IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立GEニュークリア・エナジー株式会社の特許一覧 ▶ 中外テクノス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-駆動装置 図1
  • 特許-駆動装置 図2
  • 特許-駆動装置 図3
  • 特許-駆動装置 図4
  • 特許-駆動装置 図5
  • 特許-駆動装置 図6
  • 特許-駆動装置 図7
  • 特許-駆動装置 図8
  • 特許-駆動装置 図9
  • 特許-駆動装置 図10
  • 特許-駆動装置 図11
  • 特許-駆動装置 図12
  • 特許-駆動装置 図13
  • 特許-駆動装置 図14
  • 特許-駆動装置 図15
  • 特許-駆動装置 図16
  • 特許-駆動装置 図17
  • 特許-駆動装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20220805BHJP
   H02K 7/00 20060101ALI20220805BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
F15B11/00 C
H02K7/00 Z
F16H25/20 F
F16H25/20 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018090324
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019196797
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000211064
【氏名又は名称】中外テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 孝一
(72)【発明者】
【氏名】平野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇気
(72)【発明者】
【氏名】内藤 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 強志
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-248627(JP,A)
【文献】特開2010-248766(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0125073(KR,A)
【文献】特開2013-002453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
H02K 7/00
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準部材と、
該基準部材に対して変位可能に配置された従動部材と、
該基準部材に対して該従動部材を変位させる稼動手段と、
該稼動手段に入力された荷重を緩和する緩衝手段と、
備え、
該稼動手段は、
作動流体の圧力を調整する圧力調整部と、
作動流体の圧力を動きに変換する出力部と、
を備え、
該出力部は、
回転型の液圧シリンダを備える
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
基準部材と、
該基準部材に対して変位可能に配置された従動部材と、
該基準部材に対して該従動部材を変位させる稼動手段と、
該稼動手段に入力された荷重を緩和する緩衝手段と、
備え、
該稼動手段は、
チェーン機構を備える
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
基準部材と、
該基準部材に対して変位可能に配置された従動部材と、
該基準部材に対して該従動部材を変位させる稼動手段と、
該稼動手段に入力された荷重を緩和する緩衝手段と、
備え、
該従動部材の前記基準部材に対する往復動を可能にするガイドレールを備える
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記緩衝手段は、
シリンダ内に作動流体として圧縮性流体が充填されたガス圧シリンダを備える
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記出力部は、
往復動型の液圧シリンダを備える
ことを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力を作用させて、対象物を移動させる駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リンク機構に駆動力を作用させて対象物を移動させることは、従来から広く行われている。また、リンク機構を駆動する駆動手段には、様々な手段が用いられている。
たとえば、特許文献1では、圧縮性を有する空気を作動流体とするエアシリンダを駆動手段とする構成が開示されている。
駆動手段としてのエアシリンダは、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、空気が圧縮、膨張して荷重を緩和し、機器や配管が受ける衝撃あるいはダメージを小さくすることができる、という特徴を備えている。
また、特許文献2では、油等の非圧縮性流体を作動流体とする油圧シリンダを駆動手段とする構成が開示されている。
駆動手段としての油圧シリンダは、移動変位の精度が高い上に、応答性に優れている、という特徴を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-225767号公報
【文献】特開平8-326710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたエアシリンダは、作動流体である空気が圧縮性を有しているため、移動変位の精度が低い上に、応答性が不十分であるという問題を抱えている。
また、特許文献2に開示された油圧シリンダは、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、駆動手段、およびリンク機構に荷重が直接作用するため、各部が破損、および故障してしまうという問題を抱えている。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みて創案されたものであり、移動変位の精度が高い上に、応答性に優れつつ、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、故障の発生を抑制することができる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る駆動装置は、基準部材と、該基準部材に対して変位可能に配置された従動部材と、該基準部材に対して該従動部材を変位させる稼動手段と、該稼動手段に入力された荷重を緩和する緩衝手段と、を備え、該稼動手段は、作動流体の圧力を調整する圧力調整部と、作動流体の圧力を動きに変換する出力部と、を備え、該出力部は、回転型の液圧シリンダを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動変位の精度が高い上に、応答性に優れつつ、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、故障の発生を抑制することができる駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る駆動装置を油圧ショベルに適用した例を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る駆動装置を示す構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る駆動装置の構成例を示す模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る駆動装置をホイルローダに適用した例を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る駆動装置をダンプカーの荷台に適用した例を示す模式図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る駆動装置を二足歩行ロボットに適用した例を示す模式図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る駆動装置を尺取り虫のように移動するロボットに適用した例を示す模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る駆動装置をスカラロボットに適用した例を示す模式図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を示す構成図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る駆動装置をジブクレーンに適用した例を示す模式図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を自走式台車に適用した例を示す模式図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る駆動装置をクローラに適用した例を示す模式図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を移動台(送りネジ機構)に適用した例を示す模式図で、(a)は底正面図、(b)は(a)のA-A線に沿った端面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を移動台(チェーン機構)に適用した例を示す模式図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る駆動装置をテレスコ式に伸縮するクレーンに適用した例を示す模式図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を産業用ロボットに適用した例を示す模式図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る駆動装置を伸縮アームに適用した例を示す模式図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る駆動装置をロボットアームに適用した例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫(図1図3参照)
本願発明の第1実施形態に係る駆動装置Sについて説明する。
本実施形態の駆動装置Sは、支軸SFを回転中心にして基準部材に軸支された従動部材を垂直な面に沿って前後に揺動(変位)させるものである。
本実施形態では、前述の動作を行うものとして、いわゆる油圧ショベルのブーム部AP1に本願の駆動装置Sを適用した場合を例に説明する(図1参照)。
本実施形態のブーム部AP1は、3つの関節JNT(可動性を有する連結部)を備え、各関節JNTに駆動装置Sが1つずつ配置されている。
【0011】
ブーム部AP1を構成する3つの駆動装置Sは、それぞれが独立して、別々に駆動できるとともに、連動できるように構成されている。これによって、ブーム部AP1は、先端のバケットB1cが地面を掘り返すとともに、掘った土をすくい上げることができる。
3つの駆動装置Sは、それぞれがリンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
また、ブーム部AP1を構成する3つの駆動装置Sのそれぞれをメインリンク駆動装置S1a、サブリンク駆動装置S1b、バケットリンク駆動装置S1cと称する。
【0012】
次に、各駆動装置Sについて説明する(図1図2参照)。
メインリンク駆動装置S1a(駆動装置S)は、本体B1(基準部材)に軸支されたメインブームB1a(従動部材)を揺動させるための構成である(図1参照)。
メインリンク駆動装置S1aは、メインリンクUL1a(リンク機構ULK)、メイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)、メイン緩衝手段UB1a(緩衝手段UBF)を備えている。
【0013】
メインリンクUL1a(リンク機構ULK)は、メインブームB1a(従動部材)の基端側が、本体B1(基準部材)の縁部に支軸SFを介して、支持(軸支)された軸支構造SPDを備えている(図1参照)。
このように連係することによって、メインブームB1aの先端側が本体B1に対して揺動可能となっている。
【0014】
メイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)は、メインブームB1a(従動部材)が本体B1(基準部材)に対して揺動する際の駆動力を発生する(図1図2参照)。
メイン駆動手段UP1aは、圧力調整部20と、往復動型の液圧シリンダCYR(出力部21)とを備えており、その内部を非圧縮性を有する作動流体が循環している。
圧力調整部20は、作動流体の圧力を所定の圧力に調整(昇圧)するための構成である。
【0015】
往復動型の液圧シリンダCYR(出力部21)は、圧力調整部20で昇圧された作動流体の圧力を動作として出力(変換)するための構成である。往復動型の液圧シリンダCYR(出力部21)には、圧力調整部20で所定の圧力に昇圧された作動流体がシリンダ本体211内に供給される。そして、作動流体の圧力によって、ピストン212が、シリンダ本体211内を移動(往復動)する(図2参照)。
また、往復動型の液圧シリンダCYR(出力部21)は、シリンダ側端部が本体B1に軸支されつつ、ピストン軸側端部がメインブームB1aに軸支されている(図1参照)。
【0016】
つまり、往復動型の液圧シリンダCYR(出力部21)は、支軸SFを跨ぐようにして、本体B1とメインブームB1aとの間に配置されている。
なお、本実施形態では、メイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)として、作動流体に作動油を使用する、いわゆる油圧シリンダを採用している。
また、メイン駆動手段UP1aの詳細な構成、働きについては後述する。
【0017】
メイン緩衝手段UB1a(緩衝手段UBF)は、メインブームB1aに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収するための構成である(図2参照)。
メイン緩衝手段UB1aは、ピストンがガス圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆるガス圧シリンダで構成されている。また、メイン緩衝手段UB1aは、メイン駆動手段UP1aの配管21A、21Fに連結されている。そして、メイン緩衝手段UB1aは、液圧シリンダCYRが延びる方向と縮む方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、メイン緩衝手段UB1aの詳細な構成、働きについては後述する。
【0018】
次に、メイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)を構成する圧力調整部20、液圧シリンダCYRの構成、働きについて、詳細に説明する(図3参照)。
圧力調整部20は、液圧シリンダCYRに供給される作動油(作動流体)の圧力を調整(昇圧)するための構成である。
圧力調整部20は、液バルブV11,V12,V13,V14、圧力調整器214、ポンプ215、液供給源(作動流体供給源)216、配管21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21H,21BH,21CGを備えている。
【0019】
液圧シリンダCYRは、作動油の圧力を動作として出力(変換)するための構成であり、自身が延びる方向と縮む方向の両方に出力する、複動型が採用されている。
液圧シリンダCYRは、シリンダ本体211、ピストン212を備えている。
シリンダ本体211の内部は、ピストン121で2つの部屋に区画されつつ、両部屋には作動油(作動流体)が充填されている。
また、シリンダ本体211は、一方の部屋に配管21Aの一端が接続され、他方の部屋に配管21Fの一端が接続されている。
【0020】
また、配管21Aの他端には、液バルブV11の一側と液バルブV12の一側とが接続されている。つまり、配管21Aは、出力配管として機能している。
液バルブV11の他側には、配管21Cと配管21CGとを介して、圧力調整器214の一側とポンプ215の一側が接続されている。
また、圧力調整器214の他側とポンプ215の他側は、それぞれ配管21Dと配管21Eを介して液供給源216に接続されている。
【0021】
液バルブV12の他側には、配管21Bと配管21BHとを介して、液供給源216が接続されている。
また、配管21Fは、液バルブV13の一側と液バルブV14の一側とが接続されている。つまり、配管21Fは、出力配管として機能している。
液バルブV13の他側には、配管21Gが接続されている。配管21Gは、前述の配管21Cと合流して配管21CGとなる。配管21CGの接続先は前述のとおりである。
液バルブV14の他端には、配管21Hが接続されている。配管21Hは、前述の配管21Bと合流して配管21BHとなる。配管21BHの接続先は前述のように液供給源216に接続されている。
【0022】
以上の圧力調整部20の構成によって、液バルブV11,V12,V13,V14の開閉と、圧力調整器214とポンプ215とを、適宜、選択して作動されることにより、液圧シリンダCYR(出力部21)は、所望の動作(往復動)をする。
なお、配管21Aは、メイン緩衝手段UB1a(緩衝手段UBF)における液バルブV23(開閉バルブ)にも接続され、配管21Fは、メイン緩衝手段UB1aにおける液バルブV26(開閉バルブ)にも接続されている(図3参照)。
【0023】
そして、以上の圧力調整部20の説明は、液バルブV23と液バルブV26がともに閉じられている状態における動作についてである。液バルブV23と液バルブV26が開いた状態で、稼動手段UPWと緩衝手段UBFとが相互作用する場合の動作については後記する。
また、本実施形態の稼動手段UPWを構成する液圧シリンダCYRでは、作動流体にいわゆる作動油を使用する油圧シリンダを採用しているが、作動流体は、作動油に限定するものではなく、非圧縮性流体であれば、適宜採用することができる。
【0024】
次に、メイン緩衝手段UB1a(緩衝手段UBF)の構成、働きについて、詳細に説明する(図3参照)。
メイン緩衝手段UB1aは、縮み側緩和シリンダ220(ガス圧シリンダGCY)、伸び側緩和シリンダ240(ガス圧シリンダGCY)、リニアゲージ222,242、液バルブV23,V26、空気バルブV24,V25,V27,V28、圧力計226,246、圧力調整器227,247、空気供給源228、配管22A,22B,22C,22D,22E,24A,24B,24C,24D,24E,224Eを備えている。
【0025】
縮み側緩和シリンダ220は、液圧シリンダCYRの縮み方向における外圧の急峻な変動を緩和し、機器や配管の損傷を防止するように動作する。縮み側緩和シリンダ220は、シリンダ本体221、ピストン223を備えている。
シリンダ本体221の内部はピストン223で2つの部屋に区画されている。そして、一方の部屋には、配管22A(吸収配管)の一端が接続され、作動油(作動流体)が充填されている。また、他方の部屋には、配管22Bの一端が接続され、空気(作動流体)が充填されている。
配管22A(吸収配管)の他端は、液バルブV23(開閉バルブ)の一側に接続されている。配管22Bの他端は、空気バルブV24の一側に接続されている。配管22Cは、圧力計226と空気バルブV25とに接続されている。
【0026】
液バルブV23(開閉バルブ)の他側は、前述のメイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)における配管21Aに接続されている。
空気バルブV24の他側は、大気開放となっている。
空気バルブV25は、配管22Dを通じて圧力調整器227の出口に接続されている。圧力調整器227の入口は、配管22Eと配管224Eを介して、空気供給源228に接続されている。
リニアゲージ222は、ピストン223の変位を測定している。
【0027】
伸び側緩和シリンダ240は、液圧シリンダCYRの伸び方向における外圧の急峻な変動を緩和し、機器や配管の損傷を防止するように動作する。伸び側緩和シリンダ240は、シリンダ本体241、ピストン243を備えている。
シリンダ本体241の内部は、ピストン243で2つの部屋に区画されている。
一方の部屋には、配管24A(吸収配管)が接続され、作動油が充填されている。
また、他方の部屋には、配管24Bの一端と配管24Cの一端とが接続され、空気が充填されている。
配管24A(吸収配管)の他端は、液バルブV26(開閉バルブ)の一側に接続されている。配管24Bの他端は、空気バルブV27の一側に接続されている。配管24Cは、圧力計246と空気バルブV28とに接続されている。
【0028】
また、液バルブV26(開閉バルブ)の他側は、前述のメイン駆動手段UP1a(稼動手段UPW)における配管21Fに接続されている。
空気バルブV27の他側は、大気開放となっている。
空気バルブV28は、配管24Dをつうじて圧力調整器247の出口に接続されている。圧力調整器247の入口は、配管24Eと配管224Eを介して、空気供給源228に接続されている。
リニアゲージ242は、ピストン243の変位を測定している。
なお、配管22Eと配管24Eは合流して配管224Eに接続されている。配管224Eは、空気供給源228に接続されている。
【0029】
メイン緩衝手段UB1aは、縮み側緩和シリンダ220,伸び側緩和シリンダ240の作用によって、液圧シリンダCYRの縮み方向、および伸び方向の両方における外圧の急峻な変動を緩和し、機器や配管の損傷を防止するように動作する。
シリンダ本体221においては、空気バルブV24,V25と圧力計226と圧力調整器227、および空気供給源228とによって、シリンダ本体221における空気が充填された側の部屋を所定の圧力(気圧)に設定する。
そして、液バルブV23を開くことにより、配管21Aを介して液圧シリンダCYRから到来する荷重の急峻な変動が緩和される。
【0030】
また、シリンダ本体241においては、空気バルブV27,V28と圧力計246と圧力調整器247、および空気供給源228とによって、シリンダ本体241における空気が充填された側の部屋を所定の圧力(気圧)に設定する。
そして、液バルブV26を開くことにより、配管21Fを介して液圧シリンダCYRから到来する荷重の急峻な変動が緩和される。
【0031】
以上により、液圧シリンダCYRを停止精度や応答性を高く確保しながら、シリンダにおける荷重の過負荷による機器のダメージを防止するために、液圧シリンダCYRと緩衝手段UBFとが組合わせて用いられる。
また、シリンダ本体221およびシリンダ本体241における空気が充填された側の部屋の圧力(気圧)を如何に設定するかによって、荷重の急峻な変動を緩和する機能、いわば剛力を調整することができる。
【0032】
なお、前記したように、リニアゲージ222,242は、それぞれシリンダ本体221,241のシリンダ部の変位を計測する。この変位を計測することにより、液圧シリンダCYRのシリンダ本体211における変位が算出、計測される。
また、本実施形態の緩衝手段UBFでは、作動流体にいわゆる空気を使用するガス圧シリンダGCYを採用しているが、作動流体は、空気に限定するものではなく、窒素ガス等、圧縮性流体であれば、適宜採用することができる。
【0033】
次に、サブリンク駆動装置S1bについて説明する(図1図2参照)。
サブリンク駆動装置S1b(駆動装置S)は、メインブームB1a(基準部材)に軸支されたサブブームB1b(従動部材)を揺動させるための構成である(図1参照)。
サブリンク駆動装置S1bは、サブリンクUL1b(リンク機構ULK)、サブ駆動手段UP1b(稼動手段UPW)、サブ緩衝手段UB1b(緩衝手段UBF)を備えている。
【0034】
サブリンクUL1b(リンク機構ULK)は、サブブームB1b(従動部材)の基端側が、メインブームB1a(基準部材)の先端側に支軸SFを介して、支持(軸支)されている(図1参照)。
このように連係することによって、サブブームB1bの先端側がメインブームB1aに対して揺動可能となっている。
【0035】
サブ駆動手段UP1b(稼動手段UPW)は、サブブームB1b(従動部材PF)がメインブームB1a(基準部材PB)に対して揺動する際の駆動力を発生する(図2参照)。
サブ駆動手段UP1bは、メイン駆動手段UP1aと同様に、ピストンが油圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆる油圧シリンダで構成されている。
【0036】
サブ駆動手段UP1bは、シリンダ側端部がメインブームB1aに軸支され、ピストン軸側端部がサブブームB1bに軸支されている(図1参照)。
つまり、サブ駆動手段UP1bは、支軸SFを跨ぐようにして、メインブームB1aとサブブームB1bとの間に配置されている。
なお、サブ駆動手段UP1bの構成と働きは、メイン駆動手段UP1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0037】
サブ緩衝手段UB1b(緩衝手段UBF)は、サブブームB1bに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する(図2参照)。
サブ緩衝手段UB1bは、メイン緩衝手段UB1aと同様に、ピストンがガス圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆるガス圧シリンダで構成されている。また、サブ緩衝手段UB1bは、サブ駆動手段UP1bの配管21A、21Fに連結されている。そして、サブ緩衝手段UB1bは、液圧シリンダCYRが延びる方向と縮む方向の両方に作用する荷重(荷重)を緩和する。
なお、サブ緩衝手段UB1bの構成と働きは、メイン緩衝手段UB1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、バケットリンク駆動装置S1cについて説明する(図1図2参照)。
バケットリンク駆動装置S1c(駆動装置S)は、サブブームB1b(基準部材)に軸支されたバケットB1c(従動部材)を揺動させるための構成である(図1参照)。
バケットリンク駆動装置S1cは、バケットリンクUL1c(リンク機構ULK)、バケット駆動手段UP1c(稼動手段UPW)、バケット緩衝手段UB1c(緩衝手段UBF)を備えている。
【0039】
バケットリンクUL1c(リンク機構ULK)は、バケットB1c(従動部材)の支持部がサブブームB1b(基準部材)の先端側に支軸SFを介して、支持(軸支)されている(図1参照)。
このように連係することによって、バケットB1cがサブブームB1bに対して揺動可能となっている。
【0040】
バケット駆動手段UP1c(稼動手段UPW)は、バケットB1c(従動部材PF)がサブブームB1b(基準部材PB)に対して揺動する際の駆動力を発生する(図1図2参照)。
バケット駆動手段UP1cは、メイン駆動手段UP1aと同様に、ピストンが油圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆる油圧シリンダで構成されている。
【0041】
また、バケット駆動手段UP1cは、シリンダ側端部がサブブームB1bに軸支され、ピストン軸側端部がバケットB1cに軸支されている(図1参照)。
つまり、バケット駆動手段UP1cは、支軸SFを跨ぐようにして、サブブームB1bとバケットB1cとの間に配置されている。
なお、バケット駆動手段UP1cの構成と働きは、メイン駆動手段UP1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0042】
バケット緩衝手段UB1c(緩衝手段UBF)は、バケットB1cに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する(図2参照)。
バケット緩衝手段UB1cは、メイン緩衝手段UB1aと同様に、ピストンがガス圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆるガス圧シリンダで構成されている。また、バケット緩衝手段UB1cは、バケット駆動手段UP1cの配管21A、21Fに連結されている。そして、バケット緩衝手段UB1cは、液圧シリンダCYRが延びる方向と縮む方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、バケット緩衝手段UB1cの構成と働きは、メイン緩衝手段UB1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0043】
次に、第1実施形態の駆動装置Sの作用効果について説明する。
本実施形態の駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
また、稼動手段UPWは、非圧縮性を有する作動流体が封入された、往復動型の液圧シリンダCYRを備えている。
【0044】
これによって、従動部材PFの移動変位の精度が高い上に、応答性に優れつつ、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、故障の発生を抑制することができる駆動装置を提供することができる。
また、稼動手段UPWは、往復動型の液圧シリンダCYRを備えていることで、要求される油圧ショベルの性能に適した出力の駆動手段を採用することが容易に行える。
【0045】
なお、本実施形態の稼動手段UPWでは、作動流体にいわゆる作動油を使用する油圧シリンダを採用しているが、前述のように作動流体を作動油に限定するものではなく、非圧縮性を有する流体であれば、適宜採用することができる。
本実施形態の駆動装置Sは、緩衝手段UBFがガス圧シリンダGCYを備えている。
これによって、複雑な作業工程を経ることなく、緩衝手段UBFを容易に設置することができるとともに、稼動手段UPWの出力に応じた緩衝性能を得ることができる。
【0046】
また、ガス圧シリンダGCYは、ガス圧を調整することで、荷重の急峻な変動を緩和する機能、いわば剛性を調整することができる。そして、剛性を変えることで、移動変位の精度を高めたり、あるいは荷重に対する耐性を高めたり、追従性を付加できる等、各種の特性を柔軟に定めることができる。
また、使用者が任意に設定した緩衝性能を得ることができる。
【0047】
さらに、ガス圧シリンダGCYにおける圧力計226,246で測定した圧力、およびリニアゲージ222,242で測定した変位によって、往復動型の液圧シリンダCYRに予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、荷重の大きさ、および変位を算出(推定)することができる。
【0048】
なお、本実施形態の緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダGCYを採用しているが、これに限定するものではない。
たとえば、一般的な油圧ダンパ(図示せず)、ショックアブソーバ(図示せず)等を採用することが可能である。
【0049】
これによって、同様の作用効果が得られる上に、緩衝手段UBFの構成を簡素化することができるため、装置全体を小型化することができる。
また、本実施形態の駆動装置Sは、緩衝手段UBFが稼動手段UPWの配管21A、21Fに連結されている。
これによって、緩衝手段UBFを備えず、リンク機構ULKと稼動手段UPWとからなる駆動装置に対して、緩衝手段UBFを容易に後付けすることができる。
【0050】
また、本実施形態の駆動装置Sは、油圧ショベルのブーム部AP1への適用に限定するものではない。
本実施形態の駆動装置Sは、基準部材に連係された従動部材を油圧シリンダで駆動する構成であれば、様々な形態に適用することが可能である。
そこで、本実施形態の他のリンク機構ULKへの適用例として、4つの例について説明する。
【0051】
≪適用例1-1≫(図4参照)
適用例1-1として、本願発明の駆動装置Sをホイルローダ、およびブルドーザのバケット部AP11に適用した場合について説明する(図4参照)。
バケット部AP11は、2つの関節JNTを備え、各関節JNTに本願の駆動装置Sが1つずつ配置されている。
【0052】
バケット部AP11を構成する2つの駆動装置Sは、前述と同様に、それぞれが独立して、別々に駆動できるとともに、連動できるように構成されている。
これによって、バケット部AP11の各関節JNTが屈曲、揺動し、先端のバケットB11cが地面の土砂、雪等をすくい上げることができる。
バケット部AP11を構成する2つの駆動装置Sのそれぞれをメインリンク駆動装置S11a、バケットリンク駆動装置S11cと称する。
【0053】
次に、バケットリンク駆動装置S11cについて説明する(図4参照)。
なお、メインリンク駆動装置S11aは、第1実施形態のメインリンク駆動装置S1aと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
バケットリンク駆動装置S11c(駆動装置S)は、メインブームB11a(基準部材)に軸支されたバケットB11c(従動部材)を揺動させるための構成である。
バケットリンク駆動装置S11cは、バケットリンクUL11c(リンク機構ULK)、バケット駆動手段UP11c(稼動手段UPW)、バケット緩衝手段UB11c(緩衝手段UBF)を備えている。
【0055】
バケットリンクUL11c(リンク機構ULK)は、バケットB11c(従動部材)が、メインブームB11a(基準部材)の先端部に支軸SFを介して、支持(軸支)されている。
また、バケットB11cには、バケット駆動リンクUL11caを介して、バケット駆動手段UP11cの駆動力が伝えられる。
このように連係することによって、バケットB11cがメインブームB11aに対して揺動可能となっている。
【0056】
バケット駆動リンクUL11caは、バケットブームB11ca、リンクロッドB11cb、バケットB11cと、これらを連係する支軸SFとを備えている。
バケットブームB11caは、自身の基部側がメインブームB11aの中央部に、支軸を介して揺動可能に軸支されている。
バケットブームB11caの基端部は、バケット駆動手段UP11cのピストン軸側端部に、支軸SFを介して揺動可能に軸支されている。
【0057】
リンクロッドB11cbは、自身の基端部がバケットブームB11caの先端部に、支軸SFを介して揺動可能に軸支されている。
バケットB11cは、リンクロッドB11cbの先端部に、支軸SFを介して揺動可能に軸支されている。
そして、バケットB11cには、揺動する際の駆動力が、バケット駆動リンクUL11caを介して、バケット駆動手段UP11cから伝達される。
【0058】
バケット駆動手段UP11c(稼動手段UPW)は、バケットB11c(従動部材)がメインブームB11a(基準部材)に対して揺動する際の駆動力を発生する。
バケット駆動手段UP11cは、ピストンが油圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆる油圧シリンダで構成されている。
バケット駆動手段UP11cは、シリンダ側端部がメインブームB11aに軸支され、ピストン軸側端部がバケットブームB11caに軸支されている。
【0059】
つまり、バケット駆動手段UP11cは、支軸SFを跨ぐようにして、メインブームB11aとバケットブームB11caとの間に配置されている。
なお、バケット駆動手段UP11cの構成と働きは、第1実施形態のメイン駆動手段UP1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0060】
バケット緩衝手段UB11c(緩衝手段UBF)は、バケットB11cに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。
バケット緩衝手段UB11cは、バケット駆動手段UP11cの配管21A、21Fに連結されている。
【0061】
バケット緩衝手段UB11cは、油圧シリンダが延びる方向と縮む方向の両方に作用する荷重を緩和する。
バケット緩衝手段UB11cは、メイン緩衝手段UB1aと同様に、ピストンがガス圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆるガス圧シリンダで構成されている。
なお、バケット緩衝手段UB11cの構成と働きは、第1実施形態のメイン緩衝手段UB1aと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0062】
≪適用例1-2≫(図5参照)
適用例1-2として、本願発明の駆動装置Sをダンプカーの荷台を傾斜させる構成(以下、ダンプ機構AP12と称する)に適用した場合について説明する。
ダンプ機構AP12は、1つの関節JNTを備え、この関節JNTに本願の駆動装置Sが1つ配置されている。
これによって、ダンプカーの荷台を傾け、荷台の土砂等を重力で荷台から降ろすことができる。
なお、ダンプ機構AP12を構成する駆動装置Sは、第1実施形態のメインリンク駆動装置S1aと同様の構成のため詳細な説明は省略する。
【0063】
≪適用例1-3≫(図6参照)
適用例1-3として、本願発明の駆動装置Sを二足歩行ロボットを構成する一対の脚部AP13に適用した場合について説明する。
一対の脚部AP13は、同様に構成されている。各脚部AP13は、人間の脚と同様に3つの関節JNTを備え、各関節JNTに本願の駆動装置Sが1つずつ配置されている。つまり、1体の二足歩行ロボットでは、一対の脚部AP13に6つの関節JNTを備えている。
【0064】
一対の脚部AP13を構成する6つの駆動装置Sは、前述の第1実施形態と同様に、それぞれが独立して、別々に駆動できるとともに、連動できるように構成されている。
これによって、一対の脚部AP13を交互に前後させて、歩行移動することができる。
なお、一対の脚部AP13を構成する駆動装置Sは、第1実施形態のメインリンク駆動装置S1aと同様の構成のため詳細な説明は省略する。
【0065】
≪適用例1-4≫(図7参照)
適用例1-4として、本願発明の駆動装置Sを尺取り虫のように移動する移動ロボットAP14に適用した場合について説明する。
移動ロボットAP14は、前述の第1実施形態、および適用例1-1~1-3とは異なる形態のリンク機構ULKを備えている。
【0066】
本適用例のリンク機構ULKは、平行に対向配置された基準部材PBと従動部材PFとの間に配置されたガイドレールUL14で構成されている。
ガイドレールUL14は、両部材が向き合った状態を変えることなく、間隔が増減する方向(図7における左右方向)に伸縮可能に構成されている。
稼動手段UPWは、油圧シリンダFCYが伸縮する。
【0067】
基準部材PBと従動部材PFのそれぞれの接地部には、所定の同一方向に限って回転可能に構成された車輪WHが配置されている。
これによって、油圧シリンダFCYの伸縮運動(往復動)が、移動のための駆動力に変換される。
【0068】
≪第2実施形態≫(図8図9(a)、(b)参照)
次に、本願発明の第2実施形態に係る駆動装置Sについて説明する。
本実施形態では、駆動装置Sをいわゆるスカラロボット(SCARA:SelectiveCompliance Assembly Robot Arm)のアーム部AP2に適用した場合を例に説明する(図8参照)。
スカラロボットは、機械部品を運び、組立てる産業用ロボットの1つである。
本実施形態の駆動装置Sは、油圧モータFMTの出力軸FM1を回転中心(支軸)にして、基準部材PBに軸支された従動部材PFを水平面に沿って揺動させるものである。
【0069】
アーム部AP2は、3つの駆動装置S(メインリンク駆動装置S2a、サブリンク駆動装置S2b、エンドリンク駆動装置S2c)で構成されている。
3つの駆動装置Sは、それぞれが独立して、別々に駆動できるように構成されている。
3つの駆動装置Sは、それぞれがリンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0070】
次に、各駆動装置Sについて説明する(図8図9(a)、(b)参照)。
メインリンク駆動装置S2a(駆動装置S)は、本体B2(基準部材)に軸支されたメインブームB2a(従動部材)を揺動させるための構成である。
メインリンク駆動装置S2aは、メインリンクUL2a(リンク機構ULK)、メイン駆動手段UP2a(稼動手段UPW)、メイン緩衝手段UB2a(緩衝手段UBF)を備えている。
【0071】
メインリンクUL2a(リンク機構ULK)は、メインブームB2a(従動部材)の基端側が、本体B2(基準部材)の上面にメイン駆動手段UP2aを介して、支持されている。
このように連係することによって、メインブームB2aの先端側が本体B2に対して揺動可能となっている。
【0072】
メイン駆動手段UP2a(稼動手段UPW)は、メインブームB2a(従動部材)を支持しつつ、メインブームB2aが本体B2(基準部材)に対して揺動する際の駆動力を発生する(図8参照)。
メイン駆動手段UP2aは、いわゆる油圧モータFMTで構成されている(図9(a)、(b)参照)。
【0073】
油圧モータFMTは、ピストンが油圧によってシリンダ本体内を回転する回転型の液圧シリンダ(回転型液圧シリンダCYM(出力部))を複数備えている。そして、同軸上に配置された複数の回転型液圧シリンダCYMを所定の順に駆動することでモータとして連続回転させる。一般的には、3個以上の回転型液圧シリンダCYMを組合わせて駆動する。
また、油圧モータFMTは、各回転型液圧シリンダCYMに圧力調整部20をそれぞれ備えている。圧力調整部20は、回転型液圧シリンダCYMに供給される作動油(作動流体)の圧力を調整(昇圧)するための構成である。圧力調整部20の構成、働きについては、第1実施形態と同様のため省略する。
【0074】
メイン緩衝手段UB2a(緩衝手段UBF)は、メインブームB2aに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する(図9(a)、(b)参照)。
メイン緩衝手段UB2aは、ピストンがガス圧によってシリンダ本体内を往復動する、いわゆるガス圧シリンダで構成されている。また、メイン緩衝手段UB2aは、メイン駆動手段UP2aの配管21A、21Fに連結されている。そして、メイン緩衝手段UB2aは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、メイン緩衝手段UB2aの詳細な構成、働きについては、第1実施形態と同様のため省略する。
【0075】
次に、サブリンク駆動装置S2bについて説明する(図8図9(a)、(b)参照)。
サブリンク駆動装置S2b(駆動装置S)は、メインブームB2a(基準部材)に軸支されたサブブームB2b(従動部材)を揺動させるための構成である。
【0076】
サブリンク駆動装置S2bは、サブリンクUL2b(リンク機構ULK)、サブ駆動手段UP2b(稼動手段UPW)、サブ緩衝手段UB2b(緩衝手段UBF)を備えている。
なお、サブリンクUL2b、サブ駆動手段UP2b、サブ緩衝手段UB2bは、メインリンクUL2a、メイン駆動手段UP2a、メイン緩衝手段UB2aと同様に構成されるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
次に、エンドリンク駆動装置S2cについて説明する(図8図9(a)、(b)参照)。
エンドリンク駆動装置S2c(駆動装置S)は、サブブームB2b(基準部材)に軸支されたエンドブームB2c(従動部材)を揺動させるための構成である。
【0078】
エンドリンク駆動装置S2cは、エンドリンクUL2c(リンク機構ULK)、エンド駆動手段UP2c(稼動手段UPW)、エンド緩衝手段UB2c(緩衝手段UBF)を備えている。
なお、エンドリンクUL2c、エンド駆動手段UP2c、エンド緩衝手段UB2cは、メインリンクUL2a、メイン駆動手段UP2a、メイン緩衝手段UB2aと同様に構成されるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
次に、第2本実施形態の駆動装置Sの作用効果について説明する。
本実施形態の駆動装置Sは前述の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
本実施形態の駆動装置Sを構成する稼動手段UPWは、複数の回転型液圧シリンダCYMと複数の圧力調整部20とを備えた油圧モータFMTで構成されている。
これによって、従動部材PFの移動変位の精度が高い上に、応答性に優れつつ、予期せぬ過大な荷重が作用した場合に、故障の発生を抑制することができる駆動装置を提供することができる。
【0080】
また、稼動手段UPWを図9に示す油圧モータFMTで構成することで、油圧モータFMTの出力軸FM1に従動部材PFが軸支される。
これによって、駆動装置Sの構成を簡素化することができる。
【0081】
なお、本実施形態の回転型液圧シリンダCYMでは、作動流体に作動油を採用しているが、作動流体は、作動油に限定するものではなく、非圧縮性流体であれば、適宜採用することができる。
また、稼動手段UPWは、油圧モータに限らず、回転角度を高い精度で制御できるものであれば電動モータ(図示せず)を採用することが可能である。
このような構成を採用した場合にも、油圧モータFMTと同様の作用効果が得られる上に、モータの構成が簡素化されるため、装置全体を小型化することができる。
【0082】
なお、本実施形態の駆動装置Sは、スカラロボットのアーム部AP2への適用に限定するものではない。
本実施形態の駆動装置Sは、基準部材PBに設置された油圧モータFMTが従動部材PFを変位させるための駆動源となる構成であれば、様々な形態に適用することが可能である。
そこで、本実施形態の他のリンク機構ULKへの適用例として、5つの例について説明する。
【0083】
≪適用例2-1≫(図10参照)
適用例2-1として、本願発明の駆動装置Sをジブクレーンのブーム部AP21に適用した場合について説明する。
本適用例の駆動装置Sは、本体B21(基準部材)に軸支されたブームB21a(従動部材)を起倒させるための構成である。
ブーム部AP21は、ブームB21aと本体B21との間に関節JNTを1つ備え、この関節JNTに本願の駆動装置Sが配置されている。
駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0084】
リンク機構ULKは、ブームB21a(従動部材)の基端部が本体B21(基準部材)に支軸SFを介して支持(軸支)されている。
稼動手段UPWは、本体B21に設置される油圧モータFMTと、油圧モータFMTに巻き取られるワイヤケーブルWKを備えている。
【0085】
ワイヤケーブルWKは、その一端が、ブームB21aの先端部に固定され、他端が、油圧モータFMT(稼動手段UPW)に固定されている。そして、油圧モータFMTを正転、逆転させることで、巻き取るワイヤケーブルWKの長さを調整し、巻き取られたワイヤケーブルWKの長さに応じてブームB21aが起倒する。
【0086】
緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダで構成され、ブームB21aに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。そして、緩衝手段UBFは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、緩衝手段UBFの構成と働きは、第1実施形態の緩衝手段UBFと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0087】
≪適用例2-2≫(図11(a)、(b)参照)
適用例2-2として、本願発明の駆動装置Sを自走台車の駆動輪AP22に適用した場合について説明する。
本適用例の駆動装置Sは、本体B22(基準部材)に軸支された車輪B22a(従動部材)を回転駆動させるための構成である。
駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0088】
リンク機構ULKは、車輪B22a(従動部材)が本体B22(基準部材)に油圧モータFMTを介して支持(軸支)されている。
稼動手段UPWは、本体B22に設置される油圧モータFMTを備えている。そして、油圧モータFMTが駆動することで、車輪B22aが回転する。
【0089】
緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダで構成され、車輪B22aに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。そして、緩衝手段UBFは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、緩衝手段UBFの構成と働きは、第1実施形態の緩衝手段UBFと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0090】
≪適用例2-3≫(図12参照)
適用例2-3は、前述の自走台車の変形例であり、駆動輪AP22の代わりにクローラAP23(無限軌道)を採用している。
クローラAP23は、不整地や雪上を走行する際の好適な手段であり、スプロケットB23aと、環状の帯体からなるクローラベルトB23bとを備えている。
【0091】
スプロケットB23aとクローラベルトB23bとは噛合しており、スプロケットB23aが回転することでクローラベルトB23bは転動する。
本適用例の駆動装置Sは、本体B23(基準部材)に支持されたクローラベルトB23b(従動部材)を転動させるための構成である。
駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0092】
リンク機構ULKは、クローラベルトB23b(従動部材)が本体B23(基準部材)にスプロケットB23aを介して支持(軸支)されている。
稼動手段UPWは、本体B23に設置される油圧モータFMTを備えている。また、油圧モータFMTは、スプロケットB23aに連結されている。そして、油圧モータFMTが駆動することで、スプロケットB23aが回転し、クローラベルトB23bが転動する。
【0093】
緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダで構成され、車輪B22aに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。そして、緩衝手段UBFは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、緩衝手段UBFの構成と働きは、第1実施形態の緩衝手段UBFと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0094】
≪適用例2-4≫(図13(a)、(b)参照)
適用例2-4として、本願発明の駆動装置Sを移動台に適用した場合について説明する。
本適用例の駆動装置Sは、送りネジ機構AP24を介して、本体B24(基準部材)上の天板B24c(従動部材)をガイドレールB24aに沿って移動させるための構成である。
駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0095】
リンク機構ULKは、本体B24(基準部材)に設置されるガイドレールB24aと、天板B24c(従動部材)に設置され、ガイドレールB24aに沿って摺動するガイド駒B24bとで構成されている。
稼動手段UPWは、本体B24に設置される油圧モータFMTと、油圧モータFMTの回転を往復動に変換する送りネジ機構AP24とを備えている。
【0096】
送りネジ機構AP24は、ガイドレールB24aに沿って配置される送りネジUP24aと、送りネジUP24aに螺着される送りナットUP24bとを備えている。
送りナットUP24bは、緩衝手段UBFを介して天板B24cに連結している。
【0097】
稼動手段UPWは、油圧モータFMTが駆動すると、油圧モータFMTの回転が送りネジUP24aに伝わり、送りネジUP24aが軸回りに回転する。
送りネジUP24aが軸回りに回転すると、ガイドレールB24aとガイド駒B24bとの連係によって、送りナットUP24bの送りネジUP24aとの連れ回りが制限される。これによって、天板B24cはガイドレールB24a上を滑らかに往復移動する。
また、送りネジ機構AP24を用いることで、油圧モータFMTの回転運動を往復運動へ簡潔な構成で容易に変換することができる。
【0098】
なお、稼動手段UPWは、油圧モータに限らず、回転角度を高い精度で制御できるものであれば電動モータを採用することが可能である。
このような構成を採用した場合にも、油圧モータFMTと同様の作用効果が得られる上に、モータの構成が簡素化されるため、装置全体を小型化することができる。
また、送りネジ機構AP24の代わりにラックとピニオンを用いた伝達機構を採用することも可能である。
【0099】
緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダGCYで構成され、天板B24cに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。
ガス圧シリンダGCYは、シリンダ側端部が送りナットUP24bに連結され、ピストン軸側端部が天板B24cに連結されている。
緩衝手段UBFは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、緩衝手段UBFの構成と働きは、第1実施形態の緩衝手段UBFと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0100】
≪適用例2-5≫(図14参照)
適用例2-5は、前述の移動台の変形例であり、送りネジ機構AP24の代わりにチェーン機構AP25が天板B25cに駆動力を伝える。
駆動装置Sは、リンク機構ULK、稼動手段UPW、緩衝手段UBFを備えている。
【0101】
リンク機構ULKは、本体B25(基準部材)に設置されるガイドレールB25aと、天板B25c(従動部材)に設置され、ガイドレールB25aに沿って摺動するガイド駒B25bとで構成されている。
稼動手段UPWは、本体B25に設置される油圧モータFMTと、油圧モータFMTの回転を往復動に変換するチェーン機構AP25とを備えている。
【0102】
チェーン機構AP25は、複数のスプロケットUP25aで環状に連結されたチェーンUP25bを支持しつつ、スプロケットUP25aを回転させて駆動力をチェーンUP25bに伝える。
チェーンUP25bには、所定の駒に緩衝手段UBFが設置され、緩衝手段UBFを介して、チェーンUP25bと天板B25cとが連結している。
【0103】
稼動手段UPWは、油圧モータFMTが駆動すると、油圧モータFMTの回転がスプロケットUP25aに伝わり、スプロケットUP25aが軸回りに回転する。
スプロケットUP25aが軸回りに回転すると、チェーンUP25bが自身の環形状に沿って転動する。
ガイドレールB25aとガイド駒B25bとの連係によって、チェーンUP25bが転動する際のバタ付きが制限される。これによって、天板B25cは、ガイドレールB24a上を滑らかに往復移動する。
【0104】
また、チェーン機構AP25を用いることで、油圧モータFMTの回転運動を往復運動へ簡潔な構成で容易に変換することができる。
なお、チェーン機構AP25の代わりにベルトを用いた伝達機構を採用することも可能である。
緩衝手段UBFは、ガス圧シリンダGCYで構成され、天板B25cに予期せぬ過大な荷重が作用した際に、荷重を緩和、吸収する。
【0105】
緩衝手段UBFは、シリンダ側端部がチェーンUP25bに連結され、ピストン軸側端部が天板B25cに連結されている。
緩衝手段UBFは、油圧モータFMTの正転方向と逆転方向の両方に作用する荷重を緩和する。
なお、緩衝手段UBFの構成と働きは、第1実施形態の緩衝手段UBFと同様のため、詳細な説明は省略する。
【0106】
≪複合的な適用例≫
前述の第1実施形態では、稼動手段UPWに往復動型の液圧シリンダ(往復動型液圧シリンダCYR)を採用し(図2参照)、第2実施形態では、稼動手段UPWに回転型液圧シリンダCYM(油圧モータFMT)を採用している(図9(a)、(b)参照)。
これら往復動型液圧シリンダCYRと回転型液圧シリンダCYMとを単体で使用するだけでなく、組合わせて、連動させる形態とすることも可能である。そして、これら往復動型液圧シリンダCYRと回転型液圧シリンダCYMとを組合わせることで、より複雑な動きが実現し、さらに複雑な作業を行えるようになる。
【0107】
そこで、本願発明の複合的なリンク機構ULKへの適用例として、4つの例について説明する。
なお、油圧モータFMTの代わりに電動モータの採用が可能であることは、前述と同様である。
【0108】
≪適用例3-1≫(図15参照)
適用例3-1として、本願発明の駆動装置Sをテレスコ式に伸縮するクレーンのブーム部AP31に適用した場合について説明する。
ブームB31aは入れ子構造になっており、外側の部材に対して内側の部材が出没することで伸縮するテレスコ機構UTLを備えている
【0109】
ブームB31aの伸縮動作、および起倒動作は、往復動型液圧シリンダCYRで行っている。
フックFの上げ下げは、回転型液圧シリンダCYMでワイヤケーブルWKを巻き上げることで行っている。
このように、ブーム部AP31がテレスコ機構UTLを備えることで、短時間で、且つ小さな空間容積でブームB31aを展開(伸長)することができる。
【0110】
≪適用例3-2≫(図16参照)
適用例3-2として、本願発明の駆動装置Sを産業用ロボットAP32に適用した場合について説明する。
産業用ロボットAP32は、複数の関節JNTを備えたブームB32aと、ブームB32aの先端に設置されたグリップGとを備えている。
グリップGは、先端部分を開閉することで物品を把持する。
ブームB32aの起倒動作、曲げ動作は、往復動型液圧シリンダCYRで行っている。
グリップGの回転動作は、回転型液圧シリンダCYM(油圧モータFMT)で行っている。
【0111】
≪適用例3-3≫(図17参照)
適用例3-3として、本願発明の駆動装置Sをテレスコ式に伸縮する伸縮アームAP33に適用した場合について説明する。
アームB33aは入れ子構造になっており、外側の部材に対して内側の部材が出没することで伸縮するテレスコ機構UTLを備えている
アームB33aの伸縮動作は、往復動型液圧シリンダCYRで行っている。
グリップGの回転動作は、回転型液圧シリンダCYM(油圧モータFMT)で行っている。
【0112】
≪適用例3-4≫(図18参照)
適用例3-4として、本願発明の駆動装置SをロボットアームAP34に適用した場合について説明する。
ロボットアームAP34は、様々な方向に曲げられるようにアーム部B34aが構成されている。
【0113】
アーム部B34aは、直列に連結された往復動型液圧シリンダCYRが並列に複数配置されている。
アーム部B34aの曲げ動作は、油圧シリンダFCYを適宜伸縮させることで行っている。
グリップGの回転動作は、回転型液圧シリンダCYM(油圧モータFMT)で行っている。
【符号の説明】
【0114】
S 駆動装置
ULK リンク機構
PB 基準部材
PF 従動部材
AP24 送りネジ機構
AP25 チェーン機構
SPD 軸支構造
SF 支軸
UTL テレスコ機構
UL14、B24a、B25a ガイドレール
UPW 稼動手段
21 出力部
21A,21F 配管(出力配管)
22 圧力調整部
CYM 回転型液圧シリンダ
CYR 往復動型液圧シリンダ
211 シリンダ本体
UBF 緩衝手段
22A,24A 配管(吸収配管)
V23,V26 液バルブ(開閉バルブ)
GCY ガス圧シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18