(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】家具
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
A47B55/00
(21)【出願番号】P 2018185607
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 寛子
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚武
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-185371(JP,A)
【文献】特開2015-223470(JP,A)
【文献】特開2018-121915(JP,A)
【文献】特開2003-135160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に固定して使用される家具において、
前記壁を覆うように取り付けられる矩形の背板と、
前記背板の一面から立ち上がるように、該背板の長手方向に並ぶ複数の支え板と、
前記背板を厚み方向に貫通し、各支え板に結合する複数の第1ピン部材と、
前記背板の前記一面と交差する各支え板の第1側面及び前記背板の長辺側の一側面に、一面が固定された天板と
を備えることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記背板の短手方向の寸法は、前記短手方向に沿う方向における前記支え板の寸法より長く、
前記天板の前記一面と対向する対向面が、前記第1側面と反対側の各支え板の第2側面に固定された棚板と、
前記背板を厚み方向に貫通し、前記棚板に結合する複数の第2ピン部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記天板の前記一面に設けられた第1突起部と、
各支え板の前記第1側面に形成された第1穴と、
前記第1穴と連通するように前記支え板の内部に設けられ、前記第1穴に挿入される前記第1突起部と係合する第1抜止部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の家具。
【請求項4】
前記天板の前記一面に設けられた第2突起部と、
前記背板の前記一側面に形成された第2穴と、
前記第2穴と連通するように前記背板の内部に設けられ、前記第2穴に挿入される前記第2突起部と係合する第2抜止部と
を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の家具。
【請求項5】
前記棚板の前記対向面に設けられた第3突起部と、
各支え板の前記第2側面に形成された第3穴と、
前記第3穴と連通するように前記支え板の内部に設けられ、前記第3穴に挿入される前記第3突起部と係合する第3抜止部と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の家具。
【請求項6】
前記第1ピン部材は、前記天板寄り半部にM個が設けられ、前記棚板寄り半部にN個が設けられ、M>N(M≧2、N≧0)であることを特徴とする請求項2に記載の家具。
【請求項7】
前記背板は、前記支え板の近傍で壁に固定されていることを特徴とする請求項1から6の何れか一つに記載の家具。
【請求項8】
前記背板は、壁に当たる面において、前記一側面と反対側の他側面側に形成された切り欠きを備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一つに記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に固定して使用される家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受像機等が載置される机が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の机では、机天板とその支持体とで構成した机において、電源用コードや通信用ケーブルを、美しくまた機能的に隠蔽できる構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような特許文献1の家具においては、例えば、天板及びその支持体との結合に、L金具、コーナーコネクター等の部品が使用されており、これらの部品が使用者によって視認され得ることから、家具の見栄えが悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、L金具、コーナーコネクター等の別部品を使わず、見栄えを悪くすることなく、目的とする強度を達成できる丈夫な家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る家具は、壁に固定して使用される家具において、前記壁を覆うように取り付けられる矩形の背板と、前記背板の一面から立ち上がるように、該背板の長手方向に並ぶ複数の支え板と、前記背板を厚み方向に貫通し、各支え板に結合する複数の第1ピン部材と、前記背板の前記一面と交差する各支え板の第1側面及び前記背板の長辺側の一側面に、一面が固定された天板とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、複数の第1ピン部材が前記背板を厚み方向に貫通して各支え板と結合することにより、前記支え板が前記背板にしっかり固定される。また、前記天板は、各支え板の前記第1側面及び前記背板の前記一側面に固定され、L金具などを使わずに、前記複数の支え板及び前記背板によって保持される。
【0008】
本発明に係る家具は、前記背板の短手方向の寸法は、前記短手方向に沿う方向における前記支え板の寸法より長く、前記天板の前記一面と対向する対向面が、前記第1側面と反対側の各支え板の第2側面に固定された棚板と、前記背板を厚み方向に貫通し、前記棚板に結合する複数の第2ピン部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、前記棚板は、各支え板の前記第2側面に前記対向面が固定され、前記複数の第2ピン部材によって前記背板に固定される。従って、前記棚板は、L金具などを使わずに、前記複数の支え板及び前記背板によって保持される。
なお、前記支え板は前記背板の短手方向に沿う方向の寸法が前記背板より短いので、前記支え板の前記第2側面に固定された前記棚板が床から離れた状態にて斯かる家具が設置される。従って、斯かる家具の意匠性を高めることができる。
【0010】
本発明に係る家具は、前記天板の前記一面に設けられた第1突起部と、各支え板の前記第1側面に形成された第1穴と、前記第1穴と連通するように前記支え板の内部に設けられ、前記第1穴に挿入される前記第1突起部と係合する第1抜止部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記第1抜止部が前記第1突起部と係合することによって、前記天板が前記複数の支え板と緊合され、しっかり保持される。
【0012】
本発明に係る家具は、前記天板の前記一面に設けられた第2突起部と、前記背板の前記一側面に形成された第2穴と、前記第2穴と連通するように前記背板の内部に設けられ、前記第2穴に挿入される前記第2突起部と係合する第2抜止部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記第2抜止部が前記第2突起部と係合することによって、前記天板が前記背板と緊合され、しっかり保持される。
【0014】
本発明に係る家具は、前記棚板の前記対向面に設けられた第3突起部と、各支え板の前記第2側面に形成された第3穴と、前記第3穴と連通するように前記支え板の内部に設けられ、前記第3穴に挿入される前記第3突起部と係合する第3抜止部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記第3抜止部が前記第3突起部と係合することによって、前記棚板が前記複数の支え板と緊合され、しっかり保持される。
【0016】
本発明に係る家具は、前記第1ピン部材は、前記天板寄り半部にM個が設けられ、前記棚板寄り半部にN個が設けられ、M>N(M≧2、N≧0)であることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記棚板寄り半部に設けられた前記第1ピン部材の数より多い数の前記第1ピン部材を前記天板寄り半部に設けることによって、前記背板を介した前記支え板の壁への固定を前記天板付近にて強める。従って、前記天板がしっかり支持される。
【0018】
本発明に係る家具は、前記背板は、前記支え板の近傍で壁に固定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記背板は、前記支え板の近傍にて、例えば、コーススレッドを用いて壁に固定される。従って、前記背板を介した前記支え板の壁への固定をより強めることができ、前記天板がしっかり支持される。
【0020】
本発明に係る家具は、前記背板は、壁に当たる面において、前記一側面と反対側の他側面側に形成された切り欠きを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記背板において壁に当たる面に前記切り欠きが形成されているので、例えば、壁にいわゆる巾木が設けられているような場合、斯かる巾木が前記切り欠き内に収容されることによって、前記背板と壁との間に隙間ができることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、L金具、コーナーコネクター等の部品を使わなくても、目的とする強度を達成でき、かつ、L金具、コーナーコネクター等の部品を使わないので、見栄えを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施の形態に係る載置台の外見を表す斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係る載置台において、天板を分解した状態を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る載置台において、仕切り板を省略した状態を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る載置台において、仕切り板及び棚板を省略した状態を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係る載置台の仕切り板を右側から見た部分的側面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線による部分的断面図である。
【
図7】本実施の形態に係る載置台において、仕切り板と天板との固定が完了した状態を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係る載置台の上方抜止部を示す図である。
【
図9】本実施の形態に係る載置台における背板の後面を概略的に示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る載置台の外見を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態に係る家具を、テレビジョン受像機等が載置される載置台に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る載置台100の外見を表す斜視図である。以下においては、説明の便宜上、図面視上、下、左、右を夫々上、下、左、右とし、載置台100の手前の方を前、奥行きの方を後とする。
【0026】
載置台100は、壁400に取り付けられる背板50と、背板50の上端部に固定され、上面にテレビジョン受像機等が載置される天板40と、天板40と対向配置されており、背板50の下端部に固定された棚板60と、天板40及び棚板60の間に介在する複数の仕切り板10,20,30(支え板)とを備える。
【0027】
背板50、天板40及び棚板60は左右方向に延びる矩形であり、天板40及び棚板60は、互いに類似する形状をなしている。仕切り板10,20,30は同一の矩形であり、例えば、背板50の長手方向に並設されている。天板40又は棚板60の左右方向における両端には仕切り板が設けられておらず、意匠性を高めている。
本実施の形態においては、仕切り板が3枚である場合を例として説明するが、本実施の形態に係る載置台100はこれに限るものではなく、仕切り板が3枚以下、又は3枚以上であっても良く、互いに異なる形状であっても良い。
【0028】
天板40は、長手方向の中間部に天板40を厚み方向に貫通する後述の貫通孔が形成されており、前記貫通穴はカバー200によって蓋されている。また、仕切り板10,20,30には凹部が形成され、斯かる凹部に後述する上方抜止部及び下方抜止部が設けられている。前記凹部はカバー300によって蓋されている。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る載置台100において、天板40を分解した状態を示す図であり、
図3は、本実施の形態に係る載置台100において、仕切り板10,20,30を省略した状態を示す図であり、
図4は、本実施の形態に係る載置台100において、仕切り板10,20,30及び棚板60を省略した状態を示す図である。
図3及び
図4においては、説明の便宜上、仕切り板10,20,30及び棚板60を二点鎖線で示しており、カバー200,300は省略している。
【0030】
天板40は、仕切り板10,20,30及び背板50に固定されている。天板40は、中央部の後側に、天板40を厚み方向に貫通する貫通孔44,44が形成されている。
仕切り板10,20,30は、矩形であり、後方の側面である後側側面131,231,331(第1側面)が背板50の前面56に当接した状態にて、背板50に固定されている。仕切り板10,20,30は背板50の長手方向に、等間隔にて並設されており、この際、後側側面131,231,331と交差する仕切り板10,20,30の上方面132,232,332(第1側面)と、背板50の上方面58(長辺側の一側面)とは面一をなす。天板40は、下面45(
図5-
図7参照)が仕切り板10,20,30の上方面132,232,332と、背板50の上方面58と当接した状態で仕切り板10,20,30及び背板50に固定される。
【0031】
天板40の下面45には、仕切り板10との固定の為に、第1突起部41F,41Bが設けられており、仕切り板20との固定の為に、第1突起部42F,42Bが設けられており、仕切り板30との固定の為に、第1突起部43F,43Bが設けられている。
また、天板40の下面45には、背板50との固定の為に、第2突起部451-454が設けられている。第2突起部451-454は、天板40の後側端部にて、天板40の長手方向に並設されている。
【0032】
仕切り板10は、上方面132において第1突起部41F,41Bと整合する位置に、上方面穴101,102(第1穴)が形成されている。また、仕切り板20は、上方面232において第1突起部42F,42Bと整合する位置に、上方面穴201,202(第1穴)が形成されている。更に、仕切り板30は、上方面332において第1突起部43F,43Bと整合する位置に、上方面穴301,302(第1穴)が形成されている。
なお、背板50は、上方面58において第2突起部451-454と整合する夫々の位置に、挿通穴51-54(第2穴)が形成されている。
【0033】
第1突起部41F,41Bは上方面穴101,102の一端の開口から上方面穴101,102に挿入され、上方面穴101,102の他端に設けられた上方抜止部11,12(第1抜止部)と係合する。また、第1突起部42F,42Bは上方面穴201,202の一端の開口から上方面穴201,202に挿入され、上方面穴201,202の他端に設けられた上方抜止部21,22(第1抜止部)と係合する。更に、第1突起部43F,43Bは、上方面穴301,302の一端の開口から上方面穴301,302に挿入され、上方面穴301,302の他端に設けられた上方抜止部31,32(第1抜止部)と係合する。
なお、第2突起部451-454は、挿通穴51-54の一端の開口から挿通穴51-54に挿入され、挿通穴51-54の他端に設けられた後述の抜止部551-554と夫々係合する。
これによって、天板40が仕切り板10,20,30及び背板50に固定される。即ち、仕切り板10,20,30及び背板50においては同一機構によって天板40を固定している。
【0034】
以下、
図5-
図8に基づいて、本実施の形態に係る載置台100における、仕切り板10,20,30と天板40との固定を詳しく説明する。以下においては、説明の便宜上、仕切り板10と天板40との固定について説明し、仕切り板20,30については詳しい説明を省略する。
図5は、本実施の形態に係る載置台100の仕切り板10を右側から見た部分的側面図であり、
図6は、
図5のVI-VI線による部分的断面図であり、
図7は、仕切り板10と天板40との固定が完了した状態を示す図である。また、
図8は、本実施の形態に係る載置台100の上方抜止部11を示す図である。
【0035】
先ず、第1突起部41F,41Bについて説明する。第1突起部41F,41Bは、天板40の下面45に螺合されている。第1突起部41F及び第1突起部41Bは同じ構成を有するので、以下では第1突起部41Fについてのみ説明する。
【0036】
第1突起部41Fは、円柱状の第1軸411を有しており、第1軸411の一端部には、周面に雄ネジが形成された円柱状の雄ネジ部414が設けられている。雄ネジ部414は、天板40の下面45に対して垂直に、下面45にねじ込まれる。
また、第1軸411の他端部には、第1軸411より小径の円柱状の第2軸412が設けられており、第2軸412の先端部には、第1軸411よりも小径且つ第2軸412よりも大径の円盤状のネジ頭413が設けられている。
第1軸411、第2軸412、ネジ頭413及び雄ネジ部414は同一軸心上に位置している。
【0037】
仕切り板10の内部には上方抜止部11,12が設けられている。仕切り板10の右側面には、上側に、円形の凹部141,142が形成されている。 凹部141,142は、上方面穴101,102の他端と夫々連通するように形成されている。凹部141,142には上方抜止部11,12が夫々嵌め込まれている。
【0038】
上方抜止部11,12は、円盤111と円筒112とを同軸に有する。円盤111及び円筒112夫々は、凹部141の半径と同程度の半径を有する。円筒112は円盤111の周縁部から立ち上がる。円筒112は、円筒112の周方向の一部が、軸長方向の全長に亘って切り欠かれたように開口している。円筒112の軸長方向の中央部には、周方向に延びるスリット113が設けられる。スリット113の周方向の一端部は、円筒112の周方向の端部を切り欠くようにして、開放されている。スリット113の幅は、第1突起部41Fの第2軸412の直径より長く、ネジ頭413の直径より短い。
【0039】
円盤111の外面の中心部には十字溝114が設けてある。円盤111の外面の外周部には矢印115及び目印116が周方向に並設されている。十字溝114には、例えばドライバが挿入可能である。
矢印115は円盤111の周方向に延びる矢符である。矢印115は例えば時計回り方向の矢印である。スリット113の開放側の端部は、矢印115が示す方向の端部である。
目印116は、円筒112の周面が開口している位置を示す。これは、第1突起部41Fのネジ頭413を、円筒112の内部に円筒112の径方向に挿入可能な位置である。
【0040】
上方抜止部11は、円盤111を外側に向けて凹部141に同軸に嵌め込まれる。このとき、円筒112は上方面穴101の最奥部に挿入される。凹部141に嵌め込まれた上方抜止部11の周方向の初期位置は、目印116が上方面穴101の開口側に向く位置である。このとき、円筒112の内面の周方向中央部が上方面穴101の開口に対向する。
十字溝114に挿入されたドライバから周方向の回転力が与えられた場合、上方抜止部11は凹部141の内部で周方向に回転する。作業者は、仕切り板10の右側面から、例えばドライバを用いて上方抜止部11を回転させることができる。
【0041】
本実施の形態に係る載置台100の製造工程にて、作業者は、第1突起部41Fを上方面穴101に挿入する。第1突起部41Fが上方面穴101に挿入された場合、第1突起部41Fのネジ頭413は、目印116の位置で、円筒112の内部に進入する。
【0042】
次いで、作業者は、ドライバを用いて上方抜止部11を矢印115が示す方向に回転させる。上方抜止部11が、矢印115が示す方向に180°回転した場合、目印116が上方面穴101の最奥部側に向く。
【0043】
上方抜止部11,12が初期位置から矢印115の向きに約90°以上回転すると、第1突起部41Fの第2軸412が、スリット113の開放側の端部からスリット113の内部に挿入される。スリット113の幅はネジ頭413の直径よりも短いので、円筒112の内面におけるスリット113の幅方向の両側部が、第1突起部41Fのネジ頭413に係合する(
図7参照)。この結果、第1突起部41Fが上方抜止部11に保持される。
【0044】
円筒112の内面におけるスリット113の幅方向の両側部には、カム面117,117が設けられる。第1突起部41Fのネジ頭413がスリット113の両側部に係合している場合、ネジ頭413はカム面117,117に接触する。円筒112の、各カム面117が設けられている部分の厚みは、矢印115が示す方向に徐々に薄くなる。
【0045】
上方抜止部11が矢印115の向きに回転している場合、スリット113の両側部に係合しているネジ頭413は、カム面117,117に相対的に摺動する。このとき、カム面117,117が、ネジ頭413をカムフォロワとして、第1突起部41Fが上方面穴101に挿入される方向に第1突起部41Fを導く。
【0046】
よって、天板40の下面45を仕切り板10の上方面132に当接させた状態で、天板40を仕切り板10に緊結できる。
【0047】
第1突起部42F,42B,43F,43Bは、第1突起部41Fと同一構成であるので、詳しい説明を省略する。また、上方抜止部21,22,31,32は、上方抜止部11と同一構成であるので、詳しい説明を省略する。
【0048】
第2突起部451-454は、第1突起部41Fと同一構成であるので、詳しい説明を省略する。また、背板50は、抜止部551-554を用いて、仕切り板10,20,30と同様に、天板40を固定しているので、詳しい説明を省略する。
【0049】
そして背板50には、仕切り板10の後側側面131と整合する位置に、第1ピン部材511,512,513が突設されている(
図3参照)。仕切り板10の後側側面131において第1ピン部材511,512,513と整合する位置には、縦固定穴121,122,123が夫々形成されている。縦固定穴121,122,123は前後方向に延びており、互いに平行している。第1ピン部材511,512,513が縦固定穴121,122,123に夫々内嵌されることによって、仕切り板10が背板50に固定されている。
【0050】
また、背板50には、仕切り板20の後側側面231と整合する位置に、第1ピン部材521,522,523が突設されている(
図3又は
図4参照)。仕切り板20の後側側面231において第1ピン部材521,522,523と整合する位置には、縦固定穴221,222,223が夫々形成されている。縦固定穴221,222,223は前後方向に延びており、互いに平行している。第1ピン部材521,522,523が縦固定穴221,222,223に夫々内嵌されることによって、仕切り板20が背板50に固定されている。
【0051】
更に、背板50には、仕切り板30の後側側面331と整合する位置に、第1ピン部材531,532,533が突設されている(
図3参照)。仕切り板30の後側側面331において第1ピン部材531,532,533と整合する位置には、縦固定穴321,322,323が夫々形成されている。縦固定穴321,322,323は前後方向に延びており、互いに平行している。第1ピン部材531,532,533が縦固定穴321,322,323に夫々内嵌されることによって、仕切り板30が背板50に固定されている。
【0052】
即ち、仕切り板10,20,30は背板50を介して壁400に固定される。以下、背板50への仕切り板10の固定方法について詳しく説明する。背板50への仕切り板20,30の固定方法は、仕切り板10の固定方法と同じであるので、詳しい説明を省略する。
【0053】
図9は、本実施の形態に係る載置台100における背板50の後面57を概略的に示す図である。後面57は、背板50を壁400に取り付ける際、壁400と接する面である。
図9においては、説明の便宜上、仕切り板10,20,30及び棚板60の位置を破線にて示している。
【0054】
仕切り板10を固定する第1ピン部材511,512,513は、例えば、コンフィルマートである。第1ピン部材511,512,513は、下方に向けて、この順に並設されている。第1ピン部材511,512,513は背板50を厚み方向に貫通し、第1ピン部材511,512,513の先端部が仕切り板10の後側側面131の縦固定穴121,122,123に夫々ねじ込まれている。
【0055】
図10は、
図2のX-X線による断面図である。
図10は、仕切り板10と背板50との固定を示している。また、
図10においては、棚板60と背板50との固定についても示している。説明の便宜上、天板40については図示を省略している。
【0056】
背板50には、仕切り板10の後側側面131と整合する位置に、背板50を厚み方向に貫通し、第1ピン部材511,512,513が挿入される縦挿入孔560,570,580が形成されている。縦挿入孔560,570,580及び縦固定穴121,122,123は同一軸心上に位置する。第1ピン部材511,512,513は、背板50の後面57から縦挿入孔560,570,580に挿入され、先端部が縦固定穴121,122,123に夫々ねじ込まれている。即ち、第1ピン部材511,512,513は、縦挿入孔560,570,580及び縦固定穴121,122,123と螺合している。
【0057】
また、縦挿入孔560,570,580は、後面57側の開口に凹部561,571,581が形成されている。凹部561,571,581は、縦挿入孔560,570,580の径より大きい径の円形であり、第1ピン部材511,512,513のネジ頭に倣う形状を有する。
【0058】
従って、第1ピン部材511,512,513が、縦挿入孔560,570,580及び縦固定穴121,122,123と螺合する場合、第1ピン部材511,512,513のネジ頭は背板50の後面57よりはみ出ることはない。よって、背板50(後面57)が壁400と密着できる。
【0059】
この際、縦固定穴121,122(第1ピン部材511,512)は、仕切り板10の後側側面131の上端寄りに設けられ、縦固定穴123(第1ピン部材513)は下端寄りに設けられている。換言すれば、縦固定穴121,122(第1ピン部材511,512)は、天板40寄りに設けられ、縦固定穴123(第1ピン部材513)は棚板60寄りに設けられている。即ち、縦固定穴121,122,123(第1ピン部材511,512,513)において、天板40寄り半部に設けられたものの数(M)は棚板60寄り半部に設けられたものの数(N)より多い。Nは、例えば、0以上である。
【0060】
このような構成を有することから、本実施の形態に係る載置台100においては、天板40の近傍において、仕切り板10,20,30と背板50との固定を強化することができる。即ち、仕切り板10,20,30は背板50を介して壁400に固定されるが、斯かる壁400への固定を天板40付近にて強めることができる。従って、仕切り板10,20,30に固定される天板40にかかる負荷を部分的に壁400に分散させることができる。
【0061】
一方、上述したように、背板50は、上方面58において第2突起部451-454と整合する夫々の位置に、挿通穴51-54が形成されている。第2突起部451-454は挿通穴51-54の一端の開口から挿通穴51-54に挿入され、挿通穴51-54の他端に設けられた抜止部551-554(第2抜止部)と係合する。これによって、天板40は、下面45が背板50の上方面58と当接した状態にて、背板50に緊合される。
【0062】
第2突起部451-454と抜止部551-554との係合は、第1突起部41F,41Bと上方抜止部11,12との係合と同じであり、第1突起部41F,41Bと上方抜止部11,12との係合については既に説明しているので、詳しい説明を省略する。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る載置台100において、天板40は、下面45が仕切り板10,20,30の上方面132,232,332と、背板50の上方面58と当接した状態にて、仕切り板10,20,30及び背板50に緊合される。更に、仕切り板10,20,30は背板50にしっかり固定される。
【0064】
背板50は、背板50を厚み方向に貫通する貫通孔501-510が形成されており、背板50を壁400に取り付ける際には、貫通孔501-510が用いられる。具体的には、貫通孔501-510に例えばコーススレッドを挿入して、コーススレッドを壁400にねじ込むことによって、背板50を壁400にしっかり固定できる。
【0065】
背板50は仕切り板10,20,30の近傍で壁に固定されている。即ち、本実施の形態に係る載置台100において、貫通孔502-509は、仕切り板10,20,30の近傍に形成されている。
図9に示すように、貫通孔502,503は仕切り板10の右側付近に形成されており、貫通孔504,505は仕切り板20の左側付近に形成されており、貫通孔506,507は仕切り板20の右側付近に形成されており、貫通孔508,509は仕切り板30の左側付近に形成されている。仕切り板10,20,30のうち中央に位置する、仕切り板20に対しては、左右両側の近傍に貫通孔504-507が形成されている。
【0066】
貫通孔502-509は、仕切り板10,20,30から、例えば、50mm以内、より好ましくは30mm以内の範囲内に形成される。
【0067】
このように、貫通孔502-509が、仕切り板10,20,30の近傍に形成されていることから、即ち、仕切り板10,20,30の近傍にてコーススレッドを壁400にねじ込んで固定することによって、仕切り板10,20,30付近において、背板50と壁400とを密着させ、固定を強化できる。
【0068】
以上のような構成を有することから、本実施の形態に係る載置台100においては、天板40にテレビジョン受像機等が載置された場合、天板40にかかる負荷の一部は仕切り板10,20,30を介して背板50に伝わり、天板40にかかる負荷の他の一部は直接背板50に伝わる。このように背板50に伝わった負荷は壁400に伝わる。
従って、壁400から遠ざかることにつれて、天板40(仕切り板10,20,30)が下に垂れること(以下、前垂れと言う。)を防止出来る。しかも、L金具、コーナーコネクター等を用いることなく前垂れを防止出来る。従って、L金具、コーナーコネクター等を使用することによる、載置台100の意匠性の低下を防ぐことができる。
【0069】
背板50の短手方向に沿う方向、即ち、上下方向において、仕切り板10,20,30の寸法は、背板50の寸法より短い。このような仕切り板10,20,30においては、上方面132,232,332と反対側の下方面133,233,333(第2側面)に、棚板60の上面61(対向面)が当接した状態にて固定されている。上面61は、天板40の下面45と反対側の面である。また、棚板60は、長辺側の側面であって、後方の後側側面62(当接側面)が背板50の前面56に当接した状態にて、背板50に固定されている。
【0070】
棚板60の上面61には、仕切り板10との固定の為に、第3突起部611,612が設けられており、仕切り板20との固定の為に、第3突起部621,622が設けられており、仕切り板30との固定の為に、第3突起部631,632が設けられている。
【0071】
一方、仕切り板10では、下方面133において第3突起部611,612と整合する位置に、下方面穴103,104(第3穴)が形成されている。また、仕切り板20では、下方面233において第3突起部621,622と整合する位置に、下方面穴203,204(第3穴)が形成されている。更に、仕切り板30では、下方面333において第3突起部631,632と整合する位置に、下方面穴303,304(第3穴)が形成されている。
【0072】
第3突起部611,612は下方面穴103,104の一端の開口から下方面穴103,104に挿入され、下方面穴103,104の他端に設けられた下方抜止部13,14(第3抜止部)と係合する。また、第3突起部621,622は下方面穴203,204の一端の開口から下方面穴203,204に挿入され、下方面穴203,204の他端に設けられた下方抜止部23,24(第3抜止部)と係合する。更に、第3突起部631,632は、下方面穴303,304の一端の開口から下方面穴303,304に挿入され、下方面穴303,304の他端に設けられた下方抜止部33,34(第3抜止部)と係合する。
【0073】
第3突起部611,612と下方抜止部13,14との係合、第3突起部621,622と下方抜止部23,24との係合、第3突起部631,632と下方抜止部33,34との係合は、上述した、第1突起部41F,41Bと上方抜止部11,12との係合と同一構成であるので、詳しい説明を省略する。
【0074】
このような、第3突起部611,612,621,622,631,632と下方抜止部13,14,23,24,33,34との係合によって、棚板60の上面61を仕切り板10,20,30の下方面133,233,333に当接させた状態で、棚板60を仕切り板10,20,30に緊結できる。
【0075】
そして背板50では、棚板60の後側側面62と整合する位置に、第2ピン部材541-545が突設されている(
図4参照)。棚板60の後側側面62において第2ピン部材541-545と整合する位置には、横固定穴641-645が夫々形成されている。横固定穴641-645は前後方向に延びており、互いに平行している。横固定穴641-645(第2ピン部材541-545)は等間隔にて並設されている。第2ピン部材541-545が横固定穴641-645に夫々内嵌されることによって、棚板60が背板50に固定されている。以下、
図9及び
図10に基づいて、詳しく説明する。
【0076】
棚板60を固定する第2ピン部材541-545は、例えば、コンフィルマートである。第2ピン部材541-545としてのコンフィルマートは、前記第1ピン部材としてのコンフィルマートよりも長いものが望ましい。
第2ピン部材541-545は、左端から右端に向けて、この順に並設されている。第2ピン部材541-545は背板50を厚み方向に貫通し、第2ピン部材541-545の先端部が棚板60の後側側面62の横固定穴641-645に夫々ねじ込まれている。
【0077】
背板50には、棚板60の後側側面62と整合する位置に、背板50を厚み方向に貫通しており、第2ピン部材541-545が挿入される横挿入孔591-595が形成されている。横挿入孔591-595及び横固定穴641-645は同一軸心上に位置する。第2ピン部材541-545は、背板50の後面57から横挿入孔591-595に挿入され、先端部が横固定穴641-645に夫々ねじ込まれている。即ち、第2ピン部材541-545は、横挿入孔591-595及び横固定穴641-645と螺合している。
【0078】
例えば、横挿入孔591は、後面57側の開口に凹部590が形成されている。凹部590は、横挿入孔591の径より大きい径の円形であり、第2ピン部材541のネジ頭に倣う形状を有する。これは、横挿入孔592-595においても同様であり、詳しい説明を省略する。
【0079】
従って、第2ピン部材541-545が、横挿入孔591-595及び横固定穴641-645と螺合する場合、第2ピン部材541-545のネジ頭は背板50の後面57よりはみ出ることはない。よって、背板50(後面57)が壁400と密着できる。
【0080】
以上のように、本実施の形態に係る載置台100において、天板40は、下面45が仕切り板10,20,30の上方面132,232,332と当接した状態にて、仕切り板10,20,30に緊合される。更に、仕切り板10,20,30は背板50にしっかり固定される。
更に、棚板60は、上面61が仕切り板10,20,30の下方面133,233,333と当接した状態にて、仕切り板10,20,30に緊合される。更に、棚板60は後側側面62が背板50の前面56と当接した状態にて、背板50にしっかり固定される。
【0081】
このような構成を有することから、本実施の形態に係る載置台100においては、仕切り板10,20,30に固定される天板40にかかる負荷を部分的に壁400に分散させることができる。
【0082】
即ち、本実施の形態に係る載置台100においては、天板40にテレビジョン受像機等が載置された場合、天板40にかかる負荷のうち、一部は仕切り板10,20,30及び背板50を介して壁400に伝わり、他の一部は仕切り板10,20,30を介して棚板60に伝わり、このように棚板60に伝わった負荷は背板50を介して壁400に伝わる。
従って、天板40(仕切り板10,20,30)の前垂れをより確実に防止出来る。しかも、L金具、コーナーコネクター等を用いることなく前垂れを防止出来るので、L金具、コーナーコネクター等を使用することによる、載置台100の意匠性の低下を防ぐことができる。
【0083】
更に、本実施の形態に係る載置台100においては、上述したように、上下方向において、仕切り板10,20,30の寸法が、背板50の寸法より短い。従って、棚板60は、背板50の下端より上方向に配置されている。即ち、棚板60は床から離れて配置されている。
【0084】
これによって、本実施の形態に係る載置台100は、棚板60が床から浮いているような外見を演出でき、見栄えを良くすることができるうえ、棚板60より下方の掃除が容易になる。
【0085】
(実施の形態2)
図11は、本実施の形態に係る載置台100の外見を表す斜視図である。実施の形態2に係る載置台100は、仕切り板10,20,30の前方に、ガラス等からなる扉500を設けている。扉500は、
図11中の白抜き矢印方向への開閉ができるように構成されている。
【0086】
これによって、本実施の形態に係る載置台100は、仕切り板10,20,30、天板40及び棚板60によって区画される空間に埃が溜まることを防止できるうえ、斯かる空間に収納されるものを隠し、斯かる部屋の清潔感を高めることができる。
【0087】
例えば、実施の形態2に係る載置台100は、背板50における上方面58と反対側の下方面59(他側面)が床600と当たるように設置されている。また、実施の形態2に係る載置台100は、背板50の後面57における下端部に、切り欠き70が形成されている。切り欠き70は、背板50の下端の長辺側にて、背板50の長手方向に沿って形成されている。
【0088】
このような構成を有することから、実施の形態2に係る載置台100は、壁400にいわゆる巾木700が貼り付けられた部屋に設置される場合、切り欠き70に巾木700が収容される。これによって、実施の形態2に係る載置台100と、壁400との間に隙間ができることに起因して、壁400への載置台100の固定が弱まることを未然に防止出来る。
【0089】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0090】
11,12,21,22,31,32 上方抜止部
13,14,23,24,33,34 下方抜止部
10,20,30 仕切り板
40 天板
41F,41B,42F,42B,43F,43B 第1突起部
45 下面
50 背板
51-54 挿通穴
56 前面
57 後面
58 上方面
60 棚板
61 上面
62 後側側面
70 切り欠き
100 載置台
101,102,201,202,301,302 上方面穴
103,104,203,204,303,304 下方面穴
121,122,123,221,222,223,321,322,323 縦固定穴
131,231,331 後側側面
132,232,332 上方面
133,233,333 下方面
400 壁
451-454 第2突起部
502-509 貫通孔
541-545 第2ピン部材
511,512,513,521,522,523,531,532,533 第1ピン部材
551-554 抜止部
611,612,621,622,631,632 第3突起部
641-645 横固定穴