(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】自動運転車両による利用者搬送システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20220805BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220805BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220805BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220805BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 X
G08G1/09 F
G08G1/09 V
G05D1/02 P
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2021515857
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009881
(87)【国際公開番号】W WO2020217739
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2019080576
(32)【優先日】2019-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501055145
【氏名又は名称】株式会社ZMP
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【氏名又は名称】平山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 恵恒
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-231935(JP,A)
【文献】特開2016-115364(JP,A)
【文献】特開2005-038379(JP,A)
【文献】特開2006-048410(JP,A)
【文献】特開2018-160270(JP,A)
【文献】特開2017-174208(JP,A)
【文献】特開2017-106278(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147041(WO,A1)
【文献】特開2019-144168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/12
G09B 29/00-29/14
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G06Q 10/00-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一人が乗車可能で施設内で無人自動走行する自動運転車両と、
前記自動運転車両の運行範囲に関するマップデータが登録される管理センターと、
利用者が携帯し当該利用者の乗車情報が入力されたユーザ端末と、
前記自動運転車両が待機し、待機所端末を備える少なくとも一つの待機場所と、
前記自動運転車両と前記管理センターとを接続し、該管理センターと前記ユーザ端末とを接続
し、且つ、前記管理センターと前記待機所端末とを接続するネットワークと、
から構成され、
前記待機所端末が、該待機所で待機している前記自動運転車両の動作状態を検知し、車両状態情報を作成して前記ネットワークを介して前記管理センターに送信し、
前記利用者が自動運転車両へ乗車しようとするとき、当該利用者の前記乗車情報と乗車しようとする現在位置が前記ユーザ端末により前記ネットワークを介して前記管理センターに送信され、
前記管理センターは、
前記利用者の現在位置の情報と前記乗車情報とから自動運転車両
又は前記待機場所に待機している自動運転車両を検索して最適な場所にいる自動運転車両の現在位置情報と車両識別情報を割り出し、
前記最適な場所にいる自動運転車両の現在位置情報と前記車両識別情報とを前記ユーザ端末に通知すると共に、利用者の前記現在位置の情報と前記乗車情報とから前記マップデータに基づいて当該自動運転車両の走行経路と走行速度等の走行情報を作成し、
前記自動運転車両を遠隔監視及び/又は遠隔操作するように前記ネットワークを介して前記走行情報を当該最適な自動運転車両に送信し、
前記最適な自動運転車両が、前記走行情報に従って該自動運転車両の現在位置又は待機場所から前記利用者の現在位置まで自律走行して迎えに行き、乗車した利用者の現在位置から行き先情報による降車位置まで自律走行する、自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項2】
前記待機所端末は、前記自動運転車両からの前記車両識別情報と共に送信される乗車位置到着通知、経由箇所情報、呼出し情報及び搬送完了通知等に基づいて、当該自動運転車両の「待機中」又は「走行中」の各状態を検知し、前記車両状態情報を作成する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム
。
【請求項3】
前記自動運転車両の制御部は、乗車した利用者が前記管理センターから通知を受けた利用者であるか否かの認証を行う認証部を備え、
前記自動運転車両は、前記認証部による認証がされてから、前記自動運転車両の車載端末を介して指示される走行経路に沿って自律走行する、請求項1
又は2に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項4】
途中降車した利用者が再び前記自動運転車両に乗車する場合、
前記管理センターは、前記自動運転車両の現在位置又は待機場所を選択する際に、途中降車した利用者の再乗車位置から走行距離及び走行時間が短くなるように、自動運転車両の現在位置又は待機場所を選択し、
前記現在位置又は待機状態の自動運転車両の走行情報を生成し、該修正走行情報を当該自動運転車両の車載端末に送信し、
該自動運転車両の制御部は、前記修正走行情報に基づいて前記利用者の再乗車位置まで前記自動運転車両の走行部を制御して自律走行する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項5】
前記自動運転車両に、読取手段が設けられており、
前記利用者が、前記乗車情報を含む媒体を前記読取手段に読み取らせることにより前記乗車情報を入力する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項6】
利用者が携帯する前記ユーザ端末により前記乗車情報を入力し、該入力した乗車情報が前記ネットワークを介して前記管理センターに送信される、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項7】
前記乗車情報が、行き先情報に加えて少なくとも一つの経由箇所情報を含んでおり、
前記管理センターが、各経由箇所情報による経由箇所を順次に廻って停止しながら、行き先情報による降車位置まで自動運転車両を運行する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項8】
前記管理センターにネットワークを介してスタッフ端末が接続され、該スタッフ端末を携帯するスタッフが前記施設内に配置されており、
前記自動運転車両が、呼出し手段を備えていて、
前記利用者が、前記呼出し手段を操作することにより、前記自動運転車両がネットワークを介して呼出し情報を前記管理センターに送信し、
前記管理センターが、受信した呼出し情報をネットワークを介して前記スタッフ端末に送信し、
前記スタッフ端末で前記呼出し情報を受信したスタッフが、当該呼出し情報に基づいて当該自動運転車両の現在位置に移動し、当該利用者に対して必要なヘルプを行なう、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項9】
前記乗車情報が、降車位置における到着時刻を含んでおり、
前記管理センターが、前記自動運転車両が到着時刻までに降車位置に到着するように前記自動運転車両を運行する、請求項1に記載の自動転車両による利用者搬送システム。
【請求項10】
前記管理センターが、制御部と障害検知部と警報発生部とを含んで構成され、
前記制御部が、前記警報発生部の信号により前記自動運転車両の遠隔監視から、前記自動運転車両の遠隔操作に切り替える運行モードを有しており、
前記制御部は、該遠隔操作に切り替わった場合には、前記自動運転車両を管理者及び/又は利用者により遠隔操縦されるように制御する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項11】
前記走行情報がエレベータによる移動情報を含み、該エレベータによる移動情報が前記管理センターから前記ネットワークを介して前記エレベータの制御装置に送信され、
前記自動運転車両が前記エレベータへの乗車階まで移動したときに、前記自動運転車両から前記エレベータ制御装置に到着を送信して前記エレベータを呼び出し、
到着した前記エレベータに搭乗して、前記走行情報で指定された降車階で該エレベータから降車する、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【請求項12】
前記利用者のユーザ端末がバイタルセンサを備え、
前記バイタルセンサが前記利用者の身体異常を検知した場合、当該バイタルセンサからの異常警報を、前記ユーザ端末から前記自動運転車両の車載端末を介して前記管理センター又は前記施設内に配置されているスタッフが携帯するスタッフ端末に送信し、
前記異常警報を受信した前記管理センターのスタッフが、前記利用者が乗車している自動運転車両を所定の場所に移動するように遠隔操作するか、又は、
前記スタッフ端末で前記異常警報を受信したスタッフが、当該異常警報に基づいて当該自動運転車両の現在位置に移動し、当該利用者に対して必要なヘルプを行なう、請求項1に記載の自動運転車両による利用者搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空港,港,軌道車の駅構内,パスターミナル,ショッピングセンター等の各種施設で利用者が乗車した自動運転車両を遠隔監視し、又は遠隔操作により無人自動運転で目的地まで搬送するための自動運転車両による利用者搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空港において車椅子を使用しなければならない乗客は、出発の際、乗客自身が車椅子に乗った状態で航空会社の出発カウンターに出向くと、チェックイン,手荷物預け等や必要に応じて税関検査,出国審査等の搭乗手続を行なって出発ゲートを通過した後、待機している空港スタッフが、出発ゲートから搭乗口まで空港建物内での乗客の移動に伴って、車椅子を押すことにより当該乗客を搭乗口まで案内している。出発ゲート内の空港建物内には、トイレや土産物等のショップ、さらには飲食店等があり、乗客の希望があれば、スタッフが車椅子を押して、これらのトイレ,ショップや飲食店等に立ち寄るようにしている。スタッフは、トイレや飲食店等で、乗客が車椅子から降りる等の場合に、乗客の介助等のヘルプをも行なう。
【0003】
航空機の到着の際も、同様に到着口から到着ゲートまで、航空会社のスタッフが車椅子を押して乗客を案内し、この場合も到着ゲート内にトイレや飲食店等がある場合には、乗客の希望があればスタッフが車椅子を押して、途中のトイレや飲食店等に立ち寄る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、人手不足が問題になってきており、空港ターミナルなどでは人手不足に悩んでいる。大きな空港の場合、車椅子を利用する一人の乗客に対処するため、車椅子を押すためのスタッフとその作業を見守るスタッフで約1~2名のスタッフが必要となる。例えば大規模の空港などでは一日あたり延べ数百人のスタッフを待機させるため、人手不足の問題は深刻であり、また、車椅子の利用者も、混雑しているので気兼ねをして、気軽にサービスを依頼できず、行きたい店舗等にも行き辛い状況である。
【0005】
車椅子利用者でなくても、広い空港建物内で、出発ゲートから搭乗口まであるいは到着口から到着ゲートまで、比較的長い距離を歩かねばならず、歩行を苦痛に感じる利用者も少なくない。さらに空港建物内における移動経路が複雑で、例えばトイレ等に立ち寄ったときには方向感覚がなくなり、目指す目的地の搭乗口や到着ゲートが分からなくなり、特に搭乗の場合には搭乗時間が限られているため、乗り遅れてしまうおそれもある。
【0006】
空港だけでなく、例えば大型商業施設や大きな病院等においても、広い建物内で所望の箇所を巡るには、比較的長い距離の歩行やフロアの昇降も必要となり、高齢者,幼児あるいは負傷者等の弱者には、不利である。
【0007】
本発明は、例えば空港,ショッピングセンター等の施設内で、利用者が手軽に利用できるように、利用者が乗車した自動運転車両を遠隔監視を行い、あるいは遠隔操作により、無人自動運転で目的地まで搬送するための自動運転車両による利用者搬送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の自動運転車両による利用者搬送システムは、少なくとも一人が乗車可能で施設内で無人自動走行する自動運転車両と、自動運転車両の運行範囲に関するマップデータが登録される管理センターと、利用者が携帯し当該利用者の乗車情報が入力されたユーザ端末と、自動運転車両が待機し、待機所端末を備える少なくとも一つの待機場所と、自動運転車両と管理センターとを接続し、該管理センターとユーザ端末とを接続し、且つ、管理センターと待機所端末とを接続するネットワークと、から構成され、
待機所端末が、該待機所で待機している自動運転車両の動作状態を検知し、車両状態情報を作成してネットワークを介して管理センターに送信され、
利用者が自動運転車両へ乗車しようとするとき、当該利用者の乗車情報と乗車しようとする現在位置がユーザ端末によりネットワークを介して管理センターに送信され、
管理センターは、
利用者の現在位置の情報と乗車情報とから自動運転車両又は待機場所に待機している自動運転車両を検索して最適な場所にいる自動運転車両の現在位置情報と車両識別情報を割り出し、
最適な場所にいる自動運転車両の現在位置情報と車両識別情報とをユーザ端末に通知すると共に、利用者の現在位置の情報と乗車情報とからマップデータに基づいて当該自動運転車両の走行経路と走行速度等の走行情報を作成し、
自動運転車両を遠隔監視及び/又は遠隔操作するようにネットワークを介して走行情報を当該最適な自動運転車両に送信し、
最適な自動運転車両が、走行情報に従って該自動運転車両の現在位置又は待機場所から利用者の現在位置まで自律走行して迎えに行き、乗車した利用者の現在位置から行き先情報による降車位置まで自律走行することを特徴とする。
上記構成において、待機所端末は、自動運転車両からの車両識別情報と共に送信される乗車位置到着通知、経由箇所情報、呼出し情報及び搬送完了通知等に基づいて、当該自動運転車両の「待機中」又は「走行中」の各状態を検知し、車両状態情報を作成する。
自動運転車両の制御部は、好ましくは、乗車した利用者が管理センターから通知を受けた利用者であるか否かの認証を行う認証部を備え、自動運転車両は、認証部による認証がされてから、自動運転車両の車載端末を介して指示される走行経路に沿って自律走行する。
好ましくは、途中降車した利用者が再び自動運転車両に乗車する場合、管理センターは、自動運転車両の現在位置又は待機場所を選択する際に、途中降車した利用者の再乗車位置から走行距離及び走行時間が短くなるように、自動運転車両の現在位置又は待機場所を選択し、現在位置又は待機状態の自動運転車両の走行情報を生成し、該修正走行情報を当該自動運転車両の車載端末に送信し、該自動運転車両の制御部は、修正走行情報に基づいて利用者の再乗車位置まで自動運転車両の走行部を制御して自律走行する。
好ましくは、自動運転車両に、読取手段が設けられており、利用者が、乗車情報を含む媒体を読取手段に読み取らせることにより乗車情報を入力する。
好ましくは、利用者が携帯するユーザ端末により乗車情報を入力し、該入力した乗車情報がネットワークを介して前記管理センターに送信される。
乗車情報が、好ましくは、行き先情報に加えて少なくとも一つの経由箇所情報を含んでおり、管理センターが、各経由箇所情報による経由箇所を順次に廻って停止しながら、行き先情報による降車位置まで自動運転車両を運行する。
好ましくは、管理センターにネットワークを介してスタッフ端末が接続され、該スタッフ端末を携帯するスタッフが施設内に配置されており、自動運転車両が、呼出し手段を備えていて、利用者が、呼出し手段を操作することにより、自動運転車両がネットワークを介して呼出し情報を前記管理センターに送信し、管理センターが、受信した呼出し情報をネットワークを介してスタッフ端末に送信し、スタッフ端末で呼出し情報を受信したスタッフが、当該呼出し情報に基づいて当該自動運転車両の現在位置に移動し、当該利用者に対して必要なヘルプを行なう。
好ましくは、乗車情報が、降車位置における到着時刻を含んでおり、管理センターが、自動運転車両が到着時刻までに降車位置に到着するように自動運転車両を運行する。
管理センターが、好ましくは、制御部と障害検知部と警報発生部とを含んで構成され、制御部が、警報発生部の信号により自動運転車両の遠隔監視から、自動運転車両の遠隔操作に切り替える運行モードを有しており、制御部は、該遠隔操作に切り替わった場合には、自動運転車両を管理者及び/又は利用者により遠隔操縦されるように制御する。
好ましくは、走行情報がエレベータによる移動情報を含み、該エレベータによる移動情報が管理センターからネットワークを介してエレベータの制御装置に送信され、自動運転車両がエレベータへの乗車階まで移動したときに、自動運転車両からエレベータ制御装置に到着を送信して前記エレベータを呼び出し、到着したエレベータに搭乗して、走行情報で指定された降車階で該エレベータから降車する。
好ましくは、利用者のユーザ端末がバイタルセンサを備え、バイタルセンサが利用者の身体異常を検知した場合、当該バイタルセンサからの異常警報を、ユーザ端末から自動運転車両の車載端末を介して管理センター又は前記施設内に配置されているスタッフが携帯するスタッフ端末に送信し、異常警報を受信した前記管理センターのスタッフが、利用者が乗車している自動運転車両を所定の場所に移動するように遠隔操作するか、又は、スタッフ端末で異常警報を受信したスタッフが、当該異常警報に基づいて当該自動運転車両の現在位置に移動し、当該利用者に対して必要なヘルプを行なう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば空港,ショッピングセンター等の施設で利用者を乗車させた自動運転車両を遠隔監視及び/又は遠隔操作による無人自動運転で目的地まで所定時間内にまた確実に搬送するための極めて優れた自動運転車両による利用者搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による自動運転車両による利用者搬送システムの一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【
図2】本発明で使用される自動運転車両の構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図2の自動運転車両の具体的な構成を示す左側面図である。
【
図3B】
図2の自動運転車両の具体的な構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1の利用者搬送システムにおける管理センターの構成を示すブロック図である。
【
図7】走行範囲が複数階に跨がる場合の空港内における各種施設を模式的に示す図である。
【
図8】
図1の利用者搬送システムにおける利用者搬送作業を順次に示すフローチャートである。
【
図9】
図1の利用者搬送システムにおける経由箇所設定時の利用者搬送作業を順次に示すフローチャートである。
【
図10】
図1の利用者搬送システムにおけるヘルプ呼出し時の作業を順次に示すフローチャートである。
【
図11】
図1の利用者搬送システムにおける自動運転車両の遠隔監視及び/又は遠隔操作の作業を順次に示すフローチャートである。
【
図12】自動運転車両のエレベータによる移動ができる利用者搬送システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【
図13】
図12において、経由地で途中降車する場合の利用者搬送作業を順次に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による自動運転車両による利用者搬送システム(以下、利用者搬送システムという)の一実施形態の全体構成を示し、
図2は、
図1の利用者搬送システムで使用される自動運転車両の構成を示すブロック図である。
図1において、利用者搬送システム10は、例えば空港内において出発ゲートから搭乗口まで、あるいは到着口から到着ゲートまでの間で利用者60を搬送する自動運転車両20と、管理センター30と、ネットワーク40と、スタッフ50が携帯するスタッフ端末51と、から構成されている。自動運転車両20,スタッフ50及び利用者60は、
図1には一つのみが示されているが、実際には、複数台の自動運転車両20,複数人のスタッフ50が配置されており、これらによって複数の利用者60に対応することができる。
【0012】
ネットワーク40は、専用回線ネットワークや公衆回線ネットワークなど、任意の構成でよい。ネットワーク40により、自動運転車両20と管理センター30が相互に接続され、管理センター30とスタッフ端末51が相互に接続される。
【0013】
自動運転車両20は、一人乗りカートと同様の構成で無人自動運転が可能で、
図2に示すように、車両本体21(自動運転車両20の細部構成については
図3以下に図示。)の下部に設けられた走行部22と、前記走行部22を自動運転制御する制御部23と、を含み、搬送すべき利用者60が着座する着座部24と、各種操作を行なう車載端末25と、を備え、当該自動運転車両20を特定するための車両識別情報26が付されている。自動運転車両20は、利用者60の搬送を行なわない場合には、空港の適宜箇所,出発ゲート付近あるいは到着口付近で、通行する人等の邪魔にならない場所(待機場所と呼ぶ)に待機している。利用者60は、出発ゲートから入場して、自動運転車両20の待機場所から自動運転車両20を利用する場合と、空港に接続している鉄道、地下鉄、バス等の輸送手段から降車した直後から自動運転車両20を利用する場合とがある。乗車情報61は、搭乗チケットの表面に印刷されている二次元バーコード、例えば、QRコード(登録商標)等が出発ゲートや空港の最寄りの駅で待機している自動運転車両20で読み取られ、ネットワーク40を介して管理センター30に送信され、管理センター30から自動運転車両20の制御部23に通知されてもよい。乗車情報61は、利用者60によるオンライン予約やオンラインチェックインにより、ネットワーク40を介して、管理センター30と自動運転車両20の制御部23に通知されてもよい。
【0014】
車載端末25は、市販のタブレット端末等の情報端末機器が使用され、その表示部25aは、着座部24に着座した利用者60から見やすい位置に配置される。車載端末25は、後述する乗車情報61を入力するための読取部(図示せず)を備える。
【0015】
(空港のゲートに入る前から自動運転車両を利用する場合)
この場合には、利用者60は、鉄道、地下鉄、バス等の駅から降車した直後に自動運転車両20の待機場所に行く。待機場所には、すぐに利用できる自動運転車両20が待機しているものとする。
【0016】
自動運転車両20の制御部23は、利用者60による車載端末25への入力によって乗車情報61を取得し、記憶部27に記録すると共に、この乗車情報61を車両識別情報26と共に、ネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0017】
乗車情報61は、利用者60を特定する利用者情報61a及び降車位置を示す行き先情報61b、そして搭乗する航空機の出発時刻情報61cを含み、例えば利用者60の紙等から成る搭乗チケットの表面に印刷され、自動運転車両20の車載端末25の読取部(図示せず)に搭乗チケットをかざすことにより、乗車情報61を読み取らせる。搭乗チケットや印刷したQRコード(登録商標)の読み取りには、スキャナを用いることができる。また、乗車情報61は、近距離無線(以下NFCと呼ぶ)を介して読み取られてもよい。この場合、乗車情報61は、利用者60の所有している、NFCを内蔵したカードや携帯電話端末に内蔵されているNFCチップに書き込みがされている。搭乗チケットが電子チケットである場合には、利用者60が携帯するスマートフォン等の情報端末機器(図示せず)の表示部に表示された搭乗チケットの画面を自動運転車両20の車載端末25の読取部にかざすことにより、乗車情報61を読み取らせることができる。乗車情報61には、利用者60が予め搭乗チケットを予約する際に自動運転車両20の予約をしたことが確認できるように、自動運転車両20の予約情報を含んで構成されてもよい。この自動運転車両20の予約情報を含む乗車情報61は、利用者60によるオンライン予約、オンラインチェックイン、搭乗チケットのゲートでの読み込み等により、ネットワーク40を介して管理センター30と自動運転車両20の制御部23に通知されてもよい。
【0018】
利用者60の近くに自動運転車両20がない場合は、利用者60は、近くのスタッフ50に声をかける等してスタッフ端末51に対して、乗車情報61を入力することも可能である。この場合、スタッフ端末51は、乗車情報61をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。利用者60は、自身で携帯するユーザ端末62を利用して乗車情報61を入力し、携帯回線等を介して管理センター30に送信することも可能である。
【0019】
自動運転車両20の制御部23は、管理センター30からネットワーク40を介して走行情報33a(後述)を受け取ると、この走行情報33aを記憶部27に登録すると共に、搬送開始通知23a及び車両識別情報26を、ネットワーク40を介して管理センター30に送信し、管理センター30から送られてくる走行情報33aに基づいて走行部22を制御し、待機位置から乗車情報61による乗車位置に又は乗車位置から降車位置まで、無人自動走行、つまり自律走行により移動する。自動運転車両20の制御部23は、乗車位置に到着したとき、乗車位置到着通知23bを作成して、この乗車位置到着通知23b及び車両識別情報26を、ネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0020】
自動運転車両20の制御部23は、自動運転車両20が乗車位置に到着した後、降車位置に到着するまでの間、車載端末25の表示部25aに、降車した駅から空港までの走行経路と、空港内のフロアマップ,経由箇所を選択入力するための入力ボタン,搬送開始を指示するスタートボタン及び介助等のヘルプを要請する呼出しボタン(何れも図示せず)を含む操作画面(図示せず)を表示する。自動運転車両20の着座部24に座った利用者60は、車載端末25の表示部25aに表示された操作画面でスタートボタンを操作することにより、自動運転車両20の制御部23は、再び走行情報33aに基づいて乗車位置から降車位置まで走行部22を制御して、無人自動走行により移動する。
【0021】
利用者60がスタートボタンを操作する前に、入力ボタンを操作して、例えばトイレ,ショップ及び飲食店等の立ち寄りを希望する経由箇所を指定した場合には、自動運転車両20の制御部23は、この経由箇所を示す経由箇所情報23cを作成して、この経由箇所情報23c及び車両識別情報26をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。なお、入力ボタンは、利用者60がスタートボタンを操作するまで、複数の経由箇所を選択するために複数回操作可能である。管理センター30からネットワーク40を介して、経由箇所情報23cの内容(経由箇所)を含む新たな走行情報33bを受け取ると、自動運転車両20の制御部23は、新たな走行情報33bに基づいて、乗車位置から経由箇所情報23cで指定された経由箇所を順次に無人自動走行により廻って各経由箇所で停止し、その都度、利用者60が再び車載端末25のスタートボタンを操作するまで待機する。利用者60が車載端末25のスタートボタンを操作すると、自動運転車両20の制御部23は、この経由箇所から次の経由箇所又は降車位置まで走行部22を制御して、無人自動走行により移動する。
【0022】
乗車位置,経由箇所及び降車位置で、利用者60が車載端末25の呼出しボタンを操作すると、自動運転車両20の制御部23は、現在位置情報を含む呼出し情報23dを作成し、呼出し情報23d及び車両識別情報26を、ネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0023】
自動運転車両20の制御部23は、降車位置に到着した後、利用者60の降車を確認して利用者60の搬送が完了したものとして、搬送完了通知23e及び車両識別情報26を、ネットワーク40を介して管理センター30に送信すると共に、走行部22を制御して無人自動走行により待機位置に帰還する。帰還する待機位置は、空港内の出発ゲート内,到着口等の複数箇所に設けられた待機位置のうち、当該自動運転車両20が所属する待機位置、あるいは一番近い待機位置が選択されるが、待機する自動運転車両20が少ない待機位置であってもよい。
【0024】
(出発ゲートから入場する場合)
利用者60の搭乗チケットの表面や紙に印刷されているQRコード(登録商標)等に格納されている乗車情報61が、出発ゲートで読み取られて、ネットワーク40を介して管理センター30に送信される。前記管理センター30が、利用者60が入るゲートで乗車情報61を通知されると、ゲート情報と乗車情報61とから利用者60に最も近く又は最も便利で、最適な待機場所に待機している自動運転車両20を検索し、当該自動運転車両20の待機場所情報と車両識別情報26を割り出す。
次に、利用者60のユーザ端末62に待機場所情報と車両識別情報26を通知する。この車両識別情報26が自動運転車両20の前面に表示された文字の組み合わせの場合には、利用者60は、通知を受けた待機場所に行き指定された自動運転車両20に乗車する。または、利用者60の現在位置まで自動運転車両20が迎えに行く。この場合、最適な場所にいる自動運転車両20の現在位置情報と車両識別情報26が、当該自動運転車両20から利用者60のユーザ端末62に通知される。
自動運転車両20の図示しない認証部は、乗車した利用者60が、管理センター30から通知のあった利用者60であるか否かの認証をする。この場合、制御部23は、車載端末25の表示部25aに搭乗チケットのQRコード(登録商標)の提示を求めるように表示して、図示しない読取部にかざされたQRコード(登録商標)を読み取ることにより利用者60の認証がされる。
自動運転車両20は、認証の後で、利用者60により自動運転車両20の車載端末25を介して指示される走行経路に沿って自律走行する。当該認証後の自動運転車両20の自律走行は、後述する空港のゲートに行く前から自動運転車両20を利用する場合と同様であるので、説明は省略する。
利用者60は、例えば空港内において搭乗チケットを車載端末25にかざして認証を受けた後は、自律走行により速やかに希望の搭乗口まで移動できるので、利用者60の利便性が著しく向上する。
【0025】
自動運転車両20は、具体的には、例えば
図3A~
図5A及び
図5Bに示すように、車両本体21に対して前後の下部に二対の車輪22aを含む走行部22を備えると共に、車両本体21の左右両側にドア21aを、さらに安全走行に必要な前照灯21b,方向指示器21cや、無人自動運転のために必要な前方監視ステレオカメラ21d,監視センサ21e等を備えている。さらに、前方監視ステレオカメラ21dや監視センサ21eからの映像信号28がネットワーク40を介して管理センター30に送信される。
自動運転車両20は、
図5Aに示すように、車両本体21の前面の両側に、一対の表示部21fを備えていてもよい。この表示部21fは、目形状映像を表示するものであり、自動運転車両20の走行状態に応じて、各種意味を有する目形状を表示することで空港内の一般客等に対して円滑な走行を行なわせることができる。さらに、
図5A及び
図5Bに示すように、自動運転車両20は、前方や後方の監視のためのセンサとして、光検出と測距を行う二次元LIDAR(Light Detection and Ranging)21hを備えていてもよい。
【0026】
管理センター30は、適宜の箇所に設けられたワークステーション,クラウドサーバ等の情報処理装置から構成され、
図6に示すように、送受信部31と記憶部32と制御部33と障害物検知部35とディスプレイ36と警報発生部37とを有する。管理センター30での処理は、プログラムに制御されたワークステーション,サーバ、クラウドサーバ等のコンピュータにより実行され、記録媒体としては、例えば磁気ディスク,半導体メモリ,その他の任意のコンピュータで読み取り可能なものが使用される。記録媒体に記録されたプログラムは、記録媒体を直接コンピュータに装着して当該コンピュータに読み込ませてもよく、各種ネットワークを介してコンピュータに読み込ませるようにしてもよい。記憶部32,制御部33は、それぞれ別体のサーバとして構成され、互いに構内ネットワーク等のLANにより接続されていてもよい。
【0027】
管理センター30の送受信部31は、ネットワーク40を介して各自動運転車両20の制御部23及びスタッフ50のスタッフ端末51と相互に通信可能に接続されている。管理センター30の送受信部31は、個々の自動運転車両20から、当該自動運転車両20の状態を示す搬送開始通知23a,乗車位置到着通知23b及び搬送完了通知23eを車両識別情報26と共にネットワーク40を介して受け取ったとき、これらの通知23a,23b,23e及び車両識別情報26を、データベースとして記憶部32に登録すると共に、制御部33に送出する。これにより、管理センター30の制御部33は、これらの通知23a,23b及び23eから管理するすべての自動運転車両20の状態を常に把握して、一元管理することができる。
【0028】
管理センター30の送受信部31は、自動運転車両20の制御部23からネットワーク40を介して、利用者60の乗車情報61及び車両識別情報26を受け取ると、この乗車情報61を記憶部32に登録すると共に、乗車情報61を制御部33に出力する。これに対して、管理センター30の制御部33は、スタッフ端末51から乗車情報61を受け取ったときには、乗車情報61に含まれる利用者情報61a,行き先情報61b及び出発時刻情報61cから、当該利用者60の乗車位置に近く且つ乗客搬送状態ではない自動運転車両20を選択する。
【0029】
管理センター30の制御部33は、乗車位置,行き先情報61bによる降車位置,出発時刻情報61c,走行経路及び走行速度を含む走行情報33aを作成して、ネットワーク40を介して当該自動運転車両20又は選択した自動運転車両20に送信する。ここで、記憶部32には、利用者60が降車した駅から空港に通じる走行経路と空港内における自動運転車両20の走行範囲を含む施設全域の運行範囲に関するマップデータ32aが前もって登録されている。管理センター30の制御部33は、走行情報33aを作成する際に、記憶部32からマップデータ32aを読み出して、このマップデータ32aに基づいて乗車位置及び降車位置から適宜の走行経路を決定し、さらに降車位置で降車した利用者60が搭乗口に出発時刻情報61cの時刻前に到達できるように走行速度を設定する。
【0030】
マップデータ32aは、
図7に示すように、上述した空港70内の走行範囲が複数階に跨がるような場合には、三次元マップとして、他の階への移動のためにエレベータ71の位置等を含むように作成される。さらに、マップデータ32aは、自動運転車両20の走行可能なエリアだけでなく、空港70内における例えばトイレ72,ショップ73や飲食店74等の各種施設に関する高さを含む位置情報も含んでいる。高さを含む位置情報は、自動運転車両20に搭載され図示されていないGPSセンサ、慣性センサ、気圧センサ等のセンサにより取得される。自動運転車両20の制御部23は、高さを含む位置情報により走行部22を制御する。これにより、自動運転車両20がエレベータ71の前まで移動し、エレベータ71の停止を検知し、その後にエレベータ71の内部に入ってから他の階へ移動することにより、空港70内を自律走行することができる。従って、自動運転車両20は安全且つ確実に乗車位置から降車位置まで運行される。
【0031】
管理センター30の制御部33は、自動運転車両20からネットワーク40を介して、経由箇所情報23c及び車両識別情報26を受け取ると、当該自動運転車両20が実行している走行情報33aに対して、経由箇所情報23cに含まれる経由箇所を追加修正して新たな走行情報33bを作成する。そして、管理センター30の制御部33は、新たな走行情報33bをネットワーク40を介して当該自動運転車両20に対して送信する。
【0032】
管理センター30の制御部33は、自動運転車両20からネットワーク40を介して、呼出し情報23d及び車両識別情報26を受け取ると、当該自動運転車両20の現在位置の近くに居るスタッフ50を、そのスタッフ50のスタッフ端末51の位置情報から選択する。管理センター30の制御部33は、呼出し情報23d及び車両識別情報26を、当該スタッフ50のスタッフ端末51に対してネットワーク40を介して送信する。
【0033】
スタッフ50は空港70内において、例えば出発ゲート付近又は到着口付近で待機し、スタッフ端末51を携帯している。このスタッフ端末51は、呼出し情報23d及び車両識別情報26を受け取ったとき、その表示部に、呼出し情報23dに含まれる現在位置(呼出し位置)及び車両識別情報26による呼出しがあった自動運転車両20を表示すると共に、アラーム音を鳴動させる。これにより、スタッフ50は、アラーム音の鳴動により呼出しの旨を認知すると共に、スタッフ端末51の表示部の画面を見て現在位置(呼出し位置)及び自動運転車両20を認識する。従って、スタッフ50は、直ちに呼出し位置まで移動し、当該自動運転車両20に乗車している利用者60と接触して、利用者60の必要な介助等のヘルプを行なうことができる。
【0034】
本発明による利用者搬送システム10は以下のように動作する。最初に、利用者60を乗車位置から降車位置まで直接に搬送する場合について、
図8のフローチャートに従って説明する。
図8のフローチャートにおいて、まずステップA1にて、利用者60は、例えば空港70の出発ゲート内に待機している自動運転車両20に対して、搭乗チケットを車載端末25の読取部にかざして乗車情報61を入力する。ステップA2にて、乗車情報61が車載端末25から自動運転車両20の制御部23に伝送される。ステップA3にて、自動運転車両20の制御部23は、乗車情報61及び車両識別情報26をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0035】
これを受けて、管理センター30の制御部33は、ステップA4にて、記憶部32から読み出したマップデータ32aに基づいて、乗車位置,降車位置,出発時刻情報61c,走行経路及び走行速度を含む走行情報33aを作成し、ステップA5にて、この走行情報33aをネットワーク40を介して当該自動運転車両20に送信する。
【0036】
自動運転車両20は、走行情報33aを受け取ると、この走行情報33aを記憶部27に登録すると共に、ステップA6にて、搬送開始通知23a及び車両識別情報26をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。管理センター30の制御部33はステップA7にて、受信した搬送開始通知23aを、車両識別情報26により当該自動運転車両20のデータと関連付けて登録する。
【0037】
次に、自動運転車両20の制御部23はステップA8にて、走行情報33aに基づいて走行部22を制御し、待機位置から乗車位置まで無人自動走行する。待機位置と乗車位置が同じ場合、即ち例えば出発ゲート内に自動運転車両20が位置していて、利用者60が自動運転車両20の車載端末25で乗車情報61を入力した場合には、このステップA8の無人自動走行は省略される。
【0038】
ステップA9にて自動運転車両20が乗車位置に到着すると、自動運転車両20の制御部23は、ステップA10にて乗車位置到着通知23bを作成して、車両識別情報26と共に、ネットワーク40を介して管理センター30に送信する。管理センター30の制御部33ではステップA11にて、受信した乗車位置到着通知23bを、車両識別情報26により当該自動運転車両20のデータと関連付けて登録する。
【0039】
自動運転車両20の着座部24に利用者60が着座すると、自動運転車両20の制御部23はステップA12にて、車載端末25の表示部25aに、空港70内のフロアマップ,入力ボタン,スタートボタン及び呼出しボタンを含む操作画面を表示する。操作画面は、自動運転車両20が降車位置に到着するまで表示される。乗車の際、利用者60が介助等のヘルプが必要な場合には、後述のように、車載端末25の表示部25aに表示される操作画面で呼出しボタンを操作すればよい。ステップA13にて、利用者60が自動運転車両20の車載端末25の表示部25aに表示される操作画面でスタートボタンを操作すると、自動運転車両20の制御部23が走行部22を制御することにより、自動運転車両20はステップA14にて再び無人自動走行を開始して、乗車位置から降車位置に向かって移動する。
【0040】
ステップA15にて自動運転車両20が降車位置に到着し、ステップA16にて利用者60の降車を確認すると、自動運転車両20の制御部23はステップA17にて搬送完了通知23eを作成し、車両識別情報26と共にネットワーク40を介して管理センター30に送信する。降車の際、利用者60に介助等のヘルプが必要な場合は、後述のように車載端末25の表示部25aに表示される操作画面で呼出しボタンを操作すればよい。これを受けて、管理センター30の制御部33は、ステップA18にて、受信した搬送完了通知23eを、車両識別情報26により当該自動運転車両20のデータと関連付けて登録する。
【0041】
続いて、自動運転車両20の制御部23はステップA19にて、走行部22を制御して、無人自動走行により適宜の待機位置に帰還する。以上で、乗車位置から降車位置までの利用者60の搬送作業が完了する。
【0042】
次に、経由箇所が選択され、乗車位置から経由箇所を経由して降車位置まで利用者60を搬送する場合について、
図9のフローチャートに従って説明する。
図9のフローチャートにおいては、前述した利用者60の搬送作業で、自動運転車両20が乗車位置に到着して、自動運転車両20の車載端末25の表示部25aに操作画面が表示された状態、即ち
図8のステップA12の状態から説明する。
まず、ステップB1にて、利用者60が入力ボタンを操作して経由箇所を指定すると、ステップB2にて、自動運転車両20の制御部23は経由箇所情報23cを作成し、この経由箇所情報23c及び車両識別情報26をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0043】
これを受けて、管理センター30の制御部33はステップB3にて、記憶部32からマップデータ32aを読み出して、経由箇所情報23cとマップデータ32aに基づいて、当該自動運転車両20に関する走行情報33aに経由箇所を追加して走行情報33aを修正して新たな走行情報33bを作成し、ステップB4にて新たな走行情報33bを、ネットワーク40を介して自動運転車両20に送信する。
【0044】
ステップB5にて、利用者60が自動運転車両20の車載端末25の表示部25aに表示される操作画面でスタートボタンを操作すると、自動運転車両20の制御部23は走行部22を制御することにより、自動運転車両20はステップB6にて、再び無人自動走行を開始し、乗車位置から経由箇所に向かって移動する。
【0045】
ステップB7にて自動運転車両20が経由箇所に到着して停止すると、利用者60は自動運転車両20に乗車したまま又は降車して、経由箇所であるトイレ72,ショップ73又は飲食店74等の施設で所望の行動を行なった後、再び自動運転車両20に乗車する。利用者60が介助等のヘルプが必要な場合には、後述のように、車載端末25の表示部25aに表示される操作画面で呼出しボタンを操作すればよい。ステップB8にて、利用者60が自動運転車両20の車載端末25の表示部25aに表示される操作画面でスタートボタンを操作すると、ステップB9にて次の経由箇所がある場合には、自動運転車両20の制御部23は走行部22を制御し、自動運転車両20がステップB10にて再び無人自動走行を開始して、この経由箇所から次の経由箇所に向かって移動し、ステップB7に戻る。
【0046】
ステップB9にて、次の経由箇所がない場合には、自動運転車両20の制御部23が走行部22を制御することで、自動運転車両20はステップB11にて、再び無人自動走行を開始し、この経由箇所から降車位置に向かって移動する。
【0047】
ステップB12で自動運転車両20が降車位置に到着し、ステップB13で利用者60の降車を確認すると、その後は
図8のフローチャートにおけるステップA17~A19の作業を行なう。降車の際、利用者60が介助等のヘルプが必要な場合は、後述のように車載端末25の表示部25aに表示される操作画面で呼出しボタンを操作すればよい。以上で、乗車位置から経由箇所を経由して降車位置までの利用者60の搬送作業が完了する。このように、利用者60は、乗車位置から降車位置まで自動運転車両20で移動する途中で、経由箇所を指定しておくことにより、経由箇所にも立ち寄ることができる。
【0048】
次に、乗車位置,経由箇所又は降車位置にて、ヘルプ呼出し時の作業について
図10のフローチャートに従って説明する。
図10のフローチャートにおいて、前述した利用者60の搬送作業で、自動運転車両20が乗車位置,経由箇所又は降車位置に到着して、自動運転車両20の車載端末25の表示部25aに操作画面が表示された状態から説明する。
【0049】
まずステップC1にて、利用者60が呼出しボタンを操作してヘルプ呼出しを選択すると、自動運転車両20の制御部23は、ステップC2にて現在位置情報を含む呼出し情報23dを作成し、呼出し情報23d及び車両識別情報26をネットワーク40を介して管理センター30に送信する。これを受けて、管理センター30の制御部33はステップC3にて、呼出し情報23dに含まれる現在位置情報から当該自動運転車両20の現在位置(呼出し位置)を認識し、ステップC4にて各所に配置されたスタッフ50が携帯するスタッフ端末51の位置情報に基づいて、この呼出し位置の近くに居るスタッフ50を選択する。管理センター30の制御部33はステップC5にて、呼出し情報23dと車両識別情報26をネットワーク40を介して、当該スタッフ50のスタッフ端末51に送信する。
【0050】
呼出し情報23d及び車両識別情報26を受け取ったスタッフ端末51はステップC6にて、その表示部(図示せず)に呼出し情報23dに含まれる呼出し位置及び車両識別情報26による呼出しがあった自動運転車両20を表示し、ステップC7にてアラーム音を鳴動させる。当該スタッフ50は、ステップC8にて、自分のスタッフ端末51のアラーム音の鳴動により呼出しを認知すると共に、ステップC9にてスタッフ端末51の表示部の画面を見ることで、呼出し位置及び当該自動運転車両20を認知することができる。当該スタッフ50はステップC10にて、直ちに呼出し位置まで移動し、ステップC11にて当該自動運転車両20に乗車している利用者60と対面して、利用者60が必要としている介助等のヘルプの内容を聴き取り、ステップC12にて利用者60に必要な介助等のヘルプを行なう。
以上でヘルプ呼出し時の利用者60に対するヘルプの作業が完了する。その後は、当該自動運転車両20の現在位置、即ち乗車位置,経由箇所又は降車位置において、ヘルプ呼出し作業により中断した、
図8又は
図9における利用者60の搬送作業を継続する。
【0051】
次に、自動運転車両20を、遠隔監視及び/又は遠隔操作を行う場合について、
図11のフローチャートに従って説明する。自動運転車両20の制御部23は、通常はステップD1にて、記憶部32に格納されたマップデータ32aにより自動運転車両20を自律走行するように制御している。しかしながら、例えばステップD2にて、前方監視ステレオカメラ21dや監視センサ21eからの映像信号28が障害物検知部35で画像処理され、障害物があることが検知された場合、ステップD3にて、警報発生部37から障害物が生じたことが遠隔監視用のディスプレイ36に表示されるか、又は警報発生部37から音声や警報音が発生して管理者に通知される。
【0052】
これを受けて、管理センター30の管理者が、ステップD4にて、周辺の環境や状況を確認しながら手動で遠隔操作を開始して障害物を回避する。この自動運転車両20の遠隔操作は、管理者が前方監視ステレオカメラ21dを介してディスプレイ36に表示される自動運転車両20の前方の映像を見ながら行うことができる。
【0053】
次にステップD5にて、通常のマップデータ32aにより自律走行に戻るように自動運転車両20の制御部23に通知する。これを受けて、ステップD6にて自動運転車両20の制御部23は、再び自動運転車両20を自律走行し、管理センター30により遠隔監視される。管理センター30は、送受信部31と記憶部32と管理部33と障害検知部35とディスプレイ36と警報発生部37とを含んで構成されているので、制御部33が、警報発生部37の信号により自動運転車両20の遠隔監視から、自動運転車両20の遠隔操作に切り替える運行モードとし、制御部33が遠隔操作に切り替わった場合には、自動運転車両を管理者及び/又は利用者60により遠隔操縦されるように制御することができる。
【0054】
上記の遠隔監視及び/又は遠隔操作の切り替えは、一例として障害物を検知した場合を説明したが、例えば、緊急ブレーキを掛ける場合、利用者60から又はスタッフ50からの緊急連絡を受けた場合、マップデータ32aがない場所、ネットワーク40に障害が生じ通信が途絶えた場合、自動運転車両20の自律走行機能が故障した場合等の障害が発生したときに行うことができる。遠隔監視及び/又は遠隔操作の切り替えのこれらの障害に対処する手順は、記憶部32に遠隔操作のデータとして保存されてもよい。
【0055】
マップデータ32aがない場所、ネットワーク40に障害が生じ通信が途絶えた場合、自動運転車両20の自律走行機能が故障の場合等の障害の場合には、利用者60及び/又は管理者は、自動運転車両20の車載端末25を操作して自動運転車両20を手動で操縦してもよい。具体的には、管理者は、当該自動運転車両20に障害が生じた場合には、車載端末25に通知して遠隔操縦を行い、自動運転車両20を他の乗客等の移動に影響がない、待避場所や最寄りの待機場所まで移動して停車させる。また、管理者は車載端末25のスピーカを介して利用者60に障害が発生したことを通知する共に、車載端末25の表示部25aに「障害が生じました。利用者の方は、管理者の案内により画面の操縦画面を操作して停止して下さい。」等の表示を行う。このように、管理者は、利用者60と通話をしながら利用者60が表示部25aを操作して、自動運転車両20を停止してもよい。
【0056】
ネットワーク40に障害が生じ通信が途絶えた場合には、管理センター30の制御部33は、送受信部31の回線をネットワーク40から緊急用回線に切り替えて、管理者に通知すると共に、管理者は、当該自動運転車両20の車載端末25に通知し、遠隔操縦を行い、自動運転車両20を待避場所や最寄りの待機場所まで移動して停車させる。緊急用回線としては、携帯電話のLTEや無線LAN等の無線回線を使用することができる。
【0057】
本発明による利用者搬送システム10によれば、空港70内にて、利用者60が自動運転車両20に乗車した状態で、管理センター30が自動運転車両20を遠隔監視及び/又は遠隔操作して乗車位置から降車位置まで、必要に応じて経由箇所を経由して、無人自動走行により移動させることができる。また、管理センター30が、自動運転車両20の前方や側方の障害物を監視しているので、障害物が生じた場合に管理者が、自動運転車両20の遠隔監視から遠隔操作に切り替え、自動運転車両20を管理者の手動により遠隔操縦できるので、障害物を回避し得る。よって、高齢者や歩行が困難な人あるいは荷物の多い人等を、例えば出発ゲートから搭乗口まで、あるいは到着口から到着ゲートまで、安全に且つ確実に搬送することができ、搬送中にスタッフが付き添う必要がない。また、利用者60は、希望すれば途中のトイレ72,ショップ73又は飲食店74等の施設に立ち寄ることができ、これらの施設に立ち寄った際、あるいは自動運転車両20への乗車や降車の際に、ヘルプ呼出しによって介助等の必要なヘルプを受けることができる。また、利用者60は自ら歩行することなく、途中で迷うことなく降車位置まで確実に且つ迅速に移動することができる。例えば空港70や大型商業施設等の広い場所であっても、利用者60は楽にしかも確実に、所定の時間内に降車位置まで移動することができる。
【0058】
(エレベータを用いた移動)
図12は、自動運転車両20のエレベータ71による移動ができる移動利用者搬送システムの変形例10Aの構成を示すブロック図である。
図1に示す移動利用者搬送システム10と異なるのは、管理センター30、自動運転車両等20とネットワーク40を介して、例えば空港70に設置されたエレベータ71と接続されている点である。エレベータ71はかご室80と、かご室80を昇降するモータ及びモータの駆動を制御するモータ駆動部(図示せず)とからなるエレベータ制御装置81とを備えている。エレベータ制御装置81は、例えば、ビル制御用サーバ82にゲートウェィ83を介して接続され、ビル制御用サーバ82がゲートウェィ84を介してネットワーク40に接続されている。こうして、移動利用者搬送システム10Aでは、管理センター30、自動運転車両20、後述する待機場所90等がネットワーク40を介してエレベータ71に相互に接続される。
【0059】
管理センター30の制御部33は、ネットワーク40を介して受信した自動運転車両20の経由箇所情報23c又は走行情報33eにエレベータ71が含まれる場合には、自動運転車両20が実行している走行情報33aに対して、エレベータ71を含む経由箇所情報23cを追加修正してエレベータ利用を含む走行情報33eを作成する。制御部33は、エレベータ利用を含む走行情報33e及び車両識別情報26を、ネットワーク40を介して当該自動運転車両20及びエレベータ制御装置81に対して送信する。自動運転車両20がエレベータ71の前まで移動して、自動運転車両20の車載端末25からエレベータ制御装置81にエレベータ71を呼び出す通知を送信すると、エレベータ制御装置81は、自動運転車両20が停止した階70aにエレベータ71を移動し、ネットワーク40を介して自動運転車両20に指定された階70aに到着を通知する。自動運転車両20は、エレベータ71の開扉により乗り込み、他の所望の階70nへ移動することができる。
【0060】
ここで、自動運転車両による移動利用者搬送システムの変形例10Aは、
図12に示すように、待機場所90を備えている。
図12の自動運転車両による移動利用者搬送システム10Aでは一つの待機場所90だけを示しているが、複数の待機場所90が配置されていてもよい。例えば空港70や各種施設の各階に待機場所90が配置されていてもよい。
【0061】
待機場所90の待機所端末91は、各自動運転車両20からの車両識別情報26と共に送信される乗車位置到着通知23b、経由箇所情報23c、呼出し情報23d及び搬送完了通知等に基づいて、当該自動運転車両20の動作状態、即ち「待機中」又は「走行中」の各状態を検知し、車両状態情報23gを作成してネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0062】
(中途下車後の自動運転車両への再乗車)
経由地において利用者が自動運転車両20から途中下車した場合の自動運転車両20の待機について、
図13のフローチャートを用いて説明する。ステップB12にて自動運転車両20が所定の経由地の下車位置に到着し、ステップB13にて利用者60の降車を確認すると、自動運転車両20の制御部23はステップB14にて途中降車完了通知23eを作成して、車両識別情報26と共にネットワーク40を介して管理センター30に送信する。
【0063】
管理センター30の制御部33は、ステップB15にて、途中降車完了通知23eと車両識別情報26とを参照して、例えば、利用者60の乗車位置に最も近い最適な又は次に最適な待機場所90を選択する。管理センター30の制御部33は、ステップB16にて、ステップB15で選択した待機場所90の端末91に、待機中の自動運転車両20の車両識別情報26を問い合わせ、待機中の自動運転車両20Aを選択し、ステップB17にて利用者60の次の走行に関する修正走行情報33cを作成し、ネットワーク40を介して選択した自動運転車両20Aの車載端末25Aに送信する。自動運転車両20Aの制御部23Aは、ステップB18にて、利用者60の次の迎車時間に間に合うように走行部22を制御することにより自動運転車両20Aの走行を開始して、ステップB19にて、利用者60の次の乗り換え乗車位置に到着する。この際、管理センター30は、自動運転車両20Aの車両識別情報26や再乗車位置への到着予定時間を利用者60のユーザ端末62に表示する。自動運転車両20の再乗車位置までの走行中に、車載端末25からユーザ端末62にプッシュ通知で車両識別情報26や再乗車位置情報への到着予定時間を通知すると共に、利用者60の認証を行ってもよい。
【0064】
乗車後、ステップB20にて、利用者60が自動運転車両20の車載端末25の表示部25aの操作画面でスタートボタンを操作すると、自動運転車両20は、制御部23により走行部22を制御して再び無人自動走行を開始し、乗車位置から次の又は最終の降車位置に向かって移動する。
【0065】
ステップB21にて自動運転車両20が次の降車位置に到着し、ステップB22にて利用者60の降車を確認すると、その後は
図8のフローチャートにおけるステップA17~A19と同様の作業を行なう。ステップA19における、自動運転車両20Aの適宜の待機位置への帰還先としては、最寄り又は管理センター30から指示される待機場所90を選択する。
【0066】
ステップB15で、管理センター30が待機場所90を選択する際に、利用者60の乗車位置から走行距離及び走行時間が短くなるように待機状態の自動運転車両20Aが存在する待機場所90を選択してもよい。管理センター30が待機場所90を選択する際に、一つの待機場所90に待機状態の自動運転車両20Aがない場合には、走行途中で且つ走行終了後に最も早く当該待機場所90に戻る自動運転車両20Aの走行時間と他の待機場所90の自動運転車両20の走行時間とを比較して、利用者60の再乗車位置に早く到着できる自動運転車両20Aが存在する待機場所90を選択してもよい。
【0067】
上記構成によれば、管理センター30が修正走行情報33cを当該自動運転車両20の車載端末25に送信し、該自動運転車両20の制御部23は、修正走行情報33cに基づいて利用者60の再乗車位置まで自動運転車両20の走行部22を制御して自律走行することができる。これにより、搬送のための人員が不要となり、人手不足であっても迅速に且つ効率良く利用者60を再乗車位置まで搬送することができる。
【0068】
(利用者の装着するバイタルセンサの利用)
図12に示す利用者60のユーザ端末62が加速度センサのような利用者60の動きを検出し得るセンサ、所謂バイタルセンサを備えている場合には、利用者60の行動や身体の健康に関する情報、即ち健康情報を検知することができる。バイタルセンサとしては、動脈血酸素飽和度や脈拍数を測定するパルスオキシメータや、心拍数や体表温を測定するセンサや、歩数等の歩行状態や転倒したことを検知できる3軸加速度センサ、時計型の所謂ウェラブルタイプの血圧、脈拍数、歩数、歩数距離等の計測ができる血圧計等が挙げられる。これらのセンサではセンサ部を利用者60の身体に装着するものもある。例えば、パルスオキシメータは指に、心拍数や体表温を測定するセンサは胸等に装着される。
【0069】
健康情報は、利用者60の希望に応じて、WiFi(登録商標)やブルートゥス(登録商標)等の無線LANにより自動運転車両20の車載端末25に送信されてもよい。車載端末25からネットワーク40を介して管理センター30及び/又はスタッフ端末51に送信されてもよい。バイタルセンサにて利用者60の身体異常を検知した場合、当該バイタルセンサからの異常警報23hを、車載端末25から異常警報23hとして管理センター30又はスタッフ端末51に送信してもよい。
【0070】
例えば、ユーザ端末62に3軸加速度センサが内蔵されており、その健康情報を検知するアプリが格納されている場合には、転倒したというバイタルセンサからの異常警報23hと車両識別情報26と利用者情報61aが、車載端末25からスタッフ端末51に送信される。これにより、異常警報23h及び車両識別情報26を受け取ったスタッフ端末51はその表示部(図示せず)に異常警報23h及び車両識別情報26による呼出しがあった自動運転車両20を表示すると共に、スタッフ端末51にアラーム音を鳴動させる。当該スタッフ50はアラーム音の鳴動により呼出しを認知すると共に、スタッフ端末51の表示画面により、呼出し位置及び当該自動運転車両20を認知して直ちに呼出し位置まで移動する。これにより、当該自動運転車両20に乗車している利用者60と対面して、利用者60が必要とするヘルプの内容を聴き取り利用者60に必要なヘルプを行なう。
【0071】
利用者60のバイタルセンサからの異常警報23hは、管理センター30において監視してもよい。バイタルセンサにて利用者60の身体異常を検知して、バイタルセンサからの異常警報23hが発生した場合には、利用者60が搭乗している自動運転車両20を例えば空港内のスタッフの待機所に移動するように遠隔操作してもよい。バイタルセンサからの異常警報23hは、ユーザ端末62から自動運転車両20の車載端末25を介して管理センター30に送信し、管理センター30のスタッフが、利用者60が搭乗している自動運転車両20を所定の場所に移動するように遠隔操作することができる。
【0072】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施できる。例えば、上述した実施形態においては、自動運転車両20は、その着座部24に一人のみ乗車できるように構成されているが、これに限らず、電動カートのように複数人の利用者60が乗車可能であってもよく、また利用者60の手荷物等が載置可能な荷台を備えていてもよい。
【0073】
上述した実施形態では自動運転車両20の運行範囲を空港70内に限定しているが、空港70に接続する鉄道、バス、タクシー、他の輸送手段である鉄道、地下鉄、新幹線等の駅、港湾の乗り場、大型商業施設あるいは大型住宅施設等のような大面積の施設等が運行範囲の場合にも、さらには一般公道においても、マップデータを用意しておくことによって、乗車位置から降車位置まで利用者60を搬送するために無人自動走行による自動運転車両20の運行が可能である。
空港70の場合には、利用者60の搭乗チケットがゲートで読み込まれ、乗車情報61が管理センター30に通知されると説明した。ここで、ゲートは、利用者60が空港70等の施設を利用する際、自動運転車両20に乗車する前に利用者60の乗車情報61を提示して、認証の手続きをする場所、つまり、最初の乗車場所である。鉄道や新幹線等の場合には、搭乗チケットを、乗車情報61が格納された乗車券や各種のNFCを内蔵したカードとし、ゲートが駅の改札口のゲートに相当し、改札口で読み込まれた乗車情報61により自動運転車両20の自律走行が可能となる。
一般公道における三次元マップは、光検出と測距を行なう三次元ライダー等を用いて計測したポイントクラウドと呼ばれる三次元の点群からなるマップを用いることができる。
【0074】
上述した空港70におけるヘルプ呼出しに限らず、病院、各種の介護施設において入院又は入居している自動運転車両20の利用者60の介護や健康状態の監視や見守りにも適用できることは勿論である。この場合には、病院や各種の介護施設において介護や看護をする職員やリハビリテーションを担当している理学療法士がスタッフとなる。このような施設の場合、空港70のゲートは、利用者が最初に介護施設を利用する際、利用者60の入居情報を提示して、入居を申し込む窓口つまり、認証の手続きをする場所に相当する。
【符号の説明】
【0075】
10,10A…利用者搬送システム、
20,20A…自動運転車両、 21…車両本体、 21a…ドア、 21b…前照灯、 21c…方向指示器、 21d…前方監視ステレオカメラ、 21e…監視センサ、
21f…表示部、 22…走行部、 22a…車輪、 23,23A… 制御部、 23a…搬送開始通知、 23b…乗車位置到着通知、 23c…経由箇所情報、 23d…呼出し情報、 23e…搬送完了通知、 23g…車両状態情報、 23h…異常警報、 24…着座部、 25,25A…車載端末、 25a…表示部、 26…車両識別情報、 27…記憶部、
30…管理センター、 31…送受信部、 32…記憶部、 32a…マップデータ、
33…制御部、 33a,33b,33e…走行情報、 33c…修正走行情報、 35…障害検知部、 36…ディスプレイ、 37… 警報発生部、
40…ネットワーク、
50…スタッフ、 51…スタッフ端末、
60…利用者、 61…乗車情報、 61a…利用者情報、 61b…行き先情報、 61c…出発時刻情報、 62…ユーザ端末
70…空港、 71…エレベータ、 72…トイレ、 73…ショップ、 74…飲食店、
80…かご室、 81…エレベータ制御装置、 82…ビル制御用サーバ、 83、84…ゲートウェィ、 90…待機場所、 待機所端末…91