(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】掲示板
(51)【国際特許分類】
G09F 15/00 20060101AFI20220805BHJP
G09F 7/04 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G09F15/00 N
G09F7/04 A
(21)【出願番号】P 2018019769
(22)【出願日】2018-02-07
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康英
(72)【発明者】
【氏名】玉光 祥子
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-010514(JP,A)
【文献】特開2004-160934(JP,A)
【文献】特開2006-018122(JP,A)
【文献】実開昭54-150492(JP,U)
【文献】特開2010-049129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 15/00
G09F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己形状保持性を備えた
板厚が3~5mmの単体の平板状の磁性金属板からなり、前記磁性金属板の表面の所定位置に、掲示物の位置決めのための
深さ0.2~2.0mmの凹部を、前記磁性金属板の四隅に、外周部にフレームを配することなく取付部材を挿通して前記磁性金属板を壁面に固定するための透孔を、それぞれ形成し
、前記透孔を除いて無孔であることを特徴とする掲示板。
【請求項2】
前記掲示物の位置決めのための凹部が、ポンチマークからなることを特徴とする請求項1に記載の掲示板。
【請求項3】
前記磁性金属板が、鉄板に焼付塗装が施されたものからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の掲示板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掲示板に関し、特に、主として屋内で用いられる掲示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主として屋内で用いられる掲示板は、ポスター等の掲示物の留め部材、具体的には、画鋲、マグネット、テープ等に応じて、表面にフェルトを貼り付けた木製ボード、コルクボード、ホワイトボード、磁性金属板、磁性シート等からなる掲示板面を構成する板状部材の外周部にフレームを配したものが汎用されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【0003】
また、掲示板の掲示板面に、掲示物の位置決めのための罫線を施すようにすることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第2522761号公報
【文献】特開平10-116045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の掲示板は、掲示板面を構成する板状部材の外周部にフレームを配するようにしているため、構造が複雑なだけでなく、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合も取りにくいという問題があった。
【0006】
また、掲示板の掲示板面に施される掲示物の位置決めのための罫線は、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合が取りにくいというだけでなく、長期間の使用によって摩耗等によって消えてしまう経年劣化の問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の掲示板の有する問題点に鑑み、構造がシンプルで、かつ、経年劣化しにくい掲示物の位置決めのための目印を備えることで、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合を取りやすくした掲示板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の掲示板は、自己形状保持性を備えた単体の磁性金属板からなり、該磁性金属板の表面の所定位置に掲示物の位置決めのための凹部が形成されてなることを特徴とする。
ここで、「自己形状保持性(を備えた単体の磁性金属板)」とは、単体の磁性金属板単独で、撓むことなく、平面状態を維持できる剛性を備えていることをいう。
【0009】
この場合において、前記掲示物の位置決めのための凹部が、ポンチマークからなるようにすることができる。
【0010】
また、前記磁性金属板が、鉄板に焼付塗装が施されたものからなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の掲示板は、従来の掲示板のように掲示板面を構成する板状部材の外周部にフレームを配することなく、自己形状保持性を備えた単体の磁性金属板によって掲示板面を構成することにより、構造がシンプルで、マグネットやテープを用いて掲示物を留めることができる。
また、掲示物の位置決めのために、磁性金属板の表面の所定位置に凹部が形成されてなるようにすることにより、経年劣化しにくく、かつ、目立ちにくく、さらに、掲示物の留め部材としてマグネットやテープを用いた場合に支障とならない、掲示物の位置決めのための目印とすることができる。
これらによって、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合を取りやすくすることができる。
【0012】
また、前記掲示物の位置決めのための凹部が、ポンチマークからなるようにすることにより、掲示物を正確に位置決めするための目印とすることができる。
ができる。
【0013】
また、前記磁性金属板が、鉄板に焼付塗装が施されたものからなるようにすることにより、掲示板面の色調をポスター等の掲示物とのデザイン的な整合を取りやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の掲示板の一実施例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は掲示物を掲示した状態の正面図である。
【
図2】同掲示板の要部を示し、(a)は掲示板の角部の平面図、(b)は同側面図、(c)は同側面断面図である。
【
図3】同掲示板の要部を示し、(a)はポンチマークからなる凹部の平面図、(b)は同断面図である。
【
図4-1】同掲示板の意匠を示す正面図及び背面図である。
【
図4-4】同
図4-1のA-A’,B-B’部分拡大図である。
【
図4-5】同
図4-1のB-B’部分のC-C’断面拡大図及び
図4-3のD-D’部分拡大図である。
【
図6】掲示物の位置決めのための凹部の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の掲示板の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1~
図5に、本発明の掲示板の一実施例を示す。
この掲示板1は、自己形状保持性を備えた単体の磁性金属板からなり、この磁性金属板1の表面の所定位置に掲示物Sの位置決めのための凹部11が形成されてなるようにしている。
【0017】
ここで、「自己形状保持性(を備えた単体の磁性金属板)」とは、単体の磁性金属板単独で、撓むことなく、平面状態を維持できる剛性を備えていることをいう。
また、「磁性金属板」とは、マグネットを用いて掲示物を留めることができる性質を備えた金属板をいう。
このため、掲示板1を構成する磁性金属板は、所定の板厚、1mm以上、好ましくは、2mm以上、より好ましくは、3mm以上(板厚の上限は特にないが、5mmを超えると、重量が大きくなり、また、コストの面でも好ましくない。)(本実施例においては、3.2mm。大きさ:縦1000mm×横500mm、重量約12.5kg。)の板厚の鉄板(電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)、冷間圧延鋼板(SPCC))やステンレススチール板(フェライト系ステンレス板(SUS430等)、マルテンサイト系ステンレス板)を好適に用いることができる。
なお、掲示板1は、単体の磁性金属板を単独で用いることから、周面を研磨(面取り)仕上げすることによって、バリ等によって怪我をしないようにする。
また、掲示板1の大きさは、対象とする掲示物Sの大きさや枚数によって、縦長が横長かを含めて適宜設定することができる(本実施例においては、A4の掲示物Sを6枚並べて掲示できる縦1000mm×横500mmの大きさに設定するようにしている。)。
【0018】
掲示物Sの位置決めのための凹部11は、掲示板1の掲示板面を構成する磁性金属板の表面に、直接ポンチで形成する、すなわち、ポンチマークで構成することが好ましい。
この場合、凹部11の形状は、先端形状が円柱形状(又は円錐形状)のポンチによる小円形の凹み(
図3)や、先端形状が円形状のポンチによる小円形の溝状の凹みのほか、鉤(『)形状(
図6)等の任意の形状とすることができる。
凹部11の大きさ及び深さは、平面形状で2~5mm程度(本実施例においては、φ3mm)、深さ0.2~2.0mm程度(本実施例においては、0.5mm)にそれぞれ設定するようにする。なお、凹部11をポンチによって形成するようにした場合は、掲示板1の裏面側に凸部13が表れることがあるが、この凸部13の高さは1mm未満程度(本実施例においては、0.5mm)であるため、掲示板1を屋内の壁面等に設置する場合に支障をきたすことはない。
掲示物Sの位置決めのための凹部11を形成する位置は、対象となる標準的な大きさの掲示物Sの大きさに合わせて、例えば、本実施例に示すように、A4の掲示物Sの四隅(又は二隅)の角部が位置すべき箇所、又はその若干内側や外側の箇所に、対象とする掲示物Sの枚数に応じて形成する、具体的には、
図4-1~
図4-5に示す掲示板の意匠(図中、実線で表された部分が、独創的で特徴のある創作部分である。二点鎖線は、当該部分とその他の部分との境界のみを示す線である。)のように、掲示物Sの枚数に応じて、1つの掲示物Sの位置決めのための4個(又は2個)の凹部11を1単位とし、これを縦長方向及び横長方向に複数単位繰り返して形成するようにすることが好ましい。
【0019】
掲示板1を構成する磁性金属板に鉄板を用いる場合は、鉄板に焼付塗装を施したものを好適に用いることができる。
これにより、掲示板1の掲示板面の色調を、例えば、艶消しのブラック調等にすることで、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合を取りやすくすることができる。
また、掲示板1を構成する磁性金属板にステンレススチール板を用いる場合は、ステンレススチール板は屋内環境では簡単に腐食しないため、掲示板面を着色しない場合は、焼付塗装を施さなくてもよく、掲示物Sをマグネットを用いて留めるときにマグネットが擦れて掲示板面に傷が付くこともない。
【0020】
この掲示板1を、例えば、屋内の壁面等に設置するに当たっては、掲示板1を構成する磁性金属板の四隅に形成した透孔12に、皿ワッシャ3及び樹脂ワッシャ5を介して、タッピングねじ2等の取付部材を挿通して、固定するようにする。
取付部材のタッピングねじ2の頭部及び皿ワッシャ3の外周の全体を覆うキャップ4を装着する。キャップ4には、掲示板1の掲示板面の色調と同じ色調のものを用いることが好ましい。
なお、この掲示板1は、方向性がないため、図示のように縦長方向のほか、横長方向に設置して使用することができる。
また、この掲示板1は、屋内の壁面等に背面を密着させて取り付けるほか、タッピングねじ2を用いて取り付ける際に、掲示板1と壁面等との間に、例えば、パイプ部材からなるスペーサを介在させることにより、壁面等から掲示板1が浮き上がったように配置することもできる。これにより、屋内空間でのデザイン性を高めることができる。
【0021】
この掲示板1は、従来の掲示板のように掲示板面を構成する板状部材の外周部にフレームを配することなく、自己形状保持性を備えた単体の磁性金属板によって掲示板面を構成することにより、構造がシンプルで、マグネットやテープを用いて掲示物Sを留めることができる。
また、掲示物Sの位置決めのために、掲示板1を構成する磁性金属板の表面の所定位置に凹部11が形成されてなるようにすることにより、経年劣化しにくく、かつ、目立ちにくく、さらに、掲示物Sの留め部材としてマグネットやテープを用いた場合に支障とならない、掲示物Sの位置決めのための目印とすることができる。
これらによって、ポスター等の掲示物Sとのデザイン的な整合を取りやすくすることができる。
【0022】
以上、本発明の掲示板について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の掲示板は、構造がシンプルで、かつ、経年劣化しにくい掲示物の位置決めのための目印を備えることで、ポスター等の掲示物とのデザイン的な整合を取りやすいものであることから、ポスター等の掲示物を掲示するために屋内で用いられる掲示板の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 掲示板(磁性金属板)
11 凹部
12 透孔
13 凸部
2 タッピングねじ(取付部材)
3 皿ワッシャ
4 キャップ
5 樹脂ワッシャ
S 掲示物