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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置及びカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20220804BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220804BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220804BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B17/02
G03B30/00
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020556010
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2019042650
(87)【国際公開番号】W WO2020100601
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018213957
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大友 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 正義
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102375(JP,A)
【文献】特開2012-242647(JP,A)
【文献】特開2016-212133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G03B 17/02
G03B 30/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
レンズ体を保持可能なレンズ保持部材と、
前記レンズ保持部材に保持されたコイルと、
前記コイルに対向する磁石と、
前記支持部材と前記レンズ保持部材とを繋ぐように配置され、前記レンズ保持部材を光軸方向へ移動可能に支持する板ばねと、を備えるレンズ駆動装置であって、
前記コイルは、前記レンズ保持部材の外側に配置されるコイル本体部と、前記コイル本体部に繋がる延在部と、を有し、
前記板ばねは、前記レンズ保持部材に固定される可動側支持部と、前記支持部材に固定される固定側支持部と、前記可動側支持部と前記固定側支持部との間に設けられる弾性腕部と、を有し、
前記レンズ保持部材には、保持部が設けられ、
前記コイルの前記延在部の一部は、前記保持部に巻かれて巻き付け部を構成しており、
前記巻き付け部と前記可動側支持部とは半田付けされ、
前記保持部の外周面のうち、前記巻き付け部を構成する線材に覆われる被覆部分は、前記巻き付け部を構成する線材が接触している接触部分と、前記巻き付け部を構成する線材が接触していない状態で前記巻き付け部を構成する線材に覆われる非接触部分と、を有する、
ことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記非接触部分は、前記保持部の外周面に設けられた溝部によって形成されている、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記板ばねの前記可動側支持部は、半田が設けられる接続板部を有し、
前記溝部は、前記巻き付け部を挟んで前記接続板部と対向するように位置する前記保持部の側面に形成されている、
請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記接続板部を超えて突出するように形成された多角柱形状をなし、
前記溝部は、前記保持部における、前記接続板部の側を向く側面に形成されている、
請求項3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記溝部は、幅が深さよりも大きい、
請求項2乃至請求項4の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記保持部の突出方向に延在するとともに、前記被覆部分の全長にわたって、或いは、前記保持部の全長にわたって連続するように形成されている、
請求項2乃至請求項5の何れかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のレンズ駆動装置と、
前記レンズ体と、
前記レンズ体に対向する撮像素子と、を有する、
カメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばカメラ付き携帯機器等に搭載されるレンズ駆動装置、及び、レンズ駆動装置を含むカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ保持部材とレンズ保持部材の外周に配置されるコイルとを含むレンズ駆動装置が知られている(特許文献1参照。)。この装置では、レンズ保持部材は、導電性の板ばねによって光軸方向に移動可能に保持されている。そして、コイルと板ばねとは半田付けによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-99322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズ駆動装置では、上述のような半田付けによるコイルと板ばねとの間の接合の信頼性を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置は、支持部材と、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材と、前記レンズ保持部材に保持されたコイルと、前記コイルに対向する磁石と、前記支持部材と前記レンズ保持部材とを繋ぐように配置され、前記レンズ保持部材を光軸方向へ移動可能に支持する板ばねと、を備えるレンズ駆動装置であって、前記コイルは、前記レンズ保持部材の外側に配置されるコイル本体部と、前記コイル本体部に繋がる延在部と、を有し、前記板ばねは、前記レンズ保持部材に固定される可動側支持部と、前記支持部材に固定される固定側支持部と、前記可動側支持部と前記固定側支持部との間に設けられる弾性腕部と、を有し、前記レンズ保持部材には、保持部が設けられ、前記コイルの前記延在部の一部は、前記保持部に巻かれて巻き付け部を構成しており、前記巻き付け部と前記可動側支持部とは半田付けされ、前記保持部の外周面のうち、前記巻き付け部を構成する線材に覆われる被覆部分は、前記巻き付け部を構成する線材が接触している接触部分と、前記巻き付け部を構成する線材が接触していない状態で前記巻き付け部を構成する線材に覆われる非接触部分と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
上述の手段により、半田付けの際の熱を延在部(巻き付け部)に伝えることができるので、半田付けによるコイルと板ばねとの間の接合の信頼性が高められたレンズ駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
図2A】レンズ駆動装置の上方斜視図である。
図2B】レンズ駆動装置の正面図である。
図3A】レンズ駆動装置の上面図である。
図3B】レンズ駆動装置の底面図である。
図4A】スペーサ及びヨークが省略された状態にあるレンズ駆動装置の上方斜視図である。
図4B】スペーサ及びヨークが省略された状態にあるレンズ駆動装置の正面図である。
図5A】レンズ保持部材の上方斜視図である。
図5B】コイルが巻かれた状態にあるレンズ保持部材の上方斜視図である。
図6A】レンズ保持部材の下方斜視図である。
図6B】コイルが巻かれた状態にあるレンズ保持部材の下方斜視図である。
図7A】レンズ保持部材の上面図である。
図7B】レンズ保持部材の側面図である。
図8A】レンズ保持部材の下方斜視図である。
図8B】コイルが巻かれた状態にあるレンズ保持部材の下方斜視図である。
図9A】レンズ保持部材の一部の拡大図である。
図9B】レンズ保持部材の一部の拡大図である。
図10A】一部の部材が省略された状態にあるレンズ駆動装置の底面図である。
図10B】一部の部材が省略された状態にあるレンズ駆動装置の底面図である。
図11A】上側板ばねの上面図である。
図11B】下側板ばねの上面図である。
図12A】レンズ駆動装置における板ばねとコイルとの接続構造を説明する図である。
図12B】レンズ駆動装置における板ばねとコイルとの接続構造を説明する図である。
図13A】レンズ駆動装置のベース部材の上方斜視図である。
図13B】下側板ばねが取り付けられた状態にあるベース部材の上方斜視図である。
図14A】保持部の斜視図である。
図14B】保持部の斜視図である。
図15A】保持部の底面図である。
図15B】保持部の斜視図である。
図16A】保持部の底面図である。
図16B】保持部の底面図である。
図17A】保持部の斜視図である。
図17B】保持部の斜視図である。
図18】保持部の斜視図である。
図19A】保持部の斜視図である。
図19B】保持部の斜視図である。
図20A】保持部の底面図である。
図20B】保持部の斜視図である。
図21A】保持部の底面図である。
図21B】保持部の底面図である。
図22A】レンズ保持部材の斜視図である。
図22B】レンズ保持部材の斜視図である。
図22C】レンズ保持部材の斜視図である。
図22D】レンズ保持部材の斜視図である。
図23A図22Aのレンズ保持部材における保持部の斜視図である。
図23B図22Bのレンズ保持部材における保持部の斜視図である。
図23C図22Cのレンズ保持部材における保持部の斜視図である。
図23D図22Dのレンズ保持部材における保持部の斜視図である。
図24図22Dのレンズ保持部材における保持部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1は、レンズ駆動装置101の分解斜視図である。図2Aは、レンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2Bは、Y2側から見たレンズ駆動装置101の正面図である。図3Aは、レンズ駆動装置101の上面図であり、図3Bは、レンズ駆動装置101の底面図である。図4Aは、スペーサ1及びヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2Aに対応する。図4Bは、スペーサ1及びヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の正面図であり、図2Bに対応する。
【0009】
レンズ駆動装置101は、図1に示すように、レンズ体LSを保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2をレンズ体LSに関する光軸方向JD(Z軸方向)に沿って移動させる駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸方向JDに移動可能に支持する板ばね6と、板ばね6が固定される固定側部材RGと、外部との電気的な接続をもたらす端子7とを含む。レンズ体LSは、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸が光軸方向JDに沿うように構成されている。光軸方向JDは、レンズ体LSに関する光軸の方向、及び、その光軸に平行な方向を含む。
【0010】
駆動機構MKは、図1に示すように、八角環状に巻かれたコイル3と、矩形箱状の外側ケースを兼ねたヨーク4と、コイル3の四辺と対向して配置された4つの磁石5とを含む。固定側部材RGは、スペーサ1と、ヨーク4と、端子7が埋め込まれたベース部材18とを含む。板ばね6は、レンズ保持部材2とヨーク4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26とを含む。下側板ばね26は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを含む。
【0011】
レンズ駆動装置101は、略直方体形状を有し、撮像素子(図示せず。)を実装した基板(図示せず。)の上に取り付けられる。基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体LSと、レンズ体LSに対向するように基板に実装された撮像素子とはカメラモジュールを構成する。コイル3は、下側板ばね26、端子7、及び、基板に形成された導体パターンを介して電源に接続される。コイル3に電流が流れると、駆動機構MKは、光軸方向JDに沿った電磁力を発生させる。
【0012】
レンズ駆動装置101は、この電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)で、光軸方向JDに沿ってレンズ保持部材2を移動させることで自動焦点調節機能を実現する。具体的には、レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
【0013】
次に、レンズ保持部材2と駆動機構MKについて説明する。図5Aは、レンズ保持部材2の上方斜視図であり、図5Bは、図5Aのレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の上方斜視図である。図6Aは、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図6Bは、図6Aのレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。図7Aは、レンズ保持部材2の上面図であり、図7Bは、X1側から見たレンズ保持部材2の側面図である。図8Aは、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図8Bは、図8Aに示すレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。図9Aは、図8Bに示す範囲Sの拡大図であり、図9Bは、図6Bに示す範囲Pの拡大図である。図10Aは、端子7及びベース部材18の図示が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図であり、図10Bは、更に下側板ばね26A、下側板ばね26B、及びレンズ保持部材2の図示が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図である。
【0014】
本実施形態では、レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで作製されている。具体的には、レンズ保持部材2は、図5Aに示すように、光軸方向JDに沿ってレンズ保持部材2を貫通するように形成された孔を囲む筒状部12と、光軸方向JDにおける撮像素子側(Z2側)の部分に形成されたフランジ部(鍔状部)52とを含む。筒状部12は、光軸方向JDにおける被写体側(Z1側)の部分においては、円筒状に形成されている。
【0015】
筒状部12には、レンズ体LSが装着されるように、円筒状の内周面にねじ溝が設けられている。また、筒状部12には、被写体側の端面に2つの窪み12dhを有した台座部12dが光軸を挟んで2箇所に設けられている。台座部12dには、図4Aに示すように、上側板ばね16の内側部分16iが載置される。
【0016】
筒状部12の外周面には、図5Aに示すように、コイル3を内側から支持する外壁部としてのコイル支持部12jが設けられている。本実施形態では、コイル支持部12jは、八角環状のコイル3を支持できるよう、上面視で八角形状の外形を有する。コイル支持部12jの被写体側には、光軸方向JDにおいてフランジ部52と対向するように径方向外側に突出した庇部12h(図7A及び図7B参照。)が4箇所に形成されている。そして、図5Bに示すように、コイル3は、コイル支持部12jに支持され且つ光軸方向JDにおいて庇部12hとフランジ部52との間に挟まれるようにしてレンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。
【0017】
フランジ部52は、筒状部12の撮像素子側(Z2側)の部分における外周面から径方向外側に突出している。フランジ部52の被写体側にはコイル3が配置されている。フランジ部52には、図6Bに示すように、レンズ体LSの光軸を挟んで対向するように切欠部52kが2つ形成されている。そして、切欠部52kにはコイル3を構成する導電性の線材の一部である延在部33が通されている。具体的には、切欠部52kの一方にはコイル3の巻き始め側の線材の一部である延在部33Aが通され、切欠部52kの他方にはコイル3の巻き終わり側の線材の一部である延在部33Bが通されている。切欠部52kを形成するフランジ部52の縁部は、湾曲するように構成されている。縁部と接するコイル3の線材が断線するのを防止し或いは抑制するためである。
【0018】
フランジ部52は、図6Aに示すように、撮像素子側(Z2側)の面から下方(Z2方向)に突出した、略角形凸状の突出部としての2つの保持部72と、丸形凸状の6つの突設部2tとを含む。
【0019】
保持部72は、図6Bに示すように、コイル3(巻回部13)の巻き始め側に対応する保持部72Aと、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bを含む。コイル3の両端は、保持部72に巻き付けられて保持されている。
【0020】
突設部2tは、図6A及び図10Aに示すように、下側板ばね26Aに対応する3つの突設部2tと、下側板ばね26Bに対応する3つ突設部2tとを含む。突設部2tには、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの可動側支持部としての内側部分26iが装着されて固定されている。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iの固定は、内側部分26iに形成された貫通孔に挿通された突設部2tを熱かしめすることによって実現される。図6A及び図10Aでは、突設部2tは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。突設部2tを図示する他の図についても同様である。
【0021】
次に、レンズ駆動装置101の駆動機構MKについて説明する。駆動機構MKは、図10Bに示すように、コイル3と、ヨーク4と、ヨーク4の四辺のそれぞれと対向するように配置された4つの磁石5とを含む。そして、駆動機構MKは、コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸方向JDに沿って上下に移動させる。
【0022】
コイル3は、図6Bに示すように、レンズ保持部材2の外周に導電性(金属製)の線材(導線)を巻回して形成されている。コイル3は、八角環状に巻かれて形成されたコイル本体部としての巻回部13と、巻回部13から延びて保持部72に巻き付けられる延在部33とを含む。図6Bは、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁部材で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。すなわち、図6Bは、線材の詳細な巻回状態を簡略化して示している。巻回部13を図示する他の図についても同様である。
【0023】
延在部33は、コイル3の巻き始め側で巻回部13の内周側に位置する巻回部13の端部(巻き始め部分)に繋がっている延在部33Aと、コイル3の巻き終わり側で巻回部13の外周側に位置する巻回部13の端部(巻き終わり部分)に繋がっている延在部33Bとを含む。
【0024】
具体的には、延在部33Aは、図9Aに示すように、保持部72Aに巻き付けられる巻き付け部33mと、フランジ部52の底面(Z2側の面)と対向して延びる対向部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。延在部33Bは、図9Bに示すように、保持部72Bに巻き付けられる巻き付け部33mと、フランジ部52の底面(Z2側の面)と対向して延びる対向部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。
【0025】
本実施形態では、延在部33Aは、コイル3を構成する線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられる前に、レンズ保持部材2の保持部72Aに巻き付けられる。図9Aに示す例では、コイル3を構成する線材の一部が保持部72Aに3ターン巻き付けられている。これにより、巻き付け部33mが保持部72Aに形成され、延在部33Aの一部が保持部72Aに保持される。但し、延在部33Aは、コイル3を構成する線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられた後で、保持部72Aに巻き付けられてもよい。
【0026】
コイル3を構成する線材の一部が保持部72Aに巻き付けられた後で、レンズ保持部材2の外周に線材が巻き付けられる。その際には、図9Aに示すように、巻き付け部33mから延びる線材は、フランジ部52の底面に沿って延び、且つ、フランジ部52の下側から切欠部52kを通ってフランジ部52の上側に延びる。このとき、フランジ部52の底面に沿う部分が延在部33Aの対向部33cを構成し、切欠部52kを通る部分が延在部33Aの挿通部33kを構成する。
【0027】
延在部33Aの挿通部33kは、フランジ部52の下側から上側に延びる際、図9Aに示すように、フランジ部52の縁部に接するように構成されている。そのため、落下等により強い衝撃がレンズ駆動装置101に加えられた際には、コイル3の延在部33Aはフランジ部52の縁部に押し付けられる。本実施形態では、フランジ部52の縁部は湾曲するように構成されている。そのため、延在部33Aは、フランジ部52の縁部で切断され難い。延在部33Bと接するフランジ部52の縁部も湾曲するように構成されていてもよい。
【0028】
レンズ保持部材2の外周に巻回されたコイル3の巻回部13は、図5Bに示すように、レンズ保持部材2の周囲を囲む位置に配置されている。また、巻回部13は、コイル支持部12j(図5A参照。)により内側から支持された状態で、庇部12hとフランジ部52に挟まれるようにして、フランジ部52の被写体側に固定されている。また、巻回部13の内周面がコイル支持部12jにより等方的にバランス良く支持されるため、巻回部13は、コイル3の中心軸とレンズ保持部材2の中心軸とが一致した状態で、レンズ保持部材2に保持される。したがって、レンズ保持部材2に保持されたレンズ体LSの光軸は、レンズ保持部材2及びコイル3のそれぞれの中心軸と容易に一致するように構成されている。
【0029】
レンズ保持部材2の外周への線材の巻き付けが終了すると、巻回部13の巻き終わり側の端部に繋がる延在部33Bは、図9Bに示すように、フランジ部52の被写体側から切欠部52kを介してフランジ部52の撮像素子側に引き出される。具体的には、挿通部33kが切欠部52kを通過し、対向部33cがフランジ部52の底面に沿って延び、巻き付け部33mがレンズ保持部材2の保持部72Bに巻き付けられる。図9Bに示す例では、延在部33Bは、保持部72Bに3ターン巻き付けられている。
【0030】
次に、駆動機構MKを構成するヨーク4について説明する。本実施形態では、ヨーク4は、鉄等の軟磁性体材料で形成された板材に抜き加工及び絞り加工等を施して作製されている。具体的には、図1に示すように、収納部4sを定める箱状の外形を有する。そして、ヨーク4は、矩形筒状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた平板状且つ矩形環状の上面部4Bとを有する。このように構成されたヨーク4は、図10Bに示すように、コイル3及び磁石5を収納部4sに収容し、且つ、図2A及び図2Bに示すように、ベース部材18に結合されてベース部材18とともに筐体を構成する。但し、ヨーク4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性体で形成されたカバーで置き換えられてもよい。
【0031】
次に、駆動機構MKを構成する磁石5について説明する。磁石5は、図1に示すように略直方体形状を有する。そして、4つの磁石5は、図10Bに示すように、コイル3の外側に位置するとともに、ヨーク4を構成する矩形筒状の外壁部4Aの四面のそれぞれに沿うように配置されている。そして、磁石5は、接着剤により、ヨーク4に固定されている。また、磁石5は、例えば、内側がN極、外側がS極となるように配置されている。磁石5は、内側がS極、外側がN極となるように配置されてもよい。
【0032】
次に、板ばね6及び固定側部材RGについて説明する。図11A及び図11Bは、板ばね6を説明する図である。具体的には、図11Aは、上側板ばね16の上面図であり、図11Bは、下側板ばね26の上面図である。図12A及び図12Bは、下側板ばね26Aとコイル3との接続構造の一例を説明する図である。具体的には、図12Aは、図10Aに示す範囲Tの拡大図であり、図12Bは、図10Aに示す範囲TをX2側から見たときの下側板ばね26A、コイル3、及びレンズ保持部材2の拡大図である。なお、図12A及び図12Bでは、説明を分かり易くするため、半田SDがクロスハッチングで示されている。図13A及び図13Bは、固定側部材RGを構成しているベース部材18を説明する図である。具体的には、図13Aは、ベース部材18の上方斜視図であり、図13Bは、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bが組み付けられた状態のベース部材18の上方斜視図である。
【0033】
板ばね6は、銅合金を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6は、図1に示すように、レンズ保持部材2とヨーク4(厳密にはスペーサ1)との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを含む。レンズ保持部材2と板ばね6(上側板ばね16、下側板ばね26A、及び下側板ばね26B)のそれぞれとが係合された状態で、板ばね6は、レンズ保持部材2が光軸方向JD(Z軸方向)へ移動可能となるように、レンズ保持部材2を支持している。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、コイル3に電流を供給するための給電部材としても機能する。そのため、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的且つ機械的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的且つ機械的に接続されている。上側板ばね16とヨーク4との間にはスペーサ1が配置されている。スペーサ1は、レンズ保持部材2がZ1方向に移動したときにレンズ保持部材2とヨーク4とが衝突するのを防止できるように配置されている。但し、スペーサ1は省略されてもよい。
【0034】
上側板ばね16は、図11Aに示すように、略矩形状を有し、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての2つの内側部分16iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する4つの弾性腕部16gとを含む。具体的には、2つの内側部分16iは、中心を挟んで対向するように設けられている。外側部分16eは、4つの角部分16bと、隣り合う2つの角部分16bを繋ぐ4つの桟部16rとを有している。4つの桟部16rのそれぞれは、スペーサ1と磁石5とで挟持されて接着剤で固定される。スペーサ1、ヨーク4、及び磁石5は、固定側部材RGとして機能する。
【0035】
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれる際には、図4Aに示すように、内側部分16iは、レンズ保持部材2の台座部12d(図5A参照。)に載置される。そして、内側部分16iと台座部12dとが接着剤AD(図4A参照。)で固定されることにより、内側部分16iはレンズ保持部材2に固定される。外側部分16eは、図4Bに示すように、磁石5の上面(Z1側の面)に接し、スペーサ1(図示せず。)と磁石5との間に挟持されて固定される。
【0036】
上側板ばね16は、図11Aに示すように、略左右対称に形成されている。そして、上側板ばね16は、内側部分16iでレンズ保持部材2に固定され、外側部分16eでスペーサ1を介してヨーク4に固定されている。そのため、上側板ばね16は、レンズ保持部材2をバランス良く支持できる。
【0037】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11Bに示すように、それぞれの内側形状が略半円形状となるように構成されている。そして、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれは、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する弾性腕部26gとを含む。
【0038】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、図11Bに示すように、レンズ保持部材2と係合される3つの内側接合部分26cと、3つの内側接合部分26cの間を繋ぐ2つの第1連結部26pと、コイル3の延在部33と対向する接続板部26hとを含む。
【0039】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bがレンズ駆動装置101に組み込まれる際には、図6Aに示すレンズ保持部材2の6つの突設部2tのそれぞれは、図11Bに示す下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側接合部分26cに設けられた円形の貫通孔に挿通されて嵌合される。これにより、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、レンズ保持部材2に位置決めされ且つ固定される。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、例えば、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことで、レンズ保持部材2に固定される。
【0040】
以下では、主に下側板ばね26Aとレンズ保持部材2及びコイル3との関係を説明する。但し、下側板ばね26Aに関する説明は、下側板ばね26Bにも同様に適用される。
【0041】
下側板ばね26Aの内側部分26iの接続板部26hは、図12A及び図12Bに示すように、レンズ駆動装置101が組み立てられた際には、レンズ保持部材2の底面(Z2側の面)と対向する。そして、コイル3の延在部33Aの対向部33cは、図12Bに示すように、下側板ばね26Aの内側部分26iの被写体側(Z1側)の面とレンズ保持部材2のフランジ部52の撮像素子側(Z2側)の面との間を通って延びる。
【0042】
下側板ばね26Aがレンズ保持部材2に組み付けられた際には、図12Bに示すように、保持部72Aは、その先端が下側板ばね26Aの内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように、内側部分26iよりも下方(Z2方向)に突出している。また、巻き付け部33mの一部も内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように保持部72Aに巻き付けられている。
【0043】
下側板ばね26Aとコイル3の延在部33Aとは、半田SDで電気的且つ機械的に接続されている。具体的には、レンズ保持部材2の突設部2tが熱かしめされた後、接続板部26hの撮像素子側(Z2側)の面に、延在部33Aの巻き付け部33mと接触するように半田ペーストが塗布される。半田ペーストは、クリーム半田とも称される。その後、レーザビームで半田ペーストが加熱溶融され、下側板ばね26Aと延在部33Aとが半田SDで接合される。半田ペーストの塗布から半田SDによる接合までは、保持部72が鉛直上方に突出するようにレンズ保持部材2が逆さまにされた状態で行われる。そのため、レーザビームによって溶融された半田ペーストは、流動性を有する場合であっても、所望の位置(接続板部26hの上)に適切に保持され得る。
【0044】
下側板ばね26Aの外側部分26eは、図11Bに示すように、ベース部材18と係合される2つの外側接合部分26dと、2つの外側接合部分26dを繋ぐ第2連結部26qとを含む。下側板ばね26Aの外側接合部分26dに設けられた貫通孔は、ベース部材18の上面に設けられた突設部18t(図13A参照。)と嵌合する。これにより、下側板ばね26Aの外側部分26eは、ベース部材18に位置決めされ且つ固定される。
【0045】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11Bに示すように、互いに略左右対称となるように形成されている。そして、下側板ばね26Aは、3つの内側接合部分26cでレンズ保持部材2に接続され、2つの外側接合部分26dでベース部材18に接続されている。下側板ばね26Bについても同様である。この構成により、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能な状態でバランス良く支持することができる。
【0046】
次に、固定側部材RGについて説明する。固定側部材RGは、上側板ばね16を固定するスペーサ1、ヨーク4、及び磁石5と、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれを固定するベース部材18とを含む。
【0047】
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって作製される。本実施形態では、ベース部材18は、図13Aに示すように、矩形板状の外形を有する部材であり、中央に円形の開口18kが形成されている。また、ベース部材18の被写体側(Z1側)の面(上面)には、上方に向けて突出する6つの突設部18tが設けられている。突設部18tは、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれにおける外側接合部分26dに設けられた貫通孔に挿通され且つ嵌合される。この際、突設部18tは熱かしめが施されて外側接合部分26dに固定される。図13A及び図13Bでは、突設部18tは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。突設部18tは冷間かしめが施されて外側接合部分26dに固定されてもよい。
【0048】
ベース部材18には、図13Aに示すように、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された端子7がインサート成形されて埋め込まれている。端子7は、端子7A及び端子7Bを含み、端子7A及び端子7Bのそれぞれは、一部がベース部材18の上面(Z1側の面)に露出している。そして、互いに電気的に絶縁されている端子7A及び端子7Bのそれぞれは、撮像素子を実装した基板(図示せず。)の導体パターンに電気的且つ機械的に接続されている。また、端子7Aは、その露出部分において下側板ばね26Aに電気的且つ機械的に接続され、端子7Bは、その露出部分において下側板ばね26Bに電気的且つ機械的に接続されている。更に、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的且つ機械的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的且つ機械的に接続されている。そのため、コイル3は、端子7と下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを介して電源から電流の供給を受けることができる。
【0049】
ベース部材18には、端子7と同様に、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された接続部材57もインサート成形されて埋め込まれている。接続部材57は、図2A及び図2Bに示すように、ヨーク4の四隅の下端部に対応する位置で、ベース部材18から一部を露出させている。ベース部材18は、ヨーク4の四隅の下端部の内面とベース部材18における4つの角部の外周側面とが組み合わさって位置決めされた後で、4つの接続部材57とヨーク4の四隅の下端部とが溶接されてヨーク4に固定される。ヨーク4とベース部材18とは少なくとも部分的に接着剤で固定されてもよい。
【0050】
次に、図14A図14B図15A図15B図16A図16B図17A、及び図17Bを参照し、保持部72の詳細について説明する。図14A及び図14Bは、巻回部13の巻き終わり側の端部に繋がる延在部33B(巻き付け部33m)が巻き付けられる保持部72Bの斜視図である。図14A及び図14Bは、互いに異なる方向から保持部72Bを見たときの保持部72Bの状態を示している。図15A及び図15Bは、延在部33Bが巻き付けられた状態にある保持部72Bを示す。図15Aは、延在部33Bが巻き付けられた保持部72Bの底面図である。図15Bは、延在部33Bが巻き付けられた保持部72Bの斜視図であり、図14Aに対応する。図16A及び図16Bは、保持部72Bと下側板ばね26Bとの関係を示す。図16Aは、レンズ保持部材2に下側板ばね26Bが取り付けられたときの保持部72Bの底面図である。図16Bは、下側板ばね26Bに半田ペーストSDPが塗布されたときの保持部72Bの底面図であり、図10Aに示す範囲Uの拡大図に相当する。図17A及び図17Bは、保持部72Bと下側板ばね26Bとの関係を示す。図17A及び図17Bは、図15Bに対応している。図17Aは、レンズ保持部材2に下側板ばね26Bが取り付けられたときの保持部72Bの斜視図である。図17Bは、下側板ばね26Bに半田ペーストSDPが塗布されたときの保持部72Bの斜視図である。以下では、主に保持部72Bに関連する構成を説明する。但し、以下の説明は、巻回部13の巻き始め側の端部に繋がる延在部33Aが巻き付けられる保持部72Aに関連する構成にも同様に適用される。
【0051】
保持部72Bは、レンズ保持部材2の光軸方向JDにおける一端部から、他端部がある側とは反対の側に向かって突出している。すなわち、保持部72Bは、レンズ保持部材2の撮像素子側(Z2側)の端面から光軸方向JDに沿ってZ2方向に突出するように構成されている。具体的には、保持部72Bは、図14A及び図14Bに示すように、4つの側面(第1側面S1~第4側面S4)と端面STとを有する略四角柱形状をなしている。
【0052】
第1側面S1~第3側面S3は平坦面で形成されている。第4側面S4及び端面STには、溝部GRが形成されている。溝部GRは、保持部72Bの突出方向である光軸方向JDに沿って延在するとともに、Z軸方向における保持部72Bの全長HT(図14A参照。)にわたって連続するように形成されている。そのため、第4側面S4は、2つの平坦面S4a及びS4bに分割されている。また、端面STは、凹状の輪郭を有する平坦面で形成されている。但し、第1側面S1、第2側面S2、第3側面S3、平坦面S4a、平坦面S4b、及び端面STの少なくとも1つは、凸曲面等の他の面形状であってもよい。
【0053】
巻き付け部33mは、図15A及び図15Bに示すように、4つの角部CNと4つの辺部EGとを形成するように保持部72Bに3ターン巻き付けられている。角部CNは、第1角部CN1~第4角部CN4を含む。辺部EGは、第1辺部EG1~第4辺部EG4を含む。第1辺部EG1は、第1側面S1と接触するように配置され、第2辺部EG2は、第2側面S2と接触するように配置され、第3辺部EG3は、第3側面S3と接触するように配置されている。第4辺部EG4は、第4側面S4を構成する平坦面S4a及びS4bと接触するように配置されている。
【0054】
保持部72Bの外周面を構成する第1側面S1~第4側面S4のうち、延在部33Bの巻き付け部33mによって覆われる被覆部分ZNは、巻き付け部33mが接触している接触部分ZN1と、巻き付け部33mが接触していない非接触部分ZN2とを有する。図14A及び図14Bでは、接触部分ZN1にはメッシュパターンが付され、非接触部分ZN2には細かいドットパターンが付されている。図14Aから明らかなように、非接触部分ZN2は、保持部72Bの外周面の一部である第4側面S4に設けられた溝部GRによって形成されている。
【0055】
溝部GRは、図15Aに示すように、Y軸方向に沿った長さである深さD1と、X軸方向に沿った長さである幅W1とを有する。幅W1は、望ましくは、深さD1よりも大きくなるように形成されている。非接触部分ZN2に対向する巻き付け部33mの面積、すなわち、巻き付け部33mのうちの保持部72Bと接触しない部分の面積ができるだけ大きくなるようにするためである。すなわち、接触部分ZN1の面積である、保持部72Bと巻き付け部33mとの接触面積ができるだけ小さくなるようにするためである。具体的には、巻き付け部33mを安定的に保持できる強度を保持部72Bが確保できる限りにおいてその接触面積が最も小さくなるようにするためである。なお、接触部分ZN1の面積を小さくすることによる効果は後述される。
【0056】
下側板ばね26Bは、延在部33B(巻き付け部33m)が保持部72Bに巻き付けられた後で、レンズ保持部材2に取り付けられる。下側板ばね26Bは、図16Aに示すように、半田ペーストSDPが塗布される接続板部26hを含む。接続板部26hは、保持部72BのY2側で、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mと隣り合うように配置されている。接続板部26hは、望ましくは、巻き付け部33mと接触しないように配置されるが、接続板部26hが巻き付け部33mと重ならない限りにおいて、すなわち、下側板ばね26Bがレンズ保持部材2に取り付けられたときに内側部分26iが浮き上がらない限りにおいて、巻き付け部33mに接触していてもよい。
【0057】
接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPは、半田粉末(半田SD)とフラックスの混合物であり、レーザビームが照射されるとフラックスが蒸発し且つ半田SDが溶融する。図16Bは、レーザビームが照射される前の半田ペーストSDPを示す。溶融した半田SDは、図12Aに示すように、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33mとを接合する。
【0058】
本実施形態では、下側板ばね26Bの接続板部26hは、図16Aに示すように、保持部72Bの第4側面S4に対向するように配置されている。すなわち、接続板部26hは、保持部72Bに巻き付けられた巻き付け部33mの第4辺部EG4と対向するように配置されている。また、接続板部26hは、図17Aに示すように、巻き付け部33mの少なくとも一部が接続板部26hよりも下側(Z2側)に位置するように配置される。
【0059】
半田ペーストSDPは、複数の第4辺部EG4の少なくとも1つに付着するように接続板部26hに塗布される。本実施形態では、半田ペーストSDPは、図16B及び図17Bに示すように、3つの第4辺部EG4の全てに付着するように塗布されている。
【0060】
上述のような構成を有するレンズ駆動装置101では、レンズ保持部材2に下側板ばね26Bが組み付けられた後で、巻き付け部33mと隣り合うように配置された下側板ばね26Bの接続板部26hに半田ペーストSDPが塗布される。
【0061】
その後、半田ペーストSDPがレーザビームによって加熱されて接続板部26hと巻き付け部33mとが半田付けされる。図16Bの破線円SPは、半田ペーストSDPに照射されるレーザビームのスポットを表している。半田ペーストSDPに照射されるレーザビームを発生させるレーザ発生装置は、例えば、PWM方式によって制御される。なお、レーザビームは、接続板部26hに向けて照射されてもよい。
【0062】
具体的には、レーザビームによって半田ペーストSDPが加熱されると、接続板部26h及び巻き付け部33mは、半田ペーストSDPを介した熱伝導によって加熱される。このとき、巻き付け部33mを構成する第4辺部EG4は、図17Bに示すように、第4側面S4を構成する2つの平坦面S4a及びS4bに接触しているが、溝部GRが形成された部分には接触していない。そのため、溝部GRを有する保持部72Bは、溝部GRを有しない構成に比べ、巻き付け部33mに伝わった熱が保持部72Bを介して散逸してしまうのを抑制できる。すなわち、溝部GRを有する保持部72Bは、巻き付け部33mを加熱する際の加熱効率の低下を抑制できる。その結果、巻き付け部33mは、半田付けに適した温度まで速やかに加熱される。また、巻き付け部33mは、適切な時間にわたって半田付けに適した温度で維持される。そして、接続板部26hと巻き付け部33mと半田SDとは、保持部72Bが溝部GRを有しない場合に比べ、少ない熱で接合され得る。更に、接続板部26hと巻き付け部33mとの温度差に起因するフラックスの突沸による半田SDの散逸、及び、接続板部26hでの半田SDの不要な拡散が効果的に抑制される。また、半田SDの巻き付け部33mへの付着性が高められ、ひいては、半田付けによる巻き付け部33mと下側板ばね26Bとの間の接合の信頼性が高められる。
【0063】
溝部GRは、保持部72Bの全長HT(図14A参照。)ではなく、延在部33Bの巻き付け部33mによって覆われる被覆部分ZNの全長HTa(図14A参照。)にわたって連続するように形成されていてもよい。具体的には、溝部GRは、図18に示すように、被覆部分ZNの全長HTaに相当する高さの凹部であってもよい。
【0064】
次に、図19A図19B図20A、及び図20Bを参照し、保持部72の別の構成例について説明する。図19A及び図19Bは、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bの斜視図であり、図19Aは、図14Aに対応し、図19Bは、図14Bに対応する。図19A及び図19Bは、互いに異なる方向から保持部72Bを見たときの保持部72Bの状態を示している。図20A及び図20Bは、コイル3の延在部33Bが巻き付けられた状態にある保持部72Bを示し、図20Aは、図15Aに対応し、図20Bは、図15Bに対応する。図20Aは、延在部33Bが巻き付けられた保持部72Bの底面図である。図20Bは、延在部33Bが巻き付けられた保持部72Bの斜視図であり、図19Aにも対応している。
【0065】
図19A及び図19Bにおける保持部72Bは、第1側面S1~第4側面S4のそれぞれに溝部GRが形成されている点で、第4側面S4のみに溝部GRが形成されている図14A及び図14Bにおける保持部72Bと異なる。
【0066】
具体的には、第1側面S1には第1溝部GR1が形成され、第2側面S2には第2溝部GR2が形成され、第3側面S3には第3溝部GR3が形成され、第4側面S4には第4溝部GR4が形成されている。
【0067】
そのため、第1側面S1は、2つの平坦面S1a及びS1bに分割され、第2側面S2は、2つの平坦面S2a及びS2bに分割され、第3側面S3は、2つの平坦面S3a及びS3bに分割され、第4側面S4は、2つの平坦面S4a及びS4bに分割されている。また、端面STは、略十字状又は略X字状の輪郭を有する平坦面で形成されている。
【0068】
そして、巻き付け部33mの第1辺部EG1は、図20Aに示すように、第1側面S1を構成する平坦面S1a及びS1bと接触するように配置され、第2辺部EG2は、第2側面S2を構成する平坦面S2a及びS2bと接触するように配置され、第3辺部EG3は、第3側面S3を構成する平坦面S3a及びS3bと接触するように配置され、第4辺部EG4は、第4側面S4を構成する平坦面S4a及びS4bと接触するように配置されている。
【0069】
したがって、延在部33Bの巻き付け部33mによって覆われる被覆部分ZNは、図19A及び図19Bに示すように、8つの平坦面S1a、S1b、S2a、S2b、S3a、S3b、S4a、及びS4bのそれぞれにおける接触部分ZN1と、第1溝部GR1~第4溝部GR4のそれぞれによって形成される非接触部分ZN2とを有する。
【0070】
この構成により、図19A及び図19Bにおける保持部72Bは、図14A及び図14Bにおける保持部72Bに比べ、巻き付け部33mに伝わった熱が保持部72Bを介して散逸してしまうのを更に抑制できる。そのため、巻き付け部33mは、半田付けに適した温度まで速やかに加熱され、且つ、適切な時間にわたって半田付けに適した温度で維持される。
【0071】
なお、図19A及び図19Bにおける保持部72Bでは、4つの側面の全てに溝部GRが形成されているが、4つの側面のうちの1つ、2つ又は3つの側面に溝部GRが形成されていてもよい。
【0072】
次に、図21A及び図21Bを参照し、保持部72の更に別の構成例について説明する。図21A及び図21Bは、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bの底面図である。図21A及び図21Bでは、保持部72Bの外周面における非接触部分ZN2の位置を太実線で示している。
【0073】
図21Aの保持部72Bは、第3側面S3と第4側面S4との間に第1溝部GR1が形成され、且つ、第4側面S4と第1側面S1との間に第2溝部GR2が形成されている点で、図14A及び図14Bの保持部72Bと異なる。図21Bの保持部72Bは、第1側面S1と第2側面S2との間に第1溝部GR1が形成され、第2側面S2と第3側面S3との間に第2溝部GR2が形成され、第3側面S3と第4側面S4との間に第3溝部GR3が形成され、且つ、第4側面S4と第1側面S1との間に第4溝部GR4が形成されている点で、図14A及び図14Bの保持部72Bと異なる。なお、図14A及び図14Bの保持部72Bは、第4側面S4を構成する平坦面S4aと平坦面S4bとの間に形成されている1つの溝部GRのみを有する。
【0074】
図21A及び図21Bのそれぞれにおける保持部72Bは、1つの側面において接触部分ZN1を挟むように非接触部分ZN2が配置されている点で、図14A及び図14Bの保持部72Bと異なる。図14A及び図14Bの保持部72Bは、1つの側面(第4側面S4)において非接触部分ZN2を挟むように2つの接触部分ZN1が配置されている。
【0075】
この構成により、図21A及び図21Bのそれぞれにおける保持部72Bは、図14A及び図14Bにおける保持部72Bに比べ、巻き付け部33mに伝わった熱が保持部72Bを介して散逸してしまうのを更に抑制できる。そのため、巻き付け部33mは、半田付けに適した温度まで速やかに加熱され、且つ、適切な時間にわたって半田付けに適した温度で維持される。
【0076】
なお、接触部分ZN1及び非接触部分ZN2のそれぞれは、1つの側面に複数形成されていてもよい。例えば、接触部分ZN1と非接触部分ZN2は、1つの側面において交互に並ぶように2つずつ配置されていてもよい。
【0077】
次に、図22A図22D図23A図23D、及び図24を参照し、保持部72の更に別の構成例について説明する。図22A図22Dは、下側板ばね26と巻き付け部33mとを半田で接合する手順を説明する図である。図22Aは、レンズ保持部材2の斜視図である。図22Bは、コイル3が巻き付けられたレンズ保持部材2の斜視図である。図22Cは、更に下側板ばね26A及び下側板ばね26Bが取り付けられたレンズ保持部材2の斜視図である。図22Dは、更に半田ペーストSDPが接続板部26hに塗布されたときのレンズ保持部材2の斜視図である。図23A図23Dは、コイル3の巻き始め側に対応する保持部72Aの拡大図である。具体的には、図23A図22Aの範囲V1の拡大図であり、図23B図22Bの範囲V2の拡大図であり、図23C図22Cの範囲V3の拡大図であり、図23D図22Dの範囲V4の拡大図である。図24は、接続板部26hに半田ペーストSDPが塗布されたときの保持部72AをY2側から見たときの保持部72Aの側面図である。以下では、主に保持部72Aに関連する構成を説明する。但し、以下の説明は、保持部72Bに関連する構成にも同様に適用される。
【0078】
図22A図22Dの保持部72Aは、光軸方向JDに垂直な方向に突出している点で、光軸方向JDに突出している図9Aの保持部72Aと異なる。
【0079】
図22A図22Dの保持部72Aは、図23Aに示すように、レンズ保持部材2の光軸方向JDにおける一端部であるフランジ部52の側端部から光軸方向JDに垂直な方向に沿ってX1方向に突出するように構成されている。具体的には、保持部72Aは、中央部がくびれた形状をなし、4つの側面(第1側面S1~第4側面S4)と端面STとを有している。なお、図23Aでは、第1側面S1及び第2側面S2は不可視である。
【0080】
第1側面S1~第3側面S3は平坦面で形成されている。第4側面S4及び端面STには溝部GRが形成されている。溝部GRは、保持部72Aの突出方向である光軸方向JDに垂直な方向に沿って延在するとともに、保持部72Aの全長HTbにわたって連続するように形成されている。そのため、第4側面S4は、2つの平坦面S4a及びS4bに分割されている。また、端面STは、凹状の輪郭を有する平坦面で形成されている。
【0081】
巻き付け部33mは、図23Bに示すように、4つの角部CNと4つの辺部EGとを形成するように保持部72Aに4ターン巻き付けられている。角部CNは、第1角部CN1~第4角部CN4を含む。辺部EGは、第1辺部EG1~第4辺部EG4を含む。第1辺部EG1は、第1側面S1と接触するように配置され、第2辺部EG2は、第2側面S2と接触するように配置され、第3辺部EG3は、第3側面S3と接触するように配置されている。第4辺部EG4は、第4側面S4を構成する平坦面S4a及びS4bと接触するように配置されている。なお、図23Bでは、第2角部CN2、第1辺部EG1、及び第2辺部EG2は不可視である。また、図23Bでは、明瞭化のため、4つの第4辺部EG4が1つの引き出し線によって特定されている。他の辺部EGと角部CNについても同様である。
【0082】
保持部72Aの外周面を構成する第1側面S1~第4側面S4のうち、延在部33Aの巻き付け部33mによって覆われる被覆部分ZNは、巻き付け部33mが接触している接触部分ZN1と、巻き付け部33mが接触していない非接触部分ZN2とを有する。図23Aでは、接触部分ZN1にはメッシュパターンが付され、非接触部分ZN2には細かいドットパターンが付されている。図23Aから明らかなように、非接触部分ZN2は、保持部72Aの外周面の一部である第4側面S4に設けられた溝部GRによって形成されている。
【0083】
溝部GRは、図23Aに示すように、Z軸方向に沿った長さである深さD1と、Y軸方向に沿った長さである幅W1とを有する。幅W1は、望ましくは、深さD1よりも大きくなるように形成されている。非接触部分ZN2に対向する巻き付け部33mの面積、すなわち、巻き付け部33mのうちの保持部72Aと接触しない部分の面積ができるだけ大きくなるようにするためである。
【0084】
下側板ばね26Aは、図23Cに示すように、延在部33Aが保持部72Aに巻き付けられた後で、レンズ保持部材2に取り付けられる。下側板ばね26Aは、半田ペーストSDPが塗布される接続板部26hを含む。接続板部26hは、保持部72AのZ2側で、保持部72Aに巻き付けられた延在部33Aの巻き付け部33mと隣り合うように配置されている。接続板部26hは、望ましくは、巻き付け部33mと接触しないように配置されるが、内側部分26iがZ2側に浮き上がらない限りにおいて、巻き付け部33mに接触していてもよい。
【0085】
本実施形態では、接続板部26hは、図24に示すように、保持部72Aの第4側面S4に対する接続板部26hの高さH1が第4辺部EG4の高さH2よりも大きくなるように構成されている。また、接続板部26hは、コイル3の巻回部13に対する接続板部26hの突出長さP1が保持部72Aの突出長さP2よりも小さく、且つ、巻き付け部33mの突出長さP3よりも小さくなるように構成されている。
【0086】
接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPは、半田粉末(半田SD)とフラックスの混合物であり、レーザビームが照射されるとフラックスが蒸発し且つ半田SDが溶融する。図23Dは、レーザビームが照射される前の半田ペーストSDPを示す。溶融した半田SDは、図24に示すように、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33mとを接合する。
【0087】
本実施形態では、下側板ばね26Aの接続板部26hは、図23Cに示すように、Z軸方向において保持部72Aの第4側面S4に対向するように配置されている。すなわち、接続板部26hは、保持部72Aに巻き付けられた巻き付け部33mの第4辺部EG4の一部と対向するように配置されている。また、接続板部26hには、図23Cに示すように、第4辺部EG4の別の一部と対向する位置に、半円形状の切欠部26hkが設けられている。切欠部26hkは、接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPが第4辺部EG4に付着し易くなるように形成されている。
【0088】
半田ペーストSDPは、図23Dに示すように、複数の第4辺部EG4の少なくとも1つに付着するように接続板部26hに塗布される。本実施形態では、半田ペーストSDPは、図23Dに示すように、4つの第4辺部EG4の全てに付着するように、接続板部26hの両側(Z1側及びZ2側)に塗布されている。
【0089】
上述のような構成を有するレンズ駆動装置101では、レンズ保持部材2に下側板ばね26Aが組み付けられた後で、巻き付け部33mと隣り合うように配置された下側板ばね26Aの接続板部26hに半田ペーストSDPが塗布される。
【0090】
その後、半田ペーストSDPがレーザビームによって加熱されて接続板部26hと巻き付け部33mとが半田付けされる。図23Dの破線円SPは、半田ペーストSDPに照射されるレーザビームのスポットを表している。半田ペーストSDPに照射されるレーザビームを発生させるレーザ発生装置は、例えば、PWM方式によって制御される。
【0091】
具体的には、レーザビームによって半田ペーストSDPが加熱されると、接続板部26h及び巻き付け部33mは、半田ペーストSDPを介した熱伝導によって加熱される。このとき、巻き付け部33mを構成する第4辺部EG4は、図23Bに示すように第4側面S4を構成する2つの平坦面S4a及びS4bに接触しているが、溝部GRが形成された部分には接触していない。そのため、溝部GRを有する保持部72Aは、溝部GRを有しない構成に比べ、巻き付け部33mに伝わった熱が保持部72Aを介して散逸してしまうのを抑制できる。そして、巻き付け部33mは、半田付けに適した温度まで速やかに加熱され、且つ、適切な時間にわたって半田付けに適した温度で維持される。その結果、接続板部26hと巻き付け部33mとの温度差に起因するフラックスの突沸による半田SDの散逸、及び、接続板部26hでの半田SDの不要な拡散が効果的に抑制される。また、半田SDの巻き付け部33mへの付着性が高められ、ひいては、半田付けによる巻き付け部33mと下側板ばね26Aとの間の接合の信頼性が高められる。
【0092】
溝部GRは、保持部72Aの全長HTb(図23A参照。)ではなく、延在部33Aの巻き付け部33mによって覆われる被覆部分ZNの全長にわたって連続するように形成されていてもよい。具体的には、溝部GRは、X軸方向における被覆部分ZNの全長に相当する長さの凹部であってもよい。
【0093】
上述の通り、本実施形態に係るレンズ駆動装置101は、支持部材としてのベース部材18と、レンズ体LSを保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2に保持されたコイル3と、コイル3に対向する磁石5と、ベース部材18とレンズ保持部材2とを繋ぐように配置され、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能に支持する板ばね6と、を備えている。コイル3は、レンズ保持部材2の外側に配置されるコイル本体部としての巻回部13と、巻回部13に繋がる延在部33と、を有する。板ばね6としての下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、ベース部材18に固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に設けられる弾性腕部26gと、を有する。レンズ保持部材2には、保持部72Bが設けられ、コイル3の延在部33としての延在部33Bの一部は、保持部72Bに巻かれて巻き付け部33mを構成している。そして、巻き付け部33mと下側板ばね26Bの内側部分26iとは半田付けによって接合される。保持部72Bの外周面のうち、巻き付け部33mに覆われる被覆部分としての被覆部分ZNは、例えば図14A及び図14Bに示すように、巻き付け部33mが接触している接触部分ZN1と、巻き付け部33mが接触していない非接触部分ZN2と、を有する。
【0094】
保持部72Bが非接触部分ZN2を有するこの構成では、下側板ばね26Bの接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPにレーザビームが照射されると、接続板部26h及び巻き付け部33mは、半田ペーストSDPとともに加熱される。巻き付け部33mは、保持部72Bの非接触部分ZN2とは接触していないため、巻き付け部33mに伝わった熱が保持部72Bを介して過度に散逸してしまうのを抑制できる。そのため、巻き付け部33mは、接続板部26hとともに、半田付けに適した温度まで迅速に加熱され、且つ、適切な時間にわたって半田付けに適した温度で維持される。
【0095】
半田ペーストSDPに含まれる半田SDは、レーザビームによって溶融され、例えば図17Bに示すように、適切に加熱された接続板部26h及び巻き付け部33m(第4辺部EG4)の周囲に行き渡る。そして、溶融された半田SDは、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33m(第4辺部EG4)とを接合する。
【0096】
このように、レンズ駆動装置101は、保持部72Bが非接触部分ZN2を有しない場合に比べ、半田付けによるコイル3と下側板ばね26との間の接合の信頼性を高めることができる。巻き付け部33mが適切に加熱されて半田が付き易くなるためである。
【0097】
非接触部分ZN2は、望ましくは、保持部72の外周面に設けられた溝部GRによって形成されている。具体的には、非接触部分ZN2は、例えば図14Aに示すように、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bの第4側面S4における溝部GRによって形成されている。この構成により、保持部72Bは、外形寸法を増大させることなく、半田付けによるコイル3と下側板ばね26との間の接合の信頼性を高めることができる。
【0098】
下側板ばね26の内側部分26iは、望ましくは、半田SDが設けられる、すなわち、半田ペーストSDPが塗布される接続板部26hを有する。接続板部26hは、図12Aに示すように、くびれ部を介して内側部分26iの他の部分に連結されている。内側部分26iの他の部分に熱が散逸してしまうのを抑制するためである。そして、溝部GRは、巻き付け部33mを挟んで接続板部26hと対向するように位置する保持部72の側面に形成されている。具体的には、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bの第4側面S4は、例えば図16Aに示すうように、巻き付け部33mを挟んで接続板部26hと対向するように配置されている。そして、第4側面S4には、例えば図14Aに示すように、溝部GRが形成されている。この構成により、保持部72Bは、4つの辺部EGのうちで半田ペーストSDPからの熱が最も伝わり易い第4辺部EG4から保持部72Bに熱が散逸してしまうのを効果的に抑制できる。
【0099】
保持部72は、望ましくは、レンズ保持部材2の光軸方向JDにおける一端部から、光軸方向JDにおいて接続板部26hを超えて突出するように形成された多角柱形状をなしている。そして、溝部GRは、保持部72における、接続板部26hの側を向く側面に形成されている。具体的には、保持部72Bは、図17Aに示すように、Z軸方向において接続板部26hを超えてZ2側に突出するように形成された略四角柱形状をなしている。そして、溝部GRは、保持部72Bにおける、接続板部26hの側を向く第4側面S4に形成されている。この構成により、保持部72Bは、接続板部26hよりも下側(Z2側)で第4辺部EG4を露出させることができ、半田ペーストSDPの第4辺部EG4への塗布を容易にすることができる。
【0100】
溝部GRは、望ましくは、幅が深さよりも大きくなるように構成されている。具体的には、溝部GRは、例えば図15Aに示すように、幅W1が深さD1よりも大きくなるように構成されている。この構成により、保持部72Bは、強度(体積)を確保しながらも、巻き付け部33m(第4辺部EG4)との接触面積を低減させることができる。なお、保持部72Bの体積は、巻き付け部33mを介して伝わる熱によって突出部(保持部72B)が溶融されてしまうことのないように設定されている。
【0101】
溝部GRは、保持部72の突出方向に延在するとともに、被覆部分ZNの全長にわたって連続するように形成されていてもよい。或いは、溝部GRは、保持部72の突出方向に延在するとともに、保持部72の全長にわたって連続するように形成されていてもよい。具体的には、溝部GRは、図14Aに示すように、保持部72Bの全長HTにわたって連続するように形成されていてもよく、図18に示すように、被覆部分ZNの全長HTaにわたって連続するように形成されていてもよい。この構成により、保持部72Bは、巻き付け部33m(第4辺部EG4)から保持部72Bに熱が逃げてしまうのを効果的に抑制できる。また、保持部72Bは、溝部GRが保持部72Bの端面STまで連続して形成される場合、射出成形等によって容易に形成され得る。金型からの取り外しが容易になるためである。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0103】
例えば、上記実施形態では、保持部72がレンズ保持部材2(フランジ部52)の一端部から光軸方向JD又は光軸方向JDに垂直な方向に突出する突出部から構成されているが、本発明は、この構成に限定されない。突出部としての保持部72は、例えば、光軸方向JDに対して傾斜した方向に突出していてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、フランジ部52には、コイル3の延在部33を通す切欠部52kが2つ設けられているが、コイル3の巻回部13を保持可能であれば、3つ以上の切欠部が設けられていてもよい。
【0105】
また、自動焦点調節機能を実現する上記実施形態では、下側板ばね26Aと延在部33Aとが電気的に接続され、且つ、下側板ばね26Bと延在部33Bとが電気的に接続される構成としたが、本発明は、この構成に限定されない。本発明は、例えば、手振れ補正機能付きのレンズ駆動装置においては、上側板ばね16が2つに分割され、その一方が延在部33Aに電気的に接続され、且つ、他方が延在部33Bに電気的に接続される構成を含んでいてもよい。この構成では、上側板ばね16は、支持部材としての磁石ホルダとレンズ保持部材2とを繋ぐように配置され、且つ、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能に支持するように構成される。磁石ホルダは、レンズ保持部材2に保持されたコイル3に対向する磁石5を保持する部材であり、典型的には、サスペンションワイヤを介してベース部材18に接続され、サスペンションワイヤにより、光軸方向JDに垂直な方向に移動可能に支持されている。具体的には、磁石ホルダは、磁石5と、磁石5に対向するようにベース部材18上に設置された、コイル3とは別のコイルとによって構成される駆動機構によって光軸方向JDに垂直な方向に移動できるように構成されている。レンズ保持部材2の上端部側(Z1側)に切欠部を有するフランジ部が設けられていてもよい。また、突出部としての保持部72は、上側板ばね16が配置される側であるレンズ保持部材2の光軸方向JDにおける一端部である上端部から突出して設けられる。
【0106】
上記実施形態では、コイル3は、レンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。コイル3は、レンズ保持部材2の側面に保持される小判形状(オーバル形状)のコイル本体部、すなわち、中心軸が光軸方向JDに垂直となるように配置されたコイル本体部を有するコイルであってもよい。具体的には、コイル3は、レンズ保持部材2の4つの側面のそれぞれに保持される4つの小判形状のコイル本体部を有するコイルであってもよく、レンズ保持部材2の4つの側面のうちの対向する2つのそれぞれに保持される2つの小判形のコイルであってもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、ヨーク4とベース部材18とで構成される筐体は、レンズ保持部材2の全体を収容している。但し、レンズ保持部材2の一部(例えば上部)は、筐体(ヨーク4)から外部に露出していてもよい。
【0108】
本願は、2018年11月14日に出願した日本国特許出願2018-213957号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0109】
1・・・スペーサ 2・・・レンズ保持部材 2t・・・突設部 3・・・コイル 4・・・ヨーク 4A・・・外壁部 4B・・・上面部 4s・・・収納部 5・・・磁石 6・・・板ばね 7、7A、7B・・・端子 12・・・筒状部 12d・・・台座部 12dh・・・窪み 12h・・・庇部 12j・・・コイル支持部 13・・・巻回部 16・・・上側板ばね 16b・・・角部分 16e・・・外側部分 16g・・・弾性腕部 16i・・・内側部分 16r・・・桟部 18・・・ベース部材 18k・・・開口 18t・・・突設部 26、26A、26B・・・下側板ばね 26c・・・内側接合部分 26d・・・外側接合部分 26e・・・外側部分 26g・・・弾性腕部 26h・・・接続板部 26i・・・内側部分 26p・・・第1連結部 26q・・・第2連結部 33、33A、33B・・・延在部 33c・・・対向部 33k・・・挿通部 33m・・・巻き付け部 52・・・フランジ部 52k・・・切欠部 57・・・接続部材 72、72A、72B・・・保持部 101・・・レンズ駆動装置 AD・・・接着剤 CN・・・角部 CN1・・・第1角部 CN2・・・第2角部 CN3・・・第3角部 CN4・・・第4角部 EG・・・辺部 EG1・・・第1辺部 EG2・・・第2辺部 EG3・・・第3辺部 EG4・・・第4辺部 GR・・・溝部 GR1・・・第1溝部 GR2・・・第2溝部 GR3・・・第3溝部 GR4・・・第4溝部 JD・・・光軸方向 LS・・・レンズ体 MK・・・駆動機構 RG・・・固定側部材 S1・・・第1側面 S2・・・第2側面 S3・・・第3側面 S4・・・第4側面 S1a~S4a、S1b~S4b・・・平坦面 SD・・・半田 SDP・・・半田ペースト ST・・・端面 ZN・・・被覆部分 ZN1・・・接触部分 ZN2・・・非接触部分
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図23D
図24