(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法、および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220804BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
(21)【出願番号】P 2018202322
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2020-09-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 多加志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 未有希
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211770(JP,A)
【文献】国際公開第2009/037893(WO,A1)
【文献】特開2010-198461(JP,A)
【文献】特開2007-128420(JP,A)
【文献】特開2007-304816(JP,A)
【文献】特開2007-193507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する端末装置に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する取得部と、
興味を持った特定の対象物の近傍で他のユーザがとる特徴的な挙動に対応するセンサ情報を予め機械学習し、前記取得部によって取得される前記センサ情報が入力された場合に、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を出力する学習モデルを使用して、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を判定する判定部と
を備え
、
前記判定部は、
前記取得部によって取得される前記センサ情報に基づいて、前記ユーザが特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っているか否かを判定する
ことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記判定部による判定結果に基づいて、情報を提供する提供部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記特定の商品または前記特定のサービスを提供する実店舗へ、前記判定部による判定結果を含む情報を提供する
ことを特徴とする請求項
2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記提供部は、
前記端末装置へ広告コンテンツを配信する広告配信装置へ、前記判定部による判定結果を含む情報を提供する
ことを特徴とする請求項
2または請求項
3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記提供部は、
前記特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っていると前記判定部によって判定された前記ユーザへ前記特定の商品または前記特定のサービスに関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項
2~
4のいずれか一つに記載の判定装置。
【請求項6】
前記取得部は、
前記センサ情報に含まれる前記ユーザの位置を取得し、
前記判定部は、
前記取得部によって取得される前記ユーザの位置に基づいて、前記興味度を判定する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一つに記載の判定装置。
【請求項7】
前記取得部は、
前記センサに含まれるモーションセンサによって検知されるセンサ情報を取得し、
前記判定部は、
前記取得部によって取得されるモーションセンサによって検知されるセンサ情報に基づいて、前記興味度を判定する
ことを特徴とする請求項
6に記載の判定装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する判定方法であって、
ユーザが携帯する端末装置に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する取得工程と、
興味を持った特定の対象物の近傍で他のユーザがとる特徴的な挙動に対応するセンサ情報を予め機械学習し、前記取得工程によって取得される前記センサ情報が入力された場合に、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を出力する学習モデルを使用して、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を判定する判定工程と
を含
み、
前記判定工程は、
前記取得工程によって取得される前記センサ情報に基づいて、前記ユーザが特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っているか否かを判定する
ことを特徴とする判定方法。
【請求項9】
ユーザが携帯する端末装置に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する取得手順と、
興味を持った特定の対象物の近傍で他のユーザがとる特徴的な挙動に対応するセンサ情報を予め機械学習し、前記取得手順によって取得される前記センサ情報が入力された場合に、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を出力する学習モデルを使用して、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を判定する判定手順と
をコンピュータに実行させ
、
前記判定手順は、
前記取得手順によって取得される前記センサ情報に基づいて、前記ユーザが特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っているか否かを判定する
ことを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、判定装置、判定方法、および判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者による店舗への訪問状態や利用状況を検出し、検出結果に基づいて所定のサービスを提供する技術が知られている。このような技術の一例として、顧客が来店した場合に、その顧客へ特典を付与する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顧客が来店したからといって、その顧客が来店した店舗で取り扱われている商品等の所定の対象物に対して興味を持っているとは限らないので、特典の付与が無駄になる恐れがある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、端末装置を携帯するユーザが所定の対象物に興味を持ったか否かを判定することができる判定装置、判定方法、および判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る判定装置は、取得部と、判定部とを備える。取得部は、ユーザが携帯する端末装置に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する。判定部は、前記取得部によって取得される前記センサ情報に基づいて、所定の対象物に対する前記ユーザの興味度を判定する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る判定装置、判定方法、および判定プログラムによれば、端末装置を携帯するユーザが所定の対象物に興味を持ったか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る判定方法の概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係る学習モデルの作成手順の説明図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係る学習モデルの作成手順の説明図である。
【
図3C】
図3Cは、実施形態に係る学習モデルの作成手順の説明図である。
【
図3D】
図3Dは、実施形態に係る学習モデルの作成手順の説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る提供リストの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る判定装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る判定装置を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る判定装置、判定方法、および判定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る判定装置、判定方法、および判定プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.判定方法の概要〕
図1は、実施形態に係る判定方法の概要を示す説明図である。
図1に示すように、例えば、端末装置10-1のユーザUは、例えば、家電製品を販売する店舗内で商品が陳列された陳列棚100の前を歩いているときに、立ち止ってノートパソコン11の方を見た後に店舗を出ることがある。
【0011】
かかる行動を取ったユーザUは、店舗でノートパソコン11の購入を迷ったあげく、結局ノートパソコン11の購入を諦めて店舗を出た可能性がある。そして、かかるユーザは、後日、例えば、インターネット上のショッピングサイト等を利用し、店舗での販売価格よりも安い価格でノートパソコン11を購入する場合がある。
【0012】
かかる場合、店舗側は、ユーザUに店舗でノートパソコン11を購入してもらう機会を逸することになり、商品の売り上げが減少する。このとき、例えば、ユーザUが店舗内でノートパソコン11に興味を持ったという情報を店舗へ提供することができれば、店舗側は、ユーザUに対して、ノートパソコン11の購入を促すような何等かの対応をとることができ、売り上げを増大させることができる。
【0013】
そこで、実施形態に係る判定装置1は、店舗内を移動するユーザUが携帯する端末装置10-1から、端末装置10-1に搭載されたセンサによって検出されるセンサ情報を取得する(ステップS1)。
【0014】
具体的には、例えば、ユーザUが携帯するスマートフォン等の端末装置10-1には、近年、GPS(Global Positioning System)センサが搭載されている。GPSセンサは、GPS衛星から受信する電波に基づいてユーザUの位置を測位するセンサである。
【0015】
このため、判定装置1は、端末装置10-1のGPSセンサからセンサ情報を取得することによって、店舗内のユーザUの位置を判定することができ、ユーザの位置と店舗内の商品の陳列場所とから、ユーザUが興味を持った商品を特定することができる。
【0016】
例えば、判定装置1は、ユーザUが店舗内でノートパソコン11の前で立ち止り、所定時間以上ノートパソコン11の前を離れなかった場合に、ユーザUがノートパソコン11に興味を持ったと判定することができる。
【0017】
また、例えば、判定装置1は、ユーザUが店舗内を移動しながら、複数回ノートパソコン11の前に立ち寄った場合等にも、ユーザUがノートパソコン11に興味を持ったと判定することができる。
【0018】
このように、判定装置1は、端末装置10-1から取得したセンサ情報に基づき、ユーザUがノートパソコン11に興味ありと判定した場合(ステップS2)、ユーザUのノートパソコン11に対する興味度の判定結果を含む情報を店舗装置110へ提供する(ステップS3)。
【0019】
店舗装置110は、ユーザUが来店してノートパソコン11に興味を持った店舗によって管理される装置である。かかる店舗装置110は、判定装置1からユーザUのノートパソコン11に対する興味度の判定結果を含む情報の提供を受け付けた場合、ユーザUの端末装置10-1へノートパソコン11に関する情報を配信することができる(ステップS4)。
【0020】
例えば、店舗装置110は、ユーザUの端末装置10-1へノートパソコン11を他の店舗よりも低価格で購入することが可能となるクーポンコンテンツ等のリターゲティング広告を配信することができる。これにより、店舗は、ユーザUによるノートパソコン11の購買意欲を高めることができる。
【0021】
このように、判定装置1によれば、端末装置10-1から取得するセンサ情報に基づき、ユーザUがノートパソコン11に興味ありと判定した場合、その判定結果を含む店舗側にとって有用な情報を店舗装置110へ提供することができる。
【0022】
また、近年の端末装置10-1には、モーションセンサが搭載されている。モーションセンサは、加速度センサやジャイロセンサ等を含んでおり、例えば、端末装置10-1の画面の向きの検知や、PDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者自立航法)で歩行するユーザUの位置を測位することが、これまでの主たる用途であった。
【0023】
モーションセンサは、加速度センサやジャイロセンサ等を備えるため、例えば、ユーザUが立ち止まったり、振り向いたり、しゃがんだり、一緒にいる人と会話したりする際の僅かな振動や挙動までを検知することができる。
【0024】
このため、判定装置1は、端末装置10-1からモーションセンサによって検知されるセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報に基づいて、店舗内に陳列されている特定の商品に対するユーザUの興味度を判定することもできる。
【0025】
これにより、判定装置1は、特定の商品に対するユーザUの興味度をより正確に判定することができる。かかる場合、判定装置1は、興味を持った特定の商品の近傍で他のユーザがとる特徴的な挙動に対応するセンサ情報を予め機械学習した学習モデルを使用して、特定の商品に対するユーザUの興味度を判定する。なお、学習モデルの作成手順の一例については、
図3A~
図3Dを参照して後述する。
【0026】
〔2.判定装置1の構成〕
次に、
図2を参照し、実施形態に係る判定装置1の構成の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る判定装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、判定装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。
【0027】
(通信部2について)
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、例えば、インターネット等の通信ネットワークNと無線で接続され、通信ネットワークNを介して、複数の端末装置10-1~端末装置10-n(nは、2以上の自然数)、店舗装置110、および広告配信装置111との間で情報の送受信を行う。
【0028】
以下の説明では、複数の端末装置10-1~端末装置10-nのうち、任意の装置を示す場合には、端末装置10と記載する。各端末装置10は、例えば、ユーザが携帯するスマートフォンやタブレット端末である。
【0029】
各端末装置10は、GPSセンサ101とモーションセンサ102とを備える。モーションセンサ102は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、歩数センサ、および生体センサ等を含む。
【0030】
加速度センサは、端末装置10の加速度を検知するセンサである。ジャイロセンサは、端末装置10の姿勢および角速度等を検知するセンサである。歩数センサは、端末装置10のユーザが歩行した歩数を計数するセンサである。
【0031】
生体センサは、端末装置10のユーザの心拍数や体温等を検知するセンサである。なお、
図2では、端末装置10が備えるGPSセンサ101およびモーションセンサ102以外の構成要素の図示を省略している。
【0032】
店舗装置110は、商品を実際に陳列して販売する実店舗によって管理される装置である。また、広告配信装置111は、端末装置10等へ各種広告コンテンツを配信する装置である。
【0033】
(記憶部3について)
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部3は、陳列場所情報31と、学習モデル32と、提供リスト33とを有する。
【0034】
陳列場所情報31は、店舗内における特定の商品の陳列場所と、その場所に陳列されている商品の識別情報とが対応付けられた情報である。なお、陳列場所情報31には、店舗内における全商品の陳列場所と、その場所に陳列されている商品の識別情報とが含まれてもよい。提供リスト33は、判定装置1から店舗装置110および広告配信装置111へ提供する情報のリストである。提供リスト33の一例については、
図4を参照して後述する。
【0035】
学習モデル32は、端末装置10から取得されるユーザの位置およびモーションセンサ102によって検知されるセンサ情報が入力された場合に、そのユーザが特定の商品に興味を持ったか否か、さらに特定の商品の購入を迷ったか否かの判別結果を出力する。
【0036】
かかる学習モデル32は、興味を持った特定の商品の近傍でユーザがとる特徴的な挙動に対応するセンサ情報を予め機械学習することで作成される。ここで、
図3A~
図3Dを参照し、学習モデル32の作成手順の一例について説明する。
【0037】
(学習モデル32の作成手順の一例)
図3A~
図3Dは、実施形態に係る学習モデルの作成手順の説明図である。
図3Aに示すように、学習モデル32を作成する場合には、正解付センサ情報Dを事前に用意する。このとき、正解付センサ情報Dとして、特定の商品に興味を持ったユーザの端末装置10から取得された多数のセンサ情報と、特定の商品の購入に迷ったユーザの端末装置10から取得された多数のセンサ情報とを用意する。さらに、特定の商品に興味を持たなかったユーザの端末装置10から取得された多数のセンサ情報とを用意する。
【0038】
例えば、ノートパソコン11に対する顧客(端末装置10のユーザ)の興味度の判定に使用する学習モデル32を作成する場合には、ノートパソコン11の周辺を通行するユーザをカメラによって撮影する。
【0039】
そして、カメラによって撮影された映像から、ノートパソコン11に興味を持ったユーザと、ノートパソコン11に興味を持ち購入に迷ったユーザと、ノートパソコン11に興味を持たなかったユーザとをそれぞれ特定する。そして、各ユーザの端末装置10からユーザの位置およびモーションセンサ102によって検知されたセンサ情報を収集する。
【0040】
図3Aに示すセンサ情報#1~#5は、特定の商品に興味を持ったユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。また、センサ情報#1~#5のうち、センサ情報#4,#5は、特定の商品の購入に迷ったユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。また、センサ情報#6は、特定の商品に興味を持たなかったユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。
【0041】
センサ情報#1は、例えば、ノートパソコン11の前で立ち止まってノートパソコン11を注視したユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。センサ情報#2は、例えば、ノートパソコン11へ向かって真っすぐに歩いたユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。
【0042】
センサ情報#3は、例えば、ノートパソコン11を探しながら歩いたユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。センサ情報#4は、例えば、ノートパソコン11を見ながら会話したユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。
【0043】
センサ情報#5は、例えば、ノートパソコン11を試しに繰り返し操作したユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。センサ情報#6は、例えば、ノートパソコン11を見ずに素通りしたユーザの端末装置10から取得されたセンサ情報である。なお、センサ情報#1~センサ情報#6には、それぞれが取得された場所およびユーザが移動した経路等の位置が含まれている。
【0044】
その後、収集した各センサ情報#1~#6等に正解として、ユーザがノートパソコン11に興味を持った、興味を持ち且つ購入を迷った、または、興味を持たなかったといういずれか一方の情報を付与し、学習モデル32の作成機能を備えるコンピュータPCへ入力する。コンピュータPCは、例えば、FM(Factorization Machines)による機械学習によって学習モデル32を作成する。
【0045】
例えば、
図3Bに示すように、コンピュータPCは、入力されるセンサ情報#1~#6等のセンサ情報を所定の座標平面M上にプロットする。
図3Bには、ユーザが興味を持ったという正解が付与されたセンサ情報を白点で示しており、興味を持ち且つ購入を迷ったという正解が付与されたセンサ情報を白抜きの三角で示しており、ユーザが興味を持たなかったという正解が付与されたセンサ情報を黒点で示している。
【0046】
続いて、コンピュータPCは、
図3Cに示すように、ユーザが興味を持ったという正解が付与された白点または白抜き三角で示すセンサ情報群と、ユーザが興味を持たなかったという正解が付与された黒点で示すセンサ情報群とを分類するための境界線L1を座標平面Mに設定する。
【0047】
さらに、コンピュータPCは、ユーザが興味を持ったという正解が付与された白点で示すセンサ情報群と、興味を持ち且つ購入を迷ったという正解が付与された白抜き三角で示すセンサ情報群とを分類するための境界線L2を座標平面Mに設定する。
【0048】
そして、
図3Dに示すように、コンピュータPCは、座標平面M内で境界線L1よりも上の領域を興味あり領域とし、境界線L1よりも下の領域を興味なし領域とし、興味あり領域のうち、境界線L2よりも左側の領域を、購入を迷った領域とする学習モデル32を作成する。
【0049】
かかる学習モデル32は、例えば、あるユーザの端末装置10から取得されたユーザの位置およびセンサ情報が入力された場合、ユーザの位置を含むセンサ情報D1を座標平面M上にプロットする。
【0050】
このとき、
図3Dに示すように、センサ情報D1をプロットした領域が購入を迷った領域である場合、学習モデル32は、センサ情報D1を取得した端末装置10のユーザがノートパソコン11に興味を持ち且つ購入を迷ったという判別結果を出力する。
【0051】
(制御部4について)
図2へ戻り、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、判定装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(判定プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0052】
図2に示すように、制御部4は、取得部41と、判定部42と、提供部43とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0053】
(取得部41について)
取得部41は、端末装置10からGPSセンサ101によって検知されるセンサ情報と、モーションセンサ102によって検知されるセンサ情報とを取得する。このとき、取得部41は、端末装置10のGPSセンサ101によってユーザの位置が測位されている場合には、GPSセンサ101からユーザの位置を取得する。
【0054】
ただし、端末装置10では、GPSセンサ101によってユーザの位置を測位できない場合がある。例えば、端末装置10は、地下の店舗施設等の中にいる場合、GPS衛星からの電波を受信することができないため、GPSセンサ101による測位ができない。
【0055】
かかる場合、取得部41は、例えば、PDRによってユーザの位置を測位することができる。取得部41は、GPS衛星からの電波を受信できない場合、GPSセンサ101によって最後に測位されたユーザの位置と、その後、モーションセンサ102によって検知された加速度、角速度、およびユーザの歩数等とに基づき推定したユーザの位置を取得する。そして、取得部41は、取得した複数の端末装置10のユーザの位置およびセンサ情報を順次判定部42へ出力する。
【0056】
また、取得部41は、GPS衛星からの電波を受信できない場合に、複数のWiFiアクセスポイントからの電波を受信できれば、各WiFiアクセスポイントから受信電波の受信強度の違いから、3点測位によってユーザの位置を取得することもできる。
【0057】
また、取得部41は、GPS衛星からの電波を受信できない場合に、例えば、店舗内に設置されるビーコン発信器から発信される信号に基づいてユーザの位置を取得することもできる。
【0058】
(判定部42について)
判定部42は、取得部41から順次入力される各ユーザの位置と、記憶部3に記憶された陳列場所情報31とに基づいて、ユーザが特定の商品に興味を持ったか否か、および特定の商品の購入を迷ったか否かを判定する。
【0059】
さらに、判定部42は、取得部41から順次入力される各ユーザの位置およびモーションセンサ102によって検知されたセンサ情報を学習モデル32へ入力する。そして、判定部42は、学習モデル32の出力に基づいて、ユーザが特定の商品に興味を持ったか否か、および特定の商品の購入を迷ったか否かを判定する。
【0060】
そして、判定部42は、各ユーザの位置および陳列場所情報31に基づく判定結果と、各ユーザの位置、モーションセンサ102によって検知されたセンサ情報、および学習モデル32に基づく判定結果とのANDまたはORを取って、特定の商品の購入に迷ったユーザを判定する。
【0061】
そして、判定部42は、判定結果を提供リスト33に登録する。これにより、例えば、
図4に示すように、提供リスト33には、例えば、A社製のノートパソコンの購入に迷ったユーザのユーザIDと来店日時や、B社製のタブレット型端末の購入に迷ったユーザのユーザIDと来店日時等の情報がリスト形式で登録される。
【0062】
(提供部43ついて)
提供部43は、提供リスト33に含まれる情報を店舗装置110や広告配信装置111へ提供する。これにより、提供部43から情報の提供を受けた店舗装置110や広告配信装置111は、例えば、特定の商品の購入を迷って購入しなかったユーザへ、その商品を他の店舗よりも低価格で購入することが可能なクーポンコンテンツ等のリターゲティング広告を配信することができる。これにより、購入を迷った特定の商品に対するユーザの購買意欲を高めることができる。
【0063】
〔3.処理手順〕
次に、
図5を参照し、実施形態に係る判定装置1の制御部4が実行する処理の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る判定装置1の制御部4が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図5に示すように、制御部4は、まず、ユーザの端末装置10からセンサ情報を取得する(ステップS101)。続いて、制御部4は、取得したセンサ情報に基づいて、特定の商品に対するユーザの興味度を判定する(ステップS102)。
【0065】
さらに、制御部4は、ユーザが特定の商品の購入を迷っているか否かを判定する(ステップS103)。そして、制御部4は、特定の商品に対するユーザの興味度の判定結果、およびユーザが特定の商品の購入を迷っているか否かの判定結果を含む情報を、店舗装置110や広告配信装置111へ提供し(ステップS104)、処理を終了する。
【0066】
〔4.変形例〕
上述した判定装置1は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、判定装置1の変形例について説明する。上述した実施形態では、判定装置1は、ユーザの位置に基づく判定処理と、ユーザの位置、モーションセンサ102のセンサ情報、および学習モデル32に基づく判定処理とによって、ユーザが特定の商品の購入を迷ったか否かを判定したが、これは一例である。
【0067】
判定装置1は、ユーザの位置に基づく判定処理と、ユーザの位置、モーションセンサ102のセンサ情報、および学習モデル32に基づく判定処理とのうち、いずれか一方の処理を行って、ユーザが特定の商品の購入を迷ったか否かを判定してもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、判定装置1は、有用な情報として、提供リスト33を店舗装置110よび広告配信装置111へ提供する場合について説明したが、端末装置10へ提供リスト33に基づく有用な情報を提供してもよい。
【0069】
例えば、判定装置1は、店舗と広告配信業務で提携している場合には、提供リスト33の情報に基づき、端末装置10へ購入を迷った特定の商品に関するリターゲティング広告等を直接配信してもよい。
【0070】
これにより、判定装置1は、提供リスト33を店舗装置110よび広告配信装置111へ提供する場合に比べて、より迅速に端末装置10へリターゲティング広告を配信することができる。
【0071】
また、上述した実施形態では、判定部42は、ユーザが特定の商品の購入を迷ったか否かを判定したが、ユーザが実店舗で提供される特定のサービスの利用を迷ったか否かを判定することもできる。
【0072】
また、上述した実施形態では、判定装置1の制御部4が提供部43を備える場合について説明したが、制御部4は、少なくとも取得部41および判定部42を備えていれば、必ずしも提供部43を備えなくてもよい。
【0073】
かかる構成の場合、判定装置1は、例えば、提供部43を備える提供装置へ判定部42による判定結果を送信し、提供装置から店舗装置110、広告配信装置111、および端末装置10等へ判定部42による判定結果に応じた情報を提供させる。
【0074】
〔5.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る判定装置1は、例えば
図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図6は、判定装置1の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0075】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
【0076】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信I/F(インターフェイス)1500は、通信ネットワークNを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信ネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0077】
CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。なお、
図6では、入力装置および出力装置を合わせて入出力装置として記載している。
【0078】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0079】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る判定装置1として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部3内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信ネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0080】
〔6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0081】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、
図2に示した取得部41と、判定部42とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部3に記憶される情報は、通信ネットワークNを介して、外部に備えられた所定の記憶装置に記憶されてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、判定装置1が、例えば、ユーザが携帯する端末装置に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する取得処理と、取得処理によって取得されるセンサ情報に基づいて、所定の対象物に対するユーザの興味度を判定する判定処理と、判定処理による判定結果に基づいて、情報を提供する提供処理と、を行う例を示した。
【0083】
しかし、上述した判定装置1は、取得処理を行う取得装置と、判定処理を行う判定装置と、提供処理を行う提供装置とに分離されてもよい。この場合、取得装置は、少なくとも取得部41を有する。判定装置は、少なくとも判定部42を有する。提供装置は、少なくとも提供部43を有する。そして、上記の判定装置1による処理は、取得装置と、判定装置と、提供装置との各装置を有する情報提供システムによって実現される。
【0084】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
〔7.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る判定装置1は、取得部41と、判定部42とを備える。取得部41は、ユーザが携帯する端末装置10に搭載されたセンサによって検知されるセンサ情報を取得する。判定部42は、取得部41によって取得されるセンサ情報に基づいて、所定の対象物に対するユーザの興味度を判定する。これにより、判定装置1は、端末装置10を携帯するユーザが所定の対象物に興味を持ったか否かを判定することができる。
【0086】
また、判定装置1は、提供部43をさらに備える。提供部43は、判定部42による判定結果に基づいて、情報を提供する。これにより、判定装置1は、例えば、所定の対象物に対するユーザの興味度に応じた有用な情報を提供することができる。
【0087】
また、判定部42は、取得部41によって取得されるセンサ情報に基づいて、ユーザが特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っているか否かを判定する。これにより、判定装置1は、例えば、ユーザが購入を迷っている特定の商品または利用を迷っている特定のサービスに関する有用な情報を提供することができる。
【0088】
また、提供部43は、特定の商品または特定のサービスを提供する実店舗へ、判定部42による判定結果を含む情報を提供する。これにより、例えば、特定の商品を販売する店舗は、特定の商品の購入を迷っているユーザに対して、積極的な販促行動を行うことができる。
【0089】
また、提供部43は、端末装置10へ広告コンテンツを配信する広告配信装置111へ、判定部42による判定結果を含む情報を提供する。これにより、広告配信装置111は、例えば、ユーザの端末装置10へ購入を迷っている特定の商品に関する広告コンテンツを配信することによって、特定の商品に対するユーザの購買意欲を高めることができる。
【0090】
また、提供部43は、特定の商品の購入または特定のサービスの利用を迷っていると判定部42によって判定されたユーザへ特定の商品に関する情報を提供する。これにより、判定装置1は、特定の商品に対するユーザの購買意欲を高めることができる。
【0091】
また、取得部41は、センサ情報に含まれるユーザの位置を取得し、判定部42は、取得部41によって取得されるユーザの位置に基づいて、所定の対象物に対するユーザの興味度を判定する。これにより、判定装置1は、所定の対象物に対するユーザの興味度を正確に判定することができる。
【0092】
また、取得部41は、センサに含まれるモーションセンサによって検知されるセンサ情報を取得し、判定部42は、取得部41によって取得されるモーションセンサによって検知されるセンサ情報に基づいて、所定の対象物に対するユーザの興味度を判定する。これにより、判定装置1は、所定の対象物に対するユーザの興味度をより正確に判定することができる。
【0093】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0094】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 判定装置
2 通信部
3 記憶部
31 陳列場所情報
32 学習モデル
33 提供リスト
4 制御部
41 取得部
42 判定部
43 提供部
10,10-1~10-n 端末装置
110 店舗装置
111 広告配信装置