(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】波の捕捉及び減衰構造物
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
E02B3/06 302
(21)【出願番号】P 2019565462
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(86)【国際出願番号】 TH2018000016
(87)【国際公開番号】W WO2019151958
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TH
(73)【特許権者】
【識別番号】517113277
【氏名又は名称】ブーンリキットチェヴァ、ピチット
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーンリキットチェヴァ、ピチット
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-075098(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第19716484(DE,A1)
【文献】特開昭61-211409(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0065406(KR,A)
【文献】特開2001-107334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波の捕捉及び減衰構造物であって、前記構造物が
水面波に対向して配置されて
前記水面波を捕捉するように、各々が互いに結合された少なくとも一対の浮遊構造物(100)を備え、それぞれの前記浮遊構造物は、
浮遊床部(12)と前記浮遊床部の外辺部から下方に延在した側壁(14)とからなる本体(10)と、
前記本体(10)を水中に沈めて支持するために、前記本体(10)の前記浮遊床部(12)に接続された浮遊部材(20)とを備え、前記浮遊部材(20)は、
水面の高さよりも上に位置するバッフルの少なくとも一部を有する波バッフル(22)を備え、前記浮遊部材(20)の前記波バッフル(22)は、鉛直な平面として形成された、上方から見て前記本体の長さに沿って延ばした直線に対して鋭角をなして傾斜した表面を備え、
各対の前記浮遊構造物(100)は、前記浮遊構造物(100)が互いに離間するように固定手段(30)によって相互に固定されており、通路(E)が形成されて波の通り道となり、これにより、各前記浮遊構造物(100)が到来する波のほうに向けられる、波の捕捉及び減衰構造物であり、
前記構造物は、さらに、前記浮遊構造物(100)に対して後部に取り付けられた浮体(50)を備え、前記浮体(50)は、前記対の前記浮遊構造物(100)間に配置された前記通路(E)から離間して、前記通路(E)から逸れた波を減衰させ、
前記浮体(60,70)は、浮遊性の本体(61,71)と、前記浮体(60,70)の安定化を支援するために、平板状の、かつ水面よりも下で前記本体(61,71)の直下に位置する支持プレート(68,78)とを備えることを特徴とする波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項2】
前記浮遊構造物(100)の前記本体(10)は、また、浮遊構造物の安定化を支援するために前記本体(10)の直下に位置する平板状の支持プレート(112)を含む、請求項1記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項3】
前記浮遊部材(20)の各々と前記浮体(50)とは空洞状をなす、請求項1又は2記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項4】
前記浮遊部材(20)の各々と前記浮体(50)とは、水の密度よりも小さい密度を有する材料を含む、請求項1乃至3のいずれか一項記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項5】
配備中に、各前記浮遊構造物(100)は水底に固定される、請求項1乃至4のいずれか一項記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項6】
前記
浮体(60,70)の前記支持プレート(68,78)は、前記支持プレート(68,78)が前記本体から離間するように、複数の装着要素(66,76)を介して前記浮体の前記本体に装着されており、配備中に、前記支持プレート(68,78)は、前記浮体(60,70)の安定化を支援するために、前記水面よりも下で前記浮体の直下に位置する、請求項1乃至5のいずれか一項記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項7】
前記浮体(60,70)は、到来する波のほうを向いて配置される傾斜面(62,70)を備える、請求項1乃至6のいずれか一項記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項8】
前記傾斜面(72)は、前記波の方向に対する横方向への放出に供される少なくとも1つの放出溝(73)を含む、請求項7記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【請求項9】
前記傾斜面(62,72)は、水平線に対して約20~60度の角度で傾斜している、請求項7又は8記載の波の捕捉及び減衰構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工学の分野に属し、波の捕捉及び減衰構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化によって部分的に引き起こされる過酷な気候変動に起因して、過酷な風及び波によって引き起こされる海岸線浸食問題は、解決する必要が差し迫っている1つの深刻な問題となっている。
【0003】
先行技術に照らせば、海岸線を衝打する波の強度を低減するために海岸線から適度な距離にある海岸線の近傍に設置された浮体を設けることによって、この海岸線浸食問題を解決する試みがあった。浮体の大多数が、水面波を捕捉して減衰させるために、水中に沈む部分と浮かび出る部分とを有し、また、発電機を回転させるために、捕捉した波から得られるエネルギーを利用することができる。例えば、1998年10月27日に発行された「波抑制システム」との名称の特許文献1、及び「安定化された浮体ドラム」との名称の特許文献2は、波強度を減衰させるために水面上に浮遊させた箱状又は円筒状の浮体を開示している。しかしながら、これらの浮体の各々は単一のユニットであり、したがって、波の減衰に十分なほどには効果的でない。その上、これらの浮体は、波を捕捉して利用に供することができずに、波のエネルギーを無駄にする。
【0004】
「浮体防波」との名称の特許文献3、及び特許文献4などの他の波減衰装置は、この波減衰装置が防波線を形成することができるように、波の方向に垂直な方向を長手方向として延在する円筒状の長尺浮体の形態をなす。しかしながら、上記の構造物は単一の線のみを有し、この結果、大規模な波の場合に、これらの波の大部分が、この構造物を越水する可能性があり、海岸線に損害を生じさせ得る。したがって、この構造物は、これらの波を期待したほどには効果的に捕捉することができない。その上、上記の構造は、波のエネルギーを利用することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5,827,011号明細書
【文献】米国特許第5,775,248号明細書
【文献】米国特許第3,991,576号明細書
【文献】米国特許第6,767,162号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題に照らして、本発明の目的は、波を減衰させて海岸線浸食の低減をもたらすために、及び波を捕捉して発電機などの波エネルギーの利用をもたらし得るために、波の捕捉及び減衰構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による波の捕捉及び減衰構造物は、各々が互いに実質的に平行に結合されて水面波を捕捉する少なくとも一対の浮遊構造物を備え、それぞれの浮遊構造物は、浮遊床部と浮遊床部の外辺部から下方に延在した側壁とからなる本体と、上記の本体を水中に沈めて支持するために、本体の浮遊床部と上記の沈めた部分とに接続された浮遊部材とを備える。上記の浮遊部材は、水面の高さよりも上に位置するバッフルの少なくとも一部を有する波バッフルを備え、バッフルは、鉛直な平面として形成された、上方から見て上記の本体の長さに沿って延ばした直線に対して鋭角をなして傾斜した表面を有する。各対の上記の浮遊構造物は、通路が波の通り道として形成されるように相互に固定されている。上記の構造物は、さらに、上記の浮遊構造物の後部に取り付けられて、上記の通路に通過させた波を減衰させる浮体を備える。上記の浮体は、浮遊性の本体と、水中に沈む部分と、上記の浮体の安定化を支援するために、平板状の、かつ水面よりも下で上記の本体の直下に位置する支持プレートとを備える。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、添付の図面と以下の発明の詳細な説明とを併せて考慮すると、より明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の第1の実施形態による浮遊構造物100を示す斜視図である。
【
図1B】本発明の第2の実施形態による浮遊構造物100を示す斜視図である。
【
図3】
図2のF-F線に沿って切断した浮遊構造物100の断面図を示す。
【
図4】本発明の別の実施形態についてのF-F線に沿って切断した浮遊構造物100Aの断面図を示す。
【
図5】本発明による波の捕捉及び減衰構造物の上面図を示す。
【
図6】配備中の本発明による波の捕捉及び減衰構造物の斜視図を示す。
【
図8】本発明による別の実施形態の浮体70を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の説明は、例であってより明確な説明に役立つように、図面を参照する本発明の例示的な実施形態によって与えられ、これらの図面において同様の要素は同様の参照番号によって特定される。本発明の特定の実施形態が図示及び説明されているが、それらが本発明を限定することは図られておらず、本発明の範囲は別記の特許請求の範囲において規定される。
【0011】
図1Aは、第1の実施形態による浮遊構造物100を示す斜視図である。
【0012】
図1Aによれば、浮遊構造物100は、浮遊床部12と浮遊床部12の外辺部から下方に延在した側壁14とからなる本体10と、本体10を水中に沈めて支持して波障壁として作用するために本体10の浮遊床部12に接続された浮遊部材20とを備える。
【0013】
また、浮遊構造物100の浮遊部材20は、水面の高さよりも上に位置するバッフルの少なくとも一部を有する波バッフル22を備える。浮遊部材20の波バッフル22は、鉛直な平面状に形成された表面を備える。浮遊部材20は、内部に空洞23を有し、空洞23は、内部に空気又はガスを含む密封チャンバの形態をなし得るようになっており、浮遊部材20は、浮遊部材を浮遊させることができるように、水よりも小さい密度を有するようになっている。また、浮遊部材20は、浮遊部材の強度を増加させるために、独立気泡フォームなどの、水の密度よりも小さい密度を有する材料を含んでもよく、又は浮遊部材20は、ポリプロピレンプラスチック又は低密度ポリエチレン(low-density polyethylene,LDPE)若しくは高密度ポリエチレン(high-density polyethylene,HDPE)などの、水の密度よりも小さい密度を有する丈夫な軽量材料で作製されていてもよい。
【0014】
図1Bは、大部分の特徴が第1の実施形態の特徴と類似している第2の実施形態による浮遊構造物100を示す斜視図であって、ただし、本発明の本実施形態によれば、浮遊構造物100は、さらに、また浮遊構造物の安定化を支援するために、本体の直下に位置する、下方に延在した複数の脚部114を介して本体10に固定された、平板状の支持プレート112を備える。
【0015】
図2に示すように、浮遊部材20の波ワッフル22は、上方から見て上記の本体の長さに沿って延ばした直線に対して鋭角θをなして傾斜しており、この鋭角θは、以降に詳述するように同時に所定方向の波を収集することを含め、到来する波と出会って波の強度を低減するために、30~60度の範囲内にあり、好ましくは45度であってもよい。
【0016】
図3は、
図2のFーF線に沿って切断された浮遊構造100の断面図を示し、本体10の中空部分25を図示しており、中空部分は、中空であって、水を含み、又は内部に水を侵入させ、又は中空部分は、中空部分25の空間に液体を侵入させることができるように構成されていてもよい。一実施形態において、本体10は、本体10の側壁14の下側部分を閉鎖する下側壁13からなっていてもよく、又は一態様において、本体10の下側壁13は、中空部分に水を侵入させるために開放されていてもよく、これにより、波に起因して構造物が鉛直方向に上下動している間に構造物の安定化を増強するために、水が本体10を制動することに役立ち得る。
【0017】
浮遊部材20は、内部にチャンバ又は空洞23を有し、上記のチャンバは、浮遊部材20を浮遊させることができるように、内部に空気を含む密閉チャンバであってもよく、又はチャンバは、浮遊部材20が強度の増加を伴いつつ軽量であるように、独立気泡フォーム又は同様のものなどの、水の密度よりも小さい密度を有する材料を含んでもよい。
【0018】
図4は、
図1BにおいてG-G線に沿って切断された浮遊構造100の断面図を示す。
図4は、脚部114を介して本体10に取り付けられた支持プレート112を図示しており、プレートは水中に沈められるようになっている。また、支持プレート112は2つ以上のプレートを有してもよく、支持プレート114の各々は、安定性を増強するために、複数の脚部114(不図示)を介して層状に本体に取り付けられている。
【0019】
図5は、本発明による波の捕捉及び減衰構造物の上面図を示す。
【0020】
本発明による波の捕捉及び減衰構造物は、水面波を捕捉する、上述したような少なくとも一対の浮遊構造100を備え、浮遊構造は、ほぼ平行に相互に結合されている。各対の上記の浮遊構造物100は、固定手段30によって相互に固定されており、これにより、浮遊構造物100が互いに離間し、通路Eが形成されて波の通り道となる。各浮遊構造物100の波バッフル22は、ゾーンA内に協調的に形成されて、海岸線に進行している波を受け入れ、上記の浮遊構造物100の各々は、こうして、動かされて波のほうに向けられる。したがって、構造物は、効果的に波を捕捉することができる。
【0021】
図5によれば、ゾーンAを通過した波は収集され、波が各浮遊構造物100の側壁14から形成された通路Eを通って流れる際に波の速度が増加する。各対の浮遊構造物100間に位置する通路Eにより、捕捉された波が、ゾーンA及び/又はゾーンBに設置された発電機(不図示)の水力タービンを回転させることへの活用などの利用に十分な速度及びエネルギーを有し、次いで、波は通路Eを通って、浮遊構造物100の後部に位置するゾーンC内に進行する結果となる。また、通路Eは、浮遊構造物のサイズに応じた幅Dを有する。
【0022】
通路Eから逸れた波は、依然として強度を有し、海岸線に損傷を生じさせ得る。したがって、本発明による波の捕捉及び減衰構造物は浮体50を備え、浮体50は、ロープ又は紐などによって浮遊構造物100の後部に取り付けられている。浮体50は、通路Eから離間し、上記の通路Eから逸れた波を効果的に減衰させるのに好適な距離を有して、対をなす浮遊構造物100間に位置する。
【0023】
捕捉された波は、ゾーンBを介する通路Eを通って進行し、次いで、通路Eに隣接して後部に位置する浮体50に衝突し、これにより、波エネルギーは海岸線に到達する前に消散することとなる。したがって、波の残りのエネルギーは、海岸線を侵食するには十分でない。
【0024】
図6によれば、設置及び配備が図示されている。本発明による波の捕捉及び減衰構造物は、浮遊構造物100を波の方向に向くように移動及び回転させることができるように、ロープ又は紐212を介して、アンカ210、杭、鋼製支柱、コンクリートブロックなどによって水底200に堅固に固定される。したがって、捕捉された波の利用を最大限にすることができ、構造物は、より安定化されると同時に、波強度への耐性を向上させることができる。
【0025】
以降では、本発明による浮体50と浮体の様々な実施形態との詳細を説明する。
【0026】
浮体50は水よりも小さい密度を有し、浮体の一部が水面上に浮かび出て、浮体のその他の部分が水中に沈むように、浮体は、独立気泡フォームなどの、内部に空気、又は水の密度よりも小さい密度を有する物質を含む空洞状であってもよい。
【0027】
【0028】
図7によれば、浮体60は、内部に中空部分65(破線で示す)を有する本体61を備える。中空部分65の内側は、中空部分65の強度を増加させるために、内部に空気又はフォームを含んでもよい。本体61は、さらに、開口状の箱構造部分69を備え、水を箱構造部分69内に導入させることができるようになっている。箱構造部分69は、本体61の強度を増強するために、複数のチャンバに分割されていてもよく、箱構造部分69は、浮体が波の動きに追従して上下動すると同時に、浮体60の鉛直スタビライザとして作用する。配備中に、箱構造部分69は水面下に沈んで動きの制動をもたらす一方、本体61の中空部分65の少なくとも一部は水上に浮かび出る。また、浮体60は、複数の装着要素又は脚部66を介して浮体60の本体61の下側床部に装着された支持プレート68を有し、支持プレート68は一定の距離を置いて本体61から離間し、この距離が水の深さに応じて調整できるようになっている。さらに、配備中に、上記の支持プレート68は、浮体60の鉛直方向の安定化を支援するために、水面よりも下で上記の浮体の直下に位置する。なお、過酷な波の場合に、2つ以上の支持プレート68を、それぞれ浮体60の直下に設けることができる。これらのプレートは、鉛直方向のけん引力を増加させるために、適宜、一定の鉛直方向の距離を置いて(不図示)、層状に、互いに分離して装着されており、そのことが、浮体60の安定性を増強することに役立つ。
【0029】
一実施形態において、浮体60は、さらに、到来する波のほうを向いて配置された傾斜面62を備えてもよい。傾斜面62は、設計に応じて、ほぼ水平な線に対して約20~60度の角度で傾斜している。浮体60に衝突する、到来する波が、傾斜面62の表面に沿って上方に進行することができるように、傾斜面62の一部は水中に沈む一方、残部は水上に浮かび出る。波の一部は、傾斜面62を通って進行し、浮体60の後部へ越水してもよく、その一方で、波の残部は、傾斜面62に沿って下方へ逆流することとなる。ただし、傾斜面62の勾配が小さすぎると、波の大半が浮体60を越えて海岸線に向かって進行する可能性があり、この結果、浮体は波を効果的に減衰させることができない。これに対して、傾斜面62の勾配が大きすぎると、浮体は過剰な波の衝突力に逆らう場合があり、この結果、浮体60は揺動されて安定性を欠き得る。
【0030】
浮体60は、さらに、上述したように、浮遊構造物100への浮体60の取付けに供されるループ64を備える。
【0031】
図8は、本発明による別の実施形態の浮体70を示す。
【0032】
図8によれば、浮体70は、開口状の箱構造部分79を有する本体71を備え、箱構造部分99内に水を導入させることができるようになっている。箱構造部分79は、本体71の強度を増強するために、複数のチャンバに分割されていてもよく、箱構造部分79は、浮体が波の動きに追従して上下動すると同時に、浮体70の鉛直スタビライザとして作用する。配備中に、箱構造部分79は水面下に沈むため、このことが浮体の鉛直方向の動きの制動をもたらす一方、浮体70を水面よりも上に浮遊させて支持するために、本体71の中空部分(不図示)の少なくとも一部は水上に浮かび出る。また、浮体70は、複数の装着要素76を介して浮体70の本体71に装着された支持プレート78をも有し、支持プレート78は本体71から離間するようになっている。さらに、配備中に、上記の支持プレート78は、浮体70の安定化を支援するために、水面よりも下で上記の浮体の直下に位置する。
【0033】
浮体70は、到来する波のほうを向いて配置された傾斜面72を備えてもよい。傾斜面72は、水平線に対して約20~60度の角度で傾斜している。その上、傾斜面72は、また、放出溝73、例えば少なくとも1つの溝を含み、放出溝は、水が波の方向に対して横方向に放出されるように、横方向に延在して、浮体70の傾斜面に衝突する到来する波の中に運び込まれた水及び砂を放出する。
【0034】
浮体70は、さらに、浮遊構造物100への浮体70の取付けに供されるループ74を備える。
【0035】
上述したように、本発明による波の捕捉及び減衰構造物は、海岸線浸食問題を軽減するために水の波を捕捉して減衰させることができるように改善されており、2つの波の捕捉及び減衰線が、効果的に動作させ得るように設けられる。その上、捕捉された波を、廃棄させずに、他の用途、例えば、水力タービン発電機のタービンを回転させて発電に活用することに利用することもできる。
【0036】
本発明を、例としての添付の図面を併せて考慮した詳細な説明において説明してきたが、本発明の範囲及び目的から逸脱することなく当業者による様々な変形及び変更がなされてもよいことは理解できるはずである。本発明の範囲は、別記の特許請求の範囲において述べられた本発明に準じ、特許請求の範囲において特に特定されていない本発明の特徴にまで及ぶが、特許請求の範囲において述べられた本発明の類似の特徴に適用可能であり、有効である。