているので、第2凸部6から大きく突出せず、従って、熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌する際に、その第1縁3aが厚肉接着部7に引っ掛かり難くなる。例えば、厚肉接着部7の第2凸部6に対する突出高さ7Dを0.6mm以下に設定することにより、前記引っ掛かりを効果的に防止できる。
さらに、厚肉接着部7の頂面72と第2側面73が連続した曲線状に形成されているので、前記引っ掛かりをより効果的に防止できる。頂面72と第2側面73が連続した曲線状となっている厚肉接着部7としては、例えば、上述の縦断面視形状が略半円状又は略半楕円状の厚肉接着部7が挙げられるが、これ以外の縦断面視形状でもよい。
【0045】
図9(b)に示すように、熱収縮性筒状ラベル3Aを容器2の所定位置にまで外嵌する。少なくとも厚肉接着部7を覆うまで熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌すればよく、好ましくは、熱収縮性筒状ラベル3Aの第1縁3aが厚肉接着部7を越え且つラベル3Aの第1縁3aから厚肉接着部7の第1縁7aまでの長さが3mm以上(好ましくは5mm以上)となるまで熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌し、より好ましくは、熱収縮性筒状ラベル3Aの第1縁3aが厚肉接着部7を越え且つラベル3Aの第1縁3aから厚肉接着部7の第1縁7aまでの長さが3mm以上(好ましくは5mm以上)で、さらに熱収縮性筒状ラベル3Aが第1凸部4に重なる位置まで外嵌し、さらに好ましくは、熱収縮性筒状ラベル3Aが第1凸部4に重なり且つラベル3Aの第1縁3aから凹部5の第1縁5aまでの長さが3mm以上(好ましくは5mm以上)となる位置まで外嵌する。
【0046】
<加熱工程>
容器2の所定位置に外嵌した熱収縮性筒状ラベル3Aに対して、加熱手段を用いて加熱する。加熱手段としては、熱収縮性筒状ラベル3A及び厚肉接着部7を昇温させることができるものであれば特に限定されず、代表的には、80℃~100℃のスチーム、100℃を超え150℃以下のドライスチーム、100℃~250℃程度の温風などが挙げられる。これらの加熱手段は、1種単独で又は2種以上併用してもよい。
加熱手段を熱収縮性筒状ラベル3Aの外面側に作用させることにより、熱収縮性筒状ラベル3A及び厚肉接着部7が加熱される。
加熱された厚肉接着部7は接着性を生じ、加熱された熱収縮性筒状ラベル3Aが熱収縮することにより、熱収縮性筒状ラベル3が厚肉接着部7を含む容器2の胴部22に密着する。
【0047】
厚肉接着部7は凹部5の第2側寄りの位置に設けられているので、厚肉接着部7を基準にしてその第1側に、凹み空間部59が確保されている。このため、熱収縮性筒状ラベル3Aのうち、凹み空間部59に対応する領域を、第1凸部4及び厚肉接着部7の頂面72に対応する領域よりも、大きく縮径させることが可能となる。よって、熱収縮性筒状ラベル3Aのうち凹み空間部59に対応する領域が、厚肉接着部7の第1側面71へと回り込み、熱収縮した熱収縮性筒状ラベル3Aが厚肉接着部7の頂面72から第1側面71にかけて接着するようになる。
特に、熱収縮性筒状ラベル3Aが第1凸部4を覆う位置にまで外嵌されている場合には、熱収縮時に第1凸部4に密着する熱収縮性筒状ラベル3Aは、厚肉接着部7の第1側面71に回り込み難くなるが、上記凹み空間部59が設けられていることにより、熱収縮性筒状ラベル3Aのうち凹み空間部59に対応する領域が、厚肉接着部7の第1側面71へと回り込んでそこに接着するようになる。
その後、自然冷却又は強制冷却することにより、厚肉接着部7が再び固化し、図1及び図2に示すようなラベル付き容器1が得られる。
なお、熱収縮性筒状ラベル3Aを装着する前の厚肉接着部7は、縦断面視略半円状又は略半楕円状であったが、熱収縮性筒状ラベル3の収縮力によって押し込まれることにより、厚肉接着部7の縦断面視形状は若干変化することに留意されたい(図5図2の対比)。
【0048】
得られたラベル付き容器1は、内容物を収容した後、胴部22の開口を蓋部材29にて閉塞して使用される。
なお、前記製造方法においては、内容物を収容する前の容器2に対して熱収縮性筒状ラベル3Aを装着したが、内部に内容物を収容し且つ蓋部材29で封緘した後の容器2に対して、熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌し、加熱して熱収縮性筒状ラベル3Aを熱収縮装着させることにより、ラベル付き容器1を製造してもよい。
【0049】
[ラベル付き容器]
図1及び図2を参照して、本発明のラベル付き容器1は、胴部22を有する容器2と、前記胴部22に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル3と、を有する。
熱収縮された熱収縮性筒状ラベル3と胴部22の間には、感熱接着剤からなる厚肉接着部7が部分的に設けられ、この厚肉接着部7にて熱収縮性筒状ラベル3が胴部22に接着されている。
厚肉接着部7は、第2側に寄った凹部5に設けられており、熱収縮性筒状ラベル3は、その厚肉接着部7の頂面72から第1側面71へと回り込み、凹み空間部59に対応して内側に湾曲している。そして、熱収縮性筒状ラベル3は、厚肉接着部7の頂面72から第1側面71にかけて接着されている。なお、熱収縮性筒状ラベル3は、厚肉接着部7の頂面72から第2側面73にも若干接着しているが、図2に示すように、第2側面73よりも第1側面71側に大面積で接着している(第1側面71に回り込んで接着している)。
また、熱収縮性筒状ラベル3の一部分(例えば、熱収縮性筒状ラベル3の上方領域)は、第1凸部4に密着しており、熱収縮性筒状ラベル3は、第1凸部4及び厚肉接着部7の頂面72の間に架け渡すように装着されている。
なお、熱収縮性筒状ラベル3の下方領域は、容器2の底面部21側へ折れ曲がり、底面部21に密着されている。
【0050】
本発明のラベル付き容器1は、熱収縮性筒状ラベル3が厚肉接着部7の頂面72から第1側面71にかけて接着されているので、熱収縮性筒状ラベル3の厚肉接着部7に対する接着面積が大きい。このため、熱収縮性筒状ラベル3が、容器2にしっかりと装着され、空回りすることを防止できる。
さらに、ラベル付き容器1の熱収縮性筒状ラベル3は、厚肉接着部7の頂面72から第1側面71に回り込んでいるので、熱収縮性筒状ラベル3のうち厚肉接着部7の第1側面71に対応する領域が、厚肉接着部7の頂面72に対応する領域よりも大きく縮径されている。このため、熱収縮性筒状ラベル3が容器2の第2側へ抜け落ちることを防止できる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態では、容器2の胴部22に、第2凸部6の第2側に段部69が形成されているが、例えば、図10に示すように、第2凸部6の第2側に段部が形成されていない胴部22を有する容器2を使用してもよい。また、上記実施形態では、第1凸部4とフランジ部23の間に段部が形成されていないが、第1凸部4とフランジ部23の間に段部が形成されていてもよい(図示せず)。
【0052】
さらに、上記実施形態の外嵌工程においては、底面部21を下にした容器2を所定位置に位置決め固定し、その容器2に対して第2側から熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌したが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、底面部21を上にした容器2を所定位置に位置決め固定し、その容器2の第2側から熱収縮性筒状ラベル3Aを外嵌してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ラベル付き容器
2 容器
22 容器の胴部
3,3A 熱収縮性筒状ラベル
4 第1凸部
5 凹部
5a 凹部の第1縁
5b 凹部の第2縁
6 第2凸部
7 厚肉接着部
7a 厚肉接着部の第1縁
7b 厚肉接着部の第2縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11