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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】偏光子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220804BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220804BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/30 102
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019508225
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017045305
(87)【国際公開番号】W WO2018034854
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/375,479
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー エー.ギレット
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ イー.ロックリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ブリアナ エヌ.ニーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン エム.ノヨラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エス.ペタジャ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ビー.ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ダブリュ.ハーゲン
【審査官】沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009063(JP,A)
【文献】特開2007-058176(JP,A)
【文献】特開2013-105036(JP,A)
【文献】特開2016-071371(JP,A)
【文献】特表2005-501757(JP,A)
【文献】特表2008-537796(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0080335(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向ポリマーの第1の層を含む偏光子の製造方法であって、前記配向ポリマーの第1の層が、ポリビニルアルコール及びホルムアルデヒド付加物型架橋剤を含む混合物から調製される吸収型偏光子であり、
ポリビニルアルコール及びホルムアルデヒド付加物型架橋剤の混合物を溶媒中に形成することであって、前記ホルムアルデヒド付加物型架橋剤の重量及び前記ポリビニルアルコールの重量の合計で除した、前記混合物に含まれる前記ホルムアルデヒド付加物型架橋剤の重量が、0.05~0.3の範囲内である、ことと、
前記混合物を第2の層上にコーティングすることと、
前記混合物を乾燥して前記溶媒を除去し、それによって乾燥コーティングを形成することと、
前記コーティングした第2の層を延伸して前記乾燥コーティングを配向し、それによって前記第2の層上に配置された前記配向ポリマーの第1の層を形成することと、を含み、
前記コーティングの後にホルムアルデヒド付加物型架橋剤が前記混合物に添加されず、
前記コーティングした第2の層を延伸することが、前記コーティングした第2の層の両側の縁部を保持しながら、前記コーティングした第2の層をストレッチャ内で機械方向に沿って搬送することと、広がる非線形経路に沿って前記両側の縁部を移動することにより、前記コーティングした第2の層を前記ストレッチャ内で延伸することを含み、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)に関してUが少なくとも0.85であり、ここで式中、MDDRは、機械方向延伸比であり、TDDRは、横方向延伸比である、製造方法。
【請求項2】
前記延伸の後に、前記第2の層上の前記延伸された乾燥コーティングを吸収性染料で染色することを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記配向ポリマーの第1の層が、二色性材料を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2の層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記延伸の後に、前記ポリマー多層光学フィルムが、反射偏光子を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマー多層光学フィルムが、少なくとも1つの二色性層を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
リターダが、前記配向ポリマーの第1の層の反対側の前記ポリマー多層光学フィルム上に配置される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記配向ポリマーの第1の層が、遮蔽軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの波長範囲で0.1パーセント未満の最小透過率、及び前記遮蔽軸に直交する透過軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの前記波長範囲で少なくとも75パーセントの最大透過率を有する、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
吸収型偏光子は、層中のポリビニルアルコール分子を整列させ、整列した層をヨウ素で染色するために、ポリビニルアルコール層を延伸することによって、調製することができる。そのような偏光子は、様々なディスプレイ用途に用いられてきた。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、配向ポリマーの第1の層を含む偏光子が提供される。配向ポリマーの第1の層は、ポリビニルアルコール及び架橋剤の総重量に基づいて、5~40重量%で混合物に架橋剤が含まれる、ポリビニルアルコール及び架橋剤を含有する混合物から調製可能である。配向ポリマーの第1の層は、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)に関してUが少なくとも0.85であるという点で、実質的に一軸延伸層であり、ここで式中、MDDRは、機械方向延伸比であり、TDDRは、横方向延伸比である。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、配向ポリマーの第1の層を有する偏光子の製造方法が提供される。この方法は、ポリビニルアルコール及び架橋剤の混合物を溶媒中に形成することと、第2の層上に混合物をコーティングすることと、混合物を乾燥させて溶媒を除去し、それによって乾燥コーティングを形成することと、コーティングされた第2の層を延伸して乾燥コーティングを配向させ、それによって配向ポリマーの第1の層を形成することと、を含む。架橋剤の重量及びポリビニルアルコールの重量の合計で除した、混合物に含まれる架橋剤の重量は、0.05~0.3の範囲内である。コーティングした第2の層を延伸することは、コーティングした第2の層の両側の縁部を保持しながら、コーティングした第2の層をストレッチャ内で機械方向に沿って搬送することと、広がる非線形経路に沿って両側の縁部を移動することにより、コーティングした第2の層をストレッチャ内で延伸することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】偏光子の断面図である。
図2】配向ポリマー層を形成するためのプロセスの図である。
図3】ストレッチャの概略的平面図である。
図4】ディスプレイの概略的断面図である。
図5】ディスプレイの概略的断面図である。
図6】ポリマー多層光学フィルムの断面図である。
図7】様々な偏光子に関する透過スペクトルのプロットである。
図8】様々な偏光子に関する透過スペクトルのプロットである。
図9】様々な偏光子に関する透過スペクトルのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0006】
吸収型偏光子は、従来、層中のPVA分子を整列させるために、ポリビニルアルコール(PVA又はPVOH)層を延伸し、整列した層をヨウ素で染色することによって、調製される。ヨウ素分子は、配向したPVA分子と整列している。整列方向に沿って偏光した(すなわち、偏光子の遮蔽軸に沿って偏光した)入射光は、ヨウ素によって吸収され又は部分的に吸収され、直交方向に沿って偏光した(すなわち、偏光子の透過軸に沿って偏光した)入射光は、偏光子を透過する又は部分的に透過する。
【0007】
別のタイプの偏光子は、遮蔽軸に沿って偏光した光に対して反射を提供し、遮蔽軸に直交する透過軸に沿って偏光した光を透過するように構成された交互ポリマー層を含む、ポリマー多層光学フィルムである。そのようなフィルムは、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に概ね記載されているように、交互の第1及び第2のタイプのポリマー層の積層体を押出し成形し、押出し成形した積層体を一軸又は略一軸に延伸して第1及び第2のタイプのポリマー層のうちの少なくとも1つを配向することにより、調製することができる。米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されたものなどの放物線ストレッチャ又はテンタ機が、複屈折層の一軸配向の度合いを向上するために使用されてきた。
【0008】
いくつかの場合には、ディスプレイ用途において、吸収型偏光子及び反射偏光子の両方を含むことが望ましいことがある。反射偏光子は、例えば、液晶ディスプレイ用途における偏光リサイクルに用いることができ、吸収型偏光子は、反射偏光子に追加して消光効率を向上させることができる。吸収型偏光子を反射偏光子と一体化することは、米国特許第6,096,375号(Ouderkirkら)、同第6,697,195号(Weberら)、同第7,826,009号(Weberら)、及び同6,111,697号(Kauschら)に記載されており、それらの特許文献のそれぞれは、本明細書に矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
本明細書によれば、好適な架橋剤をPVAに含めることにより製造された変性PVA層を含む偏光子は、変性PVA層が従来の線形テンタを用いて実現可能な配向より高度の一軸配向で配向される場合、向上した光学特性を与えることが見出されている。具体的には、好適な架橋剤をPVA層に含めること、及び広がる非線形経路に沿って両側の縁部を移動させる(例えば、層を実質的に一軸に配向するために放物線テンタを用いて)ことにより層を延伸し、吸収型偏光子を形成することの組合せは、対象の波長範囲の、かつ遮蔽軸に沿って偏光した垂直入射光の低い最小透過率(例えば、0.1パーセント未満)、及び対象の波長範囲の、かつ透過軸に沿って偏光した垂直入射光の高い最大透過率(例えば、75パーセントより大きい)を同時に実現することが見出されている。対象の波長範囲は、例えば、可視範囲(400nm~700nm)とすることができる、又は540m~640nmとすることができる。いくつかの実施形態では、吸収型偏光子は、少なくとも99.8パーセント又は少なくとも99.9パーセントの偏光効率(polarization efficiency)(PE)を有する。偏光効率は、式1によって与えられる:
【0010】
【数1】
ここで式中、MaxPassは、対象の波長範囲にわたる垂直入射での最大透過状態の透過率であり、MinBlockは、対象の波長範囲にわたる垂直入射での最小遮蔽状態の透過率である。
【0011】
図1は、基材120上に配置された配向ポリマーの第1の層110を含む偏光子100の概略断面図である。基材120は、第2の層122を含み、この第2の層122は、例えば、単一のポリマー層とすることができる、又は、例えば、ポリマー多層反射型偏光子とすることができるポリマー多層光学フィルムとすることができる。図示した実施形態では、基材120は、例えば、リターダ(例えば、四分の一波長リターダ)とすることができる追加の層124を更に含む。代替的実施形態では、追加の層124は、省略され、いくつかの場合では、第2の層122は、リターダである。任意選択的に省略することができるプライマ126は、配向ポリマーの第1の層110と第2の層122との間に配置される。プライマ126は、基材120の層と考えることができる、又は配向ポリマーの第1の層110と基材との間の層であると考えることができる。第3の層130は、第2の層122の反対側に配向ポリマーの第1の層110に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、第3の層130は、保護層、接着剤層、リターダ、若しくはそれらの組合せである、又はそれらを含む。代替的実施形態では、第3の層130は、省略される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の層122及び第3の層130のうちの1つ又は両方は、光学的に透明なポリマー層、又は複数の光学的に透明なポリマー層である。好適なポリマー層としては、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)(PET)、グリコール変性PET(glycol-modified PET)(PETg)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate)(PEN)、他のポリエステル又はコポリエステル、ポリカーボネート、及びそれらのコポリマーから製造されたものが挙げられる。
【0013】
リターダが層として偏光子に含まれた実施形態では、リターダは、対象の波長の1/4におおよそ等しい面内遅延を有する四分の一波長リターダとすることができる。対象の波長は、例えば、可視範囲(400nm~700nm)内の任意の波長とすることができる、又は550nmとすることができる。別途明記しない限り、四分の一波長リターダは、可視光波長の四分の一の面内遅延を有するリターダを指す。いくつかの実施形態では、100nm~175nm、又は125nm~150nmの面内遅延を有する四分の一波長リターダが、偏光子に使用される。いくつかの実施形態では、可視光波長の四分の一以外の面内遅延を有するリターダが使用される。例えば、半波長リターダ又は他のリターダを使用することができる。いくつかの実施形態では、100nm~350nm、又は200nm~350nmの面内遅延を有するリターダが、偏光子に使用される。層の面内遅延は、対象の波長での2つの直交する面内屈折率の間の差の絶対値に層の厚さをかけたものを指す。
【0014】
配向ポリマーの第1の層110は、波長範囲内の吸収を提供する、ヨウ素又は他の染料若しくは顔料などの、二色性材料を含む。波長範囲は、使用される染料及び/又は顔料のタイプに依存する。ディスプレイ用途では、波長範囲が可視範囲(400nm~700nm)又は可視範囲の少なくとも実質的部分(例えば、450nm~650nm)を含むことが典型的に望まれる。例えば、ヨウ素分子は、配向ポリマーの第1の層110内のポリビニルアルコール分子と整列し、したがって、直交する偏光の光に対して透過を可能にしながら配向方向に沿って偏光した光に対して強い吸収を提供する。例えば、図1のx-y-z座標を参照して、x軸は、配向ポリマーの第1の層110に対して遮蔽軸とすることができ、第2の層122が反射偏光子である実施形態では、第2の層122の遮蔽軸とすることもできる。同様に、y軸は、配向ポリマーの第1の層110に対して透過軸とすることができ、第2の層122が反射偏光子である実施形態では、第2の層122の透過軸とすることもできる。
【0015】
配向ポリマーの第1の層110は、ポリビニルアルコール及び架橋剤を含む混合物から調製可能である。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ポリビニルアルコール及び架橋剤の総重量に基づいて5~40重量パーセントで、又は5~30重量パーセントで混合物に含まれる。いくつかの実施形態では、ポリビニルアルコール及び架橋剤の混合物は、溶媒中で形成され、これは、第2の層上にコーティングされる。いくつかの実施形態では、ポリビニルアルコールの混合物は、溶媒中で固体の10~20重量パーセントに希釈される。いくつかの実施形態では、架橋剤の重量及びポリビニルアルコールの重量の合計で除した、混合物に含まれる架橋剤の重量は、0.05~0.3の範囲内である。いくつかの実施形態では、架橋剤は、メラミンホルムアルデヒド及び尿素ホルムアルデヒドなどの、1種又は複数種のホルムアルデヒド付加物を含む。
【0016】
図2は、配向ポリマーの第1の層210cを形成するためのプロセスを示す。配向ポリマーの第1の層210cは、混合物210aを第2の層220a上にコーティングすることと、混合物を乾燥して溶媒を除去し、それによって乾燥コーティング210bを第2の層222b(第2の層222aと同じとすることができる、又は乾燥プロセスによって変質させる(例えば、熱的に緩和させる)ことができる)上に形成すること(工程242)と、コーティングされた第2の層222bを実質的に一軸に延伸して乾燥コーティング210bを配向し、それによって配向ポリマーの第1の層210cを第2の層222c(延伸プロセスによって一般的に低減されることになる層の厚さ以外は第2の層222bと同じとすることができる、又は延伸プロセスによって変質させる(例えば、配向させる)ことができる)上に形成すること(工程244)と、により調製可能である。
【0017】
いくつかの実施形態では、混合物は、例えば、スライドダイコータを用いて単一の工程でプライマでコーティングされる。他の実施形態では、プライマは、第2の層220aの主面225上にコーティングされ、その後、混合物は、第2の層220aの下塗りされた表面上にコーティングされる。更に他の実施形態では、プライマは、使用されない。いくつかの実施形態では、第2の層220aの主面225は、プライマをコーティングする前に表面処理され、いくつかの実施形態では、第2の層220aの主面225は、表面処理され、混合物は、表面処理された表面上に直接コーティングされる。好適な表面処理としては、例えば、プラズマ処理又はコロナ処理が挙げられる。
【0018】
乾燥する工程242は、例えば、25℃~180℃、又は50℃~150℃、又は70℃~120℃、又は25℃~180℃の範囲内の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、混合物は、延伸する前に5分以下の間150℃を上回る温度である。いくつかの実施形態では、乾燥ポリビニルアルコール層は、延伸する前に1.5~15マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、プライマ層は、延伸する前に0.45~3マイクロメートルの厚さを有する。延伸する工程244は、例えば、25℃~180℃、又は50℃~180℃、又は110℃~180℃の範囲内の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、ポリビニルアルコール層は、延伸する工程の後で0.5~5マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、プライマ層は、延伸する工程の後で0.15~1マイクロメートルの厚さを有する。
【0019】
配向ポリマーの第1の層110又は210cは、ヨウ素などの吸収性染料で染色して、吸収型偏光子を提供することができる。配向ポリビニルアルコール層をヨウ素で染色して、吸収型偏光子を製造することは、当該技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,166,871号(Shuler)に概ね記載されている。配向層を染色することの代替として、コーティング及び延伸する前に、ポリビニルアルコール鎖と整列することができる染料又は顔料を混合物に添加して、配向層を形成することができる。いくつかの実施形態では、二色性染料を混合物に添加して、所望の波長範囲の吸収を提供する。
【0020】
図3は、コーティングされた第2の層300の両側の縁部300a及び300bを保持して、広がる非線形経路352a及び352bに沿って両側の縁部300a及び300bを移動することによりストレッチャ350内でコーティングされた第2の層300を延伸しながら、機械方向(図3のx-y-z座標を参照してy方向)に沿ってストレッチャ内でコーティングされた第2の層300を搬送するための、ストレッチャ350の概略図である。いくつかの実施形態では、配向ポリマーの第1の層110は、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)に関してUが少なくとも0.85であるという点で、実質的に一軸延伸層であり、ここで式中、MDDRは、機械方向(y方向)延伸比であり、TDDRは、横方向(x方向)延伸比である。いくつかの実施形態では、非線形経路352a及び352bは、放物線である。フィルムを実質的に一軸に延伸するように適応されたストレッチャに関する更なる詳細は、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されている。同特許文献は、参照により、本明細書に矛盾しない範囲で本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、層は、110℃~180℃又は130℃~170℃の範囲内の温度で、3~8又は4~7の範囲内のMDDRで延伸される。
【0021】
本明細書の偏光子は、様々なディスプレイ用途において有用である。図4は、第1の偏光子400とディスプレイパネル480とを含むディスプレイ490の概略断面図である。ディスプレイ490は、本明細書の他のところで更に説明するように、追加の偏光子を含むことができる。ディスプレイ490は、図4のx-y-z座標を参照してディスプレイ490のz方向に概ね配置された観察者に光を提供するように構成される。ディスプレイパネル480は、光出力面482を有し、第1の偏光子400は、光出力面482に隣接し、かつそれに面して配置される。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル480は、有機発光ダイオード(organic light emitting diode)(OLED)ディスプレイパネルであり、いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル480は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display)(LCD)パネルである。
【0022】
偏光子100に相当することができる第1の偏光子400は、例えば、配向ポリマーの第1の層410と、反射偏光子とすることができる第2の層422とを含み、例えば、リターダ(例えば、四分の一波長リターダ)とすることができる追加の層424を更に含む。代替的実施形態では、追加の層424は、省略され、いくつかの場合では、第2の層422は、リターダである。任意選択のプライマ426は、配向ポリマーの第1の層410と第2の層422との間に配置される。第3の層430は、第2の層422の反対側に配向ポリマーの第1の層410に隣接して配置される。任意選択のプライマ436は、配向ポリマーの第1の層410と第3の層430との間に配置される。いくつかの実施形態では、第3の層430は、保護層、接着剤層、リターダ、若しくはそれらの組合せである、又はそれらを含む。代替的実施形態では、第3の層430は、省略される。
【0023】
図5は、第1の偏光子500aと、第2の偏光子500bと、ディスプレイパネル580とを含む、ディスプレイ590の概略断面図である。ディスプレイ590は、図5のx-y-z座標を参照してディスプレイ590のz方向に概ね配置された観察者に光を提供するように構成される。ディスプレイパネル580は、光出力面582を有し、第1の偏光子500aは、光出力面582に隣接し、かつそれに面して配置される。ディスプレイパネル580はまた、光入力面584を有し、第2の偏光子500bは、光入力面584に隣接し、かつそれに面して配置される。第1の偏光子500aは、配向ポリマーの第1の層510aと、第2の層522aと、第3の層530aとを含む。第2の偏光子500bは、配向ポリマーの第1の層510bと、第2の層522bと、第3の層530bと、第4の層528bとを含む。層522a、530、522b、530b、及び528bのうちの1つ又は複数は、任意選択的に省略することができる。プライマ層は、図5に示す任意の2つの直接隣接する層の間に配置することができる。いくつかの実施形態では、第3の層530a及び/又は530bは、保護層、接着剤層、リターダ、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、第2の層522aは、反射偏光子又はリターダである。いくつかの実施形態では、第2の層522aは、四分の一波長リターダである。いくつかの実施形態では、第2の層522aは、反射偏光子及びリターダの両方を含む。いくつかの実施形態では、第2の層522bは、反射偏光子であり、第4の層528bは、四分の一波長リターダとすることができるリターダである。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル580は、LCDパネルなどの透過型空間光変調器である。
【0024】
配向ポリマーの第1の層は、ポリマー多層光学フィルムとすることができる第2の層上に配置することができる。図6は、複数の第2の層659と複数の交互する第1の層657を含むポリマー多層光学フィルム613の断面図である。いくつかの実施形態では、ポリマー多層光学フィルム613は、少なくとも1つの二色性層655を含み、この少なくとも1つの二色性層655は、図6に示すように外層とすることができる、又は交互層657及び659のうちの1つとすることができる。1つ又は複数の二色性層を含むポリマー多層光学フィルムは、米国特許第6,096,375号(Ouderkirkら)、同第6,697,195号(Weberら)、同第7,826,009号(Weberら)、及び同第6,111,697号(Kauschら)に更に記載されている。
【0025】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0026】
実施形態1は、配向ポリマーの第1の層を含む偏光子であって、配向ポリマーの第1の層が、ポリビニルアルコール及び架橋剤の混合物から調製可能であり、架橋剤が、ポリビニルアルコール及び架橋剤の総重量に基づいて5~40重量パーセントで混合物に含まれ、配向ポリマーの第1の層が、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)に関してUが少なくとも0.85であるという点で、実質的に一軸延伸層であり、ここで式中、MDDRは、機械方向延伸比であり、TDDRは、横方向延伸比である。
【0027】
実施形態2は、配向ポリマーの第1の層が、二色性材料を含む、実施形態1に記載の偏光子である。
【0028】
実施形態3は、二色性材料が、ヨウ素を含む、実施形態2に記載の偏光子である。
【0029】
実施形態4は、第2の層を更に含み、配向ポリマーの第1の層が、第2の層上に配置された、実施形態1に記載の偏光子である。
【0030】
実施形態5は、第3の層を更に含み、第3の層が、第2の層の反対側に配向ポリマーの第1の層に隣接した、実施形態4に記載の偏光子である。
【0031】
実施形態6は、第3の層が、保護層、接着剤層、リターダ、又はそれらの組合せを含む、実施形態5に記載の偏光子である。
【0032】
実施形態7は、第2の層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、実施形態5に記載の偏光子である。
【0033】
実施形態8は、第2の層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、実施形態4に記載の偏光子である。
【0034】
実施形態9は、ポリマー多層光学フィルムが、反射偏光子を含む、実施形態8に記載の偏光子である。
【0035】
実施形態10は、配向ポリマーの第1の層の遮蔽軸が、反射偏光子の遮蔽軸と整列した、実施形態9に記載の偏光子である。
【0036】
実施形態11は、ポリマー多層光学フィルムが、少なくとも1つの二色性層を含む、実施形態8に記載の偏光子である。
【0037】
実施形態12は、リターダが、配向ポリマーの第1の層の反対側のポリマー多層光学フィルム上に配置された、実施形態8に記載の偏光子である。
【0038】
実施形態13は、リターダが、四分の一波長リターダである、実施形態12に記載の偏光子である。
【0039】
実施形態14は、リターダが、ポリマー多層光学フィルムの反対側の配向ポリマーの第1の層上に配置された、実施形態8に記載の偏光子である。
【0040】
実施形態15は、リターダが、配向ポリマーの第1の層とポリマー多層光学フィルムとの間に配置された、実施形態8に記載の偏光子である。
【0041】
実施形態16は、配向ポリマーの第1の層と第2の層との間に配置されたプライマを更に含む、実施形態4に記載の偏光子である。
【0042】
実施形態17は、リターダが、配向ポリマーの第1の層上に配置された、実施形態1に記載の偏光子である。
【0043】
実施形態18は、リターダが、四分の一波長リターダである、実施形態17に記載の偏光子である。
【0044】
実施形態19aは、実施形態1~18のいずれか一項に記載の第1の偏光子を含むディスプレイである。
【0045】
実施形態19は、実施形態1に記載の第1の偏光子を含むディスプレイである。
【0046】
実施形態20は、光出力面を有するディスプレイパネルを更に含み、第1の偏光子が、光出力面に隣接して、かつそれに面して配置された、実施形態19に記載のディスプレイである。
【0047】
実施形態21は、第1の偏光子が、配向ポリマーの第1の層とディスプレイパネルとの間に配置されたリターダを更に含む、実施形態20に記載のディスプレイである。
【0048】
実施形態22は、リターダが、四分の一波長リターダである、実施形態21に記載のディスプレイである。
【0049】
実施形態23は、ディスプレイパネルが、有機発光ディスプレイパネルである、実施形態21に記載のディスプレイである。
【0050】
実施形態24は、第1の偏光子が、配向ポリマーの第1の層とディスプレイパネルとの間に配置された第2の層を含む、実施形態20に記載のディスプレイである。
【0051】
実施形態25は、第2の層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、実施形態24に記載のディスプレイである。
【0052】
実施形態26は、ポリマー多層光学フィルムが、反射偏光子を含む、実施形態25に記載のディスプレイである。
【0053】
実施形態27は、第1の偏光子が、リターダを更に含む、実施形態25に記載のディスプレイである。
【0054】
実施形態28は、ポリマー多層光学フィルムが、配向ポリマーの第1の層とリターダとの間に配置された、実施形態27に記載のディスプレイである。
【0055】
実施形態29は、リターダが、ポリマー多層光学フィルムと配向ポリマーの第1の層との間に配置された、実施形態27に記載のディスプレイである。
【0056】
実施形態30は、配向ポリマーの第1の層が、ポリマー多層光学フィルムとリターダとの間に配置された、実施形態27に記載のディスプレイである。
【0057】
実施形態31は、リターダが、四分の一波長リターダである、実施形態27に記載のディスプレイである。
【0058】
実施形態32は、第1の偏光子が、第3の層を更に含み、配向ポリマーの第1の層が、第3の層とディスプレイパネルとの間に配置された、実施形態20に記載のディスプレイである。
【0059】
実施形態33は、ディスプレイパネルの光入力面に隣接して、かつそれに面して配置された実施形態1に記載の第2の偏光子を更に含む、実施形態20のディスプレイである。
【0060】
実施形態34は、第2の偏光子が、第2の層、及び第2の層とディスプレイパネルとの間に配置された第3の層を含み、第2の偏光子の配向ポリマーの第1の層が、第2の偏光子の第2の層と第3の層との間に配置された、実施形態33に記載のディスプレイである。
【0061】
実施形態35は、第2の偏光子の第2の層が、ポリマー多層光学フィルムを含む、実施形態34に記載のディスプレイである。
【0062】
実施形態36は、ポリマー多層光学フィルムが、反射偏光子を含む、実施形態35に記載のディスプレイである。
【0063】
実施形態37は、第2の偏光子の第3の層が、保護層、接着剤層、リターダ、又はそれらの組合せを含む、実施形態34に記載のディスプレイである。
【0064】
実施形態38は、第2の偏光子が、ポリマー多層光学フィルムを含み、第2の偏光子の配向ポリマーの第1の層が、ディスプレイパネルとポリマー多層光学フィルムとの間に配置された、実施形態33に記載のディスプレイである。
【0065】
実施形態39は、第2の偏光子が、第2の偏光子の配向ポリマーの第1の層の反対側のポリマー多層光学フィルム上に配置されたリターダを更に含む、実施形態38に記載のディスプレイである。
【0066】
実施形態40は、リターダが、四分の一波長リターダである、実施形態39に記載のディスプレイである。
【0067】
実施形態41は、ポリマー多層光学フィルムが、反射偏光子を含む、実施形態39に記載のディスプレイである。
【0068】
実施形態42は、第1の偏光子が、ディスプレイパネルと第1の偏光子の配向ポリマーの第1の層との間に配置された第2の層を含む、実施形態33に記載のディスプレイである。
【0069】
実施形態43は、第1の偏光子の第2の層が、ポリマー多層光学フィルム及びリターダのうちの少なくとも1つを含む、実施形態42に記載のディスプレイである。
【0070】
実施形態44は、ディスプレイパネルが、液晶ディスプレイパネルである、実施形態33に記載のディスプレイである。
【0071】
実施形態45は、光入力面を有するディスプレイパネルを更に含み、第1の偏光子が、光入力面に隣接して、かつそれに面して配置された、実施形態19に記載のディスプレイである。
【0072】
実施形態46は、架橋剤が、1種又は複数種のホルムアルデヒド付加物を含む、実施形態1に記載の偏光子である。
【0073】
実施形態47は、架橋剤が、メラミンホルムアルデヒドを含み、かつ5~30重量パーセントで混合物に含まれた、実施形態1に記載の偏光子である。
【0074】
実施形態48は、架橋剤が、尿素ホルムアルデヒドを含み、かつ5~30重量パーセントで混合物に含まれた、実施形態1に記載の偏光子である。
【0075】
実施形態49は、配向ポリマーの第1の層が、遮蔽軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの波長範囲で0.1パーセント未満の最小透過率、及び遮蔽軸に直交する透過軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの波長範囲で少なくとも75パーセントの最大透過率を有する、実施形態1に記載の偏光子である。
【0076】
実施形態49bは、実施形態46~48のいずれか一項に記載の第1の偏光子を含むディスプレイである。
【0077】
実施形態50は、配向ポリマーの第1の層を含む偏光子の製造方法であって、
ポリビニルアルコール及び架橋剤の混合物を溶媒中に形成することであって、架橋剤の重量及びポリビニルアルコールの重量の合計で除した、混合物に含まれる架橋剤の重量が、0.05~0.3の範囲内である、混合物を溶媒中に形成することと、
混合物を第2の層上にコーティングすることと、
混合物を乾燥して溶媒を除去し、それによって乾燥コーティングを形成することと、
コーティングした第2の層を延伸して乾燥コーティングを配向し、それによって配向ポリマーの第1の層を形成することと、を含み、
コーティングした第2の層を延伸することが、コーティングした第2の層の両側の縁部を保持しながら、コーティングした第2の層をストレッチャ内で機械方向に沿って搬送することと、両側の縁部を広がる非線形経路に沿って移動することにより、コーティングした第2の層をストレッチャ内で延伸することとを含む。
【0078】
実施形態51は、非線形経路が、放物線経路である、実施形態50に記載の方法である。
【0079】
実施形態52は、延伸することが、コーティングした第2の層を機械方向にMDDRの延伸比で延伸することと、コーティングした第2の層を横方向にTDDRの延伸比で延伸することとを含み、U=(1/MDDR-1)/(TDDR1/2-1)が少なくとも0.85である、実施形態50に記載の方法である。
【0080】
実施形態53は、混合物が、二色性染料を更に含む、実施形態50に記載の方法である。
【0081】
実施形態54は、乾燥コーティングを染色することを更に含む、実施形態50に記載の方法である。
【0082】
実施形態55は、乾燥することが、25℃~180℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0083】
実施形態56は、乾燥することが、50℃~150℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0084】
実施形態57は、乾燥することが、70℃~120℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0085】
実施形態58は、延伸することが、25℃~180℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0086】
実施形態59は、延伸することが、50℃~180℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0087】
実施形態60は、延伸することが、110℃~180℃の範囲内の温度で行われる、実施形態50に記載の方法である。
【0088】
実施形態61は、混合物が、延伸する前に5分以下の間150℃を上回る温度である、実施形態50に記載の方法である。
【0089】
実施形態62は、架橋剤が、1種又は複数種のホルムアルデヒド付加物を含む、実施形態50に記載の方法である。
【0090】
実施形態63は、架橋剤が、メラミンホルムアルデヒドを含む、実施形態50に記載の方法である。
【0091】
実施形態64は、架橋剤が、尿素ホルムアルデヒドを含む、実施形態50に記載の方法である。
【0092】
実施形態65は、第2の層が、複数の交互ポリマー層を含む、実施形態50に記載の方法である。
【0093】
実施形態66は、延伸することの後で、第2の層が、反射偏光子を含む、実施形態65に記載の方法である。
【0094】
実施形態67は、コーティングすることが、プライマを第2の層の主面上に直接コーティングすることと、混合物をプライマ上にコーティングすることとを含む、実施形態50に記載の方法である。
【0095】
実施形態68は、プライマ及び混合物が、単一の工程でコーティングされる、実施形態67に記載の方法である。
【0096】
実施形態69は、プライマをコーティングする前に、第2の層の主面を表面処理することを更に含む、実施形態67に記載の方法である。
【0097】
実施形態70は、コーティングする前に、第2の層の主面を表面処理することを更に含み、コーティングすることが、混合物を主面上にコーティングすることを含む、実施形態50に記載の方法である。
【0098】
実施形態71は、配向ポリマーの第1の層が、遮蔽軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの波長範囲で0.1パーセント未満の最小透過率、及び遮蔽軸に直交する透過軸に沿って偏光した垂直入射光に対して540nm~640nmの波長範囲で少なくとも75パーセントの最大透過率を有する、実施形態50に記載の方法である。
【実施例
【0099】
実施例中の全ての部、百分率、比などは、別途断りのない限り、重量による。実施例で使用した材料を表1に記載する。使用した他の溶媒及び他の試薬は、別途明記しない限り、Sigma-Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手することができる。
【0100】
【表1】
【0101】
PVOHコーティング溶液
最初に温度制御ケトルを室温の水で充填することにより、POVAL 28-99グレードのポリビニルアルコール(PVOH又はPVA)の10%固形物溶液を水中で調製した。攪拌下で、PVOH樹脂を添加した。混合物を90~105℃まで加熱し、一定攪拌下で3時間、この温度で維持した。溶液を冷却させ、ケトルから排出した。冷却した溶液に、界面活性剤を溶液の0.1%添加した。ホルムアルデヒド付加物型架橋剤を、PVOH樹脂固形物を基準として5~40%濃度で混合しながら添加した。いくつかの試料では、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)(IPA)を、PVOH溶解プロセスに最大15%の濃度で混合した。PVOH溶液は、表2及び表3に要約した。
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
プライマコーティング溶液
表4に要約したようなプライマ溶液を調製した。溶液は、スルホン化ポリエステル溶液、コポリエステル分散体、及び架橋剤のブレンドを72.5:10.8:16.7の比で含んだ。樹脂ブレンドは、表4に示すように水で希釈し、界面活性剤を溶液の0.1%添加した。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例1:POVAL 28-99+20%CYMEL 327
吸収型偏光子フィルムを以下のように調製した。3層キャストフィルムを、ポリエステルフィルムに関する従来の方法でフィルムダイを通してチルロール上に材料の押出し成形によって最初に製造し、急冷した。2つの外層を、90/10 coPEN、90モル%のポリエチレンナフタレート(PEN)及び10モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリマーから形成し、中心層を、ポリカーボネート及びコポリエステルのブレンド(PC:coPET)から形成した。PC:coPETのモル比は、約42.5モル%のPC及び57.5モル%のcoPETであり、摂氏105度のTgを有した。キャストフィルムを急冷した後で、コロナ処理を適用し、続いて、プライマコーティング溶液、その後PVOHコーティング溶液をキャストウェブに直接塗布した。
【0107】
20重量%のCYMEL 327(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOHコーティング溶液を調製し、キャストウェブに塗布した。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、流量から計算されるように、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約2マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0108】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。染色プロセスは、以下のように行った。前駆体フィルムを、最初に、30℃で34秒の滞留時間の間、水中で60:1w/wの比のヨウ化カリウム及びヨウ素の染色浴に通した。染色浴の後で、前駆体フィルムを、60℃で70:30w/wの比のホウ酸及びホウ砂の水性ホウ素化浴を通した。フィルムを、この浴に42秒間晒した。最後に、前駆体フィルムを、室温に保持した水浴で24秒間洗滌し、あらゆる余分な塩を除去した。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0109】
偏光子の遮蔽状態の透過率は、架橋剤を含まない比較例5と比較して、約1から0.1%Tに抑制され、広げられ、その結果、偏光効率の向上をもたらした。
【0110】
実施例2:POVAL 28-99+20%CYMEL 328
以下に示すこと以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0111】
20重量%のCYMEL 328(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約2マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0112】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0113】
偏光子の遮蔽状態の透過率は、架橋剤を含まない比較例5と比較して、約1から0.1%T未満に抑制され、広げられ、その結果、偏光効率の向上をもたらした。
【0114】
実施例3:POVAL 28-99+10%GP4864
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0115】
10重量%のGP4864(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約2マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0116】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0117】
偏光子の遮蔽状態の透過率は、架橋剤を含まない比較例5と比較して、約1から0.05%T未満に抑制され、広げられ、その結果、偏光効率の向上をもたらした。
【0118】
実施例4:POVAL 28-99+30%GP4864
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0119】
30重量%のGP4864(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約2マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0120】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0121】
偏光子の遮蔽状態の透過率は、架橋剤を含まない比較例5と比較して、約1から0.01%T未満に抑制され、広げられ、その結果、偏光効率の向上をもたらした。
【0122】
比較例1:POVAL 28-99+20%CYMEL 327、標準テンタ
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0123】
20重量%のCYMEL 327(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングしたキャストを、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されているように標準テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約1マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0124】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0125】
結果として得られた偏光子の遮蔽状態の透過率は、わずかにより高い遮蔽状態及びスペクトル幅の狭まりを有する比較例6に対して利点を示さなかった。計算した偏光効率は、架橋剤を有さない比較例6のものより低かった。
【0126】
比較例2:POVAL 28-99+20%CYMEL 328、標準テンタ
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0127】
20重量%のCYMEL 328(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングしたキャストを、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されているように標準テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約1マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0128】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0129】
結果として得られた偏光子の遮蔽状態の透過率は、わずかにより高い遮蔽状態及びスペクトル幅の狭まりを有する比較例6に対して利点を示さなかった。計算した偏光効率は、架橋剤を有さない比較例6のものより低かった。
【0130】
比較例3:POVAL 28-99+10%GP4864、標準テンタ
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0131】
10重量%のGP4864(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングしたキャストを、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されているように標準テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、1マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0132】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0133】
結果として得られた偏光子の遮蔽状態の透過率は、わずかにより高い遮蔽状態を有する比較例6に対して利点を示さなかった。計算した偏光効率は、架橋剤を有さない比較例6のものより低かった。
【0134】
比較例4:POVAL 28-99+30%GP4864、標準テンタ
以下に示すような以外は実施例1におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0135】
30重量%のGP4864(PVOH樹脂固形物に対して)、10%のIPA、及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングしたキャストを、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されているように標準テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約1マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0136】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0137】
結果として得られた偏光子の遮蔽状態の透過率は、わずかにより高い遮蔽状態を有する比較例6に対して利点を示さなかった。計算した偏光効率は、架橋剤を有さない比較例6のものより低かった。
【0138】
比較例5:POVAL 28-99(放物線テンタでの基準)
以下のように基材を調製した。3層キャストフィルムを、ポリエステルフィルムに関する従来の方法でフィルムダイを通してチルロール上に材料の押出し成形によって最初に製造し、急冷した。キャストフィルムの2つの外層を、90/10 coPEN、90モル%のポリエチレンナフタレート(PEN)及び10モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリマーから形成し、中心層を、ポリカーボネート及びコポリエステルのブレンド(PC:coPET)から形成した。PC:coPETのモル比は、約42.5モル%のPC及び57.5モル%のcoPETであり、摂氏105度のTgを有した。キャストフィルムを急冷した後で、コロナ処理を適用し、続いて、プライマコーティング溶液、その後、10%のIPA及び0.1%の界面活性剤(合計溶液に対して)を含有するPVOHコーティング溶液をキャストウェブに直接塗布した。
【0139】
高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約2マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0140】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0141】
比較例6:POVAL 28-99制御、(標準テンタに対する基準)
以下に示すような以外は比較例5におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストウェブに塗布することにより、吸収型偏光子を製造した。
【0142】
コーティングの前に、キャストフィルムを、コロナ処理し、接着性を向上した。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ6.5マイクロメートル及び1.95マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングしたキャストを、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されているように標準テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約1マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約40マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0143】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0144】
比較例7:RP上のPOVAL 28-99制御
統合型吸収-反射型偏光子を、以下のとおり調製した。単一の多層光学パケットを、共押出し成形し、90/10 coPEN、90モル%のポリエチレンナフタレート(PEN)及び10モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリマー、及び、屈折率が約1.57であり、かつ一軸配向の際に実質的に等方性のままであるようにポリカーボネート及びコポリエステルのブレンド(PC:coPET)で製造された、低屈折率等方性層の275の交互層を含めた。PC:coPETのモル比は、約42.5モル%のPC及び57.5モル%のcoPETであり、摂氏105度のTgを有した。90/10 PEN及びPC:coPETのポリマーは、別個の押出機から多層共押出フィードブロックに供給し、275の交互光学層のパケットにPC:coPETの保護境界層をそれぞれの面上に加えた合計277層に組み立てた。この多層溶融物は次に、ポリエステルフィルムに関する従来の方法で、フィルムダイを通してチルロール上にキャスティングし、急冷した。キャストウェブに対して、ポリビニルアルコール(PVOH)コーティングを付着した。
【0145】
コーティングの前に、キャストフィルムをコロナ処理した。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ9マイクロメートル及び0.75マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約3マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約37マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0146】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0147】
実施例5:RP上の28-99+20%CYMEL 327
以下に示すような以外は比較例7におけるようにPVOHコーティング溶液をキャストフィルムに塗布することにより、統合型吸収-反射型偏光子を製造した。
【0148】
単一の多層光学パケットを、共押出し成形し、90/10 coPEN、90モル%のポリエチレンナフタレート(PEN)及び10モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)からなるポリマー、及び、屈折率が約1.57であり、かつ一軸配向の際に実質的に等方性のままであるようにポリカーボネート及びコポリエステルのブレンド(PC:coPET)で製造された、低屈折率等方性層の275の交互層を含めた。PC:coPETのモル比は、約42.5モル%のPC及び57.5モル%のcoPETであり、摂氏105度のTgを有した。90/10 PEN及びPC:coPETのポリマーは、別個の押出機から多層共押出フィードブロックに供給し、275の交互光学層のパケットにPC:coPETの保護境界層をそれぞれの面上に加えた合計277層に組み立てた。この多層溶融物は次に、ポリエステルフィルムに関する従来の方法で、フィルムダイを通してチルロール上にキャスティングし、急冷した。キャストウェブに対して、ポリビニルアルコール(PVOH)コーティングを付着した。
【0149】
20重量%のCYMEL 327(PVOH樹脂固形物に対して)を含有するPVOH溶液を調製し、キャストウェブにコーティングした。高温(45秒間、85℃)で溶媒を除去し、PVOH及びプライマ層に対してそれぞれ9マイクロメートル及び0.75マイクロメートルの乾燥コーティング厚さを得た。コーティングの後で、コーティングされたキャストを、米国特許出願公開第2007/0047080号(Stoverら)の実施例2Aに記載されているのと同様の温度及び延伸比で、米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されているように放物線テンタ内で延伸した。結果として得られた一体化した偏光子前駆体フィルムは、SolveTechによる静電容量式計器モデルPR2000によって測定されたように、約3マイクロメートルのPVOH層厚さを含めて約37マイクロメートルの物理的厚さを有した。
【0150】
前駆体フィルムを、水性ヨウ素染色浴プロセスにかけ、吸収型偏光子を得た。遮蔽状態及び透過状態の両方に対して、PerkinElmerからのLAMBDA 1050 UV/Vis/NIR Spectrophotometerを使用して、透過スペクトルを収集し、式1に従って偏光効率を計算した。
【0151】
偏光子の遮蔽状態の透過率は、架橋剤を含まない比較例7と比較して、抑制され、広げられ、その結果、偏光効率の向上をもたらした。
【0152】
標準テンタ、放物線テンタ、及び多層に対する架橋剤を有する及び有さない偏光子性能を比較する透過スペクトルは、それぞれ図7図8、及び図9で比較されている。標準テンタプロセスに対する透過スペクトル(比較例1~4対比較例6)を、図7に示す。この図から、架橋剤の添加で結果として得られるスペクトルに対してほとんど差がないことに気付く。放物線テンタプロセスに対する架橋剤を有する及び有さない偏光子性能を比較する透過スペクトル(実施例1~4対比較例5)を、図8に示す。放物線テンタプロセスで製造されたこれらの試料に関して、配合物への架橋剤の添加で明確な対比が存在した。多層フィルムの場合に対する架橋剤を有する及び有さない偏光子性能を比較する透過スペクトル(実施例5対比較例7)を、図9に示す。
【0153】
実施例に対する光学性能特性を、表5に要約する。比較例1~4からの結果を比較例6と比較すると、標準/従来の延伸するプロセスを用いた場合、架橋剤の添加での相違はほとんど示されていない。対照的に、実施例1~4の結果を比較例5と比較すると、架橋剤の添加で遮蔽状態の透過率(最小Tb%)及び偏光効率(最大PE%)に著しい影響を示している。
【0154】
【表5】
【0155】
図中の要素の説明は、特に指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のいかなる適合例又は変形例であっても包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9