(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
A45C3/00 S
A45C3/00 T
A45C3/00 U
(21)【出願番号】P 2018113164
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2019-10-18
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018089520
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518158385
【氏名又は名称】田巻 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】田巻 堅太郎
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】柿崎 拓
【審判官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-140427(JP,U)
【文献】登録実用新案第3185506(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C3/00
A45C5/00
A45C7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体を構成する側面と、1つの底面と、物の出し入れ口が設けられたトップ
面とを備え、前記トップ面の面積が前記底面の面積よりも大き
いバッグで
あって、前記胴体を構成する側面は2つの対向するたわまない側面を有し、
前記たわまない側面を除いた側面の全体がたわみ、前記トップ面の全体がたわむバッグであり、
(1)前記底面が長方形の場合は、前記
たわまない側面の高さ及び底面の短辺を長辺の約0.6倍の長さで、(2)前記底面が円形の場合は前記
たわまない側面の高さを直径とほゞ同じ長さで、(3)前記底面が楕円形の場合は前記
たわまない側面の高さを、短径とほゞ同じ長さで、(4)前記底面が正方形の場合は、前記たわまない側面の高さを、一辺とほゞ同じ長さで、夫々設けたバッグ。
【請求項2】
前記胴体を構成する側面におけるたわまない2つの側面の上部に相対向して取手をつけ、前記一方の取手側から他方の取手側に向けて前記トップ面の物の出し入れ口の開閉を行うファスナーがほゞ直線的に設けられていることを特徴とする[請求項1]記載のバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物の出し入れ口が大きく出来ており、又物の出し入れ口の周りが柔軟性を持っている為物の出し入れがし易く物をたくさん収納出来て、且つ物が少い時には小さくコンパクトな形状に出来るバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッグは、底の形とバッグ全体の形状から分類すると、大きく分けて、底が長方形又は正方形で箱型及び底が円形又は楕円形で筒型の2種類になる。
【0003】
図1は(a)底が長方形又は(b)底が正方形で夫々箱型のものである。トップ(1)及び(13)には蓋はつけられていず、開いている。別途蓋状の物を作ってかぶせる形が多い。
【0004】
図2は(a)底が円形又は(b)底が楕円形で夫々筒型のものである。トップ(7)及び(10)は蓋がつけられず開いており、紐又は帯状のもので縛って閉じることが多い。
【先行技術文献】
【0005】
【文献】特開2000-245518
【文献】実用新案登録番号第3033309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のほとんどのバッグは、箱型又は筒型に出来上っており、はなはだ柔軟性に欠ける閉じられた空間を形成している。従って物を入れる時、その限られた空間に、いかに上手に物を押し込むかという気持が大なり小なり先立つことが多い。
特に大きさは小さいにもかかわらずその形状によっては、つめ込むのが困難な場合もあって、中に入れる物の形状にかなりの制約を受けて、物が思うほど多くは入らないことが多い。
【0007】
他方、トートバッグのトップに蓋をつけ蓋の面積を大きくして対応しようとする提案もあるが、バッグの深さが深すぎ、底面の巾が狭く面積が小さすぎるため、バッグ全体に柔軟性を欠き物が思うようには入らず、大きくしたトップが下方にかぶるような形状となるので実際以上に重さを感じ、物を入れない時でもコンパクトにならず携帯性にも欠けるという問題がある。
【0008】
これに対して、バッグに物を入れると、どんな形のものも「風呂敷で包むように」それらの物の形や大きさに合わせてバッグ自身も柔軟に形状を変化させながら、やさしく折りたたむように包み込むようなバッグ、従っていろいろな形の物でもたくさん収納が出来、且つ物が少い時でもコンパクトに小さく出来るバッグ、更にはどのような状態でも全体の姿が美しく収まるようなバッグは出来ないものかと考え、その機能を有するバッグを開発した。
【0009】
本発明は中に入れられる物を労り受入れるバッグであり、文字通り物を「革で包み込む」ようなバッグを提供することを目的とする。本発明に係るバッグは新しいもう一つのバッグの在り方を主張するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
「胴体を構成する側面と1つの底面と、物の出し入れ口が設けられたトップ面を備えるバッグであって、前記トップ面の面積が前記底面の面積よりも大きく、前記胴体を構成する側面において、2つの対向するたわまない側面を有し、前記たわまない側面を除いた側面の全体と、トップ面の全体がたわむことを特徴とするバッグ。」
【0011】
前記底面が長方形、正方形、円形、楕円形、樽型、蒲鉾型のいずれかの形状からなり、前記トップ面が長方形、正方形、円形、楕円形、樽型、蒲鉾型のいずれかの形状からなることを特徴とする 0010 記載のバッグ。
【0012】
「胴体を構成する側面における、
前記たわまない
2つの対向する側面の上部に取手をつけ、前記一方の取手側から
対向する取手側に向けて、前記トップ面の物の出し入れ口の開閉を行うファスナーが設けられていることを特徴とする0010
及び0011記載のバッグ([0017][
図6])。」
【0013】
本発明に係わるバッグは現行バッグ類で使われるすべての材料で作ることが出来たわむ部分に、より柔軟性のある材料を使って、よりたわむ効果を上げてバッグ全体にわたる柔軟性を高めることが出来、バッグ全体にコーティングを施した材料を使えばバッグの中の物に対してほゞ完全な防水・防滴・防塵性を持たせることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わるバッグは大きな面積のトップ面一杯に大きな物の出し入れ口があり、底面の面積をトップ面の面積に相応した必要かつ十分な広さにし、バッグの高さも深すぎないように工夫して、バッグ全体にわたって柔軟性をもたせてあるため、従来のバッグでは収納困難な形状のものも入れることが可能となり物がたくさん収納出来、同じ嵩・量の物を入れて比較すると従来のバッグよりも一まわり小型ですみ携帯性にすぐれている。更に本発明に係わるバッグのたわむ部分に、より柔軟な材料を使うことで収納を楽にし、結果として収納増大を計ることも出来る。
【0015】
入れる物が少い時や空の時は非常にコンパクトな形状となり、この点でも携帯性にすぐれている。
【0016】
本発明に係わるバッグは、従来のバッグ類の中で一部のバッグが持っている次の様な利点を犠牲にすることなく、全て有している。
(1)現行バッグで使われているすべての材料で作ることが出来る。又例えばたわむ部分をキャンバス地に、たわまない部分を牛革とする如く異質の材料の組合わせも可能である。
(2)コーティングした材料を使うことで中の物に対してほゞ完全な防水・防滴・防塵性をもつバッグが出来る。
(3)中の物のすり、盗難等を防止するバッグである。
(4)構造がシンプル故特に手縫いで作られた場合修理・補修が簡単である。
(5)護身用の武器として使える。バッグ全体がコンパクト故、中に物がかなり入っていても女性の腕力でも振りまわせる。故にもし暴漢などに襲われたらボクサーのグローブのように本バッグを振りまわせば護身の武器となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】底
面の形状が(a)長方形又は(b)正方形の箱型の従来のバッグの各斜め上面図である。
【
図2】底
面の形状が(a)円形又は(b)楕円形で筒型の従来のバッグの各斜め上面図である。
【
図3】底
面及びトップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグの斜め上面図である。
【
図4】底
面及びトップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグの組立て図である。(a)はたわまない部分を形成し、(b)はたわむ部分を形成する。(a)と(b)を組合わせて完成する。
【
図5】底
面及びトップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグの三種類の正面図(前・後胴)である。何れであってもバッグの機能は殆んど変らない。
【
図6】底
面及びトップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグのファスナーを使用した場合の開口部(物の出し入れ口)の四種類の図である。
(a)は[請求項2]記載の種類である。
【
図7】底
面及びトップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグのトップ
面を一杯に広げた時の(a)側面図及び物が入っていない時内至は少ししか物が入っていない時の(b)側面図と(c)正面図である。
【
図8】底
面が円形、トップ
面が楕円形の場合の本発明に係わるバッグの(a)斜め上面図と物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
【
図9】底
面が円形で、トップ
面を楕円形にした
図8の如きハンドバッグを作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/-縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である
【
図10】底
面及びトップ
面が楕円形の場合の本発明に係わるバッグの(a)斜め上面図と物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
【
図11】底
面が正方形、トップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグの(a)斜め上面図と物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
【
図12】
図11の如きハンドバッグを作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/-縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である
【
図13】
図3の如きバッグをボストンバッグに作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である。
【
図14】
図3の如きバッグを女性用ハンドバッグに作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である。
【
図15】底
面が長方形、トップ
面が楕円形の場合の本発明に係わるバッグの(a)斜め上面図と、物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
【
図16】底
面が楕円形、トップ
面が長方形の場合の本発明に係わるバッグの(a)斜め上面図と、物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係わるバッグで底
面及びトップ
面の形状が長方形の場合である。
図3は完成したバッグのトップ(22)を一杯に広げた時の斜め上面図である。トップ
面(22)に蓋をつけ前・後胴(24・25)に取手(19・20)をつけ、更に両取手(19・20)の間を結ぶように物の出し入れ口(開口部)(21)を設けて完成する。
図4はバッグを実際作成する際の組み立て方法を示す。(a)と(b)の2つに分けて作成し最後にこの2つを組合わせて完成する。
(a)はたわまない部分で、(b)はたわむ部分である。
図5は前・後胴(24・25)の形状三種類を示す。何れを採用してもバッグの機能は殆んど変らない。
図6はトップ
面(22)の蓋に作る、物の出し入れ口(開口部)(21)のファスナーの取付け形状四種類を示す。
(a)は[請求項2]記載の種類である。
図7は、トップ
面(22)を一杯に広げた時の(a)側面図、物を入れず空にした状態で手に下げた時の(b)側面図と(c)正面図である。
たわむ部分は22・26・27、たわまない部分は23・24・25である。
【0019】
本発明に係わるバッグで底
面の形状が円形又は楕円形の場合である。
図8は底
面が円形、トップ
面が楕円形の場合の(a)斜め上面図と物が入っていない状態で取手(42・43)を手に持った時の(b)正面図である。シルエットは貝殻状・扇子状の形となる。たわむ部分は44・45・49・50、たわまない部分は46・47・48である。
図9は
図8の如きハンドバッグを作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である。
図10は底
面(55)とトップ
面(54)の形状が楕円形の場合の(a)斜め上面図と、物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。シルエットはやゝ浅めの貝殻状・扇子状になる。底
面の形状が円形の場合と同じ手順で作成出来る。たわむ部分は53・54・58・59、たわまない部分は55・56・57である。
【0020】
本発明に係わるバッグで底
面の形状が正方形の場合である。
図11はトップ
面を長方形にした場合の(a)斜め上面図と、物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。シルエットは左マチ(67)と右マチ(68)の下部が底
面(64)とほゞ水平に並ぶ位になる。落着いた一種独特の形である。たわむ部分は62・63・67・68、たわまない部分は64・65・66である。
図12は
図11のバッグを作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である。
【0021】
本発明に係わるバッグで底
面及びトップ
面が長方形の場合である。
図13はボストンバッグを、
図14は女性用ハンドバッグを作成する場合の各パーツの代表的な形状と寸法(単位mm/縫い代を除く)を示した型紙の例を示す図である。
【0022】
図15は、本発明に係わるバッグで底
面(73)が長方形、トップ
面(72)が楕円形の場合である。
(a)斜め上面図と、物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。
たわむ部分は71・72・76・77、たわまない部分は73・74・75である。
【0023】
図16は、本発明に係わるバッグで、底
面(82)が楕円形、トップ
面(81)が長方形の場合である。(a)斜め上面図とバッグに物が入っていない状態で取手を手に持った時の(b)正面図である。たわむ部分は80・81・85・86、たわまない部分は82・83・84である。
【0024】
本発明に係わるバッグは広い守備範囲を有するが、各パーツの大きさ・形状の決め方に順序がある。先ず底面の大きさ・形状と、たわまない側面の高さを決めることが重要である。その上でトップ面の大きさ・形状を、バッグの用途も考えて自在に決めることである。
その中にあっても
1)バッグの機能長所が最高度に発揮され、且つ
2)バッグ全体のシルエットが抜群に美しく出来るポイントというのは考えられる。
野球にたとえるならホームランを打つポイントである。
アメリカ大リーグ野球の世界で、ホームランを打つ為の「バレル、ゾーン」(BARREL ZONE)というのがあり、
i)158km/h以上の打球の速度と、
ii)30°前後の打球の角度、で強くバットを振ることが、ホームランを打つ為の必要要素とされる。
これにならって云えば、前記1)、2)を満たす本発明に係わるバッグの「バレル・ゾーン」は次の様になる。
(1)底
面が長方形の場合
(図3):前記たわまない側面(24・25)の高さ(41)及び底
面の短辺の長さ(40)を長辺(28)の約0.6倍の長さにする。
(2)底
面が円形の場合
(図8):前記たわまない側面(47・48)の高さを直径とほゞ同じ長さにする。
(3)底面が楕円形の場合
(図10):前記たわまない側面の高さ(56・57)を短径とほゞ同じ長さにする。
(4)底
面が正方形の場合
(図11):前記たわまない側面(65・66)の高さを一辺とほゞ同じ長さにする。
【0025】
前記ゾーン(ポイント)を離れれば離れるほど本発明に係わるバッグの機能長所は、三塁打、二塁打、シングル安打と少しずつ小さくなって行くのは止むを得ない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、中に入れられる物を労り、受入れるバッグであり、文字通り、物を「革で包み込む」ようなバッグに好適である。
【符号の説明】
【0027】
「19・20・42・43 取手
21・44 物の出し入れ口(開口部)(たわむ)
22・45 トップ面(たわむ)
23・46 底面(たわまない)
24・25・47・48 胴(たわまない側面)
26・27・49・50 マチ(たわむ側面)」