(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料及びその製造方法並びにビールテイスト飲料の香味を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20220804BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220804BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20220804BHJP
C12C 5/02 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/52
C12G3/04
C12C5/02
(21)【出願番号】P 2018119110
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 真秀
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 隆一
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-029891(JP,A)
【文献】特開2014-140352(JP,A)
【文献】国際公開第2004/000990(WO,A1)
【文献】特表2004-520413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/08
C12G 3/00-3/08
C12C 1/00-13/10
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味成分と、
10ppm以上、700ppm以下のキラヤ抽出物と、
5ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物とを含む、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
ノンアルコール飲料である、請求項
1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
非発酵飲料である、請求項1
又は2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
発泡性飲料である、請求項1乃至
3のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造方法であって、
10ppm以上、700ppm以下のキラヤ抽出物を添加することと、
5ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物を添加することと、
を含む、ビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項6】
ノンアルコール飲料である前記ビールテイスト飲料を製造する、
請求項
5に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項7】
アルコール発酵を行わない、
請求項
5又は6に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項8】
発泡性飲料である前記ビールテイスト飲料を製造する、
請求項
5乃至
7のいずれかに記載のビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項9】
苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造において、
10ppm以上、700ppm以下のキラヤ抽出物と、
5ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物とを添加することにより、前記キラヤ抽出物及び前記ユッカ抽出物を添加しない場合に比べて、前記ビールテイスト飲料の香味を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料及びその製造方法並びにビールテイスト飲料の香味を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原材料としてカラメル色素と、ホップ由来成分以外の苦味成分とを含んでなり、かつ、飲料の彩度が12~50である、未発酵のビールテイスト飲料について記載され、当該苦味成分が、クワッシャー、キニーネ、キナ皮抽出物、コウチャポリフェノール、ナリンジン、ダンデライオン、センブリ、ガラナ、ユズポリフェノールおよびクロロゲン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることも記載されている。
【0003】
特許文献2には、0.3~5ppmのクワシンおよび/または0.5~5ppmのキニーネを含んでなる、ビールテイスト飲料について記載され、当該ビールテイスト飲料が、紅茶ポリフェノール、ナリンジン、ダンデライオン、センブリ、ガラナ、ユズポリフェノール、クロロゲン酸およびブドウ種子エキスからなる群から選択される少なくとも一種の苦味素材をさらに含んでなることも記載されている。
【0004】
特許文献3には、サポニンを0.0001~0.01重量%含む炭酸ガス含有飲料であって、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムから選択される1種以上の起泡剤又は泡保持剤を含むことを特徴とする炭酸ガス含有飲料について記載されている。
【0005】
特許文献4には、サポニン類を含有する植物抽出物及び希少糖類が配合されたサポニン類含有飲料であって、飲料中のサポニン類の合計含有量(wt%)[S]が1.0×10-4~3.5×10-2の範囲であると共に、希少糖類の含有量(wt%)[R]に対する上記サポニン類の含有量[S]の比、[R]/[S]が5.7~1500の範囲であることを特徴とするサポニン類含有飲料について記載されている。
【0006】
特許文献5には、炭酸ガスを圧入して製造する炭酸飲料の製造において、炭酸飲料原料に消泡剤と、飲料全量に対して、0.01~0.5重量%の起泡剤とを併用して添加し、炭酸飲料製造時及び飲用開栓時の噴きこぼれ抑制と泡のはじけ感を保持させた高味覚容器詰め炭酸飲料について記載されている。
【0007】
特許文献6には、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物の複合組成物及び乳酸菌を含有することを特徴とする飲食品について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-112911号公報
【文献】特開2017-006077号公報
【文献】特開2009-011200号公報
【文献】特開2015-035970号公報
【文献】特開2014-087359号公報
【文献】特開2007-082403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、本発明の発明者は、ビールテイスト飲料の香味を向上させるための技術的手段について、鋭意検討を重ねた。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、香味が効果的に向上したビールテイスト飲料及びその製造方法並びにビールテイスト飲料の香味を向上させる方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係るビールテイスト飲料は、苦味成分と、キラヤ抽出物と、ユッカ抽出物とを含む。本発明によれば、香味が効果的に向上したビールテイスト飲料が提供される。
【0012】
また、前記ビールテイスト飲料は、10ppm以上、700ppm以下の前記キラヤ抽出物を含むこととしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料は、5ppm以上、400ppm以下の前記ユッカ抽出物を含むこととしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料は、ノンアルコール飲料であることとしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料は、非発酵飲料であることとしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料は、発泡性飲料であることとしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造方法であって、キラヤ抽出物を添加することと、ユッカ抽出物を添加することと、を含む。本発明によれば、香味が効果的に向上したビールテイスト飲料の製造方法が提供される。
【0014】
また、前記ビールテイスト飲料の製造方法においては、前記ビールテイスト飲料における含有量が10ppm以上、700ppm以下となるように前記キラヤ抽出物を添加することとしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料の製造方法においては、前記ビールテイスト飲料における含有量が5ppm以上、400ppm以下となるように前記ユッカ抽出物を添加することとしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料の製造方法においては、ノンアルコール飲料である前記ビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料の製造方法においては、アルコール発酵を行わないこととしてもよい。また、前記ビールテイスト飲料の製造方法においては、発泡性飲料である前記ビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係るビールテイスト飲料の香味を向上させる方法は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造において、キラヤ抽出物と、ユッカ抽出物とを添加することにより、前記キラヤ抽出物及び前記ユッカ抽出物を添加しない場合に比べて、前記ビールテイスト飲料の香味を向上させる。本発明によれば、ビールテイスト飲料の香味を効果的に向上させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、香味が効果的に向上したビールテイスト飲料及びその製造方法並びにビールテイスト飲料の香味を向上させる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1においてビールテイスト飲料を評価した結果を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る実施例2においてビールテイスト飲料を評価した結果を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る実施例3においてビールテイスト飲料を評価した結果を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る実施例4においてビールテイスト飲料を評価した結果を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る実施例5においてビールテイスト飲料を評価した結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0019】
本実施形態に係るビールテイスト飲料(以下、「本飲料」ということがある。)は、苦味成分と、キラヤ抽出物と、ユッカ抽出物とを含む。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造方法であって、キラヤ抽出物を添加することと、ユッカ抽出物を添加することと、を含む。
【0020】
すなわち、本発明の発明者は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の香味を向上させるための技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、後述のとおり、ユッカ抽出物とキラヤ抽出物とを併用することにより、従来にない香味が付与されることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
したがって、本実施形態は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造において、キラヤ抽出物と、ユッカ抽出物とを添加することにより、当該キラヤ抽出物及び当該ユッカ抽出物を添加しない場合に比べて、当該ビールテイスト飲料の香味を向上させる方法をも含む。
【0022】
キラヤ抽出物とユッカ抽出物とを添加して製造された、苦味成分を含むビールテイスト飲料の香味は、当該キラヤ抽出物及び当該ユッカ抽出物を添加しないこと以外は同一の方法で製造されたビールテイスト飲料のそれに比べて、効果的に向上する。
【0023】
具体的に、後述の実施例において示されるように、苦味成分を含むビールテイスト飲料がさらにキラヤ抽出物とユッカ抽出物とを含むことにより、当該ビールテイスト飲料には、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物の併用に特有の香味が効果的に付与される。
【0024】
より具体的に、例えば、苦味成分を含むビールテイスト飲料が、さらにキラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むことにより、苦味の質が向上する。苦味の質の向上は、例えば、苦味のシルキー感の向上として評価される。また、苦味成分を含むビールテイスト飲料が、さらにキラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むことにより、例えば、キレが向上する。
【0025】
なお、シルキーな苦味とは、舌触りがなめらかでバランスのとれたきめ細やかな苦味として評価される。また、ビールテイスト飲料の飲み始めはコクを感じるが、後味はスッキリする場合、当該ビールテイスト飲料は、キレがあると評価される。
【0026】
キラヤ抽出物は、キラヤ科キラヤ属の植物(すなわち、キラヤ)の抽出により得られる組成物である。具体的に、キラヤ抽出物は、キラヤの樹皮、葉、花、種子及び果実からなる群より選択される1以上を溶媒で抽出することにより得られる。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)又はこれらの混合液が好ましく用いられる。キラヤ抽出物は、キラヤ由来成分を含む。具体的に、キラヤ抽出物は、例えば、キラヤサポニンを含む。
【0027】
ユッカ抽出物は、リュウゼツラン科ユッカ属の植物(すなわち、ユッカ)の抽出により得られる組成物である。具体的に、ユッカ抽出物は、ユッカの根、茎、葉、花、種子及び果実からなる群より選択される1以上を溶媒で抽出することにより得られる。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)又はこれらの混合液が好ましく用いられる。ユッカ抽出物は、ユッカ由来成分を含む。具体的に、ユッカ抽出物は、例えば、ユッカサポニンを含む。
【0028】
本飲料におけるキラヤ抽出物の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、本飲料は、例えば、10ppm以上、700ppm以下のキラヤ抽出物を含むこととしてもよい。また、本製法においては、最終的に得られるビールテイスト飲料における含有量が10ppm以上、700ppm以下となるようにキラヤ抽出物を添加することとしてもよい。なお、1ppmは、0.0001w/w%に相当する。
【0029】
さらに、ビールテイスト飲料におけるキラヤ抽出物の含有量は、例えば、20ppm以上、600ppm以下であってもよく、50ppm以上、500ppm以下であることが好ましく、110ppm以上、490ppm以下であることがより好ましく、110ppm以上、450ppm以下であることがより一層好ましく、110ppm以上、250ppm以下であることが特に好ましい。
【0030】
キラヤ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、ビールテイスト飲料の香味がより効果的に向上する。すなわち、この場合、ビールテイスト飲料は、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、シルキーな苦味、及び/又はキレに優れた香味)がより効果的に付与される。
【0031】
本飲料におけるユッカ抽出物の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、本飲料は、例えば、5ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物を含むこととしてもよい。また、本製法においては、最終的に得られるビールテイスト飲料における含有量が5ppm以上、400ppm以下となるようにユッカ抽出物を添加することとしてもよい。
【0032】
さらに、ビールテイスト飲料におけるユッカ抽出物の含有量は、例えば、10ppm以上、500ppm以下であってもよく、20ppm以上、450ppm以下であることが好ましく、60ppm以上、400ppm以下であることがより好ましく、60ppm以上、350ppm以下であることがより一層好ましく、60ppm以上、150ppm以下であることが特に好ましい。
【0033】
ユッカ抽出物の含有量が上記範囲内であることにより、ビールテイスト飲料の香味がより効果的に向上する。すなわち、この場合、ビールテイスト飲料は、ユッカ抽出物及びキラヤ抽出物の併用に特有の香味(例えば、シルキーな苦味、及び/又はキレに優れた香味)がより効果的に付与される。
【0034】
ビールテイスト飲料におけるキラヤ抽出物の含有量と、ユッカ抽出物の含有量との組み合わせは、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該キラヤ抽出物の含有量の上記範囲のいずれかと、当該ユッカ抽出物の含有量の上記範囲のいずれかとの任意の組み合わせとして特定されてもよい。
【0035】
すなわち、ビールテイスト飲料は、例えば、10ppm以上、700ppm以下のキラヤ抽出物と、5ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物とを含むこととしてもよい。さらに、ビールテイスト飲料は、例えば、20ppm以上、600ppm以下のキラヤ抽出物と、10ppm以上、500ppm以下のユッカ抽出物とを含むこととしてもよく、50ppm以上、500ppm以下のキラヤ抽出物と、20ppm以上、450ppm以下のユッカ抽出物とを含むことが好ましく、110ppm以上、490ppm以下のキラヤ抽出物と、60ppm以上、400ppm以下のユッカ抽出物とを含むことがより好ましく、110ppm以上、450ppm以下のキラヤ抽出物と、60ppm以上、350ppm以下のユッカ抽出物とを含むことがより一層好ましく、110ppm以上、250ppm以下のキラヤ抽出物と、60ppm以上、150ppm以下のユッカ抽出物とを含むことが特に好ましい。
【0036】
本飲料は、苦味成分を含むビールテイスト飲料である。また、本製造方法は、苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造方法である。苦味成分は、飲んだときに苦味を呈する成分であれば特に限られず、例えば、ホップ由来の苦味成分、及び/又はホップ以外の原料(例えば、苦味成分を含む、ホップ以外の植物原料)に由来する苦味成分であってもよい。
【0037】
具体的に、苦味成分は、例えば、イソα酸、ナリンジン、クワシン、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、ニガヨモギ抽出物、キナ抽出物、ニガキ抽出物、ペプチド類、テオブロミン、アブシンチン、キニーネ、ゴーヤ、コウチャポリフェノール、ダンデライオン、センブリ、ガラナ、ユズポリフェノール及びクロロゲン酸からなる群より選択される1以上であってもよく、イソα酸及び/又はナリンジンであることが好ましく、イソα酸であることが特に好ましい。
【0038】
ビールテイスト飲料における苦味成分の含有量(ビールテイスト飲料が複数の苦味成分を含む場合には、当該複数の苦味成分の含有量の合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、1ppm以上、100ppm以下であることとしてもよく、3ppm以上、40ppm以下であることが好ましく、4ppm以上、30ppm以下であることがより好ましく、5ppm以上、20ppm以下であることがより一層好ましく、10ppm以上、15ppm以下であることが特に好ましい。
【0039】
すなわち、例えば、ビールテイスト飲料がイソα酸及び/又はナリンジンを含む場合、当該ビールテイスト飲料における当該イソα酸及び/又はナリンジンの含有量(ビールテイスト飲料がイソα酸及びナリンジンを含む場合には、イソα酸の含有量とナリンジンの含有量との合計)は、1ppm以上、100ppm以下であることとしてもよく、3ppm以上、40ppm以下であることが好ましく、4ppm以上、30ppm以下であることがより好ましく、5ppm以上、20ppm以下であることがより一層好ましく、10ppm以上、15ppm以下であることが特に好ましい。
【0040】
苦味成分を含むビールテイスト飲料の製造においては、当該苦味成分、及び/又は当該苦味成分の前駆体を含む原料を使用する。苦味成分の前駆体は、例えば、加熱及び/又は化学反応によって当該苦味成分を生成する物質である。この場合、本製造方法においては、苦味成分の前駆体の添加後に、加熱及び/又は化学反応を行って当該苦味成分を生成する。
【0041】
具体的に、例えば、イソα酸を含むビールテイスト飲料の製造においては、当該イソα酸を含む原料(例えば、イソα酸を含む組成物)、及び/又は当該イソα酸の前駆体であるα酸を含む原料(例えば、α酸を含むホップ原料)を使用する。そして、α酸を加熱することによりイソα酸が生成するため、本製造方法においてα酸を含む原料を使用する場合には、当該α酸を含む原料の添加後に加熱(例えば、煮沸)を行ってイソα酸を生成する。
【0042】
ビールテイスト飲料は、ビール様の香味を有する飲料である。ビールテイスト飲料は、その組成(例えば、アルコール含有量、発泡性の有無)や製造時の条件(例えば、アルコール発酵の有無、麦芽の使用の有無、ホップの使用の有無)に関わらず、ビール様の香味を有する飲料であれば特に限られない。
【0043】
本飲料は、ノンアルコール飲料であることとしてもよい。また、本製造方法は、ノンアルコール飲料であるビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。ノンアルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%未満の飲料である。ノンアルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であってもよく、0.05体積%未満であってもよく、0.005体積%未満であってもよい。
【0044】
飲料のアルコール含有量は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.3.6 アルコライザー法」に記載の方法により測定される。
【0045】
本飲料は、アルコール飲料であることとしてもよい。また、本製造方法は、アルコール飲料であるビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。アルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%以上(アルコール分1度以上)の飲料である。アルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%以上であれば特に限られないが、例えば、1体積%以上、20体積%以下であることとしてもよい。
【0046】
本飲料は、非発酵飲料であることとしてもよい。また、本製造方法においては、アルコール発酵を行わないこととしてもよい。非発酵飲料は、アルコール発酵を行うことなく製造される飲料である。本製造方法においては、アルコール発酵を行うことなく、ノンアルコール飲料であるビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。
【0047】
なお、本製造方法においてアルコール発酵を行うことなくアルコール飲料であるビールテイスト飲料を製造する場合には、例えば、アルコール(例えば、エタノール)を添加することにより、当該アルコール飲料を得ることができる。
【0048】
本飲料は、発酵飲料であることとしてもよい。また、本製造方法においては、アルコール発酵を行うこととしてもよい。発酵飲料は、アルコール発酵を行って製造される飲料である。アルコール発酵は、酵母が資化できる炭素源及び窒素源を含む原料液に、当該酵母を添加することにより行う。
【0049】
なお、本製造方法においてアルコール発酵を行ってノンアルコール飲料であるビールテイスト飲料を製造する場合には、例えば、当該アルコール発酵後の原料液に、アルコール含有量を低減する処理を施すことにより、当該ノンアルコール飲料を得ることができる。
【0050】
本飲料は、発泡性飲料であることとしてもよい。また、本製造方法においては、発泡性飲料であるビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。発泡性飲料の泡持ち特性は、例えば、NIBEM値により評価される。
【0051】
発泡性飲料のNIBEM値は特に限られないが、例えば、30以上であることとしてもよい。発泡性飲料のNIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡-NIBEM-Tを用いた泡持ち測定法-」に記載の方法により測定される。
【0052】
発泡性飲料は、その20℃における炭酸ガス圧が、例えば、100kPa以上であることとしてもよい。発泡性飲料の20℃における炭酸ガス圧は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.21 ガス圧」に記載の方法により測定される。
【0053】
なお、本製造方法において、アルコール発酵を行うことなく発泡性飲料であるビールテイスト飲料を製造する場合には、例えば、炭酸水の使用、及び/又は炭酸ガスの使用によって発泡性を付与することにより、当該発泡性飲料を得ることができる。
【0054】
本飲料は、非ホップ飲料であることとしてもよい。また、本製造方法においては、ホップ原料を使用することなくビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。非ホップ飲料は、ホップ原料を使用することなく製造される飲料である。ホップ原料は、ホップに特有の苦味成分又はその前駆体、及び香気成分を含む原料である。なお、イソα酸を含む非ホップ飲料は、例えば、ホップ原料を使用することなく、イソα酸を含む組成物(例えば、精製されたイソα酸を含む組成物)を使用することにより製造することができる。
【0055】
本飲料は、ホップ飲料であることとしてもよい。また、本製造方法においては、ホップ原料を使用してビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。ホップ飲料は、ホップ原料を使用して製造される飲料である。ホップ飲料は、その製造においてホップ原料を使用することにより、当該ホップ原料に由来する苦味成分(例えば、イソα酸)を含む。この場合、ホップ飲料は、ホップ原料に由来する香気成分(例えば、モノテルペンアルコール)を含んでもよい。
【0056】
本飲料は、非麦芽飲料であることとしてもよい。非麦芽飲料は、麦芽を使用することなく製造される飲料である。また、本製造方法においては、麦芽を使用することなくビールテイスト飲料を製造することとしてもよい。麦芽は、例えば、大麦麦芽、小麦麦芽、燕麦麦芽及びライ麦麦芽である。なお、麦芽は、麦を発芽させて得られる。
【0057】
本飲料は、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、及び甘味料からなる群より選択される1種以上を含むこととしてもよい。また、本製造方法は、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、及び甘味料からなる群より選択される1種以上を添加することを含むこととしてもよい。
【0058】
上述の特許文献1には、ホップ原料に由来する苦味成分に代えて、ホップ原料に由来する成分以外の苦味成分を含むビールテイスト飲料が記載されている。これに対し、本飲料は、ホップ原料に由来する苦味成分(例えば、ホップ原料に由来するイソα酸)を含むこととしてもよい。また、本製造方法においては、ホップ原料を使用することとしてもよい。
【0059】
上述の特許文献2には、クワシン及び/又はキニーネを含むビールテイスト飲料が記載されている。これに対し、本飲料は、クワシン及びキニーネを含まないこととしてもよい。また、本製造方法においては、クワシン及びキニーネを使用しないこととしてもよい。
【0060】
上述の特許文献3には、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムから選択される1種以上を含む炭酸ガス含有飲料が記載されている。これに対し、本飲料は、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムを含まないこととしてもよい。また、本製造方法においては、オクテニルコハク酸澱粉、ペクチン及びタマリンドガムを使用しないこととしてもよい。
【0061】
上述の特許文献4には、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを含む希少糖シロップを添加してサポニン類含有飲料を製造することが記載されている。これに対し、本飲料は、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース又はD-アロースを含まないこととしてもよく、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを含まないこととしてもよい。また、本製造方法においては、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース又はD-アロースを使用しないこととしてもよく、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース及びD-アロースを使用しないこととしてもよい。
【0062】
上述の特許文献5には、消泡剤を添加して炭酸飲料を製造することが記載されている。これに対し、本製造方法においては、消泡剤(具体的には、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの油脂組成物)を添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、消泡剤(具体的には、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル及び/又はソルビタン脂肪酸エステルの油脂組成物)を含まないこととしてもよい。
【0063】
上述の特許文献6には、乳酸菌を添加して飲食品を製造することが記載されている。これに対し、本製造方法においては、乳酸菌を添加しないこととしてもよい。また、本飲料は、乳酸菌を含まないこととしてもよい。
【0064】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0065】
[ビールテイスト飲料の製造]
例1-1~例1-5においては、炭酸水と、市販のイソα酸と、市販のキラヤ抽出物(キラヤニン(登録商標)C-100、丸善製薬株式会社製)と、市販のユッカ抽出物(サラキープ(登録商標)PE、丸善製薬株式会社製)とを混合することにより、12ppmのイソα酸と、20ppm、100ppm、200ppm、400ppm、又は600ppmのキラヤ抽出物と、100ppmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が0.005体積%未満である5種類のビールテイスト飲料を得た。
【0066】
また、比較のために、例1-0として、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を使用しない以外は同様にして、12ppmのイソα酸を含み、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物は含まず、アルコール含有量が0.005体積%未満であるビールテイスト飲料を得た。
【0067】
[官能検査]
上述のようにして例1-0~例1-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。具体的に、各パネラーは、各ビールテイスト飲料の「シルキーな苦味」及び「キレ」を評価して点数を付与した。
【0068】
「シルキーな苦味」については、ビールテイスト飲料が、極めて顕著にシルキーな苦味を有する場合には5点、顕著にシルキーな苦味を有する場合には4点、十分にシルキーな苦味を有する場合には3点、僅かにシルキーな苦味を有する場合には2点、シルキーな苦味は有さず粗い苦味を有する場合には1点が付与された。
【0069】
「キレ」については、ビールテイスト飲料が、極めて顕著なキレを有する場合には5点、顕著なキレを有する場合には4点、十分なキレを有する場合には3点、僅かにキレを有する場合には2点、キレを有しない場合には1点が付与された。
【0070】
[結果]
図1には、例1-0~例1-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(体積%)、イソα酸の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)、及びキラヤ抽出物の含有量(ppm)を示し、官能検査に関して「シルキーな苦味」及び「キレ」の評価結果を示す。
【0071】
なお、官能検査の評価結果としては、各ビールテイスト飲料に付与された点数の合計をパネラーの数で除して得られた算術平均値を「付与点数」として示すとともに、例1-1~例1-5のビールテイスト飲料については、その「付与点数」から、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まない例1-0のビールテイスト飲料の「付与点数」を減じて得られる点数差を「例1-0との差」として示す。この「例1-0との差」が大きいほど、香味が優れていると評価されたことになる。
【0072】
図1に示すように、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むビールテイスト飲料(例1-1~例1-5)は、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まないビールテイスト飲料(例1-0)に比べて優れた香味を有していた。
【0073】
また、例1-2~例1-4のビールテイスト飲料は、例1-1及び例1-5のビールテイスト飲料に比べて優れた香味を有していた。さらに、例1-3及び例1-4のビールテイスト飲料は、シルキーな苦味及びキレのいずれも顕著であり、特に優れた香味を有していた。
【実施例2】
【0074】
例2-1~例2-5においては、上述の実施例1と同様にして、12ppmのイソα酸と、200ppmのキラヤ抽出物と、10ppm、50ppm、100ppm、200ppm、又は300pmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が0.005体積%未満である5種類のビールテイスト飲料を得た。
【0075】
そして、上述の実施例1と同様にして、例2-1~例2-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。
【0076】
図2には、上述した
図1と同様、例2-1~例2-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(体積%)、イソα酸の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)、及びキラヤ抽出物の含有量(ppm)を示し、官能検査に関して「シルキーな苦味」及び「キレ」の評価結果を示す。
【0077】
図2に示すように、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むビールテイスト飲料(例2-1~例2-5)は、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まないビールテイスト飲料(上述の実施例1において
図1に示される例1-0)に比べて優れた香味を有していた。
【0078】
また、例2-2~例2-5のビールテイスト飲料は、例2-1のビールテイスト飲料に比べて優れた香味を有していた。さらに、例2-3及び例2-5のビールテイスト飲料は、シルキーな苦味及びキレのいずれも顕著であり、特に優れた香味を有していた。
【実施例3】
【0079】
例3-1~例3-5においては、上述の実施例1と同様にして、3ppm、6ppm、12ppm、24ppm、又は36ppmのイソα酸と、200ppmのキラヤ抽出物と、100ppmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が0.005体積%未満である5種類のビールテイスト飲料を得た。
【0080】
そして、上述の実施例1と同様にして、例3-1~例3-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。
【0081】
図3には、上述した
図1と同様、例3-1~例3-5で製造されたビールテイスト飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(体積%)、イソα酸の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)、及びキラヤ抽出物の含有量(ppm)を示し、官能検査に関して「シルキーな苦味」及び「キレ」の評価結果を示す。
【0082】
図3に示すように、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むビールテイスト飲料(例3-1~例3-5)は、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まないビールテイスト飲料(上述の実施例1において
図1に示される例1-0)に比べて優れた香味を有していた。
【0083】
また、例3-2~例3-4のビールテイスト飲料は、例3-1及び例3-5のビールテイスト飲料に比べて優れた香味を有していた。さらに、例3-2及び例3-3のビールテイスト飲料は、シルキーな苦味及びキレのいずれも顕著であり、特に優れた香味を有していた。
【実施例4】
【0084】
例4-1においては、上述の実施例1と同様にして、12ppmのイソα酸と、200ppmのキラヤ抽出物と、100ppmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が0.005体積%未満であるビールテイスト飲料を得た。
【0085】
例4-2においては、イソα酸に代えて市販のナリンジンを使用したこと以外は上述の実施例1と同様にして、12ppmのナリンジンと、200ppmのキラヤ抽出物と、100ppmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が0.005体積%未満であるビールテイスト飲料を得た。
【0086】
そして、上述の実施例1と同様にして、例4-1及び例4-2で製造されたビールテイスト飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。
【0087】
図4には、上述した
図1と同様、例4-1及び例4-2で製造されたビールテイスト飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(体積%)、イソα酸の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)、及びキラヤ抽出物の含有量(ppm)を示し、官能検査に関して「シルキーな苦味」及び「キレ」の評価結果を示す。
【0088】
図4に示すように、例4-1及び例4-2のビールテイスト飲料はいずれも、シルキーな苦味及びキレのいずれも顕著であり、極めて優れた香味を有していた。
【実施例5】
【0089】
[ビールテイスト飲料の製造]
例5-1においては、市販のビールと、市販のキラヤ抽出物(キラヤニン(登録商標)C-100、丸善製薬株式会社製)と、市販のユッカ抽出物(サラキープ(登録商標)PE、丸善製薬株式会社製)とを混合することにより、約17.5ppmのイソα酸と、20ppmのキラヤ抽出物と、100ppmのユッカ抽出物とを含み、アルコール含有量が5体積%であるビールテイスト飲料を得た。なお、上記ビールは、麦芽及びホップを使用し、アルコール発酵を行って製造されたものであり、イソα酸は、当該ホップに由来するものであった。
【0090】
また、比較のために、例5-0として、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を添加しない上記市販のビールをそのまま、約17.5ppmのイソα酸を含み、アルコール含有量が5体積%であるビールテイスト飲料として使用した。
【0091】
[官能検査]
上述の実施例1と同様にして、例5-0及び例5-1のビールテイスト飲料の各々について、食品官能評価能力のある熟練した複数のパネラーによる官能検査を行った。
【0092】
[結果]
図5には、上述した
図1と同様、例5-0及び例5-1のビールテイスト飲料の各々について、その組成に関してアルコール含有量(体積%)、イソα酸の含有量(ppm)、ユッカ抽出物の含有量(ppm)、及びキラヤ抽出物の含有量(ppm)を示し、官能検査に関して「シルキーな苦味」及び「キレ」の評価結果を示す。
【0093】
なお、官能検査の評価結果としては、各ビールテイスト飲料に付与された点数の合計をパネラーの数で除して得られた算術平均値を「付与点数」として示すとともに、例5-1のビールテイスト飲料については、その「付与点数」から、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まない例5-0のビールテイスト飲料の「付与点数」を減じて得られる点数差を「例5-0との差」として示す。この「例5-0との差」が大きいほど、香味が優れていると評価されたことになる。
【0094】
図5に示すように、キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含むビールテイスト飲料(例5-1)は、シルキーな苦味及びキレのいずれも顕著であり、当該キラヤ抽出物及びユッカ抽出物を含まないビールテイスト飲料(例5-0)に比べて優れた香味を有していた。