IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-決済処理方法 図1
  • 特許-決済処理方法 図2
  • 特許-決済処理方法 図3
  • 特許-決済処理方法 図4
  • 特許-決済処理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】決済処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/28 20120101AFI20220804BHJP
【FI】
G06Q20/28
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021149826
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2021-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆元
【審査官】萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-125308(JP,A)
【文献】特開2007-293752(JP,A)
【文献】特開2015-197825(JP,A)
【文献】特開2020-052633(JP,A)
【文献】特開2020-107217(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0142129(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する、
ユーザが利用する所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得するステップと、
取得した前記決済要求に対応する前記所定のサービスを識別するためのサービス識別情報を取得し、前記所定の決済手段に対応し、前記決済要求に対して金額が差し引かれる前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、取得した前記サービス識別情報に対応する前記所定のサービスに対する前記ユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行うステップと、
を有する決済処理方法。
【請求項2】
前記決済要求を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記サービス識別情報を含む前記決済要求を取得し、
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記決済要求に含まれる前記サービス識別情報を取得し、取得した前記サービス識別情報が、前記口座の残高が不足することを許容して決済を行うサービスのサービス識別情報として記憶部に記憶されていることを条件として、取得した前記サービス識別情報に対応する前記支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定する、
請求項1に記載の決済処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、前記支払金額の決済が行われた後に、前記口座の残高が不足していることを前記ユーザに通知するステップをさらに有する、
請求項1又は2に記載の決済処理方法。
【請求項4】
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記支払金額の決済が行われた後に、前記支払金額の決済が行われる前の前記口座の残高と前記支払金額との差額を前記ユーザに通知する、
請求項に記載の決済処理方法。
【請求項5】
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が不足すると、前記所定のサービスに対応する支払金額を支払ったことにより、前記口座の残高が不足したことを前記ユーザに通知する、
請求項又はに記載の決済処理方法。
【請求項6】
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記支払金額の決済が行われた後に、前記決済が完了したことを前記所定のサービスの提供者に通知する、
請求項からのいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項7】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座から前記支払金額の少なくとも一部を差し引くことにより、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行う、
請求項1からのいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項8】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座から前記支払金額を差し引かず、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行うとともに、前記口座の残高が前記支払金額以上となったことに応じて、前記口座から前記支払金額を差し引く、
請求項1からのいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項9】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、新たに取得した決済要求に対応する決済を行わないように制御する、
請求項1からのいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータが実行する、前記ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、前記口座の残高の不足分に対応する利息を当該不足分に追加するステップをさらに有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項11】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績に基づいて算出される、前記口座の残高が不足することなく支払金額の決済が行われたことを示す決済成功の回数、前記決済成功の連続回数、当該支払金額を過去に支払った期間、当該支払金額の決済により前記口座の残高が不足したことを示す決済失敗の回数、一以上の前記決済失敗に対応する当該支払金額の合計額、現時点における前記口座の残高の不足の有無、現時点における前記口座の残高の不足額の少なくともいずれかに基づく前記所定の条件を満たすか否かを判定する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項12】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記支払金額から前記口座の残高を差し引いた金額である不足額が所定金額を超えていないか否かを判定し、
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定されるとともに、前記不足額が前記所定金額を超えていないと判定されると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段により前記支払金額の決済を行う、
請求項1から11のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項13】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記ユーザの本人認証が完了しているか否かを判定し、
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定されるとともに、前記ユーザの本人認証が完了していると判定されると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段により前記支払金額の決済を行う、
請求項1から12のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項14】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が予め定められている金額よりも少なくなることを条件として前記口座に自動的に入金する設定が行われていない場合において、前記ユーザの口座の残高が前記支払金額よりも少ないとき、前記支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定する、
請求項1から13のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが実行する、前記口座の残高が前記支払金額以上である場合に、前記支払金額に基づく特典を付与し、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記支払金額に対して差し引かれた前記口座の残高に対応する金額に基づく特典を付与するステップをさらに有する、
請求項1から14のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項16】
前記特典を付与するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高の不足が解消すると、前記残高の不足額に基づく特典を付与する、
請求項15に記載の決済処理方法。
【請求項17】
前記決済要求を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザが支払期日毎に利用料を支払うことにより利用可能期間が更新される前記所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する前記決済要求を取得する、
請求項1から16のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項18】
前記決済要求を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザが支払期日毎に一定の利用料を支払うことにより利用可能期間が更新される前記所定のサービスに対する支払金額を、前記所定の決済手段を用いて決済することを要求する前記決済要求を取得する、
請求項17に記載の決済処理方法。
【請求項19】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する前記ユーザの過去の支払期日毎の支払の支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定する、
請求項17又は18に記載の決済処理方法。
【請求項20】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する前記ユーザの前記所定の決済手段による過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定する、
請求項1から19のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが保有するプリペイド式の電子マネー残高を、サーバ上に設けられた口座で管理しておき、当該口座の残高から商品やサービス等の代金を支払う決済方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-86352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが対価を支払う都度、その後の継続利用が可能となるサービス、例えば動画提供サービスや、通信、ガス、水道、電気等の各種インフラ提供サービスにおいて、その対価に対応する代金を、ユーザのプリペイド式の口座の残高から自動引き落としにより支払う場合、当該口座の残高が不足していることにより、代金の支払が完了しないことがある。この場合、ユーザがサービスを継続して利用する意思があるにもかかわらず、代金の支払が完了しないことを理由として、ユーザに対するサービスの提供が停止されてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザに対するサービスの提供が停止されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に決済処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザが利用する所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得するステップと、前記所定の決済手段に対応し、前記決済要求に対して金額が差し引かれる前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する前記ユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するステップと、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行うステップと、を有する。
【0007】
前記決済処理方法は、前記コンピュータが、前記支払金額の決済が行われた後に、前記口座の残高が不足していることを前記ユーザに通知するステップをさらに有してもよい。
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記支払金額の決済が行われた後に、前記支払金額の決済が行われる前の前記口座の残高と前記支払金額との差額を前記ユーザに通知してもよい。
【0008】
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が不足すると、前記所定のサービスに対応する支払金額を支払ったことにより、前記口座の残高が不足したことを前記ユーザに通知してもよい。
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、前記支払金額の決済が行われた後に、前記決済が完了したことを前記所定のサービスの提供者に通知してもよい。
【0009】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座から前記支払金額の少なくとも一部を差し引くことにより、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行ってもよい。
【0010】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定すると、前記口座から前記支払金額を差し引かず、前記所定の決済手段を用いた前記支払金額の決済を行うとともに、前記口座の残高が前記支払金額以上となったことに応じて、前記口座から前記支払金額を差し引いてもよい。
【0011】
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、新たに取得した決済要求に対応する決済を行わないように制御してもよい。
【0012】
前記決済処理方法は、前記コンピュータが実行する、前記ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、前記口座の残高の不足分に対応する利息を当該不足分に追加するステップをさらに有してもよい。
【0013】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績に基づいて算出される、前記口座の残高が不足することなく支払金額の決済が行われたことを示す決済成功の回数、前記決済成功の連続回数、当該支払金額を過去に支払った期間、当該支払金額の決済により前記口座の残高が不足したことを示す決済失敗の回数、一以上の前記決済失敗に対応する当該支払金額の合計額、現時点における前記口座の残高の不足の有無、現時点における前記口座の残高の不足額の少なくともいずれかに基づく前記所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0014】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記支払金額から前記口座の残高を差し引いた金額である不足額が所定金額を超えていないか否かを判定し、前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定されるとともに、前記不足額が前記所定金額を超えていないと判定されると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段により前記支払金額の決済を行ってもよい。
【0015】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記ユーザの本人認証が完了しているか否かを判定し、前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすと判定されるとともに、前記ユーザの本人認証が完了していると判定されると、前記口座の残高が不足することを許容して、前記所定の決済手段により前記支払金額の決済を行ってもよい。
【0016】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が予め定められている金額よりも少なくなることを条件として前記口座に自動的に入金する設定が行われていない場合において、前記ユーザの口座の残高が前記支払金額よりも少ないとき、前記支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0017】
前記決済処理方法は、前記コンピュータが実行する、前記口座の残高が前記支払金額以上である場合に、前記支払金額に基づく特典を付与し、前記口座の残高が前記支払金額よりも少ない場合に、前記支払金額に対して差し引かれた前記口座の残高に対応する金額に基づく特典を付与するステップをさらに有してもよい。
前記特典を付与するステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高の不足が解消すると、前記残高の不足額に基づく特典を付与してもよい。
【0018】
前記決済要求を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザが支払期日毎に利用料を支払うことにより利用可能期間が更新される前記所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する前記決済要求を取得してもよい。
【0019】
前記決済要求を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザが支払期日毎に一定の利用料を支払うことにより利用可能期間が更新される前記所定のサービスに対する支払金額を、前記所定の決済手段を用いて決済することを要求する前記決済要求を取得してもよい。
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する前記ユーザの過去の支払期日毎の支払の支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0020】
前記判定するステップにおいて、前記コンピュータは、前記ユーザの口座の残高が、前記支払金額よりも少ない場合に、前記所定のサービスに対する前記ユーザの前記所定の決済手段による過去の支払金額の支払実績が前記所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザに対する所定のサービスの提供が停止されないようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】決済処理装置の概要を示す図である。
図2】決済処理装置の機能構成を示す図である。
図3】支払履歴情報の一例を示す図である。
図4】支払残情報の一例を示す図である。
図5】決済処理装置における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[決済処理装置1の概要]
図1は、決済処理装置1の概要を示す図である。決済処理装置1は、決済要求を受信したことに応じて、所定の決済手段により決済を行うコンピュータである。決済処理装置1は、携帯端末やパーソナルコンピュータ等の端末を使用するユーザに所定のサービスに関する決済要求を送信するサーバ2にインターネット等の通信ネットワークを介して接続されている。本実施形態では、所定の決済手段に関連付けられた支払手段として、例えば、プリペイド式の口座で残高が管理され、支払金額が残高から支払われる支払手段が関連付けられているものとする。プリペイド式の口座は、ユーザが保有するプリペイドカードやユーザ端末にインストールされたコード決済等を利用可能なアプリケーションに関連付けられていてもよい。
【0024】
所定のサービスは、ユーザが支払期日毎に利用料を支払うことにより利用可能期間が更新されるサブスクリプション方式のサービスであるものとする。所定のサービスは、ユーザによるサービスの過去の利用又は将来の利用に対する支払金額をユーザが支払う都度、支払直後又は支払から一定期間経過した後に継続利用が可能となるサービスであって、例えばユーザの端末に音楽や動画を提供するサービスや、通信、ガス、水道、電気等の各種インフラを提供するサービスであってもよい。また、ユーザが所定のサービスの利用に対して支払う利用料は一定金額であってもよい。また、所定のサービスは、例えば、決済処理装置1による決済サービスを提供する決済事業者と予め提携している事業者、又は決済事業者自身が提供するサービスである。
【0025】
以下、図1を参照しながら、所定のサービスの決済要求を取得した場合における処理の流れを説明する。まず、決済処理装置1は、サーバ2から、所定のサービスに対する支払金額を決済することを要求する決済要求を取得する(図1における(1))。決済要求には、サービスを識別するためのサービスIDと、サービスを利用しているユーザを識別するためのユーザIDと、所定のサービスに対する支払金額とが含まれている。
【0026】
決済処理装置1は、取得した決済要求に含まれるユーザIDに対応するユーザの口座を特定する。そして、決済処理装置1は、決済要求に対して金額が差し引かれるユーザの口座の残高が、決済要求に含まれる支払金額以上であるかを判定する(図1における(2))。
【0027】
決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ないと判定すると、サービスIDに基づく所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすかを判定する(図1における(3))。決済処理装置1は、所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、口座の残高が不足することを許容して、ユーザの口座から支払金額を減算し、支払金額の決済を行う(図1における(4))。
【0028】
このようにすることで、決済処理装置1は、所定のサービスの決済要求の取得時点において口座の残高が支払金額よりも少なく、支払金額の支払が完了しないことを理由として、ユーザに対する所定のサービスの提供が停止されないようにすることができる。
以下、決済処理装置1の構成の詳細を説明する。
【0029】
[決済処理装置1の機能構成]
図2は、決済処理装置1の機能構成を示す図である。決済処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0030】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介してサーバ2とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0031】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、決済要求取得部131、判定部132、決済部133、特典付与部134及び通知部135として機能させる決済処理用プログラムを記憶する。
【0032】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、当該ユーザのプリペイド式の口座とを関連付けた口座情報を記憶する。また、記憶部12は、所定の決済手段、すなわち、プリペイド式の口座から支払金額を差し引く決済手段による支払履歴を示す支払履歴情報を記憶する。図3は、支払履歴情報の一例を示す図である。図3に示すように、支払履歴情報は、決済が行われた日付を示す決済日と、支払を行ったユーザのユーザIDと、支払に対応するサービス又は店舗を識別するためのサービスIDと、支払金額とを関連付けた情報である。
【0033】
また、記憶部12は、所定のサービスの支払に係るユーザの支払残を示す支払残情報を記憶する。図4は、支払残情報の一例を示す図である。図4に示すように、支払残情報は、ユーザのユーザIDと、所定のサービスのサービスIDと、立替日と、所定のサービスに対応する支払金額と、返済日とを関連付けた情報である。立替日は、所定のサービスの決済要求時に当該ユーザの口座の残高が所定のサービスの支払金額よりも少なく、決済事業者がユーザに代わって当該決済要求に係る支払金額を支払った日を示す。返済日は、決済事業者がユーザの代わりに支払っていた所定のサービスの支払金額の全額を、ユーザが決済事業者に支払った日を示す。
【0034】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶された決済処理用プログラムを実行することにより、決済要求取得部131、判定部132、決済部133、特典付与部134及び通知部135として機能する。
【0035】
決済要求取得部131は、サーバ2から、ユーザが利用する所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得する。具体的には、決済要求取得部131は、サーバ2から、ユーザのユーザIDと、ユーザが利用するサービスの支払金額と、当該サービスを識別するサービスIDを含む決済要求を取得する。なお、決済処理装置1が、所定の決済手段の他に、クレジットカード決済や銀行の口座からの引き落とし決済等の他の決済初段による決済にも対応している場合には、決済要求取得部131は、決済に用いる決済手段を示す決済手段情報を含む決済要求を取得してもよい。
【0036】
判定部132は、決済要求を取得すると、所定の決済手段に対応し、決済要求に対して金額が差し引かれるユーザの口座の残高が、支払金額よりも少ない場合に、所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払い実績が所定の条件を満たすか否かを判定する。
【0037】
具体的にはまず、判定部132は、決済要求を取得すると、当該決済要求に含まれるユーザIDに基づいて、所定の決済手段に対応して金額が差し引かれるユーザのプリペイド式の口座の残高を特定する。判定部132は、特定した口座の残高が、決済要求に含まれる支払金額よりも少ないか否かを判定する。
【0038】
判定部132は、特定した口座の残高が支払金額よりも少ないと判定すると、決済要求に含まれるサービスIDに対応するサービスが、予め定められた所定のサービスであるか否かを判定する。例えば、記憶部12に、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合であっても決済を許可する所定のサービスのサービスIDを記憶させておく。
【0039】
判定部132は、記憶部12に記憶されている所定のサービスのサービスIDを参照し、決済要求に含まれるサービスIDに対応するサービスが所定のサービスであるか否かを判定すると、当該所定のサービスに対応するユーザの過去の定期的な支払の支払実績であって、所定の決済手段による支払実績を特定する。例えば、判定部132は、記憶部12に記憶されている支払履歴情報と支払残情報とを参照し、決済要求に含まれるユーザIDとサービスIDとに対応する、当該所定のサービスに対応するユーザの過去の定期的な支払の支払履歴と、支払金額の決済により口座の残高が不足したことを示す決済失敗の履歴とを支払実績として特定する。
【0040】
判定部132は、支払実績に基づいて、口座の残高が不足することなく支払金額の決済が行われたことを示す決済成功の回数、決済成功の連続回数、支払金額を過去に支払った期間、支払金額の決済により口座の残高が不足したことを示す決済失敗の回数、及び一以上の決済失敗に対応する支払金額の合計額を算出する。
【0041】
例えば、判定部132は、所定のサービスに対応する支払履歴情報に含まれている決済日が示す日付が、所定のサービスの決済要求が行われる日付に対応しているとともに、決済金額が、所定のサービスの支払金額と一致する決済を成功した決済とみなし、決済成功の回数を算出する。また、判定部132は、複数の成功した決済それぞれに対応する決済周期が一定であるか否かに基づいて、決済成功の連続回数を算出する。また、判定部132は、支払残情報に含まれる支払残の件数に基づいて、決済失敗の回数を特定し、支払残情報に含まれる支払金額を合計することにより、決済失敗に対応する支払金額の合計額を算出する。ここで、判定部132は、ユーザIDに対応する全ての支払残の件数を特定することにより決済失敗の回数を特定するものとする。また、判定部132は、ユーザが支払金額の返済を行っておらず返済日が確定してない支払残に基づいて、ユーザの決済事業者に対する未返済の有無、及び未返済の金額を特定してもよい。
【0042】
そして、判定部132は、所定のサービスに対する過去の定期的な支払金額の支払実績に基づいて算出される、決済成功の回数、決済成功の連続回数、支払金額を過去に支払った期間、決済失敗の回数、一以上の決済失敗に対応する支払金額の合計額、現時点におけるユーザの口座の残高の不足の有無、現時点におけるユーザの口座の残高の不足額の少なくともいずれかに基づいて、所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件は、ユーザの口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を許可するための条件である。
【0043】
所定の条件は、例えば、決済成功の回数が第1の回数以上、決済成功の連続回数が第1の回数よりも少ない第2の回数以上、支払金額を過去に支払った期間が第1の期間以上、所定期間における決済失敗の回数が第2の回数よりも少ない第3の回数未満、所定期間における決済失敗に対応する支払金額の合計額が所定金額未満を全て満たすこと、又はこれらの条件の少なくとも一つを満たすことであってもよい。また、判定部132は、現時点においてユーザの口座が不足しており、ユーザの決済事業者に対する未返済が存在する場合、所定の条件を満たしていないものとしてもよい。
【0044】
決済部133は、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行う。決済部133は、決済要求に対して金額が差し引かれるユーザの口座の残高が、支払金額以上である場合、ユーザの口座から、支払金額を差し引く。また、決済部133は、ユーザの口座の残高が支払金額以上である場合、サービスIDに基づいて、所定のサービスを提供する事業者の口座を特定し、当該口座に、支払金額を入金する処理を行う。
【0045】
決済部133は、ユーザの口座の残高が所定のサービスの支払金額よりも少ない場合、ユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定部132が判定すると、ユーザの口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行う。
【0046】
具体的には、決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、サービスIDに基づいて、所定のサービスを提供する事業者の口座を特定し、当該口座に、支払金額を入金する処理を行う。また、決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、ユーザの口座から支払金額の少なくとも一部を差し引くことにより、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行う。
【0047】
例えば、決済部133は、ユーザの口座から、全ての残高を差し引くとともに、決済要求に含まれるユーザIDと、サービスIDと、現在の日付と、支払金額から残高を差し引いた不足額とを関連付けて支払残情報として記憶部12に記憶させる。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザの代わりに支払う金額を少なくすることができる。
【0048】
なお、決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、ユーザの口座から支払金額の少なくとも一部を差し引くことにより、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行うこととしたが、これに限らない。決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、ユーザの口座から支払金額を差し引かず、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行うとともに、当該口座の残高が支払金額以上となったことに応じて、当該口座から支払金額を差し引いてもよい。
【0049】
例えば、決済部133は、ユーザの口座から支払金額を差し引かず、決済要求に含まれるユーザIDと、サービスIDと、現在の日付と、不足額(支払金額)とを関連付けて支払残情報として記憶部12に記憶させてもよい。支払金額の一部をユーザから部分徴収した場合、ユーザは、部分徴収された金額がどのサービスに対応するものであるのか把握しにくいという問題があるところ、決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が、所定のサービスの支払金額を超えた時点でユーザの口座から当該支払金額を一括して差し引くことができるので、ユーザは、自身の口座から所定のサービスの支払金額が差し引かれたことを容易に把握することができる。また、決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が0になり、チャージしない限り、ユーザが当該口座を用いて他の取引ができなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0050】
決済部133は、支払残情報を記憶部12に記憶させた場合に、当該支払残情報に、返済日が関連付けられていない場合、所定時間おきに、当該支払残情報に含まれるユーザIDに対応するユーザの口座の残高が、当該支払残情報に含まれる不足額よりも多いか否かを判定する。決済部133は、ユーザの口座の残高が、不足額よりも多いと判定すると、ユーザの口座から、当該不足額を差し引くことにより、不足額に対応する決済を行う。また、決済部133は、ユーザの口座の残高が、不足額よりも多いと判定すると、判定した時点の日付を返済日とし、支払残情報に当該返済日を関連付けて記憶させる。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザが自身の口座にチャージし、ユーザの口座の残高が不足額よりも多くなったことに応じて、不足額に対応する決済を行うことができる。
【0051】
また、決済部133は、ユーザの口座にチャージが行われた場合において、ユーザの口座の残高が不足額よりも少なかったとき、チャージ後の口座の残高を、不足額の一部に充当してもよい。例えば、決済部133は、図4に示す不足額に対応する支払金額から、チャージ後の口座の残高に対応する金額を差し引いて支払金額を更新することにより、チャージ後の口座の残高を、不足額の一部に充当してもよい。そして、決済部133は、不足額の全てをユーザが返済するまで、ユーザの口座にチャージが行われたことに応じて、チャージ後の口座の残高を、不足額に充当するようにしてもよい。このようにすることで、決済事業側によるユーザからの徴収漏れが発生することを抑制することができる。
【0052】
また、決済部133は、決済要求取得部131が新たに決済要求を取得した場合において、ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、決済要求が所定のサービスに対応する決済要求であるか否かに関わらず、当該新たに取得した決済要求に対応する決済を行わないように制御する。このように、決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が不足している場合に、新たな決済を制限することで、ユーザに、自身の口座へのチャージを促すことができる。
【0053】
また、決済部133は、利息付与部として機能し、ユーザの口座の残高が不足している状態である場合に、口座の残高の不足分に対応する利息を、当該不足分に追加してもよい。例えば、決済部133は、ユーザの口座の残高が、不足額よりも少なく、不足額に対応する決済が行えない場合に、支払残情報に含まれる不足額に、所定の金利に基づく利息を追加する。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザに、不足額に対して利息が付与されないように自身の口座に早期にチャージさせることができる。
【0054】
なお、決済部133は、ユーザの口座の残高が所定のサービスの支払金額よりも少ない場合、所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定部132が判定したことを条件として、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行ったがこれに限らない。例えば、決済部133は、ユーザの口座の残高が所定のサービスの支払金額よりも少ない場合、判定部132が、所定の条件と、所定の条件とは異なる他の条件との双方を満たすと判定した場合に、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行うようにしてもよい。
【0055】
この場合、判定部132は、例えば、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、支払金額から口座の残高を差し引いた金額である不足額が所定金額を超えていないかをさらに判定してもよい。ここで、判定部132は、ユーザの属性情報に基づいて、所定金額を設定してもよい。例えば、記憶部12に、ユーザIDと、ユーザの就労状態を示す情報や、ユーザの収入を示す情報を含む属性情報とを関連付けて記憶させておき、判定部132が、ユーザの就労状態に基づいて、所定金額を設定してもよい。例えば、ユーザが就職しているか、ユーザの収入が所定額以上である場合、ユーザが就職していない場合、及びユーザの収入が所定額未満である場合に比べて、所定金額を高く設定してもよい。
【0056】
そして、決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定されるとともに、不足額が所定金額を超えていないと判定されると、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段により支払金額の決済を行ってもよい。このようにすることで、決済事業者は、ユーザの代わりに所定のサービスの事業者に支払った金額をユーザから回収できなくなるリスクを軽減することができる。
【0057】
また、決済処理装置1の制御部13が本人認証部として機能し、ユーザからユーザIDと、免許証や保険証等の本人証明情報とを受け付けたことに応じて、記憶部12に、ユーザIDと、本人認証が完了したことを示す認証完了情報とを関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0058】
判定部132は、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、所定のサービスに対する過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、ユーザIDに認証完了情報が関連付けて記憶されているか否かに基づいて、本人認証が完了しているか否かをさらに判定してもよい。決済部133は、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定されるとともに、ユーザの本人認証が完了していると判定されると、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段により支払金額の決済を行ってもよい。
【0059】
このようにすることで、決済事業者は、本人証明情報に基づいてユーザの所在を特定し、不足金額の催促を行うことができる。また、ユーザは、不足金額の催促がされないように、自身の口座にチャージしようとするので、決済事業者は、ユーザの代わりに所定のサービスの事業者に支払った金額をユーザから回収できなくなるリスクを軽減することができる。
【0060】
また、判定部132は、ユーザの口座の残高が予め定められている金額よりも少なくなることを条件として口座に自動的に入金する設定、すなわちオートチャージ設定が行われていない場合において、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ないとき、支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定し、オートチャージ設定が行われている場合には、所定の条件を満たすか否かに係る判定を行わないようにしてもよい。オートチャージ設定が行われている場合、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ないことを条件としてオートチャージによりユーザの口座の残高が支払金額よりも多くなることから、所定の条件を満たすか否かの判定に係る処理が不要となる。これに対し、判定部132は、オートチャージ設定が行われている場合に、所定の条件を満たすか否かの判定を行わないので、決済処理装置1は、処理負荷を軽減することができる。
【0061】
特典付与部134は、決済部133による支払金額の決済が完了すると、ユーザに対して特典を付与する。例えば、特典付与部134は、特典として、支払金額の大きさに対応するポイントをユーザに付与する。
【0062】
ここで、特典付与部134は、決済部133による決済時に、ユーザの口座の残高が支払金額以上である場合に、支払金額に基づく特典を付与し、口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、支払金額に対して差し引かれた口座の残高に対応する金額に基づく特典を付与するようにしてもよい。また、特典付与部134は、支払残情報により、ユーザの口座の残高の不足額が管理されている場合において、口座の残高の不足が解消したことに応じて、ユーザの口座の残高の不足額に基づいて、ユーザに特典を付与してもよい。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が不足している場合に、不当にユーザにポイントを付与しないようにすることができる。
【0063】
通知部135は、支払金額の決済が完了した場合、決済が完了したことを示す決済完了情報を所定のサービスの提供者に通知する。また、通知部135は、支払金額の決済が完了した場合、支払いが完了したことを示す支払完了情報をユーザの端末に通知する。
【0064】
通知部135は、決済部133により、ユーザの口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた所定のサービスに係る支払金額の決済が行われた後に、ユーザの口座の残高が不足していることをユーザに通知する。例えば、記憶部12に、ユーザIDと、ユーザのメールアドレス又はユーザが所持する携帯端末の識別情報とを関連付けて記憶しておく。通知部135は、当該支払金額の決済が行われた後に、ユーザIDに関連付けられているユーザのメールアドレス又はユーザの携帯端末に、当該支払金額の決済が行われる口座の残高と、当該支払金額との差額を示す情報を含む決済完了情報を送信することにより、当該情報をユーザに通知する。
【0065】
ここで、通知部135は、所定のサービスに係る支払金額の決済が行われたことにより、ユーザの口座の残高が不足している状態になると、所定のサービスに対応する支払金額を支払ったことにより口座の残高が不足したことを示す情報を、ユーザに通知するようにしてもよい。例えば、通知部135は、所定のサービスを示すサービス名と、当該所定のサービスに対応する支払金額を支払ったことにより、口座の残高が不足したことを示す情報とをさらに含む決済完了情報をユーザに通知してもよい。このようにすることで、ユーザは、所定のサービスに対応する支払金額の支払いにより、口座の残高が不足したことを認識し、口座への入金を行うことができる。
【0066】
また、通知部135は、所定のサービスに係る支払金額の決済が行われたことにより、ユーザの口座の残高が不足した場合、ユーザの口座の残高が不足することなく、所定のサービスに係る支払金額の決済が行われた場合と同様に、決済が完了したことを示す決済完了情報を、所定のサービスの提供者に通知してもよい。
【0067】
[決済処理装置1における処理の流れ]
続いて、決済処理装置1における処理の流れについて説明する。まず、決済処理装置1が決済を行うまでの処理の流れについて説明する。図5は、決済処理装置1における基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
まず、決済要求取得部131は、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得する(S1)。決済要求には、ユーザIDと、サービスIDと、支払金額とが含まれている。
【0069】
続いて、判定部132は、決済要求に含まれるユーザIDに基づいて、所定の決済手段に対応して金額が差し引かれるユーザの口座の残高を特定し、口座の残高が、決済要求に含まれる支払金額よりも少ないか否かを判定する(S2)。判定部132は、口座の残高が決済要求に含まれる支払金額よりも少ないと判定すると、S3に処理を移し、口座の残高が決済要求に含まれる支払金額以上であると判定すると、S7に処理を移す。
【0070】
S3において、判定部132は、S1において取得した決済要求に含まれるサービスIDに基づいて、当該決済要求が所定のサービスに対応しているか否かを判定する。判定部132は、決済要求が所定のサービスに対応していると判定すると、S4に処理を移し、決済要求が所定のサービスに対応していないと判定すると、S6に処理を移す。
【0071】
S4において、判定部132は、決済要求に含まれるユーザIDと、サービスIDとに基づいて、所定のサービスに対応するユーザの支払実績を特定する。そして、判定部132は、特定した支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定する(S5)。判定部132は、支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、S7に処理を移し、支払実績が所定の条件を満たしていないと判定すると、S6に処理を移す。
【0072】
S6において、通知部135は、決済を行うことができないことを示すエラー情報を、決済要求の取得元に送信する。ここで、通知部135は、決済を行うことができないことを示すエラー情報を、ユーザの端末に送信してもよい。
【0073】
S7において、決済部133は、ユーザの口座の残高から、決済要求に含まれる支払金額の少なくとも一部を減算する。具体的には、決済部133は、ユーザの口座の残高が不足していない場合には、支払金額の全額をユーザの口座から減算する。また、ユーザの口座の残高が不足している場合には、支払金額の一部をユーザの口座から減算するとともに、支払残情報を生成する。
決済部133は、所定のサービスの提供元の口座に支払金額を入金する(S8)。ここでは、決済部133は、決済要求に含まれている支払金額の全額を所定のサービスの提供元の口座に入金する。
【0074】
続いて、通知部135は、支払に関する情報をサーバ2に通知するとともに、ユーザの端末に通知する(S9)。通知部135は、ユーザの口座の残高が不足している場合には、当該口座の残高が不足しており、支払金額の一部を決済したことを示す情報をユーザの端末に通知するとともに、支払金額の決済が完了したことを示す決済完了情報をサーバ2に通知する。
【0075】
[決済処理装置1による効果]
以上説明したように、決済処理装置1は、ユーザが利用する所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得し、当該所定の決済手段に対応し、当該決済要求に対して金額が差し引かれるユーザの口座の残高が、支払金額よりも少ない場合に、所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定する。決済処理装置1は、ユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定すると、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行う。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザに対する所定のサービスの提供が停止されないようにすることができる。
【0076】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。上述の実施の形態では、所定の決済手段は、決済処理装置1等のサーバ側で残高を管理するプリペイド式の決済手段であることとしたが、これに限らない。所定の決済手段は、銀行口座から支払金額を引き落とす方式(デビット方式)の決済手段であってもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、決済処理装置1は、サーバ2から、定期的に決済要求を受信することとしたが、これに限らない。例えば、決済処理装置1は、ユーザが所定のサービスの利用を開始し、ユーザが初めて所定のサービスの支払金額を支払う場合にのみ、サーバ2から決済要求を取得してもよい。そして、決済処理装置1は、決済要求に含まれる支払金額と、所定のサービスのサービスIDと、支払日を示す日時情報と、支払方法とを関連付けた定期支払情報を記憶しておき、定期支払情報に基づく支払情報を決済要求として取得してもよい。日時情報は、例えば、日付に限らず、毎月最初の金曜等の支払金額を支払うタイミングが特定できる情報であればよい。また、決済処理装置1は、サーバ2から、所定のサービスの解約要求や支払方法変更の通知を取得したことに応じて、定期支払情報を変更したり、定期支払情報を削除したりしてもよい。
【0079】
また、例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0080】
1 決済処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 決済要求取得部
132 判定部
133 決済部
134 特典付与部
135 通知部

【要約】
【課題】ユーザに対する所定のサービスの提供が停止されないようにする。
【解決手段】決済処理装置1は、ユーザが利用する所定のサービスに対する支払金額を、所定の決済手段を用いて決済することを要求する決済要求を取得する決済要求取得部131と、所定の決済手段に対応し、決済要求に対して金額が差し引かれるユーザの口座の残高が、支払金額よりも少ない場合に、所定のサービスに対するユーザの過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部132と、過去の支払金額の支払実績が所定の条件を満たすと判定部132が判定すると、口座の残高が不足することを許容して、所定の決済手段を用いた支払金額の決済を行う決済部133と、を有する。
【選択図】図2


図1
図2
図3
図4
図5