(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】接続された誘電体共振器アンテナアレイおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/04 20060101AFI20220804BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20220804BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01P11/00
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2019547502
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 US2018029008
(87)【国際公開番号】W WO2018204125
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パンセ、クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー、ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】セスーマドハバン、ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】スプレントール、カール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ショーン ピー.
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06198450(US,B1)
【文献】H.Gharsallah et al.,"Enhancement of Bandwidth and Gain of a Multilayer Circularly Polarized DRA",2016 5th International Conference on Multimedia Computing and Systems,2016年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/04
H01P 11/00
H01Q 21/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作周波数および関連する波長で動作する接続された誘電体共振器アンテナアレイ(接続されたDRAアレイ)であって、前記接続されたDRAアレイは、
複数の誘電体共振器アンテナ(DRA)
であって、複数のDRAのそれぞれは、少なくとも1つの非気体誘電体材料のボリュームを含
む、複数のDRAと、
導電性接地構造と、を含み、
前記複数のDRAのそれぞれは、比較的薄い接続構造部を介して前記複数のDRAの少なくとも他の1つに物理的に接続され、各接続構造部は、前記複数のDRAの1つの全体の外形寸法と比較して比較的薄く、
前記接続されたDRAアレイは、
各接続構造部は立面図で観察されるときに対応する接続されたDRAの全体の高さよりも低い断面の全体の高さを有し、かつ非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームの少なくとも1つから形成されることと、
各接続構造部および非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームの関連するボリュームは、
前記接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成することと、
前記複数のDRAのそれぞれは、対応するDRAの基部に近位端を有し、対応するDRAの頂点に遠位端を有し、かつ比較的薄い接続構造部のそれぞれは、それぞれが対応するDRAの遠位端に近接して配置されることと、
それぞれの対応するDRAの基部は
前記導電性接地構造の上に配置さ
れ、それぞれの対応するDRAの頂点は、前記導電性接地構造から離間しているある距離にて配置されるように構成され、かつ、それぞれの対応する接続構造部のそれぞれの部分は、それぞれが対応するDRAの近位端から離間しているある距離にて配置されるように構成されることと、
によって特徴づけられる、接続された誘電体共振器アンテナアレイ。
【請求項2】
前記複数のDRAのそれぞれは、N個のボリュームを含む誘電体材料の複数のボリュームをさらに含み、Nは3以上の整数であり、連続かつ順次の層状ボリュームV(i)を形成するように配置され、iは1からNの整数であり、ボリュームV(1)は最も内側のボリュームを形成し、少なくともV(i+1)から少なくともV(N-1)までの連続するボリュームは、ボリュームV(i)の上に配置され、かつボリュームV(i)を少なくとも部分的に埋め込む層状シェルを形成し、ボリュームV(N)はボリュームV(1)からV(N-1)までのすべてのボリュームを少なくとも部分的に埋め込む、請求項1に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項3】
前記層状シェルが非気体誘電体材料を含む、請求項2に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項4】
各接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の高さの50%以下である断面の全体の高さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項5】
各接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の高さの20%以下である断面の全体の高さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項6】
各接続構造部は、接続されたDRAアレイの動作波長以下である断面の全体の高さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項7】
各接続構造部は、接続されたDRAアレイの動作波長の50%以下である断面の全体の高さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項8】
各接続構造部は、接続されたDRAアレイの動作波長の25%以下である断面の全体の高さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項9】
Nは4以上であり、かつ
V(2)~V(N-1)の全てのボリュームは、それぞれが定義されたシェルの厚さを有する非気体誘電体材料のボリュームである
、請求項2~8のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項10】
さらに、比較的薄い接続構造部のそれぞれは、接続されたDRAアレイの動作波長の50%以下である断面の全体の幅を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項11】
さらに、比較的薄い接続構造部のそれぞれは、接続されたDRAアレイの動作波長の25%以下である断面の全体の幅を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項12】
複数のDRAは、平面上で互いに間隔を空けて配置され、前記接続構造部は、前記複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続し、複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続しない、請求項1~11のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項13】
複数のDRAは、平面上で互いに対して間隔を空けて配置され、前記接続構造部は、複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続し、複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続しない、請求項1~11のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項14】
複数のDRAは、平面上で互いに間隔を空けて配置され、前記接続構造部は、複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続し、複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続する、請求項1~11のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項15】
誘電体材料の複数のボリュームの最も外側の非気体ボリュームおよび比較的薄い接続構造部は、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する、請求項2~14のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項16】
誘電体材料の複数のボリュームの最も内側の非気体ボリュームおよび比較的薄い接続構造部は、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する、請求項2~14のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項17】
誘電体材料の複数のボリュームの最も内側のボリュームと最も外側の非気体ボリュームとの間に配置された非気体ボリュームおよび比較的薄い接続構造部は、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する請求項2~14のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項18】
複数のDRAは、平面上で互いに間隔を空けて配置され、第1のセットの接続構造部は、複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続し、かつ複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続せず、第2のセットの接続構造部は、複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続し、かつ複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続しない、請求項2~11のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項19】
前記第1のセットの接続構造部は、誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(A)を相互接続し、ここでAは1からNまでの整数であり、接続されたDRAアレイの第1の単一のモノリシック部分を形成し、
前記第2のセットの接続構造部は、誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(B)を相互接続し、ここで、Bは1からNの整数であり、かつAはBに等しくなく、接続されたDRAアレイの第2の単一のモノリシック部分を形成する、請求項18に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項20】
複数のDRAのそれぞれは、電界方向線を有する電界を放射するように構成されており、
各接続構造部は、電界方向線と一致しておらず、かつ電界方向線と平行ではない長手方向を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項21】
各接続構造部は、対応するDRA間の単一の直線経路以外の接続経路を介して、複数のDRAの最も近い対、最も近い隣接する対、または対角線上に最も近い対を接続する、請求項1~20のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項22】
複数のDRAは、平面上で互いに間隔を空けて配置されており、
第1のセットの接続構造部は、誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(A)を相互接続し、ここでAは1からNまでの整数であり、接続されたDRAアレイの第1の単一のモノリシック部分を形成し、
第2のセットの接続構造部は、誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(B)を相互接続し、ここで、Bは1からNの整数であり、かつAはBに等しくなく、接続されたDRAアレイの第2の単一のモノリシック部分を形成する、請求項2~8のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項23】
各接続構造部は、複数のDRAの最も近い隣接する対の間の各領域に貫通開口部を含む請求項1~9および21のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項24】
平面図で観察されるように、各貫通開口部は、対応する接続構造部を介して複数のDRAの最も近い隣接する対の間の直線クロストークを防ぐのに十分な長さまたは幅を有する、請求項23に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項25】
複数のDRAのそれぞれは、対応するDRAの基部に近位端を有し、対応するDRAの頂点に遠位端を有し、かつ
比較的薄い接続構造部のそれぞれは、それぞれが対応するDRAの近位端と遠位端の間に配置される請求項1~15のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項26】
前記複数のDRAのそれぞれは、
誘電体材料の対応する複数のボリュームの1つまたは複数に電磁的に結合されるように配置および構造化された信号フィードをさらに含む、請求項
1に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項27】
前記複数のDRAのそれぞれの最も内側のボリュームV(1)のそれぞれが気体を含む、請求項2~
26のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項28】
前記複数のDRAのそれぞれの少なくとも最も内側のボリュームV(1)は、立面図で観察されるように、対応するDRAの基部で楕円形の広い部分に近接して切断された、切断された楕円形状である断面形状を有する、請求項2~
27のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項29】
前記複数のDRAのそれぞれが、ドーム形状または半球形状の遠位上部を有する、請求項1~
27のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項30】
複数のDRAのそれぞれの誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームは、平面図で観察されると、円形または楕円形の断面形状を有する、請求項2~
29のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項31】
複数のDRAのそれぞれの誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームは、誘電体材料の対応する複数のボリュームの他のボリュームのそれぞれに対して同じ横方向において中央および側方にシフトされる請求項2~
30のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項32】
前記複数のDRAが、均一な周期的パターンでx-yグリッド上で互いに対して離間している、請求項1~
31のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項33】
請求項2~14のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイを製造する方法であって、
少なくとも1つの硬化性媒体を介して、誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも2つのボリューム、または誘電体材料の複数のボリュームのすべてのボリュームと、関連する比較的薄い接続構造部とを形成するステップであって、各接続構造部および誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも2つのボリュームの関連するボリュームは、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成し、少なくとも1つの硬化性媒体がその後少なくとも部分的に硬化される、前記形成するステップ、
を含む、方法。
【請求項34】
接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのそれぞれを、誘電体材料の複数のボリュームのうちの次のボリュームを形成する前に、ボリュームごとに少なくとも部分的に硬化させることをさらに含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
誘電体材料の複数のボリュームのすべてを形成した後、接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのすべてを全体として少なくとも部分的に硬化させることをさらに含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項36】
前記形成することは、モールドを介して成形することを含み、
k番目のポジティブモールド部(kは1から始まる1からMまでの連続した整数であり、Mは1より大きく、(N-1)以下である)と、相補的なネガティブモールド部とを提供することであって、互いに閉じると、それらの間にk番目のモールドキャビティを形成する、前記提供することと、
k番目のモールドキャビティを少なくとも1つの硬化性媒体のk番目の硬化性媒体で満たすことであって、続いて少なくとも部分的に硬化して、誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つのボリュームを含む接続されたDRAアレイの最も外側のボリュームと関連する比較的薄い接続構造部とを形成して、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する、前記満たすことと、
k番目のポジティブモールド部を取り外して(k+1)番目のポジティブモールド部と交換して、ネガティブモールド部に対して(k+1)番目のモールドキャビティを形成することであって、(k+1)番目のモールドキャビティは(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を残しながら硬化性媒体を用いて部分的にのみ満たされる、前記モールドキャビティを形成をすることと、
(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことであって、その後少なくとも部分的に硬化させて、誘電体材料の複数のボリュームのうちの(k+1)番目のボリュームを含む、接続されたDRAアレイの(k+1)番目のボリュームを形成し、誘電体材料の(k+1)番目のボリュームは、誘電体材料のk番目のボリューム内に少なくとも部分的に埋め込まれている前記満たすことと、
任意選択的に、誘電体材料の複数のボリュームの定義された数のボリュームが連続的に形成されるまで、kの値を1つ増やし、そして、k番目のポジティブモールド部を取り外して(k+1)番目のポジティブモールド部と交換することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすこととを含むステップを繰り返すことと、
接続されたDRAアレイを提供するためにネガティブモールド部に対して(k+1)番目のポジティブモールド部を分離することと、
をさらに含む、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記形成することは、モールドを介して成形することを含み、
k番目のネガティブモールド部(kは1から始まる1からMまでの連続した整数であり、Mは1より大きく、(N-1)以下である)と、相補的なポジティブモールド部とを提供することであって、互いに閉じると、それらの間にk番目のモールドキャビティを形成する、前記提供することと、
k番目のモールドキャビティを少なくとも1つの硬化性媒体のk番目の硬化性媒体で満たすことであって、続いて少なくとも部分的に硬化して、接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのうちの最も内側のボリュームを形成する、前記満たすことと、
k番目のネガティブモールド部を取り外して(k+1)番目のネガティブモールド部と交換して、ポジティブモールド部に対して(k+1)番目のモールドキャビティを形成することであって、(k+1)番目のモールドキャビティは(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を残しながら硬化性媒体を用いて部分的にのみ満たされる、前記モールドキャビティを形成することと、
(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことであって、その後少なくとも部分的に硬化させて、誘電体材料の複数のボリュームのうちの(k+1)番目のボリュームを含む、接続されたDRAアレイの(k+1)番目のボリュームを形成し、誘電体材料のk番目のボリュームは、誘電体材料の(k+1)番目のボリューム内に少なくとも部分的に埋め込まれている前記満たすことと、
任意選択的に、誘電体材料の複数のボリュームの定義された数のボリュームが連続的に形成されるまで、kの値を1つ増やし、そして、k番目のネガティブモールド部を取り外して(k+1)番目のネガティブモールド部と交換することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことと、を含むステップを繰り返すことと、
接続されたDRAアレイを提供するためにポジティブモールド部に対して(k+1)番目のネガティブモールド部を分離することと、
誘電体材料の複数のボリュームの最も外側のボリュームは、誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つのボリュームと、接続されたDRAアレイの単一のモノリシックな部分を形成する関連する比較的薄い接続構造部と、を含むことと、
をさらに含む、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
最後の1つ前のk番目のポジティブモールド部を取り外した後で、かつ最後の1つ前のk番目のポジティブモールド部を最後の(k+1)番目のポジティブモールド部と交換する前に、導電性金属フォームをモールドに挿入して、接続されたDRAアレイが配置される接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供することと、その後、最後の(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の最後の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことと、をさらに含む、請求項
36に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの硬化性媒体の第1の硬化性媒体を成形する前に、導電性金属フォームをモールドに挿入して、接続されたDRAアレイが配置される接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供することをさらに含む、請求項
37に記載の方法。
【請求項40】
前記成形することは、射出成形することを含む、請求項
33~
39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記形成することは、三次元(3D)印刷することを含む、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を形成する導電性金属上に、誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも2つのボリューム、または誘電体材料の複数のボリュームのすべてのボリュームと、接続されたDRAアレイの関連する比較的薄い接続構造部と、を3D印刷することをさらに含む、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
前記形成することは、スタンピングすることを含む、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記形成することは、インプリンティングすることを含む、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を形成する導電性金属上に、前記接続されたDRAアレイの、前記誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも2つのボリュームまたは前記誘電体材料の複数のボリュームのすべてのボリュームと、関連する比較的薄い接続構造部と、をインプリンティングすることをさらに含む、請求項
44に記載の方法。
【請求項46】
誘電体材料の複数のボリュームの内側に形成された硬化性媒体は第1の誘電率を有し、
誘電体材料の複数のボリュームの直接隣接して外側に形成された硬化性媒体は、第2の誘電率を有し、かつ
第1の誘電率と第2の誘電率は異なり、好ましくは、第1の誘電率は第2の誘電率よりも大きい、請求項
33~
45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
第1の硬化性媒体は第1の誘電率を有するポリマーを含み、
第2の硬化性媒体は、第2の誘電率を有するポリマーを含み、
第2のポリマーは第1のポリマーとは異なる、請求項
46に記載の方法。
【請求項48】
第1の硬化性媒体は、第1の誘電率を有するポリマーを含み、
第2の硬化性媒体は、第2の誘電率を有するポリマーを含み、
第2のポリマーは第1のポリマーと同じであり、
第1の誘電率と第2の誘電率との間の差に影響を与えるために、第1の硬化性媒体および第2の硬化性媒体の少なくとも一方に分散された少なくとも1つの充填材材料をさらに含む、請求項
46~
47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記接続されたDRAアレイの前記誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームの中心コアボリュームV(1)が気体を含む、請求項
33~
48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つの硬化性媒体を介して、誘電体材料の複数のボリュームの少なくとも2つのボリュームを形成することは、
第1の流動温度を有する第1の材料から誘電体材料の複数のボリュームの第1のボリュームを形成するステップと、
続いて、第1の流動温度より低い第2の流動温度を有する第2の材料から誘電体材料の複数のボリュームの第2のボリュームを形成するステップであって、第2のボリュームは第1のボリュームに隣接して配置される、前記第2のボリュームを形成するステップと、
を含む、請求項
33~
49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
第1の材料が第1の誘電率を有し、第2の材料が第1の誘電率よりも大きい第2の誘電率を有し、好ましくは第1の誘電率が3以上である、請求項
50に記載の方法。
【請求項52】
第1の材料が第1の誘電率を有し、第2の材料が第1の誘電率よりも小さい第2の誘電率を有し、好ましくは第2の誘電率が3以上である、請求項
50に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の材料が、前記第1の材料を少なくとも部分的に埋め込む、請求項
50~
52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
それぞれの接続構造部は立面図で観察されるときに対応する接続されたDRAの全体の幅よりも小さい断面の全体の幅を有する、請求項1~
32のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項55】
前記誘電体材料の複数のボリュームの内側に配置されたボリュームは第1の誘電率を有し、
前記誘電体材料の複数のボリュームの直接隣接して外側に配置された非気体ボリュームは第2の誘電率を有し、
前記第1の誘電率は前記第2の誘電率より大きい、請求項2、3、9、15~19、22、
27、
28、
30および
31のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項56】
前記接続構造部のそれぞれは、前記第2の誘電率を有する誘電体材料の複数のボリュームの外側に配置された非気体ボリュームと一体的に形成されている、請求項
55に記載の接続されたDRAアレイ。
【請求項57】
前記第1の誘電率は3以上である、請求項
55~
56のいずれか一項に記載の接続されたDRAアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、誘電体共振器アンテナアレイ(DRAアレイ)に関し、特に、多層誘電体共振器アンテナ(DRA)構造を有するアレイに関し、より具体的には、マイクロ波およびミリ波用途に十分に適した接続されたDRAアレイ構造を形成する少なくとも1つの単一のモノリシック部分を有する広帯域多層DRAアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の共振器およびアレイはパッチアンテナを採用しており、そのようなアンテナは意図した目的に適している場合もあり得る一方で、制限された帯域幅、制限された効率、従って制限された利得などの欠点も有する。帯域幅を改善するために採用されてきた技術は、典型的には、高価かつ複雑な多層およびマルチパッチ設計につながっており、25%を超える帯域幅を達成することは依然として困難である。さらに、多層設計により単位セルの固有損失が加わるので、アンテナの利得が低下する。加えて、金属基板と誘電体基板との複雑な組み合わせを使用するパッチおよびマルチパッチアンテナアレイは、3次元(3D)印刷(積層造形とも称される)のような、今日利用可能な新しい製造技術を使用してそれらを製造することを困難にする。さらに、マイクロ波およびミリ波用途に適したDRAアレイを提供するためのDRAアレイ内における小さなDRAの相対的な位置決めは、個々のDRAの不適切に配置されたアレイがDRAアレイの全体の性能に重要な影響を及ぼし得るので、コストのかかる製造技術またはプロセスが必要になる場合がある。
【0003】
したがって、既存のDRAはそれらの意図された目的に適しているかもしれないが、上記した欠点を克服することができるDRAアレイ構造を備えるものであればDRAの技術を進歩させることになるであろう。
以下の刊行物は有用な背景技術として考慮され得る:(1)米国特許第6198450B1号明細書(アダチ、ナオキ(日本)他)2001年3月6日(2001-03-06)および(2)米国特許出願公開第2004/119646A1号明細書(オオノ、タケシ(日本)他)2004年6月24日(2004-06-24)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、動作周波数および関連する波長で動作する接続された誘電体共振器アンテナアレイ(connected dielectric resonator antenna array)(接続されたDRAアレイ)を含む。接続されたDRAアレイは、複数の誘電体共振器アンテナ(DRA)を含み、複数のDRAのそれぞれは、少なくとも1つの非気体誘電体材料のボリューム(volume)を有し、複数のDRAのそれぞれは比較的薄い接続構造部を介して複数のDRAの少なくとも他の1つに物理的に接続されており、各接続構造部は複数のDRAの1つの全体の外形寸法と比較して比較的薄く、各接続構造部はそれぞれの接続されたDRAの全体の高さよりも低い断面の全体の高さ(cross sectional overall height)を有し、かつ非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームの少なくとも1つから形成されており、各接続構造部および非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームの関連するボリュームは、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】一実施形態に従う接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図1B】一実施形態に従う、
図1Aの切断線1B-1Bを通る断面立面図を示し、接続されたDRAの最も外側の固体ボリュームが接続構造部と一体的に形成されている。
【
図2A】一実施形態に従う、接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図2B】一実施形態に従う、
図2Aの切断線2B-2Bを通る断面立面図を示し、接続されたDRAの最も外側の固体ボリュームが接続構造部と一体的に形成されている。
【
図3A】一実施形態に従う、接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図3B】一実施形態に従う、
図3Aの切断線3B-3Bを通る断面立面図を示し、接続されたDRAの最も外側の固体ボリュームが接続構造部と一体的に形成されている。
【
図3C】一実施形態に従う、
図3Aの切断線3C-3Cを通る断面立面図を示す。
【
図4】一実施形態に従う、接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図5】一実施形態に従う、接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図6】一実施形態に従う、接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示す。
【
図7】
図3Bの断面図と同様の断面図を示すが、一実施形態に従って、接続されたDRAの最も内側の固体ボリュームが接続構造部と一体的に形成されている。
【
図8】
図3Bの断面図と同様の断面図を示すが、一実施形態に従って、接続されたDRAの最も内側の固体ボリュームと最も外側の固体ボリューム以外の固体ボリュームが、接続構造部と一体的に形成されている。
【
図9】一実施形態に従う、
図5の切断線9-9を通る断面立面図を示し、接続されたDRAの最も内側の固体ボリュームが第1のセットの接続構造部と一体的に形成されている。
【
図10】一実施形態に従う、
図5の切断線10-10を通る断面立面図を示し、接続されたDRAの最も外側の固体ボリュームが第2のセットの接続構造部と一体的に形成されている。
【
図11】
図3Aと同様の接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示し、一実施形態に従って、各DRAは、電界方向線を有する電界(E-field)を放射するように構成され、各接続構造部は、電界方向線と一致せず、かつ電界方向線と平行ではない長手方向線を有する。
【
図12】
図4と同様の接続されたDRAの4×3アレイの平面図を示し、一実施形態に従って、各DRAは、電界方向線を有する電界を放射するように構成され、各接続構造部は、電界方向線と一致せず、かつ電界方向線と平行ではない長手方向線を有する。
【
図13】
図3Bと同様の接続されたDRAアレイの断面立面図を示すが、一実施形態に従って、各接続構造部は対応するDRAのそれぞれの遠位端に近接して配置されている。
【
図14】
図3Bと同様の接続されたDRAアレイの断面立面図を示すが、一実施形態に従って、各接続構造部は、対応するDRAのそれぞれの近位端と遠位端との間に配置されている。
【
図15】一実施形態に従って、複数のDRAの対応するそれぞれと1対1の関係で配置された複数の一体的に形成された導電性電磁反射器を有する一体型フェンス構造(unitary fence structure)を備えたDRAの3×アレイの断面立面図を示す。
【
図16A】一実施形態に従って、2×2の接続されたDRAアレイおよび一体型フェンス構造の分解されたアセンブリの回転等角図を示す。
【
図17】一実施形態に従う、2×2の接続されたDRAアレイおよび
図16Aの一体型フェンス構造の代替である一体型フェンス構造の分解されたアセンブリの回転等角図を示す。
【
図18】一実施形態に従う、
図15のDRAの3×アレイと同様であるが、一体型フェンス構造が接地されたDRAの3×アレイの断面立面図を示す。
【
図19】一実施形態に従う、
図15に示されたDRAの3×アレイと同様のDRAの3×アレイの分解されたアセンブリ断面立面図を示す。
【
図20】一実施形態に従う、2×2の接続されたDRAアレイと、
図16Aおよび
図17の一体型フェンス構造の代替である一体型フェンス構造と、の分解されたアセンブリの回転等角図を示す。
【
図21A】一実施形態に従う、成形プロセスの連続的な段階を示す。
【
図21B】一実施形態に従う、成形プロセスの連続的な段階を示す。
【
図21C】一実施形態に従う、成形プロセスの連続的な段階を示す。
【
図23A】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【
図23B】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【
図23C】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【
図23D】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【
図23E】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【
図23F】一実施形態に従う、接続されたDRAアレイのDRAの周期的配置および非周期的配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付した図面に関連して解釈されるとき、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
添付図面において同様の要素には同様の番号が付けられている例示的かつ非限定的な図面を参照する。
【0007】
以下の詳細な説明には、例示の目的で多くの詳細が含まれるが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形および変更が特許請求の範囲の範囲内であることを理解するであろう。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明に対する一般性を損なうことなく、また制限を課すことなく記載されている。
【0008】
本明細書で開示される実施形態は、接続されたDRAアレイを形成する複数の層状かつ接続されたDRAを利用する広帯域DRAアレイを構築するのに有用な異なる配置を含み、異なる配置は、所定のDRAアレイ内の複数のDRAのそれぞれについて、異なる厚さ、異なる誘電率(Dks)、または異なる厚さおよび異なる誘電率の両方を有する誘電体層の共通の構造を採用する。結果として得られる接続されたDRAアレイは、個々のDRAを相互接続する少なくとも1つの単一のモノリシック部分を含み、形成された接続されたDRAアレイの各DRAは、層状に配置された誘電体材料の複数のボリュームを有し、それらの誘電体材料のボリュームの少なくとも1つは、複数のDRAの最も近い隣接する対、または複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続する比較的薄い接続構造部と一体的に形成されている。本明細書で使用される場合、「複数のDRAの最も近い隣接する対(closest adjacent pairs of the plurality of DRAs)」という句と「複数のDRAの対角線上で最も近い対(diagonally closest pairs of the plurality of DRAs)」という句は区別される。例えば、x-yグリッド(平面図の観点から)上で、DRAの最も近い隣接する対は、対角線上に配置された隣接対などのような、DRAの他の隣接対よりも互いに近いDRAの隣接対であり、複数のDRAの対角線上で最も近い対は、対角線上に配置された最も近い隣接対である、DRAの隣接対である。
【0009】
多層DRAの特定の形状は、各層について選択された誘電率に依存する。多層シェルのそれぞれは、立面図で見たときに、例えば、円筒形、楕円形、卵形、ドーム形または半球形の断面形状を有していてもよく、あるいは本明細書に開示された目的に適した他の形状であってもよく、例えば、平面図で見たときに、円形、楕円形または卵形の断面形状を有していてもよく、または本明細書で開示する目的に適した他の形状であってもよい。コアでの第1の相対的な最小値からコアおよび外側層の間の相対的な最大値まで、そして外層での第2の相対的な最小値へと戻すよう、異なる層状シェルにわたり誘電率を変化させることにより、広い帯域幅(例えば50%を超える)を達成することができる。シフトシェル構成を採用することによって、あるいは層状シェルに非対称構造を採用することによって、バランスの取れた利得を達成することができる。各DRAは、非常に広い帯域幅を達成するために、垂直ワイヤ延長を備えた同軸ケーブルであり得る信号フィード(signal feed)を介して、またはDRAの対称性に応じて異なる長さおよび形状の導電性ループを介して、またはマイクロストリップ、導波路もしくは表面集積導波路を介して、給電される。一実施形態において、信号フィードは半導体チップフィードを含むことができる。本明細書で開示されるDRAの構造は、圧縮もしくは射出成形、3D印刷、スタンピング、インプリンティング(imprinting)などの3D材料堆積プロセス、または本明細書で開示される目的に適した他の製造プロセスなどの方法を使用して製造することができる。
【0010】
本明細書で開示されるDRAおよび接続されたDRAアレイのいくつかの実施形態は、広帯域および高利得が望まれるマイクロ波およびミリ波の用途で使用するために、マイクロ波およびミリ波の用途でのパッチアンテナアレイと置き換えるために、10~20GHzレーダでの用途にて使用するために、60GHzの通信用途で使用するために、またはバックホール用途ならびに77GHzの放射器およびアレイ(例えば、自動車レーダー用途など)において使用するために、適している。本明細書で提供されるいくつかの図を参照して、異なる実施形態を説明する。しかしながら、一実施形態において見られるが別の実施形態においては見られない特徴、例えば、以下で詳細に説明するフェンスなどが、他の実施形態で採用されてもよいことが理解されよう。
【0011】
一般に、本明細書では、接続されたDRAアレイのDRAのファミリーについて説明されており、各ファミリーメンバーは、導電性接地構造の上に配置できる複数のDRAを含み、各DRAは少なくとも1つの非気体誘電体材料のボリュームを含む。複数のDRAのそれぞれは、比較的薄い接続構造部(relatively thin connecting structure)を介して複数のDRAの少なくとも1つの他のものに物理的に接続されている。各接続構造部は、複数のDRAのうちの1つの全体の外形寸法と比較して比較的薄く、対応する接続されたDRAの全体の高さよりも低い断面の全体の高さを有し、そして、非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームのうちの少なくとも1つから形成されている。各接続構造部と、非気体誘電体材料の少なくとも1つのボリュームの関連するボリュームは、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する。
【0012】
本明細書でさらに説明されるのは、接続されたDRAアレイ用のDRAのファミリーであり、各ファミリーメンバーは、導電性接地構造上に配置され得る誘電体材料の複数のボリュームを含む。複数のボリュームのうちの各ボリュームV(i)(i=1からNであり、iおよびNは整数であり、Nはボリュームの総数を示す)は、以前のボリューム上に配置され、以前のボリュームを少なくとも部分的に埋め込む層状シェルとして配置され、ここでV(1)は最も内側の層/ボリュームであり、かつV(N)は最も外側の層/ボリュームである。一実施形態において、例えば、少なくともV(i+1)から少なくともV(N-1)までの1つ以上の層状シェルのような、下にあるボリュームを埋め込む層状シェルは、下にあるボリュームを完全に100%埋め込む。しかしながら、別の実施形態において、少なくともV(i+1)から少なくともV(N-1)までの1つ以上の層状シェルのような、下にあるボリュームを埋め込む層状シェルは、少なくとも部分的に下にあるボリュームを意図的に埋め込むことができる。下にあるボリュームを埋め込む層状シェルが完全に100%埋め込む本明細書に記載の実施形態において、そのような埋め込みは、製造またはプロセスのばらつきにより、それが意図的であるか否かに関わらず、1つ以上の意図的な空隙または穴を含むことに起因してさえ、上にある誘電体層に存在し得る微視的な空隙を含むことが理解されよう。したがって、完全に100%という用語は、ほぼ完全に100%を意味すると最もよく理解される。一実施形態において、ボリュームV(N)は、ボリュームV(1)~V(N-1)の全てを少なくとも部分的に埋め込む。
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、Nを奇数として示しているが、本発明の範囲はそれに限定されない、すなわち、Nは偶数であってもよいと考えられる。本明細書において記載され、図示されるように、Nは3以上、または代替的に、Nは4以上であり、ボリュームV(2)~V(N-1)の全ては固体または非気体誘電体材料のボリュームであり、各々は定義されたシェルの厚さを有している。一実施形態において、第1のボリュームV(1)は、空気、真空、または本明細書に開示される目的に適した任意の気体であり得る。一実施形態において、外側ボリュームV(N)は、自由空間にほぼ等しい誘電率を有する、気体、非気体、または真空の誘電体材料であってもよい。本明細書では固体誘電体材料のボリュームについて言及されているが、非気体(non-gaseous)という用語は固体(solid)という用語に置き換えることができ、固体および非気体という用語の両方が本明細書に開示される本発明の範囲内であるとみなされることは理解されよう。本明細書では、空気(air)である誘電体材料のボリュームについて言及されているが、空気は、真空、自由空間、または本明細書に開示する目的に適した任意の気体に置き換えることができ、これらはすべて、本明細書に開示される本発明の範囲内であると考えられることが理解されよう。
【0014】
誘電体材料の複数のボリュームのうちの直接隣接する(つまり密接に接触する)ものの比誘電率(εi)は、層ごとに異なり、一連のボリュームの範囲内において、i=1における第1の相対最小値から、i=2からi=(N-1)における相対最大値に、そして、i=Nにおける第2の相対最小値に戻る範囲にわたる。一実施形態において、第1の相対最小値は第2の相対最小値に等しい。別の実施形態において、第1の相対最小値は第2の相対最小値とは異なる。別の実施形態において、第1の相対最小値は第2の相対最小値よりも小さい。例えば、5つの層、N=5を有する非限定的な実施形態において、誘電体材料の複数のボリュームの誘電率(i=1~5)は、次の通り;ε1=2、ε2=9、ε3=13、ε4=9およびε5=2であり得る。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの正確な誘電率の値に限定されず、本明細書で開示する目的に適した任意の誘電率を包含することが理解されよう。
【0015】
DRAの励起は、例えば、誘電体の複数のボリュームの1つ以上に電磁的に結合された、銅線、同軸ケーブル、マイクロストリップ、導波路、表面集積導波路、または導電性インクなどの信号フィードによって提供される。当業者には理解されるように、電磁的に結合されるという語句は、ある場所から別の場所への電磁エネルギーの意図的な伝達を指す用語であり、その場合、2つの場所の間の物理的接触を必ずしも必要とせず、実施形態に関して本明細書に開示されている用語は、より具体的には、誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つ以上の特定のボリュームの電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有する信号源間の相互作用を指す。例えば、ボリュームV(1)に電磁的に結合される信号フィードは、例えば、信号フィードがボリュームV(1)の電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有するように特に構成されており、任意の他のボリュームV(2)~V(N)の電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有するように特に構成されていないことを意味する。DRAに直接埋め込まれた信号フィードでは、信号フィードは、接地構造の開口部を介して、接地構造と非電気的な接触にて接地構造を通過し、誘電体材料の複数のボリュームの1つに入る。本明細書において使用されるとき、誘電体材料への言及は、標準大気圧(1気圧)および温度(摂氏20度)で約1の比誘電率(εr)を有する空気を含む。したがって、本明細書で開示される誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つまたは複数は、非限定的に例示するように、ボリュームV(1)またはボリュームV(N)など、空気であり得る。本明細書で使用される「比誘電率(relative permittivity)」という用語は、単に「誘電率(permittivity)」と略されるか、または「誘電率(dielectric constant)」という用語と交換可能に使用される場合がある。使用される用語に関係なく、当業者は、本明細書で提供される本発明の開示全体を読むことにより、本明細書で開示される本発明の範囲を容易に理解するであろう。
【0016】
本明細書で開示される接続されたDRAアレイの実施形態は、動作周波数(f)および関連する波長(λ)で動作するように構成される。いくつかの実施形態において、所与の接続されたDRAアレイ内の複数のDRAの最も近い隣接する対の間の(所与のDRAの全体の配置(geometry)を介した)中心間の間隔は、λ以下(ここで、λは自由空間における接続されたDRAアレイの動作波長である)であってもよい。いくつかの実施形態において、所与の接続されたDRAアレイ内の複数のDRAの最も近い隣接する対の間の中心間の間隔は、λ以下、かつλ/2以上であってもよい。いくつかの実施形態において、所与の接続されたDRAアレイ内の複数のDRAの最も近い隣接する対の間の中心間の間隔は、λ/2以下であってもよい。例えば、λでの周波数が10GHzに等しい場合、1つのDRAの中心から最も近い隣接する(closet adjacent)DRAの中心までの間隔は、約30mm以下、または約15mm~約30mmの間、または約15mm以下である。
【0017】
いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、立面図で観察されるように、対応する接続されたDRAの全体の高さ「H」よりも小さい断面の全体の高さ「h」を有する(例えば、
図3A、3B、3Cを参照)。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の高さの50%以下の断面の全体の高さを有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の高さの20%以下の断面の全体の高さを有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、λ未満である断面の全体の高さを有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、λ/2以下である断面の全体の高さを有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、λ/4以下である断面の全体の高さを有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、立面図で観察されるように、対応する接続されたDRAの全体の幅「W」よりも小さい断面の全体の幅「w」をさらに有する(例えば、
図3A、3B、3Cを参照)。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の幅の50%以下の断面の全体の幅を有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、対応する接続されたDRAの全体の幅の20%以下の断面の全体の幅を有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部は、λ/2以下である断面の全体の幅を有する。いくつかの実施形態において、比較的薄い接続構造部はさらに、λ/4以下である断面の全体の幅を有する。
【0019】
上記を考慮して、本明細書に開示され、以下により詳細に説明される任意の接続されたDRAは、一般に、対応する接続されたDRAの全体の高さ「H」よりも小さい断面の全体の高さ「h」を有し、対応する接続されたDRAの全体の幅「W」よりも小さい断面の全体の幅「w」を有するか、あるいは、前述の記載と一致する任意の他の高さ「h」および幅「w」、特に、動作波長λに対する高さ「h」および幅「w」に関して任意の他の高さ「h」および幅「w」を有する、比較的薄い接続構造部を有していてもよい。
【0020】
平面図または平面図の断面で見られるフットプリント(footprint)の2D形状、立面図または立面図の断面で見られる3D形状のボリュームなど、誘電体材料の複数のボリュームの層状ボリュームに対する変更、所与の複数のボリュームの1つのボリュームの別のボリュームに対する対称性または非対称性、および層状シェルの最も外側のボリュームを囲む材料の有無を使用して、所望の結果を達成するために利得または帯域幅をさらに調整することができる。上記した一般化された説明と一致する接続されたDRAアレイで使用するためのDRAのファミリーの一部であるいくつかの実施形態は、本明細書で提供されるいくつかの図を参照して以下に説明される。
【0021】
図1Aは、x-yグリッド上でx方向およびy方向の両方において互いに対して等間隔に離間して配置された複数のDRA150を有する4×3の接続されたDRAアレイ100の実施形態の平面図を示し、複数のDRAの最も近い隣接する対(例えば、151、152および151、155)を相互接続し、複数のDRAの対角線上で最も近い対(例えば、151、156および156、153)を相互接続する比較的薄い接続構造部102の平坦な配置(arrangement)を備えている。一実施形態において、複数のDRA150、または本明細書で開示される任意の他のDRAは、平面上で互いに対して離間されていてもよく、あるいは、非平面上において互いに対して離間されていてもよい。
図1Bは、
図1Aの切断線1B-1Bを通る断面図を示す。図示された実施形態に見られるように、接続されたDRAアレイ100の各DRA150は、誘電体材料の4つのボリューム、V(1)、V(2)、V(3)、およびV(4)から構成され得る。一実施形態において、ボリュームV(1)は空気であってもよく、一方、ボリュームV(2)~V(4)は、例えば成形可能なポリマーなどの硬化性媒体(curable medium)から形成されてもよい。
図1Bにおいて見られるように、比較的薄い接続構造部102は、ボリュームV(4)と同じ材料から形成されるのみならず、最も外側のボリュームV(4)と一体に形成されて、接続されたDRAアレイ100の単一のモノリシック部分(single monolithic portion)を形成する。複数のDRA(例えば、本明細書で以下に開示されるDRA150または他のDRA)の実施形態は、平面図で観察される円形である断面形状を有するように描かれているが、本発明の範囲はそれに限定されず、例えば楕円形または卵形など、本明細書に開示される目的に適した任意の断面形状を包含することが理解されるであろう。本明細書で開示される複数のDRAの実施形態は、x-yグリッド上で互いに対して離間しているものとして説明および図示され得るが、本発明の範囲はそれらに限定されず、
図23A、23B、23C、234D、23E、および23Fを参照して以下でさらに議論される、他の間隔配置を包含することが理解されるであろう。
【0022】
本明細書で開示される実施形態は、例えば12個のDRA要素を有する4×3アレイのようなアレイ内に特定の数のDRAを示しているが、そのような説明および図は例示に過ぎず、本発明の範囲がそのように限定されるものではなく、本明細書で開示される目的に適している可能性がある任意の様々なアレイ構成に配置された任意の数のDRA要素に及ぶことが理解されるであろう。
【0023】
上記から、動作周波数および関連する波長で動作する接続されたDRAアレイのファミリーの一般的な構造には、以下が含まれることが理解されよう:N個のボリュームを有する誘電体材料の複数のボリュームを有する複数のDRA150(Nは3以上の整数(
図1BではN=4))であって連続かつ順次の積層ボリュームV(i)(iは1からNの整数である)を形成するように配置される複数のDRA150、ここで、ボリュームV(1)は最も内側のボリュームを形成し、後続のボリュームV(i+1)は、ボリュームV(i)上に配置され少なくとも部分的にボリュームV(i)を埋め込む積層シェルを形成し、ボリュームV(N)は、ボリュームV(1)からV(N-1)のすべてのボリュームを少なくとも部分的に埋め込み;そして、複数のDRA150のそれぞれは、比較的薄い接続構造部102を介して複数のDRA150の少なくとも他の1つに物理的に接続され、各接続構造部102は、複数のDRAのうちの1つの全体の外形寸法と比較して比較的薄く、各接続構造部は、対応する接続されたDRA150の高さ「H」よりも低い高さ「h」を有し、誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも1つから形成され、各接続構造部102および誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも1つの関連するボリュームは、接続されたDRAアレイ100の単一のモノリシック部分を形成する。
【0024】
ここで
図2Aおよび
図2Bを参照すると、
図1Aおよび
図1Bの接続されたDRAアレイ100およびDRA150と同様の複数のDRA250を有する接続されたDRAアレイ200が示されている。接続されたDRAアレイ200の特定の特徴は、接続されたDRAアレイ100の特定の特徴と、一実施形態において同じである(例えば、DRA250のボリューム層化および比較的薄い接続構造部202の高さ「h」(接続されたDRAアレイ100のそれらの特徴と比較した場合))が、接続されたDRAアレイ200と接続されたDRAアレイ100の違いは、接続されたDRAアレイ200の比較的薄い接続構造部202で見ることができ、これは、複数のDRAの最も近い隣接する対(例えば、251、252および251、255)の間の各領域に貫通開口部204を含む。一実施形態において、各貫通開口部204は、平面図で観察されるように、例えば、複数のDRA250の最も近い隣接する対251、252および251、255間の直線クロストーク(straight line cross-talk)206、208を、それぞれの接続構造部202を介して防ぐのに十分な長さ「L」を有する。
【0025】
図1Aおよび2Aの実施形態から明らかなように、比較的薄い接続構造部102、202は、誘電体材料の薄いシートとして形成されていてもよく、それはそれらの厚さ(本明細書に開示されているように全体の断面高さ「h」)故に、Dk=10以上の誘電率値を有し得る。
【0026】
ここで
図3A、
図3B、および
図3Cを参照すると、
図2Aおよび
図2Bの接続されたDRAアレイ200および複数のDRA250と同様の複数のDRA350を有する接続されたDRAアレイ300が示されている。接続されたDRAアレイ300の特定の構造的特徴は、接続されたDRAアレイ200のそれと、一実施形態において同じである(例えば、DRA350のボリューム層化および比較的薄い接続構造部302の高さ「h」(接続されたDRAアレイ200のそれらの特徴と比較した場合))が、接続されたDRAアレイ300と接続されたDRAアレイ200との間のさらなる違いは、接続されたDRAアレイ300の接続構造部302の断面で見ることができ、平面構造202とは対照的に、複数のDRA350の最も近い隣接する対(例えば、351、352および351、355)の間を接続する管状構造302を含む。一実施形態において、比較的薄い接続構造部302のそれぞれは、一般に、対応する接続されたDRA350の断面の全体の高さ「H」よりも小さい断面の全体の高さ「h」を有し(
図3A、3B、3Cを参照)、そして、接続されたDRAアレイ300の動作波長λのλ/4以下である断面の全体の高さ「h」を有し、一般に対応する接続されたDRA350の断面の全体の幅「W」未満である断面の全体の幅「w」を有していてもよく(
図3A、3B、3Cを参照)、接続されたDRAアレイ300の動作波長のλ/4以下である断面の全体の幅を有していてもよい。接続されたDRAアレイ300の動作波長λのλ/4以下である全体の高さ「h」および全体の幅「w」を有する比較的薄い接続構造部302を使用することにより、S21<-12dBi未満(例えば、<-15dBi、<-20dBi、あるいはそれ以上)であるDRA350間のクロストークの低減を達成できることが数学的モデリングにより見いだされた。
図3Aから明らかなように、実施形態は、個々のDRA350が複数のDRA350の最も近い隣接する対(例えば、351および352;351および355;355および356;352および356など)を介して相互接続されるが、複数のDRA350の対角線上で最も近い対(例えば、351および356;および352および355など)によって相互接続されてはいない、接続されたDRAアレイ300を含む。
【0027】
ここで
図4を参照すると、
図4は、
図3Aの接続されたDRAアレイ300およびDRA350と同様の複数のDRA450を有する接続されたDRAアレイ400を示す。接続されたDRAアレイ400の特定の構造的特徴は、接続されたDRAアレイ300のそれと、一実施形態において同じである(例えば、DRA450のボリューム層化および比較的薄い接続構造部402の高さ「h」および幅「w」(接続されたDRAアレイ300のそれらの特徴と比較した場合))が、接続されたDRAアレイ400と接続されたDRAアレイ300との間のさらなる相違は、複数のDRA450の相互接続部で見ることができ、
図4では、複数の対角線上に配置された比較的薄い接続構造部402によってのみ相互接続されている。従って、実施形態は、個々のDRA450が複数のDRA450の対角線上で最も近い対(例えば、451および456;および452および455など)を介して相互接続されているが、複数のDRA450の最も近い隣接する対(例えば、451と452;451と455;455と456;および452と456など)によって相互接続されてはいない、接続されたDRAアレイ400を含む。
【0028】
ここで
図5を参照すると、
図3AのDRA350を備えた接続されたDRAアレイ300、および
図4のDRA450を備えた接続されたDRAアレイ400と同様の複数のDRA550を有する接続されたDRAアレイ500が示されている。接続されたDRAアレイ400の特定の構造的特徴は、接続されたDRAアレイ300および400のそれらと、一実施形態において同じである(例えば、DRA550のボリューム層化および比較的薄い接続構造部502の高さ「h」および幅「w」(接続されたDRAアレイ300および400のそれらの特徴と比較した場合))が、接続されたDRAアレイ500と接続されたDRAアレイ300および400との間のさらなる相違は、複数のDRA550の相互接続部において見られ、
図5では、複数の非対角線上に配置された比較的薄い接続構造部502.1を介して複数のDRA550の最も近い隣接する対(551と552、551と555、552と556、555と556など)間で、および複数の対角線上に配置された比較的薄い接続構造部502.2を介して複数のDRA550の対角線上で最も近い対(551と556、および552と555など)の間で、相互接続されている。したがって、実施形態は、接続されたDRAアレイ500を含み、個々のDRA550は、複数のDRA550の最も近い隣接する対(例えば、551と552、551と555、555と556、および552と556など)を介して相互接続され、そして、複数のDRA550の対角線上で最も近い対(例えば、551および556;および、552および555など)を介して相互接続されている。
【0029】
上記から、および
図1B、2Bおよび3Bから分かるように、実施形態は、誘電体材料の複数のボリューム(例えば、V(1)~V(4))の最も外側の固体ボリューム(例えば、V(4))および比較的薄い接続構造部(例えば、102、202または302)は、接続されたDRAアレイ(例えば100、200または300)の一部である単一のモノリシック構造を形成する。接続されたDRAアレイ400および500は、
図1B、2Bおよび3Bに示された誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(4)を具体的に示していないが、そのような構造は本明細書で明示的に開示されている少なくとも前述の説明から理解されるものであり、したがって本発明の実施形態に含まれる。従って、また別の言い方をすると、比較的薄い接続構造部(例えば、102、202、302、402、502)は、ボリュームV(4)と同じ材料で作られているのみならず、最も外側のボリュームV(4)と一体に形成されており、接続されたDRAアレイ(例えば、100、200、300、400、および500)の単一のモノリシック部分を形成する。
【0030】
ここで、
図5と比較して
図6を参照する。
図6は、
図5のDRA550を備えた接続されたDRAアレイ500と同様の複数のDRA650を有する接続されたDRAアレイ600を示す。接続されたDRAアレイ600の特定の構造的特徴は、接続されたDRAアレイ500のそれと、一実施形態において同じである(例えば、DRA650のボリューム層化および比較的薄い接続構造部602の高さ「h」および幅「w」(接続されたDRAアレイ500それらの特徴と比較した場合))が、接続されたDRAアレイ600と接続されたDRAアレイ500との間のさらなる相違は、複数のDRA650の相互接続部で見ることができ、
図6において、複数のDRA650の最も近い隣接する対(651と652、651と655、652と656、および655と656など)の間で対角線上に配置された第1の複数の比較的薄い接続構造部602.1を介して相互接続され、かつ複数のDRA650の対角線上で最も近い対(651および656、および652および655など)の間で対角線上に配置された第2の複数の比較的薄い接続構造部602.2を介して相互接続されている。
図5および
図6の実施形態は、両方の実施形態が接続されたDRAアレイ500、600を含み、個々のDRA550、650が複数のDRA550の最も近い隣接する対を介して、および複数のDRA550の対角線上で最も近い対を介して相互接続される点で類似している。
図5と
図6の実施形態の相違は、複数のDRAの最も近い隣接する対が相互接続される方法である。
図5の実施形態において、複数のDRA550の最も近い隣接する対(例えば、551および552を参照)は、直線状に配置された比較的薄い接続構造部502.1を介して相互接続されているが、
図6の実施形態において、複数のDRA650の最も近い隣接する対(例えば、651および652を参照)は、対角線上に配置された比較的薄い接続構造部602.1を介して相互接続されている。この相違の重要性については、以下でさらに説明する。
【0031】
次に、
図7、8、9、および10を参照されたい。
図7は、
図3Bの断面図と同様の断面図を示しているが、誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(4)のうちの、最も外側の固体ボリュームV(4)とは反対に、最も内側の固体ボリュームV(1)が、比較的薄い接続構造部302’と一体的に形成されており、同比較的薄い接続構造部302’が複数のDRA350’を相互接続して接続されたDRAアレイ300’の単一のモノリシック部分を形成する。
【0032】
図8は、
図3Bと同様の断面図を示しているが、誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(4)のうちの、最も内側の固体ボリュームV(1)および最も外側の固体ボリュームV(4)以外の固体ボリュームが比較的薄い接続構造部302’’と一体的に形成されており、同比較的薄い接続構造部302’’が複数のDRA350’’を相互接続して接続されたDRAアレイ300’’の単一のモノリシック部分を形成する。
図8に示す実施形態において、第3のボリュームV(3)は、比較的薄い接続構造部302’’と一体的に形成されている。
【0033】
図9および
図10は、
図5の断面線9-9および10-10を通る別の断面図を示す。この代替的な実施形態において、x-yグリッド上で離間している複数のDRA550’は、複数のDRAの最も近い隣接する対(例えば、551および552を参照)を相互接続し、複数のDRAの対角線上で最も近い対を相互接続しない第1のセットの比較的薄い接続構造部502.1’を有し、かつ、複数のDRAの対角線上で最も近い対(例えば552および555を参照)を相互接続し、複数のDRAの最も近い隣接する対を相互接続しない第2のセットの比較的薄い接続構造部502.2’を有する。
図9および
図10から明らかなように、第1のセットの比較的薄い接続構造部502.1’は、誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(4)のうちの各ボリュームV(A)(この実施形態においては第1のボリュームV(1))を相互接続し、そして第2のセットの比較的薄い接続構造部502.2’は、誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(4)のうちの各ボリュームV(B)(この実施形態においては第4のボリュームV(4))を相互接続する。一般に、AおよびBは1からNまでの整数で、AはBと等しくはない。
【0034】
前述の実施形態は、直線として構成された比較的薄い接続構造部を示しているが、実施形態は、比較的薄い接続構造部のそれぞれが、複数のDRAの、最も近い対(隣接して配置されているか、または対角線上に配置されている)、最も近い隣接する対、あるいは対角線上で最も近い対を、それぞれのDRA間の単一の直線経路以外の接続経路を介して接続している、接続されたDRAアレイの配置を含むことが理解されよう。そのような経路の一例は、
図6に示す比較的薄い接続構造部602.1を参照して見ることができる。しかしながら、そのような接続経路は、ジグザグ、湾曲、蛇行、または本明細書に開示される目的に適した他の形状など、任意の数の形状を含み得ることが理解されよう。
【0035】
ここで
図11および12を参照すると、これらはそれぞれ
図3および4に示された接続されたDRAアレイ300および400と同様の接続されたDRAアレイ1100および1200を示している。説明の目的のために、接続されたDRAアレイ1100および1200の構造は、それぞれ、接続されたDRAアレイ300および400と同一であるが、以下の電界の配置を有する。
図11では、複数のDRA1150のそれぞれは、電界方向線1162を有する電界1160を放射するように構成されており、比較的薄い接続構造部1102のそれぞれは、電界方向線1162と一致しておらず、かつ電界方向線1162と平行ではない長手方向線1104を有する。
図11の実施形態において、電界方向線1162は、長手方向線1104に対して約45度の角度1170に向けられている。同様に、
図12では、複数のDRA1250のそれぞれは、電界方向線1262を有する電界1260を放射するように構成されており、比較的薄い接続構造部1202のそれぞれは、電界方向線1262と一致しておらず、かつ電界方向線1262と平行ではない長手方向線1204を有する。
図12の実施形態において、電界方向線1262は、長手方向線1204に対して約45度の角度1270に向けられている。電界放射方向線を、関連する比較的薄い接続構造部の長手方向線と整列していない、つまり長手方向線と一致しておらず、平行でもない方向に向ける利点は、最も近い隣接するDRAの間のクロストークのさらなる低減を達成できる点にあり、これは、遠距離場の利得を最大化するのに役立つ。
【0036】
図3Bの断面図に戻って参照すると、実施形態は、複数のDRA350のそれぞれが、それぞれのDRA350の基部に近位端330を有し、それぞれのDRA350の頂部に遠位端340を有する構成を含み、比較的薄い接続構造部302のそれぞれは、それぞれが対応するDRA350の近位端330に近接して配置される。しかしながら、本発明の範囲はそのように限定されず、これは以下に参照する
図13および14に示されている。
【0037】
図13は、
図3Bの接続されたDRAアレイ300と同様の接続されたDRAアレイ1300の断面立面図を示すが、比較的薄い接続構造部1302のそれぞれが、それぞれが対応するDRA1350の近位端1330からある距離である、遠位端1340に近接して配置されている。
【0038】
図14は、やはり
図3Bの接続されたDRAアレイ300と同様であるが、比較的薄い接続構造部1402のそれぞれが、それぞれが対応するDRA1450の近位端1430と遠位端1440の間に配置されている接続されたDRAアレイ1400の断面立面図を示す。
【0039】
次に
図15を参照すると、
図15は、前述の接続されたDRAアレイ100、200、300、400、500、600、1100または1200のいずれかと同様の接続されたDRAアレイ1500を示し、例えば、導電性接地構造1505の上に配置されており、そして同導電性接地構造1505は、例えば、プリント回路基板または半導体ダイ材料のような基板1510上に配置されてもよい。スロット付き開口部1520を介してDRA1550のそれぞれに電磁信号を供給するために、信号フィード1515を基板の下側に提供する(または基板内に埋め込む)ことができる。
図15には1つの信号フィード1515のみが示されているが、各DRA1550に個別に供給するために、基板1510の下側(または基板内)に別個のトレースを提供できることが理解されよう。
図15に示される実施形態において、信号フィード1515は、スロット付き開口部1520を介して、
図15にボリュームV(1)~V(3)として示される誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(1)に電磁結合されるように配置および構成されているが、信号フィードは、一実施形態に従って、誘電体材料のそれぞれの複数のボリュームのいずれか1つまたは複数に電磁的に結合されるように配置および構成されてもよい。
図15は、誘電体材料の複数のボリュームV(1)~V(N)のうち3つのボリュームV(1)~V(3)のみを示しているが、本明細書に開示されるすべてからNは3以上であってもよいことが理解されるであろう。既に述べたように、最も内側のボリュームV(1)の各々は空気であってもよい。
【0040】
一実施形態において、
図1B、2B、3B、7、8、13、14および15を参照すると、複数のDRAのそれぞれの少なくとも最も内側のボリュームV(1)、または複数のDRAのそれぞれのボリュームのすべては、立面図で観察されるように、それぞれのDRAの基部で楕円形の広い部分に近接して切頭された(truncated)切頭楕円形である断面形状、またはドーム形または半球形の遠位上部、または切頭楕円形とドーム形または半球形の遠位上部の両方を有している。
【0041】
さらに
図15を参照すると、一実施形態は、複数の一体的に形成された導電性電磁反射器1582(
図16Aおよび17における1682および1782をそれぞれ参照すると最もよく分かる)を含む一体型フェンス構造(unitary fence structure)1580を含み、複数の反射器1582のそれぞれは、複数のDRA1550のそれぞれ対応するものと1対1の関係で配置されており、複数のDRA1550のそれぞれ対応するものを実質的に取り囲むように配置されている(
図16Aおよび
図17を参照すると最もよく分かる)。一実施形態において、一体型フェンス構造1580の全体の高さ「J」は、DRA1550の全体の高さ「H」以下である。一実施形態において、「J」は「H」の80%未満であり、「H」の50%以上である。本明細書で開示される一体型フェンス構造の高さを利用することにより、数学的モデリングによって、接続されたDRAアレイ1500の遠距離場放射帯域幅を実質的に減少させることなく、隣接するDRA1550の効果的な分離が達成できることがわかった。一体型フェンス構造1580を有する実施形態において、一体型フェンス構造1580は、例えば接地位置1507にてなど、接地構造1505に電気的に接続される。本明細書で使用されるように、一体的に形成された導電性電磁反射器を有する一体型フェンス構造の説明は、1つ以上の構成要素を永久に損傷または破壊することなく、互いに不可分な(すなわち、一体の)1つ以上の構成要素から形成される一つの(すなわち、単一の(unitary))部品を意味する。一実施形態において、一体型フェンス構造はモノリシック構造であり、これは、不可分であり、巨視的な継ぎ目または接合部のない単一の構成要素から作られた単一の構造を意味する。一実施形態において、反射器1582の側壁1583は、z軸に対して0度以上45度以下の角度「α」を有する。一実施形態において、角度「α」は5度以上かつ20度以下である。
【0042】
ここで、
図16A、16B、および17を参照すると、これらは、それぞれの一体型フェンス構造1680、1780に関して、接続されたDRAアレイ1600、1700を層状化する代替方法を示している。
図16Aおよび17のそれぞれに見られるように、複数の反射器1682、1782のそれぞれは、複数のDRA1650、1750のそれぞれが対応するものと1対1の関係で配置されており、かつ複数のDRA1650、1750の対応するものを実質的に囲むように配置されている。
図16Aおよび17の実施形態に示されるように、それぞれの反射器1682、1782の側壁1683、1783は、z軸に対して垂直である。しかしながら、本明細書に開示される反射器のいずれかの側壁は、本明細書に開示される実施形態と一致する任意の角度を有し得るため、そのような垂直性は、例示目的のみである。とはいえ、所定の反射器および本明細書に開示された目的のために垂直な側壁構造を使用することにより、製造の容易さが実現され得ることが企図される。
【0043】
図16Aにおいて、単一フェンス構造1680は、複数のスロット1684(すべてのスロットが列挙されているわけではない)を有し、複数のスロット1684のそれぞれは、接続構造部1602(接続構造部のすべてが列挙されているわけではない)のそれぞれ対応するものと1対1の関係で配置されている。図示されているように、接続されたDRAアレイ1600は、一体型フェンス構造1680の上に重ねて配置され、各関連する接続構造部1602は複数のスロット1684のそれぞれ対応するものの内に配置されており、かつ接続されたDRAアレイ1600は一体型フェンス構造1680に直接配置されている。
図16Aの回転等角図に見られるように、複数のスロット1684は、底部で閉じられ、頂部で開いており、これにより、接続されたDRAアレイ1600を一体型フェンス構造1680上に、トップダウンで組み立てるまたは製造することを可能にする。
【0044】
図16Bは、完全に組み立てられまたは製造されたときの、
図16Aの実施形態のトップダウンの平面図を示している。一実施形態において、そして図示されているように、複数のDRA1650のそれぞれの誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(1)~V(3)は、誘電体材料の対応する複数のボリュームの他のボリュームのそれぞれに対して(
図16Bに見られるようにDRAの中心点から左に向かって)同じ横方向において、(
図16Bに見られる水平軸に沿って)、中央に、かつ横方向にシフトされる。本明細書に開示される他の実施形態は、対応する複数のDRAのそれぞれの誘電体材料の複数のボリュームの各ボリュームV(1)~V(N)がシフトされることなく、互いに対して中央に配置されることを示し得る(例えば、少なくとも
図1Bを参照)が、当業者は、本明細書に開示されているすべてから、本発明の範囲はそのように限定されるものではなく、所望の遠距離場放射パターンおよび/または利得を達成するために利用できるシフトされていないボリュームV(1)~V(N)および横方向にシフトされたボリュームV(1)~V(N)の両方を包含することを理解するであろう。
【0045】
図17において、一体型フェンス構造1780は、複数の逆凹部(inverted recess)1784(凹部のすべてが列挙されているわけではない)を有し、複数の逆凹部1784のそれぞれは、接続構造部1702(すべての接続構造部が列挙されているわけではない)の対応する1つと1対1の関係で配置されている。図示されているように、一体型フェンス構造1780は、接続されたDRAアレイ1700の上に重ねて配置され、各関連する接続構造部1702は複数の逆凹部1784の対応する1つ内に配置され、一体型フェンス構造1780は接続されたDRAアレイ1700の上に直接配置される。一実施形態において、接続されたDRAアレイ1700は、接地構造1705上に配置され得る。
図17の回転等角図に見られるように、複数の逆凹部1784は底部が開いており、頂部が閉じているため、一体型フェンス構造1780を接続されたDRAアレイ1700上にトップダウン様式にて組み立てる、または製造することができる。
【0046】
次に
図18を参照すると、
図18は、導電性接地構造1805上に配置された接続されたDRAアレイ1800を形成するDRA1850の3×3アレイの断面立面図を示しており、導電性接地構造1805は次に基板1810であって、同基板1810の下側(または基板内)に配置された信号フィード1815を備えた基板1810上に配置されており、これは
図15に示す実施形態と同様であるが以下の相違点を有する。一実施形態において、導電性接地構造1805は、信号フィード1815(1つの信号フィードのみが示されている)を各ボリュームV(2)に電磁結合するように配置および構成されるスロット付き開口部1820を有する。一実施形態において、一体型フェンス構造1880は、比較的薄い接続構造部1802の1つ以上を完全に貫通する開口部1803を介して、比較的薄い接続構造部1802の少なくとも1つを通って導電性接地構造1805に電気的に接続される。一実施形態において、比較的薄い接続構造部1802の少なくとも1つは、第1の厚さ「T」を有する第1の領域1801と、第1の厚さ「T」より小さい第2の厚さ「t」を有する第2の領域1804とを有し、一体型フェンス構造1880は、対応する比較的薄い接続構造部1802の第1の領域1801および第2の領域1804の両方と直接接触して配置される。一実施形態において、接続構造部の領域の厚さを「T」から「t」に減少させることは、製造時に達成され、その結果、隣接するDRA間のクロストークがさらに減少する。
【0047】
次に
図19を参照すると、
図15に示されているものと同様であるDRA1950の3×3アレイの分解組立断面立面図が示されているが、接続されたDRAアレイ1900と一体型フェンス構造1980の組み合わせが、導電性接地構造1905、基板1910および信号フィード1915の組み合わせとは別個に製造されている。一実施形態において、一体型フェンス構造1980は、接続されたDRAアレイ1900の下側に導電性接地層1981を含み、それは、導電性接地構造1905、基板1910、および信号フィード1915の組み合わせに組み立てられた場合、導電性接地構造1905に電気的に接続される。導電性接地層1981のスロット付き開口部1983は、本明細書において既に記載された方法で複数のDRA1950のそれぞれを電磁的に励起する目的にて、導電性接地構造1905のスロット付き開口部1920と整列させる。
図19の実施形態は、複数のDRA1950のそれぞれのボリュームV(1)が電磁的に励起される配置を示しているが、本明細書に開示されているすべてから、任意のボリュームV(1)~V(N)が本明細書に開示された方法または当技術分野で知られている方法で電磁的に励起され得ることが理解されるであろう。ここで、比較的薄い接続構造部1902は、接続されたDRAアレイ1900の単一のモノリシック部分を形成する最も外側のボリュームV(3)と一体的に形成されている。
【0048】
本明細書に開示される一体型フェンス構造のいずれかに関して、そのような一体型フェンス構造は金属(例えば、銅、アルミニウムなど)の固体厚さからモノリシック構造として製造され得、本明細書に開示されている反射器、スロットおよび凹部を形成するために材料がそこから選択的に除去され、あるいは、例えば金属の3D印刷などの層化技術を介して製造され得る。
【0049】
次に
図20を参照すると、
図20は、接続されたDRAアレイ2000および関連する一体型フェンス構造2080の分解組立図を示している。接続されたDRAアレイ2000は、
図13の接続されたDRAアレイ1300と同様であり、ここでは、接続構造部2002は、それぞれが対応するDRA2050の遠位端に近接して配置されている。一体型フェンス構造2080は、
図16の一体型フェンス構造1680に類似しているが、DRA2050の遠位端での接続構造部2002の配置を考慮してスロット1684がなく、ここでは、一体型フェンス構造2080は接続されたDRAアレイ2000が一体型フェンス構造2080と組み立てられるか接合されるときに、接続構造部2002の端部2004を受け入れるように、一体型フェンス構造1680と一体に形成され、その周りに戦略的に配置された複数の突起2086を含んでいる。あるいは、突起2086は存在していなくてもよい。アセンブリの最終形態の安定化を支援するために、突起2086の遠位端は、各DRA2050をそれぞれが対応する導電性電磁反射器2082と正確に位置合わせするのに役立つ彫刻ランド領域(sculpted land regions)2088を含んでいてもよく、これは接続されたDRAアレイ2000の遠距離場(far field)の利得または帯域幅をさらに最大化するのに役立つ。一体的に形成された突起2086の別の利点は、遠距離場帯域幅を実質的に低減することなく、隣接するDRA2050間の近距離場電磁場結合をブロックすることである。接続されたDRAアレイ2000の性能は、
図11に示すように、DRA2050が電磁的に斜めに(歪んで)(diagonally(skewed))励起されるとき、突起2086の存在からも恩恵を受ける。ここで、アレイ内の所与の対角線上の突起2086の存在は、接続構造部2002が所与の対角線上に有し得る近距離場結合の影響を相殺し、結果として遠距離場利得または帯域幅を改善する役目を果たす。
【0050】
一実施形態において、一体型フェンス構造2080の全体の高さ「K」に突起2086を加えたものは、DRA2050の全体の高さ「H」にほぼ等しく、隣接する突起2086間の間隔「D」は、所与の突起2086の全体の幅「d」以上である。本明細書で開示される突起2086のサイズおよび間隔の配置を利用することにより、数学的モデリングを通じて、接続されたDRAアレイ2000の遠距離場放射帯域幅を実質的に低減することなく、隣接するDRA2050の効果的な分離が達成可能であることが見出された。
【0051】
すでに述べたように、本明細書に開示される接続されたDRAアレイは、圧縮または射出成形、3D印刷、スタンピング、インプリンティングなどの3D材料堆積プロセス、または本明細書に開示される目的に適した他の製造プロセスのような方法を使用して製造されてもよい。例として、本明細書に開示される接続されたDRAアレイのうちの1つ以上を製造する方法を、
図21A~22Dを参照して以下に説明する。
【0052】
一般に、本明細書に開示される接続されたDRAアレイを製造する方法は、少なくとも1つの硬化性媒体(curable medium)によって、誘電体材料の複数のボリュームの少なくとも2つのボリュームまたは誘電体材料の複数のボリュームの全てのボリュームと、関連する比較的薄い接続構造部と、を形成することを含み、各接続構造部および誘電体材料の複数のボリュームの少なくとも2つのボリュームの関連するボリュームは、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成し、ここで、少なくとも1つの硬化性媒体は、その後少なくとも部分的に硬化される。一実施形態において、少なくとも部分的に硬化するステップは、誘電体材料の複数のボリュームのうちの次の1つを形成する前に、接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのそれぞれをボリュームごとに少なくとも部分的に硬化することを含む。別の実施形態において、少なくとも部分的に硬化するステップは、誘電体材料の複数のボリュームのすべてを形成した後に、接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームの全てを全体として少なくとも部分的に硬化することを含む。
【0053】
次に、
図21A~21Cを参照すると、これらは、モールド(mold)および成形プロセスを伴う形成プロセスを示している。
図21Aは、第1のポジティブモールド部2102と相補的なネガティブモールド部2152とを示し、これらは互いに閉じられたときに、それらの間に第1のモールドキャビティ2142を形成する。第1のポジティブモールド部2102は複数の突起2104を含み、相補的なネガティブモールド部2152は複数の相補的な凹部2154を含み、これらは第1のモールドキャビティ2142と協働して、第1の硬化性媒体2156がネガティブモールド部2152のランナーシステム2158を通して注入され、続いて少なくとも部分的に硬化されるときに、関連する接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのうちの最も外側のボリュームV(N)を形成する役割を果たす。ここで、第1のモールドキャビティ2142は、最も外側のボリュームV(N)と一体的な比較的薄い接続構造部2180(
図21Bに示され列挙されている)を形成して、(例えば、
図19の接続構造部1902および関連する前述の説明と比較した場合)関連する接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を提供する役割も果たす。
【0054】
図21Bは、少なくとも部分的に硬化した第1の硬化性媒体2156がネガティブモールド部2152の内側に残った状態で、モールド部2112、2152が互いに閉じられるときに、第2のモールドキャビティ2144を形成するために、少なくとも部分的に硬化した第1の硬化性媒体2156と組み合わせて元の相補的なネガティブモールド部2152と協働する第2のポジティブモールド部2112による第1のポジティブモールド部2102の取り外しおよび交換を示す。第2のモールドキャビティ2144は、第2の硬化性媒体2166が第2のポジティブモールド部2112の第2のランナーシステム2168を介して注入され、その後少なくとも部分的に硬化されるときに、最も外側のボリュームV(N)に隣接してその内部に積層される誘電体材料の複数のボリュームのうちの第2ボリュームを形成する役割を果たす。
【0055】
k番目のポジティブモールド部を取り外して(k+1)番目のポジティブモールド部と交換するプロセスを必要に応じて繰り返して、本明細書に開示されているように、誘電体材料の複数のボリュームのうちの所望の数のボリュームを生成し、層状の接続されたDRAアレイを形成することができる。不必要な冗長性を回避するために、このような追加のプロセスステップの図は省略されているが、当業者には容易に理解され、したがって本明細書において本質的に開示されると考えられる。
【0056】
所望の層状の接続されたDRAアレイを形成する誘電体材料の複数のボリュームのうちの所望の数のボリュームの成形が完了すると、最終的なポジティブモールド部はネガティブモールド部に対して分離され、結果として得られる接続されたDRAアレイ2100であって、その一部として単一のモノリシック部分を有する接続されたDRAアレイ2100を提供し、これは
図21Cに描かれており、ボリュームV(1)は空気であり、ボリュームV(2)は第2の硬化性媒体2166であり、ボリュームV(3)は第1の硬化性媒体2156および単一のモノリシック部分である。
【0057】
図21A~21Cに関連する前述の説明から、本発明の一実施形態は、本明細書に開示されるように、モールドおよび成形プロセスを含む接続されたDRAアレイ2100(
図21Cを参照すると最もよく分かる)の製造方法を含み、成形プロセスは、k番目のポジティブモールド部(kは1から始まる1からMまでの連続した整数であり、Mは1より大きく、(N-1)以下である)と相補的なネガティブモールド部とを提供することであって、互いに閉じると、それらの間にk番目のモールドキャビティを形成する、前記提供することと、k番目のモールドキャビティを少なくとも1つの硬化性媒体のk番目の硬化性媒体で満たすことであって、続いて少なくとも部分的に硬化して、誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つのボリュームを含む接続されたDRAアレイの最も外側のボリュームと、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する関連する比較的薄い接続構造部と、を形成する、前記満たすことと、k番目のポジティブモールド部を取り外して(k+1)番目のポジティブモールド部と交換して、ネガティブモールド部に対して(k+1)番目のモールドキャビティを形成することであって、(k+1)番目のモールドキャビティは(k+1)番目のモールドキャビティの空いている(vacant)部分を残しながら硬化性媒体を用いて部分的にのみ満たされる、前記形成することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことであって、その後少なくとも部分的に硬化させて、誘電体材料の複数のボリュームのうちの(k+1)番目のボリュームを含む、接続されたDRAアレイの(k+1)番目のボリュームを形成し、誘電体材料の(k+1)番目のボリュームは、誘電体材料のk番目のボリューム内に少なくとも部分的に埋め込まれている前記満たすことと、任意選択的に、誘電体材料の複数のボリュームの定義された数のボリュームが連続的に形成されるまで、kの値を1つ増やし、そして、k番目のポジティブモールド部を取り外して(k+1)番目のポジティブモールド部と交換することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことと、を含むステップを繰り返すことと、接続されたDRAアレイを提供するためにネガティブモールド部に対して(k+1)番目のポジティブモールド部を分離することと、を含む、ことが理解されよう。
【0058】
一実施形態において、導電性金属フォーム(form)は、最後の1つ前のポジティブモールド部を最後のポジティブモールド部で置き換える前に、ポジティブモールド部側でモールドに挿入され、導電性金属フォーム2190(破線で示され、
図21Bおよび21Cを参照すると最もよく見られる)上に配置された複数のDRA2150を有する接続されたDRAアレイ2100を提供することができ、同導電性金属フォーム2190は、接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供する役割を果たし得る。
【0059】
一般に、接続されたDRAアレイ2100を製造する方法はまた、最後の1つ前のk番目のポジティブモールド部を取り外した後で、かつ最後の1つ前のk番目のポジティブモールド部を最後の(k+1)番目のポジティブモールド部と交換する前に、導電性金属フォームをモールドに挿入して、接続されたDRAアレイが配置される接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供することと、最後の(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の最後の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことと、含む。
【0060】
次に
図22A~22Dを参照すると、
図22A~22Dは、モールドおよび成形プロセスを伴う別の形成プロセスを示している。
図22Aは、第1のネガティブモールド部2252と相補的なポジティブモールド部2202とを示し、これらは互いに閉じられたときに、それらの間に第1のモールドキャビティ2242を形成する。第1のネガティブモールド部2252は複数の凹部2254を含み、相補的なポジティブモールド部2202は複数の相補的な突起2204を含み、これらは第1のモールドキャビティ2242と協働して、第1の硬化性媒体2256が第1のネガティブモールド部2252のランナーシステム2258を通して注入され、その後少なくとも部分的に硬化されると、関連する接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームの最も内側のボリュームV(1)を形成する役割を果たす。
【0061】
図22Bは、第1のネガティブモールド部2252の第2のネガティブモールド部2262との取り外しおよび交換を示し、これは、少なくとも部分的に硬化した第1の硬化性媒体2256がポジティブモールド部2202の突起2204上に残っている状態でモールド部2202、2262が互いに閉じられたときに、少なくとも部分的に硬化した第1の硬化性媒体2256と組み合わせて元の相補的なポジティブモールド部2202と協働して第2のモールドキャビティ2244を形成する。第2のモールドキャビティ2244には、第2の硬化性媒体2266が第2のネガティブモールド部2262のランナーシステム2268を介して注入され、その後少なくとも部分的に硬化されると、下にあるボリューム(ここでは第1のボリュームV(1))に隣接してその外側に積層される誘電体材料の複数のボリュームのうちの第2のボリュームを形成する役割を果たす。
【0062】
k番目のネガティブモールド部を取り外して、(k+1)番目のネガティブモールド部と交換するプロセスを必要に応じて繰り返して、誘電体材料の複数のボリュームの所望の数のボリュームを生成し、本明細書に開示されている層状の接続されたDRAアレイを形成することができる。不必要な冗長性を回避するために、このような追加のプロセスステップの図は省略されているが、当業者には容易に理解され、したがって本明細書において本質的に開示されていると考えられる。
【0063】
図22Cは、ここでは参照番号2262で示される最後の1つ前のネガティブモールド部の取り外しおよび最後のネガティブモールド部2272との交換を示し、最後のネガティブモールド部2272は、少なくとも部分的に硬化した第1および第2の硬化性媒体2256、2266と組み合わせた元の相補的なポジティブモールド部2202と協働して、ポジティブモールド部2202の突起2204上に少なくとも部分的に硬化した第1および第2の硬化性媒体2256、2266が残っている状態でモールド部2202、2722が互いに閉じられたときに、第3のかつ最後のモールドキャビティ2246を形成する。第3のモールドキャビティ2246は、第3の硬化性媒体2276が第3のネガティブモールド部2272のランナーシステム2278を通して注入され、その後少なくとも部分的に硬化されると、下にあるボリューム(ここでは第2のボリュームV(2))に隣接してかつ外側に積層される誘電体材料の複数のボリュームのうちの第3のかつ最後のボリュームを形成する役割を果たす。ここで、第3のかつ最後のモールドキャビティ2246は、誘電体材料の複数のボリュームの最後の最も外側のボリュームV(N)と比較的薄い接続構造部2280とを一体的に形成して、接続されたDRAアレイの単一のモノリシック部分を形成する役割も果たす。
【0064】
所望の層状の接続されたDRAアレイを形成する誘電体材料の複数のボリュームの所望の数のボリュームの成形が完了すると、最後のネガティブモールド部はポジティブモールド部に対して分離され、結果として生じる接続されたDRAアレイを提供し、それは、
図22Dに示されているように、ボリュームV(1)は空気であり、ボリュームV(2)は第1の硬化性媒体2256であり、ボリュームV(3)は第2の硬化性媒体2266であり、ボリュームV(3)は第3の硬化性媒体2276である。
【0065】
図22A~22Dに関連する前述の説明から、本発明の一実施形態は、本明細書に開示されるように、モールドおよび成形プロセスを含む接続されたDRAアレイ2200(
図22Dを参照すると最もよく分かる)の製造方法を含み、成形プロセスは、k番目のネガティブモールド部(kは1から始まる1からMまでの連続した整数であり、Mは1より大きく、(N-1)以下である)と相補的なポジティブモールド部とを提供することであって、互いに閉じると、それらの間にk番目のモールドキャビティを形成する、前記提供することと、k番目のモールドキャビティを少なくとも1つの硬化性媒体のk番目の硬化性媒体で満たすことであって、続いて少なくとも部分的に硬化して、接続されたDRAアレイの誘電体材料の複数のボリュームのうちの最も内側のボリュームを形成する、前記満たすことと、k番目のネガティブモールド部を取り外して(k+1)番目のネガティブモールド部と交換して、ポジティブモールド部に対して(k+1)番目のモールドキャビティを形成することであって、(k+1)番目のモールドキャビティは(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を残しながら硬化性媒体を用いて部分的にのみ満たされる、前記形成することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことであって、その後少なくとも部分的に硬化させて、誘電体材料の複数のボリュームのうちの(k+1)番目のボリュームを含む、接続されたDRAアレイの(k+1)番目のボリュームを形成し、誘電体材料のk番目のボリュームは、誘電体材料の(k+1)番目のボリューム内に少なくとも部分的に埋め込まれている前記満たすことと、任意選択的に、誘電体材料の複数のボリュームの定義された数のボリュームが連続的に形成されるまで、kの値を1つ増やし、そして、k番目のネガティブモールド部を取り外して(k+1)番目のネガティブモールド部と交換することと、(k+1)番目のモールドキャビティの空いている部分を少なくとも1つの硬化性媒体の(k+1)番目の硬化性媒体で満たすことと、を含むステップを繰り返すことと、接続されたDRAアレイを提供するためにポジティブモールド部に対して(k+1)番目のネガティブモールド部を分離することと、を含み、誘電体材料の複数のボリュームの最も外側のボリュームは、誘電体材料の複数のボリュームのうちの1つのボリュームと接続されたDRAアレイの単一のモノリシックな部分を形成する関連する比較的薄い接続構造部とを含むことが理解されよう。
【0066】
一実施形態において、導電性金属フォームは、少なくとも1つの硬化性媒体の第1の硬化性媒体で成形される前に、ポジティブモールド部側にあるモールドに挿入され、導電性金属フォーム2290(破線で示され、
図22A~22Dを参照すると最もよく見られる)上に配置された複数のDRA2250を有する接続されたDRAアレイ2200を提供することができ、同導電性金属フォーム2290は、接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供する役割を果たし得る。
【0067】
一般に、接続されたDRAアレイ2200を製造する方法は、少なくとも1つの硬化性媒体の第1の硬化性媒体を成形する前に、導電性金属フォームをモールドに挿入して、接続されたDRAアレイが配置される接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を提供することも含む。
【0068】
前述のように、本明細書に開示される接続されたDRAアレイのいずれかを製造する方法は、射出成形、三次元(3D)印刷、スタンピング、またはインプリンティングを含んでもよい。方法が3D印刷またはインプリンティングを含む場合、方法の実施形態は、誘電体材料の複数のボリュームの少なくとも2つのボリューム、または誘電体材料の複数のボリュームのすべてのボリュームと、接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を形成する導電性金属上に接続されたDRAアレイの関連する比較的薄い接続構造部と、を3D印刷またはインプリンティングすることをさらに含む。方法がスタンピングを伴う場合、方法の実施形態は、接続されたDRAアレイを、接地構造またはフェンス構造の少なくとも一部を形成する導電性金属に接合することをさらに含む。
【0069】
本明細書に開示される接続されたDRAアレイのいずれかを製造する方法は、誘電体材料の複数のボリュームの内側に形成された硬化性媒体が第1の誘電率を有し、誘電体材料の複数のボリュームの直接隣接するとともに外側に形成された硬化性媒体が第2の誘電率を有し、第1の誘電率と第2の誘電率とが異なり、そして、一実施形態において、第1の誘電率は第2の誘電率よりも大きい。一実施形態において、内側に形成される硬化性媒体は、第1の誘電率を有するポリマーを含む第1の硬化性媒体であり、直接隣接するとともに外側に形成される硬化性媒体は、第2の誘電率を有するポリマーを含む第2の硬化性媒体であり、第2のポリマーは第1のポリマーとは異なる。別の実施形態において、第2のポリマーは第1のポリマーと同じであり、少なくとも1つの充填材材料が第1の硬化性媒体および第2の硬化性媒体の少なくとも1つの中に分散され、第1の誘電率と第2の誘電率との差に影響を与える。
【0070】
一実施形態において、少なくとも1つの硬化性媒体を介して、誘電体材料の複数のボリュームのうちの少なくとも2つのボリュームを形成する方法は、第1の流動温度T(1)を有する第1の材料から誘電体材料の複数のボリュームのうちの第1のボリュームを形成することと、引き続いて、第1の流動温度T(1)よりも低い第2の流動温度T(2)を有する第2の材料から誘電体材料の複数のボリュームのうちの第2のボリュームを形成することと、第2のボリュームは第1のボリュームに隣接して配置されることと、を含む。
【0071】
例えば、一実施形態において、最も外側のボリュームV(4)と一体的である接続構造部302を示す
図3Bを再び参照すると、第1の流動温度T(1)を有する第1の材料V(4)は、第1の誘電率Dk(1)を有し、第2の流動温度T(2)を有する第2の材料V(3)は、第1の誘電率Dk(1)よりも大きい第2の誘電率Dk(2)を有し、ここで、この実施形態において、第1の材料V(4)は第2の材料V(3)を少なくとも部分的に埋め込み、かつ第1の材料V(4)の第1の誘電率Dk(1)は3以上であってもよい。
【0072】
さらなる例として、別の実施形態において、最も内側のボリュームV(1)と一体的な接続構造部302’を示す
図7を再び参照すると、第1の流動温度T(1)を有する第1の材料V(1)は第1の誘電率Dk(1)を有し、第2の流動温度T(2)を有する第2の材料V(2)は、第1の誘電率Dk(1)よりも小さい第2の誘電率Dk(2)を有し、ここで、この実施形態において、第2の材料V(2)は第1の材料V(1)を少なくとも部分的に埋め込み、かつ第2の材料V(2)の第2の誘電率Dk(2)は3以上であってもよい。
【0073】
T(2)<T(1)である、上記の材料特性を有する
図3Bおよび
図7に関連して本明細書で説明する材料および配置を利用することにより、成形プロセスは、接続されたDRAアレイ300、300’であって、ここで成形される第2の材料は溶融せず、成形される第1の材料の変形リフローを引き起こさず、埋め込まれる材料は埋め込む材料に比べて高いDk値を有し、埋め込む材料は比較的低コストの誘電体材料(例えば、3以上の誘電率を有する誘電体材料であり得る)を利用できる一方で本明細書に開示される目的に適した望ましい溶融温度または流動温度を有する接続されたDRAアレイ300、300’を形成するために実施され得る。
【0074】
本明細書で前述したように、また次に、
図23A、
図23B、
図23C、
図23D、
図23E、および
図23Fを参照すると、本明細書で開示される複数のDRAは、x-yグリッド上で互いに対して離間されているものに限定されるものではないが、一般的には平面(例えば、示されている図の平面)またはその他の面上で互いに対して離間されており、均一な周期パターンで離間されているか、増加または減少する非周期パターンで離間されていてもよい。例えば、
図23Aは、均一な周期パターンでx-yグリッド上に互いに対して離間している複数のDRA2300を示し、
図23Bは、均一な周期的パターンで斜めのグリッド上で互いに対して離間している複数のDRAを示し、
図23Cは、均一な周期的パターンにて放射状グリッド上で互いに対して離間している複数のDRAを示し、
図23Dは、増加もしくは減少する非周期的パターンにてx-yグリッド上で互いに対して離間している複数のDRAを示し、
図23Eは、増加もしくは減少する非周期的パターンにて斜めのグリッド上で互いに対して離間している複数のDRAを示し、そして、
図23Fは、増加もしくは減少する非周期的パターンにて放射状グリッド上で互いに対して離間している複数のDRAを示す。あるいは、23Cは、均一な周期的パターンにて非x-yグリッド上で互いに対して離間している複数のDRA2300を描いていると見ることができ、そして、
図23Fは、増加もしくは減少する非周期的パターンにて非x-yグリッド上で互いに対して離間している複数のDRA2300を示すものとして見ることができる。
図23A、
図23B、
図23C、
図23D、
図23E、および
図23Fを参照する前述の説明は、離間しているDRA2300の限られた数のパターンを参照しているが、本発明の範囲はそのようなものに限定されず、本明細書で開示する目的に適した離間しているDRAの任意のパターンを包含することが理解されるであろう。さらに、
図23A、
図23B、
図23C、
図23D、
図23E、および
図23Fは、離間したDRA2300間の接続構造部2302の特定の配置を示しているが、本発明の範囲はそのようなものに限定されず、本明細書に開示される目的に適した接続構造部の任意の配置を包含することが理解されよう。
【0075】
誘電体ボリュームまたはシェル(以下において、便宜上ボリュームと称する)で使用するための誘電体材料は、所望の電気的および機械的特性を提供するように選択される。誘電体材料は、一般に、熱可塑性または熱硬化性ポリマーマトリックスと、誘電体充填材(dielectric filler)を含有する充填材組成物と、を含む。各誘電体層は、誘電体ボリュームの体積に基づいて、30~100体積パーセント(体積%)のポリマーマトリックス、および0~70体積%の充填材組成物を含んでいてもよく、特に30~99体積%のポリマーマトリックスおよび1~70体積%の充填材組成物、より具体的には50~95体積%のポリマーマトリックスおよび5~50体積%の充填材組成物を含んでいてもよい。ポリマーマトリックスおよび充填材は、本明細書に開示される目的に一致する誘電率および10ギガヘルツ(GHz)で0.006未満または0.0035以下の散逸率(dissipation factor)を有する誘電体ボリュームを提供するように選択される。散逸率は、IPC-TM-650 X-バンドストリップライン法または分割共振器法によって測定され得る。
【0076】
各誘電体ボリュームは、低極性、低誘電率および低損失のポリマーで構成されている。ポリマーは、1,2-ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、ポリブタジエン-ポリイソプレンコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフルオロポリマー、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、アリル化ポリフェニレンエーテルに基づくもの、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含むことができる。低極性ポリマーと高極性ポリマーの組み合わせも使用することができ、非限定的な例としては、エポキシおよびポリ(フェニレンエーテル)、エポキシおよびポリ(エーテルイミド)、シアン酸エステルおよびポリ(フェニレンエーテル)、ならびに1,2-ポリブタジエンおよびポリエチレン、が挙げられる。
【0077】
フルオロポリマーは、フッ素化ホモポリマー、例えば、PTFEおよびポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ならびにフッ素化コポリマー、例えば、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレンまたはパーフルオロアルキルビニルエーテルのようなモノマーとのコポリマー、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含むことができる。フルオロポリマーは、異なる少なくとも1つのこれらのフルオロポリマーの組み合わせを含むことができる。
【0078】
ポリマーマトリックスは、熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含むことができる。本明細書で使用される「熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレン」という用語は、ブタジエン、イソプレン、またはこれらの組み合わせから誘導される単位を含むホモポリマーおよびコポリマーを含む。他の共重合性モノマーに由来する単位も、例えばグラフトの形でポリマー中に存在し得る。例示的な共重合性モノマーとしては、限定されるものではないが、ビニル芳香族モノマー、例えば、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、パラヒドロキシスチレン、パラメトキシスチレン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラクロロスチレンなどのような置換および非置換のモノビニル芳香族モノマー、ならびにジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの置換および非置換のジビニル芳香族モノマーが含まれる。前述の共重合性モノマーの少なくとも1つを含む組み合わせも使用することができる。例示的な熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンとしては、限定されるものではないが、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン-スチレンなどのブタジエン-ビニル芳香族コポリマー、イソプレン-スチレンコポリマーなどのイソプレン-ビニル芳香族コポリマーなどが含まれる。
【0079】
熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンはまた修飾されていてもよい。例えば、ポリマーは、水酸基末端、メタクリレート末端、カルボン酸末端などであってもよい。ブタジエンもしくはイソプレンポリマーのエポキシ-、無水マレイン酸-、またはウレタン-修飾ポリマーなど、ポスト反応(post-reacted)ポリマーを使用することができる。ポリマーは、例えば、ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物によって架橋されていてもよく、例えば、ポリブタジエン-スチレンをジビニルベンゼンで架橋することができる。組み合わせ、例えば、ポリブタジエンホモポリマーとポリ(ブタジエン-イソプレン)コポリマーの組み合わせも使用できる。シンジオタクチックポリブタジエンを含む組み合わせも有用であり得る。
【0080】
熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンは、室温で液体または固体であり得る。液体ポリマーは、5,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有していてもよい。液体ポリマーは、5,000g/mol未満、または1,000~3,000g/molのMnを有していてもよい。少なくとも90重量%の1,2付加を有する熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンは、架橋に利用可能なペンダントビニル基の数が多い故に、硬化時により大きな架橋密度を示すことができる。
【0081】
ポリブタジエンまたはポリイソプレンは、全ポリマーマトリックス組成物に対して100重量%までの、または75重量%までの量で、あるいは全ポリマーマトリックス組成物に基づいてそれぞれ、10~70重量%、または20~60もしくは20~70重量%の量でポリマー組成物中に存在し得る。
【0082】
熱硬化性ポリブタジエンまたはポリイソプレンと共硬化できる他のポリマーを、特定の特性または加工の変更のために加えることができる。例えば、経時的な誘電体材料の絶縁耐力および機械的特性の安定性を改善するために、低分子量エチレン-プロピレンエラストマーを系で使用することができる。本明細書で使用されるエチレン-プロピレンエラストマーは、コポリマー、ターポリマー、または主としてエチレンおよびプロピレンを含む他のポリマーである。エチレン-プロピレンエラストマーは、EPMコポリマー(すなわち、エチレンおよびとプロピレンモノマーのコポリマー)またはEPDMターポリマー(すなわち、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマーのターポリマー)としてさらに分類することができる。特に、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムは、飽和した主鎖を有し、容易な架橋のために主鎖から離れて不飽和が利用可能である。ジエンがジシクロペンタジエンである液体のエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムを使用することができる。
【0083】
エチレン-プロピレンゴムの分子量は、10,000g/mol未満の粘度平均分子量(Mv)とすることができる。エチレン-プロピレンゴムは、7200g/molのMvを有するエチレン-プロピレンゴム(商品名TRILENE(商標)CP80としてライオン・コポリマー社(Lion Copolymer)(ルイジアナ州、バトンルージュ)から入手可能である)、7,000g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエンターポリマーゴム(商品名TRILENE(商標)65としてライオン・コポリマー社から入手可能である)および7500g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンターポリマー(商品名TRILENE(商標)67としてライオン・コポリマー社から入手可能である)を含み得る。
【0084】
エチレン-プロピレンゴムは、経時的に誘電体材料の特性、特に絶縁耐力および機械的特性の安定性を維持するのに有効な量で存在していてもよい。典型的に、そのような量は、ポリマーマトリックス組成物の全重量に対して20重量%まで、または4~20重量%もしくは6~12重量%である。
【0085】
別の種類の共硬化性(co-curable)ポリマーは、不飽和のポリブタジエンまたはポリイソプレンを含有するエラストマーである。この成分は、主に1,3-付加ブタジエンまたはイソプレンと、エチレン性不飽和モノマー、例えば、スチレンまたはα-メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、メチルメタクリレートまたはアクリロニトリルなどのアクリレートまたはメタクリレートとのランダムまたはブロックコポリマーであり得る。エラストマーは、ポリブタジエンもしくはポリイソプレンブロックと、スチレンもしくはα-メチルスチレンなどのモノビニル芳香族モノマーから誘導できる熱可塑性ブロックとを有する直鎖状またはグラフト型ブロックコポリマーを含む固体熱可塑性エラストマーであり得る。この種類のブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー(例えば、テキサス州ヒューストンのデクスコ・ポリマーズ社(Dexco Polymers)からVECTOR 8508M(商標)の商品名で入手可能なもの、テキサス州ヒューストンのエニケム・エラストマーズ・アメリカ社(Enichem Elastomers America)からSOL-T-6302(商標)の商品名で入手可能なもの、およびダイナソル・エラストマーズ社(Dynasol Elastomers)からCALPRENE(商標)401の商品名で入手可能なもの)、ならびにスチレン-ブタジエンジブロックコポリマーおよびスチレンとブタジエンを含む混合トリブロックおよびジブロックコポリマー(例えば、クレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)(テキサス州ヒューストン)からKRATON(商標)D1118の商品名で入手可能なもの)を含む。KRATON(商標)D1118は、33重量%のスチレンを含有する混合ジブロック/トリブロックスチレンおよびブタジエン含有コポリマーである。
【0086】
任意選択のポリブタジエンまたはポリイソプレン含有エラストマーは、ポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックが水素化されることを除いて上記と同様の第2のブロックコポリマーをさらに含むことができ、それによりポリエチレンブロック(ポリブタジエンの場合)またはエチレン-プロピレンコポリマーブロック(ポリイソプレンの場合)を形成する。上記のコポリマーと組み合わせて使用すると、より強靭な材料を製造できる。この種類の例示的な第2のブロックコポリマーは、KRATON(商標)GX1855(クレイトン・ポリマーズ社から市販されており、スチレン-高1,2-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーとスチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレンブロックコポリマーの組み合わせであると考えられている)である。
【0087】
不飽和ポリブタジエンまたはポリイソプレン含有エラストマー成分は、ポリマーマトリックス組成物の総重量に対して2~60重量%、あるいは5~50重量%または10~40もしくは10~50重量%の量でポリマーマトリックス組成物中に存在していてもよい。
【0088】
特定の特性または処理の変更のために追加できるさらに他の共硬化性ポリマーには、限定されるものではないが、ポリエチレンおよびエチレンオキシドコポリマーなどのエチレンのホモポリマーまたはコポリマー、天然ゴム、ポリジシクロペンタジエンなどのノルボルネンポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンコポリマーおよびブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、不飽和ポリエステルなど、が含まれる。これらのコポリマーのレベルは、一般に、ポリマーマトリックス組成物中の全ポリマーの50重量%未満である。
【0089】
フリーラジカル硬化性モノマーも、例えば硬化後の系の架橋密度を高めるために、特定の特性や処理の変更のために追加することができる。例示的なモノマーには、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、および多官能性アクリレートモノマー(例えば、サルトマーUSA社(Sartomer USA)から入手可能なSARTOMER(商標)ポリマー)、またはそれらの組み合わせなどの、ジ、トリ、またはより高次のエチレン性不飽和モノマーが含まれ、それらのすべては市販されている。架橋剤は、使用される場合、ポリマーマトリックス組成物中の全ポリマーの総重量に基づいて、20重量%まで、または1~15重量%の量でポリマーマトリックス組成物中に存在していてもよい。
【0090】
硬化剤をポリマーマトリックス組成物に添加して、オレフィン反応部位を有するポリエンの硬化反応を促進することができる。硬化剤は、有機過酸化物、例えば、過酸化ジクミル、t-ブチルパーベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α-ジ-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含み得る。炭素-炭素開始剤、例えば、2,3-ジメチル-2,3ジフェニルブタンを使用することができる。硬化剤または開始剤は、単独で、または組み合わせて使用できる。硬化剤の量は、ポリマーマトリックス組成物中のポリマーの総重量に基づいて1.5~10重量%であり得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーはカルボキシ官能化されている。官能化は、(i)炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合、および(ii)カルボン酸、無水物、アミド、エステルまたは酸ハロゲン化物を含む少なくとも1つのカルボキシ基、の両方を分子内に有する多官能性化合物を使用して達成することができる。特定のカルボキシ基は、カルボン酸またはエステルである。カルボン酸官能基を提供できる多官能性化合物の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびクエン酸が含まれる。特に、無水マレイン酸が付加されたポリブタジエンを熱硬化性組成物に使用することができる。適切なマレイン化ポリブタジエンポリマーは、例えば、商品名RICON 130MA8、RICON 130MA13、RICON 130MA20、RICON 131MA5、RICON 131MA10、RICON 131MA17、RICON 131MA20およびRICON 156MA17としてクレイ・バレー社(Cray Valley)から市販されている。適切なマレイン化ポリブタジエン-スチレンコポリマーは、例えば、RICON 184MA6の商品名でサルトマー社(Sartomer)から市販されている。RICON 184MA6は、17~27重量%のスチレン含量および9,900g/molのMnを有する無水マレイン酸が付加されたブタジエン-スチレンコポリマーである。
【0092】
ポリマーマトリックス組成物中の種々のポリマー、たとえばポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーおよびその他のポリマーの相対量は、使用される特定の導電性金属接地板層、回路材料の所望の特性、および同様の考慮事項に依存する。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)の使用は、例えば信号フィード、接地、または反射器コンポーネントなどの導電性金属コンポーネント(例えば、銅またはアルミニウムコンポーネント)への結合強度を高めることができる。ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーの使用は、例えば、これらのポリマーがカルボキシ官能化されている場合、複合材料の高温耐性を高めることができる。エラストマーブロックコポリマーの使用は、ポリマーマトリックス材料の成分を相溶化するように機能することができる。各成分の適切な量の決定は、過度の実験を行うことなく、特定の用途についての所望の特性に応じて行うことができる。
【0093】
少なくとも1つの誘電体ボリュームは、誘電体ボリュームの誘電率、散逸率、熱膨張係数、および他の特性を調整するために選択された粒子状誘電体充填材をさらに含むことができる。誘電体充填材は、例えば、二酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(溶融アモルファスシリカを含む)、コランダム、ウォラストナイト、Ba2Ti9O20、固体ガラス球、合成ガラスまたはセラミック中空球、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、マイカ、タルク、ナノクレイ、水酸化マグネシウム、または前述のものの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含み得る。単一の二次充填材、または二次充填材の組み合わせを使用して、特性の所望のバランスを提供することができる。
【0094】
任意選択的に、充填材は、シリコン含有コーティング、例えば有機官能性アルコキシシランカップリング剤で表面処理することができる。ジルコン酸塩またはチタン酸塩のカップリング剤を使用することができる。そのようなカップリング剤は、ポリマーマトリックス中の充填材の分散を改善し、完成したDRAの水の吸収を減らすことができる。充填材成分は、充填材の重量に基づいて、5~50体積%のマイクロスフェアと、二次充填材として70~30体積%の溶融非晶質シリカとを含むことができる。
【0095】
各誘電体ボリュームはまた、ボリュームを炎に対して耐性にするのに有用な難燃剤を任意選択的に含むことができる。これらの難燃剤はハロゲン化または非ハロゲン化されていてもよい。難燃剤は、誘電体ボリューム中に、同誘電体ボリュームの体積に基づいて0~30体積%の量で存在していてもよい。
【0096】
一実施形態において、難燃剤は無機であり、粒子の形態で存在する。例示的な無機難燃剤は、例えば、1nm~500nm、または1~200nm、または5~200nm、または10~200nmの体積平均粒径を有する金属水和物であり、あるいは、体積平均粒径は500nm~15マイクロメートル、例えば1~5マイクロメートルである。金属水和物は、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Ni、または前述のものの少なくとも1つを含む組み合わせなどの金属の水和物である。Mg、Al、またはCaの水和物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅および水酸化ニッケル、ならびに、アルミン酸カルシウム、石膏二水和物、ホウ酸亜鉛およびメタホウ酸バリウムの水和物が、特に好ましい。これらの水和物の複合体、例えばMgとCa、Al、Fe、Zn、Ba、CuおよびNiの1つまたは複数と、を含む水和物を使用することができる。好ましい複合金属水和物は、式MgMx(OH)yを有し、ここで、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、CuまたはNiであり、xは0.1~10であり、yは2~32である。難燃性粒子は、分散または他の特性を改善するためにコーティングされるか、または別の方法で処理されていてもよい。
【0097】
無機難燃剤の代わりに、または無機難燃剤に加えて、有機難燃剤を使用することができる。無機難燃剤の例としては、メラニンシアヌレート、微粒子サイズのメラミンポリホスフェート、芳香族ホスフィネート、ジホスフィネート、ホスホネート、ホスフェートのような様々な他のリン含有化合物、特定のポリシルセスキオキサン、シロキサン、ならびにヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸およびジブロモネオペンチルグリコールなどのハロゲン化化合物が挙げられる。難燃剤(臭素含有難燃剤など)は、20phr(樹脂100部あたりの部)~60phr、または30~45phrの量で存在し得る。臭素化難燃剤の例には、エチレンビステトラブロモフタルイミド、(テトラデカブロモジフェノキシベンゼン)、およびデカブロモジフェニルオキシドが含まれる。難燃剤は、相乗剤と組み合わせて、例えばハロゲン化難燃剤および三酸化アンチモンなどの相乗剤と組み合わせて、またはリン含有難燃剤はメラミンなどの窒素含有化合物と組み合わせて使用することができる。
【0098】
誘電体材料の各ボリュームは、ポリマーマトリックス組成物と充填材組成物とを含む誘電体組成物から形成される。各ボリュームは、誘電体組成物を接地構造層に直接キャストすることにより形成することができ、または接地構造層に堆積させることができる誘電ボリュームを製造することができる。各誘電体ボリュームを生成する方法は、選択したポリマーに基づいていてもよい。例えば、ポリマーがPTFEなどのフルオロポリマーを含む場合、ポリマーは第1のキャリア液体と混合することができる。この組み合わせは、第1のキャリア液体中へのポリマー粒子の分散液、例えば、第1のキャリア液体中へのポリマーの、またはポリマーのモノマーもしくはオリゴマー前駆体の、液滴のエマルジョン、または第1のキャリア液体中へのポリマーの溶液を含むことができる。ポリマーが液体である場合、第1のキャリア液体は必要ではない可能性がある。
【0099】
第1のキャリア液体の選択は、存在する場合、特定のポリマーおよびポリマーが誘電体ボリュームに導入される形態に基づくことができる。ポリマーを溶液として導入することが望ましい場合、特定のポリマーの溶媒がキャリア液体として選択され、たとえば、N-メチルピロリドン(NMP)がポリイミドの溶液に適したキャリア液体であろう。ポリマーを分散液として導入することが望ましい場合、キャリア液体は、非溶解性の液体を含むことができ、たとえば、水はPTFE粒子の分散に適したキャリア液体であり、ポリアミック酸(polyamic acid)のエマルジョンまたはブタジエンモノマーのエマルジョンに対する適切なキャリア液体であろう。
【0100】
誘電体充填材成分は、任意選択的に第2のキャリア液体中に分散させるか、あるいは第1のキャリア液体(または第1のキャリアを使用しない液体ポリマー)と混合させてもよい。第2のキャリア液体は、同じ液体であっても、第1のキャリア液体と混和性の液体であって第1のキャリア液体以外の液体であってもよい。例えば、第1のキャリア液体が水である場合、第2のキャリア液体は水またはアルコールを含むことができる。第2のキャリア液体は水を含み得る。
【0101】
充填材分散液は、第2のキャリア液体がホウケイ酸マイクロスフェアを濡らすことができるように、第2のキャリア液体の表面張力を改変するのに有効な量の界面活性剤を含んでいてもよい。例示的な界面活性剤化合物には、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が含まれる。TRITON X-100(商標)は、水性充填材分散液における使用のための例示的な界面活性剤であることが見出されている。充填材分散液は、10~70体積%の充填材と0.1~10体積%の界面活性剤を含むことができ、残りは第2のキャリア液体を含む。
【0102】
ポリマーと第1のキャリア液体と第2のキャリア液体中の充填材分散液との組み合わせは、キャスティング混合物を形成するために組み合わせることができる。一実施形態において、キャスティング混合物は、10~60体積%の組み合わせられたポリマーおよび充填材と、40~90体積%の組み合わせられた第1および第2のキャリア液体と、を含む。キャスティング混合物中のポリマーと充填材成分との相対量は、以下で説明するように最終組成物に所望の量を提供するように選択することができる。
【0103】
キャスティング混合物の粘度は、粘度調整剤を添加することによって調整することができ、これは、特定のキャリア液体またはキャリア液体の組み合わせにおけるその相溶性に基づいて選択され、誘電性複合材料からの中空球充填材の分離、すなわち沈降または浮揚を遅らせることができ、従来の製造装置と適合する粘度を有する誘電体複合材料を提供することができる。水性キャスティング混合物での使用に適した例示的な粘度調整剤には、例えば、ポリアクリル酸化合物、植物ゴム、およびセルロースベースの化合物が含まれる。適切な粘度調整剤の具体的な例には、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、グアーガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、およびトラガカントゴムが含まれる。粘度が調整されたキャスティング混合物の粘度は、誘電体複合材料を選択された製造技術に適合させるために、用途ごとにさらに増加させる、即ち、最小粘度を超えて増加させることができる。一実施形態において、粘度が調整されたキャスティング混合物は、室温値で測定されたときに、10~100,000センチポアズ(cp)(0.01Pa・s~100Pa・s)の粘度、または、100cp(0.1Pa・s)および10,000cp(10Pa・s)の粘度を示し得る。
【0104】
あるいは、キャリア液体の粘度が関心のある期間中に分離しないキャスティング混合物を提供するのに十分である場合、粘度調整剤を省くことができる。具体的には、非常に小さな粒子、例えば、0.1マイクロメートル未満の球相当径(equivalent spherical diameter)を有する粒子の場合、粘度調整剤の使用は必要ではないかもしれない。
【0105】
粘度が調整されたキャスティング混合物の層は、接地構造層上にキャスティングするか、ディップコーティングしてから成形することができる。キャスティングは、例えば、ディップコーティング、フローコーティング、リバースロールコーティング、ナイフオーバーロール、ナイフオーバープレート、計量ロッドコーティングなどによって達成することができる。
【0106】
キャリア液体および加工助剤、すなわち界面活性剤および粘度調整剤は、ポリマーの誘電体ボリュームとマイクロスフェアを含む充填材とを統合するために、例えば蒸発または熱分解によってキャストボリュームから除去することができる。
【0107】
ポリマーマトリックス材料のボリュームおよび充填材成分をさらに加熱して、ボリュームの物理的特性を改変する、例えば熱可塑性組成物を焼結するか、熱硬化性組成物を硬化またはポスト硬化させることができる。別の方法では、PTFE複合誘電体ボリュームは、ペースト押出およびカレンダー処理プロセスによって製造することができる。さらに別の実施形態において、誘電体ボリュームをキャスティングし、次いで部分的に硬化(「Bステージ化」)させることができる。このようなBステージ化されたボリュームは、保存され、続いて使用され得る。
【0108】
導電性接地層と誘電体層の間に接着層を配置することができる。接着層は、ポリ(アリーレンエーテル)、ならびに、ブタジエン、イソプレン、またはブタジエンおよびイソプレン単位、および0から50重量%以下の共硬化性モノマー単位を含むカルボキシ官能化ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーを含んでいてもよく、接着剤層の組成は、誘電体ボリュームの組成と同じではない。接着剤層は、1平方メートルあたり2~15グラムの量で存在し得る。ポリ(アリーレンエーテル)は、カルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含んでいてもよく、これはポリ(アリーレンエーテル)と環状無水物の反応生成物またはポリ(アリーレンエーテル)と無水マレイン酸の反応生成物であり得る。カルボキシ官能化ポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーは、カルボキシ官能化ブタジエン-スチレンコポリマーであってもよく、これはポリブタジエンまたはポリイソプレンポリマーと環状無水物、例えば無水マレイン酸との反応生成物であり得る。
【0109】
一実施形態において、ポリブタジエンまたはポリイソプレンなどの熱硬化性材料に適した多段階プロセスは、150~200℃の温度での過酸化物硬化ステップを含むことができ、部分硬化(Bステージ化)されたスタックに対して、その後、高エネルギー電子ビーム照射硬化(Eビーム硬化)または不活性雰囲気下での高温硬化ステップを行うことができる。2段階硬化を使用すると、得られる複合材料に非常に高い程度の架橋を付与することができる。第2の段階で使用される温度は250~300℃、またはポリマーの分解温度であり得る。この高温硬化はオーブン内で実行することができるが、プレスで、即ち、最初の製造および硬化ステップの続きとして実行することもできる。特定の製造温度および圧力は、特定の接着剤組成物および誘電体組成物に依存するものであり、過度の実験なしに当業者により容易に確認可能である。
【0110】
接合層を任意の2つ以上の誘電体層の間に配置して、層を接着することができる。接合層は、所望の特性に基づいて選択され、例えば、2つの誘電体層を接合するための低融点熱可塑性ポリマーまたは他の組成物であり得る。一実施形態において、接合層は、その誘電率を調整するための誘電体充填材を含む。例えば、接合層の誘電率を調整して、DRAの帯域幅を改善または、そうでなければ修正することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、誘電体組成物を成形して誘電体材料を形成することにより、DRA、アレイ、またはそのコンポーネント、特に誘電体ボリュームの少なくとも1つが形成される。いくつかの実施形態において、ボリュームのすべてが成形される。他の実施形態において、最初のボリュームV(i)を除くすべてのボリュームが成形される。さらに他の実施形態において、最も外側のボリュームV(N)のみが成形される。成形と他の製造方法、たとえば3D印刷またはインクジェット印刷の組み合わせを使用できる。
【0112】
成形により、任意選択的に、埋め込まれた特徴または表面特徴として別のDRAコンポーネントを伴って、誘電体ボリュームを迅速かつ効率的に製造できる。たとえば、金属、セラミック、またはその他のインサートをモールドに配置して、信号フィード、接地コンポーネント、または埋め込まれた特徴もしくは表面特徴としての反射器コンポーネントなど、DRAのコンポーネントを提供できる。代替的に、埋め込まれた特徴をボリュームに3D印刷またはインクジェット印刷し、さらに成形することができるか、あるいは、表面特徴をDRAの最外表面に3D印刷またはインクジェット印刷することができる。また、少なくとも1つのボリュームを接地構造上に、または1~3の誘電率を有する材料を含む容器内に直接成形することもできる。
【0113】
モールドは、パッケージまたは最も外側のシェルV(N)を提供するために、成形または機械加工されたセラミックを含むモールドインサートを有することができる。セラミックインサートを使用すると、損失が少なくなり、よって効率が向上し、成形アルミナの直接材料費が低いため、コストが削減され、ポリマーの製造のし易さおよび熱膨張制御(制約)のし易さへとつながり得る。また、全体の構造が銅またはアルミニウムの熱膨張係数(CTE)と一致するように、バランスのとれた熱膨張係数(CTE)を提供することができる。
【0114】
各ボリュームを異なるモールドで成形し、その後ボリュームを組み立てることができる。例えば、第1のボリュームを第1のモールドで成形し、第2のボリュームを第2のモールドで成形し、その後、ボリュームを組み立てることができる。一実施形態において、第1のボリュームは第2のボリュームとは異なる。個別の製造により、形状または組成に関して各ボリュームを簡単にカスタマイズすることができる。例えば、誘電体材料のポリマー、添加剤の種類、または添加剤の量は変更することができる。接着剤層を塗布して、あるボリュームの表面を別のボリュームの表面に接合することができる。
【0115】
他の実施形態において、第2のボリュームは、第1の成形ボリュームの中またはその上に成形することができる。ポストベークまたはラミネーションサイクルを使用して、ボリューム間の空気を除去することができる。各ボリュームは、異なるタイプまたは量の添加剤を含むこともできる。熱可塑性ポリマーが使用される場合、第1のボリュームおよび第2のボリュームは、異なる溶融温度または異なるガラス転移温度を有するポリマーを含むことができる。熱硬化性組成物が使用される場合、第2のボリュームを成形する前に、第1のボリュームを部分的または完全に硬化させることができる。
【0116】
熱硬化性組成物を1つのボリューム(たとえば、第1のボリューム)として使用し、熱可塑性組成物を別のボリューム(たとえば、第2のボリューム)として使用することもできる。これらの実施形態のいずれにおいても、充填材を変更して、各ボリュームの誘電率または熱膨張係数(CTE)を調整することができる。たとえば、各ボリュームのCTEまたは誘電体は、温度が変化しても共振周波数が一定になるようにオフセットできる。一実施形態において、内側のボリュームは、シリカとマイクロスフェア(マイクロバルーン)の組み合わせで満たされた低誘電率(<3.5)材料を含むことができ、所望の誘電率が外側のボリュームと一致するCTE特性を備えて達成される。
【0117】
いくつかの実施形態において、成形は、誘電体材料の少なくとも1ボリュームを提供するために、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性組成物および誘電体材料の任意の他の成分を含む射出可能な組成物の射出成形である。各ボリュームは個別に射出成形してから組み立てることができ、あるいは、第2のボリュームを第1のボリュームの中または上に成形することもできる。例えば、方法は、外側の型枠と内側の型枠とを有する第1のモールドにおいて第1のボリュームを反応射出成形すること、内側の型枠を取り外し、それを第2のボリュームの内側寸法を定義する第2の内側の型枠と交換すること、および第1のボリュームに第2のボリュームを射出成形すること、を含むことができる。一実施形態において、第1のボリュームは最も外側のシェルV(N)である。あるいは、方法は、外側の型枠と内側の型枠とを有する第1のモールドにおいて第1のボリュームを射出成形すること、外側の型枠を取り外し、それを第2のボリュームの外側寸法を定義する第2の外側の型枠と交換すること、および、第2のボリュームを第1のボリューム上に射出成形すること、を含むことができる。一実施形態において、第1のボリュームは最も内側のボリュームV(1)である。
【0118】
射出可能な組成物は、最初にセラミック充填材とシランを組み合わせて充填材組成物を形成し、次に充填材組成物を熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性組成物と混合することにより調製することができる。熱可塑性ポリマーの場合、セラミック充填材とシランの一方または両方との混合の前、後、または混合中にポリマーが溶融されてもよい。次いで、射出可能な組成物をモールド内に射出成形することができる。使用される溶融温度、射出温度、およびモールド温度は、熱可塑性ポリマーの溶融温度およびガラス転移温度に依存し、たとえば150~350℃、または200~300℃であり得る。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、誘電体ボリュームは、熱硬化性組成物を反応射出成形することにより調製することができる。反応射出成形は、第1の成形ボリュームを使用して第2の成形ボリュームを成形するのに特に適している。これは、架橋により第1の成形ボリュームの溶融特性が大幅に変化する可能性があるためである。反応射出成形は、少なくとも2つのストリーム(streams)を混合して熱硬化性組成物を形成すること、および熱硬化性組成物をモールドに注入することを含むことができ、第1のストリームは触媒を含み、第2のストリームは任意選択的に活性剤を含むことができる。第1のストリーム、および第2のストリームまたは第3のストリームの一方または両方は、モノマーまたは硬化性組成物を含むことができる。第1のストリーム、および第2のストリームまたは第3のストリームの一方または両方は、誘電体充填材および添加剤の一方または両方を含むことができる。熱硬化性組成物を注入する前に、誘電体充填材および添加剤の一方または両方をモールドに加えることができる。
【0120】
例えば、ボリュームを調製する方法は、触媒および第1のモノマーまたは硬化性組成物を含む第1のストリームと、任意選択の活性剤および第2のモノマーまたは硬化性組成物を含む第2のストリームとを混合することを含み得る。第1および第2のモノマーまたは硬化性組成物は同じであっても異なっていてもよい。第1のストリームおよび第2のストリームの一方または両方は、誘電体充填材を含むことができる。誘電体充填材は、例えば、第3のモノマーをさらに含む第3のストリームとして加えることができる。誘電体充填材は、第1および第2のストリームの注入の前にモールド内にあり得る。1つ以上のストリームの導入は、不活性気体、例えば窒素またはアルゴン下で行うことができる。
【0121】
混合は、射出成形機のヘッドスペース内にて、インラインミキサー内にて、またはモールドへの射出中に行うことができる。混合は、摂氏0以上かつ200度(℃)までの温度、または15~130℃、または0~45℃、または23~45℃の温度で行うことができる。
【0122】
モールドは、0以上250℃までの温度、具体的には23~200℃または45~250℃、または30~130℃、または50~70℃の温度に維持することができる。モールドを充填するのに0.25~0.5分かかることがあり、その間にモールドの温度が低下する可能性がある。モールドが充填された後、熱硬化性組成物の温度は、例えば、0~45℃の第1の温度から45~250℃の第2の温度まで増加させることができる。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。成形は、5分以下、または2分以下、または2~30秒で行うことができる。重合が完了した後、基板はモールド温度で、または減少したモールド温度で除去され得る。例えば、離型温度(release temperature)Trは、成形温度Tmよりも10℃以上低くすることができる(Tr≦Tm-10℃)。
【0123】
ボリュームをモールドから取り外した後、それをポスト硬化させることができる。ポスト硬化は、100~150℃、または140~200℃の温度で5分以上行うことができる。
【0124】
別の実施形態において、誘電体ボリュームは、圧縮成形により形成されて、誘電体材料のボリューム、または埋め込まれた特徴または表面特徴を有する誘電体材料のボリュームを形成することができる。各ボリュームを個別に圧縮成形してから組み立てることができ、あるいは第2のボリュームを第1のボリュームの中またはその上に圧縮成形することができる。例えば、方法は、外側の型枠と内側の型枠とを有する第1のモールドにおいて第1のボリュームを圧縮成形すること、内側の型枠を取り外し、それを第2のボリュームの内側寸法を定義する第2の内側の型枠と交換すること、および第1のボリュームに第2のボリュームを圧縮成形すること、を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のボリュームは最も外側のシェルV(N)である。あるいは、方法は、外側の型枠と内側の型枠を有する第1のモールドにおいて第1のボリュームを圧縮成形すること、外側の型枠を取り外し、それを第2のボリュームの外側寸法を定義する第2の外側の型枠と交換すること、および、第2のボリュームを第1のボリューム上に圧縮成形すること、を含むことができる。この実施形態において、第1のボリュームは最も内側のボリュームV(1)とすることができる。
【0125】
圧縮成形は、熱可塑性の材料または熱硬化性の材料のいずれかとともに使用できる。モールド温度などの熱可塑性材料を圧縮成形するための条件は、熱可塑性ポリマーの溶融温度とガラス転移温度に依存し、例えば、150~350℃、または200~300℃であり得る。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。成形は、5分以下、または2分以下、または2~30秒にて行うことができる。熱硬化性材料は、Bステージ化する前に圧縮成形して、Bステージ化された材料または完全に硬化した材料を生成できるか、あるいはBステージ化した後に圧縮成形し、モールド内または成形後に完全に硬化させることができる。
【0126】
さらに他の実施形態において、誘電体ボリュームは、予め設定されたパターンで複数の層を形成し、層を融合することにより、すなわち3D印刷により形成することができる。本明細書で使用されるように、3D印刷は、単一層(インクジェット印刷)に対して複数の融合層の形成(3D印刷)によってインクジェット印刷と区別される。層の総数は、例えば、10~100,000層、20~50,000層、または30~20,000層と様々にすることができる。所定のパターンの複数の層は、物品を提供するために融合される。本明細書で使用する「融合(fused)」とは、任意の3D印刷プロセスによって形成および接合された層を指す。3D印刷中に複数の層を統合、接合、または結合するのに効果的な任意の方法を使用できる。いくつかの実施形態において、各層の形成中に融合が起こる。いくつかの実施形態において、後続の層が形成される間、またはすべての層が形成された後に、融合が起こる。予め設定されたパターンは、当技術分野で知られているように、所望の物品の三次元デジタル表現から決定することができる。
【0127】
3D印刷により、任意選択的に埋め込まれた特徴または表面特徴として別のDRAコンポーネントを伴って、誘電体ボリュームを迅速かつ効率的に製造できる。たとえば、金属、セラミック、またはその他のインサートを印刷中に配置して、信号フィード、接地コンポーネント、または埋め込まれた特徴もしくは表面特徴としての反射器コンポーネントなど、DRAのコンポーネントを提供できる。或いは、埋め込まれた特徴をボリュームに3D印刷またはインクジェット印刷してから、さらなる印刷をすることができるか、あるいは表面特徴を、DRAの最外表面に3D印刷またはインクジェット印刷することができる。少なくとも1つのボリュームを接地構造上に直接3D印刷するか、あるいは1~3の誘電率を有する材料を含む容器に3D印刷することもできる。
【0128】
第1のボリュームは、第2のボリュームとは別個に形成することができ、第1および第2のボリュームは、任意選択的に両者の間に接着剤層を配置した状態にて組み立てられる。代替的または付随的に、第2のボリュームを第1のボリューム上に印刷することができる。したがって、方法は、第1のボリュームを提供するために第1の複数の層を形成すること、および第1のボリュームの外面に第2の複数の層を形成して、第1のボリュームに第2のボリュームを提供すること、を含むことができる。第1のボリュームは、最も内側のボリュームV(1)である。あるいは、方法は、第1のボリュームを提供するために第1の複数の層を形成すること、および第2のボリュームを提供するために第1のボリュームの内面に第2の複数の層を形成すること、を含むことができる。一実施形態において、第1のボリュームは最も外側のボリュームV(N)である。
【0129】
例えば、融合堆積モデリング(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、大規模付加製造(Big Area Additive Manufacturing)(BAAM)、ARBURGプラスチックフリー形成技術、積層物体製造(LOM)、ポンピング堆積法(例えばhttp://nscrypt.com/micro-dispensingで説明されるように、制御されたペースト押出としても知られている)、または他の3D印刷方法などの、多様な3D印刷方法を使用することができる。3D印刷は、原型の製造または生産プロセスとして使用できる。いくつかの実施形態において、ボリュームまたはDRAは、3Dまたはインクジェット印刷によってのみ製造されるため、誘電体ボリュームまたはDRAを形成する方法は、押出、成形、または積層プロセスを含まない。
【0130】
材料の押出技術は、熱可塑性プラスチックで特に有用であり、複雑な特徴を提供するために使用できる。材料押出技術には、FDM、ポンプ堆積、溶融フィラメント製造などの技術、ならびにASTM F2792-12aに記載されている他の技術、が含まれる。溶融材料押出技術では、層を形成するために堆積させることができる流動性のある状態に熱可塑性材料を加熱することにより、物品を製造することができる。この層は、x-y軸に所定の形状を有し、z軸に所定の厚さを有することができる。流動性材料は、上記のように道(road)として、または特定のプロファイルを提供するダイを介して堆積させることができる。層は、堆積すると冷却して固化する。融解した熱可塑性材料の後続の層は、以前に堆積した層に融合し、温度の低下に伴い固化する。後続の複数の層を押し出すと、所望の形状が構築される。特に、物品は、流動性材料を1つ以上の道として基板上にx-y平面で堆積させて層を形成することにより、物品の三次元デジタル表現から形成することができる。次に、基板に対するディスペンサー(たとえば、ノズル)の位置をz軸(x-y平面に対して垂直)に沿って増分し、プロセスを繰り返してデジタル表現から物品を形成する。したがって、分注される材料は、「造形材料(modeling material)」および「構築材料(build material)」とも呼ばれる。
【0131】
いくつかの実施形態において、層は2つ以上のノズルから押し出され、それぞれが異なる組成物を押し出す。複数のノズルが使用される場合、この方法は、単一のノズルを使用する方法よりも迅速に製品オブジェクトを生成することができ、さまざまなポリマーまたはポリマーのブレンド、さまざまな色、またはテクスチャーなどの使用に関して柔軟性を高めることができる。したがって、一実施形態において、2つのノズルを使用する堆積時に単層の組成または特性を変えることができ、または2つの隣接する層の組成または特性を変えることができる。たとえば、1つの層に高い体積パーセントの誘電体充填材を含めることができ、後続の層に中間の体積の誘電体充填材を含めることができ、その後の層に低い体積パーセントの誘電体充填材を含めることができる。
【0132】
材料押出技術は、熱硬化性組成物の堆積にさらに使用することができる。例えば、少なくとも2つのストリームを混合し、堆積させて層を形成することができる。第1のストリームは触媒を含むことができ、第2のストリームは任意選択的に活性剤を含むことができる。第1のストリーム、および第2のストリームまたは第3のストリームの一方または両方は、モノマーまたは硬化性組成物(例えば、樹脂)を含むことができる。第1のストリーム、および第2のストリームまたは第3のストリームの一方または両方は、誘電体充填材および添加剤の一方または両方を含むことができる。熱硬化性組成物を注入する前に、誘電体充填材および添加剤の一方または両方をモールドに加えることができる。
【0133】
例えば、ボリュームを調製する方法は、触媒および第1のモノマーまたは硬化性組成物を含む第1のストリームと、任意選択の活性剤および第2のモノマーまたは硬化性組成物を含む第2のストリームとを混合することを含み得る。第1および第2のモノマーまたは硬化性組成物は同じであっても異なっていてもよい。第1のストリームおよび第2のストリームの一方または両方は、誘電体充填材を含むことができる。誘電体充填材は、例えば、第3のモノマーをさらに含む第3のストリームとして加えることができる。1つ以上のストリームの堆積は、不活性気体、例えば窒素またはアルゴンの下で行うことができる。混合は、堆積の前に、インラインミキサーにて、または層の堆積中に行うことができる。完全な硬化または部分的な硬化(重合または架橋)は、堆積前、層の堆積中、または堆積後に開始することができる。一実施形態において、層の堆積の前または層の堆積中に部分的な硬化が開始され、層の堆積後またはボリュームを提供する複数の層の堆積後に完全な硬化が開始される。
【0134】
いくつかの実施形態において、当技術分野で知られている支持材料を任意選択的に使用して、支持構造を形成することができる。これらの実施形態において、物品の製造中に構築材料および支持材料を選択的に分配して、物品および支持構造を提供することができる。支持材料は、支持構造、例えば、積層プロセスが所望の程度まで完了したときに機械的に除去または洗い流すことができる足場の形態で存在していてもよい。
【0135】
予め設定されたパターンで連続層を形成するために、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、電子ビーム溶解(EBM)および結合剤または溶媒の粉末ベッド噴射などの、ステレオリソグラフィー技術を使用することができる。ステレオリソグラフィー技術は、熱硬化性組成物に特に有用であり、これは、各層を重合または架橋することにより、層ごとの堆積を生じさせることができるためである。
【0136】
誘電体共振器アンテナまたはアレイまたはそのコンポーネントの製造のためのさらに別の方法では、誘電体組成物を第1のボリュームの表面に塗布することにより、第2のボリュームを形成することができる。塗布は、コーティング、キャスティング、またはスプレーによる(例えばディップコーティング、スピンキャスティング、噴霧、ブラッシング、ロールコーティング、または前述のうちの少なくとも1つを含む組み合わせによる)ことができる。いくつかの実施形態において、複数の第1のボリュームが基板上に形成され、マスクが適用され、第2のボリュームを形成するための誘電体組成物が塗布される。この技術は、第1のボリュームが最も内側のボリュームV(1)であり、基板がアンテナアレイの製造に直接使用される接地構造または他の基板である場合に有用であり得る。
【0137】
上述のように、誘電体組成物は、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性組成物を含むことができる。熱可塑性樹脂は、溶融させるか、適切な溶媒に溶解させることができる。熱硬化性組成物は、液体熱硬化性組成物であるか、溶媒に溶解させることができる。溶媒は、誘電体組成物を塗布した後、熱、空気乾燥、または他の技術により除去することができる。熱硬化性組成物は、第2のボリュームを形成するために塗布した後に、Bステージ化、または完全に重合または硬化させることができる。誘電体組成物の塗布中に重合または硬化を開始することができる。
【0138】
誘電体組成物の成分は、所望の特性、例えば所望の誘電率を提供するように選択される。一般に、第1の誘電体材料および第2の誘電体材料の誘電率は異なる。
いくつかの実施形態において、第1のボリュームは最も内側のボリュームV(1)であり、後続のボリュームのすべてを含む1つ以上が上述のように塗布される。例えば、最も内側のボリュームV(1)に続くボリュームの全ては、第1のボリュームに誘電体組成物を塗布することから始めて、誘電体組成物をそれぞれのボリュームV(i)の下にあるボリュームに順次適用することにより形成できる。他の実施形態において、複数のボリュームのうちの1つのみがこの方法で塗布される。たとえば、第1のボリュームはボリュームV(N-1)であり、第2のボリュームは最も外側のボリュームV(N)である。
【0139】
接続されたDRAアレイに関連する特徴の特定の組み合わせが本明細書で説明されたが、これらの特定の組み合わせは例示のみを目的としており、これらの特徴のいずれかの組み合わせは、個別に、または本明細書に開示された他の特徴と組み合わせて、明示的または同等に、任意の組み合わせで、かつ一実施形態に従う全てにおいて使用できることが理解されよう。本明細書に開示される接続されたDRAアレイに関連するそのような特徴の組み合わせの任意のものおよび全てが企図され、特許請求の範囲内にあるとみなされる。
【0140】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い、その要素を均等物で置き換えることができることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良または唯一のモードとして開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むであろうことが意図されている。また、図面および説明では、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語および/または寸法が採用されている可能性があるが、それらは、特に明記しない限り、一般的、例示的および/または説明的な意味でのみ使用されており、限定することを目的としておらず、従って、特許請求の範囲をそのように限定するものではない。さらに、「第1」、「第2」などの用語の使用は、順序や重要性を示すものではなく、むしろ「第1」、「第2」などの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用される。用語「1つの(a)」、「1つの(an)」などの使用は、量の限定を意味するものではなく、むしろ参照されている事項の少なくとも1つの存在を意味するものである。本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、1つまたは複数のさらなる特徴を包含する可能性を排除するものではない。