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特許7117320照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/118 20170101AFI20220804BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20220804BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20220804BHJP
   B29C 64/20 20170101ALI20220804BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220804BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220804BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220804BHJP
   F21V 7/22 20180101ALI20220804BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220804BHJP
   G02B 5/10 20060101ALI20220804BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220804BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220804BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/188
B29C64/314
B29C64/20
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/00
F21V7/22
F21V19/00 150
G02B5/10 C
B28B1/30
F21Y115:10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019555666
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018058450
(87)【国際公開番号】W WO2018188988
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】17165676.2
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファト アタ ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボンメル ティース
(72)【発明者】
【氏名】ファン ハル パウルス アルベルトゥス
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-033751(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106152053(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255534(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0158244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、前記構成要素が、剛性及び第1の形状を有する可撓性基材と、ポリマー材料とを備え、前記方法は、
印刷構造において前記可撓性基材上に前記ポリマー材料を印刷するステップを含み、
前記印刷構造は、前記ポリマー材料が印刷後に収縮するときに、前記可撓性基材の前記第1の形状を第2の形状に変化させる、方法。
【請求項2】
曲げ力が、前記可撓性基材の弾性変形又は塑性変形をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可撓性基材の前記第2の形状は、前記可撓性基材の前記第1の形状に対して少なくとも5度の曲げ角度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
収縮のための熱処理を施すステップを更に含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記印刷構造は、穴、溝、ポリマー材料のパターン化された分布、又はポリマー材料組成の差異の群からの少なくとも1つの印刷特徴を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレンのうちの1つである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記可撓性基材は、反射面を備え、前記反射面は、前記ポリマー材料が前記可撓性基材上に印刷される側に向けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記可撓性基材及び/又は前記印刷構造は、光源を備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記可撓性基材の材料は、透明又は半透明のフォイルを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料は透明であり、前記印刷構造は、散乱粒子、回折要素、空隙、変換材料、又は光源のうちの1つを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷するステップは、電子回路に給電するための導電性トラックを印刷することを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷構造は中空円筒体を備え、前記可撓性基材は円形プレートを備え、前記第2の形状はドームを有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記印刷構造は中空正方形チューブを備え、前記可撓性基材は円形プレート形状を備え、前記第2の形状は鞍形状を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法に関する。構成要素は、可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備える。本発明は更に、本方法によって製造された構成要素に関する。本発明は更に、照明デバイスで使用するために3D印刷によって製造された構成要素に関する。構成要素は、可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備える。本発明は更に、3Dプリンタに関する。本発明は更に、本発明による構成要素を備える照明デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル製造業における現在の慣行は、積層造形法の広範な導入によって変容すると予想される。積層造形法は、3D印刷として最も知られている。更に、最も広く使用されている3D印刷プロセスは、熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling;FDM)として知られている。FDMプリンタは、例えば、様々なポリマー、金属又はセラミックなどを使用して様々な形状を印刷する際に使用される。そのような材料(通常、フィラメントの形態で加工される)は、それらの融点まで加熱され、続いて押し出され得る。結果として、材料は、3次元物体を作り出すために層毎に堆積され得る。FDMプリンタは、比較的高速かつ低コストであり、複雑な3D物体を印刷するために使用することができる。3D印刷加工は、照明器具及び照明ソリューションの製造において更に発展し得る。
【0003】
FDMプリンタは、一般的には、ビルドプレートと、液化器及び分配ノズルを含む押出ヘッドとを有する。動作中、押出ヘッドは、フィラメントの形態の3D印刷可能材料を受け入れる。そのようなフィラメントとしては、熱可塑性材料が広く使用されている。例えば、液化器内では、熱可塑性フィラメントが流動可能温度まで加熱され、温度は、一般的には、熱可塑性材料のガラス転移温度よりも高い温度である。加熱されたフィラメントは、次いでノズルを通して所望の流量で押し出され、押出物は、一般的に、「ビード」と呼ばれる。ビードは、造形面上のツール経路に沿って堆積され、造形面は、ビルドプレートの上面又は先に堆積された層の上面とすることができる。ビードの堆積は層を作り出し、複数の層を上下に重ねることにより、3D物体が作り出される。コントローラが、押出ヘッドの水平面移動、ビルドプレートの鉛直方向移動、及び押出ヘッドへのフィラメントの供給などの加工変数を制御する。印刷された層が固化した後、完成した3D物体は、ビルドプレートから取り外すことができる。
【0004】
物体をうまく3D印刷することは、いくつかの好ましい条件を含む。いくつかの例が、欧州特許出願公開第3061546A1号、米国特許出願公開第2016/320771A1号、又は同第2015/352792A1号によって提示され得る。一方、物体が印刷中にビルドプレートに付着したままであることが望ましい場合がある。これは、ビルドプラットフォームへの印刷された物体の不十分な付着力が、望ましくないように、印刷プロセス中にビルドプレートから物体を移動させたり、反らせたり、層間剥離させたりすることがあり、失敗した又は低品質の物体をもたらし得るためである。他方、物体を損傷させずに物体がビルドプレートから取り外し可能であることが好ましい場合があり、したがって、ビルドプレートへの物体の付着力は、「分離不能に」大きかったり、(後加工ステップを必要とするように)「困難」であったりすべきではない。また他方、印刷された層(又は物体全体)の収縮中に印刷された物体内に発生する熱応力が、物体の望ましくない変形又は亀裂の形成を招かないことが望ましく、変形や亀裂は、物体が冷却中に拘束されると発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、物体をうまく3D印刷するために、好ましい条件と対応する現象との間のバランスを見出すことが必要となり得る。しかし、上述されたように、ある条件によってもたらされる利点は、別の条件にとって欠点となり得る。したがって、物体の3D印刷を改良するために、条件それぞれの欠点に有利に対処する新たな手法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する改良された方法を提供することである。このために、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、構成要素が、剛性及び第1の形状を有する可撓性基材と、ポリマー材料とを備え、方法は、印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料を印刷するステップを含み、印刷構造は、ポリマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材の第1の形状を第2の形状に変化させる、方法を提供する。ここでは、ポリマー材料中の内部応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ得、曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす。
【0007】
本発明の同じ目的内で、モノマー材料が、必要に応じて変更を加えて、ポリマー材料の代わりに提供されてもよい。したがって、一態様において、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、構成要素が、剛性及び第1の形状を有する可撓性基材と、モノマー材料とを備え、方法は、印刷構造において可撓性基材上にモノマー材料を印刷するステップを含み、印刷構造は、モノマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材の第1の形状を第2の形状に変化させる、方法を提供する。ここでは、(本出願でより詳細に後述されるように)モノマー材料の重合応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ得る。曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こし得る。
【0008】
第2の形状は、予め定められた形状でもよい。予め定められたとは、可撓性基材の第1の形状の変換が第2の形状にどのように変化するかについての知見を含んでもよい。そのような知見は、例えば、ポリマー冷却又はモノマー重合のシミュレーションによって得られ得る。
【0009】
照明デバイスで使用するための構成要素を製造する方法は、照明デバイスで使用するための3D印刷された構成要素をもたらす。そのような構成要素は、光学的、構造的、熱的、電子的、又は審美的要件による、単一又は複数の湾曲を有する複雑な形状を有し得る。いくつかの例において、構成要素は、ランプ、反射器、カバー、ライトガイド、ブラインド、ライトエンジン、ヒートシンク、ケーブルガイド、レンズ、基材収容電子回路、コリメータ、コネクタ、照明ハウジング、又は照明器具のうちの1つ(又はそのうちの1つの一部)でもよい。照明デバイスは、照明器具、ランプ、ライトポール、光源を備える電子デバイス、又は車両内に装備される照明デバイスでもよい。したがって、本発明で提供されるような、照明デバイスで使用するための構成要素を製造する方法は、構成要素を製造するための効率的かつ有効な製造技術となり得る。これは、複雑な構造が、(1つ又は複数の湾曲を含む)複雑な形状に関連して製造され得るためである。
【0010】
構成要素は、可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備える。ポリマー材料又はモノマー材料は、特定の印刷構造において可撓性基材上に印刷される。(例えば、ポリマー材料の場合の冷却によるか、又はモノマー材料の場合の重合収縮によるかのいずれかで)印刷構造が収縮すると、内部応力(例えば、ポリマー材料の場合の熱応力、又はモノマー材料の場合の重合応力のいずれか)が、印刷構造中に作り出され得る。内部応力は、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ得る。したがって、内部応力の結果として、印刷構造の収縮が、可撓性基材に作用する曲げ力を作用させ得る。可撓性基材は変形でき、変形量は可撓性基材の剛性に依存し得るので、可撓性基材が第2の形状に変形するように、特定の印刷構造が選ばれてもよい。すなわち、曲げ力が第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす変形。変形及び第2の形状は、所望の変形及び予め定められた変形である。したがって、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するための方法は、可撓性基材を第2の形状に形成するために印刷構造の収縮を有利に利用し得る。したがって、本発明は、構成要素を製造する新規な3D印刷手法を提供し、特には、照明デバイスで使用するための構成要素であるが、代わりに、任意の他の物体又は構成要素が、当該方法によって有利に製造されてもよい。これは、例えば、電子デバイス、光学デバイス、及びウェアラブルデバイス内の構成要素でもよい。
【0011】
本発明による方法は、基材を第2の形状に形成するために、印刷構造の予想される収縮パターンについての知見を有利に適用し得る。そのような基材の形成は、以前は、例えば、冷間変形の曲げ又は熱成形(プレス)などの従来の製造技術で行われていたので、本出願で提供される方法は、そのような従来の技術に勝る利点をもたらす。これは、3D印刷の使用が、そのような可撓性基材に関連して、より複雑な構造の印刷を可能にするためである。更に、成形された基材が、後加工なしに、3D印刷によって構造体と直接接続され得る。このことは、複雑な形状を有する部品が、熱的、電気的、光学的、及び機械的要件などの複雑な特性を必要とする特に照明デバイスで使用するための構成要素の製造ステップを低減し、製造効率を向上させる。したがって、本発明は、3D印刷における熱応力の欠点を、構成要素を製造する新規かつ有利な3D印刷方法に変える。
【0012】
別の利点は、可撓性基材が第2の形状に移ることを拘束されないため、本発明が、内部応力、例えば熱応力による層間剥離又は望ましくない反りを経験しないことである。つまり、例えば、低温層上に印刷された高温層により、印刷された層にもたらされた熱応力が、可撓性基材を第2の形状に従わせるために利用される。したがって、印刷構造中の熱応力が、構成要素を形成する際に有利に制御され得る。したがって、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷で製造する有利な方法が提供される。
【0013】
一実施形態において、可撓性基材の断面領域に作用する曲げ力が、可撓性基材の降伏応力よりも低い変形応力を生じさせる、本発明による方法が提供される。したがって、曲げ力が可撓性基材の弾性変形を招く、本発明による方法が提供される。そのような実施形態において、可撓性基材は、第2の形状に弾性的に変化(又は変形)される。したがって、可撓性基材の第2の形状は、印刷構造が除去又は改変された場合に、初期形状に弾性的に戻り得る。このことは、構成要素をリサイクルするのに有益であり得る。例えば、印刷構造が印刷後に可撓性基材から積層解除される(又は、取り外されたり、接続解除されたりする)場合、可撓性基材は、印刷構造が可撓性基材上に印刷される前の初期形状に戻り得る。
【0014】
一実施形態において、可撓性基材の断面領域に作用する曲げ力が、可撓性基材の降伏応力よりも高い変形応力を生じさせる、本発明による方法が提供される。したがって、曲げ力が可撓性基材の塑性変形を招く、本発明による方法が提供される。そのような実施形態において、可撓性基材は、第2の形状に塑性変化(又は変形)される。したがって、可撓性基材の第2の形状は、その後に印刷構造が改変又は取り外されたとき、例えば、除去されたか、面取りされたか、切除されたときでも、そのままとなり得る。更に、塑性変形により、可撓性基材が第2の形状に変化すると同時に強度を向上させるように、可撓性基材はまた、歪み硬化し得る。
【0015】
別の例において、可撓性基材の断面領域に作用する曲げ力は、曲げ応力よりも高い変形応力を生じさせて、可撓性基材を曲げる。いくつかの例において。このことは、基材の粘弾性変形を招き得る。曲げ力はまた、可撓性基材の粘性変形も招き得る。
【0016】
本発明による方法は、ポリマー材料が印刷される場合、収縮のための熱処理を施すステップであって、内部応力が熱応力である、ステップ、又は、モノマー材料が印刷される場合、重合材料へのモノマー材料の重合によってモノマー材料を収縮させるための光重合処理を施すステップであって、内部応力が重合による応力である、ステップを更に含んでもよい。収縮のためのそのような熱処理は、能動的な冷却によって能動的にか、又は一定の周囲温度で受動的にかのいずれかで、構成要素を一様に冷却することを含んでもよい。オプションとして、いくつかの例において、収縮のための熱処理が施されてもよく、例えば、構成要素の異なる部分が異なる速度で収縮されて、可撓性基材の所望の第2の形状を実現できるように、収縮のための局所的熱処理が構成要素にもたらされる。
【0017】
モノマー材料が印刷される場合、モノマーの重合によってモノマー材料を重合材料に収縮させるための光重合処理を施すこともまた、本発明による照明デバイスで使用するための構成要素を提供し得る。つまり、重合材料へのモノマー材料の重合が、モノマー材料の収縮を可能にする。これは熱収縮に代わる収縮メカニズムであるが、重合による収縮もまた、構成要素を製造するために利用され得る。重合に基づく収縮メカニズムを使用する利点は、3D印刷プロセスが印刷用のモノマー材料を備えてもよい点である。更に、光重合により、指向された光線によって収縮が局所的に誘発されてもよく、このことは、可撓性基材を所望の第2の形状に成形する際のより大きな自由度をもたらす。
【0018】
更なる実施形態において、方法は、ポリマー材料とモノマー材料の両方が、構成要素を製造するための同じ3D印刷プロセスで印刷される場合、ポリマー材料を収縮させるための熱処理と、重合材料へのモノマー材料の重合によってモノマー材料を収縮させるための光重合処理と、を同じ3D印刷プロセス内で施すことを含んでもよい。そのような実施形態は、3D印刷プロセスが、構成要素を製造する際にポリマー材料とモノマー材料の両方を利用し得るため、有利となり得る。
【0019】
印刷構造は、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材を第2の形状に変化させる。つまり、ポリマー材料中又はモノマー材料中の内部応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ得、曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす。したがって、ポリマー材料又はモノマー材料が収縮するときに、印刷構造は、第2の形状への可撓性基材の変化を支配し得る。したがって、印刷構造の印刷特徴は、変化に影響を及ぼすことがあり、第2の形状を招き得る。したがって、印刷構造は、穴、溝、ポリマー材料のパターン化された分布、又はポリマー材料組成の差異の群からの少なくとも1つの印刷特徴を備えてもよい。そのような少なくとも1つの印刷特徴は、第2の形状への可撓性構造体の変化を推進できるため、有利となり得る。つまり、内部応力(熱応力又は重合応力のいずれか)は、可撓性基材の所望の箇所が第2の形状に変形し得るように、可撓性基材の表面領域に曲げ力を提供するために適切に方向づけられ得る。そのような印刷特徴は、3D印刷でのみ可能となり得、そのような実施形態は、熱成形、曲げ、又はプレスなどの従来の製造技術と明確に差別化する。
【0020】
例えば、ポリマー材料が印刷される場合、溝は、印刷構造の領域又は体積をより速く冷却させるのに有利となり得、このことは、より多くの熱応力を前記領域又は体積に蓄えさせ得、その後、より大きな曲げ力を可撓性基材の表面領域に作用させ得る。より大きな曲げ力は、可撓性基材の初期形状に対してより大きな湾曲角度を有する第2の形状に可撓性基材を変位させることを可能にし得る。別の例において、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷される場合、印刷構造は、穴の周りの領域に内部応力(熱応力又は重合応力のいずれか)を蓄積するための穴を備えてもよい。そのような蓄積された内部応力は、可撓性基材の表面領域に作用する曲げ力に寄与し得る。したがって、穴及び/又は溝は、印刷構造が可撓性基材を収縮中に所望の(予め定められた)形状に変化させることを可能にするのに有利となり得る。
【0021】
例えば、印刷構造は、ポリマー材料のパターン化された分布からなる印刷特徴を備えてもよい。そのようなポリマー材料のパターン化された分布は、印刷されたパターンが可撓性基材を収縮中に所望の第2の形状に変化させるようなパターンでポリマー材料を印刷することを含む。例えば、可撓性基材上に印刷されたポリマーラインは、主にラインの長手方向に収縮し、可撓性基材を曲げ、ラインの長手方向に沿った湾曲をもたらし得る。複数のポリマーラインが印刷されると、各ポリマーラインは、ラインの長手方向に沿って可撓性基材を湾曲させ得る。したがって、可撓性基材は、複数の曲げ部(湾曲部)を含む第2の形状に湾曲し得る。更に、より多くのポリマー材料を含むより太いラインを施すことが、より少ないポリマー材料を含むより細いラインよりも大きな曲げ力を作用させ得、このことは、湾曲角度の遊びを許容する。更に、中空円筒体パターンを印刷することが、中空円筒体が内向きに収縮し得るため、可撓性基材を全ての方向に一様に曲げさせ、したがって、可撓性基材がドーム形状に変化することを可能にし得る。更に、中空の5点星形パターンを印刷することは、中空の5点星形が内向きに収縮し得るため、可撓性基材を5点星形のレリーフに曲げさせ得る。更には、可撓性基材がより複雑な第2の形状に変化し得るように、ポリマー材料の別の複雑なパターン化された分布が印刷されてもよい。
【0022】
例えば、印刷構造は、ポリマー材料組成の差異からなる印刷特徴を備えてもよい。ポリマー材料組成のそのような差異は、密度が異なるポリマー材料を印刷すること、充填剤含有量が異なるポリマー材料を印刷すること、ポリマーの種類が異なるポリマー材料を印刷することなどを含む。そのような印刷特徴は、印刷構造の収縮に、したがって、第2の形状への可撓性基材の変化に影響を及ぼし得る。これは、材料組成の差異が、例えば、熱伝達を改良し、異なるガラス転移温度の異なるポリマー材料を有する部分を提供し、よって、冷却のための異なる温度差をもたらし、充填剤又は繊維などの存在による内部応力の蓄積を変化させるためである。ポリマー材料組成のそのような差異は、3D印刷に容易に適用され得るので、印刷構造によって可撓性基材を第2の形状に変化させることは、構成要素が熱的、機械的、光学的、電気的、審美的要件により複雑となり得る、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するための有利な方法となり得る。
【0023】
ポリマー材料又はモノマー材料は、フィラメント材料でもよく、フィラメント材料は、炭素繊維、ガラス、顔料、金属フレークなどの充填剤を含んでもよい。更に、ポリマー材料又はモノマー材料は、3D印刷材料で構成されてもよく、3D印刷材料は、金属、セラミック、又は有機材料などの複数の異なる材料を含んでもよい。
【0024】
当該置換は、1つ(又は少なくとも1つの)湾曲角度を有する第2の形状に可撓性基材を変形させ得る。一実施形態において、第2の形状への可撓性基材の変位は、少なくとも5度、より好ましくは少なくとも8度、最も好ましくは少なくとも10度の最小曲げ角度に相当する。したがって、一実施形態において、可撓性基材は、第2の形状にあるとき、少なくとも5度、より好ましくは少なくとも8度、最も好ましくは少なくとも10度の曲げ角度を有する。そのような最小曲げ角度は、照明デバイスで使用するための構成要素を製造する方法が、従来の他の製造方法と比較してより効果的な方法となり得るため、好ましい。
【0025】
印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料又はモノマー材料を印刷するステップは、ポリマー材料又はモノマー材料を、印刷構造において可撓性基材上に分離不能に印刷するステップでもよい。分離不能とは、材料と可撓性基材との間の付着力が、得られた構成要素の通常使用中の外れを防止するのに十分であるように、ポリマー材料又はモノマー材料が可撓性基材上に重ねられることを意味し得る。当業者であれば、3D印刷についての「分離不能」を、そのように読み取り得る。ポリマー材料又はモノマー材料は、例えば、可撓性基材上に重ねられたり、可撓性基材に少なくとも部分的に機械的に接続されたりしてもよい。
【0026】
照明デバイスで使用するための構成要素の製造方法は、ポリマー材料若しくはモノマー材料、又はそれらの組み合わせを印刷するステップを含んでもよい。実施形態において、ポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレンの群から選択されてもよく、又はそれらのうちの少なくとも1つでもよい。実施形態において、モノマー材料は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、チオレン系(すなわち、光重合のためのチオレン基を含む)、エポキシ基の群から選択されてもよく、又は反応性基のうちの少なくとも1つでもよい。ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシなど、他のポリマー材料若しくはモノマー材料、又はそれらの両方の組成もまた、好適であり得る。
【0027】
ポリマー材料は、少なくとも1つの更なるポリマー材料及び/又は少なくとも1つのモノマー材料と混合された、第1のポリマー材料を含んでもよい。モノマー材料は、少なくとも1つの更なるモノマー材料及び/又は少なくとも1つのポリマー材料と混合された、第1のモノマー材料を含んでもよい。
【0028】
ポリマー材料をガラス転移温度を超えて冷却することは、ポリマー材料の固化を招き得る。したがって、ガラス転移温度以降、そのような冷却はポリマー材料の収縮を招き得、内部応力、すなわち熱応力の蓄積を招き得る。前述されたように、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法を提供するために応力を有利に利用する。したがって、ポリマー材料を収縮させるための比較的大きな温度低下(すなわち、冷却プロセス中の温度差、すなわち、ポリマー材料のガラス転移温度と、製造された構成要素の最終温度、例えば、室温との温度差)をもたらすことが好ましい場合がある。そのような大きな温度低下は、例えば、ポリマー層間及び/又はポリマー層とポリマー層が印刷された基材との間に熱応力をより多く蓄積させ得る。
【0029】
したがって、本発明による方法で使用されるようなポリマー材料は、比較的高いガラス転移温度を有し得る。比較的高いとは、例えば、ガラス転移温度と、構成要素が製造された(製造終了時の)周囲温度との少なくとも80度の温度差を意味し得る。したがって、一実施形態において、ポリマー材料のガラス転移温度と、製造された構成要素の最終温度との間の温度差は、少なくとも80度、少なくとも100度、少なくとも150度、少なくとも200度、又は80~140度でもよい。例えば、材料のポリカーボネートは、摂氏145度のガラス転移温度を有し、したがって、摂氏20度である室温との温度差は、摂氏125度である。更に、更なる実施形態において、ポリマー材料のガラス転移温度は、少なくとも摂氏80度、少なくとも摂氏100度、少なくとも摂氏120度、少なくとも摂氏140度、摂氏150度超、又は摂氏100度~摂氏180度でもよい。更に、最後の実施形態を参照すると、当該実施形態は、本発明により製造された構成要素の最終温度を更に有してもよく、最終温度は、本発明による方法が適用される箇所に共通の周囲室温である。
【0030】
それにもかかわらず、ポリマー材料が比較的低いガラス転移温度を有する場合、可撓性基材のより大きな変形を誘発するために、より低い剛性の基材が選択されてもよい。
【0031】
例えば、基材材料とポリマーのガラス温度との間の温度差がより大きい場合、より大きな変形がポリマー材料によって誘発される。したがって、PC(Tg=摂氏140度)を使用する場合、変形は、PET(Tg=摂氏70度)を使用する場合よりも大きくなり得る。両方の場合において、溶融した材料は、物理的手段、すなわちファンデルワールス相互作用で基材に付着する。更に、一般的には、基材は、最大温度差を有するようには加熱されない。
【0032】
一実施形態において、基材材料は、ポリマー又はモノマー材料と基材材料との間の化学結合を実現するために、基材面に化学反応性基を含んでもよい。このようにして、印刷された材料と基材材料との間の物理的付着力を得るために、一般的なファンデルワールス力の次の、他の付着力が含まれてもよい。
【0033】
可撓性基材は、剛性によって特徴付けられる。剛性は、加えられた力に応じた変形に対する物体の抵抗の尺度である。剛性は、可撓性基材の材料及び形状に依存する示量的特性である。例えば、引張状態又は圧縮状態の要素の場合、軸方向剛性は、断面積にヤング率を乗じて要素の長さで割った値として定義される。ヤング率は、可撓性基材の材料の示強的特性である。例えば、ポリマーは、0.1Gpa~10Gpaの範囲の(室温)ヤング率を有してよく、ガラスは、50Gpa~90Gpaの範囲のヤング率を有してよく、金属は60Gpa以上のヤング率を有してよい。可撓性基材は、フォイル、プレート、又は重ねられた層の積層体でもよく、可撓性基材は、正方形、円形、I字形、又は別の形状の断面を有してもよい。基材の厚さは、好ましくは、0.1ミリメートル~5.0ミリメートル、より好ましくは0.3ミリメートル~3ミリメートルの範囲でもよく、そのような厚さは、精巧な第2の形状に曲げるためにより好適であり得る。
【0034】
一実施形態において、可撓性基材は可撓性基材材料を含んでもよく、可撓性材料とは、PC、ABS、PE、ガラス、シリカ、アルミニウム、又は銅のうちの少なくとも1つである。したがって、可撓性基材は、ポリマー、セラミック、若しくは金属、又はそれらの任意の複合物を含んでもよい。
【0035】
前述されたように、照明デバイスで使用するための構成要素を製造する方法は、照明デバイスで使用するための3D印刷された構成要素をもたらす。そのような構成要素は、可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備える。可撓性基材は、照明で使用するための機能をもたらしてもよい。
【0036】
そのような機能は、光学的機能又は熱的機能でもよい。したがって、一実施形態において、可撓性基材は、反射面を備えてもよい。したがって、一実施形態において、可撓性基材は、ポリマー材料又はモノマー材料が可撓性基材上に印刷される側に向けられた反射面を備えてもよい。そのような実施形態は、可撓性基材が、例えば、照明デバイス内の反射器構成要素として使用され得るため、有利である。次いで、そのような反射器の湾曲形状は、ポリマー材料又はモノマー材料を平坦な可撓性基材上に印刷し、その後にフィラメント材料を収縮させて、湾曲した反射器形状を生じさせることにより、有利に製造され得る。そのような反射面は、照明デバイスの構成要素の熱的性能を向上させるための放射面としても作用し得る。これは、そのような反射面が、構成要素の放射率を低下させ、したがって、放射性熱伝達を生じにくくし得るためである。更に、そのような反射面は、照明デバイスで使用するための構成要素の一部として光線(例えば、レーザビーム)を案内する役割を果たし得る。例えば、印刷構造は、反射器ハウジングとして印刷されてもよく、印刷構造は、可撓性基材を反射器の第2の形状に変化させ、可撓性基材は、反射器の機能をもたらすための反射面を備える。結果として、照明デバイスで使用するための構成要素を製造する本発明による3D印刷方法は、従来の製造技術に勝る利点をもたらす。これは、(照明で使用するための複数の機能を有する)構成要素が、3D印刷及び関連する印刷可能性を用いて単一の製造方法で一体的に製造され得るためである。つまり、3D印刷は、複雑な構造体の印刷を可能にする。本発明は、改良された3D印刷方法を提供し、印刷構造は、前述されたように、可撓性基材を第2の形状に変化させ、所望の構成要素をもたらす。
【0037】
また、そのような機能は照明機能でもよい。一実施形態において、可撓性基材は光源を備える。そのような実施形態は、光源が可撓性基材の一部であってもよく、本発明による印刷プロセスが完了したときに、(本発明による方法によって製造された)構成要素が既に光源を備えてもよいため、有利である。そのような実施形態は、光源を備える可撓性基材を有する構成要素を備える照明デバイスの、費用効率が高く、労働効率性が高く、かつ簡略化された製造をもたらし得る。例えば、可撓性基材は、LED光源を備えるポリマーフォイルでもよい。ランプ口金構成要素として機能し得る印刷構造により、可撓性基材は、本発明の方法を実施することにより、予め定められたドーム形状に変化し得る。可撓性基材が既に光源を備えているので、得られた構成要素は、ランプ口金でもよく、ドーム形状の基材は、光を与える光「電球」として機能する。光源を備える可撓性基材は、LEDストリップでもよく、LED光源を収容するポリマー、金属又はセラミック基材でもよく、光源及び/又は蛍光ガスを備える透明な基材材料でもよい。
【0038】
一実施形態において、印刷構造は、光源及び/又は光源固定具を備える。そのような実施形態は、光源が印刷構造の一部であってもよく、本発明による印刷プロセスが完了したときに、(本発明による方法によって製造された)構成要素が既に光源及び/又は光源固定具を備えてもよいため、有利である。そのような実施形態は、光源及び/又は光源固定具を備える印刷構造を有する構成要素を備える照明デバイスの、費用効率が高く、労働効率性が高く、かつ簡略化された製造をもたらし得る。LED光源などの光源は、例えば、3D印刷方法で、可撓性基材上の印刷構造に印刷されてもよい。更に、光源の取り付けが容易となり得るように、光源固定具が印刷構造に印刷されてもよい。
【0039】
更に、一実施形態において、可撓性基材は、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷後に収縮するときに、印刷構造が可撓性基材を第2の形状に変化させ得るように、光源及び反射面を備えてもよい。第2の形状は、ランプ構成要素の形状でもよい。したがって、可撓性基材は、例えば、ランプ又は他の照明デバイスで使用するための、反射器、光源及び(本発明の方法による)所望の形状のランプ構成要素を既に提供し得る。
【0040】
更に、一実施形態において、可撓性基材は、固体光源、センサ、ラウドスピーカ、エネルギーハーベスティングデバイス、光起電力電池、又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つの電気構成要素を備えてもよい。
【0041】
更に、そのような機能は光学的機能でもよい。一実施形態において、可撓性基材材料は、透明又は半透明の材料を含む。更に、一実施形態において、可撓性基材材料は、透明又は半透明のフォイルを含む。そのような実施形態は、照明デバイスで使用するための構成要素が窓、ライトガイド、レンズ、又は透過性部を必要とし得るため、有利である。そのような透明フォイルは、正方形、円形、又は三角形の形状を有する透明な領域を備えてもよい。したがって、透明フォイルに対する面に設けられた光源の光出力パターンが、制御され得る。そのような透明フォイルは、発光材料でコーティングされてもよく、それにより、可撓性基材は、発光材料を光学的に位置決めするために必要とされる第2の形状に変更されてもよい。そのような透明フォイルは、光源が可撓性基材の透明材料に結合されたときに、ライトガイドとしても機能し得る。したがって、本発明による方法は、そのようなライトガイド構成要素を所望の(複雑な)形状に成形する際に有利となり得る。
【0042】
更に、一実施形態において、可撓性基材は、突起、溝、隆起、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0043】
更に、そのような機能は光学的機能でもよい。一実施形態において、ポリマー材料は透明であり、印刷構造は、散乱粒子、回折要素、空隙、(光)変換材料、又は光源のうちの1つを含む。又は更に、屈折要素、反射要素、半透明要素。そのような実施形態は、本発明による方法によって、例えば成形された拡散器を得るのに有利となり得る。
【0044】
代わりに、一実施形態において、可撓性基材は、透明であり、散乱粒子、回折要素、反射要素、屈折要素、半透明要素、空隙、(光)変換材料、又は光源のうちの1つを含む。そのような実施形態は、本発明による方法によって、例えば成形された拡散体を得るのに有利となり得る。
【0045】
更に、そのような機能は電気的機能でもよい。一実施形態において、印刷するステップは、電子回路に給電するための導電性トラックを印刷することを含む。そのような実施形態は、照明デバイスの構成要素を得るのに有利となり得る。これは、電子配線が印刷され得、そのような構成要素のより効率的な製造方法につながるためである。したがって、本発明による構成要素は、照明デバイス用のプラグアンドプレイ構成要素でもよく、又は電気的接続点として機能してもよく、若しくは光源用の固定具として機能してもよい。
【0046】
一実施形態において、可撓性基材は、導電性トラックを含んでもよい。そのような実施形態は、光源を可撓性基材に接続したり、(第2の形状に変化した)可撓性基材がタッチインターフェースとして機能することを可能にしたりするのに有利となり得る。
【0047】
一実施形態において、印刷するステップが、構成要素内に熱を拡散させるための熱伝導領域を印刷することを含む、本発明による方法が提供され、当該熱伝導領域は、ポリマー材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する印刷された材料を備える。そのような実施形態は、構成要素がヒートシンクを備える、本発明による構成要素を製造する有利な方法を提供し得る。したがって、有益な熱的機能がもたらされる。したがって、複雑なヒートシンク構成が提供され得る。印刷構造が可撓性基材上に印刷されるので、可撓性基材は、例えば、可撓性基材がより高い熱容量を有する金属である場合には、熱伝導領域が熱を逃がすヒートシンクとして機能し得る。
【0048】
前述されたように、内部応力の結果として、印刷構造の収縮は、可撓性基材に作用する曲げ力を作用させ得る。曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす。したがって、印刷構造と得られた第2の形状との間に関係が存在する。可撓性基材が所望の第2の形状に変形するように、特定の印刷構造が選ばれてもよい。
【0049】
したがって、一実施形態において、印刷構造は中空円筒体を備え、可撓性基材は円形プレートを備え、第2の形状はドームを備える。そのような実施形態は、ドーム形状の可撓性基材を備える構成要素を提供する。そのようなドーム形状は、中空円筒体が内向きに収縮し、よって、中空円筒体の周囲に沿って一様な曲げ力を加え、当該曲げ力が円形プレートをドームに曲げるため、実現される。中空円筒体は、任意の高さであってよく、中空円筒体は、可撓性基材を予め定められたドーム形状に少なくとも変化させるための内部応力を有する体積を有する。そのような実施形態は、そのようなドーム形状を有する、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するための有利な製造方法を提供し得る。ドーム形状は、例えば電球のヘッドなど照明デバイスにとって一般的である。したがって、可撓性基材は、効率的な3D印刷方法で製造された、所望の形状を有する照明器具として機能し得る。
【0050】
例えば、可撓性基材は、LED光源を備える透明な円形セラミックプレートでもよい。例えば、中空円筒体を備える印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料を印刷することにより、中空円筒体のポリマー材料に発生する熱応力は、印刷後にポリマー材料が収縮するときに、透明なセラミックプレートを予め定められたドーム形状に変化させ得る。したがって、透明なドーム及び一体化されたLED光源を備える構成要素が製造され得る。そのような構成要素は、例えば、電球の(発光)ヘッドなど照明デバイスの一部であってもよい。
【0051】
一実施形態において、印刷構造は、中空正方形チューブを備え、可撓性基材は、円形プレート形状を有し、第2の形状は鞍形状を有する。そのような実施形態は、鞍形状の可撓性基材を備える構成要素を提供する。そのような鞍形状は、中空正方形チューブが内向きに収縮し、正方形の角部がより内向きに収縮し、よって、中空正方形チューブの周囲に沿って一様な曲げ力を加え、角部でより大きな曲げ力を加えることで、これらのことが全体として、円形プレートを鞍形状に曲げるため、実現される。そのような鞍形状は、照明デバイスが、従来の製造技術で製造するのが困難な場合がある鞍形状の構成要素を備えてもよい一方、本発明が、3D印刷に基づくより効率的な製造方法を提供するため、有利となり得る。例えば、鞍形状は、照明デバイス用のタッチインターフェースとして機能してもよく、可撓性基材は導電性トラックを備え、可撓性基材は電子タッチセンサを備える。
【0052】
いくつかの例において、印刷構造は、可撓性基材内にレリーフを作り出すために、五角形、八角形、4点星形、5点星形などの閉じた周縁部を備える任意の他の中空形状を有してもよい。
【0053】
一実施形態において、印刷構造は、少なくとも1つの印刷ラインを備え、第2の形状は、対応する少なくとも1つの印刷ラインと可撓性基材との少なくとも1つの境界に沿って位置する少なくとも1つの曲げ部を有する波形形状を有する。そのような実施形態は、少なくとも1つの波形を有する基材を備える構成要素を提供する。そのような波形形状は、少なくとも1つの印刷ラインがラインの長手方向に沿って内向きに収縮し、よって湾曲をもたらすため、実現される。そのような実施形態は、少なくとも1つの波形、例えば、複数の波形、例えば、波形状のプレートを有する、構成要素を製造するのに有利となり得る。そのような波形はまた、機械的強度をもたらし、照明デバイス内の反射器としても機能し得る。
【0054】
一実施形態において、可撓性基材は、長方形プレート形状を有し、印刷構造は、可撓性基材の縁部と平行な単一の印刷ラインを備え、第2の形状は、単一の波形を有する波形形状である。そのような実施形態は、単一の波形を有する基材を備える構成要素を提供する。波形の角度は、可撓性基材によって構成される水平の長方形プレート形状に対して、10度(グラード)~-60度(グラード)の範囲でもよい。範囲は、より好ましくは15度~-50度の範囲から選択され、最も好ましくは20度~-45度の範囲から選択される。つまり、曲り形状又は波形形状に関連付けられた照明器具が、例えば、照明器具のハウジング、光パネル、若しくは電子回路基材の構成要素として、本発明による方法でより効率的に製造されてもよく、又はヒートシンクが、後加工又は例えば組み立てを必要とせずに、1つの製造方法で製造されてもよい。そのような波形はまた、(例えば、予め定められた波形形状への変形、並びに波形形状の性質及びその慣性モーメントによって歪み硬化されるときに)機械的強度をもたらしてもよく、照明デバイス内の反射器又はライトガイドとして機能してもよい。
【0055】
一実施形態において、可撓性基材は、長方形プレート形状を有し、印刷構造は、可撓性基材の縁部と平行な複数の印刷ラインを備え、第2の形状は波形構造である。そのような実施形態は、波形構造を有する基材を備える構成要素を提供する。例えば、平行線の長さが異なる場合、長方形プレート形状は、異なる曲率半径で波形となり、このことは、円筒凹状のスライス、又は錐体形状のスライスを提供し得る。スライスは、例えば、断面領域の半分である。そのような実施形態は、構成要素の製造に際する設計自由度をもたらすため、有利である。そのような形状は、ライトガイド又は天井照明器具にとって光学的に有益となり得る。
【0056】
他の例において、印刷構造は、前の実施形態で言及された形状の組み合わせを有してもよい。
【0057】
本発明の最初の態様による方法のいずれか1つは、照明デバイスで使用するための構成要素をもたらし得る。本発明の更なる目的は、本発明の最初の態様による方法のいずれか1つによる構成要素を提供することである。
【0058】
本発明の更なる目的は、照明デバイスで使用するために3D印刷によって製造された改良された構成要素を提供することである。したがって、本発明は、照明デバイスで使用するために3D印刷によって製造された構成要素であって、剛性を有する可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備え、印刷されたポリマー材料又は印刷されたモノマー材料は、印刷構造において可撓性基材上に重ねられ、印刷構造は、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材を第2の形状に変化させるように構成されており、ポリマー材料中又はモノマー材料中の内部応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させるように構成されており、曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす、構成要素を提供する。そのような構成要素は、構成要素が備える可撓性基材が、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷後に収縮したときに、印刷構造によって第2の形状に変化させられ、このことが、内部応力が構成要素を成形するために有利に使用される構成要素を証明するため、有利となり得る。構成要素は、3D印刷によって製造された自己成形物体でもよい。そのような構成要素は、複雑な物体のためのより効率的な製造プロセスを実現するのに有利である。
【0059】
一実施形態において、構成要素は、ランプ、反射器、カバー、ライトガイド、ブラインド、ライトエンジン、ヒートシンク、ケーブルガイド、レンズ、基材収容電子回路、コリメータ、コネクタ、照明ハウジング、又は照明器具の一部であってもよい。
【0060】
一実施形態において、可撓性基材は、第2の形状に弾性変形され、又は第2の形状に塑性変形される。一実施形態において、ポリマー材料は、収縮のための熱処理によって収縮されており、内部応力は熱応力であり、又はモノマー材料は、収縮のための光重合処理によって収縮されており、内部応力は重合による応力である。
【0061】
一実施形態において、印刷構造は、穴、溝、印刷されたポリマー材料のパターン化された分布、又は印刷されたポリマー材料組成の差異の群からの少なくとも1つの印刷特徴を備えてもよい。一実施形態において、印刷構造は、光源及び/又は光源固定具を備える。一実施形態において、印刷されたポリマー材料は透明であり、印刷構造は、散乱粒子、回折要素、空隙、変換材料、又は光源のうちの1つを含む。一実施形態において、印刷構造は、電子回路に給電するための導電性トラックを備える。一実施形態において、印刷構造は、構成要素内に熱を拡散させるための熱伝導領域を備えてもよく、熱伝導領域は、印刷されたポリマー材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する印刷された材料を備える。
【0062】
一実施形態において、印刷されたポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つでもよい。一実施形態において、印刷されたモノマー材料は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、チオレン系(すなわち、光重合のためのチオレン基を含む)、エポキシ基からなる反応性基群のうちの少なくとも1つでもよい。それは、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシのうちの少なくとも1つでもよい。一実施形態において、可撓性基材は、可撓性基材材料を含んでよく、可撓性基材材料は、PC、ABS、PE、ガラス、シリカ、アルミニウム、銅のうちの少なくとも1つである。
【0063】
一実施形態において、可撓性基材は、反射面を備えてもよい。一実施形態において、可撓性基材は、反射面を備えてもよい。関連する実施形態において、可撓性基材は、印刷されたポリマー材料又は印刷されたモノマー材料が可撓性基材上に重ねられる側に向けられた反射面を備えてもよい。一実施形態において、可撓性基材は光源を備える。一実施形態において、可撓性基材材料は、透明又は半透明の材料を含む。一実施形態において、可撓性基材材料は、透明又は半透明のフォイルを含む。一実施形態において、可撓性基材は透明であり、散乱粒子、回折要素、空隙、(光)変換材料、若しくは光源、又は(上記の方法で言及したような)電子構成要素のうちの1つを含む。一実施形態において、可撓性基材は、導電性トラックを含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、印刷構造は中空円筒体を備え、可撓性基材は円形プレートを備え、第2の形状はドームを有する。一実施形態において、印刷構造は、中空正方形チューブを備え、可撓性基材は、円形プレート形状を有し、第2の形状は鞍形状を有する。一実施形態において、印刷構造は、少なくとも1つの印刷ラインを備え、第2の形状は、対応する少なくとも1つの印刷ラインと可撓性基材との少なくとも1つの境界に沿って位置する少なくとも1つの曲げ部を有する波形形状を有する。一実施形態において、可撓性基材は、長方形プレート形状を有し、印刷構造は、可撓性基材の縁部と平行な単一の印刷ラインを備え、第2の形状は、単一の波形を有する波形形状である。一実施形態において、可撓性基材は、長方形プレート形状を有し、印刷構造は、可撓性基材の縁部と平行な複数の印刷ラインを備え、第2の形状は波形構造である。
【0065】
本発明による(照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する)方法のうちのいずれか1つの同様の実施形態によって提供される例及び利点は、本発明による(照明デバイスで使用するために3D印刷によって製造された)構成要素によって提供される実施形態に同様に(又は必要な変更を加えて)あてはまる。
【0066】
本発明の更なる目的は、改良された照明デバイスを提供することである。したがって、本発明は、本発明による構成要素を備える照明デバイスを提供する。本発明による構成要素について前述された利点は、必要な変更を加えて本発明による照明デバイスにあてはまる。本発明は、また/代わりに、そのような照明デバイスを製造する方法を提供し得る。そのような方法は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法のステップを含み、更に、構成要素は、照明デバイスに組み付けられる。
【0067】
本発明の更なる目的は、改良された3Dプリンタを提供することである。したがって、本発明は更に3Dプリンタに関する。したがって、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するための3Dプリンタを提供し、3Dプリンタは、本発明による方法のいずれか1つを実施する。前述されたように、本発明による方法のいずれか1つ(全ての実施形態にも要約される)は、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するための有利な3D印刷方法を提供し、方法は、可撓性基材を第2の形状に形成するために印刷構造の収縮(及び/又はその関連する内部応力)を有利に利用する。したがって、そのような3Dプリンタは、現在の3Dプリンタ及び対応する3D印刷技術への効率的かつ効果的な追加となり得る。
【0068】
本発明は更に、コンピューティングデバイス用のコンピュータプログラム製品に関する。したがって、本発明は、コンピューティングデバイス用のコンピュータプログラム製品であって、コンピューティングデバイスの処理ユニット上でコンピュータプログラム製品が実行されたとき、前述された本発明の方法を実施するためのコンピュータプログラムコードを含み、本発明による3Dプリンタに関連付けられたコンピューティングデバイスによって実行され得る、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は有利には、本発明の方法による構成要素の第2の形状を計算し、本発明による3Dプリンタによって構成要素を製造する方法を実施し得る。
【0069】
したがって、本発明の態様は、コンピュータによって実行され得る、コンピュータ可読記憶デバイス上に記憶されたコンピュータプログラム命令の集合であり得るコンピュータプログラム製品として実装されてもよい。コンピュータは、3Dプリンタに関連付けられてもよい。本発明の命令は、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミックリンクライブラリ(dynamic link librarie;DLL)、又はJava(登録商標)クラスを含むがこれらに限定されない、任意の解釈可能又は実行可能なコードメカニズムとすることができる。命令は、完全に実行可能なプログラム、部分的に実行可能なプログラムとして、既存のプログラムに対する修正(例えば、アップデート)として、又は、既存のプログラムに関する拡張(例えば、プラグイン)として提供され得る。更には、本発明の処理の一部は、複数のコンピュータ又はプロセッサにわたって分散され得る。
【0070】
本発明は更に、照明デバイスで使用するための構成要素を備える、3D印刷を用いたシステムに関する。したがって、本発明は、本発明による照明デバイスで使用するための構成要素と、照明デバイスとを備えるシステムを提供する。
【0071】
更に、本発明は、本発明による3Dプリンタと、本発明によるコンピュータプログラム製品とを備えるシステムであって、3Dプリンタに関連付けられたプロセッサが、コンピューティングデバイスの処理ユニットとして機能する、システムを提供する。そのようなシステムにおいて、コンピュータプログラム製品は、照明デバイスで使用するための構成要素を製造するために、本発明による方法を実施するように3Dプリンタを駆動し得る。そのようなシステムは、印刷プロセスを制御するのに有利となり得る。いくつかの例において、コンピュータプログラム製品は、3D印刷プロセスの予想される結果の視覚的表示を可視化デバイス上に提供するように構成され得る。プロセッサは、スマートフォン、コンピュータ、スマートグラスなどのスマートウェアラブル、又はノートブックの一部であってもよい。
【0072】
本発明の一態様において、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷によって製造する方法であって、構成要素が可撓性基材と印刷材料とを備え、方法は、印刷構造において印刷材料を可撓性基材上に印刷するステップを含み、印刷構造は、印刷材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材を第2の形状に変化させ、印刷材料中の内部応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ、可撓性基材は、剛性によって特徴付けられ、曲げ力は、第2の形状への可撓性基材の変位を引き起こす、方法が提供される。一実施形態において、印刷材料は、ポリマー材料、モノマー材料、金属、又は複合材料であってよい。
【0073】
本発明の一態様において、本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、3D印刷可能材料の印刷構造を可撓性基材上に印刷するステップを含み、印刷構造の収縮が、可撓性基材の少なくとも一部分に曲げ力を作用させる、印刷構造中の内部応力をもたらして、著しく異なる第2の形状への可撓性基材の変形を生じさせる、方法を提供する。本発明の最初の態様の実施形態は、必要な変更を加えてここで提供される当該方法にもあてはまり得る。著しくとは、可撓性基材の変形が視認可能であること、及び/又は少なくとも5度の曲げ角度を有することを意味する。一実施形態において、3D印刷可能材料が、ポリマー材料、モノマー材料、又はそれらの混合物を含む、方法が提供される。更に、一実施形態において上述の方法であって、ポリマー材料が印刷される場合、収縮のための熱処理を施すステップであって、内部応力が熱応力である、ステップ、又は、モノマー材料が印刷される場合、重合材料へのモノマー材料の重合によってモノマー材料を収縮させるための光重合処理を施すステップであって、内部応力が重合による応力である、ステップ、又は、ポリマー材料とモノマー材料との混合物が印刷される場合、前述された光重合処理及び熱処理の両方を施すステップを更に含む方法が提供される。
【0074】
本発明の態様では、項が提供される。
第1項:本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、構成要素が、剛性を有する可撓性基材と、ポリマー材料又はモノマー材料とを備え、方法は、印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料又はモノマー材料を印刷するステップを含み、印刷構造は、ポリマー材料又はモノマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材を予め定められた形状に変化させ、ポリマー材料中又はモノマー材料中の内部応力が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ得、曲げ力は、予め定められた形状への可撓性基材の変位を引き起こす、方法を提供する。
【0075】
本発明の態様では、別の段落が提供される。
第2項:本発明は、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、構成要素が、剛性及び第1の形状を有する可撓性基材と、ポリマー材料とを備え、方法は、印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料を印刷するステップを含み、印刷構造は、ポリマー材料が印刷後に収縮するときに、可撓性基材の第1の形状を第2の形状に変化させ、印刷構造の収縮が、可撓性基材の表面領域に曲げ力を作用させ、可撓性基材の第1の形状を第2の形状に変化させる、方法を提供する。
【0076】
本発明の代替的な態様において、本発明による方法は、ポリマー及び/又はモノマー材料の(印刷後の)収縮を利用するだけでなく、いくつかの代替的な例では、膨張するモノマー及び/又は膨張するポリマーが印刷された材料として使用される場合、必要な変更を加えて、ポリマー及び/又はモノマー材料の(印刷後の)膨張を利用してよい。例えば、一部のモノマーは、重合中に体積を増加させ得る。したがって、本発明は、代わりに、照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、構成要素が、剛性及び第1の形状を有する可撓性基材と、ポリマー材料及び/又はモノマー材料とを備え、方法は、印刷構造において可撓性基材上にポリマー材料及び/又はモノマー材料を印刷するステップを含み、印刷構造は、ポリマー材料及び/又はモノマー材料が印刷後に膨張するときに、可撓性基材の第1の形状を第2の形状に変化させる、方法を提供し得る。本発明の最初の態様における全ての対応する実施形態は、必要な変更を加えて本発明の本態様にあてはまり得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明は、ここで、非限定的な概略図面を用いて更に説明される。
図1A】照明デバイスで使用するための構成要素であって、印刷構造は中空円筒体を備える、構成要素の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示し、3D印刷によって製造された構成要素、照明デバイス、並びに前記構成要素及び照明デバイスを備えるシステムも概略的に示す。
図1B】照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、印刷構造は中空円筒体を備える、方法の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示す。
図2】照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、印刷構造はリング状印刷ラインを備える、方法の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示し、3D印刷によって製造された構成要素も概略的に示す。
図3】照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、印刷構造は中空正方形チューブを備える、方法の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示し、3D印刷によって製造された構成要素も概略的に示す。
図4】照明デバイスで使用するための構成要素を3D印刷製造する方法であって、印刷構造は複数の印刷ラインを備える、方法の一実施形態を概略的に示し、3D印刷によって製造された構成要素も概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
3D印刷に関連する現象は、材料収縮及び熱応力の発生である。例えば、ポリマー材料は、ポリマー材料の温度が上昇すると膨張し得る一方、ポリマー材料の温度が低下すると収縮し得る。3D印刷された物体は、上下に重ねられた2層のポリマー材料を含んでもよい。上層のポリマー材料は、下層のポリマー材料よりも高い温度を有し得る。そのような層の重なりは、物体の印刷中に3D印刷された物体中にもたらされてよく、高温の印刷層が、より低温の印刷層上に堆積される。層の重なりはその後、熱平衡温度に達し得、この「冷却」プロセス中に、より高温の上層が、熱収縮により、より低温の下層に対して収縮し得る。平衡温度に達すると、例えば、層の重なりが室温まで「冷却」されると、下層に対する上層の熱収縮は、両方の層に熱応力を、例えば、最初は高温の上層に引張力を、最初は低温の下層に圧縮力をもたらし得る。これら熱応力の結果として、層の重なりは、熱応力が層の重なりの機械的剛性を超えると曲がり得る。
【0079】
更に、層の一方が拘束によって変形を妨げられた場合、熱応力が層の重なり中に残り得る。そのような熱応力は、エッジカール、層間剥離、亀裂形成などの望ましくない影響を引き起こし得る。例えば、層の重なりの下層は、ビルドプレートに付着し、したがって変形を拘束され得る。層の重なりは、発生する熱応力によって曲げられ得るが、拘束によって曲がることができない場合がある。したがって、熱応力は、材料中に残り、ビルドプレートに力を作用させる。力はまた、上層が下層との内部付着によって変形を拘束されると、上層によって下層に作用し得る。結果として、層間剥離又は亀裂が、例えば、熱応力が上層と下層との間の内部付着力を超える箇所で発生し得る。更に、エッジカールが、例えば、熱応力がビルドプレートに対する重ねられた層の付着力を超える縁部で生じ得る。
【0080】
3D印刷に関連する同様の現象は、モノマー材料の重合によるモノマー材料の収縮である。上で説明された熱収縮の現象と同様に、重合収縮は、モノマー(又は重合モノマー)材料中の熱応力に類似する重合応力を招き得る。
【0081】
概して言えば、上記を考慮して、3D印刷における開発は、3D印刷された物体の品質が保全され得るように、熱応力又は重合応力を抑制することを試みる。しかし、開発の当該方向性とは逆に、本発明によって提供される新規な3D印刷方法では、熱応力又は重合応力の発生も有利に利用され得る。
【0082】
図1Aは、照明デバイス1000で使用するための構成要素100の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示しており、構成要素は、図1Bに概略的に示されるような3D印刷方法10によって製造される。図1Aは、照明デバイス1000も概略的に示しており、照明デバイスでは、3D印刷によって製造された構成要素100が一部をなし、システム1111が照明デバイス1000及び構成要素100を備える。
【0083】
構成要素100は、可撓性基材101及びポリマー材料102を備える。方法は、印刷構造103において可撓性基材101上にポリマー材料102を印刷するステップ(図1Bでは方法ステップ11として示され、図1Aでは暗に示される)を含む。印刷構造103は、ポリマー材料102が印刷後に収縮する14ときに、可撓性基材101を第2の形状13に変化させる12。ポリマー材料102を収縮させるために、熱処理(図1Bでは方法ステップ19として示される)が施される。よって、ポリマー材料102中の内部応力107が、可撓性基材101の表面領域110に曲げ力108を作用させる15。よって、曲げ力108は、第2の形状13への可撓性基材101の変位を引き起こす。熱処理は能動的なプロセスでもよいが、代わりに、周囲温度への非強制的な冷却でもよい。
【0084】
ここで、曲げ力108は、可撓性基材101の塑性変形を招く。したがって、製造された構成要素100は、印刷構造103が除去、改変、又は加熱されたときに、初期形状に弾性的に戻ることがない。代わりに、例えば印刷構造が除去されたときに、形状が復元されるように、可撓性基材は弾性的に変形してもよい。
【0085】
ポリマー材料102はポリエチレン(PE)であり、ポリエチレン(PE)は、フィラメント形態で、印刷構造103を可撓性基材101上に印刷した3Dプリンタ(図示せず)に供給される。印刷構造103は、可撓性基材101をドーム(誇張された寸法で概略的に示される)の第2の形状13に変化させるための中空円筒体104である。そのようなドームは、中空円筒体104が内向きに収縮し、よって、中空円筒体104の底部断面と可撓性基材101との間の境界面領域110に沿って一様な曲げ力15を加えるため、実現される。ドームの湾曲角度は、中空円筒体104の半径と共に大きくなる。代わりに、錐体形状が印刷構造として印刷されてもよい。そのような錐体形状も、円形の底部断面を有し、底部断面は、中空円筒体の例と比較して、錐体の底部断面と可撓性基材との間に同様の境界面領域を提供し、よってドーム形状をもたらす。
【0086】
可撓性基材101は、円形プレート105の形状のポリカーボネート(PC)の薄いシートである。可撓性基材101の上面106は、この表面が入射光線を反射する120ように、反射コーティングを備える。可撓性基材101は、円柱形のプレート形状及び材料特性に基づく剛性によって特徴付けられる。
【0087】
また代わりに、ポリマー材料を使用する代わりに、構成要素は、モノマー材料を備えてもよく、モノマー材料の収縮は、重合によって発生する。
【0088】
また代わりに、モノマー材料が印刷される場合、モノマー材料を収縮させるための光重合処理が、重合材料へのモノマー材料の重合によって施され、内部応力は、重合による応力である。
【0089】
図1に示される実施形態を参照すると、印刷構造103は、スマート電球122を接続するための印刷されたねじ山121を中空円筒体104の内面に備える。スマート電球は、自動給電され、プロセッサ及び制御用の接続性インターフェースを備える。ねじ山121は、スマート電球122を構成要素100に固定するように設計されている。本発明の方法10の結果として、構成要素100は、有利に製造され、その後に照明デバイス1000で使用され、それにより、照明デバイス1000は、構成要素100及びスマート電球122(及び、ここに示されていない、オプションとして関連付けられる構成要素)を備える。このアセンブリにおいて、構成要素100は、スマート電球122(光源)用の反射器として機能する。これは、電球からの光線が湾曲した反射面領域106によって反射される120ためである。
【0090】
更に、図1図1A)は、構成要素100及び照明デバイス1000(及び、オプションとして、ここに示されていない、照明デバイスに関連付けられる部品、又は制御インターフェース若しくはデバイスなどの構成要素)を備えるシステム1111を示す。
【0091】
更に、図1を参照すると、印刷構造103は、ポリマー材料102が一様である。代わりに、例えば、前述された中空錐体が、中空円筒体の代わりに印刷構造として印刷される実施形態において、印刷構造は、錐体の基部と頂部との間に溝を備えてもよい。そのような溝により、そのような溝の基部のポリマー材料は、当該箇所でより小さな曲げ力を可撓性基材に作用させ得る(これは、当該箇所では、内部応力を蓄積する材料がより少量であるためである)。したがって、中空錐体の底部断面と可撓性基材との間の境界面領域に沿って、一様な曲げ力が発生しない。結果として、第2の形状は、ドーム形状であるが、溝が位置する基部の箇所に径方向の隆起を有する。
【0092】
図1に示された実施形態の代わりに、同様ではあるがポリマー材料組成が異なる、構成要素が印刷されてもよい。つまり、中空円筒体の一方の半体が、中空円筒体の他方の半体とは異なるポリマー材料組成を有してもよい。その場合、一方の半体のポリマー材料は、一方の半体が第2の半体よりも速く、かつ大きく収縮し得るような(より高)密度の炭素繊維充填剤を有する。そのようなより速く、かつ増大した収縮は、円形プレートである可撓性基材の非対称変形をもたらし得る。結果として、そのような非対称収縮は、楕円ドーム形状を招く。穴、溝、ポリマー材料のパターン化された分布、又はポリマー材料組成の差異の群からのものなど、様々な印刷特徴を印刷することにより、他の形状が形成されてもよい。
【0093】
図2は、照明デバイス(図示せず)で使用するための構成要素200を3D印刷製造する方法20の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示しており、方法は、図1(1A)に示された図1(1B)の実施形態に示された方法と同様であるが、異なる可撓性基材、印刷構造、及び照明デバイスでの使用を有する。
【0094】
図1に示された実施形態と部分的に同様に、方法20は、印刷構造203において可撓性基材201上にポリマー材料202を印刷するステップ(21として暗に示される)を含む。印刷構造203は、ポリマー材料202が印刷後に収縮する24ときに、可撓性基材201を第2の形状23に変化させる22。ポリマー材料202を収縮させるために、熱処理29が施される。よって、ポリマー材料202中の熱応力が、可撓性基材201の表面領域210に曲げ力208を作用させる25。よって、曲げ力208は、第2の形状23への可撓性基材201の変位を引き起こす。
【0095】
図2を参照すると、ポリマー材料202はABSである。可撓性基材201は、電子伝導性トラック211及びLED光源212(この例では、4つのLED光源)を備える透明シート206である。電子伝導性トラック211は、LED光源に給電し、LED光源を制御するように設計されている。印刷構造203は、リング状印刷ライン204であり、リング状印刷ライン204の周上の2つの対向する箇所に印刷された三角形状突起244を有する。第2の形状23はドームである。これは、リング状印刷ライン204が内向きに収縮し、よって、一様な曲げ力25を可撓性基材201との印刷ライン204の境界(すなわち、境界面領域210)に沿って(すなわち、図では明瞭性のためにいくつかの箇所にだけ示されるが、全周に沿って)加えるためである。更に、印刷構造203はまた、電子伝導性トラックを備え、トラックは、印刷するステップ中に印刷構造203に印刷される。したがって、可撓性基材201の電子伝導性トラック211は、LED光源を制御するための所望の信号が、印刷構造を通して他の構成要素に伝達され得るように、印刷構造の電子伝導性トラックに接続されている。したがって、突起244は、構成要素200が照明デバイス(図示せず)又はシステム(図示せず)で使用されるときに、照明デバイス(図示せず)の他の電子構成要素への接続点として機能する。
【0096】
代わりに、電子伝導性トラックは、熱をLED光源から伝達してヒートシンクに逃がすための熱伝導性トラックでもよい。そのような代替例において、印刷するステップは、構成要素内に熱を拡散させるための熱伝導領域を印刷することを含み、熱伝導領域は、ポリマー材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する印刷された材料を備える。したがって、リング状印刷ラインは、例えば、熱伝達を向上させるためのセラミック充填材料を含んでもよい。
【0097】
本発明の方法20の結果として、構成要素200は、有利に製造され、その後に照明デバイス(図示せず)で使用され、それにより、照明デバイスは、構成要素200を備える。この例において、構成要素200は、照明デバイスのヘッドであり、ヘッドは、LED光源212を備える透明な可撓性基材201を通して光を放射する。第2の形状23の湾曲は、構成要素が所望の光出力を全周方向に光学的に提供することを可能にする。構成要素200は、それによって、突起244によって照明デバイスの他の部分に接続されている。したがって、方法20は、照明デバイスで使用するための構成要素を製造する有利な方法を提供する。この照明デバイスは、例えば、電球のヘッドでもよく、構成要素200は、ドライバ及び/又はヒートシンクの上に配置される。
【0098】
図3は、照明デバイス(図示せず)で使用するための構成要素300を3D印刷製造する方法30の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示しており、方法は、図1(1B)に示された方法並びに図1及び/又は図2に示された実施形態と同様であるが、異なるポリマー材料302、可撓性基材301、印刷構造303、及び照明デバイスでの使用を有する。
【0099】
ポリマー材料302はABSである。ポリマー材料は、熱伝導性を向上させるためのセラミック充填剤を含む。可撓性基材301は、電子伝導性トラック(図示せず)を備える透明な長方形フォイルである。電子伝導性トラックは、接触検知センサとして機能し、センサは、可撓性基材の電子伝導性トラックを通して、印刷構造303に印刷された電子伝導性トラックに、続いて照明デバイスの構成要素に信号を伝達することにより、照明デバイスの処理ユニット(図示せず)に接続される。
【0100】
印刷構造303は、中空正方形チューブ304である。中空正方形チューブ304が、印刷構造303を冷却する熱処理39によって内向きに収縮すると、印刷構造303は、可撓性基材301を第2の形状33に変化させる32。第2の形状33は鞍形状である。そのような鞍形状は、中空正方形チューブ304が内向きに収縮し、正方形の角部が内向きに移動し、したがって、中空正方形チューブの断面の周縁310に沿って部分的に一様な曲げ力308を加え、より大きな曲げ力を角部に加えるため、実現される。更に、印刷構造303は、印刷するステップ中に印刷構造303に印刷されたLED光源312を備える。そのようなLED光源312は、これも印刷構造303に印刷された電子伝導性トラック(図示せず)によって給電されるが、代わりに、誘導的に給電されたり、後の製造ステップで外的に結合されるケーブルで給電されたりしてもよい。印刷構造303が中空正方形チューブ304であるので、LED光源312によって発生した熱のためのヒートシンクとして機能するために、金属などの高伝導性材料が内部に配置されてもよい。このことは、アーチ形に覆う照明デバイスのヒートシンク及び他の構成要素に関連して、構成要素300が使用されることを可能にする。可撓性基材上のタッチインターフェースは、光出力を制御するために使用されてもよい。
【0101】
得られた構成要素300を必要な電子回路及び電源と関連付けてハウジング内に配置することが、照明デバイスをもたらす。したがって、本発明による方法30は、照明デバイスで使用するための複雑であるが機能的な構成要素300を製造する有利な方法を提供する。
【0102】
代わりに、図示されないが、一実施形態において、印刷構造は、中空正方形チューブの一面に、当該面が、より少ないポリマー材料を含み、より小さな曲げ力を可撓性基材上で引き起こすように穴又は溝を備えてもよい。したがって、中空正方形チューブの当該面に関連付けられる可撓性基材は、より小さく曲がり、鞍形状を非対称にすることができる。このことは、第2の形状を調節するために行われてもよい。
【0103】
代わりに、図示されないが、一実施形態において、印刷構造は、局所的に、より高密度の、炭素繊維などの熱伝導性充填材を含んでもよく、このことは、熱伝達を局所的に向上させ得る。したがって、印刷構造内に存在するLED光源によって発生した熱は、中空正方形チューブにわたって有利に拡散し、オプションとして中空正方形チューブ内に配置されたヒートシンクに導かれ得る。可撓性基材はまた、いくつかの例において、可撓性基材材料の蓄熱能力が、可撓性基材又は印刷構造のいずれかにある光源によって発生した熱の一部を蓄えるのに十分であるときに、ヒートシンクとしても機能し得る。
【0104】
代わりに、図示されないが、一実施形態において、中空正方形チューブとして印刷されたポリマー材料は、透明であり、散乱粒子、回折要素、空隙又は変換材料のうちの1つを含んでもよい。そのようにして、構成要素及び対応する照明デバイスの光学特性が、印刷構造内のLED光源の光を調整するための追加特徴を設けることによって制御されてもよい。
【0105】
図4は、照明デバイス(図示せず)で使用するための構成要素400を3D印刷製造する方法40の一実施形態を非限定的な例によって概略的に示しており、方法は、図1及び/又は図2に示された実施形態と同様であるが、異なる可撓性基材、印刷構造、及び照明デバイスでの使用を有する。
【0106】
図1及び/又は図2に示された実施形態と部分的に同様に、方法40は、印刷構造403において可撓性基材401上にポリマー材料402を印刷するステップ(41として暗に示される)を含む。印刷構造403は、ポリマー材料402が印刷後に収縮する44ときに、可撓性基材401を第2の形状43に変化させる42。ポリマー材料402を収縮させるために、熱処理49が施される。よって、ポリマー材料402中の熱応力が、可撓性基材401の表面領域(ここでは図示せず)に曲げ力408を作用させる45。よって、曲げ力408は、第2の形状43への可撓性基材401の変位を引き起こす。
【0107】
代わりに、モノマー材料が印刷構造として印刷されてもよい。モノマー材料が印刷される場合、モノマー材料を収縮させるための光重合処理が、重合材料へのモノマー材料の重合によって施され、内部応力は、重合による応力である。
【0108】
図4を参照すると、ポリマー材料402はポリスチレンである。可撓性基材401は、LED光源412(この例では、可撓性基材の片面に4つのLED光源)を備える、厚さ4mmのプレキシグラス(登録商標)の透明シートである。LED光源412は、構成要素400が照明デバイス(図示せず)に組み込まれると、給電及び制御される。LED光源412は、可撓性基材401がライトガイドとして機能するように、それらの光をプレキシグラスシート内へ結合させる。印刷構造403は、複数の印刷ライン404である。ライン404は、可撓性基材401の縁部と平行である。したがって、第2の形状43は波形構造である。そのような波形構造は、印刷ラインのそれぞれが、当該ラインの長手方向に沿って内向きに収縮し、よって一様な曲げ力45を内向きに加え、よって湾曲をもたらすため、実現される。(代わりに、様々な第2の形状を実現するために、複数のラインは、異なる向きで分布してもよく、例えば、波紋形状が、可撓性基材の中央から縁部にラインを印刷することによって予め定められてもよい)。図1の場合と同様に、印刷構造403は、可撓性基材の一面に印刷された単一のラインと、可撓性基材の当該一面の上流にあるより小さな2つのラインとを備え、第2の形状43は、可撓性基材の一面にある単一の波形と、上流の二重の波形構造とを備え、波形は互いに流入する。
【0109】
本発明の方法40の結果として、構成要素400は、有利に製造され、その後に照明デバイス(図示せず)で使用され、それにより、照明デバイスは、構成要素400を備える。この例において、構成要素400は、湾曲した天井照明器具で使用するためのライトガイドであり、ライトガイドは、LED光源412の光をガイドする。第2の形状43の湾曲は、構成要素が所望の光出力を光学的に提供するが、同時に、波形形状及び対応する慣性モーメントによる機械的強度及び/又は剛性もまたもたらすことを可能にする。したがって、方法40は、照明デバイスで使用するための構成要素400を製造する有利な方法を提供する。
【0110】
図示されない代替的な実施形態において、可撓性基材は、ライトガイドの光学的挙動を向上させるための散乱粒子又は発光材料を含んでもよい。
【0111】
図示されないいくつかの例において、熱膨張係数7710-6/KのPMMAフィラメントが、厚さ1mm、熱膨張係数6710-6/KのPC基材上に印刷される。PMMAフィラメントは、高さ1cm、幅2mm及び長さ10cmの層を製造するために印刷され、3Dプリンタは、摂氏250度のノズル温度を有し、PC基材は室温である。冷却及び収縮の後、著しい変形、すなわち、約20度の一様な曲げを得た。
【0112】
そして:PCフィラメントは、厚さ1mmのPC基材上に印刷される。PCフィラメントは、高さ1cm、幅2mm及び長さ10cmの層を製造するために印刷され、3Dプリンタは、摂氏280度のノズル温度を有し、PC基材は室温である。冷却及び収縮の後、著しい変形、すなわち、約7度の一様な曲げを得た。印刷パターンに応じて、構成要素の曲げ及び形状の一様性が調整され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4