(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】建設機材の回転反力受け装置
(51)【国際特許分類】
E21B 4/00 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
E21B4/00
(21)【出願番号】P 2018109059
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599103878
【氏名又は名称】株式会社菅原建設
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 鉄哉
(72)【発明者】
【氏名】小池 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】橋立 健司
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-167091(JP,A)
【文献】実開昭47-030902(JP,U)
【文献】実開平01-069891(JP,U)
【文献】特開2006-083573(JP,A)
【文献】特開平08-218757(JP,A)
【文献】特開2018-062778(JP,A)
【文献】米国特許第04317493(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 4/00
E21B 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
を
有し、
前記受け部材に前記切欠きを横断するように着脱自在に取り付けられ、前記竪穴の内外に渡って延在する線条体を案内可能なガイドローラを更に備える
ことを特徴とする建設機材の回転反力受け装置。
【請求項2】
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
前記開口の周縁に取り付けられ、前記開口に対し接近する建設機材を前記開口へと案内するガイド部と、
を有する
ことを特徴とする建設機材の回転反力受け装置。
【請求項3】
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
を
有し、
前記竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングを更に備え、
前記受け部材は、前記アダプタリングに対し少なくとも一方向に相対回転不能に設置可能である
ことを特徴とする建設機材の回転反力受け装置。
【請求項4】
前記受け部材は、前記開口の周縁に取り付けられ、前記開口に対し接近する建設機材を前記開口へと案内するガイド部を更に有する
ことを特徴とする請求項
1に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項5】
前記竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングを更に備え、
前記受け部材は、前記アダプタリングに対し少なくとも一方向に相対回転不能に設置可能である
ことを特徴とする請求項1
、2又は4に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項6】
前記受け部材及び前記アダプタリングのうち一方は係合突起を有し、
前記受け部材及び前記アダプタリングのうち他方は、前記係合突起と係合可能な係合溝を有し、
前記係合突起が前記係合溝と係合することにより、前記受け部材から前記アダプタリングに前記回転反力が伝達されるように構成されている
ことを特徴とする請求項
3又は5に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項7】
前記竪穴内に配置された建設機材を支持するための支持アセンブリを更に備え、
前記支持アセンブリは、前記建設機材の荷重を前記アダプタリングに伝達するように構成されている
ことを特徴とする請求項
3、5又は6に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項8】
前記支持アセンブリは、
前記アダプタリングに取り付け可能な支持ステージと、
前記支持ステージ上に移動自在に配置された1対の桁ユニットと、
を含み、
前記桁ユニットは、前記建設機材を係止するための係止部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項9】
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材を支持する車輪と、
前記桁部材と前記車輪との間に変形可能に設けられた弾性部材とを有し、
前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用していないとき、前記桁ユニットは走行自在である一方、前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用しているとき、前記弾性部材が変形することにより前記桁部材は下降して前記アダプタリング又は前記支持ステージに当接し、前記桁ユニットは走行不能である
ことを特徴とする請求項8に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項10】
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記係止部は、前記揺動部に設けられている
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項11】
前記支持アセンブリは、
前記受け部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記揺動部に前記建設機材を係止可能である
ことを特徴とする請求項7に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項12】
前記アダプタリングに取り付けられた作業台を更に備える
ことを特徴とする請求項
3、5
、6、7、8、9、10又は11に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【請求項13】
前記ケリーバに摺動自在に外嵌されるとともに、前記受け部材の前記開口に嵌合可能であるスライダを更に備える
ことを特徴とする請求項1
乃至12の何れか1項に記載の建設機材の回転反力受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は建設機材の回転反力受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カッタの駆動源を内蔵している掘削機をケリーバを介してクレーンで吊り、掘削機で竪穴を掘削する場合、掘削機に作用する回転反力によりケリーバが回転してしまう。このような回転反力を受けるための装置として、特許文献1が開示するように、ケリーバと嵌合可能な開口を有する架台が用いられている。
なお、特許文献1は、ケーブルを挿通可能な掘削機用支柱を架台とともに開示しており、掘削機用支柱が、架台の開口と嵌合可能である。より詳しくは、掘削機支柱は、断面円筒形状の支柱本体と、支柱本体の外周面に周方向に間隔をあけて設けられたそれぞれ半円筒形状の複数のケーブル類挿通部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された架台は、2つの架台構成部材によって構成されており、架台の設置や撤去の際、2つの架台構成部材をそれぞれ吊り上げ、所定位置に移動させなければならない。このため、特許文献1に記載された架台の設置や撤去は煩雑である。
また、架台が一度設置されてしまうと、架台によって竪穴の開口が略閉塞されてしまい、竪穴内の状況を確認することが困難になってしまう。
一方、特許文献1が開示する掘削機用支柱はケーブル類挿入部を有しているが、ケーブルに付着した土砂がケーブル類挿入部に詰まる虞があり、竪穴内へのケーブルの送り込みや引き出しが困難になる虞がある。
更に、ケーブル類挿入部は、掘削機用支柱の外周に間隔をあけて設けられており、地上で複数のケーブルを束ねるのが困難である。このため、複数のケーブルを捌くのに複数の作業者が必要になる可能性もある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、容易に設置又は撤去可能な建設機材の回転反力受け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る建設機材の回転反力受け装置は、
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
を有し、
前記受け部材に前記切欠きを横断するように着脱自在に取り付けられ、前記竪穴の内外に渡って延在する線条体を案内可能なガイドローラを更に備える。
【0007】
上記構成(1)の建設機材の回転反力受け装置によれば、受け部材の開口と外縁との間に切欠きが設けられているので、切欠きを通じて、建設機材を吊っているワイヤを、受け部材の開口内に配置することができ、その逆も可能である。このため、受け部材を1つの部材によって構成することができ、受け部材を容易に設置又は撤去可能である。
また、切欠きは受け部材の開口と外縁との間に設けられており、ある程度の容積を有するので、建設機材に油圧や電力を供給する場合には、油圧ホースや電力ケーブル等の線条体を、切欠きを通じて竪穴内に円滑に送り込むことができ、その逆も可能である。特に、線条体を引き上げる場合には、土砂が随伴することがあるが、切欠きがある程度の容積を有するので、切欠きに土砂が詰まってしまうことが防止され、線条体を円滑に引き上げることができる。
更に、1つの切欠きに複数の線条体をまとめて通すことで、少ない作業者で複数の線条体を容易に捌くことができる。
その上、切欠きがある程度の容積を有しているので、受け部材の下方の状況、例えば竪穴の掘削状況等を切欠きを通じて容易に確認することができる。
更に、ガイドローラによって、例えば油圧ホースや電力ケーブル等の線条体を切欠きを通じて円滑に竪穴内に送り込むことができ、その逆も可能である。一方、ガイドローラは着脱自在であるので、建設機材を吊っているワイヤ等を受け部材の切欠きを通じて開口に通すとき障害とはならない。
【0008】
(2)本発明の少なくとも一実施形態に係る建設機材の回転反力受け装置は、
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
前記開口の周縁に取り付けられ、前記開口に対し接近する建設機材を前記開口へと案内するガイド部と、
を有する。
【0009】
上記構成(2)によれば、受け部材の開口を通じて、例えば竪穴内のドリル管等の建設機材を引き上げる際に、建設機材の突起(例えばフランジ等)をガイド部によって案内することで、建設機材の突起が開口の縁に衝突してしまうことを防止することができる。このため、上記構成(2)によれば、受け部材の開口を通じて建設機材を円滑に引き上げることができる。
【0010】
(3)本発明の少なくとも一実施形態に係る建設機材の回転反力受け装置は、
竪穴を掘削するための建設機材の回転反力を受けるための建設機材の回転反力受け装置において、
前記竪穴の開口上に設置され、前記建設機材を吊り下げているケリーバから前記回転反力を受けるための受け部材を備え、
前記受け部材は、
前記ケリーバの上下動を許容する開口と、
前記開口と前記受け部材の外縁との間に設けられ、前記開口と前記受け部材の外側とを連通させる切欠きと、
を有し、
前記竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングを更に備え、
前記受け部材は、前記アダプタリングに対し少なくとも一方向に相対回転不能に設置可能である。
上記構成(3)によれば、ケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングに受け部材を一方向に相対回転不能に設置することで、ケーシングの開口上に受け部材を容易に設置可能である。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記受け部材は、前記開口の周縁に取り付けられ、前記開口に対し接近する建設機材を前記開口へと案内するガイド部を更に有する。
【0013】
上記構成(4)によれば、受け部材の開口を通じて、例えば竪穴内のドリル管等の建設機材を引き上げる際に、建設機材の突起(例えばフランジ等)をガイド部によって案内することで、建設機材の突起が開口の縁に衝突してしまうことを防止することができる。このため、上記構成(4)によれば、受け部材の開口を通じて建設機材を円滑に引き上げることができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)、(2)又は(4)において、
前記竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングを更に備え、
前記受け部材は、前記アダプタリングに対し少なくとも一方向に相対回転不能に設置可能である。
【0015】
上記構成(5)によれば、ケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングに受け部材を一方向に相対回転不能に設置することで、ケーシングの開口上に受け部材を容易に設置可能である。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(3)又は(5)において、
前記受け部材及び前記アダプタリングのうち一方は係合突起を有し、
前記受け部材及び前記アダプタリングのうち他方は、前記係合突起と係合可能な係合溝を有し、
前記係合突起が前記係合溝と係合することにより、前記受け部材から前記アダプタリングに前記回転反力が伝達されるように構成されている。
【0017】
上記構成(6)によれば、係合突起が係合溝と係合することで、受け部材からアダプタリングへと回転反力を確実に伝達することができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(3)、(5)又は(6)において、
前記竪穴内に配置された建設機材を支持するための支持アセンブリを更に備え、
前記支持アセンブリは、前記建設機材の荷重を前記アダプタリングに伝達するように構成されている。
【0019】
上記構成(7)によれば、例えば建設機材にケリーバを連結する際、ドリル管を連結する際、あるいはドリル管を継ぎ足す際等、竪穴内に配置された建設機材を一時的に支持する必要があるときに、支持アセンブリによって建設機材を支持することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、
前記支持アセンブリは、
前記アダプタリングに取り付け可能な支持ステージと、
前記支持ステージ上に移動自在に配置された1対の桁ユニットと、
を含み、
前記桁ユニットは、前記建設機材を係止するための係止部を有する。
【0021】
上記構成(8)によれば、アダプタリングに支持ステージを取り付けることによって、竪穴の開口の周囲に、支持ステージを支持するためのフレームを別途組み立てる必要がない。また、1対の桁ユニットが移動可能であるため、掘削作業中に1対の桁ユニットを受け部材の開口から離しておくことができる。このため、1対の桁ユニットが掘削作業の障害となることがない。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記構成(8)において、
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材を支持する車輪と、
前記桁部材と前記車輪との間に変形可能に設けられた弾性部材とを有し、
前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用していないとき、前記桁ユニットは走行自在である一方、前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用しているとき、前記弾性部材が変形することにより前記桁部材は下降して前記アダプタリング又は前記支持ステージに当接し、前記桁ユニットは走行不能である。
【0023】
上記構成(9)によれば、弾性部材が変形することにより桁部材がアダプタリング又は支持ステージに当接することで、桁部材がアダプタリング又は支持ステージによって安定して支持される。また、車輪に建設機材の全荷重が作用することがなく、桁部材を走行させるための車輪の耐久性を確保することができる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記構成(8)又は(9)において、
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記係止部は、前記揺動部に設けられている。
【0025】
上記構成(10)によれば、揺動部を揺動させて建設機材の一部を凹部に受け入れることで、桁部材の移動量を少なくしながら、建設機材を係止部に係止可能とすることができる。また、揺動部は桁部材に対し揺動可能に取り付けられているので、取り扱いが容易である。
【0026】
(11)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、
前記支持アセンブリは、
前記受け部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記揺動部に前記建設機材を係止可能である。
【0027】
上記構成(11)によれば、揺動部を揺動させて建設機材の一部を凹部に受け入れることで、建設機材を係止部に係止可能とすることができる。
【0028】
(12)幾つかの実施形態では、上記構成(3)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)において、
前記アダプタリングに取り付けられた作業台を更に備える。
【0029】
上記構成(12)によれば、作業者が作業台上で円滑に作業を進められる。一方、アダプタリングに作業台を取り付けることによって、竪穴の開口の周囲に、作業台を支持するためのフレームを別途組み立てる必要がない。
(13)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(12)の何れか1つにおいて、
前記ケリーバに摺動自在に外嵌されるとともに、前記受け部材の前記開口に嵌合可能であるスライダを更に備える。
上記構成(13)によれば、スライダが回転反力を受け部材に伝達することによって、スライダを介してケリーバの回転が規制される。一方、スライダはケリーバに対し摺動自在であるので、ケリーバを円滑に上下動させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、容易に設置又は撤去可能な建設機材の回転反力受け装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】掘削装置、駆動装置及びクレーンのフックとともに、本発明の一実施形態に係る建設機材の回転反力受け装置を概略的に示す図である。
【
図3】回転反力受け装置及びケーシングを概略的に示す斜視図である。
【
図4】回転反力受け装置の概略的な分解斜視図である。
【
図5】回転反力受け装置を構成する受け部材をガイドローラを外した状態で概略的に示す斜視図である。
【
図6】受け部材を概略的に示す平面図(上面図)である。
【
図7】
図6中のVII-VII線に沿った受け部材の概略的な断面図である。
【
図8】
図8(a)はケリーバをスライダとともに概略的に示す斜視図であり、
図8(b)はドリル管を概略的に示す斜視図である。
【
図9】回転反力受け装置の受け部材の使用方法を説明するための図である。
【
図10】回転反力受け装置の受け部材の使用方法を説明するための図である。
【
図12】アダプタリングを概略的に示す斜視図である。
【
図13】アダプタリングを概略的に示す縦断面図である。
【
図14】アダプタリングを概略的に示す平面図(上面図)である。
【
図15】支持アセンブリの概略的な構成を説明するための斜視図である。
【
図16】支持アセンブリを構成する一対の桁ユニットを拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図17】支持アセンブリの構成及び機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0033】
図1は、掘削装置1、駆動装置3及びクレーンのフック5とともに、本発明の一実施形態に係る建設機材の回転反力受け装置(以下、回転反力受け装置とも称する)6を概略的に示す図である。
掘削装置1及び駆動装置3は、例えばリバース工法により杭孔(竪穴)8を掘削可能である。杭孔8の開口部の壁面は地盤に設置された円筒形状のケーシング9によって保護される。ケーシング9は、例えば全周回転掘削機等によって地盤に圧入される。
【0034】
駆動装置3は、掘削装置1に連結され、掘削装置1を回転駆動して地盤を掘削させる。そのために、駆動装置3は、油圧モータ又は電動モータ等の駆動源を有している。駆動装置3はクレーン等によって地上から吊り下げられているが、掘削時には、掘削装置1から回転反力が駆動装置3に作用する。回転反力受け装置6は、駆動装置3に作用する回転反力を受け止め、駆動装置3の回転を防止する。
【0035】
図2は、
図1中の領域IIの拡大図である。
図3は、回転反力受け装置6及びケーシング9を概略的に示す斜視図である。
図4は、回転反力受け装置6の概略的な分解斜視図である。
図5は、回転反力受け装置6を構成する受け部材7をガイドローラ21を外した状態で概略的に示す斜視図である。
図6は受け部材7を概略的に示す平面図(上面図)である。
図7は、
図6中のVII-VII線に沿った受け部材7の概略的な断面図である。
図8(a)はケリーバ11をスライダ14とともに概略的に示す斜視図であり、
図8(b)はドリル管15を概略的に示す斜視図である。
【0036】
図1に示したように、駆動装置3は、ケリーバ11を介して地上から吊り下げられる。杭孔8の掘削に伴って駆動装置3が下降すると、ドリル管15が継ぎ足される。従って、駆動装置3は、ケリーバ11及び必要に応じてドリル管15を介して吊り下げられる。
【0037】
図8(a)に示したように、ケリーバ11は、例えば、一直線状に延びる断面四角形状の筒部11aと、筒部11aの両端に設けられたフランジ部11bとを有する。フランジ部11bは、駆動装置3の上部に設けられたフランジ部に連結可能である。リバース工法を行う場合、掘削中の杭孔8内からケリーバ11を通じて掘削土を含む泥水を排出可能である(
図1及び
図2参照)。
【0038】
図8(b)に示したように、ドリル管15は、例えば、一直線状に延びる円筒形状の筒部15aと、筒部15aの両端に設けられたフランジ部15bとを有する。ドリル管15のフランジ部15bは、駆動装置3のフランジ部やケリーバ11のフランジ部11bと同じ外径を有し、相互に連結可能である。
【0039】
図1及び
図2に示したように、受け部材7は、杭孔8の開口上に配置され、杭孔8の掘削中、駆動装置3を吊り下げているケリーバ11から回転反力を受ける。
図5~
図7に示したように、受け部材7は、ケリーバ11の上下動を許容する開口(上下方向貫通孔)17と、開口17と受け部材7の外縁との間に設けられ、開口17と受け部材7の外側とを連通させる切欠き(連通路)19と、を有する。
【0040】
図9及び
図10は、回転反力受け装置6の受け部材7の使用方法を説明するための図である。
図9に示したように、上記構成の回転反力受け装置6によれば、受け部材7の開口17と外縁との間に切欠き19が設けられているので、切欠き19を通じて、駆動装置3、ケリーバ11あるいはドリル管15等の建設機材を吊っているワイヤを、受け部材7の開口17内に配置することができ、その逆も可能である。このように、受け部材7が開口17及び切欠き19を有するので、受け部材7を1つの部材によって構成することができ、受け部材7を容易に設置又は撤去可能である。
なお、受け部材7を1つの部材によって構成することができるとは、杭孔8の掘削直前に受け部材7を掘削現場で組み立てる必要がないという意味であり、受け部材7は複数の部材を溶接して一体に構成されたものであってもよい。また、切欠き19を通過させるのは、ワイヤではなく、ケリーバ11やドリル管15等であってもよい。
【0041】
また、
図10に示したように、上記構成の回転反力受け装置6によれば、受け部材7の切欠き19は開口17と外縁との間に設けられており、ある程度の容積を有するので、建設機材としての掘削装置1や駆動装置3に油圧や電力を供給する場合には、油圧ホースや電力ケーブル等の線条体23を、切欠き19を通じて杭孔8内に円滑に送り込むことができ、その逆も可能である。特に、線条体23を引き上げる場合には、土砂が随伴することがあるが、切欠き19がある程度の容積を有するので、切欠き19に土砂が詰まってしまうことが防止され、線条体23を円滑に引き上げることができる。
更に、1つの切欠き19に複数の線条体23をまとめて通すことで、少ない作業者で複数の線条体23を容易に捌くことができる。
その上、切欠き19がある程度の容積を有しているので、受け部材7の下方の状況、例えば杭孔8の掘削状況等を切欠き19を通じて容易に確認することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、
図6に示したように、平面視にて受け部材7の外縁は円形状を有し、開口17は受け部材7の中央に設けられて四角形状を有し、切欠き19は扇形状を有する。開口17及び切欠き19は、上下方向にて受け部材7を貫通している。
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示したように、受け部材7は、安定液供給孔12を有する。安定液供給孔12は、受け部材7を上下方向に貫通しており、杭孔8内に安定液(水)を供給するためのホース13を挿入可能である。
上記構成によれば、杭孔8の開口上に受け部材7が配置されても、安定液供給孔12を通じて杭孔8内に安定液(水)を供給することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、
図5及び
図7に示したように、受け部材7の本体は、上板7a、下板7b、そして、上板7aの周縁と下板7bの周縁との間に設けられた側板7cによって構成されている。また、必要に応じて、上板7aと下板7bとの間には、補強板(図示せず)が配置されている。
【0044】
幾つかの実施形態では、回転反力受け装置6はスライダ14を更に備える。スライダ14は、
図8(a)に示すようにケリーバ11の筒部11aに摺動自在且つ相対回転不能に外嵌されるとともに、受け部材7の開口17に嵌合可能且つ相対回転不能である。一方、ケリーバ11のフランジ部11bは、スライダ14の抜け止めを構成している。
図10に示したように、スライダ14が受け部材7の開口17に嵌合することによって、ケリーバ11からスライダ14を介して受け部材7に回転反力が伝達され、杭孔8の掘削中、ケリーバ11及び駆動装置3の回転が規制される。そして、ケリーバ11に対し摺動自在なスライダ14を介してケリーバ11の回転が規制されるので、杭孔8の掘削中、ケリーバ11を円滑に上下動させることができる。
【0045】
なお、スライダ14は必須ではなく、ケリーバ11の筒部11aが受け部材7の開口17に直接嵌合するように構成してもよく、あるいは、ケリーバ11を挟持するように、1対のローラを受け部材7に取り付けてもよい。つまり、回転反力受け装置6は、ケリーバ11から受け部材7へと回転反力を伝達可能に構成されていればよい。
【0046】
幾つかの実施形態では、
図8(a)に示したように、スライダ14は、角筒形状の本体14aと、本体14aの上端側に一体に設けられた外向きの鍔部14bとを有する。
図10に示したように、スライダ14の本体14aの外径(対角線長さ)は、受け部材7の開口17の外径(対角線長さ)よりも僅かに小さく、スライダ14の本体14aが受け部材の7の開口17に相対回転不能に嵌合可能である。
一方、スライダ14の鍔部14bの外径(対角線長さ)は、受け部材7の開口17の外径(対角線長さ)やフランジ部11bの外径よりも大きい。スライダ14は、例えば2つの半割部材をボルトによって相互に連結して構成されている。
【0047】
上記構成によれば、鍔部14bの外径(対角線長さ)が受け部材7の開口17の外径(対角線長さ)よりも大きいので、
図10に示したように鍔部14bが受け部材7の開口17を区画する内縁部に当接することによって、スライダ14が受け部材7の下方に落下することを防止することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、回転反力受け装置6は、
図5~
図7に概略的に示したようにガイドローラ21を更に備える。ガイドローラ21は、受け部材7に切欠き19を横断するように着脱自在に取り付けられ、
図10に示したように、杭孔8の内外に渡って延在する電線や油圧ホース等の線条体23を案内可能である。例えば、ガイドローラ21は、受け部材7に取り付けられた2つのローラ支持部材22によって回転可能に支持される。
上記構成によれば、例えば油圧ホースや電力ケーブル等の線条体23を切欠き19を通じて杭孔8内に送り込む際、線条体23がガイドローラ21に接し、線条体23を切欠き19を通じて杭孔8内に円滑に送りこむことができ、その逆も可能である。一方、ガイドローラ21は着脱自在であるので、建設機材を吊っているワイヤ等を受け部材7の切欠き19を通じて開口17に通すとき障害とはならない。
【0049】
幾つかの実施形態では、受け部材7は、
図5及び
図7に示したように、ガイド部25を更に有する。ガイド部26は、受け部材7の下側に開口17に連続して設けられ、開口17から離れるにつれて徐々に拡開する。
ここで、
図11は、ガイド部25を概略的に示す斜視図である。ガイド部25は、例えば円錐台形状のテーパ部27を有する。なお、テーパ部27は、円錐台形状であってもよい。
ケリーバ11にドリル管15を連結する際、杭孔8からケリーバ11を引き上げる必要がある。ケリーバ11は径方向外側に突出するフランジ部11bを有し、ケリーバ11を引き上げる際、フランジ部11bが開口17の外縁に引っ掛かり、円滑に引き上げられない虞がある。この点、下方に向けて徐々に拡開するガイド部25があれば、
図10に示したように、フランジ部11bがガイド部25によって案内され、円滑に開口17を通過することができる。
なお、ガイド部25も、切欠き19に連通する切欠き29を有する。このため、建設機材を吊っているワイヤを切欠き19,29を通じて開口17へと通すことができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、回転反力受け装置6は、
図1~
図4に示したように、アダプタリング31を更に備えている。
アダプタリング31は、杭孔8の開口部に配置される円筒形状のケーシング9の上端部に例えばボルトによって固定可能である。受け部材7は、アダプタリング31に対し少なくとも一方向に相対回転不能に設置可能であり、受け部材7からアダプタリング31を介してケーシング9に回転反力が伝達される。ケーシング9は、地盤に圧入されており、地盤との摩擦により回転反力を受け止めることができる。
【0051】
上記構成によれば、ケーシング9の上端部に固定可能なアダプタリング31に対し、少なくとも一方向に相対回転不能に受け部材7を設置することで、ケーシング9の開口上に受け部材7を容易に配置することができる。
なお、受け部材7を設置するための手段は、アダプタリング31に限定されることはない。例えば、杭孔8の開口部の周囲の地盤に対しフレームを設置し、フレームに対し受け部材7を固定してもよい。つまり、受け部材7をケーシング9によって支持させるのではなく、地盤によって支持させてもよい。
【0052】
図12は、アダプタリング31を概略的に示す斜視図である。
図13は、アダプタリング31を概略的に示す縦断面図である。
図14は、アダプタリング31を概略的に示す平面図(上面図)である。
幾つかの実施形態では、
図5、
図6、
図12、
図13及び
図14に示すように、受け部材7及びアダプタリング31のうち一方は係合突起33を有し、受け部材7及びアダプタリング31のうち他方は、係合突起33と係合可能な係合溝35を有する。係合突起33が係合溝35と係合することにより、受け部材7からアダプタリング31に回転反力が伝達される。従って、回転反力は、受け部材7からアダプタリング31を介してケーシング9に伝達され、ケーシング9が回転反力を受け止める。
【0053】
より詳しくは、アダプタリング31は、円筒形状の下リング37と、下リング37の上側に同軸に接続された円筒形状の上リング39とを有している。上リング39は、下リング37よりも大径であり、上リング39の下側は下リング37の上側に外嵌・溶接されている。下リング37の下側は、例えば複数のボルトによって、ケーシング9の上部に固定可能である。
受け部材7は、上リング39の内側に嵌合され、下リング37の上端面によって支持される。
【0054】
幾つかの実施形態では、複数(例えば4つ)の係合溝35が、上リング39に周方向に等間隔で設けられている。係合溝35は、L字形状を有し、L字の縦棒に相当する軸方向溝部35aと、L字の横棒に相当する周方向溝部35bとによって構成されている。係合突起33は、例えば、略直方体形状を有し、受け部材7の外周面に周方向に等間隔で固定される。受け部材7を上リング39に嵌合するとき、受け部材7を上リング39に向けて下降させる。この際、係合突起33は、係合溝35の軸方向溝部35a内を上下方向に移動可能である。係合突起33が係合溝35の軸方向溝部35aの下端に当接してから、受け部材7を回転させると、係合突起33は、係合溝35の周方向溝部35b内を周方向に移動可能である。係合突起33が係合溝35の周方向溝部35b内に入ると、係合突起33によって、アダプタリング31からの受け部材7の抜け止めが構成される。そして、係合突起33が係合溝35の周方向溝部35bの周方向端部に当接すると、アダプタリング31に対する受け部材7の相対回転が規制される。
【0055】
幾つかの実施形態では、
図12~
図14に示したように、係合溝35が設けられた部分を補強するための補強部材36がアダプタリング31に取り付けられている。例えば、補強部材36は円弧状に延在し、係合溝35の軸方向溝部35aを横断するようにアダプタリング31の外周面に固定される。
【0056】
幾つかの実施形態では、
図3及び
図4に示したように、回転反力受け装置6は、抜け止め部材41を更に備える。抜け止め部材41は、例えば、略直方体形状を有し、係合溝35の軸方向溝部35aに挿入可能である。係合突起33が係合溝35の周方向溝部35bに嵌合されている状態で、抜け止め部材41が係合溝35の軸方向溝部35aに挿入・嵌合されると、抜け止め部材41によって係合突起33の周方向での移動が規制される。これにより、係合溝35からの係合突起33の抜けが防止され、アダプタリング31からの受け部材7の抜けが防止される。
【0057】
幾つかの実施形態では、
図2及び
図4に示したように、回転反力受け装置6は、杭孔8内に配置された建設機材を支持するための支持アセンブリ43を更に備える。支持アセンブリ43は、建設機材の荷重をアダプタリング31に伝達するように構成されている。
【0058】
上記構成によれば、例えば駆動装置3にケリーバ11を連結する際、ドリル管15を連結する際、あるいはドリル管15を継ぎ足す際等、杭孔8内に配置された駆動装置3等の建設機材を一時的に支持する必要があるときに、支持アセンブリ43によって建設機材を支持することができる。
【0059】
図15は、支持アセンブリ43の概略的な構成を説明するための斜視図である。
図16は、支持アセンブリ43の一部を拡大して示す概略的な斜視図である。
図17は、支持アセンブリの構成及び機能を説明するための図である。
幾つかの実施形態では、
図15~
図17に示したように、支持アセンブリ43は、アダプタリング31に取り付け可能な支持ステージ45と、支持ステージ45上に移動自在に配置された1対の桁ユニット47と、を含む。そして、桁ユニット47は、建設機材を係止するための係止部49を有する。
支持ステージ45は、アダプタリング31に取り付け可能である。支持ステージ45は、例えば、アダプタリング31の両側に取り付けられた2枚の板46によって構成されている。板46は、例えばボルトによって、アダプタリング31に着脱自在に取り付け可能である。板46は、例えば、台形状の短辺側を円弧状に切り欠いた形状を有し、円弧形状の短辺側がアダプタリング31側に配置される(
図4参照)。
幾つかの実施形態では、
図12~
図14に示したように、板46をボルト等により固定するための円弧状に延在する突起部48が、アダプタリング31の外周面に設けられている。
【0060】
上記構成によれば、アダプタリング31に支持ステージ45を取り付けることによって、杭孔8の開口の周囲に、支持ステージ45を支持するためのフレームを別途組み立てる必要がない。また、1対の桁ユニット47が移動可能であるため、掘削作業中に1対の桁ユニット47を受け部材7の開口17から離しておくことができる。このため、1対の桁ユニット47が掘削作業の障害となることがない。
【0061】
幾つかの実施形態では、
図16及び
図17に示したように、支持アセンブリ43は、1対の桁部材50と、車輪51と、弾性部材53とを有する。
桁部材50は、アダプタリング31の上端部の直径よりも長く、アダプタリング31の開口を横断可能な長さを有する。
車輪51は、桁部材50を走行可能に支持可能である。車輪51は、桁部材50の両端部に取り付けられ、支持ステージ45上を走行可能である。
弾性部材53は、桁部材50と車輪51との間に変形可能に設けられている。弾性部材53は、例えば圧縮コイルばねによって構成される。建設機材の荷重が桁ユニット47に作用していないとき、弾性部材53の付勢力により桁部材50はアダプタリング31又は支持ステージ45から浮上しており、桁ユニット47は車輪51が回転することで走行自在である。一方、建設機材の荷重が桁ユニット47に作用しているとき、弾性部材53が変形することにより桁部材50が下降する。これにより桁部材50がアダプタリング31又は支持ステージ45に当接して桁ユニット47は走行不能となる。
なお、アダプタリング31及び支持ステージ45が面一に配置されていれば、桁部材50は、アダプタリング31及び支持ステージ45の両方に当接可能であり、アダプタリング31及び支持ステージ45のうち一方が他方よりも上方に位置していれば、上方に位置している方に桁部材50は当接可能である。
【0062】
上記構成によれば、
図18に示したように、建設機材の荷重が桁ユニット47に作用しているとき、弾性部材53が変形することにより桁部材50がアダプタリング31又は支持ステージ45に当接することで、桁部材50がアダプタリング31又は支持ステージ45によって安定して支持される。また、車輪51に建設機材の全荷重が作用することがなく、桁ユニット47を走行させるための車輪51の耐久性を確保することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、係止部49は、桁部材50に対し揺動可能に取り付けられた揺動部55を有する。そして、揺動部55には凹部57が設けられ、凹部57は、建設機材の一部、例えば駆動装置3から延びるパイプやドリル管15の筒部15aを受け入れ可能である。この場合、揺動部55が係止部49を構成する。例えば、駆動装置3から延びるパイプのフランジ部や、ドリル管15のフランジ部15bを揺動部55の上面に当接させることで、駆動装置3を係止することができる。
より詳しくは、
図15及び
図17に示したように、1対の桁ユニット47は、桁部材50と直交する方向にて移動可能である。揺動部55は略直方体形状を有し、揺動部55の一辺に沿って揺動軸58が設けられている。そして、揺動部55の揺動軸58は、桁部材50の軸線方向と平行に配置され、桁部材50と直交する方向にて対をなす桁ユニット47と反対側に位置している。揺動部55は、建設機材を係止可能な係止位置と、建設機材を係止不能な待機位置との間で揺動可能である。係止位置では、揺動軸58とは反対側の揺動部55の先端側は、対をなす桁ユニット47に向けて、直交方向にて桁部材50から突出する。この揺動部55の先端側に、建設機材を受け入れるための凹部57が設けられている。
【0064】
上記構成によれば、揺動部55を揺動させて建設機材の一部を凹部57に受け入れることで、桁部材50の移動量を少なくしながら、建設機材を係止部49に係止可能とすることができる。また、揺動部55は桁部材50に対し揺動可能に取り付けられているので、取り扱いが容易である。
なお、揺動部55は、桁部材50ではなく受け部材7に対し揺動可能に取り付けられていてもよい。この場合も、揺動部55を揺動させて建設機材の一部を凹部57に受け入れることで、建設機材を係止部49に係止可能とすることができる。そしてこの場合、桁ユニット47を省略することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、
図16及び
図17に示したように、揺動部55を揺動させるための把手56が揺動部55に取り付けられている。
【0066】
幾つかの実施形態では、回転反力受け装置6は、アダプタリング31に取り付けられた作業台59を更に備える。
上記構成によれば、作業者が作業台59上で円滑に作業を進められる。一方、アダプタリング31に作業台59を取り付けることによって、杭孔8の開口の周囲に、作業台59を支持するためのフレームを別途組み立てる必要がない。
幾つかの実施形態では、作業台59は、2つの床部材61と、枠部材63とによって構成されている。2つの床部材61は、例えばボルトによって着脱自在にアダプタリング31に取り付けられ、アダプタリング31の周囲に外形が4角形状の床を構成する。枠部材63は、床部材61に着脱自在に取り付けられ、作業台59からの作業者の落下を防止する。支持ステージ45がアダプタリング31に取り付けられている場合、床部材61は支持ステージ45よりも下方に位置し且つ大きな面積を有する。そしてこの場合、枠部材63は、支持ステージ45を囲むように配置される。
【0067】
幾つかの実施形態では、床部材61は、円弧状パイプ66と直線状パイプ67によって構成されている。なお、床部材61は、円弧状パイプ66と直線状パイプ67上に配置される足場板(図示せず)を更に有していてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、床部材61をボルト等により固定するための円弧状に延在する突起部65が、アダプタリング31の外周面に設けられている。例えば、床部材61を固定するための突起部65は、板46を固定するための突起部48よりも下方に設けられ、床部材61の円弧状パイプ66が突起部65に取り付けられる。
【0069】
最後に、本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、揺動部55に凹部57及び係止部49が設けられていたが、揺動部55を省略し、桁部材50に凹部57及び係止部49を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、桁ユニット47は車輪51を有し走行可能であったが、車輪51を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 掘削装置
3 駆動装置
5 クレーンのフック
6 建設機材の回転反力受け装置
7 受け部材
7a 上板
7b 下板
7c 側板
8 杭孔(竪穴)
9 ケーシング
11 ケリーバ
11a 筒部
11b フランジ部
12 安定液供給孔
13 ホース
14 スライダ
14a 本体
14b 鍔部
15 ドリル管
15a 筒部
15b フランジ部
17 開口
19 切欠き
21 ガイドローラ
22 ローラ支持部材
23 線条体
25 ガイド部
27 テーパ部
29 切欠き
31 アダプタリング
33 係合突起
35 係合溝
35a 軸方向溝部
35b 周方向溝部
36 補強部材
37 下リング
39 上リング
41 抜け止め部材
43 支持アセンブリ
45 支持ステージ
46 板
47 桁ユニット
48 突起部
49 係止部
50 桁部材
51 車輪
53 弾性部材
55 揺動部
56 把手
57 凹部
58 揺動軸
59 作業台
61 床部材
63 枠部材
65 突起部
66 円弧状パイプ
67 直線状パイプ