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特許7117458バランスシールピストン、並びに関連する冷却回路及び方法
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  • 特許-バランスシールピストン、並びに関連する冷却回路及び方法 図1
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  • 特許-バランスシールピストン、並びに関連する冷却回路及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】バランスシールピストン、並びに関連する冷却回路及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/08 20060101AFI20220804BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
F04D29/08 F
F04D29/58 M
F04D29/08 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021523767
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019025406
(87)【国際公開番号】W WO2020104061
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】1871646
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515121243
【氏名又は名称】サーモダイン・エスエイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】デフォイ、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】アルバン、トーマス
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-189394(JP,A)
【文献】特開平06-002693(JP,A)
【文献】特開平05-263789(JP,A)
【文献】特開平01-237394(JP,A)
【文献】特開2006-183465(JP,A)
【文献】特開2003-120597(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054440(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/08
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスシールピストン(44)であって、
モータ圧縮器(30)の圧縮部のホイール(34、35、36、37)に加えられる吸引圧力と吐出圧力との差圧を補償するために前記モータ圧縮器(30)のシャフト(38)上に装着されるように設計されたバランスピストン(50)と、
前記バランスピストン(50)を取り囲み、前記圧縮部を緊密にするために前記モータ圧縮器(30)のケース(31)に装着されるように設計されたシール装置(51)と、
ガス抽出ポート(52)であって、前記ガス抽出ポート(52)の軸方向位置は、前記ガス抽出ポート(52)における抽出ガスの圧力値が所定値(Pext)に等しくなるように決定される、ガス抽出ポート(52)と、を備える、一体型モータ圧縮器用のバランスシールピストン(44)と、
記ガス抽出ポート(52)に接続された入口と、出口と、を備えるガス冷却器(53)と、
受(40、41、42、43)と前記ガス冷却器(53)の前記出口に接続された電気モータ(32)とのための冷却手段(48)と、
を備え
前記ガス抽出ポート(52)における抽出ガスの前記圧力値(Pext)は、前記ガス冷却器(53)及び前記冷却手段(48)によって発生する圧力損失の値以上の値である、一体型モータ圧縮器用の冷却回路。
【請求項2】
前記シール装置(51)は、中心において中空であるディスクを含んだ歯付きラビリンスを備えており、前記ディスクは、隣接する2つの前記ディスクの間に圧力損失を生じさせるように軸方向に沿って分配されており、前記ガス抽出ポート(52)は隣接する前記2つのディスクの間に位置している、請求項1に記載の冷却回路
【請求項3】
前記シール装置(51)は、ハニカム形状を有するシールを備え、前記ガス抽出ポート(52)は前記シールの中心に位置している、請求項1に記載の冷却回路
【請求項4】
前記ガス冷却器(53)の前記出口に接続された入口と、前記冷却手段(48)に接続された出口と、を有するフィルタ(54)を更に備え、前記ガス抽出ポート(52)における前記抽出ガスの前記圧力値(Pext)は、前記ガス冷却器(53)、前記冷却手段(48)及び前記フィルタ(54)によって発生する前記圧力損失の前記値以上の値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却回路。
【請求項5】
ガス冷却器(53)の前記出口と前記冷却手段(48)とに接続された第1の調整弁(55)と、
記電気モータ(32)の温度又は前記軸受(40、41、42)の温度を測定するように設計された少なくとも1つの温度センサ(56、57、58)と、
第1の調整弁(55)と前記温度センサ(56、57、58)とに接続され、前記第1の調整弁(55)を制御する処理ユニット(59)と、
を更に備え、
前記ガス抽出ポート(52)における前記抽出ガスの前記圧力値(Pext)は、前記ガス冷却器(53)、前記第1の調整(55)、及び前記冷却手段(48)によって発生する前記圧力損失の前記値以上の値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却回路。
【請求項6】
前記ガス冷却器(53)の前記出口に接続された入口と、前記第1の調整弁(55)に接続された出口と、を有するフィルタ(54)を更に備え、前記ガス抽出ポート(52)における前記抽出ガスの前記圧力値(Pext)は、前記ガス冷却器(53)、前記第1の調整弁(55)、前記冷却手段(48)及び前記フィルタ(54)によって発生する前記圧力損失の前記値以上の値である、請求項に記載の冷却回路。
【請求項7】
一方では前記モータ圧縮器(30)の吐出ポート(46)に又は前記ホイール(34、35、36、37)の前記出口に接続され、他方では前記冷却手段(48)に接続された第2の調整弁(61)を更に備え、前記第2の調整弁(61)は前記処理ユニット(59)によって制御される、請求項5又は6に記載の冷却回路。
【請求項8】
請求項7に記載の冷却回路を用いて一体型モータ圧縮器を冷却する方法であって、前記温度センサ(56、57、58)によって温度を検出するステップと、前記第1及び第2の調整弁(55、61)によって前記冷却手段(48)に注入されるガスの流量前記温度センサ(56、57、58)によって検出される温度が設定値温度(Tcons)に等しくなるように調整するステップを有する、方法。
【請求項9】
前記温度センサ(56、57、58)によって検出される温度が前記設定値温度(Tcons)よりも高く、前記第1の調整弁(55)によって注入されるガスの流量が所定の最大流量に等しいとき、前記第2の調整弁(61)によって前記冷却手段(48)に注入されるガスの追加流量、前記温度センサ(56、57、58)によって検出される温度が前記設定値温度(Tcons)に等しくなるように調整するステップを有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型モータ圧縮器に関するものであり、より具体的には、スラストバランスシールピストン、冷却回路、並びにそのようなピストンを実現する冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、一体型モータ圧縮器が、モータ圧縮器によって取り扱われるガスに対して緊密である共通のケース2を備え、このケースの中に、電動モータ3と、圧縮器群4、例えば、シャフト9によって担持された1組のインペラ5、6、7及び8を含んだ多段式群と、が配置されている。モータ3は、圧縮器群4のシャフト9に連結されたロータ10を回転駆動する。軸受11、12、13及び14は、モータ圧縮器のシャフトラインを支持するために使用されるものであり、スラストバランスシールピストン15がシャフト9上に装着されている。
【0003】
モータ圧縮器1は、ガス吸引ライン16と、吐出ライン17と、モータ圧縮器の出口から抽出されたガスを冷却するための吸入ライン18と、を更に備えている。
【0004】
トルクバランスシールピストン15は、インペラホイール5、6、7及び8に加えられる吸引圧力と吐出圧力との差圧を補償するためのバランスピストン19と、圧力損失を発生させることによってシャフトの端部を緊密にするためのバランスピストン19を取り囲むシール装置20と、を備えている。
【0005】
漏洩流は、ピストン15を軸方向に通過し、吸引ライン16に接続された漏洩ライン21によってケース2から排出される。
【0006】
圧縮器4によって圧縮された、漏洩ライン21によって収集されたガスは、吸引ライン16内のガスの温度よりも高い温度にある。
【0007】
一般に、モータ圧縮器の入口において受容されるガスの温度は、20~50℃程度であり、漏洩ガスの温度は、180℃程度である。
【0008】
このため、漏洩ガスは、吸引ライン16を循環するガスの温度を上昇させて圧縮器4の効率を低下させる。
【0009】
吐出ライン17は、圧縮ガスを冷却するために、一般に冷却器22に接続されている。
【0010】
冷却器22から離脱するガスの一部が、冷却ガス受容ライン18によってケース2の中へと抽出及び注入される。内部的に、このライン18は、電気モータ3と軸受11、12、13及び14とを冷却するためにケース2の冷却手段23に接続されている。
【0011】
ある変形例では、ホイールから離脱するガスの一部が抽出され、冷却され、次いでケース2に注入される。
【0012】
冷却器22の出口又はホイールの出口で抽出された圧縮ガスは、モータ圧縮器1内を再循環し、モータ圧縮器の効率を低下させ、冷却器から離脱するガスの流量を低減する。
【0013】
したがって、一方ではスラストバランスシールピストンの漏洩流の再循環に関連し、他方ではモータ圧縮器の冷却に関連する欠点を軽減することが提案されている。
【発明の概要】
【0014】
上記を考慮すると、第1の態様によれば、一体型モータ圧縮器用のバランスシールピストンが提案され、このバランスシールピストンは、
-モータ圧縮器の圧縮部のホイールに加えられる吸引圧力と吐出圧力との差圧を補償するためにモータ圧縮器のシャフト上に装着されるように設計されたバランスピストンと、
-バランスピストンを取り囲み、圧縮部を緊密にするためにモータ圧縮器のケースに装着されるように設計されたシール装置と、を備えるものである。
【0015】
本バランスシールピストンはガス抽出ポートを更に備え、抽出ポートの軸方向位置は、抽出されたガスの圧力値が、吐出圧力の値よりも低い所定値に等しくなるように決定される。
【0016】
有利にも、シール装置は、中心において中空であるディスクを含んだ歯付きラビリンスを備えており、これらのディスクは、隣接する2つのディスクの間に圧力損失を生じさせるように軸方向に沿って分配されており、ガス抽出ポートは隣接する2つのディスクの間に位置している。
【0017】
好ましくは、シール装置は、ハニカム形状を有するシールを備え、ガス抽出ポートはシールの中心に位置する。
【0018】
別の態様によれば、
-既に定義されたようなバランスシールピストンと、
-ガス抽出ポートに接続された入口と、出口と、を備えるガス冷却器と、
-軸受とガス冷却器の出口に接続された電気モータとのための冷却手段と、
を備える一体型モータ圧縮器用の冷却回路であって、抽出ポートにおける抽出ガスの圧力値は、ガス冷却器及び冷却手段によって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい、冷却回路が提案される。
【0019】
別の特徴によれば、本冷却回路は、冷却器の出口に接続された入口と、冷却手段に接続された出口と、を有するフィルタを更に備え、抽出ポートにおける抽出ガスの圧力値は、冷却器、冷却手段及びフィルタによって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい。
【0020】
有利にも、本冷却回路は、
-冷却器の出口と冷却手段とに接続された調整弁と、
-電気モータの温度又は軸受の温度を測定するように設計された少なくとも1つの温度センサと、
-調整弁と温度センサとに接続され、調整弁を制御する処理ユニットと、を更に備え、
抽出ポートにおける抽出ガスの圧力値は、冷却器、弁、及び冷却手段によって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい。
【0021】
好ましくは、本回路はしたがって、冷却器の出口に接続された入口と、調整弁に接続された出口と、を有するフィルタを更に備え、抽出ポートにおける抽出ガスの圧力値は、冷却器、調整弁及びフィルタによって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい。
【0022】
別の特徴によれば、本冷却回路は、一方ではモータ圧縮器の吐出ポートに又はホイールの出口に接続され、他方では冷却手段に接続された第2の調整弁を更に備え、第2の調整弁は処理ユニットによって制御される。
【0023】
第2の態様によれば、一体型モータ圧縮器を冷却する方法であって、調整弁によって冷却手段に注入されるガスの流量は、少なくとも1つの温度センサによって検出される温度が設定値温度に等しくなるように調整される、方法が提案される。
【0024】
有利にも、少なくとも1つの温度センサによって検出される温度が設定値温度よりも高く、調整弁によって注入されるガスの流量が所定の最大流量に等しいとき、第2の調整弁によって冷却手段に注入されるガスの追加流量は、少なくとも1つの温度センサによって検出される温度が設定値温度に等しくなるように調整される。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、単に非限定的な例としてのみ与えられた本発明の実施形態の以下の説明を読むこと、及び図面を参照することによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】前述した先行技術のモータ圧縮器である。
図2】モータ圧縮器の第1の実施形態である。
図3】モータ圧縮器の第2の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一体型モータ圧縮器30の第1の実施形態を示す図2を参照する。
【0028】
一体型モータ圧縮器30は、電気モータ32と圧縮器群33とが中に配置される共通の緊密ケース31を備え、圧縮器群33は、例えば、シャフト38によって担持された1組のインペラホイール34、35、36及び37を有する圧縮部を備えている。モータ32は、圧縮器群33のシャフト38に連結されたロータ39の回転を駆動する。軸受40、41、42及び43は、モータ圧縮器のシャフトラインと、シャフト38の一方の端部に装着されたバランスシールピストン44と、を支持するために使用される。
【0029】
このピストン44は、差圧の影響下でモータ圧縮器の圧縮段階に作用する推力の均衡を保つように、また圧縮部の緊密性を確実にするように設計されている。
【0030】
モータ圧縮器30は、ガス吸引ポート45及び圧縮ガス吐出ポート46と、電動モータ32の冷却手段48に接続された冷却ポート47と、ベアリング40、41、42及び43と、吸引ポート45に接続された漏洩ポート49と、を更に備える。
【0031】
冷却手段48は冷却ガスを送達する。
【0032】
漏洩流は、スラストバランスシールピストン44を軸方向に通過し、漏洩ポート49によってケース31から排出される。
【0033】
軸受40、41、42及び43は、モータ圧縮器30が作動しているときにシャフト38が支持されるように、電磁軸受を備えてもよい。
【0034】
バランスシールピストン44は、圧縮器33のホイールに加えられる吸引圧力と吐出圧力との差圧を補償するためのバランスピストン50と、圧力損失を発生させることによってシャフトの端部を緊密にするためのバランスピストン50を取り囲むシール装置51と、を備えている。
【0035】
ピストン44はガス抽出ポート52を更に備える。
【0036】
抽出ポート52の軸方向位置は、抽出ガスの圧力値が吐出圧力の値よりも低い所定値Pextに等しくなるように決定される。
【0037】
シール装置51は、中心において中空であるディスクを含んだ歯付きラビリンスを備えており、これらのディスクは、隣接する2つのディスクの間に圧力損失を生じさせるように軸方向に沿って分配されており、ガス抽出ポート52は隣接する2つのディスクの間に位置している。
【0038】
ある変形例において、シール装置51は、ハニカム形状を有するシールを備え、ガス抽出ポート52はシールの中心に位置する。
【0039】
漏洩ポート49を通って循環する高温ガスの量は、抽出ポート52によって抽出されたガスの量だけ減少する。
【0040】
したがって、吸引ポートにおけるガスの温度は、抽出ポートを有さないスラストバランスシールピストンの場合の温度よりも低い。
【0041】
モータ圧縮器の効率が改善される。
【0042】
モータ圧縮器30は、バランスシールピストン44と、その1つの入り口が抽出ポート52に接続され、出口がフィルタ54の入り口に接続されたガス冷却器53と、を備える冷却回路を更に備え、フィルタの1つの出口は、冷却手段49に接続された調整弁55に接続されている。
【0043】
冷却器53は、その入口において循環するガスを冷却する。
【0044】
冷却回路は、電気モータ32の温度と軸受41及び42の温度とを測定する温度センサ56、57、及び58と、調整弁55を制御し、温度センサによって送信された温度情報を受信する処理ユニット59と、を更に備える。
【0045】
ある変形例では、各軸受が温度センサを備えてもよい。
【0046】
フィルタ54は、ガス中に含まれている粒子及び水分を除去するために、出口においてガスを濾過する。
【0047】
処理ユニット59は、温度センサ56、57、及び58によって検出される温度が、電気モータ32及び軸受を劣化させないように選定された設定値温度Tconsに等しくなるように、調整弁55によってモータ圧縮器の冷却回路の中に注入されるガスの流量を調整する。
【0048】
冷却回路は温度制御ループを備える。
【0049】
処理ユニット59は、例えばマイクロプロセッサによって実現される。
【0050】
これは、温度センサ56、57、及び58によって検出される温度が設定値温度Tconsに等しくなるように調整弁55を制御することが可能な任意の装置であってよい。
【0051】
抽出ポート52において抽出されるガス圧力の所定値Pext1は、冷却手段48、冷却器53、フィルタ54及び調整弁55によって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい。冷却回路の要素を接続するラインによって発生される圧力損失は、当該要素によって発生する圧力損失と比較して無視できると仮定される。
【0052】
ある変形例では、冷却回路はフィルタ54を有さない。抽出ポート52において抽出されるガス圧力の所定値Pext2は、冷却手段48、冷却器53、及び調整弁55によって発生する圧力損失の値に少なくとも等しい。
【0053】
他の実施形態によれば、冷却回路は弁55を有さない。抽出ポート52において抽出されるガス圧力の所定値Pext3は、回路がフィルタ54を含んでいる場合は、所定値Pext1から弁55によって発生する圧力損失の値を引いた値に等しく、あるいは、所定値Pext2から弁55によって発生する圧力損失の値を引いた値に等しい。
【0054】
冷却手段48は、44として参照されるピストンから逃げ出した漏洩ガスを注入する。
【0055】
その結果、冷却ガスは、吐出ポート46において、あるいはホイール34、35、36及び37のうちのいずれにおいても抽出されず、ガスの再循環が低減される。モータ圧縮器の効率が改善される。
【0056】
ここで、一体型モータ圧縮器30の第2の実施形態を示す図3を参照する。
【0057】
以下では、前述した要素と同一の要素は、同じ参照符号によって識別される。
【0058】
この実施形態は、冷却回路が、1つの入口が吐出ポート46に接続された第2の冷却器60と、第2の冷却器60の出口に接続された第2の調整弁61と、を更に備えるという点で、第1の実施形態と異なっている。
【0059】
ある変形例において、第2の冷却器60の入口は、圧縮部のホイール34、35、36又は37の出口に接続される。
【0060】
第2の冷却器60は、圧縮器33から離脱するガスを冷却する。
【0061】
他の実施形態によれば、第2の調整弁61は、吐出ポート46に、あるいは圧縮部のホイール34、35、36又は37の出口に直接接続される。
【0062】
第2の調整弁61は、冷却ポート47に更に接続される。
【0063】
処理ユニット59は、温度センサ56、57及び58によって検出された温度が設定値温度Tconsよりも高く、第1の調整弁55によって注入されるガスの流量が所定の最大流量に等しいときに、冷却手段48内の第2の調整弁によって注入される追加ガスの流量が、温度センサによって検出される温度を、その温度が設定値温度Tconsに等しくなるまで低減させるように、第2の調整弁61を更に制御する。
【0064】
所定の最大流量は、第1の調整弁55を通過するガスの最大流量である。
【0065】
ある変形例において、冷却回路が第1の調整弁55を含まない場合、処理ユニット59は、温度センサ56、57及び58によって検出される温度が設定値温度Tconsよりも高いときに、冷却手段48内の第2の調整弁によって注入されるガスの追加流量が、温度センサによって検出される温度を、その温度が設定値温度Tconsに等しくなるまで低減させるように、第2の調整弁61を制御する。
【0066】
この実施形態では、抽出ポート52において抽出された漏洩ガス流量が、モータ32及び軸受を設定温度Tconsまで冷却するのに十分ではない場合、追加のガス流が吐出ポート46において抽出される。
【0067】
冷却回路の冷却能力が改善される。
【0068】
吐出ポートにおいて抽出された追加のガス流は、圧縮器34から離脱するガス流と比較して無視できるため、モータ圧縮器の効率は低下しない。
【0069】
他の実施形態によれば、モータ圧縮器30は、そのシャフト上に装着されたいくつかの圧縮部を備えてもよく、各圧縮部は、スラストバランスシールピストンに接続される。
【0070】
低圧値が最低であるスラストバランスシールピストンは、ガス抽出ポートを備える。
図1
図2
図3