(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220804BHJP
G02B 30/60 20200101ALI20220804BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 359
G02B30/60
(21)【出願番号】P 2021111653
(22)【出願日】2021-07-05
(62)【分割の表示】P 2020071184の分割
【原出願日】2013-08-01
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三原 飛雄馬
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-136398(JP,A)
【文献】特開昭59-111126(JP,A)
【文献】特開2013-054350(JP,A)
【文献】特開2000-098290(JP,A)
【文献】特開2004-171377(JP,A)
【文献】米国特許第05313276(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
G09G 3/00 - 5/42
G02B 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトと、
前記オブジェクトよりも前方にて、傾斜して配置される透明板と、
前記オブジェクトの正面像に重畳される映像を表示する表示部を備えた表示装置を、前記オブジェクトよりも前方にて前記オブジェクトと直交して、前記透明板に対して斜めに前記映像を投影可能に支持する支持手段と、
前記透明板の傾斜面に沿って向かい合う辺に沿って、前記オブジェクト側から延びる2つの壁面と、
箱体と、
を有する映像表示装置であって、
前記オブジェクトの正面像は、前記表示部に表示される前記映像に含まれる輪郭と対応する輪郭を有し、
前記透明板は、前記映像を反射して、前記透明板を介して透視される前記オブジェクトに前記映像を重畳して表示し、
前記透明板と前記オブジェクトとの間の空間が前記2つの壁面により挟まれ、
前記箱体の底壁に前記オブジェクトが載置され、
前記箱体の背面壁は前記オブジェクトの裏側に配置され、
前記箱体は前記背面壁と対向する正面壁をさらに有し、
前記正面壁は、前記背面壁と対向する正面開口の両側に配置されて前記正面開口の開口幅を規定する2つの側縁壁と、前記底壁から起立して前記正面開口の下端を規定する下縁壁を有する、映像表示装置。
【請求項2】
前記表示部が表示する前記映像の大きさは、前記オブジェクトの正面像の大きさに対応する、請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記透明板は、複数の透明薄板を積層して構成される、請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記透明板は着色されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記支持手段に、前記表示装置を位置決めするためのマーカーが配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記箱体の側壁の外面には二次元コードが付与されており、該二次元コードは撮影により該二次元コードの画像を取得した前記表示装置に、サーバにアクセスして、前記サーバが記憶する前記映像のデータを取得可能とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記箱体の両側壁、前記背面壁、前記正面壁のうち少なくとも2つの壁面が前記支持手段として機能する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記箱体及びオブジェクトの一方は、前記透明板の角度の位置決めをする設置部を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記オブジェクトは、
前記設置部と、
前記設置部の幅方向の両端にて上方に突出して前記透明板を前記幅方向にて位置決めする2つのサイドストッパーと、
を含む、請求項8に記載の映像表示装置。
【請求項10】
前記箱体の前記底壁と対向する上部開口及び前記正面開口を塞ぐための蓋体をさらに有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフミラーを用いて2種の映像を重畳させる映像表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の
図4には、ハーフミラーを透過するハーフミラー後方の背景映像と、ハーフミラーで反射された映像とが重畳された合成画像を観察者が視認できる映像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の映像装置に用いられるハーフミラーは、ガラスの少なくとも片面に、クロム、SUS等の金属反射層を半透明になるくらい薄く成膜して作製される。従って、ハーフミラーは比較的高価である。
【0005】
特許文献1には、反射率50%及び透過率50%のハーフミラーが例示されている。この数値は一例であるとしても、一般にハーフミラーは金属反射層を有するため背景映像の透過率は低くなる。
【0006】
本発明は、ハーフミラーを用いずに、比較的高い透過率の透過立体映像に反射映像を重ねて、3Dホログラム等のような映像を比較的安価に表示することができる映像表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像表示装置は、立体オブジェクトと、前記立体オブジェクトの両側方にて、前記立体オブジェクト側から前方に延びる両側壁と、前記両側壁の間にて、かつ、前記立体オブジェクトよりも前方にて、上端部よりも下端部が前方に位置するように傾斜して配置される透明板と、を有し、前記両側壁は、表示部を備えた携帯端末を、前記表示部を下向きにして支持可能とする。
本発明の映像表示装置は、また
オブジェクトと、
前記オブジェクトよりも前方にて、傾斜して配置される透明板と、
前記オブジェクトの正面像に重畳される映像を表示する表示部を備えた表示装置を、前記オブジェクトよりも前方にて前記オブジェクトと直交して、前記透明板に対して斜めに前記映像を投影可能に支持する支持手段と、
前記透明板の傾斜面に沿って向かい合う辺に沿って、前記オブジェクト側から延びる2つの壁面と、
箱体と、
を有し、
前記オブジェクトの正面像は、前記表示部に表示される前記映像に含まれる輪郭と対応する輪郭を有し、
前記透明板は、前記映像を反射して、前記透明板を介して透視される前記オブジェクトに前記映像を重畳して表示し、
前記透明板と前記オブジェクトとの間の空間が前記2つの壁面により挟まれ、
前記箱体の底壁に前記オブジェクトが載置され、
前記箱体の背面壁は前記オブジェクトの裏側に配置され、
前記箱体は前記背面壁と対向する正面壁をさらに有し、
前記正面壁は、前記背面壁と対向する正面開口の両側に配置されて前記正面開口の開口幅を規定する2つの側縁壁と、前記底壁から起立して前記正面開口の下端を規定する下縁壁を有する。
【0008】
また、本発明の映像表示装置において、前記透明板が複数の透明薄板を積層して構成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明の映像表示装置において、前記透明板は着色されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の映像表示装置において、前記立体オブジェクトの上面に、前記携帯端末を位置決めするためのマーカーが配置されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の映像表示装置において、前記立体オブジェクトが載置される底壁と、前記立体オブジェクトの裏側に配置される背面壁と、前記両側壁と、を含む箱体をさらに有し、前記箱体には、前記底壁と対向する上部開口と、前記背面壁と対向する正面開口とが設けられることが好ましい。
【0012】
また、本発明の映像表示装置において、前記箱体は、前記背面壁と対向する正面壁をさらに有し、前記正面壁は、前記正面開口の両側に配置されて前記正面開口の開口幅を規定する2つの側縁壁を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の映像表示装置において、前記正面壁は、前記底壁から起立して前記正面開口の下端を規定する下縁壁をさらに有することが好ましい。また、本発明の映像表示装置において、前記両側壁、前記背面壁、前記正面壁のうち少なくとも2つの壁面を利用して前記携帯端末を支持可能であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の映像表示装置において、前記箱体及び立体オブジェクトの一方は、前記透明板の角度の位置決めをする設置部を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の映像表示装置において、前記立体オブジェクトは、前記設置部と、前記設置部の幅方向の両端にて上方に突出して前記透明板を前記幅方向にて位置決めする2つのサイドストッパーと、を含むことが好ましい。
【0016】
また、本発明の包装容器は、前記箱体を有する映像表示装置と、前記箱体の前記上部開口及び前記正面開口を塞ぐ蓋体とを有し、前記箱体と前記蓋体とに囲まれた空間に物品を収容する包装容器である。
【0017】
また、本発明のプログラムは、前記映像表示装置の前記両側壁に架設可能な携帯端末とネットワークを介して接続されるサーバーにより実行されるプログラムであって、前記サーバーに、前記映像表示装置の前記両側壁に架設される前記携帯端末を位置決めするためのマーカー画像のデータを、前記携帯端末に送信する手順と、前記携帯端末の前記表示部に表示されて前記立体オブジェクトに重畳される映像のデータを、前記携帯端末に送信する手順と、を実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装容器(映像表示装置及び蓋体)の概略斜視図である。
【
図3】映像表示装置に携帯端末を架設した使用状態を示す断面図である。
【
図5】映像表示装置の使用状態を示す斜視図である。
【
図7】映像表示装置にて表示される映像を示す図である。
【
図8】
図8(A)は一枚の透明薄板を用いた時の反射像を示し、
図8(B)は複数枚の透明薄板を用いた時の反射像を示す図である。
【
図9】携帯端末の表示部に表示されるマーカーを示す図である。
【
図10】携帯端末と通信される基地局及びサーバーが接続されるネットワークを示す図である。
【
図13】箱体と蓋体とを切断可能に一体化した包装容器の変形例を示す斜視図である。
【
図14】
図13に示す箱体を用いた映像表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器の概略斜視図である。
図1において、包装容器1は、箱体10と、立体オブジェクト20と、透明板(クリアカード)30と、蓋体40とを有する。箱体10内に、立体オブジェクト20及び透明板30と共に、菓子や玩具など商品または物品(図示せず)を収容し、箱体10をその上方から蓋体40で覆うことで、各種商品等の包装容器1とすることができる。
【0020】
箱体10は、立体オブジェクト20が載置される底壁11と、立体オブジェクトの裏側に配置される背面壁12と、立体オブジェクト20の両側方にて背面壁12から前方に延びる両側壁13,13と、を有する。箱体10には、底壁11と対向する上部開口15と、背面壁12と対向する正面開口16とが形成される。なお、包装容器1を構成しない場合には、底壁11と背面壁12は不要となる。本実施形態ではさらに、箱体10は、背面壁12と対向する正面壁14をさらに有している。正面壁14は、正面開口16の両側に配置されて正面開口16の開口幅を規定する2つの側縁壁14A,14Bを有する。正面壁14はさらに、底壁11から起立して正面開口16の下端を規定する下縁壁14Cを有することができる。
【0021】
箱体10の高さL1は、透明板30の長さL2よりも低い(L1<L2)。蓋体40の高さL3は、透明板30の長さL2より高い(L1<L2<L3)。こうして、透明板30を箱体10内にて立て掛け、箱体10をその上方から蓋体40にて覆うことができる。蓋体40は例えば下端が開口した蓋箱体の形状とし、折り曲げ片41,41を折り曲げて箱体10の底壁11に接着テープ等で張り合わせることで、蓋体40を箱体10に装着固定することができる。
【0022】
立体オブジェクト20は、
図2に示すように正面に凹凸を有する立体物であり、
図2に示す例は建物の立体オブジェクトである。立体オブジェクト20は、建物に限らず、各種キャラクター、フィギュアであっても良い。立体オブジェクト20は、樹脂や金属製の他、ペーパークラフトなどであっても良い。立体オブジェクト20は、箱体10の背面壁12に固定されていても良いし、包装容器1から取り出された立体オブジェクト20を背面壁12と背中合わせで配置しても良い。
【0023】
透明板30は、可視光の波長帯域に対して透明な素材であるガラス、樹脂等にて薄板状に形成される。破損し難さや軽量化の観点からは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、またはアクリル等の樹脂の成形体にて透明板30を形成することが好ましい。透明板30は、
図3に示すように、箱体10の両側壁13,13の間にて、かつ、立体オブジェクト20よりも前方にて、上端部31よりも下端部32が前方に位置するように傾斜(例えば傾斜角=45°)して配置される。
【0024】
立体オブジェクト20の上面には、透明板30の上端部31を載置可能な設置部21が形成されている。設置部21は、例えば前方に向かうに従い下降傾斜した傾斜面として形成される。このような設置部21を設けることにより、透明板30を介して透視される立体オブジェクト20の表面位置において、表示部110の映像を重畳させるように、透明板30の角度の位置決めがなされ、使用者に、よりきれいな映像を提供することができる。なお、本実施の形態では、前方に向かうに従い下降傾斜した傾斜面を設置部としたが、透明板30を介して透視される立体オブジェクト20の表面位置において、表示部110の映像を重畳させる位置決めが可能であれば、設置部の位置・形状はこれに限定されることはない。例えば、立体オブジェクト20の前面に透明板30の上端部31を固定可能な設置部を設けたり、箱体に設置部を設けてもよい。また、
図2及び
図3に示すように、立体オブジェクト20の上面には、設置部21の幅方向の両端にて上方に突出する2つのサイドストッパー22,22をさらに設けることができる。この2つのサイドストッパー22,22は、透明板30を幅方向にて位置決めすることができる。なお、サイドストッパーは、箱体に設けてもよい。透明板30の下端部32は、
図3に示すように、箱体10の底壁11と正面壁14(14A~14C)との交差角部にて係止される。
【0025】
図3及び
図5は、箱体10の両側壁13,13に、
図6に示す表示部110を備えた携帯端末(例えばスマートフォン)100を、表示部110を下向きにして架設した、映像表示装置の使用状態を示している。映像表示装置は、
図1に示す部材のうち蓋体40を除いた、箱体10、立体オブジェクト20及び透明板30を、
図3及び
図5に示すように組み立てることで構成される。
図7は、
図3及び
図5に示す映像表示装置の使用状態にて、正面開口16から観察される映像表示例を示している。なお、携帯端末は、箱体によって支持可能であればよく、両側壁13,13、背面壁12、正面壁14のうちの少なくとも2つの壁面部によって支持可能とすることができる。
【0026】
本実施形態に係る映像表示装置は、
図3に示すように、透明板30の後方から入射して透視される立体オブジェクト20の透視立体体映像Im1に、透明板30にて反射された携帯端末100の表示部110の映像Im2を重畳させる。この際、透明板30がハーフミラーとして機能する理由は次の通りと考えられる。立体オブジェクト20が配置される透明板30の後方は、立体オブジェクト20、両側壁13,13及び携帯端末100に囲まれているので、透明板30の前方の正面開口16側と比較して暗くなる。透明板30の前方の正面開口16側から(明るい側から)立体オブジェクト20を(暗い側を)直視する観察者には、透明板30がハーフミラーとして機能する。この透明板30によるハーフミラー効果は、夜間の車窓を透視した景色に車窓にて反射された自分の顔が重畳される現象と同様である。透明板30は傾斜して配置されるので、表示部110の映像を反射させて観察者に表示することができる。このように本実施形態の映像表示装置によれば、ハーフミラーを用いなくても、比較的高い透過率にて透明板30を介して透視される立体オブジェクト20に、透明板30にて反射される表示部110の映像を重畳させることができる。
【0027】
ここで透明板30は、
図3のA部拡大図である
図4に示すように、複数の透明薄板30A~30Cを積層して構成することができる。こうすると、複数の透明薄板30A,30B,30C間の各界面が反射層となって、反射率を高めることができる。また、こうして反射率が高まる結果として透過率が下がるため、透明板30の後方空間はより暗くなり、透明板30のハーフミラー効果が高まる。
図8(A)に示すように1枚の透明薄板30Aにて表示部110の映像120を反射させた反射像121よりも、
図8(B)に示すように2枚の透明薄板30A,30Bにて表示部110の映像120を反射させた反射像122の方が、鮮明になる。
【0028】
ここで、複数の透明薄板30A~30Cの各々の厚さは0.45mm以下とすることができる。それより厚いと、
図4に示すように異なる界面で間の反射像間に位置ずれが生じ、合成反射像のぼけが目立ってくる。透明板30が樹脂で成形される場合、成形性を考慮すると、透明薄板30A~30Cの各々の厚さは0.15~0.45mmとすることができる。
【0029】
また、透明薄板の積層枚数は、上述した厚さも考慮して2~4枚が好ましく、上限よりも積層枚数が増える場合でも異なる界面で間の反射像間に位置ずれが生じ、合成反射像のぼけが目立ってくる。
【0030】
透明板30または複数の透明薄板30A~30Cは例えばグレー等に着色されていてもよい。透明板30または複数の透明薄板30A~30Cが着色されることで、透明板30または複数の透明薄板30A~30Cの透過率を下げ、透明板30または複数の透明薄板30A~30Cの後方の空間を暗くすることで、透明板30での反射率を上げることができる。
【0031】
複数の透明薄板30A~30Cは、積層状態で固定すると取り扱い性が向上する。複数の透明薄板30A~30Cは、例えば溶着(超音波溶着を含む)、接着、圧着するか、または枠により固定することができる。
【0032】
図6に示す携帯端末100の表示部110に表示される映像は、静止画でも良いが、動画とすることもできる。例えば表示部110上には、立体オブジェクト20の正面像と同じ輪郭で着色した静止画の映像120Aと共に、時間的に表示位置、形状、色などが変化する動画の映像120Bを、背景である立体オブジェクト20にプロジェクションマッピングされて表示される。こうすると、透明板30を透視される静止した立体オブジェクト像に動画を含む表示部110の映像を重ねることで、
図7に示す映像表示装置の正面開口16にはあたかも3Dホログラムのように多彩に演出された映像(例えば立体オブジェクトが動いているような映像)を擬似的に再現することができる。
【0033】
なお、
図7に示すように、映像表示装置の正面開口16は、両側の側縁壁14A,1Bにより視野角が制限される。よって、携帯端末100の表示部110が例えば液晶表示部などであっても、その液晶表示部の視野角に適合させることができる。また、映像表示装置の正面開口16は、側縁壁14A,1B及び下縁壁14Cにより視野を制限しているので、箱体10の底壁11や両側壁13,13等の不要な背景を目隠しすることができる。
【0034】
立体オブジェクト20に携帯端末100の表示部110の映像を重ね合わせるため、携帯端末100を箱体10に対して位置合わせするために、箱体10や立体オブジェクト20、または表示部110にマーカーを設けることができる。
図1~
図3には、立体オブジェクト20の上面に、例えば幅方向の中心にマーカー23を設けている。このマーカー23に、携帯端末100の表示部110の中心線を一致させるように位置合わせすることができる。
【0035】
図9には、携帯端末100の表示部110に表示されるマーカー130~133を示している。マーカー130は、立体オブジェクト20に設けられるマーカー23と対応する位置に表示することができる。マーカー131は、箱体10の両側壁13,13に位置合わせされる。マーカー132は、箱体10の背面壁12に位置合わせされる。マーカー133は、箱体10の側縁壁14A,14Bに位置合わせされる。表示部110は、マーカー130~133のいずれか一つまたは複数を表示することができる。
【0036】
図10に示すように、携帯端末100通信される基地局210が、ネットワーク200を介してサーバー220と接続されている。携帯端末100は、
図11に示すように、表示部110の他に、
図9に示されたカメラ140に接続された取得部150を有する。携帯端末100のカメラ140は、
図1に示す箱体10に設けられた二次元コードであるQRコード(登録商標)17を撮像し、そのコード情報が取得部150にて取得される。携帯端末100は、さらに表示部110に表示されるアイコンなどの入力部160と、通信部170とを備える。通信部170は、QRコード(登録商標)17に含まれるサーバー220のアクセス情報であるURLに基づいてサーバー220と通信する。
【0037】
サーバー220は、
図12に示すように、通信部221と記憶部222とを含む。QRコード(登録商標)17に基づいてアクセスされた携帯端末100に対して、サーバー220は記憶部222内のプログラムに基づいて、次の手順1,2を実行する。手順1として、
図9に示すマーカー130~133の少なくとも一つのマーカー画像のデータを記憶部222から読み出し、通信部221、ネットワーク200及び基地局210を介して、携帯端末100に送信する。手順2として、
図6に示す映像120A,120Bのデータを記憶部222から読み出し、通信部221、ネットワーク200及び基地局210を介して、携帯端末100に送信する。
【0038】
サーバー220は、手順1のマーカー画像を初期の所定時間に亘って携帯端末100の表示部110に表示させ、その後手順2に移行することができる。つまり、手順1によって表示されたマーカー130~133に基づいて携帯端末100が位置合わせされた後には、マーカー130~133は表示されない。それに代えて、サーバー220は、手順1のマーカー画像を初期の所定時間に亘って携帯端末100の表示部110に表示させ、その後手順1,2を並行して実施することができる。つまり、マーカー画像は初期画像として表示されるほか、
図6に示す映像120A,120Bと共に表示し続けても良い。
【0039】
なお、本発明の形態は、上記実施形態に限られるものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0040】
例えば、
図1に示すように蓋体40は箱体10と別体で設けるものに限らない。
図13に示す箱体10Aは、上部開口15を覆う第1蓋体42と、正面開口16を覆う第2蓋体43とを、箱体10Aと一体に有することもできる。第1,第2蓋体42,43は、箱体10Aに対して切断可能な例えばミシン線等で接続され、使用時には箱体10Aから分離される。
【0041】
図14に示すように、箱体10Aは
図1に示す蓋体40と同じ高さL3を有するので、長さL2(
図1参照)の透明板30を箱体10A内に垂直状態で収容できる。また、
図14に示すように、透明板30の上端部31を設置するための設置部は、立体オブジェクト20ではなく箱体10Aの背面壁12Aとすることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1…包装容器、10,10A…箱体、11…底壁、12,12A…背面壁、13…両側壁、14…正面壁、14A,14B…側縁壁、14C…下縁壁、15…上部開口、16…正面開口、17 …二次元コード、20…立体オブジェクト、21…設置部、22…サイドストッパー、23…マーカー、30…透明板(クリアカード)、30A~30C…複数の透明薄板、31…上端部、32…下端部、40…蓋体、100…携帯端末、110…表示部、120,120A,120B…映像、130~133…マーカー、Im1…透過像、Im2…反射像