(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】熱保護装置
(51)【国際特許分類】
H01C 7/10 20060101AFI20220804BHJP
H01H 85/02 20060101ALI20220804BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
H01C7/10
H01H85/02 S
H01H37/76 E
(21)【出願番号】P 2020554452
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2019058413
(87)【国際公開番号】W WO2019193059
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】201810299514.X
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン, シャオジャ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ, シュウチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ユンデ
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06430019(US,B1)
【文献】特開平08-250304(JP,A)
【文献】特開2008-028089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/10
H01H 85/02
H01H 37/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱保護装置(100)であって、
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)内に部分的に埋設され且つ前記ハウジング(1)とは電気的に絶縁されたバリスタ(2)であって、部分的に非絶縁の接触面(21)を有するバリスタ(2)と、
絶縁材料から成る内壁(16)であって、前記バリスタ(2)の前記接触面(21)に隣接して配置される内壁(16)と、
前記内壁(16)に設けられた窓部(12)であって、前記熱保護装置(100)の作動状態において、前記バリスタ(2)の前記接触面(21)の電気接続(11)を可能とする窓部(12)と、
前記内壁(16)における窓部(12)を覆うように配置された可動絶縁ブロック(43)であって、前記熱保護装置(100)の障害状態において、前記内壁(16)の窓部(12)の領域で前記バリスタ(2)を絶縁する可動絶縁ブロック(43)と、を備え
、前記可動絶縁ブロック(43)は、回転の中心となるリベットの周りを回転して動くように構成されている熱保護装置(100)。
【請求項2】
金属接点がばね端子(13)を規定し、これにより、前記熱保護装置(100)が作動状態にある間、前記ばね端子(13)は、前記窓部(12)を介して前記バリスタ(2)の前記接触面(21)に電気接続(11)をもたらす、請求項1記載の熱保護装置(100)。
【請求項3】
前記金属接点は、前記熱保護装置(100)が作動状態にある間、前記接触面から離れる方向に作用する予応力を受ける、請求項2記載の熱保護装置(100)。
【請求項4】
前記バリスタ(2)の前記接触面(21)と前記ばね端子(13)との間の前記電気接続(11)は、前記熱保護装置(100)が作動状態にある間、低温のはんだ接合を含み、前記低温は、前記はんだ接合が前記予応力によって前記接触面との接触が遮断され得る状態に達する特性温度である、請求項
3記載の熱保護装置(100)。
【請求項5】
前記特性温度は、180℃から210℃の範囲
にある、前記はんだの溶融温度である、請求項4記載の熱保護装置(100)。
【請求項6】
前記可動絶縁ブロック(43)は、前記熱保護装置(100)が作動状態にある間、ばね(42)からのばね力によって前記ばね端子(13)に押し付けられる、請求項2、3、4又は5記載の熱保護装置(100)。
【請求項7】
前記可動絶縁ブロック(43)は、前記ばね(42)によって端位置(43a)に押し込まれ、これにより、前記熱保護装置(100)の障害状態において、前記内壁(16)の前記窓部(12)を覆うように設計されている、請求項1から6までのいずれか一項記載の熱保護装置(100)。
【請求項8】
前記ハウジング(1)は、前側に指示器(31)を含み、これにより、前記指示器(31)の信号接点(32)は前記ハウジング(1)の外部に位置し、指示器トリガ(33)は前記ハウジング(1)内に位置する、請求項1から7までのいずれか一項記載の熱保護装置(100)。
【請求項9】
前記指示器(31)はマイクロスイッチである、請求項8記載の熱保護装置(100)。
【請求項10】
前記可動絶縁ブロック(43)は、前記ばね(42)によってその端位置(43a)に押し込まれるように設計されており、それによって、前記熱保護装置(100)の障害状態において、前記指示器(31)の前記指示器トリガ(33)を作動させる、請求項8又は9記載の熱保護装置(100)。
【請求項11】
前記バリスタ(2)は矩形状または丸形状を有する、請求項1から10までのいずれか一項記載の熱保護装置(100)。
【請求項12】
前記バリスタ(2)は、端子(22)を含む第2接触面を備える、請求項1から11までのいずれか一項記載の熱保護装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリスタを過熱から保護するための熱保護装置に関する。
【0002】
バリスタは特別な電流-電圧特性を有する。バリスタは、印加電圧が一定の値を超えると、電気絶縁状態から電気伝導状態に変化する。この効果は、電圧に敏感な電気素子を保護するために使用される。しかし、バリスタが導電性になると、当該バリスタを通じて大電流が流れ得る。当該電流は、バリスタを爆発点または他の損傷点まで加熱する可能性がある。
【0003】
バリスタおよび他の電気要素をこのような過熱から保護するために、米国特許第6430019号明細書に記載されているような熱保護を使用することができる。そのような保護の1つのタイプは、温度ヒューズである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、高速で信頼性の高い熱保護装置を提供することである。より具体的には、課題は、バリスタに一定時間持続的に高電圧が印加されることによって過熱が生じた場合に、バリスタを保護する熱保護装置を提供することである。
【0005】
独立請求項1に開示される本発明は、この問題に対する解決策を提供する。従属請求項は、好ましい解決策をもたらすことができる。
【0006】
本発明は、少なくとも1つのキャビティを画定するハウジングを備える熱保護装置に関する。ハウジング内には、バリスタが部分的に埋設されている。バリスタに印加された電圧が特性値に達すると、バリスタは電気絶縁状態から電気伝導状態に変化し、大電流の流れを可能にする。バリスタは、一方の側に接触面を有する。更に、ハウジングは絶縁材料から成る内壁を備え、当該内壁は、バリスタに隣接して配置されるとともに、当該バリスタの接触面に隣接して配置される。当該内壁には窓部が設けられており、当該窓部は、熱保護装置の作動状態の間、バリスタの接触面への接続を可能にする。熱防護装置の障害状態では、内壁の窓部は可動断熱ブロックで覆われている。これにより、バリスタの接触面は、カバーされた窓部と内壁とによって完全に電気的に絶縁されるであろう。
【0007】
作動状態とは、熱保護装置が設置されているシステムが通常状態であるという条件下での熱保護装置の状態をいう。システムのエラーによってバリスタに高電圧が印加されると、バリスタは導電性になる。その結果、熱保護装置に大電流が流れる。当該大電流は、バリスタを加熱するとともに、バリスタへの電気接続部を加熱することがある。熱保護装置は、このような加熱からバリスタを保護するように設計されている。したがって、加熱が生じると、バリスタとシステムとの間の電気伝導接続部は熱保護装置によって遮断される。接続部が遮断された場合が、熱保護装置の障害状態である。
【0008】
可動絶縁ブロックが、ハウジングの内側に配置されている。可動絶縁ブロックの機能は、熱保護装置が障害状態にある間、窓部のある領域でバリスタを絶縁することである。
【0009】
このようなハウジングは、例えば湿度や埃のような環境の影響に対して、いかなる内部部品のための最適な保護を提供する。バリスタの接触面と接触する内壁は、当該内壁に設けられた窓部によって、当該接触面との小さな接触面積を規定し、これは、開放された接触面と比較して、熱保護装置による制御をより容易にする。作動状態において、熱保護装置はバリスタの接触面への接続を可能にする。バリスタにおいて使用可能な接触面積が減少することにより、アーク放電のリスクを低減することがより容易となる。ハウジングの内壁における窓部を被覆することは、接触面全体が電気的に絶縁されることになるので、安全な遮断となる。さらに、カバーは、熱保護装置の提供を妨げるようなアーク放電を防止するように設計することができる。
【0010】
一実施形態では、熱保護装置は、端子を含む第2接触面を有するバリスタで設計される。当該端子を含む接触面は、上述したバリスタの第1接触面とは反対側に配置され得る。第2接触面の端子はバリスタの寸法よりも大きくすることができる。特別な変形例において、第2接触面の端子はハウジングから突出することができる。ハウジングから突出する端子は、バリスタを回路基板にプラグ接続するように形成することができる。これにより、ハウジング及び熱保護装置は、端子を介して回路基板にプラグ接続することができる。バリスタは、金属酸化物バリスタとすることができる。ある変形例では、酸化亜鉛バリスタである。バリスタは、長方形の形状を有することができるが、それに限定されない。バリスタは、例えば、円形であってもよい。プラグ接続される可能性のあるハウジングから突出し得る端子は、熱保護装置の取り扱い及び交換を改善することができる。これにより、容易かつ迅速な交換が可能になる。
【0011】
熱保護装置の別の実施形態は、端子に形成された金属接点を含む。この金属接点は、ばね端子を規定することができる。当該ばね端子はハウジングに固定される。当該ばね端子は、ハウジングのキャビティ内に部分的に配置され得る。熱保護装置が作動状態にある間、ばね端子の一端は、ハウジングの内壁の窓部を介して、キャビティ内部で、バリスタの第1接触面に接続され得る。そのような接続は、固定されたばね端子に予応力を生じさせ、これにより、バリスタの第1接触面に垂直な、当該接続から離れる方向に向けられるばね力が生じる。熱保護装置が作動状態にある間、ばね端子に生じ得る予応力は、トリガ信号が生じた場合の応答時間の短縮につながり得る。加えて、ばね端子は、熱保護装置にトリガ信号が生じた後に、外部応力なしでバリスタの第1接触面への接続の初期位置に戻ることはないであろう。ばね端子の一部は、ハウジングから突出し得る。当該部分は、プラグ接続可能な端子として設計され得る。従って、安定してプラグ接続された熱保護装置を提供することができる。
【0012】
熱保護装置の一実施形態において、ばね端子とバリスタの第1接触面との間の接続部は、熱保護装置が作動状態にある間、低温はんだ接合部として実行される。この「低温」とはある特性温度であり、当該特性温度において、当該はんだ接合部は、金属接点に存在し得るような力又は予応力によって、事前に接合された金属接点及び接触面の分離を可能にする状態になる。「低温」とは、低温はんだの溶融温度であることが考えられる。この特性温度は、はんだの通常の特性温度に比べて低い値である可能性があるため、「低温」と呼ぶことができる。低温はんだの特性温度は、100℃~210℃の範囲、例えば138℃とすることができる。低温はんだ接合部が特性温度まで加熱されると、上記接続部が緩み、はんだが液状になり得る。ばね端子と第1接触面との接続部が緩むと、両者の分離が容易になる。このような分離は、熱保護装置の障害状態につながるであろう。ここで、「障害」という用語は、熱保護装置が設置されるシステムにおける障害となる状態の起源に起因して選択される。
【0013】
この実施形態では、はんだ接合部がバリスタに直接接触しているので、低温はんだ接合部の加熱は、システム内の障害の結果として当該接続部を流れる大電流によって、又は、バリスタ自体から放射される熱によって引き起こされ得る。加えて、低温はんだ接合部の加熱は、熱保護装置の外部からの他のあらゆる源によっても引き起こされ得る。バリスタへの大電流又はバリスタの加熱は、熱保護装置がバリスタを保護すべきケースです。低温はんだ接合部の配置により、熱保護装置の短い応答時間を確保できる。
【0014】
低温はんだ接合部を有する実施形態と、上述の実施形態によるばね端子との可能な組み合わせは、バリスタに近接する接続部の配置及び接続されたばね端子内の応力のために、バリスタの第1接触面における安全かつ迅速な遮断につながり得る。
【0015】
本発明のさらなる実施形態では、ハウジングは、取り外し可能なプラスチックキャップによって閉鎖される。取り外し可能なプラスチックキャップは、ハウジングのキャビティ内の部品へのアクセスを可能にする。さらに、熱を正確に加えることにより、熱保護装置にトリガ信号が生じた後に、ばね端子と第1接触面との間の低温はんだ接合部を再構築することが可能とある。これにより、当業者は熱保護装置を作動状態にリセットすることができる。
【0016】
熱保護装置の別の実施形態では、ハウジングのキャビティ内にばねが設けられる。当該ばねは、ねじりばねとすることができる。ばねは、ハウジングの内壁に隣接して、バリスタの反対側に配置することができる。さらに、本実施形態の熱防護装置は、ハウジングのキャビティの内側において、内壁に隣接して可動絶縁ブロックを備えることができる。具体的には、可動絶縁ブロックは、ばね端子と内壁との間に部分的に配置することができる。ばね及び可動絶縁ブロックの両方、又はばね及び可動絶縁ブロック一方だけが共通の回転中心を有し得る。この回転中心において、ハウジングのキャビティ内に位置する内壁に、リベットが配置される。当該リベットには、ばね及び可動絶縁ブロックの両方を固定することができる。
【0017】
熱保護装置が作動状態にある間、ばねは、可動絶縁ブロックをばね端子に対して押し付けることができ、この場合、当該ばね端子はバリスタの第1接触面に接続されている。ばねによって押圧される可動絶縁ブロックは、ばね端子とバリスタの第1接触面との間の接続部に作用する力の源を示すことができ、この場合、ばね及び可動絶縁ブロックによって発揮される力は、内壁に平行に向けられることになる。この力は、熱保護装置の障害状態において、バリスタの第1接触面からばね端子を分離するように方向付けることができる。
【0018】
熱保護装置の作動状態において、ばね端子には既に予応力が加えられているので、上述したばね力と組み合わせた可動絶縁ブロックは、さらなる分離メカニズムを示す。ばねによって押圧される可動絶縁ブロックの形態での当該分離メカニズムは、接続部が緩んだ場合に第1接触面に対する接続部の分離を確実にするので、熱保護装置の安全性を高める。
【0019】
可動絶縁ブロックは、回転中心において、リベットの周りを回転して動くように設計することができるので、案内レールは不要となる。したがって、可動絶縁ブロックが動かなくなる可能性は低くなる。これにより、熱保護装置の安全性が向上する。
【0020】
熱保護装置の好ましい実施形態では、熱保護装置の障害状態において、上述した可動絶縁ブロックはばねによって端位置に押し込まれる。バリスタの加熱によって、当該バリスタの第1接触面に対する接続部が緩くなると、このような障害状態が生じ得る。可動絶縁ブロックは、バリスタの第1接触面から端子を分離するように設計することができる。更に、可動絶縁ブロックは、ハウジングの内壁における窓部を覆うように設計することができ、その結果、バリスタの第1接触面は完全に電気的に絶縁され、従ってアーク放電を回避することになる。このような設計は、熱保護装置の障害状態において、バリスタの遮断を確実にし、フラッシュオーバの緊急事態を防止する。
【0021】
熱保護装置の可能な実施形態では、熱保護装置の現在の状態を信号送信するための指示器を含む。当該指示器は、ハウジング内に部分的に配置され、ハウジングから突出する複数の信号接点と、ハウジング内に配置される指示器トリガとを備える。指示器は、マイクロスイッチであってもよい。熱保護装置の障害状態において、可動絶縁ブロックは指示器のトリガに到達し得る。可動絶縁ブロックは、当該可動絶縁ブロックが端位置に押し込まれた場合に、指示器を動作させるように設計することができる。任意のさらなる電子部品を指示器の信号接点に接続して、熱保護装置の状態を表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】熱保護装置の概略的な斜視図であり、ハウジングは透明である。
【
図2】埋設されたバリスタを視認できるように透明なハウジングを示す。
【
図5】金属酸化物バリスタディスクの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、作動状態にある熱保護装置100の例示的な実施形態を示す。図において、ハウジング1は、バリスタ2を視認するために透明なものとして示されており、このバリスタ2は、ハウジング1内に部分的に埋設されている。ハウジング1は、バリスタ2の接触面21に平行に配置された内壁16を備える。ハウジングは、少なくとも1つのキャビティを画定する。ここで、内壁16は、前述のキャビティの壁であってもよい。内壁16は窓部12を備え、当該窓部12により、キャビティ内の一部からバリスタ2の接触面21への接続部が形成され得る。バリスタ2は端子22を有する。当該端子は、接触面21の反対側に配置され、ハウジング1から突出している。
【0024】
熱保護装置100は、ハウジング1のキャビティ内に部分的に配置されたばね端子13を備える。ばね端子は、ハウジング1内の固定手段14によって、その位置に保持される。ばね端子13の突出部分及びバリスタ2における端子22の突出部分は、熱保護装置をプラグ接続可能とするように設計されている。
【0025】
熱保護装置100が作動状態にある間、ハウジング1のキャビティ内におけるばね端子13の端部は、ハウジング1の内壁16における窓部12を介して、バリスタ2の接触面21に接続される。ばね端子13と第1接触面との間の接続は、ばね端子に応力を生じさせ、この応力は、バリスタ2の接触面21から離れる方向に向けられる。ばね端子13と接触面21との間の接続を保持するために、電気接続11が用いられる。電気接続11は、低温はんだ接合によって実現される。このような低温はんだ接合は、はんだが液体になる臨界温度を有する。はんだが液体になる臨界温度は、100℃~210℃の範囲、例えば138℃とすることができる。
【0026】
作動状態における熱保護装置100の図示された実施形態は、ハウジング1のキャビティ内に配置され、内壁16に当接する可動絶縁ブロック43を備える。ばね42がキャビティ内に配置されており、可動絶縁ブロック43を電気接続部11の近傍でばね端子13に押しつける。ばね42は、当該ばねを固定する手段41によって適所に保持されており、当該ばねを固定する手段41は、内壁16に配置され、ハウジング1のキャビティ内に位置する。可動絶縁ブロック43及びばね42の移動経路は、内壁16に平行な平面内、従ってバリスタ2の接触面21に平行な、ばね42を固定する手段41におけるその中心を有する旋回経路である。
【0027】
図1に示すように、熱保護装置の実施形態は指示器31を備える。当該指示器31は、ハウジング1内に部分的に配置され、移動可能な絶縁ブロック43によって到達され得る。当該指示器は、ハウジング1の外側に配置された信号接点32を備える。
【0028】
図2は、部分的に埋設されたバリスタ2を示すために、熱保護装置に関するハウジング1の実施形態を透視図で示している。ハウジングの図示の実施形態は、窓部12を有する内壁16を備え、この場合、内壁16は、部分的に埋設されたバリスタ2の接触面21に平行に配置され、ハウジング1におけるキャビティを区切る。内壁16内の窓部12により、バリスタ2の接触面21に接続部を形成することができる。内壁16における窓部12の形状や配置は、図に示す例に限定されない。バリスタ2の端子22は、接触面21の反対側に位置し、ハウジング1から突出する。
【0029】
ハウジング1内には、指示器31を固定するための手段3がある。当該手段3は、ハウジングの外壁における切り欠きであり、当該切り欠きは、ハウジングの上部境界から内壁16の高さまで到達する。ハウジング1は、ばね端子を固定するための手段14を備える。当該手段14も、筐体1の外壁における切り欠きである。
【0030】
ハウジングのキャビティ内には、ばね42を固定する手段41がある。ばね42を固定する手段41は、内壁16に配置され、ハウジング1のキャビティ内に位置するリベットのように設計されている。
【0031】
図3は、作動状態にある熱保護装置100の可能な実施形態の概略図を表す。この作動状態では、ばね端子13は、ハウジング1のキャビティ内に部分的に埋設されたバリスタ2の接触面21に接続されている。当該接続は、ハウジング1の内壁16における窓部12を介して実現され、電気接続11によって保持される。はんだ接合部は低温で安定しており、低温はんだは、その温度が臨界温度に達するまで固体のままである。ばね端子13は、手段14によってハウジング1に固定され、これによりハウジング1のキャビティにばね端子を部分的に固定する。ばね端子13の固定及び接触面21への接続により、バリスタ2の接触面21に接続される、ばね端子における端部近傍に応力が蓄積される。この応力は、接触面から離れる方向に向けられており、低温はんだが液体になった場合には、ばね端子13とバリスタ2の接触面21との迅速な分離を引き起こす。
【0032】
この実施形態では、熱保護装置100は、可動絶縁ブロック43を備える。作動状態の間、可動絶縁ブロック43は、ハウジング1のキャビティの内側において、内壁16とばね端子13との間に配置される。ばね42は、熱保護装置100が作動状態にある限り、電気接続部11の近傍のばね端子13に対して可動絶縁ブロック43を押し付ける。ばね42と可動絶縁ブロック43は共通の回転軸を有する。この回転軸は、ばね42を固定する手段41によって規定されており、当該手段41は、内壁16aに配置され、ハウジング1のキャビティ内に位置する。ねじりばねは2つのアームを有し、一方のアームは、可動絶縁ブロック43を押し、他方のアームは、ばね42にトルクを与えるために、ハウジング1の壁に押し付けられる。
【0033】
ハウジングのキャビティの内部には、指示器31のトリガ33が配置されている。熱保護装置100が作動状態にある間、指示器31のトリガ33は作動しない。対応する電気信号は、ハウジング1から突出する指示器31の信号接点32で送られる。
【0034】
図4は、障害状態にある熱保護装置100の可能な実施形態の概略図を示す。障害状態は、ばね端子13とバリスタの端子22との間での、一定時間に亘る臨界的に高い電圧によって起こされる連鎖反応の結果である。これらの端子間の電圧が特性値に達すると、バリスタ2は、電気絶縁状態から電気伝導状態に変化し、第1の結果として、大電流を可能にする。大電流は、ばね端子13とバリスタ2の接触面21との間の電気接続部11を加熱することができる。これは、使用される低温はんだを液化させるであろう。これにより、ばね端子13をバリスタ2の接触面21から離れる方向に曲げるばね端子の応力によって、又は、ばね端子13と内壁16との間で可動絶縁ブロック43を窓部12の上に押し込むばね42のトルクによって、電気接続部11が緩くなる。この連鎖反応の結果として、ばね端子13がバリスタ2から分離され、可動絶縁ブロックが内壁の窓部12を閉じ、指示器31のトリガ33を作動させる。
【0035】
図5は、バリスタ2の例示的な実施形態を示す。バリスタは、バリスタ2の一方の側に接触面21を備える。接触面21はバリスタ2の金属化層23に配置される。この金属化層23は、バリスタ2の一方の側面を部分的に又は完全に覆って延在することができる。バリスタ2は、接触面21とは反対側に、端子22を含む更なる接触面を備える。バリスタ2の端子22はバリスタ2の寸法を越えて突出している。可能な実施形態では、端子22は、ハウジング1の外部に位置するように設計される。バリスタは金属酸化物バリスタとして設計され得る。このような金属酸化物バリスタは、2つの接触面の間に電圧が印加された場合、特徴的な電気的挙動を有する。印加電圧が一定値に達すると、バリスタの抵抗は絶縁状態から導電状態に急激に変化する。
【符号の説明】
【0036】
1 ハウジング
11 電気接続部
12 窓部
13 ばね端子
14 ばね端子を固定する手段
15 プラスチックキャップ
16 内壁
100 熱保護装置
2 バリスタ
21 接触面
22 端子
23 バリスタの金属化層
3 指示器を固定する手段
31 指示器
32 指示器の信号接点
33 トリガ
41 ばねを固定する手段
42 ばね
43 可動絶縁ブロック
43a 端位置