(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ロボット及びそれを備えるロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20220804BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B65G47/90 Z
B25J15/00 Z
(21)【出願番号】P 2018156233
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石崎 敬之
(72)【発明者】
【氏名】岡 光信
(72)【発明者】
【氏名】吉田 将崇
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039534(JP,A)
【文献】国際公開第2006/134709(WO,A1)
【文献】特開昭61-282226(JP,A)
【文献】特開2016-055995(JP,A)
【文献】特開2001-062762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 41/00,47/90-47/92
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースにその基端が固定される第1ロボットと、
前記ベースにその基端が固定される第2ロボットと、を備え、
前記第1ロボットは、第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられる第1ロボットハンドと、を有し、
前記第2ロボットは、第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられる第2ロボットハンドと、を有し、
前記第1ロボットハンドは、コンベヤを含み、
前記第2ロボットハンドは、ワークを保持する保持部を含み、
前記第2ロボットは、前記保持部で保持したワークを前記第1ロボットのコンベヤの搬送面に載せて解放
し、
前記ベースは、
ベース本体と、
前記ベース本体に設けられる可動部と、を有し、
前記第1ロボットは、その基端が前記ベース本体に固定され、
前記第2ロボットは、その基端が前記可動部に固定されることで、前記第1ロボットの基端と前記第2ロボットの基端とを結ぶ長さ方向に直交する幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動可能である、ロボット。
【請求項2】
ベースと、
前記ベースにその基端が固定される第1ロボットと、
前記ベースにその基端が固定される第2ロボットと、を備え、
前記第1ロボットは、第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられる第1ロボットハンドと、を有し、
前記第2ロボットは、第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられる第2ロボットハンドと、を有し、
前記第1ロボットハンドは、コンベヤを含み、
前記第2ロボットハンドは、ワークを保持する保持部を含み、
前記第2ロボットは、前記保持部で保持したワークを前記第1ロボットのコンベヤの搬送面に載せて解放し、
前記ベースは無人搬送車を有する
、ロボット。
【請求項3】
前記可動部は、
前記ベース本体から延びる旋回軸と、
前記旋回軸に取り付けられることで、前記長さ方向と前記幅方向とが交わる平面上で前記旋回軸を中心として揺動可能な可動部本体と、を有し、
前記第2ロボットは、その基端が前記可動部本体に固定されることで、前記幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動可能である、
請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
前記保持部は、前記ワークを吸着して保持する吸着部として構成される、
請求項1乃至3のいずれかに記載のロボット。
【請求項5】
前記コンベヤはベルトコンベヤとして構成される、
請求項1乃至4のいずれかに記載のロボット。
【請求項6】
前記第1及び前記第2ロボットのうち少なくとも何れか一方は、垂直多関節型ロボットとして構成される、
請求項1乃至5のいずれかに記載のロボット。
【請求項7】
前記第1ロボットアームは、4つ以上の関節軸を有する、
請求項1乃至6のいずれかに記載のロボット。
【請求項8】
前記第2ロボットアームは、6つ以上の関節軸を有する、
請求項1乃至7のいずれかに記載のロボット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のロボットを備えることを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項10】
前記ロボットを遠隔操作するための操作部をさらに備える、
請求項9に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ロボットの作業状況を撮像するための撮像装置と、
前記撮像装置で撮像した情報を出力するための出力装置と、をさらに備える、
請求項9又は10に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びそれを備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動可能なコンベヤと、当該コンベヤの搬送面にワークを保持して載置する保持機構とを備えるロボットが知られている。このようなロボットとして、例えば、特許文献1の荷役装置がある。
【0003】
特許文献1の荷役装置は、移動可能なコンベヤ及び取り出しアームを備える。移動可能なコンベヤが荷物に近づくように前進し、取り出しアームの先端に設けられる把持部によって荷物が把持される。取り出しアームは、荷物を移動コンベヤ上に載せたあと、荷物回避姿勢に移る。さらに、移動可能なコンベヤは、搬送台の位置まで下降し、その搬送面を構成するベルトを回転させることで、荷物を搬送台へと投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の荷役装置は、搬送台に隣接した位置で地面に固定する必要があるので、設置場所が限定的になってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤによってワークを搬送することが可能な、ロボット及びそれを備えるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットは、ベースと、前記ベースにその基端が固定される第1ロボットと、前記ベースにその基端が固定される第2ロボットと、を備え、前記第1ロボットは、第1ロボットアームと、前記第1ロボットアームの先端に取り付けられる第1ロボットハンドと、を有し、前記第2ロボットは、第2ロボットアームと、前記第2ロボットアームの先端に取り付けられる第2ロボットハンドと、を有し、前記第1ロボットハンドは、コンベヤを含み、前記第2ロボットハンドは、ワークを保持する保持部を含み、前記第2ロボットは、前記保持部で保持したワークを前記第1ロボットのコンベヤの搬送面に載せて解放することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第1ロボットアームの先端にコンベヤが取り付けられるので、第1ロボットアームの先端が移動可能な範囲でコンベヤを移動させることができる。また、第2ロボットが、保持部で保持したワークを第1ロボットのコンベヤの搬送面に載せて解放することが可能である。その結果、設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤによってワークを搬送することが可能な、ロボットを提供することが可能となる。
【0009】
前記ベースは、ベース本体と、前記ベース本体に設けられる可動部と、を有し、前記第1ロボットは、その基端が前記ベース本体に固定され、前記第2ロボットは、その基端が前記可動部に固定されることで、前記第1ロボットの基端と前記第2ロボットの基端とを結ぶ長さ方向に直交する幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動可能であってもよい。
【0010】
上記構成によれば、ベース本体に設けられる可動部によって、第2ロボットが前記幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動可能であるため、搬送対象となるワークが第2ロボットアームの先端の可動範囲より遠くに配置されている場合であっても、前記ワークを保持部で保持することができるように第2ロボットアームの姿勢を容易に変更することが可能となる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0011】
前記可動部は、前記ベース本体から延びる旋回軸と、前記旋回軸に取り付けられることで、前記長さ方向と前記幅方向とが交わる平面上で前記旋回軸を中心として揺動可能な可動部本体と、を有し、前記第2ロボットは、その基端が前記可動部本体に固定されることで、前記幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動可能であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、簡単な構造の可動部によって、第2ロボットを前記幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方に移動させることが可能となる。
【0013】
前記ベースは無人搬送車を有してもよい。
【0014】
上記構成によれば、ロボットを容易に移動させることができるので、本発明が奏する効果を顕著にすることが可能となる。
【0015】
前記保持部は、前記ワークを吸着して保持する吸着部として構成されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、例えば、隙間なく積載された複数のワークの中から1つのワークを保持する場合であっても、当該1つのワークの側部などを吸着することで、他のワークに妨げられることなく容易に当該1つのワークを保持することが可能となる。
【0017】
例えば、前記コンベヤはベルトコンベヤとして構成されてもよい。
【0018】
前記第1及び前記第2ロボットのうち少なくとも何れか一方は、垂直多関節型ロボットとして構成されてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1及び第2ロボットアームのうち少なくとも何れか一方が、所望する姿勢を取り易くなる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0020】
前記第1ロボットアームは、4つ以上の関節軸を有してもよい。
【0021】
上記構成によれば、第1ロボットアームが所望する姿勢を取り易くなる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0022】
前記第2ロボットアームは、6つ以上の関節軸を有してもよい。
【0023】
上記構成によれば、第2ロボットアームが所望する姿勢を取り易くなる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0024】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットシステムは、上記いずれかのロボットを備えることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、前記ロボットを備えることで、第1ロボットアームの先端が移動可能な範囲でコンベヤを移動させることができる。また、第2ロボットが、保持部で保持したワークを第1ロボットのコンベヤの搬送面に載せて解放することが可能である。その結果、設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤによってワークを搬送することが可能な、ロボットシステムを提供することが可能となる。
【0026】
前記ロボットを遠隔操作するための操作部をさらに備えてもよい。
【0027】
上記構成によれば、操作部を用いてロボットを遠隔操作することができる。その結果、いっそう設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤによってワークを搬送することが可能な、ロボットシステムを提供することができる。
【0028】
前記ロボットの作業状況を撮像するための撮像装置と、前記撮像装置で撮像した情報を出力するための出力装置と、をさらに備えてもよい。
【0029】
上記構成によれば、オペレータは、出力装置から出力される情報に基づき、ロボットの作業状況を正確に把握しつつ、操作部に対して指令値を入力することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤによってワークを搬送することが可能な、ロボット及びそれを備えるロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの第1ロボットを示す図であり、(A)が全体的な側面図、(B)が第1ロボットハンドを前方から見た端面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの第2ロボットを示す図であり、(A)が全体的な側面図、(B)が第2ロボットハンドを内面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す側面図であり、(A)が積載された段ボール箱のうちの1つを保持するときの図、(B)がコンベヤの搬送面上で段ボール箱を解放するときの図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す側面図であり、(A)がコンベヤの搬送面が据置型コンベヤの搬送面と連続的になるように第1ロボットの姿勢を変更したときの図、(B)が据置型コンベヤへの段ボール箱の搬送作業が完了したときの図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの可動部の駆動態様を説明するための図であり、トラックの荷台を一部破断して上方から見たときの図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの第1変形例のロボットを示す側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るロボットシステムの第2変形例のロボットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係るロボット及びそれを備えるロボットシステムについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0033】
(ロボットシステム10)
図1は、本実施形態に係るロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す概略図である。
図2は、同ロボットシステムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るロボットシステム10は、被包装物を包装した状態で封がされた段ボール箱W(ワーク)の搬送作業を行う。具体的には、ロボットシステム10は、トラックの荷台L(
図5~7参照)に積載された複数の段ボール箱Wを1つずつトラックの荷台Lの外部に配置された据置型コンベヤCまで搬送する作業を行う。なお、
図1では見た目の煩雑さを避けるため、トラックの荷台Lの図示は省略してある。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係るロボットシステム10は、ロボット12と、当該ロボット12を遠隔操作するための操作部110とを備える。また、ロボットシステム10は、ロボット12の作業状況を撮像するための撮像装置112と、当該撮像装置112で撮像した情報を出力するための出力装置114と、をさらに備える。
【0035】
(ロボット12)
図1に示すように、ロボット12は、ベース20と、ベース20にその基端が固定される第1ロボット30と、同じくベース20にその基端が固定される第2ロボット60と、を備える。
【0036】
(ベース20)
ベース20は、板状に形成されるベース本体22と、ベース本体22に設けられる可動部23と、を有する。ベース本体22は、厚さ方向に見て矩形状であり、後述するトラックの荷台Lの底板に載置される。可動部23は、ベース本体22から延びる旋回軸24と、当該旋回軸24に取り付けられることで、ロボット12の長さ方向と幅方向とが交わる平面上で旋回軸24を中心として揺動可能な可動部本体25と、を有する。
【0037】
また、可動部23は、操作部110からの操作情報などに基づき、予め記憶部(図示せず)に格納されるプログラムに従って、自らの動作を制御する可動部制御装置29をさらに有する。可動部制御装置29についての具体的な構成は特に限定されないが、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0038】
なお、以下の説明において、第1ロボット30の基端と第2ロボット60の基端とを結ぶ方向をロボット12の長さ方向と称し、ベース本体22の厚さ方向と一致し、且つ、前記長さ方向に直交する方向をロボット12の高さ方向と称し、ベース本体22の幅方向と一致し、且つ、前記長さ方向及び前記高さ方向に直交する方向をロボット12の幅方向と称する。
【0039】
なお、本実施形態では、後述するように第2ロボット60が可動部23によって移動可能である。したがって、前記ロボット12の長さ方向は、正確には可動部本体25の長さ方向がベース本体22の長さ方向と一致するロボット12の初期状態において第1ロボット30の基端と第2ロボット60の基端とを結ぶ方向である。或いは、換言すれば、第1ロボット30の基端と可動部23の旋回軸24の基端とを結ぶ方向である。
【0040】
(第1ロボット30)
図3は、本実施形態に係るロボットシステムの第1ロボットを示す図であり、(A)が全体的な側面図、(B)が第1ロボットハンドを前方から見た端面図である。
図3(A)に示すように、第1ロボット30は、第1ロボットアーム32と、当該第1ロボットアーム32の先端に取り付けられる第1ロボットハンド40と、を備える。また、
図2に示すように、第1ロボット30は、第1ロボットアーム32及び第1ロボットハンド40の動作を制御するための第1ロボット制御装置59をさらに備える。第1ロボット30は、垂直多関節型ロボットとして構成されている。
【0041】
(第1ロボットアーム32)
図3(A)に示すように、第1ロボット30は、4つの関節軸JT1~JT4と、これらの関節軸によって順次連結される4つのリンク34a~34dと、を有する多関節アームである。
【0042】
第1関節軸JT1は、ベース本体22の上面と第1リンク34aの基端部とを鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。また、第2関節軸JT2は、第1リンク34aの先端部と第2リンク34bの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。さらに、第3関節軸JT3は、第2リンク34bの先端部と第3リンク34cの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。
【0043】
また、第4関節軸JT4は、第3リンク34cの先端部と第4リンク34dの基端部とを第3リンク34cの長手方向と直交する方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。そして、第4リンク34dの先端部に第1ロボットハンド40が取り付けられる。
【0044】
(第1ロボットハンド40)
図3に示すように、第1ロボットハンド40は、第1ロボットアーム32の先端に取り付けられる基部42と、当該基部42に対して固定されるコンベヤ50と、を有する。
【0045】
基部42は、その厚み方向に見て矩形状の底板44と、底板44の幅方向における一方側の端縁から立ち上がる側板46aと、底板44の幅方向における他方側の端縁から立ち上がる側板46bと、を有する。側板46a、46bは互いに同じ形状を有する。側板46a、46bは、それぞれ、その厚み方向に見て台形状である。
【0046】
側板46a、46bは、それぞれ、
図3(A)に示すようにその厚さ方向に見て、高さ方向に延びる上底及び下底と、上底の高さ方向における一方端(
図3(A)において下端)と下底の高さ方向における一方端(同前)とを結ぶ第1脚と、上底の高さ方向における他方端(
図3(A)において上端)と下底の高さ方向における他方端(同前)とを結ぶ第2脚とを有する。
図3(A)において、前記第1脚が水平方向に延び、且つ、前記第2脚がコンベヤ50の搬送方向における下流側に向かうに連れて下方へと傾斜している。
【0047】
コンベヤ50は、ベルトコンベヤとして構成される。コンベヤ50は、その搬送方向において互いに隣接して並列される複数のローラ52と、複数のローラ52それぞれの回転軸を軸支するための一対のシャフト54a、54bと、複数のローラ52に輪状にして張架される搬送ベルト56と、複数のローラ52のうちの少なくとも一つを回転駆動するための図示しない電気モータと、を有する公知の構造である。
【0048】
シャフト54aは、基部42の側板46aの内面における上端縁に沿って当該基部42の側板46aにその長手寸法の中央部が取り付けられる。また、シャフト54bは、基部42の側板46bの内面における上端縁に沿って当該基部42の側板46bにその長手寸法の中央部が取り付けられる。
【0049】
したがって、
図3(A)において、一対のシャフト54a、54bは、それぞれ、基部42の側板46a、46bそれぞれの前記第2脚と同じ角度だけ、コンベヤ50の搬送方向における下流側に向かうに連れて下方へと傾斜している。
【0050】
これに伴って、コンベヤ50全体が基部42の側板46a、46bそれぞれの前記第2脚と同じ角度だけ、その搬送方向における下流側に向かうに連れて下方へと傾斜している。すなわち、コンベヤ50の搬送面58も同様に傾斜している。
【0051】
(第1ロボット制御装置59)
図2に示すように、ロボット制御装置59は、操作部110からの操作情報などに基づき、予め記憶部(図示せず)に格納されるプログラムに従って、第1ロボットアーム32及びコンベヤ50の動作を制御する。第1ロボット制御装置59についての具体的な構成は特に限定されないが、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0052】
(第2ロボット60)
図4は、本実施形態に係るロボットシステムの第2ロボットを示す図であり、(A)が全体的な側面図、(B)が第2ロボットハンドを内面側から見た斜視図である。
図4(A)に示すように、第2ロボット60は、第2ロボットアーム62と、当該第2ロボットアーム62の先端に取り付けられる第2ロボットハンド70と、を備える。また、
図2に示すように、第2ロボット60は、第2ロボットアーム62及び第2ロボットハンド70の動作を制御するための第2ロボット制御装置89をさらに備える。第2ロボット60は、垂直多関節型ロボットとして構成されている。
【0053】
(第2ロボットアーム62)
図4(A)に示すように、第2ロボットアーム62は、6つの関節軸JT1´~JT6´と、これらの関節軸によって順次連結される6つのリンク64a~64fと、を有する多関節アームである。
【0054】
第1関節軸JT1´は、可動部本体25の先端部における上面と第1リンク64aの基端部とを鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。また、第2関節軸JT2´は、第1リンク64aの先端部と第2リンク64bの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。さらに、第3関節軸JT3´は、第2リンク64bの先端部と第3リンク64cの基端部とを水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。
【0055】
第4関節軸JT4´は、第3リンク64cの先端部と第4リンク64dの基端部とを第3リンク64cの長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。また、第5関節軸JT5´は、第4リンク64dの先端部と第5リンク64eの基端部とを第4リンク64dの長手方向と直交する方向に延びる軸回りに回転可能に連結する。さらに、第6関節軸JT6´は、第5リンク64eの先端部と第6リンク64fの基端部とを捻れ回転可能に連結する。そして、第6リンク64fの先端部に第2ロボットハンド70が取り付けられる。
【0056】
(第2ロボットハンド70)
図4(B)に示すように、第2ロボットハンド70は、その厚み方向に見て矩形状の第1板状部材72と、その厚み方向に見て矩形状の第2板状部材74と、第1板状部材72及び第2板状部材74それぞれの内面に複数設けられる吸着部76と、を有する。
【0057】
第1板状部材72の基端部の外面における長手寸法の中央部が、第6リンク64fの先端部に取り付けられる。第2板状部材74は、第1板状部材72と同じ長手寸法を有している。そして、第1板状部材72の長手方向に延びる幅方向の端縁と、第2板状部材74の長手方向に延びる幅方向の端縁とが互いに接続されることで、
図4(A)に示すように側面視においてL字状の構造となる。
【0058】
第1板状部材72の内面には、その幅方向に沿って3行、その長手方向に沿って5列の3×5行列で合計15個の吸着部76が並列して設けられている。また、第2板状部材74の内面には、その幅方向に沿って2行、その長手方向に沿って5列の2×5行列で合計10個の吸着部76が並列して設けられている。すなわち、第2ロボットハンド70は、合計25個の吸着部76を有している。
【0059】
25個の吸着部76は、それぞれ、中空のテーパ状に形成されており、その先細りした先端が第1板状部材72又は第2板状部材74に取り付けられる。吸着部76は、それぞれ、図示しない真空発生装置に接続されることで、内部が負圧の状態となる。25個の吸着部76は、前記負圧により段ボール箱Wの上面及び側面を吸着することで、1つの段ボール箱Wを協働して保持することができる。
【0060】
(第2ロボット制御装置89)
図2に示すように、第2ロボット制御装置89は、操作部110からの操作情報などに基づき、予め記憶部(図示せず)に格納されるプログラムに従って、第2ロボットアーム62及び吸着部76(保持部)の動作を制御する。第2ロボット制御装置89についての具体的な構成は特に限定されないが、上記第1ロボット制御装置59と同様に、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0061】
(操作部110)
図1に示すように、操作部110は、オペレータPからの手動による指令値に基づき、ロボット12を遠隔操作するために、当該ロボット12から所定の距離だけ離間して設置される。
【0062】
操作部110の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、ハンドルの変位を指令値として受け付ける構成であってもよいし、ボタンを押されること等を指令値として受け付ける構成であってもよいし、又は、画面上の表示が押圧されること等を指令値として受け付けるタッチパネルの構成であってもよい。また、操作部110は、音声を指令値として受け付ける構成であってもよいし、又は、その他の構成であってもよい。
【0063】
操作部110は、オペレータPからの手動による指令値を受け付けて操作情報を生成し、当該操作情報を、第1ロボット制御装置59、第2ロボット制御装置89、及び可動部制御装置29に送信する。
【0064】
(撮像装置112)
撮像装置112は、ロボット12の作業状況を撮像して動画情報を取得するために設けられる。撮像装置112の構成は特に限定されないが、例えば、公知のビデオカメラとして構成されてもよい。
【0065】
(出力装置114)
出力装置114は、撮像装置112で撮像された動画情報を出力するための表示装置として構成される。出力装置114の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)として構成されてもよいし、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)として構成されてもよいし、又は、その他の装置として構成されてもよい。
【0066】
(搬送作業の一例)
図5~7に基づき、本実施形態に係るロボットシステム10によって行われる搬送作業の一例について説明する。ここでは、上記したように、ロボットシステム10を用いて、トラックの荷台Lに積載された複数の段ボール箱Wを1つずつトラックの荷台Lの外部に配置された据置型コンベヤCまで搬送する作業を行う場合を例にして説明する。
【0067】
なお、以下の搬送作業の一例では、オペレータPは、出力装置114から出力される動画情報に基づき、ロボット12の作業状況を把握しつつ、操作部110に対して指令値を入力してもよい。ここで、出力装置114から出力される動画情報は、撮像装置112を用いてロボット12の作業状況を撮像したものである。
【0068】
図5は、本実施形態に係るロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す側面図であり、(A)が積載された段ボール箱のうちの1つを保持するときの図、(B)がコンベヤの搬送面上で段ボール箱を解放するときの図である。また、
図6は、同ロボットシステムを用いて段ボール箱の搬送作業を行っている様子を示す側面図であり、(A)がコンベヤの搬送面が据置型コンベヤの搬送面と連続的になるように第1ロボットの姿勢を変更したときの図、(B)が据置型コンベヤへの段ボール箱の搬送作業が完了したときの図である。さらに、
図7は、本実施形態に係るロボットシステムの可動部の駆動態様を説明するための図であり、トラックの荷台を一部破断して上方から見たときの図である。
【0069】
まず、オペレータPは、操作部110を用いて、コンベヤ50の搬送ベルト66を停止状態とする。また、オペレータPは、操作部110を用いて、コンベヤ50の搬送面58の上流端が、第2ロボットアーム62の先端の可動範囲内に位置するように、第1ロボットアーム32の姿勢を変更する。
【0070】
次に、オペレータPは、操作部110を用いて、第2ロボットハンド70の第1板状部材72の内面に設けられる15個の吸着部76が複数の段ボール箱Wのうちで最も上段に位置する1つの段ボール箱W(以下、単に「最上段の段ボール箱W」と称する)の上面に当接するように、且つ、第2ロボットハンド70の第2板状部材74の内面に設けられる10個の吸着部76が最上段の段ボール箱Wの側面に当接するように、第2ロボットアーム62の姿勢を変更する。
【0071】
また、オペレータPは、操作部110を用いて、図示しない真空発生装置を駆動し、吸着部76内を負圧状態にする。これにより、第1板状部材72の内面に設けられる吸着部76が最上段の段ボール箱Wの上面に吸着し、且つ、第2板状部材74の内面に設けられる吸着部76が最上段の段ボール箱Wの側面に吸着して、当該最上段の段ボール箱Wを保持することができる。このときの状態が
図5(A)に示される。
【0072】
さらに、オペレータPは、操作部110を用いて、第2ロボットハンド70の吸着部76に吸着して保持された段ボール箱Wの底面が、第1ロボットハンド40のコンベヤ50の搬送面58の上流部分に当接するように、第2ロボットアーム62の姿勢を変更する。
【0073】
そして、オペレータPは、操作部110を用いて、図示しない真空発生装置を停止することで、吸着部86に吸着された状態から段ボール箱Wを解放する。このようにして、第2ロボット60は、吸着部86(保持部)で保持した段ボール箱Wを第1ロボット30のコンベヤ50の搬送面58に載せて解放する動作を行う。このときの状態が
図5(B)に示される。
【0074】
次に、オペレータPは、操作部110を用いて、コンベヤ50の搬送面58が据置型コンベヤCの搬送面の上流側で当該据置型コンベヤCの搬送面と互いに連続するように、第1ロボットアーム32の姿勢を変更する。このときの状態が
図6(A)に示される。
【0075】
最後に、オペレータPは、操作部110を用いて、コンベヤ50の搬送ベルト56を駆動させる。これにより、コンベヤ50の搬送面58上に載置された段ボール箱Wが、当該搬送面58の下流側へと移動し、さらに、当該搬送面58の下流端から据置型コンベヤCの搬送面の上流端部分に受け渡される。
【0076】
上記した搬送作業を繰り返すことで、ロボットシステム10は、トラックの荷台Lに積載された複数の段ボール箱Wの全てをトラックの荷台Lの外部に配置された据置型コンベヤCまで搬送することができる。なお、据置型コンベヤCは、コンベヤ50と同様にベルトコンベヤとして構成されてもよい。当該ベルトコンベヤは公知の構造であってもよい。据置型コンベヤCは、コンベヤ50からその上流部分で段ボール箱Wを受け取ると、当該段ボール箱Wを所望する搬送先までさらに搬送する。
【0077】
なお、
図7に示すように、オペレータPは、操作部110を用いて、可動部23を駆動させることで(具体的には、可動部23の旋回軸24を旋回させることで)、可動部本体25にその基端部が固定された第2ロボット60を、ロボット12の長さ方向と同幅方向とが交わる平面上で旋回軸24を中心として回転させることができる。
【0078】
(効果)
本実施形態に係るロボット12は、第1ロボットアーム32の先端にコンベヤ50が取り付けられるので、第1ロボットアーム32の先端が移動可能な範囲でコンベヤ50を移動させることができる。また、第2ロボット60が、吸着部76(保持部)で吸着して保持した段ボール箱W(ワーク)をコンベヤ50の搬送面58に載せて解放することが可能である。その結果、設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤ50によって段ボール箱Wを搬送することが可能な、ロボット12を提供することが可能となる。
【0079】
本実施形態に係るロボット12は、ベース本体22に設けられる可動部23によって、第2ロボット60がロボット12の幅方向及び長さ方向に移動可能であるため、搬送対象となる段ボール箱Wが第2ロボットアーム62の先端の可動範囲より遠くに配置されている場合であっても、前記段ボール箱Wを吸着部76で保持することができるように第2ロボットアーム62の姿勢を容易に変更することが可能となる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0080】
本実施形態では、可動部23は、旋回軸24と、当該旋回軸24に取り付けられる可動部本体25とを有し、第2ロボット60は、その基端が可動部本体25に固定されることで、ロボット12の長さ方向と同幅方向とが交わる平面上で旋回軸24を中心として回転することができる。これにより、第2ロボット60は、前記幅方向及び前記長さ方向において移動可能な構造である。したがって、簡単な構造の可動部23によって第2ロボット60を前記幅方向及び前記長さ方向において移動させることが可能となる。
【0081】
本実施形態では、保持部が段ボール箱W(ワーク)を吸着して保持する吸着部76として構成されるので、例えば、隙間なく積載された複数の段ボール箱Wの中から1つの段ボール箱Wを保持する場合であっても、当該1つの段ボール箱Wの側部などを吸着することで、他の段ボール箱Wに妨げられることなく容易に当該1つの段ボール箱Wを保持することが可能となる。
【0082】
本実施形態に係るロボットシステム10は、上記ロボット12を備えることで、当該ロボット12と同様の効果を奏する。
【0083】
本実施形態では、第1ロボット30及び第2ロボット60は、それぞれ、垂直多関節型ロボットとして構成される。これにより、第1ロボットアーム32及び第2ロボットアーム62が、それぞれ、所望する姿勢を取り易くなる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0084】
本実施形態では、第1ロボットアーム32は、4つの関節軸JT1~JT4を有するので、第1ロボットアーム32が所望する姿勢を取り易くなる。これにより、第1ロボットハンド40及びコンベヤ50を所望する位置まで移動し易くなる。その結果、本発明が奏する効果を顕著にすることができる。
【0085】
本実施形態では、第2ロボットアーム62は、6つの関節軸JT1´~JT6´を有するので、第2ロボットアーム62が所望する姿勢を取り易くなる。これにより、第2ロボットハンド70及び吸着部76を所望する位置まで移動し易くなる。
【0086】
本実施形態では、操作部110を用いてロボット12を遠隔操作することができる。その結果、いっそう設置場所が限定的にならずに、移動可能なコンベヤ50によって段ボール箱Wを搬送することが可能となる。
【0087】
本実施形態では、オペレータPは、出力装置114から出力される動画情報(情報)に基づき、ロボット12の作業状況を正確に把握しつつ、操作部110に対して指令値を入力することができる。
【0088】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0089】
(第1変形例)
図8に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第1変形例を説明する。なお、本変形例に係るロボットシステムは、ベース20の構造を除き、上記で説明したロボットシステム10と同じ構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0090】
図8は、上記実施形態に係るロボットシステムの第1変形例のロボットを示す側面図である。
図8に示すように、本変形例のロボット12´のベース20´は、AGV120(Automated Guided Vehicle、無人搬送車)を有する。
【0091】
AGV120は、板状に形成された車体122と、当該車体122の底面に取り付けられる複数の車輪124と、AGV120の動作を制御するためのAGV制御装置128と、を有する。
【0092】
板状に形成された車体122の上面に第1ロボット30の基端が固定され、且つ、可動部23の旋回軸24の基端が軸支される。すなわち、本変形例では、当該車体122が、上記で説明した実施形態におけるベース本体22を構成している。
【0093】
AGV制御装置128は、操作部110からの操作情報などに基づき、予め記憶部(図示せず)に格納されるプログラムに従って、AGV120の動作を制御する。AGV制御装置128ついての具体的な構成は特に限定されないが、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0094】
なお、AGV制御装置128は、例えば、作業現場の床に埋設された電線から微弱な誘導電流を検出し、この検出値に基づき、AGV120の動作を制御してもよい。このとき、操作部110からの操作情報は必要に応じて受信してもよい。
【0095】
本変形例によれば、ロボット12を容易に移動させることができるので、本発明が奏する効果を顕著にすることが可能となる。例えば、上記実施形態において、
図7に示すように、第2ロボット60は、第2ロボットアーム62の先端の可動範囲よりも遠いトラックの荷台Lの幅方向の端に載置されている段ボール箱Wを保持することが可能となるだけでなく、AGV120によって移動することで第2ロボットアーム62の先端の可動範囲よりも遠いトラックの荷台Lの長さ方向の端に載置されている段ボール箱Wを保持することも可能となる。
【0096】
(第2変形例)
図9に基づき、上記実施形態に係るロボットシステムの第2変形例を説明する。なお、本変形例に係るロボットシステムは、第1ロボットアーム32´´の構造を除き、上記で説明したロボットシステム10と同じ構成を備える。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0097】
図9は、上記実施形態に係るロボットシステムの第2変形例のロボットを示す側面図である。
図9に示すように、本変形例のロボット12´´の第1ロボットアーム32´´は、ベース本体22の上面にその基端を鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結される第1リンク34a´´と、第1リンク34a´´の先端にその基端をロボット12の長さ方向に摺動可動に連結される第2リンク34b´´と、を有する。
【0098】
また、第1ロボットアーム32´´は、第2リンク34b´´の先端にその基端を水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結される幅方向の両端一対の第3リンク34c´´と、一対の第3リンク34c´´の先端にその基端を水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結され、第1ロボットハンド40の基部42に連結される第4リンク34d´´と、をさらに有する。
【0099】
第1ロボットアーム32´´は、例えば、上記したような構造を備えることで、捻れ回転ができないものであってもよい。これにより、第1ロボットアーム32´´を簡単な構造とすることができる。
【0100】
(その他の変形例)
上記実施形態では、搬送対象となる段ボール箱Wがトラックの荷台Lに存し、ロボット12が当該トラックの荷台Lに配置される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、ロボット12は、搬送対象となる段ボール箱Wが地面に載置され、ロボット12がその近傍で地面に載置されてもよいし、他の場所に存する段ボール箱Wを搬送するためにその近傍にロボット12が配置されてもよい。
【0101】
上記実施形態では、搬送対象となるワークが段ボール箱Wである場合を説明したが、この場合に限定されず、ワークが所定の形状を有する他の物体(例えば、機械の組み立てに用いる部材及び包装された食料品など)や、所定の形状を有しない岩石や唐揚げなどであってもよい。
【0102】
上記実施形態では、コンベヤ50の搬送面58に段ボール箱Wが載置され、コンベヤ50の搬送面58が据置型コンベヤCの搬送面の上流側で当該据置型コンベヤCの搬送面と互いに連続するように第1ロボットアーム32の姿勢を変更し、且つ、吸着部76による保持から段ボール箱Wが解放されてから、はじめてコンベヤ50の搬送ベルト56が駆動される場合を説明した。しかし、この場合に限定されず、コンベヤ50の搬送ベルト56が常時駆動された状態のままで搬送作業を行ってもよい。これにより、複数の段ボール箱Wを1つずつ搬送する作業を短時間で行うことが可能となる。
【0103】
上記実施形態では、ロボットシステム10が、
図2のブロック図に示すように、ロボット12、操作部110、撮像装置112及び出力装置114を備える場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ロボットシステム10は、さらに他の構成を備えてもよい。例えば、ロボットシステム10は、上記実施形態で段ボール箱Wの搬送先であった据置型コンベヤCをさらに備える構成であってもよい。このような場合、例えば、オペレータPは、操作部110を用いて、当該据置型コンベヤCの動作を制御するように構成されてもよい。
【0104】
上記実施形態では、第1ロボットアーム32の姿勢を変更すること(及びAGV120を移動させること)のみで、コンベヤ50の位置を変更する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、コンベヤ50は、その搬送方向と高さ方向とが交わる平面上で基部42に対して回転可能となるように当該基部42に取り付けられてもよい。また、コンベヤ50は、一対のレールを基部42に設け、当該レール上を移動することができるように基部42に取り付けられてもよい。なお、このような場合、第1ロボット制御装置59が基部42の動作をさらに制御してもよい。
【0105】
上記実施形態では、保持部が、段ボール箱W(ワーク)を吸着して保持する25個の吸着部76で構成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、吸着部76は、1個以上24個以下、又は、26個以上設けられてもよい。また、25個の吸着部76の形状は、それぞれ、中空のテーパ状に限定されず、中空の直方体状や円筒状であってもよいし、又は、その他の形状であってもよい。さらに、保持部は、ワークを把持して保持する把持部として構成されてもよいし、ワークをその上面に載置して保持する載置部として構成されてもよいし、又は、その他の構成であってもよい。
【0106】
上記実施形態では、コンベヤ50がベルトコンベヤとして構成される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、コンベヤ50がローラーコンベヤとして構成されてもよいし、その他のコンベヤとして構成されてもよい。
【0107】
上記実施形態では、可動部23は、旋回軸24と、当該旋回軸24に取り付けられる可動部本体25とを有する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、旋回軸24を高さ方向に伸縮可能とすることで、可動部本体25及び当該可動部本体25に固定される第2ロボット60が高さ方向に移動可能であってもよい。
【0108】
また、例えば、可動部23は、ロボット12の幅方向に沿って延びる一対のレールと、当該一対のレール上を移動する移動子と、を有する構造であってもよい。このような場合、第2ロボット60は、その基端が前記移動子に固定されることで、ロボット12の幅方向において移動可能となる。
【0109】
なお、可動部23は、ロボット12の長さ方向に沿って延びる同様の一対のレール及び移動子を有してもよい。これにより、第2ロボット60は、ボット12の長さ方向において移動可能となる。なお、前記幅方向に延びるレールと前記長さ方向に延びるレールを両方設けてもよい。例えば、上記したような可動部23を必要に応じて設けることで、第2ロボット60は、前記幅方向及び前記長さ方向のうち少なくとも何れか一方において移動可能であってもよい。なお、ロボット12は可動部23を備えなくてもよい。このような場合、第2ロボット60の基端はベース本体22に固定される。これにより、ロボット12をいっそう簡単な構造にすることができる。
【0110】
上記実施形態では、ベース本体22が板状に形成される場合を説明したが、この場合に限定されない。第1ロボット30の基端及び第2ロボット60の基端を固定できる形状であれば、例えば、直方体状や円柱形状などの他の形状であってもよい。
【0111】
上記実施形態では、第1ロボット30は、第2ロボット60から段ボール箱Wを受け取ったあと、コンベヤ50の搬送面58が据置型コンベヤCの搬送面の上流側で当該据置型コンベヤCの搬送面と互いに連続するように第1ロボットアーム32の姿勢を変更する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、コンベヤ50は、その搬送面58の上流端が第2ロボットアーム62の先端の可動範囲内に位置し、且つ、その搬送面58の下流端が据置型コンベヤCの搬送面の上流端部分に互いに連続して配置できるのであれば、第2ロボットアーム62の姿勢を固定したままで搬送作業を行ってもよい。これにより、ロボットシステム10を用いて、容易且つ迅速にワークの搬送作業を行うことが可能となる。
【0112】
上記実施形態では、第1ロボット30及び第2ロボット60が、それぞれ、垂直多関節型ロボットとして構成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ロボット30及び第2ロボット60は、それぞれ、極座標型ロボットとして構成されてもよいし、円筒座標型ロボットとして構成されてもよいし、直角座標型ロボットとして構成されてもよいし、水平多関節型ロボットとして構成されてもよいし、又は、その他のロボットとして構成されてもよい。なお、第1ロボット30及び第2ロボット60は、それぞれ、互いに異なる型のロボットとして構成されてもよい。
【0113】
上記実施形態では、第1ロボットアーム32が、4つの関節軸を輸する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ロボットアーム32は、5つ以上の関節軸を有してもよい。或いは、第1ロボットアーム32は、1つ以上3つ以下の関節軸を有してもよい。
【0114】
上記実施形態では、第2ロボットアーム62が、6つの関節軸を輸する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第2ロボットアーム62は、7つ以上の関節軸を有してもよい。或いは、第2ロボットアーム62は、1つ以上5つ以下の関節軸を有してもよい。
【0115】
上記実施形態では、ロボットシステム10が、撮像装置112及び出力装置114を備える場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ロボットシステム10は、撮像装置112及び出力装置114を備えず、オペレータPが視認でロボット12の作業状況を確認するように構成されてもよい。これにより、ロボットシステム10の構成をいっそう簡単にすることが可能となる。
【0116】
上記実施形態では、ロボットシステム10が、操作部110を用いてオペレータPに指令値を入力させ、当該指令値に基づき、ロボット12を動作させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ロボットシステム10は、操作部110を備えない全自動のシステムとして構成されてもよい。
【0117】
このように全自動のシステムと実現するには、例えば、第1ロボットアーム32の先端に近接センサを設け、当該近接センサによる検出値などに基づき、第1ロボット制御装置59に第1ロボットアーム32及びロボットハンド40それぞれの動作を制御させてもよい。或いは、第1ロボットアーム32の先端にカメラを設け、当該カメラによる画像情報の解析値などに基づき、第1ロボット制御装置59に第1ロボットアーム32及びロボットハンド40それぞれの動作を制御させてもよい。なお、第2ロボットアーム62についても同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【符号の説明】
【0118】
10 ロボットシステム
12 ロボット
20 ベース
22 ベース本体
23 可動部
24 旋回軸
25 可動部本体
29 可動部制御装置
30 第1ロボット
32 第1ロボットアーム
34 リンク
40 第1ロボットハンド
42 基部
44 底板
46 側板
50 コンベヤ
52 ローラ
54 シャフト
56 搬送ベルト
58 搬送面
59 第1ロボット制御装置
60 第2ロボット
62 第2ロボットアーム
64 リンク
70 第2ロボットハンド
72 第1板状部材
74 第2板状部材
76 吸着部
89 第2ロボット制御装置
110 操作部
112 撮像装置
114 出力装置
120 AGV
122 車体
124 車輪
128 AGV制御装置
JT 関節軸
C 据置型コンベヤ
L トラックの荷台
P オペレータ
W 段ボール箱