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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】タイヤ、車両給電装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20220804BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20220804BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20220804BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20220804BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20220804BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20220804BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20220804BHJP
   B60B 21/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B60C19/00 D
B60C9/00 J
B60C9/22 C
B60C15/06 C
B60L53/00
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60B21/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018235650
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020097284
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】若尾 泰通
(72)【発明者】
【氏名】中村 真明
(72)【発明者】
【氏名】雫 孝久
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特許第5777139(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00、9/00、9/22、15/06
B60L 53/00
B60M 7/00
B60L 5/00
B60B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に接するトレッド部と、
前記トレッド部よりもタイヤ径方向内側に設けられるラジアル構造のカーカスと
を備え、電界給電方式に対応した車両に装着されるタイヤであって、
前記カーカスは、
導体で形成され、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿って配置された複数のカーカスコードと、
導体で形成され、タイヤ周方向に沿って配置される周方向コードと
を含み、
前記周方向コードは、前記カーカスコードと接触するタイヤ。
【請求項2】
前記周方向コードは、所定距離を隔てて複数配置される請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記周方向コードは、前記トレッド部に配置される請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記周方向コードは、前記トレッド部と、前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するタイヤサイド部とに配置される請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記トレッド部のタイヤ径方向内側における前記周方向コードの配置間隔は、前記タイヤサイド部における前記周方向コードの配置間隔よりも狭い請求項4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記カーカスは、前記カーカスコードと、前記カーカスコードに接触した前記周方向コードとをゴム被覆することによって形成される請求項1乃至5の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
タイヤ周方向に沿って円環状であるビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向内側に設けられるチェーファーとを備え、
前記チェーファーは、導体によって形成された部分を有する請求項1乃至6の何れか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電方式に好適に用い得るタイヤ、車両給電装置及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの車両に対して、電力を非接触(無線)で供給する方式(非接触給電方式)として、いわゆる電界給電方式が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
電界給電方式では、リムホイールに組み付けられたタイヤが、道路に埋設された金属板からの電場を車両内に中継する。これにより、道路側から車両への給電が可能となり、走行中の車両にも対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5777139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の電界給電方式には、次のような問題がある。具体的には、一般的に、タイヤ自体の導電率は必ずしも高くなく、電力の伝送効率低下の要因となり得る。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、道路側から供給される電力の伝送効率を向上し得るタイヤ、車両給電装置及び移動体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、路面に接するトレッド部(トレッド部20)と、前記トレッド部よりもタイヤ径方向内側に設けられるラジアル構造のカーカス(カーカス40)とを備えるタイヤ(空気入りタイヤ10)であって、前記カーカスは、導体で形成され、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿って配置された複数のカーカスコード(カーカスコード40a)と、導体で形成され、タイヤ周方向に沿って配置される周方向コード(周方向コード71, 72, 73)とを含み、前記周方向コードは、前記カーカスコードと接触する。
【発明の効果】
【0008】
上述したタイヤ、車両給電装置及び移動体によれば、道路側から供給される電力の伝送効率を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、車両給電システム1の全体概略構成図である。
図2図2は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
図3図3は、空気入りタイヤ10の一部分解斜視図である。
図4図4は、空気入りタイヤ10のカーカス40及びベルト層50の一部を示す上面図(トレッド面視)である。
図5図5は、カーカス40の本体部41の一部透過斜視図である。
図6図6は、カーカス40の本体部41及びベルト層50の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0011】
(1)車両給電システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る車両給電システム1の全体概略構成図である。図1に示すように、車両給電システム1は、車両100及び道路200を含む。車両100には、空気入りタイヤ10が装着される。
【0012】
具体的には、図1は、車幅方向に沿った車両100(空気入りタイヤ10を含む)の模式的な断面図、及び幅方向に沿った道路200の模式的な断面図を示す。
【0013】
車両100は、本実施形態では、一般的な四輪の乗用自動車である。なお、車両100は、必ずしも四輪でなくてもよく、また、乗用自動車でなくても構わない。但し、車両100は、図1に示すように、少なくとも一つの車軸が、左右一対の車輪(タイヤ)を備えている。
【0014】
また、本実施形態では、車両100は、バッテリ140の電力のみで走行する電気自動車(EV)である。なお、車両100は、外部からバッテリ140に充電可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)でもよい。
【0015】
車両100が走行する道路200には、一対の送電ユニット210が埋設されている。一対の送電ユニット210は、車両100のトレッド幅に対応できるように、道路200の幅方向において所定距離を隔てて埋設される。
【0016】
一対の送電ユニット210には、電源装置220が接続される。電源装置220は、送電ユニット210を介して車両100に電力を供給する。具体的には、電源装置220は、送電ユニット210を介して、電力を非接触(無線)で供給する方式(非接触給電方式)を実現する。
【0017】
このような非接触給電方式は、電界給電方式と呼ばれる。電界給電方式は、送電側(道路200側)と、受電側(車両100側)との双方において、直列共振回路を構成し、共振状態において電力(交流電力)を伝送する。本実施形態では、共振周波数は、13MHz程度である。
【0018】
空気入りタイヤ10が組み付けられたリムホイール110は、車両100の車軸120(ハブ)に装着される。リムホイール110は、スチールホイールでもよいし、アルミホイールでもよい。
【0019】
なお、車軸120も金属製である。つまり、車軸120に装着されたリムホイール110は、車軸120と導通している。
【0020】
送電ユニット210、道路200、空気入りタイヤ10、リムホイール110及び車軸120を介して、電源装置220から車両100内に備えられる整流回路130に交流電力が供給される。整流回路130は、バッテリ140に対して整流された直流電力を供給する。
【0021】
バッテリ140は、車両100の走行用モータ(不図示)に電力を供給する。一方、バッテリ140は、外部から供給された電力を蓄える。外部とは、上述した道路200側の電源装置220、及び充電用ソケット(不図示)に接続される電源(充電スタンドなど)が挙げられる。電源装置220からバッテリ140へ給電は、上述したように非接触(無線)であるため、車両100の走行中でも充電が可能である。
【0022】
本実施形態において、道路200側の送電ユニット210及び電源装置220は、車両100を含む移動体に給電する車両給電装置を構成する。また、車両100は、車両給電装置から給電される移動体を構成する。
【0023】
(2)タイヤの構成
次に、車両100に装着される空気入りタイヤ10の構成について説明する。図2は、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
【0024】
図2に示すように、空気入りタイヤ10は、トレッド部20、タイヤサイド部30、カーカス40、ベルト層50及びビード部60を有する。空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道線CLを基準として、概ね対称の形状を有している。但し、空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道線CLを基準として、必ずしも完全に対称な形状でなくてもよい。
【0025】
トレッド部20は、路面と接する部分である。トレッド部20には、空気入りタイヤ10の使用環境や装着される車両の種別に応じたパターン(不図示)が形成される。
【0026】
タイヤサイド部30は、トレッド部20に連なり、トレッド部20のタイヤ径方向内側に位置する。タイヤサイド部30は、トレッド部20のタイヤ幅方向外側端からビード部60の上端までの領域である。タイヤサイド部30は、サイドウォールなどと呼ばれることもある。
【0027】
カーカス40は、空気入りタイヤ10の骨格を形成する。カーカス40は、トレッド部20よりもタイヤ径方向内側に設けられる。具体的には、カーカス40は、ベルト層50のタイヤ径方向内側に設けられる。カーカス40は、本体部41及び折り返し部42を有する。
【0028】
本体部41は、トレッド部20、タイヤサイド部30及びビード部60に亘って設けられ、ビード部60において折り返されるまでの部分である。
【0029】
折り返し部42は、本体部41に連なり、ビード部60を介してタイヤ幅方向外側に折り返された部分である。
【0030】
カーカス40は、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿って配置されたカーカスコード40a(図2において不図示、図3参照)がゴム材料によって被覆されたラジアル構造である。但し、ラジアル構造に限定されず、カーカスコード40aがタイヤ径方向及びタイヤ周方向において交錯するように配置されたバイアス構造でも構わない。
【0031】
ベルト層50は、トレッド部20よりもタイヤ径方向内側に設けられる。ベルト層50は、一対の交錯ベルト51, 52(図2において不図示、図3,4参照)を含む。なお、ベルト層50には、交錯ベルト51, 52のタイヤ径方向外側に設けられる補強ベルトを含んでもよい。
【0032】
ビード部60は、タイヤサイド部30に連なり、タイヤサイド部30のタイヤ径方向内側に位置する。ビード部60は、タイヤ周方向に延びる円環状であり、リムホイール110に係止される。ビード部60は、ビードコア61と、チェーファー62とを備える。
【0033】
ビードコア61は、タイヤ周方向に沿って円環状である。本実施形態では、ビードコア61の断面形状は、六角形状である。但し、ビードコア61の断面形状は、六角形に限定されず、円形或いは四角形状でもよい。また、ビードコア61は、スチールなどの金属によって形成されることが多いが、有機繊維によって構成されてもよいし、一部に樹脂が用いられてもよい。
【0034】
チェーファー62は、ビードコア61のタイヤ径方向内側に設けられる。チェーファー62は、カーカス40を保護し、リムホイール110との摩擦によるカーカス40の損傷を防止する。チェーファー62は、繊維がゴム部材によって被覆された複合体である。
【0035】
本実施形態では、チェーファー62は、導体によって形成された部分を有する。具体的には、チェーファー62を構成する繊維は、スチールなどの金属によって形成される。
【0036】
また、ビード部60におけるカーカス40のタイヤ径方向内側端と、ビード部60のタイヤ径方向内側端との最短部分の距離D1、及びビード部60におけるカーカス40のタイヤ幅方向外側端と、ビード部60のタイヤ幅方向外側端との最短部分の距離D2の少なくとも何れかは、2mm以下とすることが好ましい。
【0037】
なお、空気入りタイヤ10のサイズまたは種別などに応じて、距離D1が最短となる場合もあれば、距離D2が最短となる場合もある。
【0038】
(3)タイヤの内部構造
次に、空気入りタイヤ10の内部構造について、さらに詳細に説明する。図3は、空気入りタイヤ10の一部分解斜視図である。図4は、空気入りタイヤ10のカーカス40及びベルト層50の一部を示す上面図(トレッド面視)である。
【0039】
図3及び図4に示すように、カーカス40(本体部41及び折り返し部42)は、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿って配置された複数のカーカスコード40aを有する。カーカス40は、カーカスコード40aをゴム被覆したシート状の部材によって構成される。
【0040】
また、カーカス40は、タイヤ周方向に沿って配置される周方向コード71、周方向コード72及び周方向コード73を有する。
【0041】
カーカスコード40aは、導体で形成される。具体的には、カーカスコード40aは、スチールなどの金属によって形成される。また、周方向コード71、周方向コード72及び周方向コード73も導体で形成される。具体的には、周方向コード71、周方向コード72及び周方向コード73も、スチールなどの金属によって形成される。
【0042】
また、チェーファー62を構成する繊維は、カーカスコード40aまたは周方向コードと同一の材料(金属)によって形成されてもよい。
【0043】
タイヤ周方向において隣接するカーカスコード40aの間隔G1(図4参照)は、トレッド部20と対応する位置において3mm以下とすることが好ましい。また、間隔G1は、ビード部60に対応する位置では、2mm以下とすることが好ましい。
【0044】
本実施形態では、周方向コードは、所定距離を隔てて複数配置される。具体的には、周方向コード71及び周方向コード72は、トレッド部20に配置される。また、周方向コード73は、タイヤサイド部30に配置される。
【0045】
トレッド部20のタイヤ径方向内側における周方向コードの配置間隔G21は、タイヤサイド部30における周方向コードの配置間隔G22よりも狭い。具体的には、周方向コード71と周方向コード72との配置間隔G21は、タイヤ幅方向外側に配置されている周方向コード72と周方向コード73との配置間隔G22よりも狭い。配置間隔G21は、タイヤサイズによるが、3cm程度とすることが好ましい。
【0046】
ベルト層50は、交錯ベルト51と交錯ベルト52とを含む。交錯ベルト51は、トレッド部20のタイヤ径方向内側に設けられる。本実施形態において、交錯ベルト51は、第1交錯ベルトを構成する。
【0047】
交錯ベルト51は、タイヤ幅方向(タイヤ周方向)に対して傾斜したベルトコード51aを有する。
【0048】
交錯ベルト52は、交錯ベルト51のタイヤ径方向内側に設けられる。本実施形態において、交錯ベルト52は、第2交錯ベルトを構成する。
【0049】
交錯ベルト52は、タイヤ幅方向(タイヤ周方向)に対して傾斜したベルトコード52aを有する。
【0050】
ベルトコード51aとベルトコード52aとは、反対方向に傾斜している。これにより、ベルトコード51aとベルトコード52aとが交錯し、一対の交錯ベルトを構成する。
【0051】
本実施形態では、ベルトコード51a及びベルトコード52aは、このように所定方向に沿って配置される。ベルトコード51a及びベルトコード52aは、導体で形成される。具体的には、ベルトコード51a及びベルトコード52aは、カーカスコード40aなどと同様に、スチールなどの金属によって形成される。
【0052】
隣接するベルトコード51aの間隔G31、及び隣接するベルトコード52aの間隔G32は、2mm以下とすることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態では、カーカスコード40aと、ベルトコード51a, 52aとを接続する接続部45を備える。
【0054】
接続部45は、導体で形成され、トレッド部20のタイヤ幅方向における中央部に少なくとも備えられる。なお、「中央部」とは、正規内圧に設定された空気入りタイヤ10に正規荷重が付加された状態におけるトレッド部20の接地幅の30%程度(タイヤ赤道線CL基準)を目安とする。
【0055】
本実施形態では、接続部45は、タイヤ周方向において複数備えられる。
【0056】
(4)カーカス及びベルト層の詳細構成
次に、カーカス40及びベルト層50の詳細構成について説明する。図5は、カーカス40の本体部41の一部透過斜視図である。図6は、カーカス40の本体部41及びベルト層50の一部断面図である。図5では、本体部41は、仮想線で示されている。
【0057】
図5及び図6に示すように、周方向コードは、カーカスコード40aと接触する。具体的には、周方向コード71は、タイヤ幅方向に沿って延びる複数のカーカスコード40aと接触する(図中のP1の部分)。同様に、周方向コード72も、タイヤ幅方向に沿って延びる複数のカーカスコード40aと接触する(図中のP2の部分)。本実施形態では、周方向コード71の幅は、周方向コード72の太さよりも広い。
【0058】
なお、図5及び図6には図示されていないが、タイヤサイド部30に配置されている周方向コード73もタイヤ幅方向に沿って延びる複数のカーカスコード40aと接触する。このように周方向コードがカーカスコード40aと接触することによって、周方向コードとカーカスコード40aとは導通する。
【0059】
カーカス40(本体部41及び折り返し部42)は、カーカスコード40aと、カーカスコード40aに接触した周方向コード71, 72, 73とをゴム被覆することによって形成される。
【0060】
接続部45は、上述したように、導体で形成される。具体的には、接続部45は、カーカスコード40aなどと同様に、スチールなどの金属によって形成される。
【0061】
接続部45は、カーカスコード40aと、ベルトコード51a, 52aとを接続する。つまり、接続部45は、交錯ベルト51を構成するベルトコード51aと、交錯ベルト52を構成するベルトコード52aとを接続するとともに、カーカスコード40aを接続する。
【0062】
接続部45は、タイヤ径方向に延びる線状の部材によって形成される。本実施形態では、接続部45の一端は、ベルトコード51a及びベルトコード52aに巻き付けられている。また、接続部45の他端は、カーカスコード40aに巻き付けられている。
【0063】
カーカスコード40aとベルトコード52aとの最短部分の距離D3は、4mm以下とすることが好ましい。なお、ベルトコード51aとベルトコード52aとの最短部分の距離も4mm以下とすることがより好ましい。
【0064】
(5)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、空気入りタイヤ10では、カーカスコード40aがスチールなどの導体で形成されるとともに、同じく導体で形成された周方向コード71, 72, 73がカーカスコード40aと接触する。
【0065】
このため、周方向コード71, 72, 73と、カーカスコード40aとが導通し、カーカス40全体としての導電率が高まる。特に、本実施形態では、カーカス40がラジアル構造であるため、周方向コード71, 72, 73によって、複数のカーカスコード40aを導通させることが有効である。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率を向上し得る。
【0066】
本実施形態では、周方向コードは、所定距離を隔てて複数配置される。具体的には、周方向コード71, 72は、トレッド部20に配置され、周方向コード73は、タイヤサイド部30に配置される。このため、カーカス40の何れの領域においても導電率を高め得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0067】
本実施形態では、周方向コード71と周方向コード72との配置間隔G21は、タイヤ幅方向外側に配置されている周方向コード72と周方向コード73との配置間隔G22よりも狭い。このため、送電ユニット210に近いトレッド部20側のカーカス40の導電率を効率的に高め得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0068】
本実施形態では、カーカス40(本体部41及び折り返し部42)は、カーカスコード40aと、カーカスコード40aに接触した周方向コード71, 72, 73とをゴム被覆することによって形成される。このため、周方向コード71, 72, 73とカーカスコード40aとが接触した状態を確実に維持し得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0069】
本実施形態では、チェーファー62は、導体によって形成された部分を有する。このため、ビード部60の導電率も高め得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0070】
本実施形態では、ベルトコード51a及びベルトコード52aがスチールなどの導体で形成されるとともに、同じく導体で形成された接続部45が、カーカスコード40aと、ベルトコード51a, 52aとを接続する。
【0071】
このため、カーカスコード40aと、ベルトコード51a, 52aとが導通し、カーカス40とベルト層50との間における導電率が高まる。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率を向上し得る。
【0072】
本実施形態では、上述したように、接続部45は、一方の交錯ベルトのベルトコードのみではなく、両方の交錯ベルトのベルトコード、具体的には、ベルトコード51a及びベルトコード52aと接続される。このため、交錯ベルト51と交錯ベルト52との間における導電率も高まる。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率を向上し得る。
【0073】
本実施形態では、接続部45は、トレッド部20のタイヤ幅方向における中央部に少なくとも備えられる。このため、送電ユニット210に近いトレッド部20側のカーカス40及びベルト層50の導電率を効率的に高め得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0074】
本実施形態では、接続部45は、タイヤ周方向において複数備えられる。このため、空気入りタイヤ10が道路200とタイヤ周方向において接地している領域に関わらず、カーカス40及びベルト層50の導電率を効率的に高め得る。特に、車両100が走行中でも、カーカス40及びベルト層50の導電率を高め得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率をさらに向上し得る。
【0075】
本実施形態では、接続部45は、タイヤ径方向に延びる線状の部材によって形成される。このため、同じく線状の部材であるカーカスコード40aと、ベルトコード51a, 52aとを確実に接続し得る。これにより、道路200側から供給される電力の伝送効率を長期間に亘って安定的に向上し得る。
【0076】
(6)その他の実施形態
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、周方向コード71, 72, 73が配置されていたが、周方向コードは、複数でなく、1本のみ配置されていてもよい。この場合、タイヤ赤道線CL付近に配置される周方向コード71を備えることが好ましいが、周方向コード71に限定されず、周方向コード72または周方向コード73が備えられてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、導体によって形成された部分を有するチェーファー62が備えられていたが、チェーファー62は、必ずしも導体によって形成された部分を有していなくても構わない。また、チェーファー62自体が備えられていなくても構わない。
【0079】
上述した実施形態では、接続部45は、交錯ベルトのベルトコードに接続されていたが、空気入りタイヤ10が交錯ベルト以外の補強ベルトなど備える場合、当該補強ベルトのベルトコードに接続されてもよい。
【0080】
上述した実施形態では、接続部45は、トレッド部のタイヤ幅方向における中央部に備えられるとともに、タイヤ周方向において複数備えられていたが、接続部45は、当該中央部以外に備えられてもよいし、一つのみ備えられていてもよい。
【0081】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0082】
1 車両給電システム
10 空気入りタイヤ
20 トレッド部
30 タイヤサイド部
40 カーカス
40a カーカスコード
41 本体部
42 折り返し部
45 接続部
50 ベルト層
51, 52 交錯ベルト
51a, 52a ベルトコード
60 ビード部
61 ビードコア
62 チェーファー
71, 72, 73 周方向コード
100 車両
110 リムホイール
120 車軸
130 整流回路
140 バッテリ
200 道路
210 送電ユニット
220 電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6