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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
G09F13/04 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022536480
(86)(22)【出願日】2022-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2022017446
【審査請求日】2022-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 稔
(72)【発明者】
【氏名】北山 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】横山 英明
(72)【発明者】
【氏名】老田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 清
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/124692(WO,A1)
【文献】特開2016-166763(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015719(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/013259(WO,A1)
【文献】特開2010-271557(JP,A)
【文献】実開昭59-181486(JP,U)
【文献】実開昭56-130982(JP,U)
【文献】特開平11-144544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0333237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面を有し、前記光を外部に向かってガイドする遮光成形体と、を備えた、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記遮光成形体は、前記樹脂層の一部が前記基材を厚み方向に貫通して前記基材上に筒状に突出して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記遮光成形体は、前記発光素子が接合された前記導電パターンの一部を跨ぐように覆って前記基材上に突出している、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記導電性パターンが前記遮光成形体に覆われた領域の前記基材の前記樹脂層が形成される前記他面に密着して固定され前記樹脂層の侵入を規制する進入規制体を更に備える、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記遮光成形体は、前記壁面の内側で、一端が前記発光素子の光出射部に面し前記発光素子からの光を外部に導く導光部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光成形体は、複数の前記発光素子を前記壁面で区画して、隣接する前記導光部側への光の漏れを規制するように繋がってブロック状で形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子は、前記基材が厚み方向に屈曲し前記光の出射方向である上方に凸状に突出した領域に配置され、前記遮光成形体は前記凸状の間となる凹部を埋めるように形成されている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記遮光成形体の表面に前記光を透光する透光部を有する表示体を更に備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面を有し、前記発光素子からの光を外部に向かってガイドする遮光成形体と、を備える表示装置の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記導電性パターンに前記発光素子を電気的に接合する工程と、
前記基材に貫通孔を形成する工程と、
前記導電性パターンの前記遮光成形体に覆われる領域の前記基材の前記他面に前記樹脂層の侵入を規制する進入規制体を接着する工程と、
前記貫通孔が形成された前記基材を金型に載置して前記樹脂層と前記遮光成形体を形成する工程と、
を含む、
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面の内側で、一端が前記発光素子の光出射部に面し前記発光素子からの光を外部に導く導光部を有する遮光成形体と、を備える表示装置の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記導電性パターンに前記発光素子を電気的に接合する工程と、
前記導電性パターンに前記発光素子が接合された前記基材を型に載置して前記基材に3次元形状への賦形を施す賦形工程と、
前記賦形が施された前記基材を金型に載置して前記樹脂層と前記遮光成形体を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器を操作するために機器に備えられる操作装置であって、機器の操作内容を示す操作信号を生成するために押下される操作キーと、操作キーを押下可能に保持する第1基板と、光を出射する光源と、光を外部に導く導光部材とを備え、第1基板は、導光部材を位置決めする開口部を有する、操作装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
第1の面から入射した光線を拡散光に変えて前記第1の面と反対側の第2の面から放出する導光部材と、この導光部材の第2の面側に間隔を空けて配置される複数の点光源とを備え、導光部材が、第1の面を直下の1又は複数の点光源に対応する複数の発光領域に区画し、隣接する発光領域への光線の透過を低減する遮光構造を有する発光表示装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-10798号公報
【文献】特開2019-168571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることができる表示装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の表示装置は、
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面を有し、前記光を外部に向かってガイドする遮光成形体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、
前記遮光成形体は、前記樹脂層の一部が前記基材を厚み方向に貫通して前記基材上に筒状に突出して形成されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の表示装置において、
前記遮光成形体は、前記発光素子が接合された前記導電パターンの一部を跨ぐように覆って前記基材上に突出している、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記導電性パターンが前記遮光成形体に覆われた領域の前記基材の前記樹脂層が形成される前記他面に密着して固定され前記樹脂層の侵入を規制する進入規制体を更に備える、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、
前記遮光成形体は、前記壁面の内側で、一端が前記発光素子の光出射部に面し前記発光素子からの光を外部に導く導光部を有する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の表示装置において、
前記遮光成形体は、複数の前記発光素子を前記壁面で区画して、隣接する前記導光部側への光の漏れを規制するように繋がってブロック状で形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の表示装置において、
前記発光素子は、前記基材が厚み方向に屈曲し前記光の出射方向である上方に凸状に突出した領域に配置され、前記遮光成形体は前記凸状の間となる凹部を埋めるように形成されている、
ことを特徴とする表示装置。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、
前記遮光成形体の表面に前記光を透光する透光部を有する表示体を更に備えた、
ことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために、請求項9に記載の表示装置の製造方法は、
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面を有し、前記発光素子からの光を外部に向かってガイドする遮光成形体と、を備える表示装置の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記導電性パターンに前記発光素子を電気的に接合する工程と、
前記基材に貫通孔を形成する工程と、
前記導電性パターンの前記遮光成形体に覆われる領域の前記基材の前記他面に前記樹脂層の侵入を規制する進入規制体を接着する工程と、
前記貫通孔が形成された前記基材を金型に載置して前記樹脂層と前記遮光成形体を形成する工程と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために、請求項10に記載の表示装置の製造方法は、
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、
前記基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、
前記発光素子を離隔して囲い前記光の漏れを規制する壁面の内側で、一端が前記発光素子の光出射部に面し前記発光素子からの光を外部に導く導光部を有する遮光成形体と、を備える表示装置の製造方法であって、
前記基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記導電性パターンに前記発光素子を電気的に接合する工程と、

前記基材を型に載置して前記基材に3次元形状への賦形を施す賦形工程と、
前記賦形が施された前記基材を金型に載置して前記樹脂層と前記遮光成形体を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、遮光成形体と樹脂層を一体化して表示装置を製造する工程を少なくすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、発光素子が接合された導電性パターン上に遮光成形体を形成することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、射出成形時の樹脂圧による基材の変形を抑制することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、発光素子の光を遮光成形体で外部に導くことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、隣接する発光領域への光の漏れを規制するとともに導光部を支持することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、3次元形状の表示装置を得ることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、導光部から伝播した光の外部への拡散を抑制するとともに表示装置の表面に光を透光可能な表示体を配置することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1Aは本実施形態に係る表示装置の一例を表示体を省略して示す平面模式図、図1Bは本実施形態に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。
図2図2Aは貫通孔が形成された基材の一例を示す平面模式図、図2Bは貫通孔が形成された基材の一例を示す断面模式図である。
図3図3Aは遮光成形体の構成を示す平面模式図、図3Bは遮光成形体の構成を示す断面模式図である。
図4】遮光成形体を形成する金型内における樹脂の流動を説明する断面模式図である。
図5図5Aは変形例に係る表示装置の一例を表示体を省略して示す平面模式図、図5Bは変形例に係る表示装置の一例を示す断面模式図である。
図6】表示装置の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
図7】表示装置の製造過程を説明するための部分断面模式図である。
図8】変形例に係る表示装置の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
図9】変形例に係る表示装置の製造過程の一部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0028】
(1)表示装置の全体構成
図1Aは本実施形態に係る表示装置1の一例を表示体9を省略して示す平面模式図、図1Bは本実施形態に係る表示装置1の一例を示す断面模式図、図2Aは貫通孔2cが形成された基材2の一例を示す平面模式図、図2Bは貫通孔2cが形成された基材2の一例を示す断面模式図、図3Aは遮光成形体6の構成を示す平面模式図、図3Bは遮光成形体6の構成を示す断面模式図を、図4は遮光成形体6を形成する金型内における樹脂の流動を説明する断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る表示装置1の構成について説明する。
【0029】
表示装置1は、図1に示すように、変形可能な基材2の一面2aに配置された導電性パターン3と電気的に接合され光を出射する発光素子4と、基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆い基材2を支持する樹脂層5と、発光素子4からの光を外部に向かってガイドする遮光成形体6と、を備えて構成されている。
【0030】
(基材)
本実施形態において使用する変形可能な基材2は特にフィルム状の基材に限らないが、以下、フィルム状の基材として説明する。ここで、「変形可能な基材」は、導電性パターン3を配置後に変形できる、すなわち、熱成形、真空成形または圧空成形によって実質的に平坦な二次元形状から実質的に3次元形状に形成されることができる基材を意味する。
【0031】
このような基材2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ナイロン6-10、ナイロン46などのポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ABS、PMMA、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
特にポリエステルがより好ましく、さらにその中でもポリエチレンテレフタレート(PET)が経済性、電気絶縁性、耐薬品性等のバランスが良く最も好ましい。
【0032】
基材2の一面2aには、金属ナノ粒子等の触媒インクを均一に塗布するために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理を用いることができる。
【0033】
また、図2に示すように、基材2には、厚み方向に貫通する貫通孔2cが形成されている。貫通孔2cは、後述する遮光成形体6を射出成形により形成する際に、樹脂層5を形成するキャビティCA1と遮光成形体6を形成するキャビティCA2とを連通する孔であり、射出成形される溶融樹脂の流路となる(図4 参照)。貫通孔2cは、形成される遮光成形体6の形状及び大きさに合わせて、その形状、大きさ、数が適宜設定される。
【0034】
このような変形可能な熱可塑性樹脂からなるフィルム状の基材2は、表示装置1の要求される使用態様によって、実質的に平坦な二次元形状から実質的に3次元形状に賦形される。
【0035】
(導電性パターン)
基材2の一面2aに導電性パターン3を配置する場合、さきに、金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒からなる下地層(不図示)を所定のパターン状に形成する。下地層は、基材21上に金属ナノ粒子等の触媒インクを塗布したあと、乾燥および焼成を行うことにより形成する。
【0036】
下地層の厚み(μm)は、0.1~20μmが好ましく、0.2~5μmがさらに好ましく、0.5~2μmが最も好ましい。下地層が薄すぎると、下地層の強度が低下するおそれがある。また、下地層が厚すぎると、金属ナノ粒子は通常の金属よりも高価であるため、製造コストが増大する虞がある。
【0037】
触媒の材料としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルなどが用いられ、導電性の観点から金、銀、銅が好ましく、金、銀に比べて安価な銅が最も好ましい。
【0038】
触媒の粒子径(nm)は1~500nmが好ましく、10~100nmがより好ましい。粒子径が小さすぎる場合、粒子の反応性が高くなりインクの保存性・安定性に悪影響を与える虞がある。粒子径が大きすぎる場合、薄膜の均一形成が困難になるとともに、インクの粒子の沈殿が起こりやすくなる虞がある。
【0039】
導電性パターン3は、下地層の上に電解めっきまたは無電解めっきにより形成される。めっき金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金などを用いることができるが、伸長性、導電性および価格の観点から銅を用いることが最も好ましい。
【0040】
めっき層の厚さ(μm)は、0.03~100μmが好ましく、1~35μmがより好ましく、3~18μmが最も好ましい。めっき層が薄すぎると、機械的強度が不足するとともに、導電性が実用上十分に得られない虞がある。めっき層が厚すぎると、めっきに必要な時間が長くなり、製造コストが増大する虞がある。
【0041】
また、導電性パターン3は、有機導電性材料をインキ状、ペースト状にしたものをスクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法等で塗布し、焼成することにより形成してもよい。有機導電性材料としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)/PSS、カーボン、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリ硫黄窒化物等が挙げられる。
【0042】
導電性パターン3には、一端に複数のコネクタ接続パッド3aが形成され、図1に示すように、表示装置1の外部に設けられた外部素子と電気的に接続するための外部接続端子7が電気的に接合されている。
外部接続端子7は、例えば、コネクタ端子となる端子部7aと、アンカー部7bとからなり、アンカー部7bが接合材でコネクタ接続パッド3aに電気的に接合される。端子部7aおよびアンカー部7bは、銅の合金などを用いて四角柱形状に形成され、表面にニッケルメッキを施し、そのニッケルメッキの上に、金、錫などの金属やそれら金属を含む合金などのメッキが施されても良い。外部接続端子7のピッチは、接続先のコネクタの規格に応じている。
【0043】
また、導電性パターン3は、図1図2においては、外部接続端子7と発光素子4とを電気的に接続する例を示しているが、導電性パターン3には、発光素子4以外に複数の電子部品が取り付けられてもよい。電子部品としては、制御回路、歪み、抵抗、静電容量、TIRなどの接触感知、および光検出部品、圧電アクチュエータなどの触知部品、マイクおよびスピーカーなどの発音または受音、メモリチップ、プログラマブルロジックチップおよびCPUなどのデバイス操作部品、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ALSデバイス、PSデバイス、処理デバイス、MEMS等が挙げられる。
【0044】
(発光素子)
発光素子4は、例えば、LED等の半導体発光素子である。発光素子4は図1図2に示すように、導電性パターン3にはんだ等の接合材により電気的に接合されている。発光素子4はレンズ(不図示)を備えていることが好ましい。そのようなLEDとしては、例えば、日亜化学工業社、クリー(Cree)社、オスラム(Osram)社、豊田合成社等各社の製品などの市販の半導体発光素子を用いることができる。これらの半導体発光素子は、形態、サイズ及び取り付け方法がそれぞれ異なるが、基材2上に形成された導電性パターン3上にはんだ等の接合材により電気的に接合され、導電性パターン3に電気的に接合された外部接続端子7を介して外部から給電されて発光する。
【0045】
(樹脂層)
樹脂層5は、図1Bに示すように、基材2の導電性パターン3が配置された一面2aとは反対側の他面2bに対して接着層ADを介して基材2の他面2bを覆って支持するように形成されている。接着層ADは、導電性パターン3を外部から不可視に覆い隠すように調色されてもよい。また、樹脂層5は樹脂材料を不透明樹脂材料とすることで、樹脂層5と一体として形成される遮光成形体6が発光素子4から出射する光の漏れを規制して、発光素子4からの光を外部に向かってガイドすることができる。
【0046】
樹脂層5は、射出成形可能な熱可塑性樹脂材料からなる熱可塑性樹脂である。具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物を含む熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0047】
(遮光成形体)
遮光成形体6は、図3に示すように、基材2の一面2a上で発光素子4を離隔して囲い、発光素子4から出射する光の漏れを規制する壁面6aを有する筒体として形成され、発光素子4から出射する光を外部に向かってガイドするようになっている。
【0048】
このような遮光成形体6は、樹脂層5の一部が基材2を厚み方向に貫通して基材2の一面2a側に筒状に突出して形成されている。具体的には、図3に示すように、遮光成形体6は、基材2の一面2aに配置され発光素子4が接合された導電性パターン3の一部(図3Aにおいて破線で示す3b)を跨ぐように覆って基材2の一面2a上に突出している。すなわち、樹脂層5を形成する熱可塑性樹脂が基材2に設けられた貫通孔2cから基材2の導電性パターン3が配置された一面2a上に流動して(図4中 矢印で示す)導電性パターン3の一部を跨いで覆うことで、遮光成形体6は、発光素子4を切れ目のない筒体で全周に亘って囲い、発光素子4から出射する光の漏れを規制している。
【0049】
このように、遮光成形体6は、基材2の他面2bを覆って支持する樹脂層5と一体として形成されることから、樹脂層5と同じ射出成形可能な熱可塑性樹脂材料からなり、表示装置1の製造工程を少なくすることが可能となる。
【0050】
(侵入規制体)
図3B図4に示すように、導電性パターン3が遮光成形体6に覆われた領域の基材2の樹脂層5が形成される他面2bに密着して固定され樹脂層5の侵入を規制する進入規制体8を備えている。
進入規制体8は、樹脂層5の形成に先だって、導電性パターン3の遮光成形体6に覆われる領域に基材2の他面2bに密着するように、接着により固定される。接着の方法としては、溶融樹脂の樹脂圧により進入規制体8がずれないように、接着剤で固定する、両面テープで張り合わせる等が挙げられる。
進入規制体8の材料は特に限定されないが、樹脂層5の材料と同じ熱可塑性樹脂材料で形成されているのが好ましい。
【0051】
進入規制体8は、樹脂層5を射出成形で形成する際に、樹脂層5と一体として形成される遮光成形体6で覆われる導電性パターン3が形成された領域における基材2の他面2bへの樹脂層5の進入を規制して樹脂層5を射出成形する際の樹脂圧による基材2の変形を抑制している。
【0052】
(表示体)
成形体6の表面には光を透光する透光部9aを有する表示体9が貼り付けられてもよい。表示体9としては、例えばタッチセンサがパターン形成されたフィルム基材、またはボタンスイッチが表面実装されたフィルム基材の全体を不透光に着色して外部への光の拡散を抑制するとともに、一部に例えば細孔が形成された透光部9aを設け、遮光成形体6によってガイドされる光の一部を透過させることで、透光部9aの視認性を向上させることができる。
また、表示体9としては、光を透光する透光部9aを有する加飾フィルムが貼り付けられてもよく、光を透光する透光部9aを有する樹脂成形体が貼り付けられてもよい。
【0053】
このように、発光素子4を離隔して囲い発光素子4から出射する光の漏れを規制する壁面6aを有し、発光素子4から出射する光を外部に向かってガイドする遮光成形体6を基材2の一面2a上に突出して形成することで、光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることが可能となる。
【0054】
「変形例」
図5Aは変形例に係る表示装置1Aの一例を表示体9を省略して示す平面模式図、図5Bは変形例に係る表示装置1Aの一例を示す断面模式図である。
変形例に係る表示装置1Aにおいて、発光素子4は、基材2Aが厚み方向に屈曲し光の出射方向である上方に凸状に突出した領域に配置され、遮光成形体6Aは、壁面6Aaの内側で、一端が発光素子4の光出射部4aに面し発光素子4からの光を外部に導く導光部61を有し、複数の発光素子4を壁面6Aaで区画して、隣接する導光部61側への光の漏れを規制するように繋がってブロック状で形成されている。
【0055】
基材2は、その一面2a上に導電性パターン3が配置され、図5Bに示すように、基材2の厚み方向に屈曲して、発光素子4の光の出射方向である上方に凸状に突出している。変形可能な基材2は、基材2上に配置された導電性パターン3に発光素子4を電気的に接合した後に、熱プレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等の成形手段により、3次元形状に賦形される。凸状に突出するように賦形された基材2は、樹脂層5と一体化される。
【0056】
遮光成形体6Aは、図5Bに示すように、壁面6Aaの内側で、一端が発光素子4の光出射部4aに面し発光素子4からの光を外部に導く導光部61を有している。導光部61は、発光素子4の上方で、光の出射方向である上方に延びる柱状体で発光素子4から出射する光を表示装置1Aの上方に導くように光透過性の樹脂材料で形成されている。
光透過性の樹脂材料としては、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられるが、これらに限定されることはなく、導光体として一般的に使用される材料で形成することができる。
【0057】
導光部61を有する遮光成形体6Aは、基材2Aの凸状に突出する領域に配置された発光素子4のそれぞれを壁面6Aaで囲う空洞部62を有し、隣接する発光素子4側への光の漏れを規制するように繋がってブロック状で形成されている。導光部61は、図5Aに示すように、空洞部62内に壁面6Aaから空洞部62内に向かって延びるリブ体63に支持されて空洞部62の中央部に位置している。
【0058】
遮光成形体6Aの表面には、光を透光する透光部9aを有する表示体9が貼り付けられている。
このように、遮光成形体6Aは、壁面6Aaの内側で、一端が発光素子4の光出射部4aに面し上方に延びる柱状体の導光部61を有し、それぞれの導光部61を空洞部62で区画して、隣接する導光部61側への光の漏れを規制するように繋がってブロック状で形成されている。これにより、隣接する発光領域への光の漏れを抑制するとともに、発光素子4から出射する光を導光部61で透光部9aへ導いて発光領域と消灯領域の区別を明確にすることが可能となる。
(2)表示装置の製造方法
図6は表示装置1の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図、図7は表示装置1の製造過程を説明するための部分断面模式図である。
表示装置1は、図6に示すように、基材2の準備工程S11と、基材2上に導電性パターン3を配置する配線用めっき工程S12と、導電性パターン3と発光素子4とをはんだで電気的に接合する接合工程S13と、基材2に貫通孔2cを形成する貫通孔形成工程S14と、基材2の他面2b側で遮光成形体6に覆われる領域に進入規制体8を接着する進入規制体接着工程S15、基材2を金型Kに位置決めして樹脂層5と遮光成形体6を形成する樹脂充填工程S16と、を経て製造される。
【0059】
(基材の準備工程S11)
基材の準備工程S11においては、まず、所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2に導電性パターン3を配置するために、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層を所定のパターン状に形成する。尚、基材2には、金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを均一に塗布するために、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0060】
基材2上に金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを塗布する方法としては、インクジェット印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式、パッド印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、ダイコーター方式、バーコーター方式、スピンコーター方式、コンマコーター方式、含浸コーター方式、ディスペンサー方式、メタルマスク方式が挙げられるが、本実施形態においてはインクジェット印刷方式を用いている。
【0061】
具体的には、1000cps以下、例えば、2cpsから30cpsの低粘度の触媒インクをインクジェット印刷方式で塗布した後、溶媒を揮発させ金属ナノ粒子のみを残す。その後、溶媒を除去し(乾燥)、金属ナノ粒子を焼結させる(焼成)。
焼成温度は、100°C~300°Cが好ましく、150°C~200°Cがより好ましい。焼成温度が低すぎると、金属ナノ粒子同士の焼結が不十分となるとともに、金属ナノ粒子以外の成分が残ることで、密着性が得られない虞がある。また、焼成温度が高すぎると、基材2の劣化や歪みが発生する虞がある。
【0062】
(配線用めっき工程S12)
基材2上に形成された下地層に対し、電解めっきまたは無電解めっきを行うことにより、下地層の表面および内部にめっき金属を析出させ導電性パターン3を配置する(図7A 参照)。めっき方法は公知のめっき液およびめっき処理と同様であり、具体的に無電解銅めっき、電解銅めっきが挙げられる。
【0063】
(接合工程S13)
発光素子4の接合工程13においては、基材2上に配置された導電性パターン3上に発光素子4及び外部接続端子7をはんだで接合するために、まず、基材2の導電性パターン3が配置された一面2a側にソルダーレジストを例えばスクリーン印刷によって塗布する。
次に、導電性パターン3、発光素子4及び外部接続端子7の端子部にはんだペーストを塗布する。はんだペーストの塗布は、ステンシル印刷装置、スクリーン印刷装置、ディスペンサー装置等の公知の装置を用いて行うことができる。本実施形態においては、ディスペンサー装置を用いてはんだペーストを塗布する。
【0064】
そして、はんだペーストを塗布後、はんだを溶融、固化させて、導電性パターン3上にはんだを介して発光素子4及び外部接続端子7を電気的に接合する(図7B 参照)。
また、はんだ付けは、レーザーはんだ付けや光焼成はんだ付けを用いてもよい。レーザーはんだ付けは、はんだ付け装置のはんだ付けヘッドからレーザー光を照射し、表示装置1の微細な部位に発光素子4を短時間で実装することができるという利点がある。また、電気的接合を行いたい部分に選択的にレーザー光を照射することができるため、フロー式やリフロー式と比較して、発光素子4の接合時に、発光素子4全体に熱を加えずに接合を行うことが可能となる。
【0065】
(貫通孔形成工程S14)
導電性パターン3に発光素子4が接合された基材2に、基材2の厚み方向に貫通する貫通孔2cを形成する(図7C 参照)。貫通孔2cは、樹脂層5を形成するキャビティCA1と遮光成形体6を形成するキャビティCA2とを連通する孔であり、遮光成形体6の形状及び大きさに合わせて、溶融樹脂が通過できる大きさで形成される。本実施形態においては、発光素子4の近傍に導電性パターン3を挟んで2か所設けられる。
【0066】
(進入規制体接着工程S15)
基材2の準備工程S11、配線用めっき工程S12、発光素子4の接合工程S13、貫通孔形成工程S14を経て、導電性パターン3が配置され、貫通孔2cが形成された基材2の導電性パターン3が遮光成形体6で覆われる領域の基材2の他面2bに進入規制体8を接着により取り付ける(図7D 参照)。
【0067】
(樹脂充填工程S16)
樹脂充填工程S16では、まず、貫通孔形成工程S14で貫通孔2cが形成され、進入規制体接着工程S15で進入規制体8が接着された基材2の導電性パターン3が配置された一面2aとは反対側の他面2b及び遮光成形体6が形成され遮光成形体6と接触する一面2aに基材2と樹脂層5の樹脂素材の組み合わせに応じてバインダーインクを塗布して接着層ADを形成する(図1B AD参照)。また、遮光成形体6が形成される領域の導電性パターン3にもバインダーインク(不図示)を塗布することが好ましい。バインダーインクは、接着性樹脂を含み、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコート、筆塗り等で塗布され、基材2と射出成形される樹脂層5及び導電性パターン3と遮光成形体6との接着性を向上させる。
【0068】
次に、貫通孔2cが形成され進入規制体8が接着された基材2を金型Kに位置決めしてセットした状態(図7E 参照)で金型Kを閉じて樹脂をキャビティCA1に充填する。キャビティCA1に充填された樹脂により、基材2の他面2bを覆う樹脂層5が形成される。このとき、進入規制体8が接着されている領域の基材2の他面2bには、溶融樹脂は進入することができず、溶融樹脂の樹脂圧による基材2の変形が抑制される。
そして、キャビティCA1に充填される樹脂は、基材2に形成された貫通孔2cから基材2の、導電性パターン3が配置された一面2a側に形成されたキャビティCA2に充填される。キャビティCA2に充填された樹脂により遮光成形体6が形成される。
【0069】
本実施形態に係る表示装置1の製造方法によれば、樹脂層5を形成する熱可塑性樹脂が基材2に設けられた貫通孔2cから基材2の導電性パターン3が配置された一面2a上に流動して導電性パターン3の一部を跨いで覆うことで、発光素子4から出射する光の漏れを規制する遮光成形体6を樹脂層5と一体として形成し、表示装置1を製造する工程を少なくすることができる。
【0070】
「変形例」
図8は変形例に係る表示装置1Aの製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図、図9は変形例に係る表示装置1Aの製造過程の一部を説明するための図である。
【0071】
変形例に係る表示装置1Aは、図8に示すように、基材2の準備工程S21と、基材2上に導電性パターン3を形成する配線用めっき工程S22と、導電性パターン3と発光素子4とをはんだで電気的に接合する接合工程S23と、導電性パターン3に発光素子4が電気的に接合された基材2を型に載置して基材2に3次元形状への賦形を施す賦形工程S24、基材2を金型Kに位置決めして、基材2の他面2bを覆う樹脂層5と基材2の一面2a側に突出する導光部61を有する遮光成形体6Aを形成する樹脂充填工程S25と、を経て製造される。
【0072】
変形例に係る表示装置1Aの製造工程における、基材2の準備工程S21、配線用めっき工程S22、導電性パターン3と発光素子4とをはんだで電気的に接合する接合工程S23は、上述した表示装置1の製造過程と同一であるために、その説明は省略して、賦形工程S24以降について説明する。
【0073】
(賦形工程S24)
賦形工程S24においては、導電性パターン3が配置され発光素子4及び外部接続端子7が接合された基材2を、熱プレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等の成形手段により、3次元形状に賦形する。
賦形に用いられる型は、賦形が施された基材2の外表面が後述する樹脂充填工程S25における射出成形に用いられる金型KのキャビティCAの形状に沿うように形成されている。
【0074】
はじめに、図9Aに示すように、基材2を雌型11と雄型12との間に載置する。このとき、雌型11と雄型12とは基材2を軟化させることができる所定の温度に加熱されている。そして、図9Bに示すように、雌型11と雄型12とを所定の圧力で型締めすると、基材2は雄型12のコア部12aと雌型11のキャビティ部11aとの間に挟まれて賦形される。
【0075】
そして、雌型11と雄型12とを型開きし、冷却することにより、トリミング前の所定の3次元形状に賦形された基材2が得られる。そして、雌型11及び雄型12から基材2を取り出し、不要部分をトリミングすることにより、樹脂層5及び遮光成形体6Aが形成される前の基材2が得られる。
【0076】
このようにして賦形された基材2は、樹脂充填工程S25における射出成形に供されて、樹脂層5及び遮光成形体6Aと一体化されて表示装置1Aとされる。
【0077】
(樹脂充填工程S25)
樹脂充填工程S25では、まず、賦形工程S24で3次元形状に賦形が施された基材2の導電性パターン3が配置された一面2aとは反対側の他面2b及び遮光成形体6Aが形成される一面2aに基材2と樹脂層5の樹脂素材の組み合わせに応じてバインダーインクを塗布する。
【0078】
次に、3次元形状に賦形が施された基材2を金型Kに位置決めしてセットする。基材2を金型KのキャビティCAにセットする場合には、3次元形状に賦形が施された基材2をキャビティCAの表面に自己吸着させて配置しても位置ずれさせないように、キャビティCAの表面に両面テープで貼り付けたり、真空吸着させたり、キャビティCAに突起(不図示)を設け、突起に嵌め込むようにして固定してもよい。
【0079】
そして、図9Cに示すように、基材2を金型Kに位置決めしてセットした状態で金型を閉じて樹脂をキャビティCAに充填する。キャビティCAに充填された樹脂により、基材2の他面2bを覆う樹脂層5及び基材2の一面2a側に突出する導光部61を有する遮光成形体6Aが形成される。
【0080】
このように、本実施形態の変形例に係る表示装置1Aの製造方法によれば、基材2Aが厚み方向に屈曲し凸状に突出した領域に配置された発光素子4からの光を外部に導く導光部61を有し、隣接する導光部61側への光の漏れを規制する遮光成形体6Aをブロック状で形成することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A・・・表示装置
2・・・基材
2c・・・貫通孔
3・・・導電性パターン
4・・・発光素子
5・・・樹脂層
6、6A・・・遮光成形体
6a、6Aa・・・壁面、61・・・導光部、62・・・空洞部
7・・・外部接続端子
8・・・進入規制体
9・・・表示体
9a・・・透光部
CA、CA1、CA2…キャビティ
K・・・金型
【要約】
光の漏れを抑制して発光領域と消灯領域の区別を明確にすることができる表示装置及びその製造方法を提供する。
変形可能な基材の一面に配置された導電性パターンと電気的に接合され光を出射する発光素子と、基材の一面とは反対側の他面を覆い前記基材を支持する樹脂層と、樹脂層の一部が基材を厚み方向に貫通して基材上に筒状に突出して形成され、発光素子を離隔して囲い光の漏れを規制する壁面を有し、発光素子からの光を外部に向かってガイドする遮光成形体と、を備えた表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9