(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】横桟固定部材及びこれを備えた手摺支持装置
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
E04F11/18
(21)【出願番号】P 2018178230
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591145461
【氏名又は名称】榎本金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】浦野 宣昭
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-135125(JP,A)
【文献】特開平10-159395(JP,A)
【文献】特許第4119445(JP,B2)
【文献】特開平9-242292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
E06B 9/01、 9/04
E04B 1/00- 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺長手方向に間隔を空けて設置される複数本の支柱の高さ方向途中部位に配される横桟の長手方向一方側の端部を、前記手摺の長手方向一方側の端部を支持する支柱に固定する横桟固定部材であって、
前記横桟の端部が差し込まれる差込凹所が長手方向第1端部の端面において開口するように設けられ、長手方向第2端部側を底側とした有底筒状とされており、
前記第2端部には、前記支柱の側面に対面される第1側面から突出し、前記支柱の側面において開口する凹部に挿入される突出部と、該突出部を含んで当該第2端部を該突出部の突出方向に沿って貫通し、第2側面において開口する止具挿通孔と、が設けられていることを特徴とする横桟固定部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記突出部は、前記支柱の凹部に対して当該突出部の突出方向に沿う軸回りに回転自在に挿入される構成とされていることを特徴とする横桟固定部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記突出部は、突出方向及び当該横桟固定部材の長手方向に直交する幅方向の中央部に位置するように設けられており、
前記第2端部の端面は、前記突出方向に見て前記幅方向の中央部を最も突出させた突湾曲面形状とされていることを特徴とする横桟固定部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記止具挿通孔の前記第2側面側の開口を覆うキャップ部材を備えていることを特徴とする横桟固定部材。
【請求項5】
手摺長手方向に間隔を空けて設置される複数本の支柱と、これら支柱の高さ方向途中部位に配される横桟と、この横桟の長手方向一方側の端部を、前記手摺の長手方向一方側の端部を支持する支柱に固定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の横桟固定部材と、を備えていることを特徴とする手摺支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横桟固定部材及びこれを備えた手摺支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、階段や吹き抜け等の縁部において欄干状(柵状)に設置される手摺装置が知られている。このような手摺装置は、踏板や床等の設置面に下端側が固定され、上端側が手摺に固定される複数本の支柱によって手摺を支持する構成とされている。また、このような手摺装置は、複数本の支柱の高さ方向途中部位に固定される横桟を備えている。
例えば、下記特許文献1には、手摺を支持する支柱に横桟材を固定する固定具として、横桟材が上方から嵌め入れられる受溝状の凹所を設けた本体部と、この本体部に被せられるキャップ体と、を備えた固定具が開示されている。この固定具の本体部は、横桟材の長手方向に沿って長尺状とされ、その中央部に、支柱に設けられた溝部に嵌め入れられる突起部を設けた構成とされている。また、この本体部は、突起部の両側に、支柱の前後(手摺長手方向)両側から横桟材にねじ込まれるねじの導入孔を設けた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された固定具では、横桟材の長手方向の端部を支柱に固定する場合には、本体部の凹所の端部に横桟材の端部を位置合わせする必要があった。また、支柱の前後両側にねじの導入孔が設けられた部位が存在するため、横桟材の端部を固定する固定具が手摺の端部を支持する支柱から手摺長手方向に大きく突出するものであった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、手摺の端部を支持する支柱に横桟の端部を見栄え良く固定可能で、かつ施工性を向上し得る横桟固定部材及びこれを備えた手摺支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る横桟固定部材は、手摺長手方向に間隔を空けて設置される複数本の支柱の高さ方向途中部位に配される横桟の長手方向一方側の端部を、前記手摺の長手方向一方側の端部を支持する支柱に固定する横桟固定部材であって、前記横桟の端部が差し込まれる差込凹所が長手方向第1端部の端面において開口するように設けられ、長手方向第2端部側を底側とした有底筒状とされており、前記第2端部には、前記支柱の側面に対面される第1側面から突出し、前記支柱の側面において開口する凹部に挿入される突出部と、該突出部を含んで当該第2端部を該突出部の突出方向に沿って貫通し、第2側面において開口する止具挿通孔と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る手摺支持装置は、手摺長手方向に間隔を空けて設置される複数本の支柱と、これら支柱の高さ方向途中部位に配される横桟と、この横桟の長手方向一方側の端部を、前記手摺の長手方向一方側の端部を支持する支柱に固定する本発明に係る横桟固定部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る横桟固定部材及びこれを備えた手摺支持装置は、上述のような構成としたことで、手摺の端部を支持する支柱に横桟の端部を見栄え良く固定することができ、また、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る横桟固定部材の一例及びこれを備えた手摺支持装置の一例を模式的に示す一部破断概略分解斜視図である。
【
図2】同手摺支持装置を模式的に示す一部破断概略側面図である。
【
図3】(a)~(d)は、同横桟固定部材を模式的に示し、(a)は、概略側面図、(b)は、概略平面図、(c)は、概略背面図、(d)は、(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた概略横断面図である。
【
図4】(a)は、
図2におけるY部に対応させた一部破断概略側面図、(b)は、(a)におけるX2-X2線矢視に対応させた一部破断概略横断面図である。
【
図5】(a)、(b)は、
図4(a)に対応させた一部破断概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、本実施形態に係る横桟固定部材を備えた手摺支持装置を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1~
図5は、本実施形態に係る横桟固定部材及びこれを備えた手摺支持装置の一例を模式的に示す図である。
【0011】
本実施形態に係る手摺支持装置1は、
図1及び
図2に示すように、手摺6長手方向に間隔を空けて設置される複数本の支柱20と、これら支柱20の高さ方向途中部位に配される横桟25と、横桟固定部材10と、を備えている。本実施形態に係る横桟固定部材10は、横桟25の長手方向一方側の端部26を、手摺6の長手方向一方側の端部7を支持する支柱(端支柱)20Aに固定する構成とされている。
本実施形態では、手摺支持装置1は、オープン型の階段3の開放側に設置される手摺6を支持する構成とされている。つまり、手摺支持装置1は、階段3の勾配に応じて傾斜状に配される手摺6を支持する構成とされている。なお、以下では、下階側において階段3に対面した状態を基準として手前側(下階側)を前方として説明する。
【0012】
手摺6は、階段3昇降方向に長尺状とされている。この手摺6の水平面に対する傾斜角度は、階段3の勾配に応じた角度であればよく、例えば、30度~55度程度でもよい。
図2では、手摺6の傾斜角度を35度程度とした例を示している。また、この手摺6の長手方向一方側となる下階側の端部7に、適宜のキャップ部材が設けられたものでもよい。なお、図示は省略しているが、手摺6の長手方向他方側となる上階側の端部にもキャップ部材を設けた態様としてもよい。
この手摺6は、その長手方向途中部位に長手方向に間隔を空けて設置される支柱20が固定されて支持される。図例では、この手摺6の下階側の端部7を支持する端支柱20Aを、下階の床2上に設置した例を示している。また、端支柱20Aの上階側(上段側)の他の支柱20を階段3の踏板4上に設置した例を示している。また、これら支柱20,20Aを、1段間隔を空けて設置した例を示している。端支柱20Aを含む複数本の支柱20,20Aは、互いに同様の構成とされているので、以下では、1つの支柱20を例にとって説明し、また、端支柱20Aの区別を要さない場合には、単に支柱20として説明する場合がある。
【0013】
支柱20は、上下方向に長尺状とされ、略四角柱状とされている。本実施形態では、この支柱20を、
図4(b)に示すように、中空筒状としている。この支柱20の階段3昇降方向に向く前面及び後面は、互いに平行状で略平坦面状とされている。
また、この支柱20の階段3幅方向外側(オープン側)に向く側面21には、この側面21において開口する凹部22が設けられている。この凹部22は、支柱20の前後方向(手摺6長手方向)略中心に位置するように設けられている。また、本実施形態では、この凹部22を、支柱20の長手方向に沿って延びる溝状とした構成としている。この凹部22は、支柱20の概ね全長に亘って設けられたものでもよい。また、図例では、支柱20の階段3幅方向中心側に向く側面にも同様の溝状の凹部を設けた例を示している。このような構成とすれば、支柱20のいずれ側の側面21にも後記する横桟固定部材10を介して横桟25を固定することができる。
【0014】
また、支柱20の上端部には、
図2に示すように、手摺6に固定される固定部23が設けられている。この固定部23は、手摺6の下面側に、ねじ等の止具によって固定される。なお、この固定部23は、支柱20に対して階段3幅方向に沿う軸回りに回転(揺動)自在とされたものでもよい。
また、支柱20の下端部は、支柱20の設置対象(床2または踏板4)に対して、ベース部材24を介して固定される。このベース部材24は、止具によって設置対象に固定されるものでもよい。また、このベース部材24には、支柱20の下端部が差し込まれる凹所が上方側に向けて開口するように設けられている。支柱20は、ベース部材24の凹所に差し込まれた下端部に、ベース部材24の側周壁を貫通する止具が止着されてベース部材24に固定されるものでもよい。
【0015】
また、支柱20は、高さ方向途中部位が上段側の踏板4の前端部に固定されるものでもよい。図例では、階段3の踏板4に、蹴込面を形成する蹴込板5よりも前方に突出する段鼻部を設け、この段鼻部の前端面に支柱20の後面を当接させた例を示している。この支柱20の高さ方向途中部位は、止具によって段鼻部に固定されるものでもよく、適宜の固定部材を介して固定されるものでもよい。なお、支柱20の固定態様や手摺6の支持態様としては、上記のような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0016】
横桟25は、
図2に示すように、手摺6と平行状に配される。つまり、本実施形態では、横桟25は、階段3昇降方向に長尺状とされ、階段3の勾配に応じて傾斜状に配される。また、上下に並列状に複数本(図例では、4本)の横桟25を設けた例を示している。これら横桟25は、互いに同様の構成とされているので、以下では、1つの横桟25を例にとって説明する。
この横桟25は、略四角柱状とされている。本実施形態では、この横桟25を、
図1及び
図4(b)に示すように、中空筒状としている。また、この横桟25は、支柱20よりも細く形成されている。
【0017】
また、横桟25の長手方向途中部位は、
図2に示すように、固定部材27を介して支柱20に固定される。この固定部材27は、横桟25の長手方向に長尺状とされている。また、この固定部材27は、長手方向中央部に支柱20の凹部22に挿入される突出部を設けた構成とされたものでもよい。また、この固定部材27は、上方側に向けて開口し、横桟25を受け入れる受入凹所が設けられたものでもよい。また、この固定部材27は、ねじ等の止具によって支柱20及び横桟25に固定されるものでもよい。また、この固定部材27は、上記のような受入凹所を設けた横桟受部材とカバー部材とからなるものでもよい。なお、横桟25の長手方向途中部位を端支柱20A以外の支柱20に固定する固定部材27としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0018】
横桟固定部材10は、
図1及び
図3(d)に示すように、横桟25の長手方向一方側の端部26が差し込まれる差込凹所12が長手方向第1端部11の端面11aにおいて開口するように設けられ、長手方向第2端部14側を底側とした有底筒状とされている。図例では、横桟25の長手方向一方側としての下階側の端部26を、横桟固定部材10を介して端支柱20Aに固定した例を示している。なお、横桟25の長手方向他方側としての上階側の端部を、本実施形態に係る横桟固定部材10を介して手摺6の他方側の端部を支持する支柱に固定するようにしてもよい。
【0019】
この横桟固定部材10の第2端部14には、端支柱20Aの側面21に対面される第1側面15から突出し、端支柱20Aの側面21において開口する凹部22に挿入される突出部16が設けられている。また、第2端部14には、突出部16を含んで当該第2端部14を突出部16の突出方向に沿って貫通し、第2側面18において開口する止具挿通孔17が設けられている。
この横桟固定部材10は、横桟25の長手方向に長尺状とされている。また、横桟固定部材10は、
図3(c)に示すように、長手方向に見て、突出部16を除いた部位の外郭形状が略方形状とされている。この横桟固定部材10の突出部16を除いた部位の第1側面15と第2側面18とは、互いに平行状で略平坦面状とされている(
図3(b)も参照)。また、この横桟固定部材10の上下両側面は、互いに平行状で略平坦面状とされている(
図3(a)も参照)。
【0020】
差込凹所12は、
図3(c)に示すように、当該横桟固定部材10の長手方向と同方向となる開口方向に見て、略方形状とされている。この差込凹所12の当該横桟固定部材10の長手方向に沿う深さ寸法は、横桟25の端部26の差込性等から適宜の寸法としてもよい。図例では、この差込凹所12の深さ寸法を、底部13が第2端部14近傍に至るように、当該横桟固定部材10の長さ寸法の1/2以上の寸法とした例を示している。
また、この差込凹所12の四周を区画する部位の厚さ寸法は、横桟25との段差を小さくする観点や強度上の観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、1mm~5mm程度としてもよい。
【0021】
突出部16は、端支柱20Aの凹部22に対して当該突出部16の突出方向に沿う軸回りに回転自在に挿入される構成とされている。本実施形態では、
図3(d)及び
図4(b)に示すように、突出部16を、凹部22の溝幅に応じた外径とされた略円柱状とした構成としている。また、この突出部16の突出寸法を、凹部22の溝深さ寸法に応じた寸法としている。この突出部16の突出寸法は、凹部22に挿入された状態で、第1側面15が端支柱20Aの側面21に当接または近接対面するように適宜の寸法としてもよい。
また、この突出部16は、突出方向及び当該横桟固定部材10の長手方向に直交する幅方向の中央部に位置するように設けられている。
【0022】
止具挿通孔17は、
図3(a)及び
図3(d)に示すように、突出部16と略同心状とされた丸孔状とされている。この止具挿通孔17は、第2側面18側部位が突出部16側部位よりも大径状とされた大径部17aとされ、突出部16側部位が小径部17bとされた段付孔とされている。これら大径部17aと小径部17bとは、略同心状に設けられている。大径部17aの径は、止具8の頭部の受入が可能な径とされている。小径部17bの径は、止具8の軸部の挿入が可能で、かつ止具8の頭部の径よりも小径とされている。なお、図例では、大径部17a及び小径部17bの貫通方向に沿う寸法を互いに略同寸法とした例を示しているが、このような寸法に限られない。
【0023】
また、本実施形態では、横桟固定部材10は、
図1及び
図4(b)に示すように、この止具挿通孔17の第2側面18側の開口を覆うキャップ部材19を備えている。このキャップ部材19は、大径部17aの開口を覆うように大径部17aよりも大径状とされている。図例では、このキャップ部材19を、突出部16の突出方向に沿う方向に見て、略円形状としている。また、このキャップ部材19に、大径部17aに嵌め込まれる嵌込部19aを設けた構成としている。このキャップ部材19は、嵌込部19aが大径部17aに圧入されて取り付けられるものでもよい。なお、止具挿通孔17の第2側面18側の開口を覆うキャップ部材19としては、このような構成とされたものに限られず、その他、種々の構成とされたものでもよい。
【0024】
また、本実施形態では、
図3(a)に示すように、横桟固定部材10の第2端部14の端面14aを、突出部16の突出方向に沿う方向に見て、当該横桟固定部材10の幅方向の中央部を最も突出させた突湾曲面形状としている。また、本実施形態では、
図3(d)に示すように、突出部16から第2端部14の端面14aの最突出部までの横桟固定部材10長手方向に沿う寸法を、端支柱20Aの前面から凹部22の前面側の開口縁までの前後方向に沿う寸法以下としている。図例では、これら突出部16から第2端部14の端面14aの最突出部までの横桟固定部材10長手方向に沿う寸法と、端支柱20Aの前面から凹部22の前面側開口縁までの前後方向に沿う寸法と、を略同寸法とした例を示している。
【0025】
また、図例では、第2端部14の端面14aを、突出部16の突出方向に沿う方向に見て、当該横桟固定部材10の幅方向の中央部を円心とする円弧状とした例を示している。また、このように突出部16の突出方向に沿う方向に見て円弧状とされた端面14aの円心を、突出部16の軸心と略同心状(図例では、突出部16の軸心よりも僅かに第1端部11側寄り)とした例を示している。
また、第1端部11の端面11aも同様、突出部16の突出方向に沿う方向に見て、当該横桟固定部材10の幅方向の中央部を最も突出させた突湾曲面形状としている。なお、このような態様に代えて、第1端部11の端面11aを、多面形状としたり、平坦面状としたりしてもよい。
【0026】
上記構成とされた横桟固定部材10は、
図4に示すように、突出部16を端支柱20Aの凹部22に差し込み、止具挿通孔17を介して止具8を端支柱20Aに止着して端支柱20Aに固定される。なお、横桟25は、横桟固定部材10を端支柱20Aに固定する前に端部26を差込凹所12に差し込んで固定されるものでもよく、端支柱20Aに固定(仮固定)された横桟固定部材10の差込凹所12に端部26を差し込んで固定されるものでもよい。
また、本実施形態では、上述のように、突出部16を、端支柱20Aの凹部22に対して当該突出部16の突出方向に沿う軸回りに回転自在に挿入される構成としているので、横桟25(手摺6)の傾斜角度に合わせて適宜の角度で固定することができる。
図4(a)では、35度程度の傾斜角度で横桟固定部材10及び横桟25を固定した例を示している。また、
図5(a)では、40度程度の傾斜角度で横桟固定部材10及び横桟25を固定した例を示している。また、
図5(b)では、30度程度の傾斜角度で横桟固定部材10及び横桟25を固定した例を示している。
【0027】
なお、横桟固定部材10及び横桟25は、上記のように水平面に対して傾斜状に配されて固定されるものに限られない。例えば、横桟固定部材10は、吹き抜けや踊り場、廊下部の縁において水平状に配される手摺6の下方側に平行状に設けられる横桟25の端部26を端支柱20Aに固定するものでもよい。
また、横桟固定部材10、上記した支柱20及び横桟25は、合成樹脂系材料や金属系材料から形成されたものでもよい。また、支柱20及び横桟25は、木質系材料から形成されたものでもよい。また、本実施形態に係る手摺支持装置1は、上記した手摺6を備えた手摺装置として把握するようにしてもよい。
【0028】
本実施形態に係る横桟固定部材10及びこれを備えた手摺支持装置1は、上述のような構成としたことで、手摺6の端部7を支持する端支柱20Aに横桟25の端部26を見栄え良く固定することができ、また、施工性を向上させることができる。
つまり、横桟固定部材10の第1端部11に横桟25の端部26が差し込まれる差込凹所12を設け、底側の第2端部14に、端支柱20Aの側面21に対面される第1側面15から突出し、端支柱20Aの凹部22に挿入される突出部16を設けた構成としている。また、この突出部16を含んで当該第2端部14を突出部16の突出方向に沿って貫通し、第2側面18において開口する止具挿通孔17を第2端部14に設けた構成としている。従って、第2端部14の突出部16を端支柱20Aの凹部22に挿入させた状態で止具挿通孔17に挿通させた止具8を端支柱20Aに止着することで、横桟固定部材10を端支柱20Aに対して固定することができる。
【0029】
また、突出部16を横桟固定部材10の第2端部14に設けているので、端支柱20Aの凹部22に突出部16を挿入させた横桟固定部材10の第2端部14が端支柱20Aの前面(横桟25長手方向外方側に向く面)から大きく突出するようなことを抑制することができる。また、横桟25の端部26を横桟固定部材10の差込凹所12に差し込むことで保持させることができるので、横桟25長手方向に延びる受溝を設けたようなものと比べて、当該横桟固定部材10と横桟25との相対的な位置合わせを容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。また、横桟固定部材10は、第2端部14を底側とした有底筒状であるので、横桟25長手方向に延びる受溝の上方側を覆うカバーや横桟25長手方向外側を覆うキャップを設ける必要があるものと比べて、構造の簡略化を図ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、止具挿通孔17の第2側面18側の開口を覆うキャップ部材19を設けた構成としている。従って、止具8の頭部や止具挿通孔17をキャップ部材19によって覆い隠すことができ、見栄えを向上させることができる。なお、このようなキャップ部材19を設けていない構成としてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、突出部16を、端支柱20Aの凹部22に対して当該突出部16の突出方向に沿う軸回りに回転自在に挿入される構成としている。従って、突出部16を端支柱20Aの凹部22に挿入し、横桟固定部材10を端支柱20Aに対して仮止めした状態で、横桟固定部材10(及びこれの差込凹所12に差し込まれた横桟25)を回転させることができる。これにより、端支柱20Aに対する横桟固定部材10(及びこれの差込凹所12に差し込まれた横桟25)の傾斜角度を微調整することができる。また、上記のように、横桟25(手摺6)の傾斜角度に応じて横桟固定部材10を適宜の傾斜角度で端支柱20Aに対して固定することができる。
【0032】
また、本実施形態では、突出部16を、当該横桟固定部材10の幅方向中央部に位置するように設け、第2端部14の端面14aを、突出部16の突出方向に沿う方向に見て幅方向中央部を最も突出させた突湾曲面形状としている。従って、端支柱20Aの凹部22に突出部16が挿入された横桟固定部材10を傾斜させて固定した場合にも、端支柱20Aの前面からの第2端部14の突出寸法を小さくすることができる。なお、図例では、横桟固定部材10を傾斜状に端支柱20Aに固定した状態で、第2端部14が端支柱20Aの前面から僅かに突出する態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。上記のような手摺6の傾斜角度の範囲で横桟固定部材10を端支柱20Aに固定した状態で、第2端部14が端支柱20Aの前面から突出しない態様としてもよい。
【0033】
また、第2端部14の端面14aを、突湾曲面形状とした態様に代えて、多面形状としたり、平坦面状としたりしてもよい。
また、突出部16を、端支柱20Aの凹部22に対して回転自在に挿入される構成とした態様に代えて、端支柱20Aの凹部22に対して回転不能に挿入される構成としてもよい。この場合は、例えば、突出部16を、略多角柱状とした態様等としてもよい。
また、上記した例では、横桟25を、略四角柱状とした例を示しているが、四角以外の略多角柱状とされたものや略円柱状とされたものとしてもよい。この場合は、横桟固定部材10の差込凹所12を横桟25の形状に対応させて、適宜、変形するようにしてもよい。
また、上記した例では、支柱20の側面21に溝状の凹部22を設けた例を示しているが、突出部16に応じた形状の穴状の凹部22を設けた態様としてもよい。この場合は、支柱20の側面21に、長手方向に間隔を空けて複数箇所に凹部22を設けた構成等としてもよい。本実施形態に係る横桟固定部材10及びこれを備えた手摺支持装置1の上記した各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 手摺支持装置
10 横桟固定部材
11 第1端部
11a 端面
12 差込凹所
14 第2端部
14a 端面
15 第1側面
16 突出部
17 止具挿通孔
18 第2側面
19 キャップ部材
20 支柱
20A 端支柱(手摺の長手方向一方側の端部を支持する支柱)
21 側面
22 凹部
25 横桟
26 端部
6 手摺
7 端部