(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】3Dプリンタ用ノズル装置および3Dプリンタ装置並びにこれを用いた建造物の構築方法、粘性材料の供給方法および製作物構築装置
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20220805BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20220805BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20220805BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20220805BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220805BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20220805BHJP
E04B 1/35 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B28B1/30
B29C64/209
B29C64/106
B29C64/321
B33Y30/00
E04G21/16
E04B1/35 L
(21)【出願番号】P 2018034465
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】木ノ村 幸士
(72)【発明者】
【氏名】村田 哲
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰司
(72)【発明者】
【氏名】岩本 達也
(72)【発明者】
【氏名】原槙 真也
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129733(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/149040(WO,A1)
【文献】特表2016-526495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0324206(US,A1)
【文献】特開2005-349583(JP,A)
【文献】特開平02-297403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105216333(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/30-1/42
B28B 3/20-3/26
B29C 64/209
B29C 64/106-64/135
B29C 64/321-64/336
B33Y 30/00
E04G 21/16-21/22
E04B 1/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不連続にまたは脈動を伴って
プリント原料とする粘性材料を供給する粘性材料供給手段と、該粘性材料供給手段から供給される
前記粘性材料を吐出する3Dプリンタ用ノズル装置と、を備え、該3Dプリンタ用ノズル装置を複数の軸方向に移動または姿勢制御して3Dプリンタ技術を用いた
前記粘性材料の繰り返し積層作業により
製作物を構築する製作物構築装置であって、
前記3Dプリンタ用ノズル装置
は、
前記粘性材料を一時的に貯留するシリンダ部と、
前記シリンダ部に接続されて任意の定常速度で回転可能なスクリュを内蔵するとともに前記シリンダ部内の前記粘性材料をシリンダ部先端に向けて定量圧送するスクリュ搬送部と、
前記スクリュ搬送部の先端に設けられて前記定量圧送された前記粘性材料を吐出するノズル部と、
を備えることを特徴とする製作物構築装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント系材料を主材とする粘性材料を吐出ノズルに供給し、3Dプリンタ技術を用いてノズル先端から吐出される粘性材料を繰り返し積層することにより、造形物や建造物、構造物等の製作物を構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dプリンタ技術を応用して、コンクリートやモルタル等のセメント系材料を主材とする粘性材料を用いて造形物や建造物、構造物等の製作物を構築する技術が種々提案されている(例えば特許文献1ないし2参照)。3Dプリンタ技術を用い、この種の製作物を構築する例としては、まず、構築しようとする製作物の3次元形状をコンピュータでモデリングし、次いで、そのモデリングされた3次元データから、多数の層に分けられた2次元データを生成する。
【0003】
そして、移動可能な供給ヘッドにポンプから粘性材料を供給するとともに、各層の2次元データに基づいて、供給ヘッドの吐出ノズルから生コンクリート等の粘性材料を用いたプリント原料を吐出して各層の2次元形状を構築する。そして、構築された2次元形状の層上に、続く層の2次元データに基づいて、プリント原料を一層ずつ積層し、これにより、3次元の製作物を構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-108801号公報
【文献】特許第4527107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、3次元の製作物を製作する用途で使用する粘性材料の供給に際しては、高揚程や大容量の供給が前提となる。そのため、一般的にこの種の用途では、粘性材料を供給する粘性材料供給手段として、往復ポンプ(例えばピストンポンプやスクイーズポンプ)や、ホッパ、シュートが用いられるところ、3Dプリンタ技術を応用する繰り返し積層作業にこの種粘性材料供給手段を適用するには、供給される粘性材料の不連続供給または脈動による粘性材料供給量の変動を防止する必要がある。このような問題点に対し、上記特許文献1ないし2に記載の技術では、3Dプリンタ用ノズル装置の構造や、これを用いた粘性材料の供給方法について、未だ検討の余地がある。
【0006】
つまり、不連続供給または脈動により粘性材料供給量が変動し、供給ヘッドの吐出ノズルからの材料吐出量が一定でない場合、各層の積層幅や積層厚に乱れが生じ、繰り返し積層を行った場合に、製作物の造形精度の低下や崩壊につながるおそれがある。
特に、現場打ちで積層工法を採用する大型製作物の場合、この問題はより顕著である。そのため、繰り返し積層により、高精度な製作物を安定的に製作するには、吐出ノズルから吐出される粘性材料の流量を一定に保つことが重要である。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、不連続にまたは脈動を伴って粘性材料を供給する粘性材料供給手段から供給される粘性材料の不連続供給または脈動の影響を受けずに粘性材料を定量供給し得る3Dプリンタ用ノズル装置および3Dプリンタ装置並びにこれを用いた建造物の構築方法、粘性材料の供給方法および製作物構築装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置は、プリント原料とする粘性材料を一時的に貯留するシリンダ部と、前記シリンダ部内に任意の定常速度で回転可能なスクリュを内蔵するとともに前記シリンダ部内の粘性材料をシリンダ部先端に向けて定量圧送するスクリュ搬送部と、前記シリンダ部先端に設けられて前記定量圧送された粘性材料を吐出するノズル部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置によれば、不連続にまたは脈動を伴って粘性材料を供給する粘性材料供給手段から供給される粘性材料を一時的にシリンダ部に貯留し、その貯留した粘性材料をシリンダ部先端に向けて、スクリュ搬送部により任意の定常速度で回転するスクリュで定量圧送してノズル部から吐出できる。
そのため、粘性材料供給手段として、例えば高揚程大容量に適用できる往復ポンプを採用した場合であっても、シリンダ部での一時的な貯留によって往復ポンプによる脈動の影響を防止または抑制し、さらに、スクリュ搬送部による定量圧送によって吐出量を任意の流量で一定に制御しつつ吐出できる。
【0010】
つまり、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置によれば、高揚程大容量に適用できる往復ポンプの利点と、脈動が発生しないねじポンプの利点とを、粘性材料を一時貯留するシリンダ部を介してスクリュ搬送部と組み合わせることにより、不連続にまたは脈動を伴って粘性材料を供給する粘性材料供給手段から供給される粘性材料の不連続供給または脈動の影響を受けずにノズル部から粘性材料を定量供給できる。
【0011】
ここで、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記シリンダ部は、その内部に撹拌翼を有する撹拌部材を備えることは好ましい。このような構成であれば、シリンダ部の撹拌翼とスクリュ搬送部のスクリュとの協働により、ノズル部からの粘性材料をより安定して定量供給する上でより好適である。
また、前記シリンダ部は、その内部が当該シリンダ部の上部から下部に向けて次第に縮径するように先細に形成されていることは好ましい。このような構成であれば、シリンダ部内の粘性材料をノズル部側に向けてより円滑に送りだせる。よって、ノズル部から粘性材料を定量供給する上でより好適である。
【0012】
また、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記ノズル部は、その内部が先細に形成され、前記スクリュの先端形状は、前記ノズル部における前記粘性材料の飲み込み部の横断面積の減少に合わせて先細に形成されていることは好ましい。このような構成であれば、スクリュの停止時に発生し得るノズル部からの粘性材料の垂れを防止または抑制する上で好適である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記スクリュの停止直後に、その回転方向を正転方向から僅かに反転させるスクリュ正反転制御手段を有することは好ましい。このような構成であっても、スクリュの停止時に発生し得るノズル部からの粘性材料の垂れを防止または抑制する上で好適である。
【0014】
また、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記スクリュ搬送部の内壁素材は、前記スクリュの表面素材よりも摩擦係数が大きい素材が用いられていることは好ましい。このような構成であれば、スクリュの回転方向への粘性材料の移動を低減できるので、スクリュによる定量圧送によって吐出量を任意の流量で一定に制御しつつ吐出する上でより好適である。
【0015】
また、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記スクリュ搬送部の内壁には、複数の溝または複数の突条が形成されていることは好ましい。このような構成であれば、複数の溝または複数の突条が、粘性材料の移動に方向性を持たせ、これにより、スクリュの回転方向への粘性材料の移動を低減できるので、材料の押し出し効率を向上させる上でより好適である。
【0016】
また、本発明の一態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置において、前記ノズル部は、その内部の横断面形状が、横断面積の変化率が一定となるように先細に形成されていることは好ましい。このような構成であれば、ノズル部の内部断面形状が、横断面積の変化率が一定に先細になっているので、粘性材料の不意な閉塞または停留を効果的に防止する上で好適である。また、スクリュの停止時に発生し得るノズル部からの粘性材料の垂れを防止または抑制する上で好適である。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る3Dプリンタ装置は、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置と、混練りしたセメント系材料を貯留する貯留部と、該貯留部のセメント系材料をプリント原料として前記3Dプリンタ用ノズル装置のシリンダ部に供給する配送部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る建造物の構築方法は、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ装置を用い、前記3Dプリンタ装置のノズル部から吐出したセメント系材料を積層して所望形状の建造物を構築することを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係る建造物の構築方法によれば、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ装置を用いてセメント系材料を積層して所望形状の建造物を構築するので、不連続にまたは脈動を伴って粘性材料を供給する粘性材料供給手段から供給される粘性材料の不連続供給または脈動の影響を受けずに粘性材料を定量供給しつつ、セメント系材料を積層して所望形状の建造物を構築できる。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る粘性材料の供給方法は、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置を用いて粘性材料をノズル部から供給する方法であって、前記粘性材料として、セメント系材料を主材とするものを用い、ポンプから前記粘性材料を前記シリンダ部に供給して前記シリンダ部に前記粘性材料を一時的に貯留する材料貯留過程と、前記スクリュ搬送部のスクリュを回転させて前記シリンダ部から前記ノズル部に前記粘性材料を押し出す材料押出過程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る粘性材料の供給方法によれば、シリンダ部内での一時貯留によって、ポンプからの材料供給量の変動(=脈動の影響)を吸収し、スクリュ搬送部のスクリュを任意の定常速度で回転させて粘性材料を定量圧送することで、ノズル部からの粘性材料の吐出量を任意の流量で一定に制御できる。よって、ポンプの脈動による粘性材料供給量の変動を防止または抑制して粘性材料を定量供給できる。
【0022】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る製作物構築装置は、不連続にまたは脈動を伴って粘性材料を供給する粘性材料供給手段と、該粘性材料供給手段から供給される粘性材料を吐出する3Dプリンタ用ノズル装置と、を備え、該3Dプリンタ用ノズル装置を複数の軸方向に移動または姿勢制御して3Dプリンタ技術を用いた繰り返し積層作業により造形物や構造物等の製作物を構築する製作物構築装置であって、前記3Dプリンタ用ノズル装置として、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係る製作物構築装置によれば、本発明のいずれか一の態様に係る3Dプリンタ用ノズル装置を備えるので、この3Dプリンタ用ノズル装置から粘性材料の吐出量を任意の流量で一定に制御できる。そのため、ポンプの脈動による粘性材料供給量の変動を防止または抑制して粘性材料を定量供給しつつ、3Dプリンタ技術を用いた繰り返し積層作業により造形物や構造物等の製作物を構築できる。
【発明の効果】
【0024】
上述のように、本発明によれば、ポンプの脈動による粘性材料供給量の変動を防止または抑制して粘性材料を定量供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一態様に係る3Dプリンタ装置の一実施形態(第一実施形態)の説明図であり、同図では、吐出ノズルの軸線に沿った断面を模式的に示している。
【
図4】
図1のシリンダ部でのスクリュ部分を説明する図((a)、(b))であり、同図(a)はスクリュ搬送部の内壁断面の方向から見た図、(b)はスクリュ搬送部の内壁面の方向(同図(a)での右側面側)から見た図である。
【
図5】
図1のスクリュ搬送部の内壁面の他の例を説明する斜視図である。
【
図6】
図1のノズル部分の内部の横断面形状を説明する図である。
【
図7】
図1のノズル部分の交換可能なアタッチメントの例を示す図((a)~(c))である。
【
図8】施工現場での使用例を説明する模式図である。
【
図10】
図1の3Dプリンタ装置による施工試験の一例を示す図(写真(a)~(c))である。
【
図11】
図1の3Dプリンタ装置による施工試験の一例を示す図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態ないし実施例は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態ないし実施例に特定するものではない。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の3Dプリンタ装置は、シリンダ部1と、内部にスクリュ3が設けられたスクリュ搬送部1dと、スクリュ搬送部1dの先端1fに着脱可能に装着されるノズル部4と、を有する3Dプリンタ用ノズル装置10を備えている。
【0028】
シリンダ部1は、軸方向を上下として、上部に貯留室1bが設けられている。貯留室1bの下部にはスクリュ搬送部連結部1cが設けられ、スクリュ搬送部連結部1cに連続してスクリュ3が同軸に収容されるスクリュ搬送部1dが設けられている。貯留室1bは、上部が大径の略中空円筒状に形成されるとともに下方に向かうにつれて縮径する中空の略逆円錐台状をなし、さらに、その下部のスクリュ搬送部連結部1cが小径の中空円筒状に形成されている。
【0029】
スクリュ搬送部1dは、貯留室1b下部の小径の略円筒状のスクリュ搬送部連結部1c部分と内径がほぼ同じ円筒状に形成される。スクリュ搬送部1dの周壁部分は、スクリュ3駆動時の押し出し圧力に耐えられるように他の周壁部分よりも肉厚に形成されている。また、スクリュ搬送部1dの周壁部分は、粘性材料Cとの摩擦係数が高くなるように形成されている。
シリンダ部1には、貯留室1bの上部側方に、供給パイプ27が接続されている。供給パイプ27は、配送部としてのポンプ29を介して、貯留部としてのホッパ28に接続されている。ホッパ28内には、所定配合に練り混ぜられた粘性材料Cがプリント原料として蓄えられる。なお、ホッパ28とポンプ29との配置位置関係は問わない(例えば鉛直配置でも水平配置でもよい。)。
【0030】
この3Dプリンタ用ノズル装置10およびポンプ29は、コントローラ30により制御される。シリンダ部1の上端部1aには、駆動モータ6がその出力軸を下方に向けた姿勢でシリンダ部1の上端部1aの開口を覆うように装着される。駆動モータ6には、駆動モータ6の作動を制御する信号線がコントローラ30との間で必要な信号を授受可能に接続され、駆動モータ6は、材料供給用のポンプ29とは独立してコントローラ30に制御されて駆動される。
【0031】
シリンダ部1には、貯留室1b内の粘性材料Cの残量を検出可能な残量検出センサ7が貯留室1bの適所に付設されている。残量検出センサ7は、信号線を介してコントローラ30に検出信号が入力される。また、ポンプ29の駆動部は、ポンプ29の作動を制御する信号線がコントローラ30に接続されている。なお、本実施形態のポンプ29は、モルタルやコンクリートのような重い粘性材料を高い揚程Hで揚げることを想定し、往復ポンプ(例えばスクイーズポンプ)を使用している。
【0032】
コントローラ30は、粘性材料供給処理のプログラムを実行し、残量検出センサ7の検出信号に基づいて、シリンダ部1内の粘性材料Cの残量が所定量未満になるとポンプ29を作動させ、ホッパ28に蓄えられた粘性材料Cをシリンダ部1に供給するように構成されている。これにより、シリンダ部1の貯留室1bには、ホッパ28の粘性材料Cがポンプ29を介して安定供給され、その粘性材料Cを一時的に貯留可能になっている。
なお、残量検出センサ7の検出信号に限らず、モータ6の回転数から吐出量を概算し、その概算量に基づいて、シリンダ部1内の粘性材料Cの残量が所定量未満になるとポンプ29を作動させ、ホッパ28に蓄えられた粘性材料Cをシリンダ部1に供給するように構成してもよい。また、残量検出センサ7の検出信号とモータ6の回転数から吐出量を概算した概算量とから供給タイミングを決定してもよい。
【0033】
回転軸5は、シリンダ部1の軸方向に沿ってシリンダ部1の中心に、駆動モータ6から垂下された状態で支持されている。回転軸5の上端5aは、駆動モータ6の出力軸に不図示のカップリングを介して回転駆動力を伝達可能に同軸に接続されている。回転軸5には、シリンダ部1の貯留室1b内の位置に、らせん状線材を組み合わせた撹拌部材としての撹拌翼2が装着されている。
【0034】
本実施形態の撹拌翼2は、供給パイプ27の接続部近傍であって、回転軸5の上部の位置に水平に固定された複数の旋回腕2aと、上端部が各旋回腕2aの先端に連結されるとともに、下端部がスクリュ搬送部1dの上部近傍であって、回転軸5の上部の位置に連結され、軸線方向において貯留室1bの内壁面に沿って螺旋状に湾曲形成された複数の撹拌ワイヤ2bと、を有する。撹拌ワイヤ2bは、丸棒状であってもよいが、板状とすることが好ましい。
【0035】
回転軸5が回転すると、この攪拌翼2が貯留室1b内で貯留室1bの内壁面に沿って回転駆動されることにより、貯留室1bの内壁面近傍の粘性材料Cとシリンダ中心近傍の粘性材料Cとを混合するとともに、貯留室1bでの一時的な貯留時の粘性材料Cの硬化を抑制し、さらに、粘性材料C中に混入した気泡を脱気するとともに、粘性材料Cの押し込み効果により、スクリュ3側への粘性材料Cの安定した引き込みが可能になっている。なお、攪拌翼2の形状は、本実施形態のようならせん形状を基本とするものの、これに限らず、多段に配置したり、らせん以外の形状に形成したりしてもよい。
【0036】
そして、回転軸5の下端には、螺旋状の雄ねじ部3rが外周面に形成されたスクリュ3が回転軸5と同軸に垂下された姿勢で固定されている。スクリュ3は、駆動モータ6の正転方向への駆動により、スクリュ搬送部1d内にて任意の定常速度で回転可能に設けられ、貯留室1b内に一時貯留した粘性材料Cをノズル先端4s側に向けて押し出すように螺旋状の雄ねじ部3rが形成されている。これにより、シリンダ部1内の粘性材料Cをスクリュ搬送部1dの先端に向けて定量圧送可能になっている。
【0037】
ここで、
図2および
図3に拡大図示するように、本実施形態のスクリュ3の先端3tの形状は、ノズル部4における粘性材料Cの飲み込み部4mの横断面積の減少に合わせて先細に形成されている。また、
図4に模式図を示すように、本実施形態のスクリュ搬送部1dの内壁1nの素材は、スクリュ3の表面3sの素材よりも摩擦係数が大きい素材が用いられている。
【0038】
換言すれば、スクリュ搬送部1dの内壁1nには、摩擦係数の大きい素材を配置する一方、スクリュ3の表面3sには、摩擦係数の小さな素材を選定している(あるいは表面加工を施している)。より具体的には、本実施形態のスクリュ3には、ABS樹脂を使用するとともに、化学的な表面処理を施してスクリュ3表面を滑らかにし、粘性材料Cとの摩擦をより少なくしている。なお、本実施形態では、スクリュ3表面のピッチ間の軸部のR形状として、曲率半径を大きく設定して丸みを持たせ、これにより、緩やかな湾曲面とすることで、粘性材料Cがピッチ間の軸部に可及的に停留(付着)しないようになっている。
【0039】
一方、スクリュ搬送部1dの内壁1nにはゴムを張り、粘性材料Cとの摩擦を高めている。これにより、スクリュ搬送部1dの内壁1nの摩擦力Fcと(符号MFcで示す太線部分)、スクリュ表面の摩擦力Fs(符号MFsで示す太線部分)と、が同じもしくは近い値になり、スクリュ回転方向Rへの粘性材料Cの移動が低減し、スクリュ進行方向Dへの粘性材料Cの押し出し効率を高めることができる。
【0040】
ここで、
図4に示した例では、スクリュ搬送部1dの内壁1nの素材が、スクリュ3の表面3sの素材よりも摩擦係数が大きい素材を用いた例を示したが、例えば
図5に示すように、素材によらず、スクリュ搬送部1dの内壁1nに、複数の溝または複数の突条1tを軸方向に沿って形成することにより、粘性材料Cの移動に方向性を持たせることができるため、同様の作用効果が得られる。また、これらの構成を組み合わせてもよい。
なお、複数の溝または突条1tを形成する場合に、スクリュ搬送部1dの軸方向に沿って形成する例を示したが、これに限らず、粘性材料Cの移動に方向性を持たせることができればよいため、例えば、スクリュ3の螺旋方向に対して垂直方向に(つまりシリンダ側において斜め方向に、また、斜めに螺旋状に)複数の溝または突条1tを形成してもよい。
【0041】
図1に戻り、本実施形態のノズル部4は、スクリュ搬送部1dの先端1fに着脱可能に装着されている。ノズル部4は、その基端部外周面に雄ねじ4nが形成され、スクリュ搬送部1dの先端内周面に形成された雌ねじ1eに着脱可能に螺着される。ノズル部4の内部4kはスクリュ搬送部1d内部と連通し、スクリュ3側から定量圧送された粘性材料Cをノズル先端3sから吐出可能になっている。なお、本実施形態では、ノズル部4を着脱可能とする例としてねじを用いた例を示したが、これに限らず、例えばへルールクランプ等を用い、ワンタッチで着脱可能なクランプ機構を好適に採用できる。
【0042】
ここで、本実施形態のノズル部4は、
図6に示すように、その内面形状が、横断面積の変化率が一定となるように先細に形成されている。このような構成とする上では、粘性材料Cの進行方向に対して、ノズル部4の軸方向長さおよび内周面形状の少なくとも一方、並びに、飲み込み部4mの軸方向長さおよび内周面形状の少なくとも一方を、ノズル部4の内周面とスクリュ3の表面3sとの間の画成空間の横断面積の変化が少なくなるように形成することができる。但し、ノズル部4の内面形状はこれに限定されず、ノズル先端3sから粘性材料Cを定量吐出可能であれば、例えば直線状テーパ形状としてもよいし、粘性材料Cの垂れ落ちが生じない条件であれば、先細のテーパ形状に限らず、円筒状としてもよいし、また、ノズル先端3sの端部を平面としてもよい。
【0043】
本実施形態では、ノズル部4の内部断面形状を、断面積変化率が一定となるように先細にした。つまり、ノズル内部の各部横断面積は、スクリュ搬送部出口の横断面を初期ノズル断面A0、単位長さ当たりの横断面積の変化率をα、スクリュ搬送部出口からノズル先端方向への位置をxとするとき、位置xにおける横断面積A(x)は次式で表される。
A(x)=αxA0
【0044】
この結果より、ノズル内部の断面形状は、
図3に拡大図示する形状としている。なお、本実施形態では、ノズル部4は、スクリュ搬送部1dとは独立した着脱可能な構造なので、
図7(a)~(c)に示すように、ノズル先端の吐出口径や軸方向長さなどを用途に応じて種々の態様のものに交換できる。また、ノズル部4の材料についても、種々の材料を用いることができ、金属製とすることは勿論、樹脂製としてもよい。樹脂製とする場合、ABS樹脂でもよいが、より材料強度の高いPLA樹脂が好ましい。
【0045】
次に、上述した本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10を備える製作物構築装置による施工現場での一使用例について、図面を適宜参照しつつ説明する。本実施形態は、粘性材料を用いた製作物の生産性、施工性を向上し得る、3Dプリンタ技術を応用した製作物の施工技術である。また、本実施形態は、ノズル先端から吐出される粘性材料を繰り返し積層することにより、現場打ちで積層工法を採用する大型の3次元製作物を製作する用途での使用例である。
【0046】
図8に模式図を示すように、本実施形態の製作物は、橋脚部Fを地上に施工する施工現場Gの例である。本実施形態の橋脚部Fは、施工装置として、3Dプリンタ装置を含む三次元製作物構築装置として構成された第一の材料供給装置20と、第二の材料供給装置であるコンクリートポンプ車両40と、によって施工される。
【0047】
まず、第一の材料供給装置20について説明する。
第一の材料供給装置20は、同図に示すように、クライミングクレーン同様に構成され、地上に立設されて継ぎ足し可能なマスト21と、ジャッキアップ装置が内蔵されてマスト21に沿って昇降可能なベースフレーム22とを備える。ベースフレーム22上には、旋回機構が内蔵された旋回台23と、旋回台23上に支持された多関節型のロボットアーム24とが搭載されている。
【0048】
また、ベースフレーム22には、第一の粘性材料であるプリント原料Cを貯留可能な供給チャンバ28と(上記ホッパ28に対応する)、供給チャンバ28に付設された供給ポンプ29と(上記ポンプ29に対応する)、供給ポンプ29、旋回台23およびロボットアーム24を制御するコントローラ30と(上記コントローラ30に対応する)、が装備されている。本実施形態では、橋脚部Fを構築するような高揚程や大容量のプリント原料Cの供給を行うため、粘性材料を供給する供給ポンプ29として、往復ポンプ(例えばピストンポンプやスクイーズポンプ)が用いられている。
【0049】
さらに、この第一の材料供給装置20は、ロボットアーム24の先端に連結されて、上述した3Dプリンタ用ノズル装置10を有する供給ヘッド25と、供給ヘッド25に、プリント原料Cを供給可能に接続された原料供給管27と、を備える。ロボットアーム24は、複数の関節を構成するアーム24a~eを有する多軸のロボットであり、橋脚部Fの輪郭に沿って供給ヘッド25を複数の軸方向に移動または姿勢制御可能に構成されている。
【0050】
供給チャンバ28の一次側には、原料供給管27の一次側供給管27aが着脱可能に接続され、コンクリートミキサ車60側には、供給チャンバ28までプリント原料Cを圧送可能なポンプ50を地上に設けている。一次側供給管27aは、地上のポンプ50に接続されている。
ポンプ50は、例えばコンクリートミキサ車60から必要なプリント原料Cを、一次側供給管27aを介して供給チャンバ28に補充可能になっている。供給チャンバ28の二次側には、原料供給管27の二次側供給管27bが接続されている。なお、ポンプ50は、モルタルやコンクリートのような重い粘性材料を高い揚程まで揚げることを想定し、往復ポンプ(例えばスクイーズポンプ)を使用している。
【0051】
ここで、本実施形態のプリント原料Cには、セメント系材料を主材とする粘性材料を用いている。本明細書において、「粘性材料」とは、種々のセメント系混合材料(例えばセメントペースト、モルタル、コンクリート)を含む意味であり、自立するとともに、速硬性を有する材料を用いている。自立性の確認は例えばチキソトロピー性により確認できる。速硬性を得るためには、早強材、セメント硬化促進剤の添加、急結剤を使用すればよい。また、吹付けコンクリートも場合によっては使用できる。
【0052】
速硬性を有する材料としては、例えば、特開2005-187257号公報、特開昭49-77934号公報、特開昭48-1024号公報等に開示される材料がある。また、高チキソトロピー性の材料としては、高チキソトロピータイプ無収縮特殊ポリマー系断面修復モルタル材「なおしタル(登録商標:ドーピー建設工業株式会社)」等がある。
【0053】
生コンクリートであれば、例えばスランプ値が15cm~24cmの範囲のものが好ましく、スランプ値が18cm~24cmの範囲のものがより好ましい。モルタルであれば、例えば打撃フロー値が175~195mmの範囲のものが好ましく、打撃フロー値が180~190mmの範囲のものがより好ましい。
【0054】
すなわち、本実施形態のプリント原料Cは、その供給時に、型枠を用いること無く橋脚部Fの輪郭に沿って載置可能な流動性と、その積層時に輪郭上の供給位置に固定され且つその上部にも積層可能に自立するチキソトロピー性と、その積層後に輪郭上の供給位置に固定され且つその上部にも積層可能に自立して所期の構造物として必要な強度まで硬化する速硬性とを有する。
【0055】
なお、プリント原料Cには、補強材として、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維やアラミド繊維などの合成樹脂繊維を針状に形成した短長繊維や、鋼繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、炭素繊維などの無機繊維を主材に事前に混合して用いてもよい。
【0056】
第一の材料供給装置20は、不図示の遠隔操作器から無線による遠隔操作により作動させることができる。コントローラ30は、遠隔操作器から自動運転を実行する制御信号を受信すると、受信した制御信号に応じて、自動運転に対応する3Dプリンティング処理を実行し、第一の材料供給装置20全体を制御可能になっている。本実施形態では、第一の材料供給装置20による3Dプリンティング処理で橋脚部Fの外周殻壁11を構築する。本実施形態の例では、平面視が矩形枠状をなす外周殻壁11の輪郭に沿って3Dプリンティングが行われる。
【0057】
本実施形態のコントローラ30は、3Dプリンティング処理のプログラムの実行にて、スクリュ搬送部1d内のスクリュ3を任意の定常速度で回転させてプリント原料Cを定量圧送することで、3Dプリンタ用ノズル装置10を有する供給ヘッド25のノズル部4からのプリント原料Cの吐出量を任意の流量で一定に制御可能になっている。
【0058】
さらに、本実施形態のコントローラ30は、3Dプリンティング処理のプログラムの実行にて、3Dプリンタ用ノズル装置10のスクリュ3の停止直後に、その回転方向を正転方向から僅かに反転させるスクリュ正反転制御処理を実行し、これにより、スクリュ3の停止時に発生し得るノズル部4からのプリント原料Cの垂れを防止または抑制可能になっている。ここで、本実施形態のコントローラ30およびコントローラ30で実行される3Dプリンティング処理のプログラムが、上記課題を解決するための手段に記載する「スクリュ正反転制御手段」に対応している。
【0059】
次に、第二の材料供給装置であるコンクリートポンプ車両40について説明する。
本実施形態では、第一の材料供給装置20による3Dプリンティング処理で橋脚部Fの外周殻壁11を構築後に、その外周殻壁11の内側を、自己充填性がある第二の粘性材料で充填して充填部17を構築する。
【0060】
本実施形態では、充填部17の打設工法としてコンクリートポンプ工法を採用している。本実施形態のコンクリートポンプ工法では、コンクリートミキサ車60で建設現場に搬送されてきた生コンクリートKを、コンクリートポンプ車40を使用して打設個所まで圧送して充填部17の打設を行なう。
【0061】
このコンクリートポンプ車40は、一般的なコンクリートポンプ車両であって、車両のフレーム41上に搭載されたコンクリートポンプ44と、フレーム41上にシリンダで屈伸可能に設けられた多段ブーム42とを備える。コンクリートポンプ44は、フレーム41上に設けられるホッパ45内にコンクリートミキサ車60から投入された生コンクリートKを吸入して移送管43に送給可能に構成されている。コンクリートポンプ車両40は、オペレータの操作により、コンクリートポンプ44により吐出される生コンクリートKを、多段ブーム42に支持される移送管43の先端から橋脚部Fの外周殻壁11内の打設個所に圧送可能に構成されている。
【0062】
第二の粘性材料としては、本実施形態のような生コンクリートKの他、有機繊維や、無機繊維を混合した、種々のセメント系混合材料(例えばセメントペースト、モルタル、コンクリート)を、補強材の量、充填スペース、充填形状等に応じて適宜用いることができる。高流動コンクリートを使用すれば、締固め作業をすることなく充填することができる。また、中流動コンクリートを使用すれば、締固め作業が軽減される。その他、流動性の高い材料として、流動化処理土、エアモルタル、セメントミルクなどのセメント系材料を充填することができる。
【0063】
なお、第二の粘性材料と第一の粘性材料とは、相互に異なる配合の材料を用いることができることは勿論、少なくとも流動性、チキソトロピー性、速硬性のいずれかが相違すれば、同一材料の配合比を変えて用いてもよい。この場合、例えば混練する水分量を適宜に変えれば流動性、チキソトロピー性、速硬性のいずれかを相違させることができる。
【0064】
次に、本実施形態の製作物構築装置による製作物の施工方法およびその作用効果について説明する。
第一の材料供給装置20の3Dプリンティングでは、予め、構築しようとする橋脚部Fの3次元形状をコンピュータモデリングするとともに、そのモデリングされたデータから、数多くの薄層に分けられた外周殻壁11の輪郭の2次元データを生成して、3Dプリンティングに必要な基礎構築データが準備されている。そして、基礎構築データは、予め第一の材料供給装置20のコントローラの記憶装置に格納されている。
【0065】
オペレータは、第一の材料供給装置20に向けて、遠隔操作器から無線による遠隔操作により自動運転を実行する制御信号を送信する。第一の材料供給装置20のコントローラ30は、受信した制御信号に応じて、対応する3Dプリンティング処理を実行する。コントローラ30で所定の3Dプリンティング処理が実行されると、コントローラ30は、まず、旋回台23およびロボットアーム24を移動させて、橋脚部Fの構築すべき外周殻壁11の輪郭上の積層開始点に供給ヘッド25を位置させる。
【0066】
その後、コントローラ30は、供給チャンバ28に付設された供給ポンプ29を駆動するとともに、旋回台23およびロボットアーム24の位置を基礎構築データに基づいて、構築すべき外周殻壁11の輪郭に沿って移動させる。これにより、第一の材料供給装置20は、二次側供給管27bを介して供給ヘッド25にプリント原料Cを供給して3Dプリンタ用ノズル装置10から吐出しつつ、基礎構築データに応じた一のプリント層を外周殻壁11の輪郭上に型枠を用いること無く形成できる。また、足場の構築およびその撤去作業を不要とすることができる。
【0067】
本実施形態では、供給ポンプ29からプリント原料Cを3Dプリンタ用ノズル装置10のシリンダ部1に供給してシリンダ部1にプリント原料Cを一時的に貯留し(材料貯留過程)、スクリュ搬送部1d内のスクリュ3を回転させてシリンダ部1からノズル部4にプリント原料Cを押し出し(材料押出過程)、プリント原料Cをノズル部4から構築すべき外周殻壁11の輪郭上の積層位置に供給する。
【0068】
つまり、本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10は、材料貯留過程と材料押出過程とをこの順に含む材料供給過程を経てプリント原料Cをノズル部4から構築すべき外周殻壁11の輪郭上の積層位置に供給する。これにより、供給ポンプ29から供給時のプリント原料Cの脈動の影響を受けずに3Dプリンタ用ノズル装置10からプリント原料Cを構築すべき外周殻壁11の輪郭上の積層位置に定量供給できる。
【0069】
さらに、第一の材料供給装置20は、一のプリント層を形成後、基礎構築データに基づいて、型枠を用いること無く、プリント原料Cを一層ずつ3Dプリンティングしてプリント層を積み上げる。ここで、一のプリント層を形成後、他のプリント層に移動する際、構築すべき外周殻壁11の輪郭上の積層位置が連続していない場合があるところ、このような場合、本実施形態のコントローラ30は、必要に応じて上記スクリュ正反転制御処理を実行する。なお、プリント原料Cの垂れは、材料の粘性等の特性、スクリュの長さや形状、管壁面の摩擦等、種々の要因の影響を受けるため、必要に応じてスクリュ正反転制御処理を実行すればよい。
これにより、スクリュ3の停止直後に、その回転方向を正転方向から僅かに反転させるスクリュ正反転制御がなされる。そのため、吐出口近傍のプリント原料Cをノズル内に引き込み、3Dプリンタ用ノズル装置10のノズル部4からのプリント原料Cの垂れを防止または抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、スクリュ3やノズル部4の壁面からプリント原料Cが受ける摩擦抵抗を大きくすることで、スクリュ停止時の材料の垂れがより確実に防止されている。特に、ノズル部4における飲み込み部4mの横断面積の減少に合わせてスクリュ3の先端の形状を先細にし、さらに、プリント原料Cの進行方向に対してノズル部4の内周面とスクリュ3の表面との間の画成空間の横断面積の変化が少なくなるように、ノズル部4および飲み込み部4mの軸方向長さおよび形状の少なくとも一方が形成されているので、プリント原料Cとスクリュ3やノズル部4のノズル内壁との接触面積が広くなり摩擦抵抗が大きくなる。
【0071】
供給ヘッド25の3Dプリンタ用ノズル装置10から供給されて橋脚部Fの基礎上に構築された外周殻壁11のプリント層は順次に硬化し、硬化されたプリント層上に再びその上の層の外周殻壁11の2次元輪郭データに基づいたプリント層の形成を繰り返し行って、所望する橋脚部Fの3次元殻壁形状を構築する。次いで、本実施形態では、コンクリートポンプ車両40によって、外周殻壁11の区画内に生コンクリートKを充填して充填部17を形成する。
【0072】
なお、外周殻壁11のZ軸方向での積層位置は、旋回台23およびロボットアーム24の移動可能範囲であれば、旋回台23およびロボットアーム24の移動制御によって行われる。また、旋回台23およびロボットアーム24の移動可能範囲を超える場合には、マスト21に対するベースフレーム22のジャッキアップ装置が駆動され、ベースフレーム22のクライミング動作によって行われる。ここで、製作物の外周に形成される外周殻壁11の厚さおよび高さは、積層による構築時に自重による変形が抑制でき、内部充填時に作用する外周高さ相当の液圧を考慮して適宜決定できる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、施工現場にて、製作物である橋脚部Fを構築する際に、施工の迅速化,省力化,危険作業の無人化を目的とし、コンクリート施工の施工性を向上し得る、3Dプリンタ技術を応用したコンクリート施工技術を提供できる。
特に、本実施形態によれば、プリント原料Cには、高いチキソトロピー性により自立し、速硬性を有するセメント系材料等を主材とする配合を用いており、対象とする製作物の外周殻壁(外郭)を3Dプリンタで精緻に積層・構築できるため型枠が不要である。
【0074】
ここで、従来の3次元の製作物を製作する用途で使用する粘性材料の供給に際し、橋脚部Fを構築するような高揚程や大容量のプリント原料Cの供給を行う場合、供給ポンプ29から供給ヘッド25に供給時のプリント原料Cは、脈動により供給量が変動する。そのため、従来の3次元製作物の製作技術では、粘性材料の押し出しによる繰り返し積層により製作物を製作する場合は、高揚程や大容量を要する大型製作物の構築が難しいという問題がある。一方、粘性材料を供給するポンプとして、脈動が生じないポンプを用いる場合、揚程や容量の制約から、製作場所や製作スピード、製作可能な製作物の大きさが制限され、工場での小規模なプレキャスト製品の製造などに適用範囲が限られるという問題がある。
【0075】
つまり、ポンプの脈動に関連する従来技術とその問題点について考察すると、例えば、往復ポンプ(例えば、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクイーズポンプ)は、一定空間容積にある流体を往復運動によって容積変化させてエネルギーを与える方式である。そのため、往復運動時に脈動が発生するという問題がある。なお、脈動を発生させない往復ポンプには、往復動の動き出しタイミングをずらして複数の往復運動を重ね合わせる「多連型往復ポンプ」があるものの、機構が複雑で高価であるという問題がある。
【0076】
また、回転ポンプ(例えば、歯車ポンプ(ギヤポンプ)、ベーンポンプ、ねじポンプ)は、一定空間容積にある流体を、歯車や羽根、ねじなどの回転運動によって容積変化させエネルギーを与える方式であり、低速運転時以外は脈動は発生しないものの、輸送抵抗の大きな高揚程や大容量の流体輸送には適さないという問題がある。また、脈動減衰器(例えば、エアチャンバ、アキュミュレータ)は、容器内の空気の圧縮性を利用して往復動ポンプの脈動を抑えて安定した液の流れを作る装置である。しかし、原則として、ポンプの吐出量を変える度に絞り弁の再調整が必要になるという問題がある。
さらに、フレッシュ性状が経時的に変化(硬化)するセメント系材料を主材とする粘性材料を対象とする場合には、材料性状の変化をモニタリングしながら絞り弁を調整する必要があることから、圧力調整機構が複雑となる。また、ポンプ起動時の吐出遅れや停止時の液ダレが生じ得るという問題もある。
【0077】
これに対し、本実施形態の製作物構築装置であれば、供給ヘッド25に設けられた3Dプリンタ用ノズル装置10が、ポンプ29から供給される粘性材料を一時的に貯留するシリンダ部1と、シリンダ部1の先端に設けられたスクリュ搬送部1dと、スクリュ搬送部1dの先端に装着されたノズル部4と、を備え、スクリュ搬送部1dは、任意の定常速度で回転可能に設けられてシリンダ部1内の粘性材料Cをスクリュ搬送部1dの先端に向けて定量圧送するスクリュ3を有するので、ポンプ29から供給される粘性材料Cを一時的にシリンダ部1に貯留し、その貯留した粘性材料Cをスクリュ搬送部1dの先端に向けて任意の定常速度で回転するスクリュ3で定量圧送してノズル部4から吐出できる。
【0078】
そのため、ポンプ29として高揚程大容量に適用できる往復ポンプを採用した場合であっても、シリンダ部1での一時的な貯留によって往復ポンプによる脈動の影響を防止または抑制し、さらに、スクリュ搬送部1dのスクリュ3による定量圧送によって吐出量を任意の流量で一定に制御しつつ吐出できる。
【0079】
なお、粘性材料Cとして、光硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などを使用し、この種の粘性材料の押し出しによる付加製造方式(いわゆる一般的な3Dプリンタ)では、ノズル先端の吐出径が微小で内容量も小さいため、材料押し出し停止時に発生する材料の自重による垂れは問題とならない。
これに対し、本実施形態のように、セメント系材料を主材とする粘性材料(例えばペースト、モルタル、コンクリート)を吐出するノズルの場合、構成材料の粒子径を考慮してノズルの吐出径を大きくする必要があり、自重による材料の垂れが深刻な問題となる。
【0080】
ここで、往復ポンプを用いる場合、押し出し停止時に材料の垂れを防止する対策としては、ノズル部に開閉式のバルブを取り付ける方法がある。しかし、バルブの開閉前後で吐出圧を調整する(バルブ閉時には吐出圧を定常圧からゼロに急減し、また、開時にはゼロから定常圧に急増させる)必要がある。そのため、開閉前後の吐出量に乱れが生じ、製作物の製作精度の低下や崩壊を招く要因となる。
【0081】
一方、回転ポンプを用いる場合は、往復ポンプを用いる場合に比べて、押し出し停止時の材料の垂れを抑制できるものの、スクリュ先端からノズル先端までの距離が長いほど粘性材料の垂れは深刻となる。よって、従来は、ノズル部からの粘性材料の垂れの問題を回避するために、粘性材料の押し出しを途中で停止させる必要がない「ひと筆書き形状」に限定することにより積層している。
【0082】
これに対し、本実施形態の製作物構築装置では、3Dプリンタ用ノズル装置10のスクリュ3の正転反転制御を行うとともに、上述したように、ノズル部4の飲み込み部の軸方向長さや形状を所定に形成しているので、これにより、スクリュ停止時に発生するノズル部4からの粘性材料Cの垂れを防止または抑制できる。そのため、材料押し出しによる繰り返し積層の手順が、ひと筆書きに限らず、不連続な複数の区間を飛ばして積層可能となる。
【0083】
ここで、
図4に示したように、モルタル等の粘性材料Cがシリンダ部1内に満たされた状態でスクリュ搬送部1dのスクリュ3が回転するとき、粘性材料Cは、スクリュ表面との摩擦力Fsとシリンダ内壁との摩擦力Fcを受ける。スクリュ表面との摩擦力Fsはスクリュ回転方向Rに作用し、粘性材料Cをスクリュ回転方向Rに移動させようとする。一方、スクリュ搬送部1dは、スクリュ3とは相対的に反対方向へ回転する。そのため、スクリュ搬送部1d内壁との摩擦力Fcは、スクリュ3の回転とは反対方向に作用することになる。
【0084】
これにより、粘性材料Cは移動を妨げられて、その場に留まろうとする。このとき、スクリュ搬送部1d内壁の摩擦力Fcがスクリュ表面の摩擦力Fsよりも非常に小さい場合、粘性材料Cはスクリュ3と一緒に回転してしまい、スクリュ進行方向Dには移動しない。一方、スクリュ搬送部1d内壁の摩擦力が十分に大きい場合、粘性材料Cはその場に留まり、スクリュ3の螺旋部3rの勾配に従ってスクリュ進行方向Dに移動してノズル部4から安定して吐出される。
【0085】
すなわち、本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10において、スクリュ搬送部1dの内壁素材は、スクリュ3の表面素材よりも摩擦係数が大きい素材が用いられているので、スクリュ3の回転方向Rへの粘性材料Cの移動を低減できるので、スクリュ3による定量圧送によって吐出量を任意の流量で一定に制御しつつ吐出する上で好適である。
また、3Dプリンタ用ノズル装置10において、ノズル部4は、その内部の断面形状が、横断面積の変化率が一定となるように先細に形成されているので、粘性材料の不意な閉塞または停留を効果的に防止する上で好適である。
【0086】
このように、本実施形態の製作物構築装置は、上述の3Dプリンタ用ノズル装置10を備えているので、第一に、ノズル部4からの材料吐出量の変動を抑制できる。第二に、スクリュ3の停止時のノズル部4からの材料垂れを防止できる。第三に、粘性材料Cの押し出し効率を向上できる。第四に、断面形状変化時の粘性材料Cの閉塞または停留を防止できる、という極めて優れた効果を奏する。
【0087】
よって、本実施形態の製作物構築装置は、供給ポンプ29の脈動による粘性材料供給量の変動を防止または抑制してプリント原料Cを定量供給しつつ、3Dプリンタ技術を用いた繰り返し積層作業により造形物や構造物等の製作物を構築できる。特に、本実施形態で示したような、現場打ちで積層工法を採用する大型製作物の場合に優れた装置であるといえる。
【0088】
なお、本発明に係る3Dプリンタ用ノズル装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、供給ポンプ29としてスクイーズポンプを使用しているが、3Dプリンタ用ノズル装置10に接続するポンプの形式はこれに限定されず、例えば往復ポンプを用いる場合、例えば、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等であってもよいし、また、回転ポンプを用いる場合、例えば、歯車ポンプ(ギヤポンプ)、ベーンポンプ、ねじポンプ等でもよく、ポンプの形式は問わない。
【0089】
また、例えば、上記実施形態の
図1に示す例では、攪拌翼2およびスクリュ3を駆動する回転軸5は同一軸で、回転速度、回転方向ともに同一の例であるが、本発明に係る3Dプリンタ用ノズル装置はこれに限定されない。例えば、攪拌翼2およびスクリュ3の回転軸は、同軸の単軸の他、二重管、あるいは多軸としてもよく、攪拌翼2およびスクリュ3の回転速度および回転方向を、それぞれ独立に制御してもよい。また、攪拌翼2およびスクリュ3の形状、ピッチおよび素材は、粘性材料Cのフレッシュ特性およびノズル部4からの設計吐出量を考慮して適宜設定できる。
【0090】
また、例えば上記実施形態では、同軸上に設けたシリンダ部1と、スクリュ搬送部1dおよびノズル部4とを別体として、ノズル部4を種々の態様に換装可能に構成した例を示したが、これに限定されず、シリンダ部1、スクリュ搬送部1dおよびノズル部4は一体形式であってよい。また、同軸上に限定されず、別体形式として離れた位置に配置してもよい。また、シリンダ部1、スクリュ搬送部1dおよびノズル部4の相互の接続部の剛性は柔軟なものでも剛なものでもよい。ただし、両者は一定容積の閉空間として接続されていなければならない。
【0091】
例えば、
図9に第一実施形態の変形例を示す。同図に示す例では、シリンダ部1に対してスクリュ搬送部1dを、スクリュ搬送部連結部1cの部分で貯留室1bと分割するとともに、シリンダ部1とスクリュ搬送部1dとを、可撓性を有するフレキシブル管51で繋いでいる点が上記第一実施形態と相違する。
詳しくは、この変形例では、シリンダ部1の下部とフレキシブル管51の上端部とはカプラ52で着脱可能に接続され、スクリュ搬送部1dの上部とフレキシブル管51の下端部とはカプラ53で着脱可能に接続されている。スクリュ搬送部1dの側面には、スクリュ駆動モータ54が付設され、スクリュ3は、スクリュ搬送部1d内に張り出す駆動機構55を介してスクリュ駆動モータ54により駆動可能になっている。スクリュ駆動モータ54の出力軸とスクリュ3の軸線とは、相互が並行に配置されており、駆動機構55は、例えばタイミングベルト等を介してスクリュ駆動モータ54の動力をスクリュ3に伝達可能に構成される。
このような構成であれば、貯留室1bとスクリュ搬送部1dとの配置関係を任意に設定できる。また、貯留室1bが大型化する場合であっても、貯留室1bを固定構造とし、可動部となるスクリュ搬送部1dを小型にできるので、その移動や姿勢制御が容易に行うことができる。
【0092】
また、本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10の適用対象は、上記実施形態の製作物構築装置のような大型の装置に装備する場合に限定されず、3Dプリンタ技術を用いた小型の装置に採用できることは勿論である。
【0093】
例えば、
図10および
図11に小型装置による実施例を示す。この例での3Dプリンタ用ノズル装置10は、粘性材料として、繊維長が12mm程度の有機短繊維(PP、PVAなど)を容積混入量で3.0%程度まで混入した繊維補強モルタルに適用した例である。
また、この実施例は、上記3Dプリンタ用ノズル装置10を、製作物構築装置として、X-Y-Z軸方向それぞれに移動可能な3軸移動テーブル装置(不図示)に搭載し、3Dプリンタ技術を用いた繰り返し積層作業により造形物や構造物等の製作物を構築した例である。
【0094】
その際、この実施例では、3Dプリンタ用ノズル装置10のスクリュ搬送部1d内のスクリュ3は、造形時のテーブル移動速度に同期して回転し、その回転速度にほぼ比例して粘性材料Cの吐出量がコントローラ30で制御される。本実施例では、粘性材料Cとして、打撃フロー180~190mmのモルタルのとき、30~120rpmの回転速度に対して0.12~0.35L/minの材料を吐出可能である。
【0095】
図10に示す実施例は、本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10が、不連続な複数の区間を飛ばして円筒状の製作物を積層可能な状態を示す。同図(a)に示すように停止位置でスクリュ停止時に発生するノズル部4からの粘性材料Cの垂れを防止した。次いで、図中白抜き矢印で示す径方向反対側までフィード後に(同図(b)参照)、同図(c)に示す径方向反対側位置で積層を再開している。同図に見て取れるように、ノズル部4からの粘性材料Cの垂れが防止されている。
【0096】
また、
図11に示す実施例は、本実施形態の3Dプリンタ用ノズル装置10による、3Dプリンタ技術を用いた繰り返し積層作業により複雑な造形物を構築した例である。この例では、高さ20cm、40層の繰り返し積層作業を行っている。同図に示すように、中空多角形状であって周方向に螺旋状をなすとともに軸方向上方に向かうにつれて拡幅する複雑な造形物や構造物等の製作物を短時間(この例では約5分)で構築できる。
【符号の説明】
【0097】
1 シリンダ部
1c スクリュ搬送部連結部
1d スクリュ搬送部
1f シリンダ先端
1n シリンダ内壁
2 攪拌翼(撹拌部材)
3 スクリュ(回転部)
3s スクリュ表面
3t スクリュ先端
4 ノズル部
4m 飲み込み部
5 回転軸
6 駆動モータ
10 3Dプリンタ用ノズル装置
20 第一の材料供給装置(製作物構築装置:3Dプリンタ装置)
25 供給ヘッド
28 ホッパ(貯留部)
29 ポンプ(配送部)
30 コントローラ
40 コンクリートポンプ車両
C 粘性材料(プリント原料)