(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ビデオゲーム処理プログラム、およびビデオゲーム処理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/537 20140101AFI20220804BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20220804BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20220804BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220804BHJP
【FI】
A63F13/537
A63F13/35
A63F13/822
A63F13/45
(21)【出願番号】P 2020165669
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2017132808の分割
【原出願日】2012-12-07
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信吾
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-113249(JP,A)
【文献】特開2010-063720(JP,A)
【文献】特開2001-009150(JP,A)
【文献】ついにEAもブラウズゲームに参入。,4gamer,2010年04月21日,https://www.4gamer.net/games/108/G010890/20100421008,[Online][2019年11月22日検索]
【文献】ゲーム画面説明,Lord of Ultimaのwikiなサイト,2012年08月27日,https://web.archive.org/web/20120827190218/http://louwiki.web.fc2.com/gamen.html,[Online][検索日2019年11月22日]
【文献】ハッピーストリート 初心者の為の豆知識,楽天ブログ ホルスケのブログ,2012年10月26日,https://plaza.rakuten.co.jp/horusuke/diary/201210250000/,[Online][2019年12月9日検索]
【文献】[Online][PR]学校や仕事に大忙しの司令官でも大丈夫。ブラウザゲーム「大戦略WEB」で、ナンバーワンを目,2010年05月26日,https://www.4gamer.net/games/100/G010059/20100521071/,[2020年10月14日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオゲームの進行を制御する機能をサーバに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ビデオゲームにて所定数または全てについて並行して実行され得るイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、
実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段とを
備える前記サーバに、
ユーザが使用するゲーム端末から、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付機能と、
前記実行中イベント関連情報を、ユーザのプレイ時間とユーザがビデオゲームをプレイしていないときの時間の両方を含む実際の時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新機能と、
前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面に関する情報を、通信ネットワークを介してゲーム端末に提供する提供機能とを
実現させ、
前記イベントは、
拠点強化要素
であり、前記
拠点強化要素は、資源を消費して仮想フィールドに施設を構築することであり、
前記提供機能では、実行要求を受付けたイベントが複数存在する場合にはそれぞれの前記残存時間の状況を全て同時に前記画像上に一覧表示で示すようにし、かつ、ユーザが1以上の実行中のイベントの進行状況を視覚的に認識可能なように各イベントの前記残存時間の状況を示すグラフを前記画像として含むゲーム画面に関する情報を提供する機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。
【請求項2】
通信ネットワークと、サーバと、ゲーム端末とを備え、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
前記ビデオゲームにて所定数または全てについて並行して実行され得るイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、
実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段と、
ユーザが使用する前記ゲーム端末から、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付手段と、
前記実行中イベント関連情報を、ユーザのプレイ時間とユーザがビデオゲームをプレイしていないときの時間の両方を含む実際の時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新手段と、
前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面に関する情報を、通信ネットワークを介してゲーム端末に提供する提供手段と
を含み、
前記イベントは、
拠点強化要素
であり、前記
拠点強化要素は、資源を消費して仮想フィールドに施設を構築することであり、
前記提供手段では、実行要求を受付けたイベントが複数存在する場合にはそれぞれの前記残存時間の状況を全て同時に前記画像上に一覧表示で示すようにし、かつ、ユーザが1以上の実行中のイベントの進行状況を視覚的に認識可能なように各イベントの前記残存時間の状況を示すグラフを前記画像として含むゲーム画面に関する情報を提供する
ことを特徴とするビデオゲーム処理システム。
【請求項3】
ビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ビデオゲームにて所定数または全てについて並行して実行され得るイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、
実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段とを
備える前記コンピュータに、
ユーザが使用するゲーム端末から、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付機能と、
前記実行中イベント関連情報を、ユーザのプレイ時間とユーザがビデオゲームをプレイしていないときの時間の両方を含む実際の時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新機能と、
前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面に関する情報を、通信ネットワークを介してゲーム端末に提供する提供機能とを
実現させ、
前記イベントは、
拠点強化要素
であり、前記
拠点強化要素は、資源を消費して仮想フィールドに施設を構築することであり、
前記提供機能では、実行要求を受付けたイベントが複数存在する場合にはそれぞれの前記残存時間の状況を全て同時に前記画像上に一覧表示で示すようにし、かつ、ユーザが1以上の実行中のイベントの進行状況を視覚的に認識可能なように各イベントの前記残存時間の状況を示すグラフを前記画像として含むゲーム画面に関する情報を提供する機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲームの進行を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオンラインゲームシステムには、プレイヤが自己の領地を繁栄させるために、ゲーム内資源を使用してゲーム内施設等を建設するものがある。
【0003】
このようなシステムには、ゲーム内施設等(以下「施設」という。)の建設が所定数(例えば、1つ)ずつ進行される構成とし、プレイヤは、特定数の施設を指定して建設予約を行うことができ、さらに、ゲーム内アイテムを使用することにより施設の建設予約数の上限を上昇させることができるものもある(非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】http://sengokuixa.jp/help/ixa_help04.html
【文献】http://w327.sengokuixa.jp/cp/item_list.php
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシステムでは、それぞれ建設が完了するまでに要する時間(建設所要数が設定された複数種類の施設の建設を予約した場合に、プレイヤが建設計画の全容を把握することが困難な場合があるという課題があった。
【0006】
また、このような課題は、施設の建設だけでなく、経時的要素を含むゲーム内イベント(以下「イベント」という。)が設けられたビデオゲームに関しても同様に存在するものと考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決すべく、イベントの進行状況をプレイヤが直感的に把握することができるビデオゲームを提供することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
非限定的な観点によると、本発明のビデオゲーム処理プログラムは、ビデオゲームの進行を制御する機能をサーバに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、前記ビデオゲームにて実行されるイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段とを備える前記サーバに、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付機能と、前記実行中イベント関連情報を、時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新機能と、前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面に関する情報を、通信ネットワークを介してゲーム端末に提供する提供機能とを実現させるためのものである。
【0009】
非限定的な観点によると、本発明のビデオゲーム処理システムは、通信ネットワークと、サーバと、ゲーム端末とを備え、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、前記ビデオゲームにて実行されるイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段と、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付手段と、前記実行中イベント関連情報を、時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新手段と、前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面を表示する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
非限定的な観点によると、本発明のビデオゲーム処理プログラムは、ビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、前記ビデオゲームにて実行されるイベントと、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶手段と、実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報を含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶手段とを備える前記コンピュータに、前記イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付けるイベント実行要求受付機能と、前記実行中イベント関連情報を、時間経過に従って更新する実行中イベント関連情報更新機能と、前記イベント管理情報に基づいて、各実行中イベントの残存時間の状況を示す画像を含むゲーム画面を表示する表示機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イベントの進行状況をプレイヤが直感的に把握することができるビデオゲームを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ビデオゲーム処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】制御部の構成の例を説明するための説明図である。
【
図3】イベント情報の格納状態の例を示す説明図である。
【
図4】イベント管理情報の格納状態の例を示す説明図である。
【
図5】ビデオゲームの概要について説明するための説明図である。
【
図6】イベント管理処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態におけるビデオゲーム処理装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、ビデオゲーム処理装置100は、ゲームプログラム読取部10、制御部11、記憶部12、表示部13、音声出力部14、プレイヤ操作受付部15、および通信部16を含む。
【0015】
プログラム読取部10は、各種ビデオゲームプログラムが格納された記憶媒体を内蔵する記憶媒体から必要なビデオゲームプログラムを読み出す機能を有する。なお、本例においては、プログラム読取部10は、ビデオゲームプログラムが格納された着脱可能なゲームカートリッジ20を装着する装着部を有し、プレイヤ(ビデオゲーム処理装置100の操作者(ユーザ))により装着部に装着されたゲームカートリッジ20の記憶媒体からゲームプログラムを読み出し、記憶部12に格納する。なお、本例で用いられるビデオゲームプログラムに従って実行されるビデオゲームは、RPG、シミュレーションゲーム、パズルゲーム、バトルゲームなど、ゲームの要素としてイベントを含むビデオゲームであればどのようなものであってもよい。なお、イベントの例としては、施設の建設、破壊、移転、増築、改装などゲーム内の仮想施設に関するものや、キャラクタの回復、レベル上げ、コマンドの実行などゲーム内のキャラクタに関するものというように、種々のものが考えられる。
【0016】
制御部11は、プログラム読取部10により読み取られ記憶部12に格納されたゲームプログラムを実行し、プレイヤの操作に応じてビデオゲームを進行するための各種の制御を実行する機能を有する。
【0017】
図2は、本例における制御部11の構成の例を説明するための説明図である。
図2に示すように、制御部11は、情報更新部11aと、グラフ表示部11bと、実行時間確認部11cとを含む。
【0018】
情報更新部11aは、記憶部12に記憶された各種情報を所定の更新条件に従って更新するための処理を実行する機能を有する。なお、更新条件の内容は特に限定されないが、本例においては、情報更新部11aが、現実の時間経過に従って(すなわち、ユーザのプレイ時間ではなく、ユーザがゲームをプレイしていないときの時間の経過も含めて)所定の情報を更新する場合があるものとする。
【0019】
グラフ表示部11bは、記憶部12に記憶された各種情報に基づいて、ビデオゲームの進行状況に関連するグラフを表示部13の表示画面に表示するための処理を実行する機能を有する。
【0020】
実行時間確認部11cは、記憶部12に記憶された各種情報を参照して、イベントを実行するのに必要な時間がユーザに許容された時間として確保されているか否かを確認するための処理を実行する機能を有する。
【0021】
記憶部12は、ビデオゲームを進行する際に必要なビデオゲームプログラムや各種のデータを記憶する記憶媒体である。記憶部12は、例えばRAMなどの不揮発性のメモリによって構成される。記憶部12には、ゲームの進行に従って登録・更新される各種の情報や、ゲームカートリッジ20に内蔵される記憶媒体から読み出されたゲームにおいて使用される各種の情報が格納される。
【0022】
なお、ビデオゲーム処理装置100が、ビデオゲームプログラムを図示しないゲームプログラム提供サーバからインターネット等の通信ネットワークを介してダウンロードして記憶部12に格納する構成としてもよい。
【0023】
本例においては、記憶部12は、イベント情報記憶部12aと、イベント管理情報記憶部12bとを含む。
【0024】
イベント情報記憶部12aは、ビデオゲームにて実行されるイベントに関する情報であるイベント情報を記憶する記憶媒体である。
【0025】
図3は、イベント情報記憶部12aに記憶されるイベント情報の格納状態の例を示す説明図である。
図3に示すように、イベント情報は、イベントを一意に特定するためのイベント番号と、イベント番号が示すイベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められている時間(イベント実行時間)とを含む。
【0026】
イベント管理情報記憶部12bは、ビデオゲームにて実行中のイベントを管理するための情報であるイベント管理情報を記憶する記憶媒体である。
【0027】
図4は、イベント管理情報記憶部12bに記憶されるイベント管理情報の格納状態の例を示す説明図である。
図4に示すように、イベント管理情報は、実行中イベント関連情報と、実行中のイベントが全て終了するまでの時間(総残存時間)と、実行中イベントのそれぞれが終了するまでの時間(残存時間)の合計時間(すなわち、総残存時間)の最大として許容される時間(最大許容時間)とを含む。
【0028】
ここで、実行中イベント関連情報とは、実行中のイベントである実行中イベントに関連する情報である。本例においては、実行中イベント関連情報には、実行中イベントを一意に特定するためのイベント番号と、実行中イベントが終了するまでの時間である残存時間とが含まれる。
【0029】
表示部13は、制御部11の制御に従って、ビデオゲームの進行やプレイヤ操作に応じたゲーム画面を表示する表示装置である。表示部13は、例えば、液晶表示装置によって構成される。
【0030】
音声出力部14は、制御部11の制御に従って、ビデオゲームの進行やプレイヤ操作に応じて音声を出力する。
【0031】
プレイヤ操作受付部15は、プレイヤ操作に応じた操作信号を受け付け、その結果を制御部11に通知する。本例においては、操作受付部15は、表示部13に設けられたタッチパネルを介してプレイヤの操作を受け付ける。なお、操作受付部15は、マウスやゲームパットなどのコントローラを介してプレイヤの操作を受け付ける構成とされていてもよい。
【0032】
通信部16は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、各種情報を送受信する。
【0033】
次に、本例のビデオゲーム処理装置100にて実行されるビデオゲームの概要について説明する。本例のビデオゲーム処理装置100では、プレイヤが自分の領域(拠点)に施設を建てることで拠点を強化するビデオゲームが実行される。具体的には、プレイヤは、(1)拠点における資源の生産、施設の建設、および兵力の生産により拠点を強化する要素(拠点強化要素)と、(2)ビデオゲームを遊戯して仮想カードを取得することにより部隊を強化する要素(部隊強化要素)と、(3)通信による他のプレイヤの部隊との対戦(PvP)、期間を設けて限定的に行われるイベント戦、および同盟同士による合戦専用MAPを用いた時間経過型バトルを行う要素(合戦要素)との3つの大きな要素を適宜選択して遊戯する。以下、本発明に関わる要素である拠点強化要素についてさらに説明する。
【0034】
図5は、本例のビデオゲーム処理装置100にて実行されるビデオゲームの概要について説明するための説明図である。
図5に示すように、ビデオゲームにおける拠点強化要素では、プレイヤが、自分の領地として与えられた仮想フィールド501に施設を建設するゲーム(いわゆる街づくりゲーム)が行われる。施設は、資源表示領域502に表示される資源を消費することで建設される。プレイヤは、自己の資源の量や建設可能な施設の特性を考慮して、操作項目表示領域503に表示された操作項目を適宜選択して施設の建設指示を行う。
【0035】
プレイヤが施設の建設指示を行うと、仮想フィールド501には、建設指示に応じた建築進行オブジェクト(例えば、建設進行オブジェクトB1)が表示される。建設オブジェクト進行オブジェクトは、仮想フィールド501に表示されてから、建設指示に応じた施設に対応付けされた建設所要時間(すなわち、イベント実行時間)が経過したときに、建設指示に応じた施設を示すオブジェクトに変化する。なお、本例においては、施設の種類や建設完了までの時間(すなわち、イベント実行時間から経過時間を減算した時間。残存時間)に応じて変化しない建設進行オブジェクトが表示される場合を例にして説明するが、建設進行オブジェクトの構成はこれに限定されず、例えば大きな施設を建設する場合には小さな施設を建設する場合とは異なる建設進行オブジェクトが表示される構成としてもよいし、イベント実行時間に対する残存時間の割合に応じて建設進行オブジェクトの形態が変化する(例えば、時間の経過に応じて建設する施設の形態に近づいていくように変化する)構成としてもよい。
【0036】
また、
図5に示すように、ゲーム画面上には、建設中の施設それぞれの建設完了までの時間(残存時間)の状況を示すイベント進行状況グラフ(タスクバー)Gが表示される。本例においては、イベント進行状況グラフGは、建設進行オブジェクトB1を含む複数の建設進行オブジェクトそれぞれの残存時間に相当する長さの各目盛が配された棒状グラフとして表示される。また、イベント進行状況グラフGの長さは、プレイヤが建設指示を行える最大量(すなわち、施設のイベント実行時間の総量)に相当する長さで表示される。つまり、イベント進行状況グラフGが長い程、プレイヤは、一度に多数の施設の建設を指示することができる。なお、プレイヤは、ビデオゲームの進行に応じて所定条件を満たすことで、イベント進行状況グラフGの長さを長くすることができる。
【0037】
また、本例においては、仮想フィールド501における施設の建設は、1施設毎に進行する。すなわち、プレイヤは、1つの施設の建設が進行中のときには、2つめの建設指示を建設予約として指示することになる。そして、建設予約の最大数は、施設の数ではなく、施設に対応する建設所要時間の総和によって決まることになる。また、制御部11は、イベント進行状況グラフGに配された目盛のうち、1番左側に配された目盛の長さを時間の経過に応じて縮小させる。ただし、施設建設の進行方法はこれに限定されず、例えば制御部11が、所定数または全ての施設の建設を経過時間に応じて並行して進める(すなわち、イベント進行状況グラフGに配された複数の目盛がそれぞれ経過時間に応じて縮小していく)構成としてもよい。
【0038】
仮想フィールドに建設された施設の数や種類によってプレイヤの拠点の性能(例えば、耐久性や生産性)が決定されることとなり、より優秀な施設を多くの建築したプレイヤは他のプレイヤよりも有利にゲームを進めることができるようになる。ただし、拠点強化以外の他の要素(部隊強化要素と合戦要素)については、本発明と直接は関わらないため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、本例のビデオゲーム処理装置100の動作について説明する。
【0040】
図6は、ビデオゲーム処理装置100が実行するイベント管理処理の例を示すフローチャートである。イベント管理処理では、ビデオゲームの進行に応じて発生するイベントを管理するための処理が行われる。なお、本発明に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。
【0041】
イベント管理処理は、制御部11が、例えばプレイヤからの指示に応じてイベント進行状況グラフGを含むゲーム画面を表示すると判定したことにより開始される。以下、適宜
図5を参照して説明する。
【0042】
イベント管理処理において、先ず、制御部11は、イベント管理情報に基づいて、イベント進行状況グラフGを、ゲーム画面の所定領域(例えば、画面左下側)に表示する(ステップS101)。
【0043】
イベント進行状況グラフを表示すると、制御部11は、イベントの実行要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS102)。ここで、例えば操作項目表示領域503に表示された操作項目「新規建築」が選択されたことにより、イベントの実行要求を受け付けたと判定すると(ステップS102のY)、制御部11は、イベントの実行時間が確保されているか否かを判定する(ステップS103)。なお、本例においては、制御部11は、操作項目「新規建築」が選択されたことに応じて、所定の施設種類選択画面を表示して、新規に建設(あるいは、建築)する施設の種類を特定する。そして、イベントの実行時間が確保されているか否かについては、施設の種類に応じた建設所要時間(すなわち、イベント実行時間)が最大許容時間から総残存時間を減算した値(
図4参照)以下である場合に、イベントの実行時間が確保されていると判定する。
【0044】
イベントの実行時間が確保されていないと判定すると(ステップS103のN)、制御部11は、後述するステップS106の処理に移行する。一方、イベントの実行時間が確保されていると判定すると(ステップS103のY)、制御部11は、イベントの実行要求に応じたイベント管理情報をイベント管理情報記憶部12bに追加する(ステップS104)。なお、本例においては、制御部11は、このときに、イベントとしての「施設の建設」に応じたオブジェクト(例えば、建設進行オブジェクトB1)を仮想フィールド501に表示するとともに、追加したイベント管理情報の内容(特に、残存時間)に応じてイベント進行状況グラフGの形態を更新する。本例においては、制御部11は、追加したイベント管理情報の残存時間に相当する長さの目盛を、イベント進行状況グラフGに配された他の目盛よりも右側に配する。さらに、このときイベント管理情報記憶部12bに他のイベント管理情報が記憶されていない場合、制御部11は、追加したイベント管理情報が示すイベントの実行を開始する(すなわち、対応する残存時間の計時を開始する)。一方、先に追加されたイベント管理情報がある場合、制御部11は、今回追加したイベント管理情報が示すイベントを待機状態とし(すなわち、対応する残存時間の計時を行わず)、先に追加されたイベント管理情報が示すイベントが終了してから当該イベントを開始する。
【0045】
イベント管理情報を追加すると、制御部11は、経過時間に応じてイベント管理情報における実行中イベント関連情報を更新する(ステップS105)。本例においては、制御部11は、経過時間に応じて建設が進行している施設の残存時間を減少させる。また、制御部11は、残存時間が「0」になった施設に対応するイベント管理情報をイベント管理情報記憶部12bから削除する。また、図示しないが、制御部11は、建設が完了した施設に関する情報を所定の記憶領域に保存する。
【0046】
実行中イベント関連情報を更新すると、制御部11は、イベント進行状況グラフGの表示を終了するか否かを判定する(ステップS106)。ここで、イベント進行状況グラフGの表示を終了しないと判定した場合(ステップS106のN)、制御部11は、ステップS101の処理に移行する。一方、例えば他のゲーム画面への遷移要求を受け付けたことにより、イベント進行状況グラフの表示を終了すると判定すると(ステップS106のY)、制御部11は、ここでの処理を終了する。
【0047】
一方、イベント管理処理におけるステップS102の処理において、イベントの実行要求を受け付けていないと判定すると(ステップS102のN)、制御部11は、最大許容時間の増加要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、最大許容時間の増加要求を受け付けていないと判定すると(ステップS107のN)、制御部11は、ステップS106の処理に移行する。
【0048】
一方、例えばプレイヤによる所定操作の入力を受け付けたことにより、最大許容時間の増加要求を受け付けたと判定すると(ステップS107のY)、制御部11は、最大許容時間の増加に関する条件が完備されているか否かを判定する(ステップS108)。ここで、例えばプレイヤによるビデオゲームの進行状況を示すプレイヤ情報を参照して、条件が完備されていると判定すると(ステップS108のY)、制御部11は、イベント管理情報における最大許容時間が増加するように最大許容時間を更新して(ステップS109)、ステップS106の処理に移行する。本例においては、制御部11は、このときに、増加後の最大許容時間に応じた長さに構成されたイベント進行状況グラフGをゲーム画面に表示する。
【0049】
一方、条件が完備されていないと判定すると(ステップS108のN)、制御部11は、所定の条件不備メッセージを表示画面に表示して(ステップS110)、ステップS106の処理に移行する。
【0050】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理装置100が、ビデオゲームにて実行されるイベント(例えば、施設の建設)と、該イベントが開始されてから終了するまでの時間として予め定められているイベント実行時間(例えば、建設所要時間)とを含むイベント情報を記憶するイベント情報記憶部12aと、実行中のイベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報(例えば、イベント番号と残存時間)と、実行中イベントの残存時間の合計時間の最大として許容される最大許容時間とを含むイベント管理情報を記憶するイベント管理情報記憶部12bとを備え、時間経過に従い実行中イベント関連情報を更新し(例えば、ステップS105)、イベント管理情報に基づいて、最大許容時間に占める各実行中イベントそれぞれの残存時間の状況を示すイベント進行状況グラフを表示装置の表示画面に表示する(例えば、ステップS101)構成としているので、イベントの進行状況をプレイヤが直感的に把握することができるビデオゲームを提供することができるようになる。
【0051】
すなわち、実行中イベントの残存時間の合計時間に上限(最大許容時間)を設け、イベントそれぞれの残存時間の状況をグラフで表示する構成としているので、最大許容時間に対する残存時間を確認することでイベントの進行状況をプレイヤが直感的に把握することができるようになる。
【0052】
また、時間を基準にプレイヤからのイベント開始要求を許容するか否かを決定することになるので、数を基準とする場合とは異なる考察をプレイヤに提供することができるようになり、その結果、従来とは異なる観点からのゲーム内アイテムの使用を促すことができるようになる。
【0053】
また、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100が、イベント情報に含まれるイベントの何れかを指定したイベントの実行要求を受け付け(例えば、ステップS102)、イベント情報とイベント管理情報とを参照して、受け付けたイベントのイベント実行時間が確保されているか否かを確認し(例えば、ステップS103)、イベント実行時間が確保されていることを確認したことに応じて(例えば、ステップS103のY)、実行要求を受け付けたイベントの実行を開始するとともに、該イベントを実行中イベントとして当該イベントである実行中イベントに関する実行中イベント関連情報をイベント管理情報に追加する(例えば、ステップS104)構成としているので、新たに追加できるイベントをプレイヤが直感的に把握することができるビデオゲームを提供することができるようになる。
【0054】
また、上述した実施の形態では、イベント進行状況グラフGは、最大許容時間に相当する長さに形成された棒状グラフであって、各実行中イベントそれぞれの残存時間に相当する長さの各目盛が棒状グラフ内に配された構成とされており(
図5参照)、イベント管理情報における実行中イベント関連情報に従って、各目盛の長さが各実行中イベントそれぞれの残存時間に相当する長さに縮小されていくイベント進行状況グラフを表示する構成としているので、プレイヤに対して複数のイベントの進行状況を直感的に認識させることができるようになる。
【0055】
なお、上述した実施の形態ではイベント進行状況グラフが棒状グラフである場合を例にして説明したが(
図5参照)、イベント進行状況グラフの構成はこれに限定されず、例えば、最大許容時間が最大円周角に相当するものとして形成された円状グラフであって、各実行中イベントそれぞれの残存時間に相当する角度の各目盛が円状グラフ内に配された構成とされており、ビデオゲーム処理装置100が、イベント管理情報における実行中イベント関連情報に従って、各目盛の角度が各実行中イベントそれぞれの残存時間に相当する角度に縮小されていくイベント進行状況グラフを表示する構成としてもよい。イベント進行状況グラフを、イベントの進行状況、特に実行中のイベントが終了するまでにかかる時間をプレイヤが視覚的に認識可能な構成とすることにより、プレイヤがビデオゲームを遊戯する際のストレスを軽減させることができるようになる。
【0056】
また、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100が、ビデオゲームの進行状況(例えば、プレイヤのレベルやゲーム内課題の解決状況、所持アイテム、課金状況など)に応じて、イベント管理情報における最大許容時間を更新して当該最大許容時間を増加させる(例えば、ステップS109)構成としているので、最大許容時間の増加条件を所持アイテムの使用にした場合には所持アイテムの使用を促すことができるようになるなど、プレイヤがイベント進行状況グラフによりイベントの進行状況を把握することができるようにしたことによる付随的効果を実現させることができるようになる。
【0057】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ビデオゲーム処理装置100が、イベント進行状況グラフGの目盛の選択を受け付け、選択された目盛に対応するイベントを特定し、特定したイベントの進行状況を表示する(例えば、目盛から吹き出し画像を表示し、当該吹き出しの中にイベントの進行状況を示す文字列や画像を表示する)構成としてもよい。このような構成とすることにより、プレイヤがよりイベントの進行状況を直感的に把握することができるビデオゲームを提供することができるようになる。
【0058】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ビデオゲーム処理装置100が、イベント進行状況グラフGの目盛の選択を受け付け、選択された目盛に対応するイベントを特定し、特定したイベントに対する実行順の変更要求または実行解除要求を受け付け、受け付けた実行順の変更要求または実行解除要求に応じてイベント管理情報を更新する構成としてもよい。このような構成とすることにより、プレイヤが複数のイベントの進行を容易に管理可能なビデオゲームを提供することができるようになる。
【0059】
なお、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100がゲームカートリッジ20から読み取ったゲームプログラムに基づいて上述したゲーム処理などの各種の処理を実行する構成としていたが、ビデオゲーム処理装置100が、インターネットなどの通信ネットワークを介してゲームプログラムを取得するようにしてもよい。また、ビデオゲーム処理装置100がゲームサーバとして機能し、通信ネットワークを介してゲームプログラムをゲーム端末に提供するようにしてもよい。また、本発明に係るビデオゲーム処理装置が進行を制御するビデオゲームは、いわゆるブラウザゲームであってもよい。
【0060】
また、上述した実施の形態では、ビデオゲーム処理装置100は、自己が備える記憶装置(記憶部12)に記憶されている各種制御プログラム(例えば、ビデオゲーム処理プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、イベントの進行状況をプレイヤが直感的に把握することができるビデオゲームを提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 ゲームプログラム読取部
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 音声出力部
15 プレイヤ操作受付部
16 通信部
20 ゲームカートリッジ
100 ビデオゲーム処理装置