(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】充放電検査設備
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20220804BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220804BHJP
G01R 31/364 20190101ALI20220804BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/364
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2022014956
(22)【出願日】2022-02-02
【審査請求日】2022-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛志
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-174652(JP,A)
【文献】特開2014-142302(JP,A)
【文献】特開2012-083263(JP,A)
【文献】特開2015-117995(JP,A)
【文献】特開2013-148459(JP,A)
【文献】特開平07-097004(JP,A)
【文献】特開2014-196930(JP,A)
【文献】特開2015-052469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 -10/48
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G01R 31/36 -31/44
G01R 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、検査対象となる複数の二次電池を有し、搬送装置によって所定位置に搬送される複数の電池ユニットと、
それぞれ、前記所定位置に配置された前記電池ユニットの前記二次電池の充放電を行う複数の充放電装置と、
前記搬送装置によって搬送され、前記電池ユニットに代わって配置されて予め設定した処理を行う処理装置とを有し、
前記充放電装置の接続端子は、前記各二次電池に接続される充放電用端子と前記処理装置に接続される処理用端子に分かれ
、しかも前記充放電用端子と前記処理用端子は電気的に導通していることを特徴とする充放電検査設備。
【請求項2】
請求項1記載の充放電検査設備において、前記処理装置は前記各充放電装置の校正を行う校正装置であり、かつ、前記処理用端子は校正用端子であり、前記校正装置に前記校正用端子が接続されることを特徴とする充放電検査設備。
【請求項3】
請求項2記載の充放電検査設備において、前記校正装置は、前記充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備え、該劣化診断用端子が接続された負荷に前記充放電装置から電流を流して前記充放電用端子の劣化度を測定することを特徴とする充放電検査設備。
【請求項4】
請求項1記載の充放電検査設備において、前記処理装置は前記充放電用端子の劣化度を測定する診断用装置であり、該診断用装置は前記充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備え、該劣化診断用端子が接続された負荷に前記充放電装置から電流を流して前記充放電用端子の劣化度を測定することを特徴とする充放電検査設備。
【請求項5】
請求項3又は4記載の充放電検査設備において、前記劣化診断用端子には該劣化診断用端子の温度を測定するための素子が取付け固定されていることを特徴とする充放電検査設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充放電検査設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車、その他の電気製品等において、リチウムイオン電池やニッケル水素電池を始めとする充放電可能な二次電池が広く使用されている。
この電池の製造においては、従来の充放電用電池と同様、製造した電池の充放電試験を行い、電池が所定の性能や特性を満たしているか否かを検査してから出荷している。
充放電試験は、二次電池用の充放電検査設備(充放電検査システム)を用いて行うことができる。例えば、特許文献1記載の充放電検査システムは、複数の二次電池を収容して充放電検査を行う充放電装置(電池検査ユニット)と、二次電池に代わって配置され充放電装置の校正を行う校正装置を有しており、充放電装置は電源(充放電電源)から各二次電池に給電するための複数の充放電用端子(接触子)を備え、校正装置は二次電池に代えて充放電用端子に接続するための接触子(接続端子)を備えている。校正装置は搬送装置によって充放電装置へと搬送され、接触子を充放電用端子が接続可能となる搬送位置に位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、充放電装置の充放電用端子は、長期の使用により二次電池との接触部分が摩耗していくため、この摩耗した充放電用端子を校正装置の接触子に接続して校正を行った場合、接触不良が発生している状態で校正が行われる可能性があり、校正の信頼性が損なわれる。この接触不良は、校正装置のみならず、予め設定した処理を行う各種処理装置を充放電用端子に接続する場合も同様に発生する。
なお、接触不良は、充放電用端子の摩耗状況(劣化状況)を検出することで回避することもできるが、充放電用端子は充放電装置に複数(多数)設けられているため容易でない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来よりも校正等の各種処理の信頼性を向上可能な充放電検査設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る充放電検査設備は、それぞれ、検査対象となる複数の二次電池を有し、搬送装置によって所定位置に搬送される複数の電池ユニットと、
それぞれ、前記所定位置に配置された前記電池ユニットの前記二次電池の充放電を行う複数の充放電装置と、
前記搬送装置によって搬送され、前記電池ユニットに代わって配置されて予め設定した処理を行う処理装置とを有し、
前記充放電装置の接続端子は、前記各二次電池に接続される充放電用端子と前記処理装置に接続される処理用端子に分かれ、しかも前記充放電用端子と前記処理用端子は電気的に導通している。
【0007】
本発明に係る充放電検査設備において、前記処理装置は前記各充放電装置の校正を行う校正装置であり、かつ、前記処理用端子は校正用端子であり、前記校正装置に前記校正用端子が接続されることが好ましい。
ここで、前記校正装置は、前記充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備え、該劣化診断用端子が接続された負荷に前記充放電装置から電流を流して前記充放電用端子の劣化度を測定するのがよい。
【0008】
本発明に係る充放電検査設備において、前記処理装置は前記充放電用端子の劣化度を測定する診断用装置であり、該診断用装置は前記充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備え、該劣化診断用端子が接続された負荷に前記充放電装置から電流を流して前記充放電用端子の劣化度を測定することが好ましい。
【0009】
本発明に係る充放電検査設備において、前記劣化診断用端子には該劣化診断用端子の温度を測定するための素子が取付け固定されているのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る充放電検査設備は、充放電装置の接続端子が、各二次電池に接続される充放電用端子と、予め設定した処理を行う処理装置に接続される処理用端子に分かれているので、例えば、処理装置が校正装置である場合、従来のように、使用により摩耗した充放電用端子を、校正装置(処理装置)に接触させることなく、校正用端子(処理用端子)を校正装置に接続することにより、校正装置による充放電装置(充放電電源)の校正(各種処理)を実施できる。
従って、従来よりも校正等の各種処理の信頼性を向上できる。
【0011】
また、校正装置が充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備える場合、充放電装置の校正を行った後、引き続き充放電装置から負荷に劣化診断用端子を介して電流を流し、充放電用端子両端の電圧を測定して抵抗を算出することで、充放電用端子の劣化状況を把握できる(充放電用端子の交換推奨時期を把握できる)。
このため、処理装置として、劣化診断用端子を備える診断用装置(校正機能を有しない装置)を使用する場合は、充放電用端子の劣化状況を検討する際の信頼性を向上できる。
ここで、劣化診断用端子に温度を測定するための素子が取付け固定された場合、劣化診断用端子の発熱温度を測定することで、充放電用端子の劣化状況を把握できる(充放電用端子の交換推奨時期を把握できる)。
なお、充放電用端子の劣化状況は、上記した抵抗の算出と発熱温度の測定のいずれか一方又は双方を用いて把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る充放電検査設備の説明図である。
【
図2】同充放電検査設備に使用する充放電装置と校正装置の使用状態の説明図である。
【
図3】変形例1に係る充放電装置と校正装置の使用状態の説明図である。
【
図4】変形例2に係る校正装置の使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る充放電検査(試験)設備10は、それぞれ、検査対象となる複数の二次電池を有する複数の電池ユニット(図示しない)と、それぞれ、電池ユニットの二次電池の充放電を行う複数の充放電装置11と、各充放電装置11の校正を行う校正装置(予め設定した処理を行う処理装置の一例)12と、電池ユニットと校正装置12をそれぞれ所定位置(後述する検査棚15内で充放電又は校正が行える位置)に搬送する搬送装置13とを有している。なお、電池ユニットは、電池トレイと、この電池トレイに並べて配置(セット、搭載)された複数の二次電池とを有している。
以下、詳しく説明する。
【0014】
充放電検査設備10は、複数(ここでは2台)の検査架台14を備えている。
検査架台14には、電池ユニットを収容可能な検査棚15が、上下(高さ)方向及び左右(幅)方向に複数設けられ、2台の検査架台14が、間隔を有して各検査棚15が向き合うように対向配置されている。
各検査棚15には、充放電電源(電源)16に接続される複数の接続端子17が設けられた充放電装置11が設置され、接続端子17は、各二次電池に接続される複数の対となる充放電用端子18、19と、校正装置12に接続される複数の対となる校正用端子(処理用端子の一例)20、21に分かれている。なお、充放電装置11の個数は検査棚15の個数と同じであり、充放電電源16は二次電池に給電するためのものであり、電流及び電圧の計測機能を有し、例えば、検査棚15に格納、及び/又は、検査棚15とは異なる場所に設置できる。
【0015】
充放電用端子18、19は、二次電池の正極と負極に当接可能な対となるものであり、電池トレイに並べて配置された複数の二次電池の上方に、各二次電池の配列位置に対応して(平面視して重なるように)取付けられている。この充放電用端子18、19は、充放電電源16が有する複数のチャンネルに配線22、23を介して接続されている。
校正用端子20、21は、電池ユニット(電池トレイ)に代えて検査棚15に配置される校正装置12の正極と負極のピン状の接触子24、25に当接可能となっている。この校正用端子20、21は、上記した配線22、23に接続した配線26、27に接続され、校正装置12の上方に一対の充放電用端子18、19とは別に、平面視して異なる位置に独立して取付けられている。このように、一対の校正用端子20、21はそれぞれ、充放電用端子18、19に電気的に導通している。
【0016】
校正装置12は、検査棚15に収容可能な寸法に形成されている。
校正装置12に設けられた複数の接触子24、25は、複数の校正用端子20、21の配列位置に対応して(検査棚15に収容した際に平面視して重なるように)設けられている。なお、接触子24、25は、校正装置12のケーシング28上部に設けられた突出部(段差部)29に、その上方に突出した状態で設けられているため、充放電用端子18、19を校正装置12に接触させることなく、校正装置12の接触子24、25を校正用端子20、21に接触させることができる。
接触子24、25の数、及び、複数対の接触子24、25の配置間隔(ピッチ)は、充放電装置11に設けられた校正用端子20、21の数、及び、複数対の校正用端子20、21の配置間隔に一致しているが、以下のように異なってもよい。
【0017】
例えば、校正装置に設けられた複数の接触子は、充放電装置に設けられた複数の校正用端子の配列の一部に適合する配列に配置してもよい。即ち、接触子が校正用端子より少数でもよい。
この場合、接触子を校正済みの校正用端子から未校正の校正用端子につなぎ替えることにより、全ての校正用端子に対して校正を完了できる。
また、複数の接触子の一部が複数の校正用端子の配列に適合する配列で配置されてもよい。即ち、接触子が校正用端子より多数でもよい。
この場合、校正装置は、種々の間隔で配列された多数の接触子を備え、種々の配列間隔の校正用端子に対応可能に構成されてもよい。
【0018】
上記した配線22、23と配線26、27の接続部分には、二次電池への給電と校正装置12への給電を切替えるための切替え回路(図示しない)が設けられている。なお、ノイズ対策や絶縁保護のため、上記した接続部分にリレー回路を設けて、二次電池への給電と校正装置12への給電を切替えてもよい。
また、充放電検査設備10では、校正装置12の接触子24、25がピン状となって、充放電装置11に設けられた平坦な校正用端子20、21に当接可能な構成となっているが、
図3に示す充放電装置11aと校正装置(処理装置の一例)12aのように、充放電装置11aにピン状の校正用端子(処理用端子の一例)20a、21aを取付け、校正装置12aの平坦な接触子24a、25aに当接可能な構成にすることもできる。
【0019】
更に、校正装置12の代わりに、
図4に示す校正装置(処理装置の一例)12bを使用することもできる。
校正装置12bは、充放電用端子18、19に接続するための劣化診断用端子30、31を備えている(一対の接触子24、25と一対の劣化診断用端子30、31をそれぞれ複数対有する)。この劣化診断用端子30、31は負荷(基準負荷)に接続されている。
これにより、充放電用端子18、19と劣化診断用端子30、31を用いて、充放電電源16から負荷に電流Iを流すことで、接触子24と劣化診断用端子30に接続された電圧計と、接触子25と劣化診断用端子31に接続された電圧計により、各充放電用端子18、19両端の電圧(V1、V2)を測定できる。この電圧と、充放電電源16から流す電流を用いて、抵抗を算出することにより、充放電用端子18、19の劣化状況を把握できる(劣化度を測定(検出)できる)。
【0020】
また、校正装置12bは、温度を測定するための素子32、33を備え、この素子32、33がそれぞれ劣化診断用端子30、31の裏面側(校正装置12b内)に取付け固定されている。
これにより、充放電用端子18、19と劣化診断用端子30、31を用いて、充放電電源16から負荷に電流を流すことで、劣化診断用端子30、31の発熱温度を測定でき、充放電用端子18、19の劣化状況を把握できる(劣化度を測定(検出)できる)。
なお、充放電用端子の劣化状況は、上記した抵抗の算出と発熱温度の測定のいずれか一方又は双方を用いて把握でき、例えば、算出した抵抗値が予め設置した値以上、又は、測定した発熱温度が予め設置した値以上となった場合は、充放電用端子18、及び/又は、充放電用端子19が劣化したと判断し、交換することができる。
【0021】
充放電装置11に設けられた校正用端子20、21と、校正装置12に設けられた接触子24、25の接触は、校正用端子20、21に対して校正装置12を上昇させることで実施できるが、校正装置12に対して校正用端子20、21(充放電装置11)を下降させてもよく、また、上昇と下降を併用してもよい。
また、充放電装置11に設けられた充放電用端子18、19と、二次電池の正極及び負極の接触も同様に、充放電用端子18、19に対して電池ユニット(二次電池が収容された電池トレイ)を上昇させることで実施できるが、電池ユニットに対して充放電用端子18、19(充放電装置11)を下降させてもよく、また、上昇と下降を併用してもよい。
各昇降は、検査棚15内に取付けられた昇降機構(昇降手段)により実施できる。
【0022】
搬送装置13は、
図1に示すように、対向配置された2台の検査架台14の間に設置され、校正装置12又は電池ユニットを、外部の収納場所から、各検査棚15内に搬送するための自動搬送装置(例えば、スタッカークレーン)である。この搬送装置は、例えば、X方向、Y方向、及び、Z方向のそれぞれに校正装置12又は電池ユニットを直線的に搬送可能に構成されている。
具体的には、搬送装置13は、校正装置12又は電池ユニット(電池トレイ)を下方から支持するフォーク部を有し、このフォーク部を上下及び前後に動かすことにより、校正装置12又は電池ユニットを、所望の検査棚15に対して搬送し、充放電装置11に対して位置決めすることができる。
【0023】
なお、上記した充放電装置11(充放電装置11a)、校正装置12(校正装置12a、12b)、及び、搬送装置13は、充放電検査設備10に設けられた図示しない制御部(例えば、管理用パソコン)と、有線、及び/又は、無線で、電気的に接続されているため、各装置の動作は制御部により制御され、制御部からの指令に基づいて行われる。この制御部からの指令は、制御部に入力された予め設定したプログラムを用いて自動的に行われるが、手動で行ってもよい。
これにより、校正装置12と電池ユニットの搬送及び位置決め、二次電池の充放電検査、及び、充放電装置11の校正を実施できる。
【0024】
続いて、本発明の一実施の形態に係る充放電検査設備10を用いた二次電池の充放電検査方法と充放電装置11(充放電電源16)の校正(メンテナンス)方法について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
二次電池の充放電検査は、まず、電池トレイに複数の二次電池がセットされた電池ユニットを搬送装置13により、外部の収納場所から予め設定した検査棚15に搬送する。このとき、検査棚15内の充放電装置11に設けられた充放電用端子18、19が、複数の二次電池の上方に位置するように(接続可能となるように)、電池ユニットを位置決めする。
そして、充放電用端子18、19に対し二次電池(電池トレイ)を上昇させ、充放電用端子18、19に二次電池の正極及び負極を接触(当接)させた後、予め設定した充放電プログラムに基づいて、二次電池の充放電検査を行う。
【0025】
また、予め設定した期間使用した充放電電源16は、校正装置12による校正が必要となることから、上記した電池ユニット(二次電池)に代えて、校正装置12を搬送装置13により、外部の収納場所から予め設定した検査棚15に搬送する。このとき、検査棚15内の充放電装置11に設けられた校正用端子20、21が、校正装置12の接触子24、25の上方に位置するように(接続可能となるように)、校正装置12を位置決めする。なお、校正装置12は、例えば、1台であるが、充放電検査設備の規模に応じて2台以上の複数台でもよく、複数の場合は複数の充放電装置11を同時に校正できる。
そして、校正用端子20、21に対し校正装置12を上昇させ、校正用端子20、21に校正装置12の接触子24、25を接触(当接)させた後、予め設定した校正プログラムに基づいて、充放電電源16を校正する(即ち、校正プロセスを実施する)。
【0026】
なお、上記した二次電池の充放電検査が終了した後は、電池ユニットを下降させ、充放電用端子18、19と二次電池の正極及び負極とを非接触状態にし、搬送装置13により所定の場所まで搬送する。また、上記した校正装置12も同様に、充放電電源16の校正が終了した後は、校正装置12を下降させ、校正用端子20、21と校正装置12の接触子24、25とを非接触状態にし、搬送装置13により所定の場所まで搬送する。
上記した二次電池の充放電検査と充放電電源16の校正は並行して行われる。即ち、校正装置12がある充放電装置で校正プロセスを実行しているとき、他の充放電装置では二次電池の充放電検査が実行される。
【0027】
このように、充放電電源16の校正に、二次電池の充放電検査を行うための充放電用端子18、19を用いることなく、この充放電用端子18、19とは別に独立して設けられた校正用端子20、21を用いるため、校正プロセス時に校正装置12の接触子24、25が充放電用端子18、19に接触することを防止できる。
従って、充放電用端子18、19の摩耗による影響がなくなるため、従来よりも校正の信頼性を向上できる。
【0028】
なお、
図4に示す校正装置12bを使用して、充放電電源16(充放電装置)を校正する場合は、上記した充放電電源16の校正を行った後、校正装置12b内に設けられた校正回路と劣化診断回路を内部回路で切替える。
校正装置12bは、接触子24、25がそれぞれ充放電装置11に設けられた校正用端子20、21に接触した状態で、劣化診断用端子30、31もそれぞれ充放電装置11の充放電用端子18、19に接触しているため、充放電電源16から負荷に劣化診断用端子30、31を介して電流を流すことで、充放電用端子18両端と充放電用端子19両端の電圧をそれぞれ測定して抵抗を算出できる。このとき、劣化診断用端子30、31にそれぞれ取付け固定された素子32、33により、劣化診断用端子30、31の発熱温度を測定できる。
【0029】
上記した抵抗の算出と発熱温度の測定のいずれか一方又は双方を用いることで、充放電用端子18、19の劣化状況(劣化度)を把握でき(充放電用端子18、19の交換推奨時期を把握でき)、例えば、算出した抵抗値が予め設置した値以上となった場合、及び/又は、測定した発熱温度が予め設置した値以上となった場合は、充放電用端子18、及び/又は、充放電用端子19が劣化したと判断し、交換することができる。
従って、従来よりも校正の信頼性を向上できると共に、充放電用端子18、19の劣化状況も把握できる。
【0030】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の充放電検査設備を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、予め設定した処理を行う処理装置として、校正用端子を備えた校正装置(劣化診断用端子を備えない場合、又は、備える場合)を使用した場合について説明したが、この校正装置の代わりに、又は、この校正装置と共に、例えば、充放電用端子の劣化度を測定する診断用装置(即ち、校正機能を有しない装置)を、処理装置として使用することもできる。この診断用装置は充放電用端子に接続するための劣化診断用端子を備え、劣化診断用端子が接続された負荷に充放電装置から電流を流して充放電用端子の劣化度を測定するものである。ここで、充放電検査設備が、校正装置と診断用装置の双方を有する場合、二次電池の充放電検査と、充放電装置の充放電電源の校正と、充放電用端子の劣化度の測定は、並行して行われる。この診断用装置は、1台でもよく、また、2台以上の複数台でもよく、複数の場合は複数の充放電装置で同時に充放電用端子の劣化度を測定できる。
【0031】
また、前記実施の形態において、充放電用端子の劣化状況は、抵抗の算出と発熱温度の測定のいずれか一方又は双方を用いて把握したが、例えば、大電流の二次電池に用いる充放電用端子は低抵抗で測定が難しくなるため、発熱温度の測定で把握することが好ましい。
そして、前記実施の形態においては、充放電装置に設けられた充放電用端子と校正用端子の双方を、下方に向けて配置した場合について説明したが、校正用端子は充放電装置に充放電用端子とは別に独立して設けられればよく、例えば、充放電用端子と校正用端子の双方を、上方に向けて配置することもでき、また、充放電装置の下方と上方にそれぞれ配置することもできる(具体的には、充放電用端子を下方(又は上方)に、校正用端子を上方(又は下方)に、それぞれ向けることもできる)。
更に、前記実施の形態においては、2台の検査架台を使用した場合について説明したが、1台でもよく、また、3台以上の複数台でもよい。なお、検査架台の配置は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0032】
10:充放電検査設備、11、11a:充放電装置、12、12a、12b:校正装置(処理装置)、13:搬送装置、14:検査架台、15:検査棚、16:充放電電源、17:接続端子、18、19:充放電用端子、20、20a、21、21a:校正用端子(処理用端子)、22、23:配線、24、24a、25、25a:接触子、26、27:配線、28:ケーシング、29:突出部、30、31:劣化診断用端子、32、33:素子
【要約】
【課題】従来よりも校正等の各種処理の信頼性を向上可能な充放電検査設備を提供する。
【解決手段】それぞれ、検査対象となる複数の二次電池を有し、搬送装置13によって所定位置に搬送される複数の電池ユニットと、それぞれ、所定位置に配置された電池ユニットの二次電池の充放電を行う複数の充放電装置11と、搬送装置13によって搬送され、電池ユニットに代わって配置されて予め設定した処理を行う処理装置12とを有し、充放電装置11の接続端子17は、各二次電池に接続される充放電用端子18、19と処理装置12に接続される処理用端子20、21に分かれている。
【選択図】
図2