IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコバクス ロボティクス カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図1
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図2
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図3
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図4
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図5
  • 特許-自走ロボット及びその補助輪 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】自走ロボット及びその補助輪
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220804BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B60B33/00 X
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020088521
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021006987
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】201910570398.5
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512266028
【氏名又は名称】エコバクス ロボティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOVACS ROBOTICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.108,Shihu West Road,Wuzhong District,Suzhou City,Jiangsu 215168 China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 禎
【審査官】山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-126936(JP,A)
【文献】特開平10-211802(JP,A)
【文献】特開2013-071037(JP,A)
【文献】特表平09-507785(JP,A)
【文献】特開平05-297945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を備える自走ロボットであって、
前記本体の底部には、障害物跨ぎ越えユニットが設けられ、ロボットの走行方向を前方として、前記障害物跨ぎ越えユニットは、前後に配列された第1転動輪及び第2転動輪を備え、前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離より短く、且つ前記第1転動輪の直径と前記第2転動輪の直径は等しくなく、
前記本体の底部の先端には、キャリアが設けられ、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに設置され、
前記キャリアの先端には、スロープが設けられ
前記本体の底部には、前記第1転動輪及び第2転動輪よりも後方に、駆動輪がさらに設けられ、前記駆動輪の最低点及び前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離が等しく、
前記第1転動輪は、2つの第1サブ転動輪を備え、2つの前記第1サブ転動輪は、前記第2転動輪の前記走行方向の前方に間隔Dをあけて並べて配置され、
前記第2転動輪は、前記走行方向の前方側半分が2つの前記第1サブ転動輪の間隔D内に位置し、前記前方側半分が、2つの前記第1サブ転動輪により囲まれている、
ことを特徴とする自走ロボット。
【請求項2】
前記第1転動輪の直径が前記第2転動輪の直径よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項3】
前記第1転動輪及び第2転動輪のボディが部分的に重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項4】
前記第1転動輪の中心から前記本体の前縁部までの距離が、30~50mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項5】
前記スロープは、ストレートスロープ又はアーチ状スロープである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項6】
前記キャリアは、外周が円形状であり、前記本体に回転可能に装着される、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項7】
前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離を調整するための調整部材をさらに備え、前記調整部材は、前記第1転動輪と前記キャリアとの間に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項8】
前記本体の底部には、本体カラムが設けられ、前記本体の底部から離間した前記本体カラムの一端が前記キャリアに挿入され、前記キャリアは、前記本体カラムに対して回転し、前記本体の底部と前記キャリアとの間には、第1端面軸受けが設けられ、前記第1端面軸受けのインナーレースが前記本体カラムに設置される、又は、
前記キャリアには、前記本体の底部に向かうキャリアカラムが設けられ、前記キャリアから離間した前記キャリアカラムの一端が前記本体の底部に挿入され、前記キャリアカラムは前記本体の底部に対して回転し、前記本体の底部と前記キャリアとの間には、第2端面軸受けが設けられ、前記第2端面軸受けのインナーレースが前記キャリアカラムに設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の自走ロボット。
【請求項9】
前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離よりも5~15mm短い、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の自走ロボット。
【請求項10】
前記本体の上り高さがしきい値高さであり、前記第2転動輪の最低点と前記第1転動輪の最低点との高さの差が、前記しきい値高さの1/2以上である、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の自走ロボット。
【請求項11】
請求項1に記載の自走ロボットであって、前記本体の底部には、前記駆動輪よりも後方に2つの後障害物跨ぎ越えユニットが設けられ、
前記障害物跨ぎ越えユニットは、一つであって、前記本体の底部の前部の中央に設けられ、
一つの前記障害物跨ぎ越えユニットと、2つの前記後障害物跨ぎ越えユニットは、前記本体の底部において、三角形の位置関係にある
ことを特徴とする自走ロボット。
【請求項12】
請求項11に記載の自走ロボットであって、前記後障害物跨ぎ越えユニットは、前記障害物跨ぎ越えユニットと同じ構造である
ことを特徴とする自走ロボット。
【請求項13】
本体を備える自走ロボットであって、
前記本体の底部には、障害物跨ぎ越えユニットが設けられ、ロボットの走行方向を前方として、前記障害物跨ぎ越えユニットは、前記本体の底部の先端に設けられたキャリアと、前後に配列された第1転動輪及び第2転動輪と、を備え、前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離より短く、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに設置され、
前記本体の底部の先端には、キャリアが設けられ、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに設置され、
前記キャリアの先端には、スロープが設けられ
前記本体の底部には、駆動輪がさらに設けられ、前記駆動輪の最低点及び前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離が等しく、
前記第1転動輪は、2つの第1サブ転動輪を備え、2つの前記第1サブ転動輪は、前記第2転動輪の前記走行方向の前方に間隔Dをあけて並べて配置され、
前記第2転動輪は、前記走行方向の前方側半分が2つの前記第1サブ転動輪の間隔D内に位置し、前記前方側半分が、2つの前記第1サブ転動輪により囲まれている
ことを特徴とする自走ロボット。
【請求項14】
走行可能な装置に装着される補助輪であって、
前後に配列されるように前記装置の底部に配置される第1転動輪、第2転動輪、及び前記装置の底部の先端に配置されるキャリアを備え、前記第1転動輪の最低点から前記装置までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記装置までの距離より短く、且つ前記第1転動輪の直径と前記第2転動輪の直径は等しくなく、
前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに設置され、
前記キャリアの先端には、スロープが設けられ
前記装置は、底部に駆動輪が設けられており、前記駆動輪の最低点及び前記第2転動輪の最低点から前記装置の底部までの距離が等しく、
前記第1転動輪は、2つの第1サブ転動輪を備え、2つの前記第1サブ転動輪は、前記第2転動輪の前記装置の走行方向の前方に間隔Dをあけて並べて配置され、
前記第2転動輪は、前記走行方向の前方側半分が2つの前記第1サブ転動輪の間隔D内に位置し、前記前方側半分が、2つの前記第1サブ転動輪により囲まれている、 ことを特徴とする補助輪。
【請求項15】
走行可能な装置に装着される補助輪であって、
キャリアと、前後に配列されるように前記キャリアの下方に設けられた第1転動輪及び第2転動輪と、を備え、前記キャリアは、前記装置の底部に設けられ、
前記キャリアの先端には、スロープが設けられ、
前記第1転動輪の最低点から前記キャリアまでの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記キャリアまでの距離より短
前記装置は、底部に駆動輪が設けられており、前記駆動輪の最低点及び前記第2転動輪の最低点から前記装置の底部までの距離が等しく、
前記第1転動輪は、2つの第1サブ転動輪を備え、2つの前記第1サブ転動輪は、前記第2転動輪の前記装置の走行方向の前方に間隔Dをあけて並べて配置され、
前記第2転動輪は、前記走行方向の前方側半分が2つの前記第1サブ転動輪の間隔D内に位置し、前記前方側半分が、2つの前記第1サブ転動輪により囲まれている、
ことを特徴とする補助輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能の技術分野に属し、特に自走ロボット及びその補助輪に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、ロボットは、ますます多くの人々により利用されてきて、人々の生活に重要な役割を果たしている。
【0003】
ロボットは、主に駆動輪により駆動されて地面を走行し、且つ補助キャスターを利用して安定性を保持するものである。地面上には障害物がある場合が多く、障害物を跨ぎ越えるときにキャスターで本体を上げて本体全体で障害物上を跨ぎ越えるのが一般的である。しかしながら、現在のキャスターは、通常、シングルボディ構造であり、転動輪径が固定され且つ限られている。そのため、跨ぎ越え可能な障害物の高さには限界があり、その結果、ロボットの通過率が低下し、使用において不都合が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に鑑み、本発明では、補助輪の跨ぎ越え可能な障害物の高さを高めることによって、ロボットの通過率を向上させることが可能な自走ロボット及びその補助輪を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施態様によれば、本発明に係る自走ロボットは、本体を備え、前記本体の底部には、障害物跨ぎ越えユニットが設けられ、ロボットの走行方向を前方として、前記障害物跨ぎ越えユニットは、前後に配列された第1転動輪及び第2転動輪を備え、前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離が、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離より短く、且つ前記第1転動輪の直径と第2転動輪の直径は等しくない。
【0006】
前記第1転動輪の直径は前記第2転動輪の直径よりも大きいことが好ましい。
さらに、前記第1転動輪及び第2転動輪のボディは、部分的に重なることが好ましい。
また、前記本体の底部には、駆動輪がさらに設けられ、前記駆動輪の最低点及び前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離が同じであることが好ましい。
【0007】
さらに、前記第1転動輪の中心から前記本体の前縁部までの距離が、30~50mmであることが好ましい。
また、前記本体の底部の先端には、キャリアが設けられ、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに位置することが好ましい。
さらに、前記キャリアの先端には、ストレートスロープ又はアーチ状スロープとしてのスロープが設けられることが好ましい。
また、前記キャリアは、外周が円形状であり、前記本体に回転可能に装着されることが好ましい。
【0008】
前記自走ロボットは、前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離を調整するための調整部材をさらに備え、前記調整部材は、前記第1転動輪と前記キャリアとの間に設けられることが好ましい。
【0009】
さらに、前記本体の底部には、本体カラムが設けられ、前記本体の底部から離れた前記本体カラムの一端が前記キャリアに挿入され、前記キャリアは、前記本体カラムに対して回転し、前記本体の底部と前記キャリアとの間には、第1端面軸受けが設けられ、前記第1端面軸受けのインナーレースが前記本体カラムに設置される、又は、
【0010】
前記キャリアには、前記本体の底部に向かうキャリアカラムが設けられ、前記キャリアから離れた前記キャリアカラムの一端が前記本体の底部に挿入され、前記キャリアカラムは、前記本体の底部に対して回転し、前記本体の底部と前記キャリアとの間には、第2端面軸受けが設けられ、前記第2端面軸受けのインナーレースが前記キャリアカラムに設置されることが好ましい。
前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離よりも5~15mm小さいことが好ましい。
【0011】
さらに、前記本体の登り高さがしきい値高さであり、前記第2転動輪の最低点から前記第1転動輪の最低点までの高さの差が、前記しきい値高さの1/2以下であることが好ましい。
また、前記第1転動輪は、ペアとして並べて設置された第1サブ転動輪を備え、2つの前記第1サブ転動輪の間には間隔があることが好ましい。
さらに、前記第2転動輪は、前記間隔内に設けられ、且つ2つの前記第1サブ転動輪により半分囲まれている(重なっている)。
【0012】
第2の実施態様によれば、本発明に係る自走ロボットは、本体を備え、前記本体の底部には、障害物跨ぎ越えユニットが設けられ、ロボットの走行方向を前方として、前記障害物跨ぎ越えユニットは、前記本体の底部の先端に設けられたキャリアと、前後に配列された第1転動輪及び第2転動輪と、を備え、前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離より短く、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに位置する。
【0013】
第3の実施態様によれば、本発明に係る補助輪は、前後に配列されるように装着装置の底部に設けられた第1転動輪及び第2転動輪を備え、前記第1転動輪の最低点から前記装着装置までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記装着装置までの距離より短く、且つ前記第1転動輪の直径と前記第2転動輪の直径は等しくない。
【0014】
第4の実施態様によれば、本発明に係る補助輪は、キャリアと、前後に配列されるように前記キャリアの下方に設けられた第1転動輪及び第2転動輪と、を備え、前記キャリアは、装着装置の底部に設けられ、前記第1転動輪の最低点から前記キャリアまでの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記キャリアまでの距離より短い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自走ロボット及びその補助輪では、ロボットの前進方向において本体の底部に第1転動輪及び第2転動輪が前後に配列されており、第1転動輪の直径と第2転動輪の直径は等しくなく、且つ第1転動輪の最低点から本体の底部までの距離は、第2転動輪の最低点から本体の底部までの距離より短いため、第1転動輪がまず障害物に接触して機械を上げ、さらに走行し続けて第2転動輪が障害物に接触して障害物を跨ぎ越える。このため、ロボットの跨ぎ越え可能な障害物の高さが高まり、ロボットの通過率が向上して、ロボットを使用するときのエクスペリエンスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は従来技術における技術構成を明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は、本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これら図面に基づいて他の図面に想到できることは明らかである。
【0017】
ここで説明する図面は、本発明をさらに理解するために提供されるものであり、本発明の一部を構成する。本発明の実施例及びその説明は、本発明を理解するために用いられ、本発明を不当に限定するものではない。
【0018】
図1】本発明の第1実施例による自走ロボットの断面構造を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施例による自走ロボットの部分断面構造を示す模式図である。
図3】本発明の第1実施例による自走ロボットの第1転動輪の接続構造を示す模式図である。
図4】本発明の第1実施例による自走ロボットの底部の構造を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施例による自走ロボットの一側面の構造を示す模式図である。
図6】本発明の第3実施例による補助輪の立体構造を示す分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び実施例を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。これらの説明により、本発明の技術手段を用いて技術的課題を解決し、技術的効果を実現する過程を十分に理解することができる。
【0020】
明細書及び特許請求の範囲においては、特定の単語により特定のユニットを示す。当業者にとって明らかなように、ハードウェアメーカーは、異なる名詞で同じユニットを示すことがある。本明細書及び特許請求の範囲では、名称によってユニットを区別するのではなく、ユニットの機能の差異を区別する基準とする。たとえば、明細書及び特許請求の範囲を通じて使用されている「備える」は、開放式用語であるため、「...を備えるが、これらに制限されない」として理解すべきである。「約」は、許容可能な誤差範囲にあることを意味し、当業者であれば、一定の誤差範囲内で前記技術的課題を解決し、前記技術的効果を達成させることができる。また、「結合」又は「電気的接続」という用語は、ここで、直接及び間接的な電気結合手段を含む。したがって、第1装置が第2装置に結合されると記載されている場合、前記第1装置は、前記第2装置に直接電気的に結合されるか、又はほかの装置又は結合手段を介して間接的に前記第2装置に電気的に結合されることを意味する。明細書の後続の説明は、本発明を実施するための好適実施形態であるが、前記説明は、本発明の一般的な趣旨を説明するために過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に定められたものを基準とする。
【0021】
なお、用語「備える」、「含む」又はほかの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図し、このため、一連の要素を含むプロセス、方法、商品又はシステムは、これら要素だけでなく、明確に挙げられていないほかの要素を含むか、又はこのようなプロセス、方法、商品又はシステムに固有の要素を含む。さらなる制限がない限り、「……を備える」により限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、商品又はシステムに別の同じ要素も含むことを排除しない。
【0022】
特定の実施例
実施例1
【0023】
図1には、本発明の第1実施例による自走ロボットの断面構造の模式図が示されている。前記自走ロボットは、本体10及び障害物跨ぎ越えユニット20を備える。ここで、前記自走ロボットは、掃除ロボットを含むが、これらに制限されない。たとえば、前記自走ロボットとしては、掃除ロボット、自走型空気浄化ロボット、自動芝刈り機、窓掃除ロボット、ソーラーパネル清掃ロボット、無人機、AGVトロリー、セキュリティロボット、受付ロボット、介護ロボットなどが挙げられる。
【0024】
前記本体10は、本体の底部110を備え、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、前記本体の底部110に設けられ、前記自走ロボットの走行表面に向かっている。前記障害物跨ぎ越えユニット20は、第1転動輪210及び第2転動輪220を備え、前記自走ロボットの走行方向、たとえば、図における矢印に示される方向を前方として、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220は、それぞれ前記本体の底部110の下方において前後に配列する。即ち、前記自走ロボットの走行方向において、前記第1転動輪210は、前記第2転動輪220よりも前方側に位置する。
【0025】
前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離は、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離より短い。ここで、前記自走ロボットが平坦な走行表面上を走行しているとき、前記第1転動輪210は、前記第2転動輪220の前方にあり、且つ前記第1転動輪210は、フローティング状態にある。即ち、前記第1転動輪210の最低点と前記走行表面との間に隙間がある。この構成では、前記自走ロボットの走行中に走行表面に障害物がある場合、前記第1転動輪210が、まず前記障害物に接触して、前記障害物に上り、前記本体10の先端を上げ、前進し続けると前記第2転動輪220が、障害物に接触して、前記障害物に上って跨ぎ越える。前記第1転動輪210がなければ、比較的高い障害物がある場合、前記第2転動輪20は、障害物を直接跨ぎ越えるのが困難である。さらに障害物が前記本体10の下方に嵌み込まれ、たとえば障害物が本体の先端を突き上げて、前記自走ロボットの正常な走行に悪影響を及ぼす。本実施例の前記自走ロボットでは、前記第2転動輪220が障害物を跨ぎ越えるための移行として前記第1転動輪210が設けられる。前記第1転動輪210の配置位置は高いため、前記第1転動輪210と障害物のトップ(上端)との高さの差が減少し、前記第1転動輪210が容易に障害物に上ることができる。前記第1転動輪210が前記障害物に上ると前記本体10の先端の高さが高くなり、その結果、前記第2転動輪220の高さが高くなり、さらに前記第2転動輪220と前記障害物のトップとの高さの差が減少し、前記第2転動輪220が容易に障害物に上ることができる。この結果、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、高い障害物を順調に上って跨ぎ越えることができる。つまり、前記自走ロボットが跨ぎ越え可能な障害物の高さを高め、前記自走ロボットの通過率を向上させ、ユーザの使用エクスペリエンスを向上させることができる。
【0026】
また、前記第1転動輪210の直径と前記第2転動輪220の直径が等しくない、即ち、前記第1転動輪210と前記第2転動輪220は、サイズが異なるように設計される。たとえば、前記第1転動輪210の直径が前記第2転動輪220の直径よりも大きい場合、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離が、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離より短くなるように、前記第1転動輪210の装着高さを前記第2転動輪220の装着高さよりも高くする。前記第1転動輪210の直径が前記第2転動輪220の直径より小さい場合、前記第1転動輪210と前記第2転動輪220の装着高さについては特に限定されることなく、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離が、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離より短くなる。
【0027】
本発明の他の好適な実施例では、図示するように、前記第1転動輪210の直径が、前記第2転動輪220の直径より大きい。本実施例の実現可能な一形態では、前記第1転動輪210の直径は、40mmであり、前記第2転動輪220の直径は、35mmである。
【0028】
ここで、前記第1転動輪210の直径が前記第2転動輪220の直径より大きいため、両方の装着高さが同じであれば、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離が、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離より短いという条件を満足できない。実現可能な一形態として、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220は、前記本体の底部110に段差状に設置される。即ち、前記第1転動輪210の装着高さを高く、前記第2転動輪220の装着高さを低くする。本実施例では、直径の異なる前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220が設置されることによって、前記第1転動輪210の重心が低くなり、前記第1転動輪210が前記障害物に接触するとき、第1転動輪210の下部が障害物に接触する(転動輪の中心の高さが障害物に接触することをできるだけ回避する)。それによって、両方の衝突音を低減させ、ロボットの使用エクスペリエンスを向上させることができる。一方、転動輪径の大きな転動輪は、跨ぎ越え可能な障害物の高さが比較的大きく、大径の第1転動輪210が設置されることによって、第1転動輪210の跨ぎ越え可能な障害物の高さをさらに高め、高さが高い障害物でも順調に上って跨ぎ越えることが可能となり、さらに前記障害物跨ぎ越えユニット20が障害物を跨ぎ越える効率を高め、ロボットの使用エクスペリエンスを向上させることができる。
【0029】
また、前記第1転動輪210が障害物に上った後、前記第2転動輪220が順調に障害物に上り、障害物が前記第1転動輪210と前記第2転動輪220との間に嵌まり込むことを回避するために、前記第1転動輪210と前記第2転動輪220は、前記第1転動輪210と前記第2転動輪220のボディが部分的に重なるように設置される。
【0030】
さらに、前記本体の底部110には、駆動輪30がさらに設けられる。前記駆動輪30の最低点及び前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離は、ほぼ同じである。具体的には、前記駆動輪30は、前記自走ロボットの動力部材であり、前記本体10が走行表面上を移動するように駆動できる。一般的には、前記駆動輪30は、前記本体10の中央位置、即ち、前記本体の底部110の中間位置に設けられる。この場合、それに対応して、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、前記駆動輪30の前方に設けられ、前記駆動輪30の最低点及び前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離を等しくするように構造設計される。即ち、前記第2転動輪220及び前記駆動輪30の最低点の水平面からの高さを等しくすることによって、前記第2転動輪220及び前記駆動輪30の最低点は、同時に走行表面に接触する。この結果、走行時の前記自走ロボットと走行表面の接触点を確保し、前記自走ロボットの走行中の安定性を高めることができる。
【0031】
前記駆動輪30の上方には、一般的には、制振構造が設けられ、前記本体10の重量は、一般的に大きい。このため、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離は、前記駆動輪30の最低点から前記本体の底部110までの距離よりもわずかに小さく、両方の高さが等しくない。つまり、前記第2転動輪220の最低点の高さを、前記駆動輪30の最低点の高さよりもわずかに高くすることにより、前記自走ロボットは、走行するときに、自重及び緩衝弾性作用によって、前記第2転動輪220及び前記駆動輪30の最低点が同時に走行表面に接触できると考えられる。
【0032】
また、前記障害物跨ぎ越えユニット30が障害物を跨ぎ越える能力を高め、即ち、前記第1転動輪210が素早く順調に障害物に上るために、前記第1転動輪210の中心から前記本体10の前縁部までの距離を30~50mmとすることが好ましい。好適な実施例では、前記第1転動輪210の中心から前記本体10の前縁部までの距離を40mmとする。
【0033】
本発明の別の好適な実施例では、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、さらにキャリア230を備える。前記キャリア230は、前記本体の底部110の先端に設けられ、前記第1転動輪210及び第2転動輪220は、いずれも前記キャリア230に位置する。なお、第1転動輪210及び第2転動輪220が同じキャリア230に設けられると、以下の利点を有する。
一.障害物跨ぎ越えユニット20の着脱が容易になる。たとえば、キャリアは、回転軸を介して直接本体に装着される。
二.本体の底部スペースを節約することができる。掃除ロボットを例にすれば、キャリアに必要な小さな装着スペースを除く残りのスペースには、本体の底部の先端に装着されるべき他の部材、たとえば、サイドブラシ、ダウンビューセンサー、電池などを合理的に配置できる。
【0034】
具体的には、前記キャリア230は、前記本体の底部110と対向して設けられるキャリア壁2301を備える。前記第1転動輪210及び第2転動輪220は、それぞれ前記キャリア壁2301の同じ高さ又は異なる高さに装着される(具体的な装着高さについては、上記実施例の説明を参照)。この構成では、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離が、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離より短く、即ち、前記第1転動輪210が、フロートするように構成されている。
【0035】
本発明の実施例の実現可能な一形態では、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220には、それぞれ第1輪軸2101及び第2輪軸2201が挿通される。そして、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220は、それぞれ前記第1輪軸2101及び前記第2輪軸2201の周りを回転可能である。前記第1輪軸2101及び前記第2輪軸2201の両端は、それぞれ前記キャリア壁2301に接続され、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220を前記キャリア230に固定する。
【0036】
さらに、前記キャリア230の先端には、ストレートスロープ又はアーチ状スロープとしてスロープが設けられる。ここで、前記スロープが設置されることによって、前記第1転動輪210の輪郭形状がマッチングし、前記第1転動輪210の外輪郭を障害物に接触することができる。前記キャリア230が障害物に接触することを回避でき、さらに前記障害物跨ぎ越えユニット20が障害物を跨ぎ越える効率が向上する。
【0037】
また、前記キャリア230は、外周が円形であり、前記本体10に回転可能に装着される。具体的には、前記キャリア230の外周は円形状に設計され、円形状に設計された前記キャリア230は、上方の前記本体の底部110に接続され、且つ前記本体の底部110に対して回転可能である。このような設計により、前記障害物跨ぎ越えユニット30にキャスターのような機能を付与し、前記自走ロボットの走行方向を増し、前記自走ロボットの折りなどを可能にし、前記自走ロボットのインテリジェント化を向上させて、作業面積を増大する。
【0038】
さらに、前記本体の底部110と前記キャリア230との間には、前記キャリア230を前記本体の底部110に対して回転させる軸受け240が設けられる。
【0039】
ここで、前記軸受け240は、それぞれ前記キャリア230及び前記本体の底部110に接続される。前記軸受け240が設置されることによって、前記本体の底部110に対する前記キャリア230の回転が順調になる。特に前記本体10の自重が大きい場合、前記キャリア230と前記本体の底部110の相対回動時の摩擦力が大きいが、この場合、前記軸受け240を介して両方の回動時の摩擦力を減少できる。
【0040】
具体的には、図1に示されるように、本発明の実施例の実現可能な一形態では、前記本体の底部110には、本体カラム120が設けられる。前記本体の底部110から離れた前記本体カラム120の一端が前記キャリア230に挿入され、前記キャリア230は、前記本体カラム120に対して回転する。前記軸受け240は、第1端面軸受けであり、前記第1端面軸受けのインナーレースが前記本体カラム120に設置される。ここで、前記本体カラム120は、前記キャリア230に向かっており、前記本体の底部110に接続され、前記本体カラム120の自由端部は、前記第1端面軸受けのインナーレースを貫通して、前記キャリア230に挿入する。この構成では、前記第1端面軸受けの2つの端面のそれぞれは、前記キャリア230及び前記本体の底部110に接触し、前記キャリア230は、前記本体カラム120に対して自在に回転する。即ち、前記本体の底部110に対して自在に回転し、前記第1端面軸受けが設置されることによって、前記本体の底部110に対して前記キャリア230が回転しやすくなり、前記自走ロボットの使用効率が向上する。
【0041】
図2に示されるように、本発明の実施可能な別の形態では、前記キャリア230には、前記本体の底部110に向かうキャリアカラム2302が設けられ、前記キャリア230から離間した前記キャリアカラム2302の一端が前記本体の底部110に挿入される。前記キャリアカラム2302は、前記本体の底部110に対して回転し、前記軸受け240は、第2端面軸受けであり、前記第2端面軸受けのインナーレースが前記キャリアカラム2302に設置される。ここで、前記本体の底部110に向かう前記キャリア230の一側には、前記キャリアカラム2302が接続され、前記キャリア230から離間した前記キャリアカラム2302の端部は、前記本体の底部110の貫通孔に挿通され、前記キャリアカラム2302は、前記キャリア230とともに前記本体の底部110に対して自在に回転する。前記軸受け240は、第2端面軸受けであり、前記キャリア230と前記本体の底部110との間に設けられ、前記第2端面軸受けのインナーレースが前記キャリアカラム2302に設置される。前記第2端面軸受けが設置されることにより、前記本体の底部110に対して前記キャリア230が回転しやすくなり、前記ロボットの使用効率が向上する。
【0042】
本発明の好適な実施例では、前記障害物跨ぎ越えユニット20が適切に跨ぎ越え可能な障害物の高さ、即ち、高い走行通過率を有するとともに、スマートロボット機器の構造の小型化設計、及び前記自走ロボットの利用シナリオを有するためには、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離は、前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離よりも5~15mm短い、即ち、平坦な走行表面では、前記第1転動輪210のフロート高さが5~15mmである。この場合、前記自走ロボットが跨ぎ越え可能な障害物の高さは、従来の10mmから20mmになる。
【0043】
さらに、本発明の別の好適な実施例では、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離は、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離よりも12.5mm小さい。
【0044】
以上、具体的な数値をもって前記第1転動輪210の最低点及び前記第2転動輪220の最低点から前記本体の底部110までの距離を説明したが、一般的な構造設計は、以下のとおりである。前記本体10の上り高さのしきい値高さがHであれば、前記第2転動輪220の最低点から前記第1転動輪210の最低点までの高さの差hは、前記しきい値高さHの1/2以下である。本発明の別の好適な実施例では、上り高さを補助的に高める機能を果たすには前記第1転動輪210が障害物に接触する必要があることを考慮して、前記第2転動輪220の最低点から前記第1転動輪210の最低点までの高さの差hは前記しきい値高さH未満、即ちH/2≧h<Hとなるように設定される。この構成では、高さが前記しきい値高さHの障害物は、2つの部分に分けられる。即ち、1つの部分は、H-hであり、前記第1転動輪210が上り、次に前記本体10の高さが高くなり、前記第2転動輪220は、高さの差hに相当する高さだけ上る。これによって、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、前記しきい値高さHを有する障害物を容易に跨ぎ越える。
【0045】
図3に示されるように、本発明の別の好適な実施例では、前記自走ロボットは、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離を調整するための調整部材40をさらに備え、調整部材40は、前記第1転動輪210と前記キャリア230との間に設けられる。
【0046】
実現可能な具体的な実施形態では、前記調整部材40は、調整レバー410、U字形フレーム420、支持板430及び固定ナット440を備える。前記調整レバー410の全体に亘ってネジ山が設けられ、前記支持板430の両端は、前記キャリア230の側壁3301に接続される。前記支持板430には、貫通孔が開けられ、前記調整レバー410は、前記貫通孔を通り抜け、前記支持板430の両側に設けられた前記固定ナット440により固定される。前記支持板430の両側における前記調整レバー410の長さが調整され、前記キャリア230から離間した前記調整レバー410の一端は、前記U字形フレーム420の先端に接続される。前記第1転動輪210を通り抜けた前記第1輪軸2101の両端は、それぞれ前記U字形フレーム420の両側壁に接続される。そして、前記第1転動輪40の上半部分は、前記U字形フレーム420のU字形溝に嵌め込まれる。
【0047】
本発明の上記構造では、前記支持板430の両側における前記固定ナット440の位置を調整することにより、前記第1転動輪210の最低点から前記支持板430までの距離を調整する、即ち、前記第1転動輪210の最低点から前記本体の底部110までの距離を調整する。前記自走ロボットを使用するときに、高い障害物がある走行表面の場合は、前記第1転動輪210の最低点から前記支持板430までの距離を短く調整し、逆に走行表面が平坦である場合は、前記第1転動輪210の最低点から前記支持板430までの距離を長く調整することができる。その結果、前記自走ロボットはさまざまな地形の環境に適用でき、前記自走ロボットの使用範囲をさらに広げることができる。
【0048】
図4及び図5に示されるように、本発明の別の好適な実施例では、前記第1転動輪210は、ペアとして並べて配置された第1サブ転動輪211を備え、2つの前記第1サブ転動輪211の間には間隔Dがある。即ち、2つの前記第1サブ転動輪211は、前記自走ロボットの走行方向(たとえば、図中の矢印方向)における前記第2転動輪220の前方に並べて配置され、且つ2つの前記第1サブ転動輪211の間には前記間隔Dが設けられる。このような設計によって、先に障害物に接触する前記第1転動輪210は大きな接触面積を有し、前記第1転動輪210が安定的に障害物に上るために有利である。そして、局所的に力を受けることにより前記第1転動輪210の移動方向がずれることを回避し、前記自走ロボットの走行中の安定性を向上させることができる。
【0049】
さらに、前記第2転動輪220は、前記間隔D内に設けられ、且つ2つの前記第1サブ転動輪211と半分囲まれる(重なる)。具体的には、前記装着装置の走行方向において前記第2転動輪220は、2つの前記第1サブ転動輪211の後方に設けられ、前記間隔D内にある。ここで、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220は、回動方向において重なるが、完全に重なるのではない。即ち、2つの前記第1サブ転動輪211は、前記第2転動輪220を半分囲む(重なる)。このような設計によって、前記第1転動輪210が障害物に上った後、前記第2転動輪220は、素早く前記障害物に接触し、さらに前記障害物に上る。このため、前記第1転動輪210が障害物を跨ぎ越えた後に前記第2転動輪220が前記障害物に接触することにより、前記障害物が前記第2転動輪220と前記第1転動輪210との間に嵌め込まれ、前記障害物跨ぎ越えユニット20が前記障害物を順調に跨ぎ越えられない現象を回避できる。このような設計により、前記自走ロボットの障害物通過率及び跨ぎ越え効率がさらに向上する。
【0050】
図4及び図5に示されるように、本発明の別の好適な実施例では、前記本体の底部110に、後障害物跨ぎ越えユニット50がさらに設けられてもよい。前記後障害物跨ぎ越えユニット50は、前記自走ロボットの前進方向において前記本体の底部110の後方に設けられる。即ち、前記障害物跨ぎ越えユニット20及び前記後障害物跨ぎ越えユニット50は、それぞれ前記駆動輪30の前方及び後方に位置する。
【0051】
ここで、前記自走ロボットの走行時の安定性を高めるためには、図示のように、前記後障害物跨ぎ越えユニット50は、通常、2つである。前記障害物跨ぎ越えユニット20は、1つであり、3つ(2つの前記後障害物跨ぎ越えユニット50と1つの前記障害物跨ぎ越えユニット20)は、前記本体の底部110において三角形に配置されている。その中で、前記障害物跨ぎ越えユニット20は、前記本体の底部110の前部の中央に設けられ、2つの前記後障害物跨ぎ越えユニット50は、それぞれ前記本体の底部110の後部の両側に設けられる。勿論、前記後障害物跨ぎ越えユニット50及び前記障害物跨ぎ越えユニット20の個数及び配列形態については、本発明では、特に限定されず、たとえば、前記後障害物跨ぎ越えユニット50及び前記障害物跨ぎ越えユニット20は、いずれも2つ設けられ、前記本体の底部110において四辺に四角状に配置されるものとしてもよい。
【0052】
また、前記後障害物跨ぎ越えユニット50の具体的な構造についても、本発明では特に限定されず、一般的なキャスター構造としてもよい。勿論、好適な実施例では、前記後障害物跨ぎ越えユニット50は、前記障害物跨ぎ越えユニット20と同様の構造である。
【0053】
実施例2
本発明では、さらに別の自走ロボットを提供する。該自走ロボットは、本体を備え、前記本体の底部には、障害物跨ぎ越えユニットが設けられる。自走ロボットの走行方向を前方として、前記障害物跨ぎ越えユニットは、前記本体の底部の先端に設けられたキャリアと、前後に配列された第1転動輪及び第2転動輪と、を備える。前記第1転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離が、前記第2転動輪の最低点から前記本体の底部までの距離より短く、前記第1転動輪及び第2転動輪は、いずれも前記キャリアに位置する。
【0054】
ここで、第1実施例の自走ロボットと比べて、本実施例の自走ロボットでは、前記第1転動輪及び前記第2転動輪の直径の大きさの関係は特に限定されないが、前記第1転動輪及び前記第2転動輪は、いずれも本体の底部の先端に位置する前記キャリアに設けられる。本実施例の自走ロボットの他の構造及びそれらによる技術的効果については、上記実施例1の説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0055】
実施例3
図6には、本発明の第3実施例による補助輪の立体構造の分解模式図を示す。前記補助輪は、上記第2実施例における障害物跨ぎ越えユニット、即ち、上記第1実施例における前記障害物跨ぎ越えユニット20である。前記補助輪は、キャリア230と、前記キャリア230の下方において前後に配列された第1転動輪210及び第2転動輪220と、を備える。前記キャリア230は、装着装置の底部に設けられ、前記第1転動輪210の最低点から前記キャリア230までの距離が、前記第2転動輪220の最低点から前記キャリア230までの距離より短い。ここで、前記第1転動輪210と前記第2転動輪220の直径の大きさの関係については特に限定されないが、前記第1転動輪210及び前記第2転動輪220は、いずれも前記キャリア230に位置する。また、本実施例の補助輪の詳細、ほかの接続構造、及びこれらによる技術的効果については、上記第1、第2実施例の説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0056】
実施例4
本発明は、さらに他の補助輪を提供する。該補助輪は、前後に配列されるように装着装置の底部に設けられた第1転動輪及び第2転動輪を備える。前記第1転動輪の最低点から前記装着装置までの距離は、前記第2転動輪の最低点から前記装着装置までの距離より短く、且つ前記第1転動輪の直径と前記第2転動輪の直径は等しくない。
【0057】
ここで、本実施例の補助輪は、上記第1実施例における前記障害物跨ぎ越えユニットであある。さらに、第2、第3実施例における障害物跨ぎ越えユニット(補助輪)と比べて、前記第1転動輪及び前記第2転動輪が同一構造に設置されるか否かについては特に限定されない。しかしながら、前記第1転動輪及び前記第2転動輪の直径の大きさの関係は限定される。即ち、前記第1転動輪の直径と前記第2転動輪の直径は等しくない。また、本実施例の補助輪の詳細、他の接続構造、及びこれらによる技術的効果については、上記第1、第2及び第3実施例の説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0058】
応用実施例
本発明に係る掃除ロボットのニックネームは「小科」と称され、以下、「小科」は掃除ロボットを指す。「小科」の発音は、「ショウカ」と呼ばれる。掃除ロボットである「小科」が、ユーザの寝室及び物干し台を掃除する応用例について説明する。ここで、ユーザの寝室と物干し台との間にはガラス引き戸があり、引き戸の底部には、引き戸がスライドして開閉するスライドレールがある。スライドレールは、床よりも18mm高く、且つ40mmの幅を有する。小科は、ユーザの寝室の掃除を完了した後、所定の清掃経路に従って物干し台に向かって走行する。このとき、物干し台に到達するには寝室と物干し台との間にあるスライドレールを跨ぎ越える必要がある。小科は、スライドレールに近づくと、備えられたセンサにより前方に障害物(スライドレール)があると検知し、走行速度を低減させながら前進し続ける。小科の先端に設置された障害物回避ユニットの第1転動輪は、スライドレールに接触するとフローティング状態になり、且つフローティング高さが10mmである。一方、第1転動輪の後方に設けられた障害物回避ユニットの第2転動輪は、小科の駆動輪とともに床面上を走行する。小科がスライドレールに近づき続けるのに伴い、第1転動輪は、まずスライドレールに接触し、10mmフローティングする。スライドレールは床よりも18mm高いため、第1転動輪の最低点はスライドレールのトップから8mmのみ離れていることとなる。この高さでは、駆動輪の駆動により第1転動輪は容易に上ることができ、第1転動輪がスライドレールに上った後、小科の先端が上がる。このとき、第2転動輪もその分上がり、第2転動輪もフローティングする、つまり、このとき、第2転動輪の最低点からスライドレールのトップまでの高さが18mm未満であり、10mm程度である可能性があり、この上り高さでは、第2転動輪は容易に上ることができる。駆動輪の駆動により、第2転動輪も、スライドレールに容易に上り、駆動輪のさらなる駆動により、第1転動輪及び第2転動輪は、スライドレールから下がり、それにより、障害物跨ぎ越えユニットは、障害物(スライドレール)を跨ぎ越える。駆動輪のさらなる作用下で、駆動輪自体は、障害物(スライドレール)を跨ぎ越え、また、残りの障害物跨ぎ越えユニットも、同様な方式で障害物(スライドレール)を跨ぎ越える。この結果、小科は、ユーザの物干し台に到着し、所定の清掃タスクを実施することができる。
【0059】
なお、以上の実施例は、本発明の技術を説明するためのものに過ぎず、上記実施例に限定されるものではない。上記実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、上記各実施例に記載の技術案を修正したり、一部の技術的特徴に対して同等の置換を行ったりすることができるのは明らかである。これら修正又は置換を加えても、本発明の技術的思想から逸脱しない限り、本発明の技術的範囲に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6