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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】無機結合装置及び構造体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220804BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20220804BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20220804BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220804BHJP
【FI】
G02B5/20
B82Y40/00
C23C16/40
H01L33/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019523819
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017059954
(87)【国際公開番号】W WO2018085670
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2019-07-02
(31)【優先権主張番号】62/417,237
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/417,262
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/802,273
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】カムラス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バルドワジ,ジョティ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ペーター,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン,ニールス,イェルン
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100485(JP,A)
【文献】国際公開第2016/041838(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255683(US,A1)
【文献】特開2016-026404(JP,A)
【文献】特開2013-247067(JP,A)
【文献】特開平05-055622(JP,A)
【文献】特開2016-127199(JP,A)
【文献】特開2004-193581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0237762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
B82Y 40/00
C23C 16/40
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光粒子をコンポーネント上に堆積させて、前記発光粒子の複数の層を含む膜を形成するステップであって、前記発光粒子は、第1の波長の光を吸収し、それに応じて、第2の波長の光を発するように構成されている、ステップと、
低圧堆積技術を使用して、前記複数の発光粒子上に無機被覆を堆積させるステップであって、前記無機被覆は、前記複数の発光粒子を互いに及び前記コンポーネントに結合させる、ステップと、
前記コンポーネントの一部を除去して、前記コンポーネントを貫く開口部を作製するステップであって、前記開口部を光が通過して前記発光粒子の膜に直接入射することができるか、又は、前記開口部を通過する光を、前記発光粒子の膜から直接発することができる、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記無機被覆は酸化物被覆である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記発光粒子は量子ドットである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記低圧堆積技術は、原子層堆積技術である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
無機被覆の熱膨張係数は、前記複数の発光粒子及び前記コンポーネントのうちの1つの熱膨張係数と実質的に一致する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
無機被覆の屈折率が、前記複数の発光粒子及び前記コンポーネントのうちの1つの屈折率と実質的に一致する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/417,262号及び2016年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/417,237号、並びに、2017年11月2日に出願された米国非仮出願第15/802,273号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を参照により本出願において援用する。
【背景技術】
【0002】
従来技術を使用して、例えば、シリコーンに堆積又は結合される半導体デバイス中の発光粒子又は発光層は、有機バインダーの劣化から、より短い寿命を有する恐れがある。発光粒子が高温で共に焼結してセラミックを形成するか、又は、ガラスに組み込まれるよりコストの高いプロセスにおいてさえも、結果として生じる波長変換プレートは、典型的には、有機接着剤を用いて半導体デバイスに取り付けられ、有機接着剤は、高温、及び、例えば青色又はUV等の短波長光の高磁束密度での動作中に劣化及び変色し得る。その結果、従来技術を使用して発光粒子が堆積又は結合されたデバイスは、とうてい理想的とは言えない時間サイクルで交換する必要があり得る。加えて、従来技術を使用して結合された半導体デバイス以外の基板も、これらの望ましくない効果を経験し得る。従って、そのような技術は、発光粒子及び/又はセラミック層をデバイス及び他の基板に結合させることに関して言えば不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6,406,172号
【文献】米国特許第7,566,155号
【文献】米国特許第9,543,478号
【文献】米国特許第7,462,502号
【文献】米国特許第7,419,839号
【文献】米国特許第7,544,309号
【文献】米国特許第7,361,938号
【文献】米国特許第7,061,024号
【文献】米国特許第7,038,370号
【文献】米国特許第6,717,353号
【文献】米国特許第6,680,569号
【文献】米国特許出願第20060255710号
【文献】WO2016041838A1
【文献】米国特許第6,322,901号
【文献】WO2013171360A1
【非特許文献】
【0004】
【文献】Stober,W.,A.Fink,et al..“Controlled growth of monodisperse silica spheres in the micron size range.”Journal of Colloid and Interface Science 26(1):62-69
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様によると、複数の光散乱粒子及び/又は発光粒子をコンポーネント上に堆積させることができる。低圧堆積技術を使用して、無機被覆が、複数の光散乱粒子上に堆積されてもよい。光散乱粒子及び/又は発光粒子が、無機被覆によって別の光散乱粒子及び/又は発光粒子に結合するように、複数の光散乱粒子を共に結合させて、三次元膜を形成することができる。無機被覆は多数の層を含んでもよく、その層のうち1つ又は複数の層は酸化物被覆であってもよく、光散乱粒子及び/又は発光粒子は、沈降、電気泳動堆積(EPD)、刷り込み、又は分配等の技術を使用して堆積することができる。光散乱粒子及び/又は発光粒子は蛍光体粒子であってもよく、コンポーネントは、金属、基板、セラミック、半導体、絶縁体、又は、例えば発光ダイオード(LED)又はレーザー等の発光素子であってもよい。低圧堆積技術は、原子層堆積(ALD)技術であり得る。コンポーネントを除去又は部分的に除去して、三次元膜が1つの表面で光励起を受け、反対の表面から光を発するのを可能にすることができる。コンポーネントはまた、光の放射に対して透明であってもよく、除去されなくてもよい。コンポーネントはまた、熱伝導性であってもよい。コンポーネントはまた、光の放射に対して不透明であってもよく、反射的であってもよく、光励起は、光が発せられたのと同じ表面に受けられてもよい。コンポーネント自体が、LED又はレーザー等の励起源であってもよい。無機被覆の熱膨張係数(CTE)は、複数の光散乱粒子のCTE又はコンポーネントのCTEに実質的に一致させることができる。無機被覆の屈折率は、複数の光散乱粒子の屈折率又はコンポーネントの屈折率に実質的に一致させることができる。
【0006】
一実施形態によると、三次元膜は、第1の波長の光を受けることができる。三次元膜は、この光を吸収するか又は部分的に吸収し、第2の波長の光を発することができる。発せられる光は、第2の波長であってもよく、又は、第1の波長及び第2の波長の組み合わせであってもよい。
【0007】
一実施形態によると、多数の三次元膜を、例えば、リニアアレイ又はマトリクスアレイにおいて互いに隣接するように構成することができ、そのため、吸収材料又は反射材料等の分離層が、隣接する三次元膜の間に位置する。多数の三次元膜は個々の発光コンポーネントの上に配置されてもよく、それぞれの三次元膜が、例えば、クロストークを低減して、互いに無関係に光の放射を生成するように構成されるか、又は、互いから分離されるように、個々の発光コンポーネントは、例えば、個々に活性化することができる。或いは、発光画素を、レーザー又は電子ビーム等のラスター光源から励起することができる。そのような構成は、例えばアダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)等のオートモーティブライティング、カメラフラッシュ、又はディスプレイ等のシステムにおいて使用することができる。
【0008】
別の実施形態によると、コンポーネント及び/又はセラミック蛍光体層の表面は、粗面化することができるか又は溝を表面に加えさせることができる。無機被覆は、低圧堆積技術を使用して、粗面化されたか又は溝のある表面上に堆積されてもよく、無機被覆で2つのコンポーネントを共に結合する。
【0009】
開示される特定事項のさらなる理解を提供するために含まれる付随の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面はまた、開示される特定事項の実施形態を例示し、詳細な説明と共に、開示される特定事項の実施形態の原理を説明するのに役立つ。開示される特定事項及びそれが実行され得る種々の方法についての基本的な理解のために必要であり得るよりも詳細な構造的詳細を示す試みは行われていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1a】軸外励起を有する三次元膜によって吸収され且つ発せられる光の断面図である。
図1b】発光素子によって発せられ、三次元膜を通して吸収され且つ変換される光の断面図である。
図1c】三次元膜を通して吸収され且つ変換される光の断面図である。
図1d】スペーサ材料によって部分的に囲まれた三次元膜を通して吸収され且つ変換される光の断面図である。
図2】三次元膜の配列の上面断面図(top sectional view)である。
図3】無機被覆を介して結合された2つのコンポーネントを示した図である。
図4】照明装置の概略図である。
図5a】ゾル-ゲルの第1の被覆を有する発光粉末粒子の概略図である。
図5b】粒子状発光材料の一態様の概略図である。
図5c】粒子状発光材料の一態様の概略図である。
図5d】粒子状発光材料の一態様の概略図である。
図6a】ALD被覆の前(SiOのみ)及び後(SiO上にAl)の蛍光体粉末の劣化時間(時間単位)の関数として相対光出力(LO)を示した図であり;劣化条件:60℃/100%相対湿度:ALD-1:蛍光体上の20nmのAl;ALD-2:蛍光体上の40nmのAl;ALD-3:SiO被覆上に堆積された20nmのAl;SiO-1:蛍光体上のゾル-ゲルSiO被覆(ALD-3の基盤);である。
図6b】時間で表される劣化時間の関数として相対光出力(LO)を示した図(85℃/100%RH)であり;ALD-3:SiO被覆上の20nmのAl;ALD-4:薄いSiO層(<10nm)に堆積された20nmのAl/Taナノラミネート;ALD-5:SiO被覆に堆積された20nmのAl/Taナノラミネート;ALD-6:SiO被覆に堆積された20nmのAl/HfOナノラミネート;である。
図6c】時間で表される劣化時間の関数として相対光出力(LO)を示した図(85℃/100%RH)であり;ALD-3及びALD-6の試料は上記の通りであり;ALD-7:薄いSiO層(<10nm)上の20nmのAl/HfOナノラミネート、ナノラミネートの設計:4x[1.5nm Al/3.5nm HfO];ALD-8:薄いSiO層(<10nm)上の10nmのAl/HfOナノラミネート、ナノラミネートの設計:2x[1.5nm Al/3.5nm HfO];である。ゾル-ゲルSiO被覆は、一般に、特に指示がない限り、150~200nmの範囲の層厚を有する。<10nmの厚さで示される薄いSiO層は、一般に、約1~10nmの範囲の平均層厚を有することになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
無機被覆は、結合機構として使用することができ、さらに、粒子を共に結合して、粒子の充填密度及び間隙充填の程度に応じてある程度の多孔度を有し得る三次元膜を作製するために、発光体を含むコンポーネントに粒子を結合するために、コンポーネントを別のコンポーネントに結合するために、又は同様の目的のために、使用されてもよい。無機被覆は、信頼性の改善、コストの削減、透明又は半透明の膜の生成、熱膨張係数(CTE)の一致、又は屈折率等、代替物に比べて利益をもたらし得る。無機材料で被覆された粒子は、より高い耐湿性等のさらなる利益を経験し得る。
【0012】
開示される特定事項の実施形態によると、光散乱粒子(本明細書において発光粒子も含み、発光粒子とも呼ばれる)は、低圧堆積技術を使用して適用される無機被覆を介して共に結合されて、三次元膜を作製することができる。多孔性の三次元膜は、散乱膜であってもよく、さらに、独立していてもよく、又は、基板、発光素子、又はセラミック蛍光体等のコンポーネントに結合されてもよい。LED又はレーザーから等の光励起を含む励起が、三次元膜の全て又は一部を励起するために使用されてもよい。他の形態の励起には、電子ビーム源からのカソードルミネッセンス、X線源からのラジオルミネッセンス、又は印加された電磁場からのエレクトロルミネッセンスが含まれ得る。結果として、変換された発光は、励起が入ったのと同じ側から、又は、励起が入ったのとは異なる側から、三次元膜を出ることができる。発せられた光は、変換された発光、又は、変換された発光と光励起光との組み合わせであってもよく、好ましくは、発せられた光は、特定の演色評価数(Ra)と共に所望の相関色温度(CCT)を有する。さらに、三次元膜に入る光励起は、三次元膜の一部との相互作用による散乱効果を経験し得る。
【0013】
開示される特定事項の実施形態によると、複数の光散乱粒子は、粒子又は粒子の凝集に適用される無機被覆を介して結合されてもよい。粒子は、希土類イオン、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム(AlON)、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、キュービックジルコニア、ダイヤモンド、ガドリニウムガリウムガーネット(GGG)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、サファイア、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素(SiON)、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、及びテルル化亜鉛、ダイヤモンド、炭化ケイ素(SiC)、単結晶窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、又は、任意の透明の、半透明の、若しくは散乱のセラミック、光学ガラス、ハイインデックスガラス、サファイア、アルミナ、リン化ガリウム等のIII-V族半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、及びテルル化亜鉛等のII-VI族半導体、IV族半導体及び化合物、金属酸化物、金属フッ化物、以下:アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ビスマス、カルシウム、銅、ガリウム、ゲルマニウム、ランタン、鉛、ニオブ、りん、テルル、タリウム、チタン、タングステン、亜鉛又はジルコニウムのうちいずれかの酸化物、多結晶酸化アルミニウム(透明のアルミナ)、酸窒化アルミニウム(AlON)、キュービックジルコニア(CZ)、ガドリニウムガリウムガーネット(GGG)、リン化ガリウム(GaP)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、炭化ケイ素(SiC)、酸窒化ケイ素(SiON)、チタン酸ストロンチウム、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、硫化亜鉛(ZnS)、スピネル、Shott glass LaFN21、LaSFN35、LaF2、LaF3、LaF10、NZK7、NLAF21、LaSFN18、SF59、若しくはLaSF3、Ohara glass SLAM60若しくはSLAH51由来の活性化されたか又は活性化されていない蛍光体粒子等、1つ又は複数の適用可能な発光材料又は光散乱材料で構成されてもよく、さらに、窒化物発光材料、ガーネット発光材料、オルトケイ酸発光材料、SiAlON発光材料、アルミネート発光材料、酸窒化物発光材料、ハロゲン化物発光材料、オキシハロゲン化物発光材料、硫化物発光材料、及び/又はオキシ硫化物発光材料、並びに、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛から選ばれるコア材料を含む発光量子ドットを含んでもよく、さらに、SrLiAl:Eu(II)(ストロンチウム-リチウム-アルミニウム窒化物:ユウロピウム(II))クラス、又はそのいかなる組み合わせ:から選ばれてもよい。
【0014】
発光粒子又は光散乱粒子のサイズは、発光システム又は同様のシステムにおける粒子の適用に依存し得る。サイズは、ナノメートルから100μmのD50、又は1μmから50μmのD50、又は3μmから30μmのD50、又は5μmから25μmのD50、又は7μmから20μmのD50であってもよい。ここで、Dは粉末粒子の直径を表し、D50は直径の累積50%のポイント(又は50%のパス粒径(pass particle size))を意味し、さらに、平均粒径又は中位径とも呼ばれ得る。ナノサイズから5μmの蛍光体粒子は、マイクロLEDの画素のカバー度に適している可能性があるが、5から25μmの粒径が、ミリメートルの正方形領域又はそれ以上を有するより高性能のLEDにより適している。
【0015】
開示される特定事項の実施形態によると、複数の光散乱粒子は、コンポーネント上に堆積されてもよい。コンポーネントは、ダイヤモンド、炭化ケイ素(SiC)、単結晶窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、若しくは窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)、光学ガラス、ハイインデックスガラス、サファイア、ダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナ、リン化ガリウム等のIII-V族半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、及びテルル化亜鉛等のII-VI族半導体、IV族半導体及び化合物、金属酸化物、金属フッ化物、以下:アルミニウム、アンチモン、ヒ素、ビスマス、カルシウム、銅、ガリウム、ゲルマニウム、ランタン、鉛、ニオブ、りん、テルル、タリウム、チタン、タングステン、亜鉛又はジルコニウムのうちいずれかの酸化物、多結晶酸化アルミニウム(透明のアルミナ)、酸窒化アルミニウム(AlON)、キュービックジルコニア(CZ)、ガドリニウムガリウムガーネット(GGG)、リン化ガリウム(GaP)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、炭化ケイ素(SiC)、酸窒化ケイ素(SiON)、チタン酸ストロンチウム、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、硫化亜鉛(ZnS)、スピネル、Shott glass LaFN21、LaSFN35、LaF2、LaF3、LaF10、NZK7、NLAF21、LaSFN18、SF59、若しくはLaSF3、Ohara glass SLAM60若しくはSLAH51、若しくはその組み合わせ、酸窒化アルミニウム(AlON)、多結晶酸化アルミニウム(透明のアルミナ)、窒化アルミニウム、キュービックジルコニア、ダイヤモンド、窒化ガリウム、リン化ガリウム、サファイア、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、酸窒化ケイ素(SiON)、スピネル、硫化亜鉛、又は、テルル、鉛、タングステン、若しくは亜鉛の酸化物等、1つ又は複数の適用可能な材料で構成され得る。コンポーネントは、金属、基板、セラミック、半導体、発光素子、又は絶縁体等、いかなる適用可能なコンポーネントであってもよい。
【0016】
粒子は、沈降、EPD、刷り込み、又は揮発性媒体における分配等、任意の適用可能な技術を使用して堆積させることができる。
【0017】
開示される特定事項の実施形態によると、無機被覆は、複数の光散乱粒子に適用され得る。被覆材料は、光散乱粒子又は基板を構成することができる同じ材料のリスト、又は、酸化アルミニウムAl、酸化ハフニウムHfO、酸化タンタルTa、酸化チタンTiO、酸化ジルコニウムZrO、又は別の透明の酸化物等、他の適用可能な材料から選択することができる。被覆は、単一層であってもよく、又は、同じ又は異なる材料の多層であってもよく、原子層堆積(ALD)プロセスを介して等、気相から堆積によって粒子表面にて材料を堆積することによって適用されてもよい。原子層堆積は、粉末粒子上に様々な無機材料の薄いコンフォーマル被覆を堆積させるのに適した方法であり得る。例えば、ALD被覆プロセスの間に粒子を流動化する方法を使用して、被覆の質の低下をもたらす粒子と粒子の凝集を防ぐことにより、被覆の質を改善することができる。
【0018】
被覆は、酸化物、窒化物、炭化物、ヒ化物、リン化物、フッ化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、金属、単一元素、又はテルルガラスであってもよい。被覆は、粒子又は基板について列挙された材料又は材料の組み合わせのいずれかであってもよい。無機被覆の厚さは、無機被覆によって結合される光散乱粒子のサイズによって少なくとも部分的に決定することができる。粒子が大きいほど、より厚い無機被覆を必要とし、従って、粒子が小さいほど、より薄い無機被覆をもたらし得る。実施形態によると、無機被覆は、約3オングストロームの1つの単一層と同じくらいの薄さから、ミクロンの1/10である1000オングストロームほどの厚さであってもよく、ミクロンの1/10から1ミクロンであってもよく、又は1ミクロンから10ミクロンであってもよい。
【0019】
図1a~1dにおいて示されているように、複数の光散乱粒子131は、複数の粒子上に堆積された無機被覆132によって共に結合されてもよい。CVD、低圧CVD、又はALD等、被覆材料が深くまで浸透する大きな拡散距離を有する低圧又は低分圧堆積を使用して粒子を結合することができる。無機被覆は、独立した三次元膜において、又は、基板若しくはLED等のコンポーネント上で、複数の粒子を共に結合する結合をもたらし得る。無機被覆はまた、三次元粒子膜を、基板又はLED等のコンポーネントに結合させることができる。
【0020】
図1bにおいて示されているように、三次元膜125を生成するために無機被覆132を介して共に結合された光散乱粒子131は、LED160上にあってもよい。LED160は、発光層又は領域161から光171a及び171bを発することができ、光は、三次元膜125を横断し、LED160と反対の表面から出る。独特の矢印を介して示されているように、LED160によって発せられる光の一部171aは、光散乱粒子131によって吸収されてもよく、光の一部171bは、光散乱粒子によって吸収されることなく、三次元膜125を通過し得る。発光散乱粒子131によって吸収される光171aは、発光粒子又は蛍光体によって異なる波長光に変換され得る。変換された光170cは、光170cが光171bと組み合わされて装置の発光を形成し、組み合わされた光が三次元膜125からの所望の光の放射となるように、三次元膜125を出ることができる。例えば、LEDによって発せられる青色光の一部を黄色に変換することができ、青色光と黄色光とを組み合わせることによって、光が白色に見えるようになる。赤色に変換するさらなる蛍光体を、より温かみのある白色(より低いCCT)及びより良い演色(より高いRa)のために添加してもよい。或いは、紫外線LEDを青色及び黄色の蛍光体と共に使用することができ、ここで紫外線は完全に吸収される。第3の赤色の蛍光体も、より温かみのある白色及びより良い演色のために添加することができる。アンバーLED装置は、アンバー発光への完全波長変換のために青色又はUV LEDと共にアンバー蛍光体を使用することによって作製することができる。
【0021】
実施態様によると、無機被覆の一部は、2つの粒子A及びBを両方被覆し、且つ、それらを共に結合するように、粒子A及び粒子Bと接触することができる。或いは、開示される特定事項の実施形態によると、三次元膜の一部は、基板を含むコンポーネント上に置かれてもよく、膜の別の部分は独立していてもよい。膜のうち独立している部分は、光励起が一方の側から入り、発光がもう一方の側から逃げるのを可能にし得る。例えば、多数の領域が除去された基板、及び、隙間のできた領域にかかる膜の独立している部分の上に、画素のアレイが形成されてもよい。例示的な例では、図1cにおいて示されているように、基板135の一部を除去して、間隙165を作製することができる。三次元膜125は、基板135の残りの部分の上に置かれてもよい。光励起185は、基板の片側に位置する発光素子から三次元膜に向かって送ることができる。光励起185は、三次元膜125の結合粒子131によって少なくとも部分的に吸収されてもよく、光の放射180は、光励起185が三次元膜125に入った側とは反対の側から三次元膜125を出ることができる。基板は、例えば、銀又はアルミニウム等の金属等、熱伝導性で反射性のものであってもよく、又は、窒化ホウ素等の拡散反射材料であってもよい。或いは、基板は、熱分解グラファイト等の熱伝導性で吸収性の材料であってもよい。良好な熱伝導率を有する反射性又は吸収性の基板を有することは、高い光パワー密度を有するラスター走査レーザーシステムにおける画素間のクロストークを減らすのに有用であり得る。或いは、図1dにおいて示されているように、光散乱粒子/発光粒子は、135を有する基板136の凹部137に堆積することができ、任意的に、基板135の反対側の少なくとも一部分を除去して、放射を送るために三次元膜を曝露することができ、さもなければ、前者の場合、励起放射は同じ側に導入され得る。この場合、基板136又は135に取り付けられたスペーサ又は分離材料136の材料は反射性又は吸収性であってもよく、基板135又は基板135に取り付けられたスペーサ材料は、反射性又は吸収性であってもよい。材料136及び135は、その中に形成される凹部又は空洞137と同じであってもよく、例えば、135/136は、その中に凹部137がエッチングされたシリコンウェハであってもよい。或いは、136は、135上の同じ又は異なる材料のさらなる層であり得る。例えば、基板135は、窒化ホウ素であってもよく、スペーサ又は分離材料136は、基板135への配置の前又は後に形成される凹部又は空洞137を有する熱分解グラファイトの層である。
【0022】
上記の実施形態において提供されたように、光散乱粒子は、無機被覆を介して結合されることに先立ちコンポーネント上に配置されてもよく、又は、無機被覆を介して結合され、次に、コンポーネント上に堆積されてもよいということが当業者によって理解されることになる。別の実施形態では、粒子は、最初に被覆され、次に、共に結合して凝集体となり得る。これは、後のALD被覆で行うことができ、又は、本来の被覆が十分に低い軟化温度を有する場合、熱処理によって、被覆された粒子を共に結合させることができる。
【0023】
三次元膜は、第1の波長の光を受けるように構成されてもよい。1つ又は複数の光散乱粒子/発光粒子によるこの励起光の吸収の結果として、受けた光の一部は、第2の波長を有する異なる光に変換され得る。三次元膜若しくは粒子、又はその両方の特性に応じて、光の放射は、第2の波長の光、又は、(例えば、本来の光が、三次元膜中の粒子によって吸収されず、膜を通過したか又は膜を介して反射された場合の)第1の波長と第2の波長との組み合わせである光を有してもよい。一例として、三次元膜は青色光を受けることができ、三次元膜は青色光の一部を変換して黄色光を発することができる。三次元膜を通る総合的な光の放射は、青色光と変換された黄色光との組み合わせであってもよく、結果として効果的な白色光を提供する。
【0024】
被覆の熱膨張係数(CTE)は、光散乱粒子の熱膨張係数とほぼ一致し得る。或いは又は加えて、被覆のCTEは、本明細書において開示されているように、粒子が配置されるか、又は、共に無機被覆が使用されて三次元膜又は他のコンポーネントとの結合を形成するコンポーネントの熱膨張係数とほぼ一致していてもよい。
【0025】
被覆の屈折率は、光散乱粒子又は発光粒子の屈折率とほぼ一致していてもよい。或いは又は加えて、被覆の屈折率は、本明細書において開示されているように、粒子が配置されるか、又は、共に無機被覆が使用されて三次元膜又は他のコンポーネントとの結合を形成する透明なコンポーネントの屈折率とほぼ一致していてもよい。或いは、被覆の屈折率は、光散乱粒子又は発光粒子の屈折率よりも低くてもよい。この場合、凝集体中の個々の粒子は、その散乱特性の一部を保持する。被覆の屈折率が粒子と一致する場合、個々の粒子の散乱が失われ、多孔性の三次元膜の散乱特性が顕著な散乱機構になる。ガーネット蛍光体及びニトリドシリケート蛍光体等、多数の粒子材料が使用される場合、被覆の屈折率はガーネットの屈折率と一致し得るが、ニトリドシリケート蛍光体は、そのより高い屈折率のために、依然として散乱し得る。例えば、アルミナ被覆は、約1.8のガーネット蛍光体(緑色又は黄色)にほぼ一致する屈折率を有することになるが、ニトリドシリケート蛍光体(赤色)の屈折率は約2.2である。
【0026】
開示される特定事項の実施形態によると、スペーサ又は分離層が各画素を分離するように、多数の三次元膜が互いに隣接して配置されてもよい。分離層は、例えば、吸収層又は反射層であってもよく、低いクロストーク及び高い効率で高コントラストになるように構成されてもよい。吸収層は、シリコン又は熱分解グラファイト等、任意の適用可能な吸収材料で構成されてもよく、反射層は、スペキュラシルバー、拡散反射性窒化ホウ素、例えばTiOを積載するシリコーン、エポキシ成形化合物、又は他の白色成形化合物等、任意の適用可能な反射材料であってもよい。一例として、図2において示されているように、多数の三次元膜230は、マトリクス又は画素化されたパターン210で配置されてもよい。反射層又は吸収層220は各膜を分離することができ、図1dの断面におけるスペーサ又は基板でもあり得る。反射層又は吸収層は、多数の三次元膜によって発せられた光を互いに分離して保ち、さらに、減ったクロストークで画素化されたパターンを視覚的に維持するのに役立ち得る。一実施形態によると、多数の発光素子は、分離層によって分離される多数の三次元膜の下に置かれてもよい。多数の素子は、個々にアドレス可能であってもよく、1つ又は複数の三次元膜を通る光の放射をより明確に制御することができるように活性化される場合、1つ又は複数の特定の画素膜に向かって光を発してもよい。一例として、オートモーティブヘッドライトが、画素パターン化されたグループの三次元膜の下に配置される多数のLEDを有してもよく、これらは、分離材料によって互いに分離される。マトリクスは、カメラフラッシュに対して2、3、5、何十から何百の画素を有してもよい。マトリクスは、例えば、自動車のアダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)に対して1000、5000、又は10000画素を有してもよく、さらに、ディスプレイに対してはこの数の何倍もの画素を有し得る。何百万もの画素がある用途に対して必要とされる場合、ラスター走査レーザーを使用することができる。ラスター走査は、微小電気機械システム(MEMS)ベースのミラーを用いて、又は、音響光学リフレクタ又はデフレクタを用いて達成することができる。対向車両及び同じ方向に進む前の車両のドライバーが見えなくならない又は目がくらまないように、車両が高負荷をかけられ、丘を登る又は谷を降り、荒れた道路又は波打つ道路を横断し、カーブ及びターンのあたりでビームを操縦し、照明において穴を開ける投影パターンをもたらす場合に、AFSを、ヘッドランプのビームを平らにするために使用することができる。特許文献1及び2は、その全内容が参照により本明細書に援用される。例えば、三次元膜の左側の列及びその下のそれぞれのLEDは、オフになるように初期化されてもよい。自動車のステアリングホイールを反時計回りに30%以上回転させる信号を受信すると、三次元膜の左側の列の下のLEDをオンに切り替えて、三次元膜の左側の列に向かって光を発することができる。三次元膜の左側の列は、発せられた光が、ステアリングホイールの回転のうち反時計回りの30%の移動に到達する前にヘッドライトによって本来照射されていた現場よりもさらに左の現場を照射するように、光励起を受け、自動車のヘッドライトから光を発することができる。そのような構成を使用する利点は、ヘッドライトが、回転ベースの照射を提供するために可動コンポーネントを有する必要がないということである。AFSシステムは、上述のシンプルなシステムよりもはるかに複雑であり得、カメラ、光検出及び測距(LiDAR)、画像プロセッサ、及びコントローラを利用し得る。赤外線(IR)LED又は垂直共振器面発光型レーザー(VCSELs)は、センサ及び検出器に補足的な光及び情報を提供することができる。そのような画像検出及び処理のシステムは、道路トポロジを予測し、車両及び歩行者の交通を感じて、車両ドライバーに最適な照明を提供することができる。車両間の、インフラストラクチャへの、歩行者への、ターゲットへの、又はオブジェクトへの(V2X)通信を使用して、位置、速度、車両タイプ及び寸法等を、アダプティブ・フロント、リア、サイド・エクステリア・ライティング・システムに提供することができる。所望の熱伝導率を有するコンポーネント、例えば、ダイヤモンド、銅、銀、又はその組み合わせをヒートシンクとして使用することができる。本明細書において提供される例では、所望の熱伝導率を有する基板が、オートモーティブレーザーヘッドランプ又は他のアダプティブ・ライティング・システムのヒートシンクとして使用されてもよく、それは、蛍光体等の光散乱粒子/発光粒子が、レーザービームによる高いパワー密度で励起されて、ヒートシンクに対するニーズを生じさせ得るためである。パラボリックリフレクタ及びイメージングレンズ等の二次光学系(Secondary optics)が利用されてもよい。マトリクス又は画素化された光源が反射平面表面上に置かれてもよく、ハーフパラボリックリフレクタがその反射平面表面を覆い、イメージング又はプロジェクタレンズが反射された光の光路内にある。
【0027】
開示される特定事項の実施形態によると、反射性被覆が、三次元膜の片側又は両側と接触していてもよく、又は、三次元膜の片側又は両側の光路内にあってもよい。一例として、反射性及び熱伝導性のミラーを、三次元膜と基板との間に配置することができる。図1aにおいて示されているように、光140は、結合した蛍光体粒子131を含む三次元膜125に向かって発せられてもよい。光の少なくとも一部の波長は、三次元膜125内で変換されてもよく、光は、基板135の上部にわたって配置された反射層115に達してもよい。光は、反射層115から反射されて、入ってきたのと同じ側から三次元膜を出ることができる。同様に、波長選択フィルタ等のフィルタが、三次元膜の片側又は両側と接触していてもよく、又は、三次元膜の片側又は両側の光路内にあってもよい。一例として、三次元膜125の放射が出る面又は放射側のフィルタ(図示せず)は、青色光をより反射し、緑色、黄色及び赤色の光等のより長い波長の光をより透過し得る。所望の結果に基づき、このフィルタを使用して光にフィルタをかけることによって、波長変換効率を改善することができる。特許文献3の全体を参照により本明細書に援用する。反射性被覆及び/又はフィルタは、分布ブラッグ反射器(DBR)、又は、絶縁誘電体等の異なる屈折率材料の交互層から作製されるダイクロイックであってもよい。反射性被覆及び/又はフィルタはまた、銀(Ag)から少なくとも部分的に作製されたもの等の金属層を含んでもよく、さらに、TiW又はTiWNxの層等、さらなる金属酸化物又は絶縁誘電体を含み得る。例えばネオジムNd被覆等のバンドパスフィルタが使用されてもよい。DBR又はダイクロイックフィルタの一例は、Nb、SiO、TiO、及びいかなる他の適した材料の交互層であってもよい。厚さは、一部の実施形態では少なくとも10nm、一部の実施形態では5ミクロン以下の厚さ、一部の実施形態では少なくとも1ミクロンの厚さ、さらに、一部の実施形態では2ミクロン以下の厚さであり得る。層の総数は、一部の実施態様では少なくとも2層、一部の実施態様では50層以下、一部の実施態様では少なくとも10層、さらに、一部の実施態様では30層以下であり得る。各層は、同じ厚さであってもよく、又は、異なる厚さの層が使用されてもよい。フィルタは、スパッタリング、プラズマ蒸着、化学蒸着、及び蒸着を含む任意の適した技術によって蒸着することができる。フィルタは、励起源と三次元コンバータ膜との間、これらの表面が異なる場合には三次元コンバータ膜の放射側、又は三次元コンバータ膜の片側若しくは両側にあってもよい。非常に高輝度(小さなエテンデュ)の用途では、三次元コンバータ膜の大きな上部及び/又は下部領域をポンピングし、他のポンピングしていない表面は、反射器及び放射を1つ又は複数のエッジから抽出させることができる。
【0028】
開示される特定事項の実施形態によると、本明細書において記載される無機被覆は、コンポーネントを別のコンポーネントに結合させることができ、コンポーネントは、基板、LED、セラミック蛍光体、セラミック、金属、絶縁体、半導体、又は他の発光素子等であり得る。結合しているコンポーネントの片側又は両側の表面は、無機被覆の前駆体がコンポーネントの結合領域により容易にアクセスするのを可能にするように処理することができる。この処理は、無機被覆が結合することになる一方又は両方のコンポーネントの表面の粗面化であってもよい。或いは又は加えて、無機被覆が表面に侵入するのを可能にするために、一方又は両方のコンポーネントの表面に溝が加えられてもよい。一例として、セラミック蛍光体は、発光体若しくは別のセラミック蛍光体に、又は基板に結合させることができる。セラミック蛍光体の熱膨張係数(CTE)及び/又は屈折率は、セラミック蛍光体に結合しているコンポーネントの熱膨張係数及び/又は屈折率とほぼ一致していてもよい。表面粗さ及び/又は溝は、ALD被覆が侵入するのを可能にするように、結合されることになる表面のうち1つ又は複数の表面上に形成されてもよい。
【0029】
図3において示されているように、基板310は、無機被覆320を介してセラミック蛍光体プレート330に結合されてもよい。共に結合されることになる2つの表面は、基板310に対応する表面315及びセラミック蛍光体プレート330に対応する表面335を粗面化することができるように処理されてもよい。粗面化表面は、ALDプロセスの間、無機被覆320がそれぞれの結合表面全体に侵入するのを可能にし得る。処理プロセスの後、無機被覆320は、ALDプロセス等の低圧堆積技術を介して2つの表面315及び335に適用されてもよい。次に、無機被覆は、2つの表面315及び335を共に結合させ、基板310が無機被覆を介してセラミック蛍光体プレート330に結合される構造が結果として生じる。
【0030】
開示される特定事項の実施形態によると、セラミック蛍光体プレートは、YAl12:Ce3+で構成することができる。セラミック蛍光体プレートは、一般式(Ca1-x-y-zSrBaMg1-n(Al1-a+b)Si1-b3-b:REn3のアンバーから赤色発光希土類金属活性化オキソニトリドアルモシリケートであってもよく、ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、0≦b≦1及び0.002≦n≦0.2であり、REはユウロピウム(II)及びセリウム(III)から選択することができる。セラミック蛍光体プレート中の蛍光体は、一般式EA2-zSi5-a8-a:Lnのオキシドニトリドシリケートであってもよく、ここで、0≦z≦1及び0<a<5であり、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnを含む群から選択される少なくとも1つの元素EA、及び、Al、Ga及びInを含む群から選択される少なくとも1つの元素Bが含まれ、セリウム、ユウロピウム、テルビウム、プラセオジム及びその混合物を含む群から選択されるランタニド(Ln)によって活性化される。
【0031】
セラミック蛍光体プレートはまた、黄色-緑色の範囲の光を発するLuAl12:Ce3+及びYAl12:Ce3+等、一般式(Lu1-x-y-a-bGd(Al1-zGa12:CePr、0<x<1、0<y<1、0≦z≦0.1、0<a≦0.2及び0≦b≦0.1;及び、赤色の範囲の光を発するSrSi:Eu2+等、(Sr1-x-yBaCa2-zSi5-aAl8-a:Eu 2+、0≦a<5、0≦x≦1、0≦y≦1、及び0≦z≦1;を有するアルミニウムガーネット蛍光体であってもよい。SrSi:Eu2+を含む(Sr1-a-bCaBa)Si:Eu 2+;(a=0.002-0.2、b=0.0-0.25、c=0.0-0.25、x=1.5-2.5、y=1.5-2.5、z=1.5-2.5);CaS:Eu2+及びSrS:Eu2+を含む、例えばSrGa:Eu2+;Sr1-xBaSiO:Eu2+;及び(Ca1-vSr)S:Eu2+;等を含む(Sr1-u-v-xMgCaBa)(Ga2-y-zAlIn):Eu2+、0≦x≦1;を含む他の緑色、黄色及び赤色を発する蛍光体も適し得る。他の適した蛍光体は、CaAlSiN:Eu2+、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+、及び(Sr,Ca,Mg,Ba,Zn)(Al,B,In,Ga)(Si,Ge)N:Eu2+を含む。
【0032】
セラミック蛍光体プレートはまた、一般式(Sr1-a-bCaBaMgZn)Si:Eu 2+を有してもよく、ここで、0.002≦a≦0.2、0.0≦b≦0.25、0.0≦c≦0.25、0.0≦d≦0.25、0.0≦e≦0.25、1.5≦x≦2.5、1.5≦y≦2.5及び1.5≦z≦2.5である。セラミック蛍光体プレートはまた、MmAaBbOoNn:Zzの一般式を有してもよく、ここで、要素Mは1つ又は複数の二価元素であり、要素Aは1つ又は複数の三価元素であり、要素Bは1つ又は複数の四価元素であり、Oは、任意であり且つ蛍光体プレート内になくてもよい酸素であり、Nは窒素であり、要素Zは活性化剤であり、n=2/3m+a+4/3b-2/3oであり、ここで、m、a、bは全て1であり得、oは0であり得、nは3であり得る。Mは、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、及びZn(亜鉛)から選択される1つ又は複数の元素であり、要素Aは、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、及びGa(ガリウム)から選択される1つ又は複数の元素であり、要素Bは、Si(シリコン)及び/又はGe(ゲルマニウム)であり、要素Zは、希土類又は遷移金属から選択される1つ又は複数の元素である。要素Zは、Eu(ユーロピウム)、Mg(マンガン)、Sm(サマリウム)及びCe(セリウム)から選択される少なくとも1つ又は複数の元素である。要素AはAl(アルミニウム)であり得、要素BはSi(シリコン)であり得、要素ZはEu(ユーロピウム)であり得る。
【0033】
セラミック蛍光体プレートはまた、式(Sr1-a-bCaBa)Si:Euを有するEu2+により活性化されるSr-SiONであってもよく、ここで、a=0.002-0.2、b=0.0-0.25、c=0.0-0.25、x=1.5-2.5、y=1.5-2.5である。
【0034】
セラミック蛍光体プレートはまた、化学的に改変されたCe:Ceをドープすることによって生成されるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体:プラセオジム(Pr)の三価イオンを有するYAG蛍光体:であってもよい。セラミック蛍光体プレートは、主要な蛍光材料及び補足的な蛍光材料を含んでもよい。主要な蛍光材料は、Ce:YAG蛍光体であってもよく、補足的な蛍光材料は、ユウロピウム(Eu)により活性化される硫化ストロンチウム(SrS)蛍光体(「Eu:SrS」)であってもよい。主要な蛍光材料はまた、Ce:YAG蛍光体又は任意の他の適した黄色を発する蛍光体:であってもよく、補足的な蛍光材料はまた、ユウロピウムで活性化される硫化カルシウム(CaS)及び硫化ストロンチウム(SrS)の混合三元結晶材料((CaSr1_x)S:Eu2+)であってもよい。主要な蛍光材料はまた、Ce:YAG蛍光体又は任意の他の適した黄色を発する蛍光体:であってもよく、補足的な蛍光材料はまた、ユウロピウムでドープされるニトリドシリケートであってもよい。ニトリドシリケートの補足的な蛍光材料は、化学式(Sr1-x-y-zBaCaSi:Eu 2+(ここで、0≦x、y≦0.5、及び0≦z≦0.1)を有し得る。
【0035】
セラミック蛍光体プレートはまた、上述の蛍光体のいずれかの混合物を有してもよい。さらなる情報は、同一出願によるその全内容を参照により援用する特許文献4乃至12において見つけることができる。
【0036】
開示される特定事項の実施形態は、ヘッドライト及びテールライト等を含むオートモーティブライティングコンポーネント、フラッシュライティング、LED、及びプログラム可能なライティングシステム等、任意の適用可能な照明装置又はシステムに適用することができる。
【0037】
開示される特定事項の実施形態によると、ALDプロセスは、粒子を被覆するために使用することができ、また、多数の粒子を共に結合するように構成された被覆を形成するために使用することもできる。以下の開示は、ゾル-ゲルプロセス等のハイブリッドプロセスと共にALDプロセスに関連しており、ゾル-ゲルプロセス等のハイブリッドプロセスの後にALDプロセスが続き、これは、本明細書において開示される実施形態によって組み込まれ得る。以下の開示は、一般に、個々の粒子を被覆することに関し得るけれども、当業者は、特許文献13及び本明細書において記載されるように、プロセスの一部を、無機被覆を介して結合された三次元膜を生成する際に利用することができるということを理解するものとする。
【0038】
ハイブリッド被覆を発光粒子に提供する方法が提供され、当該方法は:(i)ゾル-ゲル被覆プロセスの適用によって発光粒子上に第1の被覆層(「第1の被覆」又は「ゾル-ゲル被覆」又は「ゾル-ゲル被覆層」)を提供し、その結果、被覆された発光粒子を提供するステップ;及び(ii)原子層堆積プロセスの適用によって被覆された発光粒子上に第2の被覆層(「第2の被覆」又は「ALD被覆」、又は「ALD被覆層」)を提供するステップ;を含み、特に、第2の被覆層が異なる化学組成を有する層を有する多層を含み、原子層堆積プロセスにおいて、金属酸化物前駆体が、特に、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、ジルコニウム、チタン、及びシリコンから選ばれる金属の金属酸化物前駆体の群から選択される方法が提供される。金属酸化物前駆体は、トリメチルアルミニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(メチルエチルアミノ)ハフニウム、塩化タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、(t-ブチルアミノ)トリス(メチルエチルアミノ)タンタル、四塩化ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、四塩化ケイ素、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、テトラエトキシシランを含んでもよく、酸素源は、水及びオゾン(O)から選ばれてもよい。多層中の層は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び二酸化ケイ素を含んでもよく、好ましくは、五酸化タンタル及び酸化アルミニウムを含み得る。図5a、5b及び5cにおいて示されているように、発光コア102は非酸化物を含み、中間酸化物層が、発光コア102と被覆層135との間に存在している。ゾル-ゲル被覆は、アルコール、アンモニア、水の混合物を撹拌し、金属発光粒子100、及び、チタンアルコキシド、シリコンアルコキシド、及びアルミニウムアルコキシドから選ばれた金属アルコキシド前駆体を混合物に添加し、発光粒子100上に被覆(A)を形成し、混合物から回収し、発光粒子を熱処理することを含む。
【0039】
ゾル-ゲル被覆に使用される前駆体は、式:R4-Si(-R1)(-R3)(-R2)(I)から選ばれるシリコンアルコキシド前駆体であってもよい。シリコンアルコキシド前駆体は、好ましくは、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシ(メチル)シラン、及びトリエトキシ(メチル)シランから選ばれる。R1-R3は、加水分解性アルコキシ部分であり;R4は、1-6C直鎖状アルキル部分、加水分解性アルコキシ部分、及びフェニル部分である。
【0040】
実施形態によると、発光粒子/光散乱粒子は、発光コア、特に、少なくとも100nm等、5~500nm、特に10~500nm、さらにとりわけ5~500nm、特に10~500nm、さらにとりわけ20~500nm、特に50~300nmの範囲の第1の被覆層の厚さ(d1)を有する第1の被覆層(「ゾル-ゲル被覆層」)、及び、特に、5~200nm等、5~250nmの範囲の第2の被覆層の厚さ(d2)を有する第2の被覆層(「ALD被覆層」)を含んでもよく、さらにとりわけ、第2の被覆層は、異なる化学組成を有する層を有する多層を含み、多層は、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、及びSiのうち1つ又は複数の酸化物を含む1つ又は複数の層を含む。
【0041】
そのような発光材料、すなわち、これらの(ハイブリッド被覆)粒子を含むそのような発光材料で、比較的安定した発光材料には、バージン(非被覆)発光材料に近いか又はそれと同一の量子効率が提供され、非常に高い水及び/又は(湿った)空気に対する安定性を有し、非被覆又は非ハイブリッド被覆の発光粒子よりも優れている。
【0042】
第1の被覆層は、任意的に、多層を含んでもよい。しかし、第1の被覆層の多層は、ゾル-ゲル層であってもよい。従って、第1の層は、本明細書において、ゾル-ゲル層(従って、任意的にゾル-ゲル多層を含む)としても示されている。第1の被覆層は、特に、酸化ケイ素(特にSiO)を含む。多層の一例は、SiO及びAlが交互に存在する3つ以上の(ゾル-ゲル)層の積み重ね等、SiO-Al(ゾル-ゲル)多層を含み得る。
【0043】
同様に、第2の被覆層は、任意的に、多層を含んでもよい。しかし、第2の被覆層の多層は、全てALD層であってもよい。従って、第2の層は、ALD層(従って、任意的にALD多層を含む)として示される。
【0044】
特に、第2の被覆層は多層を含み、以下も参照されたい。さらに、特に第2の被覆層は、中間層なしに、第1の被覆層上に提供される。任意的に、第2の被覆層上に、さらなる被覆層が提供されてもよい。第2の被覆層は、特に、1つ又は複数の酸化アルミニウム(特にAl)の被覆層を少なくとも含む。特に、第1の被覆層も第2の被覆層も、独立して金属酸化物を含むが、任意的に、水酸化物もこれらの層の1つ又は複数に含まれ得る。さらに、独立して、第1の被覆層及び第2の被覆層は、混合酸化物層を含んでもよい。さらに、被覆層は、当技術分野において知られているように、必ずしも完全に化学量論の酸化物である必要はない。
【0045】
一般に、少なくとも1.2倍大きい等、少なくとも1.5倍大きいように、少なくとも2倍大きいように、又は、さらには少なくとも4倍又は少なくとも5倍大きい等、第1の被覆層の厚さは、第2の被覆層の厚さよりも大きくなる。特定の実施形態では、本発明の方法は、(i)少なくとも50nm等、特に20~500nm、少なくとも100nm等、とりわけ50~300nmの範囲の第1の被覆層の厚さ(d1)を有する第1の被覆層を、上記のゾル-ゲル被覆プロセスを適用することによって発光粒子上に提供し、その結果、上記の被覆された発光粒子を提供すること;及び(ii)特に少なくとも10nm等、5~200nm等、特に5~250nm、15~75nm等、とりわけ10~100nm、さらにとりわけ15~50nmの範囲の第2の被覆層の厚さ(d2)を有する第2の被覆層を、上記の原子層堆積プロセスを適用することによって、上記の被覆発光粒子上に提供すること;を含む。従って、上記のように、発光粒子は、一実施形態において、発光コアと、少なくとも100nm等、特に5~500nm、特に10~500nm、さらにとりわけ20~500nm、とりわけ50~300nmの範囲の第1の被覆層の厚さ(d1)を有する第1の被覆層と、特に5~250nm、15~35nmの範囲等、とりわけ15~50nmの範囲の第2の被覆層の厚さ(d2)を有する第2の被覆層とを含む。より厚い第1の層は、より薄い層よりも良好な結果を提供するようである。従って、特に第1の被覆層は、少なくとも約100nm等、少なくとも50nmの第1の被覆層の厚さを有する。
【0046】
関心のある発光粒子は、原則として、それぞれのタイプの発光粒子を含み得る。しかし、特に関心のあるものは、例えば、(オキシ)硫化物、(オキシ)窒化物等、空気又は水又は湿潤環境においてより不安定であり得るタイプの発光粒子である。従って、一実施形態において、発光粒子は、窒化物発光材料、酸窒化物発光材料、ハロゲン化物発光材料、オキシハロゲン化物発光材料、硫化物発光材料、及びオキシ硫化物発光材料のうち1つ又は複数を含む。加えて又は或いは、発光粒子は、セレン化物発光材料を含み得る。従って、「発光粒子」という用語は、異なるタイプの発光材料の粒子の組み合わせも指し得る。
【0047】
特定の実施形態では、発光粒子は、以下の発光材料の方式の群:MLiAl:Eu(M=Sr、Ba、Ca、Mg)、MSiO:Eu(M=Ba、Sr、Ca)、MSe1-x:Eu(M=Sr、Ca、Mg)、MSr:Eu(M=Sr、Ca)、MSiF:Mn(M=Na、K、Rb)、MSiAlN:Eu(M=Ca、Sr)、MMg(SiOCl:Eu(M=Ca、Sr)、MMgSi:Eu(M=Sr、Ba、Ca)、MSi:Eu(M=Ba、Sr、Ca)、MSi5-xAl8-x:Eu(M=Sr、Ca、Ba)から選択することができる。しかし、他の方式も、ハイブリッド被覆によって保護するための関心のあるものであり得る。例えば、赤色の発光材料と組み合わせた緑色又は黄色の発光材料等、2つ以上の異なる発光材料の粒子の組み合わせも適用することができる。
【0048】
「M=Sr、Ba、Ca、Mg」のような用語は、当技術分野において知られているように、Mが、Sr、Ba、Ca、及びMgのうち1つ又は複数含むということを示す。例えば、MSiAlN:Eu(M=Ca、Sr)を参照すると、これは、例としてCaSiAlN:Eu、又はSrSiAlN:Eu、又はCao.Sr0.2SiAlN:Eu等を指し得る。さらに、式「MLiAl:Eu(M=Sr、Ba、Ca、Mg)」は、式「(Sr、Ba、Ca、Mg)LiAl:Eu」と等しい。同様に、これは、他の本明細書において示されている無機発光材料の式に適用される。
【0049】
さらなる特定の実施形態では、発光粒子は、以下の発光材料の方式の群:M1-x-y-z4-n:ES、REであって、Mは、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、及びBa(バリウム)を含む群から選択され;Zは、一価のNa(ナトリウム)、K(カリウム)、及びRb(ルビジウム)を含む群から選択され;Aは、二価のMg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、及びCd(カドミウム)を含む群から選択され(特に、Aは、二価のMg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、及びZn(亜鉛)を含む群から選択され、さらにとりわけ、二価のMg(マグネシウム)、Mn(マンガン)を含む群から選択され);Bは、三価のB(ホウ素)、Al(アルミニウム)、及びGa(ガリウム)を含む群から選択され;Cは、四価のSi(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、Ti(チタン)、及びHf(ハフニウム)を含む群から選択され;Dは、一価のLi(リチウム)及びCu(銅)を含む群から選択され;Eは、P(元素のリン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、及びTa(タンタル)を含む群から選択され;ESは、二価のEu(ユウロピウム)、Sm(サマリウム)、及びイッテルビウムを含む群から選択され、特に、二価のEu及びSmを含む群から選択され;REは、三価のCe(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、及びTm(ツリウム)を含む群から選択され;0≦x≦0.2;0≦y≦0.2;0<x+y≦0.4;0≦z<1;0≦n≦0.5;0≦a≦4(2≦a≦3等);0≦b≦4;0≦c≦4;0≦d≦4;0≦e≦4;a+b+c+d+e=4;及び2a+3b+4c+d+5e=10-y-n+zであり、特に、z≦0.5等、z≦0.9であり、さらに、特に、x+y+z≦0.2である発光材料の方式の群から選択することができる。
【0050】
式a+b+c+d+e=4;及び2a+3b+4c+d+5e=10-y-n+zは、それぞれ、格子中のZ、A、B、C、D、及びEのカチオン、並びに、O及びNのアニオンを特に決定し、その結果、方式の電荷的中性を(も)定める。例えば、電荷補償は、式2a+3b+4c+d+5e=10-y-n+zによってカバーされる。これは、例えば、O含有量を減らすことによって電荷補償をカバーする、又は、CカチオンをBカチオンにより、又は、BカチオンをAカチオンにより置換することによって電荷補償をカバーする。例えば:x=0.01、y=0.02、n=0、a=3;次に、6+3b+4c=10-0.02であり;a+b+c=4:b=0.02、c=0.98である。
【0051】
当業者には明らかなように、a、b、c、d、e、n、x、y、zは常にゼロ以上である。aが、式a+b+c+d+e=4;及び2a+3b+4c+d+5e=10-y-n+zと組み合わせて定義される場合、原則として、b、c、d、及びeは、もはや定義される必要はない。しかし、完全を期すために、本明細書において0≦b≦4;0≦c≦4;0≦d≦4;0≦e≦4も定義される。
【0052】
SrMgGa:Euのような方式を仮定する。ここでは、a=2、b=2、c=d=e=y=z=n=0である。そのような方式では、2+2+0+0+0=4及び2×2+3×2+0+0+0=10-0-0+0=10である。従って、どちらの式も従われる。0.5Oが導入されると仮定する。0.5Oを有する方式を、例えば、0.5Ga-Nが0.5Mg-Oによって置き換えられる(電荷中性置換である)場合に得ることができる。これによって、SrMg2.5Ga1.53.50.5:Euが結果として生じる。ここで、そのような方式では、2.5+1.5+0+0+0=4及び2×2.5+3×1.5+0+0+0=10-0-0.5+0=9.5である。従って、ここでもどちらの式も従われる。
【0053】
上記のように、有利な実施形態では、d>0及び/又はz>0であり、特に少なくともd>0である。特に、蛍光体は、少なくともリチウムを含む。
【0054】
さらに別の実施形態では、2≦a≦3であり、特にd=0、e=0、及びz=0でもある。このような場合、蛍光体は、数ある中でも、a+b+c=4;及び2a+3b+4c=10-y-nによって特徴付けられる。
【0055】
上述の実施形態と組み合わせることができるさらなる特定の実施形態では、e=0である。上述の実施形態と組み合わせることができるさらに別の特定の実施形態では、MはCa及び/又はSrである。
【0056】
従って、特定の実施形態では、蛍光体は、式M(Ca及び/又はSr)1-x-yMgAlSi4-n:ES、RE(I)を有し、ESは、二価のEu(ユウロピウム)又はSm(サマリウム)又はYb(イッテルビウム)を含む群から選択され;REは、三価のCe(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、及びTm(ツリウム)を含む群から選択され;ここで、y/x<0.1、特に<0.01であり、n≦0.1、特に<0.01、とりわけ<0.001、さらにとりわけ<0.0001である。従って、この実施形態では、実質的にサマリウム及び/又はユウロピウム含有蛍光体が記載される。例えば、二価のEuが存在する場合、x=0.05であり、例えばPrに対するy1は0.001であり得、Tbに対するy2は0.001であり得、y=y1+y2=0.002となる。このような場合、y/x=0.04である。さらにとりわけ、y=0である。しかし、他の箇所で示されているように、Eu及びCeが適用される場合、y/xの比は0.1より大きくあってもよい。
【0057】
0<x+y≦0.4という条件は、Mが、合計40%までのES及び/又はREと置換され得るということを示す。x及びyが0から0.2であるという条件と組み合わされた「0<x+y≦0.4」という条件は、ESとREの少なくとも1つが存在するということを示す。必ずしもどちらのタイプも存在するというわけではない。上述のように、ESもREも、それぞれ個々に、ESがSm及びEuのうち1つ又は複数を指す、及び、REがCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びTmのうち1つ又は複数を指す等、1つ又は複数の亜種を指し得る。
【0058】
特に、ユウロピウムが二価の発光種又はドーパント(すなわち、Eu2+)として適用される場合、サマリウムとユウロピウムとのモル比(Sm/Eu)は、<0.1、特に<0.01、特に<0.001である。イッテルビウムと組み合わされたユウロピウムが適用される場合も同様である。ユウロピウムが二価の発光種又はドーパントとして適用される場合、イッテルビウムとユウロピウムとのモル比(Yb/Eu)は、<0.1、特に<0.01、特に<0.001である。3つ全てが共に適用されると、同じモル比が適用される可能性があり、すなわち((Sm+Yb)/Eu)は、<0.1、特に<0.01、特に<0.001である。
【0059】
特に、xは、0.002~0.2のように、0.005~0.1、特に0.005~0.08等、0.001~0.2の範囲内にある(すなわち、0.001≦x≦0.2である)。特に、本明細書において記載される方式において二価のユウロピウムの場合、分子百分率は、0.5~2%のような0.2~5%等、0.1~5%(0.001≦x≦0.05)の範囲内にあってもよい。他の発光イオンに対しては、xは、複数の実施形態において、1%以上(xは0.01以上)であり得る(が、必ずしもそうではない)。
【0060】
特定の実施形態では、蛍光体は、(Sr、Ca)MgSi:Eu、(Sr、Ca)MgAl:Eu、(Sr、Ca)LiAl:Eu、及び(Sr、Ca)LiMgAl:Euを含む群から選択され、a、b、dは上記の通りである。
【0061】
本明細書においても示されているように、「(Sr、Ca)」という表記及び他の元素を用いた類似の表記は、Mの位置が、Sr及び/又はCaのカチオン(又はそれぞれ他の元素)で占められているということを示している。
【0062】
さらなる特定の実施形態では、蛍光体は、Ba.95Sr.05MgGa:Eu、BaMgGa:Eu、SrMgSiN:Eu、SrMgAl:Eu、SrMgGa:Eu、BaMgSiN:Eu、CaLiAl:Eu、SrLiAl:Eu、CaLi0.5MgAl2.5:Eu、及びSrLi0.5MgAl2.5:Euを含む群から選択される。そのような蛍光体に対するさらなる(非限定的な)例は、例えば、(Sr0.8Ca0.20.995LiAl2.91Mg0.093.910.09:Eu0.005;(Sr0.9Ca0.10.905Na0.09LiAl3.910.09:Eu0.005;(Sr0.8Ca0.03Ba0.170.989LiAl2.99Mg0.01Ce0.01:Eu0.001;Ca0.995LiAl2.995Mg0.0053.9950.005:Yb0.005(YB(II));Na0.995MgAl:Eu0.005;Na0.895Ca0.1Mg0.9Li0.1Al:Eu0.005;Sr0.99LiMgAlSiN:Eu0.01;Ca0.995LiAl2.955Mg0.0453.960.04:Ce0.005;(Sr0.9Ca0.10.998Al1.99Mg2.013.990.01:Eu0.002;(Sr0.9Ba0.10.998Al1.99Mg2.013.990.01:Eu0.002である。
【0063】
さらなる特定の実施形態では、蛍光体は、(Sr、Ca)MgSiN:Eu及び(Sr、Ca)MgAl:Euを含む群から選択される。さらに別の特定の実施形態では、蛍光体は、Ba0.95Sr0.05MgGa:Eu、BaMgGa:Eu、SrMgSiN:Eu、SrMgAl:Eu、SrMgGa:Eu、及びBaMgSiN:Euを含む群から選択される。特に、これらの蛍光体、さらにとりわけ、(Sr、Ca)MgSiN:Eu及び(Sr、Ca)MgAl:Euは、数ある中でもスペクトル位置及び発光の分布の点から、優れた発光特性を有する蛍光体であり得る。
【0064】
特に関心のあるものは、0≦x≦0.2、y/x<0.1に従う蛍光体であり、Mが、少なくともSrを含み、z≦0.1、a≦0.4、2.5≦b≦3.5であり、Bが、少なくともAlを含み、c≦0.4、0.5≦d≦1.5であり、Dが、少なくともLiを含み、e≦0.4、n≦0.1であり、ESが、少なくともEuを含む。特にy+z≦0.1である。さらに、特に、x+y+z≦0.2である。さらに、特にaは0又はゼロに近い。さらに、特にbは約3である。さらに、特にcは0又はゼロに近い。さらに、特にdは約1である。さらに、特にeは0又はゼロに近い。さらに、特にnは0又はゼロに近い。さらに、特にyは0又はゼロに近い。特に優れた方式は、量子効率及び加水分解安定性の点から、z+d>0を有するものであり、すなわち、Na、K、Rb、Li及びCu(I)のうち1つ又は複数が利用可能であり、特に、例えば(Sr、Ca)LiAl:Eu及び(Sr、Ca)LiMgAl:Eu等、少なくともLiが利用可能であり、a、b、dは上記の通りである。さらなる特定の実施形態では、蛍光体は、CaLiAl:Eu、SrLiAl:Eu、CaLi0.5MgAl2.5:Eu、及びSrLi0.5MgAl2.5:Euを含む群から選択される。さらなる特に関心のある蛍光体は、(Sr、Ca、Ba)(Li、Cu)(Al、B、Ga):Euであり、これは、Mイオンとして少なくともSr、Bイオンとして少なくともAl、及びDイオンとして少なくともLiを含む。
【0065】
従って、特定の実施形態では、発光粒子は、SrLiAl:Eu2+のクラスから選択される発光材料を含む。本明細書において「クラス」という用語は、特に、1つ又は複数の同じ結晶学的構造を有する材料の群を指す。さらに、「クラス」という用語は、カチオン及び/又はアニオンの部分置換も含み得る。例えば、上記のクラスの一部において、Al-Oは、Si-Nで部分的に置き換えられ得る(又はその逆であり得る)。SrLiAl:Eu2+のクラスの例は上記の通りである。しかし、他の発光材料も、従って、可能であり得る。
【0066】
そのような発光粒子は、0.5~40μmの範囲等、特に0.5~20μmの範囲等、0.1~50μmの範囲から選択される数平均粒子サイズを有してもよい。従って、発光コアは、最大約50μmのように、最大約100μm等、最大約500μm等の大きさを有し得る。特に、より大きな粒子サイズでは、実質的に個々の粒子のみが被覆されてもよく、従って、50μm以下ほどの発光コアの大きさをもたらす。従って、本発明は、粒子の被覆に向けられる。発光コアの大きさは、ナノ粒子又は量子ドットが粒子状の発光材料に対する基礎として使用される場合に、実質的により小さくてもよい。そのような場合、コアは、約1μmよりも小さくてもよく又は実質的に小さくてもよい(QDの大きさについては以下も参照されたい)。或いは又は加えて、発光粒子は、発光量子ドットを含む。「量子ドット」又は「発光量子ドット」という用語は、複数の実施形態において、異なるタイプの量子ドット、すなわち異なるスペクトル特性を有する量子ドットの組み合わせも指し得る。QDは、本明細書において、「波長変換ナノ粒子」又は「発光ナノ粒子」としても示されている。「量子ドット」という用語は、特に、UV、可視及びIR(UV放射等の適した放射による励起時)のうちの1つ又は複数において冷光を発する量子ドットを指す。波長変換ナノ粒子として本明細書において示されている量子ドット又は発光ナノ粒子は、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTe(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択されるII-VI族化合物半導体の量子ドットを含み得る。別の実施形態では、発光ナノ粒子は、例えば、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InGaP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、及びInAlPAs(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択されるIII-V族化合物半導体の量子ドットであってもよい。別のさらなる実施形態では、発光ナノ粒子は、例えば、CuInS、CuInSe、CuGaS、CuGaSe、AgInS、AgInSe、AgGaS、及びAgGaSe(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択されるI-III-VI2族カルコパイライト型半導体の量子ドットであってもよい。別のさらなる実施形態では、発光ナノ粒子は、例えば、LiAsSe、NaAsSe、及びKAsSe(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択されるもの等、I-V-VI2族半導体の量子ドット(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)であってもよい。別のさらなる実施形態では、発光ナノ粒子は、例えば、SbTe等のIV-VI族化合物半導体のナノ結晶を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドットであってもよい。特定の実施形態では、発光ナノ粒子は、InP、CuInS、CuInSe、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS、及びAgInSe(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択される。別のさらなる実施形態では、発光ナノ粒子は、例えば、ZnSe:Mn、ZnS:Mn等の内側のドーパントを有する、上述の材料から選択されるII-VI、III-V、I-III-V、及びIV-VI族化合物半導体のナノ結晶(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)の群のうちの1つであってもよい。ドーパントの元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn、及びTlから選択することができる。本明細書においては、発光ナノ粒子ベースの発光材料は、CdSe及びZnSe:Mn等、異なるタイプのQDも含み得る。
【0067】
II-VI族量子ドットを使用することは特に有利であると思われる。従って、一実施形態では、半導体ベースの発光量子ドットは、特に、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTe(を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット)を含む群から選択される、さらにとりわけ、CdS、CdSe、CdSe/Cds、及びCdSe/Cds/Znsを含む群から選択されるII-VI族量子ドットを含む。
【0068】
一実施形態において、波長変換ナノ粒子は、約1から約1000ナノメートル(nm)の範囲、好ましくは約1から約100nmの範囲の平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1から約20nmの範囲の平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1から約10nmの範囲の平均粒子サイズを有する。発光ナノ粒子(被覆なし)は、2~20nm、特に2~10nm、さらにとりわけ2~5nm等、約2から50nmの範囲の大きさを有してもよく;特に、少なくとも90%のナノ粒子は、それぞれ、示された範囲の大きさを有する(すなわち、例えば、少なくとも90%のナノ粒子は、2~50nmの範囲の大きさを有するか、又は、特に、少なくとも90%のナノ粒子は、2~5nmの範囲の大きさを有する)。「大きさ」という用語は、特に、ナノ粒子の形状に依存して、長さ、幅、及び直径のうち1つ又は複数に関する。典型的なドットは、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、ヒ化インジウム、及びリン化インジウム等の二元合金で作製される。しかし、ドットは、硫セレン化カドミウム等の三元合金から作製することもできる。これらの量子ドットは、量子ドット体積内にわずか100から100,000の原子を含有することができ、10から50の原子の直径である。これは、約2から10ナノメートルに相当する。例えば、約3nmの直径を有するCdSe、InP、又はCuInSe等の球状の粒子が提供されてもよい。発光ナノ粒子(被覆なし)は、一次元において10nm未満のサイズを有する球、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、マルチポッド等の形状を有してもよい。例えば、20nmの長さ及び4nmの直径を有するCdSeのナノロッドを提供することができる。従って、一実施形態では、半導体ベースの発光量子ドットは、コア-シェル量子ドットを含む。さらに別の実施形態では、半導体ベースの発光量子ドットは、ドットインロッド(dots-in-rods)のナノ粒子を含む。異なるタイプの粒子の組み合わせも適用することができる。ここで、「異なるタイプ」という用語は、異なる幾何学的形状、並びに、異なるタイプの半導体発光材料に関し得る。従って、(上述した)量子ドット又は発光ナノ粒子のうち2つ以上の組み合わせも適用することができる。
【0069】
一実施形態では、ナノ粒子は、第1の半導体材料を含むコアと、第2の半導体材料を含むシェルとを含む半導体ナノ結晶を含んでもよく、シェルは、コアの表面の少なくとも一部にわたって配置される。コア及びシェルを含む半導体ナノ結晶は、「コア/シェル」半導体ナノ結晶とも呼ばれる。上述の材料のいずれも、特にコアとして使用することができる。従って、「を含む群から選択されるコアを有するコア-シェル量子ドット」という言い回しが、上記の量子ドット材料のリストの一部において適用される。「コア-シェル」という用語は、勾配合金シェル又はドットインロッド等を含む「コア-シェル-シェル」等も指し得る。
【0070】
例えば、半導体ナノ結晶は、式MXを有するコアを含んでもよく、ここで、Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はその混合物であり得、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、又はその混合物であり得る。半導体ナノ結晶のコアとしての使用に適した材料の例として、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、三元及び四元の混合物又は合金を含む、上述の材料のうちいずれかを含む合金、及び/又は、上述の材料のうちいずれかを含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
シェルは、コアの組成と同じか又は異なる組成を有する半導体材料であり得る。シェルは、コアの表面上の半導体材料のオーバーコートを含み、半導体ナノ結晶は、IV族元素、II-VI族化合物、II-V族化合物、III-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、I-III-VI族化合物、II-IV-VI族化合物、II-IV-V族化合物、三元及び四元の混合物又は合金を含む、上述のいずれかを含む合金、及び/又は、上述のいずれかを含む混合物を含み得る。例として、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、上述のいずれかを含む合金、及び/又は、上述のいずれかを含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ZnS、ZnSe又はCdSのオーバーコートは、CdSe又はCdTe半導体ナノ結晶上で増やすことができる。オーバーコートのプロセスは、例えば、特許文献14において記載されている。オーバーコート中の反応混合物の温度を調整し、コアの吸収スペクトルをモニターすることによって、高い放射量子効率及び狭いサイズ分布を有するオーバーコートされた材料を得ることができる。オーバーコートは、1つ又は複数の層を含んでもよい。オーバーコートは、コアの組成と同じであるか又は異なる少なくとも1つの半導体材料を含む。好ましくは、オーバーコートは、約1から約10の単層の厚さを有する。オーバーコートは、10の単層よりも大きい厚さも有し得る。一実施形態では、2つ以上のオーバーコートを、コアの上に含むことができる。
【0072】
一実施形態では、周囲の「シェル」材料は、コア材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し得る。特定の他の実施形態では、周囲のシェル材料は、コア材料のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し得る。一実施形態では、シェルは、「コア」基板の原子間隔に近い原子間隔を有するように選ぶことができる。特定の他の実施形態では、シェル及びコアの材料は、同じ結晶構造を有し得る。
【0073】
半導体ナノ結晶(コア)シェルの材料の例として:赤(例えば、(CdSe)ZnS(コア)シェル等)、緑(例えば、(CdZnSe)CdZnS(コア)シェル等)、及び青(例えば、(CdS)CdZnS(コア)シェル等)が挙げられるが、それらに限定されない(半導体に基づく特定の波長変換ナノ粒子の例についてもさらに上記を参照されたい)。
【0074】
従って、一実施形態では、発光粒子は、CdS、CdSe、ZnS、及びZnSeを含む群から選択される1つ又は複数のコア材料を含む発光量子ドットを含む群から選択される発光材料を含む。従って、一実施形態では、発光粒子は、組成MX(M=Cd、Zn、X=Se、S)の量子ドット又は量子ロッド等の発光ナノ粒子の群から選択することもできる。そのような粒子は、1~50nmの範囲から選択される数平均粒子サイズ(すなわち、特に長さ/幅/高さ、直径)を有してもよい。
【0075】
上述のように、5~500nm、特に10~500nm、とりわけ20~500nm、さらにとりわけ50~300nmの範囲の平均厚さを典型的には有する第1の被覆層は、ゾル-ゲル型プロセスによって形成される。そのようなプロセスにおいて、無機ネットワークが、ゾル(コロイド懸濁液)を形成するためのその後の加水分解、次に、粉末表面に化学的に結合されるゲル(架橋された固体ネットワーク)を形成するための凝縮によって、前駆体の均一な溶液から形成される。好ましくは、第1の被覆材料はシリカであり、ゾル-ゲル堆積法は、非特許文献1に記載されているいわゆるStober反応に相当する。この目的を達成するために、発光材料は、メタノールCHOH、エタノールCOH又はイソプロパノールCOH等、脂肪族アルコールR-OH等のアルコール中に分散され、アンモニア(水中NH溶液)及びケイ素アルコキシド前駆体の添加が続く。ケイ素アルコキシド前駆体はアルコール+アンモニア混合物に溶解し、加水分解し始める。加水分解されたが溶解したゾル種と粒子表面の反応基(例えば、アミン又はシラノール基)との反応、続いて、加水分解、核形成及び凝縮反応ステップを含む種結晶成長プロセスによって、コンフォーマルシリカコーティングが粒子表面の上部に形成される。
【0076】
ケイ素アルコキシド前駆体は、
【0077】
【化1】
によって形成される化合物の群から選択され、ここで、a)R1、R2、R3は、加水分解性アルコキシ基であり、R4は、C1-C6直鎖のアルキル基、加水分解性アルコキシ基、及びフェニル基の群から選択されるか、又は、b)R1、R2、R3は、-OCH及び-OCから個々に選択され、R4は、-CH、-C、-OCH、-OC、及びフェニル基から選択される。任意的に、シリコーンベースのポリマーは、
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
【化4】
及び
【0081】
【化5】
の群由来の材料から得られる。
【0082】
従って、ケイ素アルコキシド前駆体は、この群から選択することができる。特に、ケイ素アルコキシド前駆体は、Si(OCH又はSi(OCの群から選択され、特にSi(OCがケイ素アルコキシド前駆体として使用される。類似の前駆体であるが、例えばAl等の別の金属に基づくものも使用することができる。
【0083】
典型的な第1の被覆プロセスは、以下の段階を含み得る。(a)発光粉末が、撹拌又は超音波処理しながらアルコール-アンモニア水溶液の混合物中に懸濁させられる。粒子分散を改善するために、アンモニア溶液が添加される前に、粉末を第一にアルコール及び少量のケイ素(又は他の金属)アルコキシドと混ぜ合わせることもできる。(b)ケイ素(又は他の金属)アルコキシド前駆体は、懸濁液の撹拌下で添加される。アルコール溶媒中のケイ素(又は他の金属)アルコキシド、アンモニア、及び水の典型的な濃度は、それぞれ0.02~0.7、0.3~1.5、及び1~16モル/Lである。(c)懸濁液は、被覆が形成されるまで撹拌又は超音波処理される。(d)被覆された粉末は、アルコールで洗浄され、乾燥させられた後、200~300℃で空気又は真空においてか焼される。
【0084】
従って、一実施形態では、ゾル-ゲル被覆プロセスは:(ia)アルコール、アンモニア、水、発光粒子、及び金属アルコキシド前駆体の混合物を、該混合物を撹拌しながら提供し、第1の被覆が発光粒子上に形成されるのを可能にすることであって、ここで、金属アルコキシド前駆体は、特にチタンアルコキシド、ケイ素アルコキシド、及びアルミニウムアルコキシドを含む群から選択されること;及び(ib)混合物から発光粒子を回収し、任意的に、発光粒子を熱処理に晒して、上記の被覆された発光粒子を提供すること;を含む。混合物から(被覆された)発光材料を回収するプロセスは、例えば、濾過、遠心分離、デカント(沈殿物上の液体)等のうち1つ又は複数を含み得る。熱処理は、乾燥及びか焼のうち1つ又は複数、特にその両方、すなわち、例えば70~130℃の範囲の温度での乾燥段階、続いて(空気;又は真空若しくは(他の)不活性雰囲気における)か焼段階を含み得る。従って、熱処理の時間の一部の間に、(被覆された)発光体は、真空、又は、N及び貴ガスのうちの1つ又は複数等の不活性環境にあってもよい。熱処理は、発光材料の安定性を改善すると思われる。さらに、上記のように、ゾル-ゲル被覆プロセスにおいてケイ素(又は、以下の式はSiを指しているけれども他の金属)アルコキシド、特に前駆体は、
【0085】
【化6】
を含む化合物の群から選択され使用することができ、ここで、R1、R2、R3は、加水分解性アルコキシ部分を含む群から選択され、R4は、C1-C6直鎖のアルキル部分、加水分解性アルコキシ部分、及びフェニル部分を含む群から選択される。任意的に、アルコキシド以外のリガンドが、ゾル-ゲルプロセスに対する前駆体において適用されてもよい。
【0086】
ゾル-ゲル被覆プロセスで得られた粒子は、任意的に、2つ以上の核を含んでもよい。例えば、量子ドットの場合、ゾル-ゲル被覆又は第1の被覆層を有する凝集体を得ることができる。従って、シリカ前駆体(又は他の金属酸化物前駆体)は、多数のQDを薄い単一シェルで被覆して、被覆された凝集体を形成することもできる。これは、数ある中でも、量子ドットの濃度等に依存し得る。
【0087】
以上、ゾル-ゲル被覆のための前駆体が、ケイ素アルコキシド前駆体に関して特に記載されている。しかし、1つ又は複数のアルミニウム(又は別の金属)アルコキシド前駆体も適用することができる。さらに、2つ以上の化学的に異なる前駆体の組み合わせも、ゾル-ゲル被覆層又は第1の被覆層を提供するために適用することができる。
【0088】
「第1の被覆プロセス」という用語は、複数の第1の被覆プロセスにも関し得る。複数の第1の被覆プロセスで、(例えば、第1の被覆プロセスにおいて、それぞれの被覆段階又はステップが実質的に同じ材料を堆積することを含む場合等)層厚全体にわたって同じ組成を実質的に含む(多)層を提供することができるか、又は、それぞれ2つ以上の異なる組成を有する2つ以上の(ゾル-ゲル)層の積み重ね等、異なる組成を有する2つ以上の層を有する多層を提供することができる。一例は、例えば、SiOとAlが交互に存在する3つ以上の(ゾル-ゲル)層の積み重ね等、SiO-Al(ゾル-ゲル)多層であり得る(上記も参照されたい)。
【0089】
上述のように、第2の被覆層は、典型的には、5~250nm、特に15~75nmの範囲の層厚を有し得る。この層は、原子層堆積型プロセスによって形成することができる。そのようなプロセスにおいて、ポリマーネットワークが、金属酸化物前駆体と、気相の水及び/又はオゾン等の酸素源との反応によって形成される。ゾル-ゲルプロセスとは異なり、ALD反応は(少なくとも)2つの部分に分けられる。第一の段階では、金属(酸化物)前駆体が、(ALD)反応器に供給され、粒子表面上の反応基を吸着及び/又はそれと反応し、実質的に全ての非反応又は非吸着前駆体分子が、反応器のパージによって除去される。第二の段階では、酸素源が反応器内に供給され、粒子表面上の金属源と反応し、反応器のパージが続いて、実質的に全ての残存する酸素源分子及び凝縮反応によって形成された加水分解生成物が除去される。この二つの段階は、自己限定的な表面反応の性質のために、原子層(又は単層)の形成を導く。これらの原子層反応段階は、複数回繰り返されて、最終的なALD被覆が形成される。金属酸化物前駆体という用語は、特に、金属酸化物の前駆体を示す。前駆体自体は、金属酸化物でなくてもよいが、例えば、金属有機分子を含んでもよい。従って、特にALDのための金属(酸化物)前駆体は、典型的には、金属ハロゲン化物、アルコキシド、アミド、及び他の金属(有機)化合物を含み得る。
【0090】
ALDプロセスの段階的な性質によって、定義された層の厚さを容易に堆積することが可能である。ALDプロセスは、さらに、反応器内に異なる金属酸化物前駆体を連続的に供給することによって異なる組成の層を堆積して、多組成の層又はナノラミネートを形成することを可能にする。従って、特定の実施形態では、第2の層は、多層を含む(下記も参照されたい)。
【0091】
ALDプロセスに対して、数ある中でも、流動層反応器を適用することができる。従って、特定の実施形態では、第2の被覆層は、上記の原子層堆積プロセスの適用によって提供される。一実施形態では、静的な粉末床が、ゾル-ゲル被覆された発光粉末粒子のALD被覆に使用される。しかし、流動層も適用することができる。他のタイプの反応器も適用することができる。粒子の凝集は、構造化されたナノポーラス表面を有する第1のゾル-ゲル被覆を適用することによって実質的に防ぐことができる。このプロセスは容易にスケールアップすることができ、ALD被覆中の粉末の損失はほとんど観察されない。粉末被覆のための市販のALD反応器は、例えばカートリッジサンプルホルダー(POCA(商標))と共にPicosun Oyによって販売されている。ALDに使用することができるシステムは、例えば、特許文献15に記載されているが、他のシステムも適用することができる。
【0092】
ALD第2の被覆層に対する(非限定的な)多くの適した材料が、以下の表において列挙されている。
【0093】
【表1】

或いは又は加えて、酸化ニオブ(特にNb)又は酸化イットリウム(Y)が適用されてもよい。その金属前駆体は、例えば、それぞれ、tert-ブチルイミド)-トリス(ジエチルアミノ)-ニオブ、NbF又はNbCl、及び、トリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウムである。
【0094】
しかし、他の材料も適用することができる。従って、原子層堆積プロセスでは、金属酸化物前駆体は、特に、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、及びSiを含む群から選択される金属の金属酸化物前駆体の群から選択されてもよい。或いは又は加えて、Ga、Ge、V、及びNbのうち1つ又は複数が適用されてもよい。さらにとりわけ、これらの前駆体の2つ以上の交互の層が適用され、少なくとも1つの前駆体は、Al金属酸化物前駆体及びSi金属酸化物前駆体、特にAl金属酸化物前駆体を含む群から選択され、別の前駆体は、Hf金属酸化物前駆体、Ta金属酸化物前駆体、Zr金属酸化物前駆体、及びTi金属酸化物前駆体を含む群から選択され、特に、Hf金属酸化物前駆体、Ta金属酸化物前駆体、及びZr金属酸化物前駆体、さらにとりわけTa金属酸化物前駆体を含む群から選択される。特に、Hf、Zr、及びTaは、比較的光透過性の層を提供するように思われるが、Tiは、例えば、比較的少ない光透過性の層を提供することができる。例えば、Ta、Hf及びZrによる処理は、Siよりも比較的容易であるように見える。「酸化物前駆体」又は「金属酸化物前駆体」又は「金属(酸化物)前駆体」という用語は、2つ以上の化学的に異なる前駆体の組み合わせも指し得る。これらの前駆体は、特に、酸素源との反応により酸化物を形成する(従って、金属酸化物前駆体として示される)。
【0095】
例えば、ゾル-ゲルの第1の被覆層のナノポーラス表面におけるシラノール基(シリカの第1の被覆層を仮定する)は、初期層のALDの間に反応部位として作用する。一実施形態では、アルミナが、金属酸化物前駆体としてAl(CH(TMA)、及び、酸素源として(後に曝露される)水を使用することによって堆積される。第1の反応ステップにおいて、TMAは、
【0096】
(化7)
≡Si-OH+Al(CH→≡Si-O-Al(CH+CH
に従ってシリカゾルゲル層の表面のシラノール基と反応する。
【0097】
次に、水が、第2の反応ステップにおいてし、加水分解、続く縮合反応によって金属酸化物前駆体と反応する。
【0098】
(化8)
≡Si-O-Al(CH+2HO→≡Si-O-Al(OH)+2CH
2≡Si-O-Al(OH)→≡Si-O-Al(OH)-O-Al(OH)-O-Si≡+H
200~350℃の範囲の堆積温度は、第1の被覆層上のアルミナALDに最も適しており、好ましくは、温度は250~300℃の範囲であるということが判明した。類似の温度が、1つ又は複数のALD層に対する他の金属酸化物前駆体のALDに適用されてもよい。
【0099】
特に、ALDアルミナ(又は他の金属酸化物)層は、5~120nmの厚さ、特に10~75nmの厚さ、さらにとりわけ15~50nmの範囲の厚さを有する。
【0100】
アルミナALD層の水性ガス浸透バリア特性は、ZrO、TiO、Y、Nb、HfO、Ta等、異なる酸化物材料の少なくとも1つのさらなる層を堆積することによってさらに改善することができる。特に、さらなる材料の層の厚さは、1~40nmの範囲内、より好ましくは1~10nmの範囲内にある。さらにより好ましいのは、Alと、ZrO、TiO、Y、Nb、HfO、Taの群からの第2の酸化物材料との交互層のナノラミネートスタックである。適したナノラミネートスタックは、例えば、第1のゾル-ゲル被覆の上部に40nm厚のナノラミネートされた第2の被覆を形成するために250℃で堆積された20×(1nm Al(10 ALDサイクル)+1nm ZrO(11 ALDサイクル))であってもよい。
【0101】
本発明は、特に、一実施形態において、第2の被覆層が、異なる化学組成を有する層を有する多層を含み、原子層堆積プロセスにおいて、金属酸化物前駆体が、数ある中でも、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、Si、Ga、Ge、V、及びNbを含む群から選択される金属の金属酸化物前駆体の群から選択され、特に、金属酸化物前駆体が、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、及びSiを含む群から選択される金属の金属酸化物前駆体の群から選択される方法を提供する。そのような前駆体のうち2つ以上の組合せ、例えば、アルミナ-ジルコニウム及びハフニウムの混合酸化物-アルミナを含む多層等も使用することができる。
【0102】
従って、一実施形態では、第2の被覆層は、異なる化学組成を有する層を有する多層を含んでもよく、多層は、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、Si、Ga、Ge、V、及びNbのうち1つ又は複数の酸化物を含む1つ又は複数の層を含み、特に、多層は、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、及びSiのうち1つ又は複数の酸化物を含む1つ又は複数の層を含む。そのような多層のうち1つ又は複数の層は、上記のもの等、混合酸化物も含み得る。
【0103】
特に、この方法は、少なくとも2つの(ALD)層(「AB」)、特に少なくとも3つの層(例えば「ABA」等)、とりわけ少なくとも4つの層を含む(ALD)多層被覆が得られるように適用される。さらにとりわけ、少なくとも、(AB)(nは、2~10のように2~20等、2以上である)等、2つの(ALD)層のサブセット(「AB」)の2つ以上のスタックを含むスタックが適用される。
【0104】
特に、多層の層のうち少なくとも1つは、Al及びSiの酸化物のうち1つ又は複数を含み(その組み合わせを含み)、多層の層のうち少なくとも1つは、Hf、Ta、Zr、Ti、Ga、Ge、V、及びNbの酸化物のうち1つ又は複数を含む。そのような層は、任意的に、Al、Hf、Ta、Zr、Ti、Si、Ga、Ge、V、及びNbも含んでもよく、ここで、Si又はAlは、多層のうち1つ又は複数の他の層がそれぞれシリカ又はアルミナの酸化物を含む場合に他の示された要素のうち1つ又は複数と共に層内に存在する。上記の「ALD多層」又は「多層」という用語は、特に、異なる化学組成を有する層を指す。「異なる化学組成を有する層」という句は、「ABC」の場合又は(AB)の場合等、異なる化学組成を有する少なくとも2つの層があるということを示す。
【0105】
(AB)の特定の例として、AがSi及びAl、特にAlの酸化物のうち1つ又は複数から選択され、BがAl、Hf、Ta、Zr、Ti、Si、Ga、Ge、V、及びNbの酸化物のうち1つ又は複数から選択され、Si又はAlが、多層のうち1つ又は複数の他の層がそれぞれシリカ又はアルミナの酸化物を含む場合に他の示された要素のうち1つ又は複数と共に層内に存在し、特にBがHf、Ta、Zr、Ti、Ga、Ge、V、及びNbの酸化物のうち1つ又は複数から選択され、とりわけBがHf、Ta、Zr、及びTiの酸化物のうち1つ又は複数から選択され、さらにとりわけBがHf、Ta、及びZrの酸化物のうち1つ又は複数から選択される多層が挙げられる。
【0106】
従って、このALD多層は、特に、ゾル-ゲル層上に提供される。さらに、上述のように、ALD多層の上部に、任意的に、1つ又は複数のさらなる層が適用されてもよい。
【0107】
従って、特定の実施形態では、第2の被覆層は、層のスタックを有する多層を含み、隣接する層は、異なる化学組成を有する。
【0108】
特に、多層の層は、1~40nm、特に1~10nmの範囲の厚さをそれぞれ独立して有する。さらに、特に、多層は、1つ又は複数のアルミナ層及び1つ又は複数の金属酸化物層を含み、金属は、Hf、Ta、Zr、及びTiの群から選択される。
【0109】
従って、特定の実施形態では、原子層堆積プロセスにおいて、Al(CH、HAl(CH、Hf(N(CH、Hf(N(CHCH、Hf[N(CH)(CHCH)]、TaCl、Ta(N(CH、Ta{[N(CH)(CHCH)]N(C(CH)}、ZrCl、Zr(N(CH、TiCl、Ti(OCH、Ti(OCHCH、SiCl、HN(CHSi(OCHCH、及びSi(OCHCHを含む群から選択される金属酸化物前駆体、並びに、HO及びOを含む群から選択される酸素源が適用される。上述のように、2つ以上の異なる金属酸化物前駆体及び/又は2つ以上の異なる酸素源も適用され得る。
【0110】
さらに、当該方法の別の実施形態では、原子層堆積プロセスにおいて、異なる化学組成を有する層を有する多層が提供され、1つ又は複数の層が、酸化タンタル(特にTa)を含む。従って、本発明は、一実施形態において、発光材料も提供され、第2の被覆層が、異なる化学組成を有する層を有する多層を含み、1つ又は複数の層が、特にTaを含み得る。さらに、当該方法の一実施形態では、原子層堆積プロセスにおいて、異なる化学組成を有する層を有する多層が提供され、1つ又は複数の層が、酸化タンタル(特にTa)、酸化ハフニウム、及び酸化ジルコニウムのうち1つ又は複数を含む。従って、本発明は、一実施形態において、発光材料も提供し、第2の被覆層が、異なる化学組成を有する層を有する多層を含み、1つ又は複数の層が、特に、酸化タンタル、酸化ハフニウム、及び酸化ジルコニウムのうち1つ又は複数を含み得る。例えば、多層スタックは、交互の層を有するスタックも含んでもよく、例えば、アルミナ-酸化タンタル-アルミナ-ハフニア-アルミナ-酸化タンタル等を含むスタック等、例えば、アルミナが、酸化タンタル(特にTa)、酸化ハフニウム、及び酸化ジルコニウムのうち1つ又は複数と交互に現れる。
【0111】
さらに、第一にALD被覆を発光材料粒子上に提供した場合に(従って、例えば、後のゾル-ゲル層に先立つ場合に)、ALD層は望ましいものよりも均一でないように思われた。従って、優れたALD層を得るためには、ALD層の厚さは、原則として必要以上に厚くする必要があり得、(場合によっては小さくても)不必要な透過の低減につながる可能性がある。さらに、ALD被覆はゾル‐ゲルで得られた被覆をより容易に被覆するが、ゾル‐ゲル被覆はALD被覆を容易に被覆しないように思われた。さらに、ALD層上のゾル‐ゲルプロセスは、ALD層に有害であり得る。
【0112】
最終層、すなわち、金属がHf、Ta、Zr、及びTiの群から選択される金属酸化物層を含む発光コアからさらに離れた層の使用は、安定性の点から特に有益であるように見える。さらに、少なくとも1nmのような、少なくとも5nm等、約10nmより薄い等の薄い個々の層を使用することも、発光材料の安定性を高めるように見える。
【0113】
従って、第2の被覆層の全層厚は、特に5~250nm、10~200nm等、特に15~120nmのような、15~50nm等、20~75nmのような範囲内にある。
【0114】
非酸化物の発光材料が、本発明の方法、すなわち、特に第1の被覆プロセスの間及び/又は前に適用される場合、酸素含有層が発光材料の粒子上に形成され、コアと第1の被覆層との間の中間の酸素含有層に導かれてもよい。従って、さらなる実施形態では、発光コアは非酸化物を含み、発光コアと第1の被覆層との間に中間の酸化物層が存在する。この中間層の厚さは、1~20nm等、0.5~50nmの範囲内にあってもよい。
【0115】
本明細書において記載される層厚は、特に、平均の層厚である。しかし、特に、それぞれの層の領域の少なくとも50%、とりわけ少なくとも80%は、そのような示された層厚を有する。特に、これは、そのような層の面積の少なくとも50%下で、そのような厚さが見出されることになるということを示す。
【0116】
第1の被覆層及び第2の被覆層は、光透過性であり、これは、それぞれの層に衝突する光の少なくとも一部が、それぞれの層を透過するということを意味する。従って、第1の層及び第2の層は、完全に又は部分的に透明であってもよく、又は、半透明であってもよい。被覆層に衝突する(可視)光のうち90%を超える光が、被覆層を透過することができる。第1の被覆層及び/又は第2の被覆層は、被覆層が作製される材料の特徴により、光透過性であってもよい。例えば、被覆層は、層が比較的厚くても、透明な材料から作製することができる。第1の被覆層及び/又は第2の被覆層は、それぞれの層が光透過性になるように十分薄く、一方、層が製造される材料は、比較的厚い層で製造される場合、透明又は半透明でない。本明細書において記載される材料は全て、(可視)光に対して透過性であるか、又は、(可視)光に対して透過性である適した層厚で作製することができる。
【0117】
照明装置が、光源放射、特に青色及びUVのうち1つ又は複数を生成するように構成された光源と、本明細書において記載される発光材料を含む波長変換器とを含み、波長変換器は、光源放射の少なくとも一部を波長変換光(緑色、黄色、オレンジ色及び赤色の光のうち1つ又は複数等)に変換するように構成される。波長変換器は、特に、光源に放射結合される。「放射結合される」という用語は、特に、光源及び発光材料が、光源によって発せられる放射の少なくとも一部が発光材料によって受け取られる(及び、少なくとも部分的に発光に変換される)ように互いに関連していることを意味する。従って、粒子の発光コアは、コア内の発光材料の発光を提供する光源放射によって励起することができる。一実施形態において、波長変換器は、発光材料(粒子)を含むマトリクス(材料)を含む。例えば、マトリクス(材料)は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(プレキシグラス又はパースペクス)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、(PETG)(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)を含む群から選択されるもの等、透過性有機材料の支持体を含む群から選択される1つ又は複数の材料を含んでもよい。或いは又は加えて、マトリクス(材料)は、エポキシ樹脂を含んでもよい。
【0118】
照明装置は、例えば、オフィス照明システム、家庭応用システム、店舗照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、シアター照明システム、光ファイバー応用システム、投影システム、自己点灯ディスプレイシステム、画素化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警戒標識システム、医療用照明応用システム、標識用サインシステム、装飾的照明システム、ポータブルシステム、自動車応用、温室照明システム、園芸照明、又はLCDバックライトの一部であってもよく、又は、それらに適用されてもよい。
【0119】
上述のように、照明ユニットは、LCDディスプレイ装置におけるバックライトユニットとして使用することができる。従って、本発明は、バックライトユニットとして構成される、本明細書において定義される照明ユニットを含むLCDディスプレイ装置も提供する。本発明は、さらなる態様において、バックライトユニットを含む液晶ディスプレイ装置も提供し、バックライトユニットは、本明細書において定義される1つ又は複数の照明装置を含む。
【0120】
特に、光源は、作動中に、少なくとも200~490nmの範囲から選択された波長の光(光源放射)を発する光源であり、特に、作動中に、少なくとも400~490nmの範囲から選択された、とりわけ440~490nmの範囲の波長の光を発する光源である。この光は、波長変換ナノ粒子によって部分的に使用され得る(以下もさらに参照されたい)。従って、特定の実施形態では、光源は、青色光を生成するように構成される。特定の実施形態では、光源は、固体LED光源(LED又はレーザーダイオード等)を含む。「光源」という用語は、2~20の(固体)LED光源等、複数の光源にも関し得る。従って、「LED」という用語は、複数のLEDも指し得る。本明細書における白色光という用語は、当業者には知られており、特に、約2000から20000K、特に2700~20000K、一般照明に対しては、特に約2700Kから6500Kの範囲、バックライト目的に対しては、特に約7000Kから20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を有し、特に、BBL(黒体軌跡)から約15SDCM(カラーマッチングの標準偏差)内、特にBBLから約10SDCM内、とりわけBBLから約5SDCM内の光に関する。一実施形態では、光源は、約5000から20000Kの相関色温度(CCT)を有する光源放射、例えば、直接的な蛍光体変換LED(例えば、10000Kを得るための蛍光体の薄層を有する青色発光ダイオード)を提供することもできる。従って、特定の実施形態では、光源は、8000~20000K等、5000~20000Kの範囲、特に6000~20000Kの範囲の相関色温度を有する光源放射を提供するように構成される。比較的高い色温度の利点は、光源放射において比較的多い青色成分が存在し得るということであり得る。
【0121】
図4は、光源放射11、特に青色及びUVのうち1つ又は複数を生成するように構成された光源10、並びに、本明細書において定義される粒子を有する発光材料1を含む波長変換器30を含む照明装置20を概略的に描いている。波長変換器30は、例えば、シリコーン又は有機ポリマーマトリクス等のマトリクスを含んでもよく、被覆された粒子が、その中に埋め込まれる。波長変換器30は、光源放射11の少なくとも一部を波長変換光21に(波長)変換するように構成され、これは、波長変換光31及び任意的に光源放射11も少なくとも含む。波長変換光31は、本明細書において記載される被覆された粒子からの発光を少なくとも含む。しかし、波長変換器30は、任意的に、1つ又は複数の他の発光材料も含み得る。波長変換器30、又は、特に発光材料1は、0.1~100mmの距離等、ゼロではない距離d3に配置されてもよい。しかし、例えば、発光材料がLEDダイ上のドームに埋め込まれる場合等、任意的に距離はゼロであってもよい。距離d3は、LEDダイ等の光源の発光面と波長変換器30との、特に発光材料1との最短距離である。
【0122】
図5aは、第2の被覆のALD中に静的な粉末床を形成するゾル-ゲルの第1の被覆を有する発光粉末粒子を概略的に描いている。粒子は参考番号100で示されており、ゾル-ゲル被覆又は第1の被覆層は参考番号110で示されている。発光コアは参照番号102で示されており、例えば、発光窒化物又は硫化物蛍光体のマイクロメートルの大きさの粒子を含んでもよいが、発光ナノ粒子等、他の(より小さい)材料も含み得る(図5cをさらに参照されたい)。図5aにおいて概略的に示されているように、第1の被覆層110の外側の形状は、SEMにおいて見られるように、幾分穴やくぼみを持つ形状を有してもよい。一例として、図5aにおけるより小さい粒子は、例えば、ALD前駆体を示している(以下をさらに参照されたい)。参照番号100aは、ゾル-ゲルの第1の被覆層110のみを有する発光粒子100を示すために使用されている。
【0123】
図5b~5dは、粒子状発光材料のいくつかのさらなる態様を概略的に描いており;図5bは、発光材料1を示しており、ここでは例として、発光コア102、及び厚さd1を有する(ゾル-ゲル被覆によって形成される)第1の被覆層110、及び厚さd2を有する(ALDによって形成される)第2の被覆層120を有する2つの粒子、を示している。厚さは、必ずしも一定比率の縮尺ではない。第1の被覆層110におけるあり得る刻み目は描かれていない。厚さd1は、特に、第1の被覆層110にわたって平均される平均厚さであってもよく;同様に、これは、第2の厚さd2等に適用され得る(下記も参照されたい)。
【0124】
図5cは、ここでは例として量子ドット130である発光ナノ粒子を含む発光コア102を概略的に描いている。この例における量子ドットは、ZnSe等の(半導体)コア材料106と、ZnS等シェル107とを有する量子ロッドを含む。当然ながら、他の発光ナノ粒子を使用することもできる。そのような発光量子ドット130には、ハイブリッド被覆を提供することもできる。
【0125】
上述のように、被覆層は、多層を含んでもよく;特に第2の被覆層120は、多層被覆を含んでもよい。これは、図5dにおいて概略的に示されており、第2の被覆層120は、層1121を有するALD多層1120を含む。参考番号1121a、1121b、及び1121cは、例えばそれぞれ交互のAl層(例として1121b)及びTa層(例として1121a、1121c)であり得る個々の層を概略的に示している。参照番号d2は、第2の被覆層120全体の厚さを示している。個々のALD層は、例えば、0.5~20nmの範囲の厚さを有してもよい。
【0126】
図5dは、参照番号17、27、37、47、及び57と共に、それぞれの層の表面を示している。上述のように、本明細書において記載される層厚は、特に、平均の層厚である。特に、それぞれの層の領域の少なくとも50%、特に少なくとも80%が、そのような示された層厚を有する。従って、表面17と表面47との間の厚さd2を参照すると、表面17の少なくとも50%未満で、例えば5~250nmの範囲の層厚が見出されてもよく、例えばより薄い又は厚い厚さの表面積17の他の少なくとも50%未満が見出され得るが、第2の被覆(多)層120の平均d2は、5~250の示された範囲内にある。同様に、これは、本明細書において示される他の厚さにも適用され得る。例えば、表面47と表面57との間の厚さd1を参照すると、この厚さは、20~500nmの範囲で47の面積の少なくとも50%を超えてあってもよく、例えばより薄い又は厚い厚さの表面積47の他の少なくとも50%未満が見出され得るが、第1の層110の平均d1は、特に20~500等、5~500nmの示された範囲内にある。
【0127】
図5a~5dは、単一の核を有する発光粒子100を概略的に描いている。しかし、任意的に、第1の被覆層及び第2の被覆層で封入された凝集体も形成することができる。これは、特に、発光コアとしての量子ドットに適用され得る。
【0128】
図6aは、ALD被覆の前(SiOのみ)及び後(SiO上にAl)における蛍光体粉末に対する劣化時間(時間で表されている)の関数としての相対光出力を示しており、劣化条件は:60℃/100%相対湿度:ALD-1:蛍光体上の20nmのAl;ALD-2:蛍光体上の40nmのAl;ALD-3:SiO被覆上に堆積した20nmのAl;SiO-1:蛍光体上のゾル-ゲルSiO被覆(ALD-3の基盤);である。ゾル‐ゲル被覆材料のみ又はALD被覆材料のみは、ハイブリッド被覆に劣ることが明らかである。
【0129】
図6bは、時間で表されている劣化時間の関数としての相対光出力を示しており(85℃/100%RH);ALD-3:SiO被覆上の20nmのAl;ALD-4:薄いSiO層(<10nm)上に堆積された、20nmのΑl/Taナノラミネート;ALD-5:SiO被覆上に堆積された、20nmのΑl/Taナノラミネート;;ALD-6:SiO被覆上に堆積された、20nmのΑl/HfOナノラミネート;である。数ある中でも、これらの図面から、Alと第2の酸化物とのALD多層は、「単純な」AlALD被覆よりも優れた挙動を提供すると結論することができる。図6aにおけるALD-3の試料は図6bと同じであり;しかし、測定条件(温度)は異なっていた。
【0130】
図6cは、時間で表されている劣化時間の関数としての相対光出力(LO)を示しており(85℃/100%RH);ALD-3及びALD-6の試料は上記の通りであり;ALD-7は、薄いSiO層(<10nm)上の20nmのΑl/HfOナノラミネートを有し(ナノラミネート設計:4x[1.5nmのΑl/3.5nmのHfO])、ALD-8は、薄いSiO層(<10nm)上の10nmのΑl/HfOナノラミネートを有する(ナノラミネート設計:2x[1.5nmのΑl/3.5nmのHfO])。より厚いゾル-ゲル層及び/又はより多くの積層ナノラミネートが、薄いゾル-ゲル層又はわずか数層の多層ラミネートよりも優れた結果を提供するということが明らかである。ALD-5及びALD-6は、約100~200nmの範囲のゾル-ゲル被覆を有する。
【0131】
特定の実施形態が開示されてきたけれども、これらの実施形態は単なる例であり、限定的であるとしてとらえるべきではない。開示される実施形態の特徴の様々な適応及び組み合わせが、特許請求の範囲の範囲内にある。
【0132】
実施形態を詳細に記載すると、当業者は、本開示が与えられると、本発明の概念の真意から逸脱することなく、本明細書において記載される実施形態に修正を加えることができるということを正しく理解することになる。従って、本発明の範囲は、例示及び記載される特定の実施形態に限定されると意図しない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c