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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】複合マイクロ気化器用ウィック
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20220805BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20220805BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20220805BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A24F40/44
A61M15/06 C
D04H1/425
D04H3/16
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018109956
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019010090
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】15/639,139
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520142907
【氏名又は名称】ブラックシップ テクノロジーズ ディベロップメント リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジー シュー
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン フィリップス
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0069424(US,A1)
【文献】特表2010-506594(JP,A)
【文献】特表2017-507647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0123989(US,A1)
【文献】特表2017-506915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 11/00-19/00
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化可能流体リザーバと、
発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室と
が配置されたマイクロ気化器本体を有するマイクロ気化器中での使用のための、複合ウィックであって、以下:
上流面および下流面を有しており、かつ、該上流面が該気化可能流体リザーバに流体連通し、該下流面が、該発熱体の表面に対向して該気化室内に配置されるように、該マイクロ気化器本体内に位置づけ可能である、ウィック本体であって、
気化可能流体を該気化可能流体リザーバから引き出して下流面に向けて輸送するために毛管作用を集合的にもたらす複数の蛇行状通路を有する、少なくとも1つの基礎ウィック構造、ならびに、
該ウィック本体を通じて引き込まれた気化可能流体と接触および相互作用するように位置づけられており、該気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される、活性材料
を含む、前記ウィック本体
を含む、前記複合ウィック。
【請求項2】
少なくとも1つの基礎ウィック構造が複数の有機繊維または無機繊維を含む、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項3】
前記複数の繊維が、綿繊維、麻繊維、ジュート繊維、および亜麻繊維からなるセットのうちの少なくとも1つを含む、請求項2記載の複合ウィック。
【請求項4】
前記複数の繊維が、メルトブロー法、スパンボンド法、およびメルトスピニング法からなるセットのうちの少なくとも1つにより形成されるポリマー繊維を含む、請求項2記載の複合ウィック。
【請求項5】
基礎ウィック構造が繊維の圧縮不織布ウェブとして形成されている、請求項2記載の複合ウィック。
【請求項6】
前記複数の繊維が、離間した接触点において互いに結合することで、自立型結合繊維構造を形成する、請求項2記載の複合ウィック。
【請求項7】
前記活性材料が、少なくとも1つの基礎ウィック構造内に、粒子、粉末、およびフレークからなるセットのうちの少なくとも1つの形態で分散している、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項8】
前記活性材料が、少なくとも1つの基礎ウィック構造を通じて一次流体流動方向に概ね直交するように該基礎ウィック構造内に分散している概ね平面状のフレークの形態で与えられる、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項9】
下流面の少なくとも一部分が活性材料により画定されている、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項10】
ウィック本体が、交互の順序で位置づけられる少なくとも1つの基礎ウィック構造層および少なくとも1つの多孔質活性材料層を含む複数の層として形成されている、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項11】
少なくとも1つの多孔質活性材料層が、
活性材料がその中に分散された自立型構造、および
活性材料から形成される自立型構造
からなるセットのうちの1つを含む、請求項10記載の複合ウィック。
【請求項12】
少なくとも1つの多孔質活性材料層が圧縮未結合活性材料を含む、請求項10記載の複合ウィック。
【請求項13】
下流面が少なくとも1つの多孔質活性材料層のうちの1つにより画定されている、請求項10記載の複合ウィック。
【請求項14】
ウィック本体が角柱、円板、およびシートからなるセットのうちの1つである、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項15】
ウィック本体が、縦軸、円筒体内面、および円筒体外面を有する環状円筒体であり、少なくとも1つの基礎ウィック構造が、該縦軸に対して半径方向に流体流を生じさせるように構成されている、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項16】
円筒体内面がウィック本体の下流面であり、円筒体外面が該ウィック本体の上流面であり、環状円筒体が、発熱体を取り囲むことができるようにサイズ決めおよび構成されている、請求項15記載の複合ウィック。
【請求項17】
ウィック本体が、円筒体外面の少なくとも一部分を覆う円筒形ケーシングを有する、請求項16記載の複合ウィック。
【請求項18】
マイクロ気化器が個人用気化器であり、活性材料が香味料であるかまたは香味料を含む、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項19】
活性材料がタバコである、請求項18記載の複合ウィック。
【請求項20】
前記活性材料がタバコ葉全体、刻みタバコ葉、粉砕乾燥タバコフレーク、乾燥タバコ葉のスライバー、および乾燥タバコ葉からの削り屑からなるセットのうちの1つである、請求項18記載の複合ウィック。
【請求項21】
前記活性材料が燃焼温度を有しており、かつ、ウィック本体がマイクロ気化器内に配置されかつ発熱体が起動される際に該活性材料内の温度が該燃焼温度を超えることを防止するために流体流を制御するように少なくとも1つの基礎ウィック構造が構成されている、請求項1記載の複合ウィック。
【請求項22】
前記活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度を有しており、かつ、ウィック本体がマイクロ気化器内に配置されかつ発熱体が起動される際に該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超えるように少なくとも1つの基礎ウィック構造および該活性材料が位置づけられかつ構成されている、請求項21記載の複合ウィック。
【請求項23】
気化可能流体リザーバと、
選択的に起動される発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室と
が配置されたマイクロ気化器本体を有するマイクロ気化器中で生成された気化生成物を改変する方法であって、以下の段階を含む、方法:
気化可能流体を基礎ウィックの下流面に引き寄せるように構成された該基礎ウィック構造、および
該気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される活性材料
を含む複合ウィックを、該気化可能流体リザーバと該発熱体との間で気化可能流体を輸送するためにそれらの中間に位置づける段階;
気化可能流体を該リザーバから該複合ウィックに流入および貫流させ、それにより、該気化可能流体を該活性材料と相互作用させて、改変された気化可能流体混合物を生成する段階; ならびに
該発熱体を起動して、改変された該気化可能流体混合物を該ウィックの該下流面またはその近傍において気化し、それにより、改変された気化生成物を生成する段階。
【請求項24】
マイクロ気化器が個人用気化器であり、活性材料がタバコである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度と、それを超えると該活性材料が燃焼する燃焼温度とを有しており、かつ、発熱体を起動する行為によって、該活性材料のどこも該燃焼温度を超えることなく、該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超える、請求項23記載の方法。
【請求項26】
活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度と、それを超えると該活性材料が燃焼する燃焼温度とを有しており、かつ、発熱体を起動する行為によって、該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超え、該活性材料の制御された一部分が該燃焼温度を超える、請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、マイクロ気化器用のウィッキング材料に関し、より具体的には、繊維材料および活性香味材料から形成される複合マイクロ気化器用ウィックに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ気化器は、気化可能流体が貯蔵リザーバから隔室に引き込まれ、隔室内で発熱体により気化温度に加熱される、装置である。次に気化流体が隔室から引き出されるかまたは押し出される。電子シガレット(e-シガレットまたは個人用気化器としても知られる)などの製品では、気化流体は隔室からマウスピースを通じて引き出され、ユーザーにより吸入される。他の製品では、気化流体は大気中に分散される。
【0003】
マイクロ気化器を使用する装置の通常の目的は、気化流体を使用して1つまたは複数の活性物質を分配することにある。大気中分配器の場合、これらの物質としては脱臭剤、芳香、および昆虫忌避剤などの材料を挙げることができる。個人用気化器の場合、活性物質としては通常、香味料(すなわち香味剤または香味物質)およびニコチンが挙げられる。香味料およびニコチンのレベルは、紙巻きタバコを喫煙する体験を模倣するように選択されうる。一般に、気化可能流体は、マイクロ気化器を出る活性物質の唯一の源である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4,800,903号
【文献】米国特許第9,549,573号
【文献】米国特許第9,642,397号
【文献】米国特許出願第2015/0068541号
【発明の概要】
【0005】
本発明の例示的局面は、マイクロ気化器中での使用のための複合ウィックを提供する。マイクロ気化器は、気化可能流体リザーバと発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室とが配置された、マイクロ気化器本体を有する。複合ウィックは、上流面および下流面を有するウィック本体を含む。ウィック本体は、上流面が気化可能流体リザーバに流体連通し、下流面が、発熱体の表面に対向して気化室内に配置されるように、マイクロ気化器本体内に位置づけ可能である。ウィック本体は、気化可能流体を気化可能流体リザーバから引き出して下流面に向けて輸送するために毛管作用を集合的にもたらす複数の蛇行状通路を有する、少なくとも1つの基礎ウィック構造を含む。ウィック本体は、該ウィック本体を通じて引き込まれた気化可能流体と接触および相互作用するように位置づけられた活性材料をさらに含む。活性材料は、気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される。
【0006】
本発明の別の例示的局面は、マイクロ気化器中で生成される気化生成物を改変する方法を提供する。マイクロ気化器は、気化可能流体リザーバと、選択的に起動される発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室とが配置された、マイクロ気化器本体を有する。本方法は、気化可能流体リザーバと発熱体との間で気化可能流体を輸送するために、それらの中間に複合ウィックを位置づける段階を含む。複合ウィックは、気化可能流体を該ウィックの下流面に引き寄せるように構成された基礎ウィック構造、および該気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される活性材料を含む。本方法は、気化可能流体をリザーバから複合ウィックに流入および流通させ、それにより、該気化可能流体を活性材料と相互作用させて、改変された気化可能流体混合物を生成する段階をさらに含む。また、本方法は、発熱体を起動して、改変された気化可能流体混合物をウィックの下流面またはその近傍において気化し、それにより、改変された気化生成物を生成する段階も含む。
【0007】
より具体的には、本発明は以下を提供する:
[1]
気化可能流体リザーバと、
発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室と
が配置されたマイクロ気化器本体を有するマイクロ気化器中での使用のための、複合ウィックであって、以下:
上流面および下流面を有しており、かつ、該上流面が該気化可能流体リザーバに流体連通し、該下流面が、該発熱体の表面に対向して該気化室内に配置されるように、該マイクロ気化器本体内に位置づけ可能である、ウィック本体であって、
気化可能流体を該気化可能流体リザーバから引き出して下流面に向けて輸送するために毛管作用を集合的にもたらす複数の蛇行状通路を有する、少なくとも1つの基礎ウィック構造、ならびに、
該ウィック本体を通じて引き込まれた気化可能流体と接触および相互作用するように位置づけられており、該気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される、活性材料
を含む、前記ウィック本体
を含む、前記複合ウィック;
[2]
少なくとも1つの基礎ウィック構造が複数の有機繊維または無機繊維を含む、[1]の複合ウィック;
[3]
前記複数の繊維が、綿繊維、麻繊維、ジュート繊維、および亜麻繊維からなるセットのうちの少なくとも1つを含む、[2]の複合ウィック;
[4]
前記複数の繊維が、メルトブロー法、スパンボンド法、およびメルトスピニング法からなるセットのうちの少なくとも1つにより形成されるポリマー繊維を含む、[2]の複合ウィック;
[5]
基礎ウィック構造が繊維の圧縮不織布ウェブとして形成されている、[2]の複合ウィック;
[6]
前記複数の繊維が、離間した接触点において互いに結合することで、自立型結合繊維構造を形成する、[2]の複合ウィック;
[7]
前記活性材料が、少なくとも1つの基礎ウィック構造内に、粒子、粉末、およびフレークからなるセットのうちの少なくとも1つの形態で分散している、[1]の複合ウィック;
[8]
前記活性材料が、少なくとも1つの基礎ウィック構造を通じて一次流体流動方向に概ね直交するように該基礎ウィック構造内に分散している概ね平面状のフレークの形態で与えられる、[1]の複合ウィック;
[9]
下流面の少なくとも一部分が活性材料により画定されている、[1]の複合ウィック;
[10]
ウィック本体が、交互の順序で位置づけられる少なくとも1つの基礎ウィック構造層および少なくとも1つの多孔質活性材料層を含む複数の層として形成されている、[1]の複合ウィック;
[11]
少なくとも1つの多孔質活性材料層が、
活性材料がその中に分散された自立型構造、および
活性材料から形成される自立型構造
からなるセットのうちの1つを含む、[10]の複合ウィック;
[12]
少なくとも1つの多孔質活性材料層が圧縮未結合活性材料を含む、[10]の複合ウィック;
[13]
下流面が少なくとも1つの多孔質活性材料層のうちの1つにより画定されている、[10]の複合ウィック;
[14]
ウィック本体が角柱、円板、およびシートからなるセットのうちの1つである、[1]の複合ウィック;
[15]
ウィック本体が、縦軸、円筒体内面、および円筒体外面を有する環状円筒体であり、少なくとも1つの基礎ウィック構造が、該縦軸に対して半径方向に流体流を生じさせるように構成されている、[1]の複合ウィック;
[16]
円筒体内面がウィック本体の下流面であり、円筒体外面が該ウィック本体の上流面であり、環状円筒体が、発熱体を取り囲むことができるようにサイズ決めおよび構成されている、[15]の複合ウィック;
[17]
ウィック本体が、円筒体外面の少なくとも一部分を覆う円筒形ケーシングを有する、[16]の複合ウィック;
[18]
マイクロ気化器が個人用気化器であり、活性材料が香味料であるかまたは香味料を含む、[1]の複合ウィック;
[19]
活性材料がタバコである、[18]の複合ウィック;
[20]
前記活性材料がタバコ葉全体、刻みタバコ葉、粉砕乾燥タバコフレーク、乾燥タバコ葉のスライバー、および乾燥タバコ葉からの削り屑からなるセットのうちの1つである、[18]の複合ウィック;
[21]
前記活性材料が燃焼温度を有しており、かつ、ウィック本体がマイクロ気化器内に配置されかつ発熱体が起動される際に該活性材料内の温度が該燃焼温度を超えることを防止するために流体流を制御するように少なくとも1つの基礎ウィック構造が構成されている、[1]の複合ウィック;
[22]
前記活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度を有しており、かつ、ウィック本体がマイクロ気化器内に配置されかつ発熱体が起動される際に該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超えるように少なくとも1つの基礎ウィック構造および該活性材料が位置づけられかつ構成されている、[21]の複合ウィック;
[23]
気化可能流体リザーバと、
選択的に起動される発熱体が少なくとも部分的にその中に配置された気化室と
が配置されたマイクロ気化器本体を有するマイクロ気化器中で生成された気化生成物を改変する方法であって、以下の段階を含む、方法:
気化可能流体を基礎ウィックの下流面に引き寄せるように構成された該基礎ウィック構造、および
該気化可能流体に所望の特性を付与するように選択される活性材料
を含む複合ウィックを、該気化可能流体リザーバと該発熱体との間で気化可能流体を輸送するためにそれらの中間に位置づける段階;
気化可能流体を該リザーバから該複合ウィックに流入および貫流させ、それにより、該気化可能流体を該活性材料と相互作用させて、改変された気化可能流体混合物を生成する段階; ならびに
該発熱体を起動して、改変された該気化可能流体混合物を該ウィックの該下流面またはその近傍において気化し、それにより、改変された気化生成物を生成する段階;
[24]
マイクロ気化器が個人用気化器であり、活性材料がタバコである、[23]の方法;
[25]
活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度と、それを超えると該活性材料が燃焼する燃焼温度とを有しており、かつ、発熱体を起動する行為によって、該活性材料のどこも該燃焼温度を超えることなく、該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超える、[23]の方法;ならびに
[26]
活性材料が、それを超えると該活性材料が作用物質を放出する放出温度と、それを超えると該活性材料が燃焼する燃焼温度とを有しており、かつ、発熱体を起動する行為によって、該活性材料の少なくとも一部分が該放出温度を超え、該活性材料の制御された一部分が該燃焼温度を超える、[23]の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の詳細な説明を、同様の参照指標が同様の要素を指すように使用される添付図面と共に読むことで、本発明をより完全に理解することができる。
【0009】
図1】本発明の態様に関して使用可能な個人用気化器の断面図である。
図2】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図3】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図4】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図5】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図6】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図7】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図8】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
図9】本発明の一態様の複合ウィックの端面図である。
図10】本発明の一態様の複合ウィックを含む個人用気化器の一部分の斜視図である。
図11】本発明の一態様のケーシング付き複合ウィックの斜視図である。
図12】本発明の態様に関して使用可能な個人用気化器の断面図である。
図13】本発明の一態様の複合ウィックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
いくつかのマイクロ気化器は、リザーバから気化室への気化可能流体の輸送のために他の機構を使用するが、大部分のマイクロ気化器は何らかの形態のウィックまたは繊維状ウィッキング材料を使用する。一般に、ウィッキング材料は、ウィッキング特性(毛管現象、多孔性、親水性、表面エネルギーなど)、気化可能流体との適合性、および耐熱性に基づいて選択される。また、大部分の場合では、これらの材料は、気化室を出る材料にそれ自体が関与しないように選択される傾向がある。例えば、個人用気化器では、ウィッキング材料は、香味をできるだけ少なく付与するかまたは香味を付与しないように選択される。
【0011】
本発明は、気化可能流体を輸送するために必須の特性を実現するだけでなく、気化流体に活性物質を補充するための機構も実現する、複合マイクロ気化器用ウィックおよびウィッキング材料を提供する。以下でさらに詳細に説明するように、本発明の複合ウィック材料は、織布または不織布繊維材料と、埋め込まれた、閉じ込められた、接着された、または交互に積層された、添加活性材料との組み合わせの形態でありうる。一般に、複合ウィック材料は、流体リザーバから気化室および/または発熱体への輸送時に気化可能流体が添加活性材料と必ず接触するように構成されている。添加活性材料の一部分は、流体中に放出されてもよく、他のやり方で流体に影響を与えるかまたは流体に所望の特性を付与してもよい。
【0012】
個人用気化器に主に適合した例および態様を使用して、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の方法がそのような用途に限定されず、いずれのマイクロ気化装置にも適用可能であるということが理解されよう。
【0013】
図1を参照すると、典型的な個人用気化器10は、遠位端21および近位端22を有する円筒形ケーシング20を含む。近位端22において、ケーシング20は、大気とケーシング20内の出口室27との間の流体連通を実現する通路26を有する、マウスピース24として形成される。また、ケーシング20は、相対的真空がマウスピース通路26に印加される(例えば装置ユーザーの吸入によって)際に空気を大気からケーシング20内の気化室30に流入させる、1つまたは複数の空気孔28を有する。空気孔28を通じて引き込まれた空気は、気化室30と出口室27とを隔てるフィルター70を通過する。
【0014】
個人用気化器10は、気化可能流体42が配置される流体リザーバ40をさらに含む。流体リザーバ40は、流体42が配置される単純なタンクとして構成されうる。いくつかの態様では、リザーバ40は、気化可能流体42を保持する、収容されたまたは収容されていない吸着性または吸収性の材料または構造でありうるか、あるいはそれを含みうる。流体輸送構造50は、リザーバ40内の流体42と接触するように、かつ、流体42をリザーバ40から引き出して気化室30に引き込むように構成され、位置づけられる。さらに、流体輸送構造50は、引き込まれた流体42を発熱体60と近接または接触させるように構成されうる。発熱体60は、任意の伝導、対流、および/または放射熱伝達機構を通じて気化可能流体を加熱するように構成されうる。典型的な気化器では、発熱体60は、線材コイルの形態の抵抗体であるかまたはそれを含む。いくつかの場合では、抵抗体は熱伝導ケーシング内に収容される。
【0015】
また、例示的な個人用気化器10は、発熱体に動力を供給するための電池80と、制御ユニット90とを含む。個人用気化器10の構成要素の構成および相対的位置づけが大きく異なりうること、ならびに、追加の構成要素(例えば、孔28を通じた気流の量の調節のための気流制御器)が含まれうることが理解されよう。
【0016】
個人用気化器10を使用するために、ユーザーは発熱体60を起動し、マウスピースを通じて吸入することで装置を通じて空気を引き込む。隔室30中の気化可能流体42は発熱体60によって気化点に加熱される。得られる蒸気は、空気孔28を通じて引き込まれる空気と混合され、混合物はフィルター70および出口室27を通じて引き込まれ、マウスピース通路26を通じて引き出される。
【0017】
個人用気化器10の流体輸送構造50は、ウィック、もしくはウィッキング材料の集合体でありうるか、またはそれを含みうる。典型的な個人用気化器ウィックは、綿、ジュート、亜麻、セルロース、または麻などの有機繊維材料から形成される。シリカ繊維、炭素繊維、および非有機ポリマー繊維、セラミックス、ならびにスチールメッシュなどのいくつかの非有機材料を使用してもよい。一般に、気化器ウィックは、熱安定性があり、かつ、気化可能流体42をリザーバ40から発熱体60に輸送するために十分なウィッキング作用を実現する、任意の材料から形成されうる。
【0018】
本発明の複合ウィックは、安定な一貫したウィッキング特性を示すだけでなく、気化前および/または気化中に流体と接触する1つまたは複数の活性材料を含むことの利点も示すように構成されている。本明細書において使用される「活性材料」という用語は、装置の気化生成物を制御可能に変化させるかまたは改良する任意の材料を意味する。活性材料としては、用途に応じて、植物材料、鉱物、脱臭剤、芳香、昆虫忌避剤、医薬、および消毒剤、ならびに上記のうちいずれかを含むかまたは組み込む任意の材料または構造を挙げることができるがそれに限定されない。
【0019】
個人用気化器の特定の例では、活性材料として、気化可能流体の香味料を増強する香味物質を挙げることができる。これらとしてはマリファナ、麻、カンナビジオール(cbd)、コウスイガヤ、ゲラニオール、ミント、タイム、タバコ、パープルセージ(salvia dorrii)、サルビア、パッションフラワー(passiflora incarnata)、クマコケモモ(arctostaphylos uva-ursi)、ロベリア(lobelia inflata)、レモングラス、スギ材、クローブ、シナモン、クマリン、ヘリオ(helio)、バニラ、メントール、ユーカリ、ペパーミント、ローズマリー、ラベンダー、甘草、およびカカオ、ならびに上記のうちいずれかを含むかまたは組み込む任意の材料または構造を挙げることができるがそれに限定されない。個人用気化器に関して特に関心対象となる1つの活性材料はタバコであり、タバコはタバコ葉全体、刻みタバコ葉、粉砕乾燥タバコフレーク、乾燥タバコ葉のスライバー、および乾燥タバコ葉からの削り屑の形態で与えられうる。いくつかの態様では、タバコは織布または不織布繊維シートに組み込まれることがあり、不織布繊維シートにタバコ材料が織り込まれるかまたは埋め込まれる。
【0020】
いくつかの場合では、活性材料は、加熱時に香味剤または他の作用物質を放出する傾向に基づいて選択されうる。例えば、いくつかの材料は、特定の温度に到達したときに分解またはガス放出を始めることがある。本明細書においては、任意の特定のそのような活性材料について、該材料が分解またはガス放出を始める温度を、該材料の放出温度と呼ぶ。本明細書においては、燃焼可能な活性材料について、温度が該材料の放出温度と燃焼温度との間にあることを、該材料の放出温度範囲にあると呼ぶ。
【0021】
以下の段落では、本発明の様々な態様の複合ウィックを説明する。
【0022】
図2を参照すると、本発明の一態様の複合ウィック100は、基礎ウィック構造110および相互分散した活性材料120を含む。基礎ウィック構造110は、そこを通じて流体がウィック100に引き込まれる上流面112と、下流面114とを有する。ウィック100を通じた一次流動方向を矢印Fで示す。上流面112と下流面114との間の距離によって、概ね均一な厚さtが規定される。一般に、下流面114が発熱体に向けられる(すなわち対面する)かまたは発熱体と接触することで、下流面114もしくはその近傍において、または流体が下流面114を通過した後に、流体が気化される。
【0023】
基礎ウィック構造は、本明細書に開示されるいずれかのウィッキング材料から形成されうる。好ましい態様では、基礎ウィック構造110は有機または無機親水性繊維から形成される。使用される特定の繊維材料は、所望のウィッキング特性および流動性、気化可能流体および活性材料との適合性、ならびに耐熱性に従って選択されうる。いくつかの場合では、親水性および/または表面エネルギーを増加させる材料で繊維をコーティングすることで、繊維のウィッキング作用を強化することができる。繊維のサイズおよび種類(例えば撚り繊維対短繊維)に基づいてウィッキングを最適化してもよい。
【0024】
また、いくつかの用途では、ウィック材料は、吸収性および/または流体保持性に部分的に基づいて選択されうる。例えば、ウィック材料は、特定の範囲の飽和を生じさせるように選択されうる。特定の態様では、基礎ウィック構造110の一部または全体のウィック材料は、特に流体保持を最適化するように構成されうる。そのような態様では、基礎ウィック構造自体が気化可能流体のリザーバとして機能しうる。この限りにおいて、基礎ウィック構造110は別個のマイクロ気化器リザーバを補完または代用しうる。吸収性構造であるかまたは吸収性構造を含む流体リザーバを有するマイクロ気化器では、基礎ウィック構造110はリザーバの吸収性構造に結合しうるかまたはそれと一体的に形成されうる。
【0025】
また、ウィック材料は、液体との接触時にそれが膨張する程度に基づいて選択されうる。これは、特に、ウィック構造を通じた液体漏出および/または空気通過に対する封止を実現するために使用可能である。
【0026】
ウィック繊維を織り合わせるかまたは結合させることで自立型構造を形成することができる。特定の態様では、ウィック構造110は、離間した接触点において繊維が互いに熱的または化学的に結合している、自立型構造である。あるいは、ウィック構造110は非結合不織布ウェブとして形成されてもよい。そのようなウェブを圧縮するかまたは機械的に絡ませる(例えばニードルパンチ法によって)ことで、ある程度の構造的一体性を付与することができる。あるいは、またはさらに、不織布ウェブの構造的一体性を、ウェブをケーシングもしくは膜中に封入するかまたはウェブを他の構造材料で包囲することで維持することもできる。
【0027】
すべての態様において、基礎ウィック構造110は、ウィックの所望の毛管現象および多孔性を実現する蛇行状の間隙通路を伴って形成される。これらの通路の構造を、材料の選択(例えば繊維材料、サイズ、種類、表面処理など)ならびに製造法およびプロセスパラメータの選択を通じて調節することができる。また、流動性を繊維配向の使用を通じて調節することができる。基礎ウィック構造110の流動性を、最適な流体の流量が得られるように調節することができる。そのような流量は、所望の気化速度に基づくだけでなく、基礎ウィック構造110および活性材料120中の温度を許容範囲内に維持するために流体を使用することが望ましいことにも基づいて確定されうる。例えば、いくつかの態様では、活性材料の一部または全体の温度を放出温度範囲内に維持するように流体流を調節することが望ましいことがある。他の態様では、限定的な制御された量の活性材料が燃焼温度を超えるように流体流を調節することが望ましいことがある。
【0028】
活性材料120は、基礎ウィック構造の間隙通路内にまたはそれに隣接して封入可能な任意の形態で与えられうる。あるいは、活性材料は、間隙通路を画定する基礎ウィック構造110に結合されうる。様々な態様では、活性材料120は、粉末、比較的大きな粒子、またはフレークの形態で与えられうる。基礎ウィック構造110が繊維材料から形成されている態様では、活性材料120は、繊維からの基礎ウィック構造の形成の前または後に、繊維に結合されうる。活性材料120は、基礎ウィック構造110全体を通じてランダムに分布していてもよく、特定の領域の方に優先的に分布していてもよい(例えば、上流面112または下流面114に隣接するほど密度が高くなるように)。以下でさらに詳細に説明するように、活性材料120は、該材料の一部分が上流面および下流面112、114のうち一方または両方において露出されるように配置されうる。
【0029】
個人用気化器10などのマイクロ気化装置に置かれる際に、複合ウィック100は、上流面112がリザーバ中のまたはリザーバからの気化可能流体と接触し、下流面114が発熱体に隣接するかまたは発熱体と接触するように位置づけられる。気化可能流体は流動方向Fに沿ってウィックに引き込まれ、ウィックを通じて引き出される。ウィックを通過する際に、流体は活性材料120と遭遇および相互作用し、これにより流体の性質および/または構成が変化する。特定の態様では、活性材料120の一部分が流体に溶解されうる。他の態様では、活性材料120の分離された粒子が流体内に懸濁されうる。これらの粒子は、ウィック構造110中の蛇行状通路を流体と共に通過できるほど小さいことがある。いくつかの態様では、活性材料120が放出温度を超える結果として香味材料または他の作用物質が気化可能流体中に放出されうる。
【0030】
マイクロ気化装置の発熱体が起動される際に、ウィック100の下流面114またはその近傍の流体が加熱される。発熱体の熱出力、発熱体の下流面114に対する近接度、および基礎ウィック構造110の熱特性に応じて、気化可能流体(活性材料120によって変化する)は基礎ウィック構造110内で気化し始めることが可能になり、これにより、ウィックを出る流体は蒸気の形態、または液体と蒸気との組み合わせとなる。ウィック100内で気化されない流体はいずれも、ウィック100を出た後に気化される。
【0031】
発熱体は、気化可能流体を加熱する以外にも、下流面114において露出される基礎ウィック構造110および活性材料120の任意の部分も加熱する。また、下流面114において吸収される熱は、ウィック100中に伝導されることで、ウィック中で温度勾配を確立する。しかし、基礎ウィック構造110を流通する気化可能流体は、下流面114において取り込まれる熱の多くを吸収し、運び去る。上記のように、基礎ウィック構造110の流動性を、ウィック100を通じた所望の冷却度、したがって所望の温度勾配が得られるように調節することができる。これにより、例えば、基礎ウィック構造110の温度を材料分解温度未満に維持する能力が可能になる。また、活性材料120の少なくとも一部を所望の温度範囲(例えば放出温度範囲)内に維持する能力も可能になる。
【0032】
いくつかの場合では、複合ウィック100中で使用される活性材料120は、残りの寸法よりも大きい1つまたは複数の寸法を有する形態で与えられる。そのような場合では、活性材料120は、ウィック構造110を通じた一次流動方向Fに対する特定の配向を有するように位置づけられうる。図3は、活性材料120'が概ね平面状のフレークの形態で与えられる、複合ウィック100の特定の変形である複合ウィック100'を示す。図2に示すように、これらのフレークは、一次流動方向Fに概ね直交するように、基礎ウィック構造110内に位置づけられる。いくつかの態様では、活性材料120'は多孔質であることができ、したがって、活性材料120'が流動方向Fに直交して位置づけられる際に、ウィック中の流体は活性材料120'のフレークを通過および周回可能になり、これにより流体と活性材料120'との間の接触が増加する。
【0033】
いくつかの用途では、活性材料の一部分が、複合ウィック100の上流面および下流面112、114のうち一方または両方の表面として露出されることが望ましいことがある。これにより活性材料120の一部が発熱体に直接露出され、このことは、材料の当該部分が放出温度を超えて加熱されるという点で有利でありうる。これの一例は、個人用気化器ウィック中の活性材料がタバコである例である。これまで、個人用気化器において紙巻きタバコまたは葉巻の煙っぽい燃えるような風味を模倣する試みは、ほとんど成功していない。しかし、本発明の複合ウィックの特定の態様において、タバコの一部分がマイクロ気化器の発熱体に直接露出されるように、タバコ材料を配置することができることがわかった。この直接露出により、タバコ材料が放出温度を超えて加熱され、これにより、さらなる粒子および/またはガス生成物が気化室中の蒸気/空気混合物に入り込む。既に記載のように、タバコ材料が燃焼温度に到達することを防止する(すなわち、それが実際に燃焼することを防止する)ことができるほど、タバコ材料の周りを流れる流体がタバコ材料を冷却することが確実になるように、基礎ウィック構造110の流動性を調節することができる。いくつかの場合では、少量のタバコが燃焼することが実際に望ましいことがある。そのような場合では、制御された量のタバコ材料が燃焼温度に到達するかまたは燃焼温度を超えるように、基礎ウィック構造110を調整することができる。
【0034】
図3の複合ウィック100'においては、フレーク状の活性材料120'(例えばタバコフレークでありうる)が、いくつかのフレークの一部分が下流面114において露出されるように基礎ウィック構造110中に分布していることがわかる。これらのフレークは、基礎ウィック構造110によって定位置になお保持されているが、ウィック100がマイクロ気化器中に位置づけられる際に発熱体に直接露出される。
【0035】
図4は、本発明の別の態様の複合ウィック200を示す。複合ウィック200は、1つまたは複数の活性材料層220と交互に存在する2つ以上の基礎ウィック層210を含む、積層構造である。最外基礎ウィック層210は、そこを通じて流体がウィック200に引き込まれる上流面212と、下流面214とを画定する。ウィック200を通じた一次流動方向をやはり矢印Fで示す。上流面212と下流面214との間の距離によって、概ね均一な厚さtが規定される。一般に、下流面214が発熱体に向けられるかまたは発熱体と接触することで、下流面214もしくはその近傍において、または流体が下流面214を通過した後に、流体が気化される。基礎ウィック層210は、複合ウィック100の基礎ウィック構造110と同じ材料から形成されうるし、実質的に同じ構造を有しうる。したがって、各基礎ウィック層210は、ウィックの所望の毛管現象および多孔性を実現する蛇行状の間隙通路を伴って形成される。しかし、層210の特性が同じである必要がないことが理解されよう。例えば、異なる層は、異なる厚さおよび/または流通もしくはウィッキング特性を有してもよい。いくつかの態様では、最下流基礎ウィック層210は、下流面214を気化生成物が無妨害で通過することを可能にしながら、下流面214を液体が通過することを阻害するように構成されうる。これにより、液体気化流体が気化装置の発熱体を超えて漏出することが減少する。
【0036】
各活性材料層220は、活性材料であるかまたは活性材料を含む多孔質層である。活性材料層220は、周囲の基礎ウィック構造210に結合したかまたはそれにより定位置に保持された、一体型または自立型構造でありうる。あるいは、活性材料層220は、未結合の粒子、繊維、フレーク、または葉の非構造層でありうる。特定の態様では、活性材料層220は、ある程度の構造的一体性を実現するように一緒に圧縮されたフレークまたは葉の全体もしくは一部分(例えばタバコフレークまたはタバコ葉)の集合体でありうる。別の特定の態様では、活性材料層220はタバコ紙でありうる。いずれの場合でも、活性材料層220は、当該の層を通じて流体が流動することを可能にする多孔質層(既に形成されているかまたは穿孔による)である。活性材料層220(または複合ウィック200全体)の横側面は、構造的一体性を維持するために、ケーシングまたは膜に取り囲まれうる。そのようなケーシングは、透過性でも非透過性でもよく、それ自体が活性材料であっても、活性材料を含むものであってもよい。
【0037】
いくつかの態様では、活性材料層220はそれぞれ、活性材料が配置されたかまたは活性材料が結合したウィッキング材料でありうるか、あるいはそれを含みうる。例えば、活性材料層220はそれぞれ、ウィッキング材料および活性材料の両方の強化を示す、複合ウィック100と同様でありうる。他の態様では、基礎ウィック層210は、活性材料がその中に分散された複合ウィック100と同様でありうる。
【0038】
複数の活性材料層220が存在する態様では、各層の特性は同じである必要はない。例えば、異なる層は、異なる活性材料を有してもよく、異なる量の同じ活性材料を有してもよい。また、異なる厚さおよび/または流通もしくはウィッキング特性を有してもよい。
【0039】
複合ウィック200の設置および使用は、既に記載の複合ウィック100のそれと実質的に同様である。個人用気化器10などのマイクロ気化装置に置かれる際に、複合ウィック200は、上流面212がリザーバ中のまたはリザーバからの気化可能流体と接触し、下流面214が発熱体に隣接するかまたは発熱体と接触するように位置づけられる。気化可能流体は流動方向Fに沿ってウィックに引き込まれ、ウィックを通じて引き出される。相対的に薄い活性材料層220が多孔性であることにより、流体が基礎ウィック層から基礎ウィック層までのこれらの層を通過する。基礎ウィック層210が繊維材料から形成される態様では、活性材料層220を横切る流体流は、活性材料層220と基礎ウィック層210との間の境界が不明瞭であるという事実によってさらに強化されうる。実際に、そのような境界の近傍の領域は、ウィック層からの繊維材料と活性材料層からの材料との両方を含む。
【0040】
複合ウィック200の通過には流体が活性材料層220を通過することが必要であることが理解されよう。上記態様と同様に、流体がウィックを通過する際に、活性材料との反応によって流体の性質および/または構成が変化する。
【0041】
上記と同様に、マイクロ気化装置の発熱体が起動される際に、温度勾配がウィック200内で確立され、ウィック200の下流面214またはその近傍の流体が気化まで加熱される。基礎ウィック層210および活性材料層220の流体流動性を、所望の温度勾配が生じるように調節することができる。
【0042】
上記のように、複合ウィック100と同様にして、基礎ウィック層210に活性材料を添加することができる。そのような活性材料は、複合ウィック100'についての記載と同様に一部分が下流面214において露出される形態で与えられ、かつそのやり方で配置されうる。これにより活性材料が発熱体に直接露出される。図5を参照すると、本発明の別の態様の複合ウィック300は、該ウィックがマイクロ気化器に設置される際に、発熱体に対する活性材料の露出を著しく大きくする。ウィック300は、交互に位置する基礎ウィック層310および活性材料層320を有するという点で、また、最上流基礎ウィック層310がウィック300の上流面312を画定するという点で、上記ウィック200と同様である。さらに、基礎ウィック層310および活性材料層320の材料および構成は、複合ウィック200のそれと実質的に同様である。しかし、複合ウィック300は、最下流層が、下流面314を画定する活性材料層320であるという点で異なる。このことは、最下流活性材料層320が完全に活性材料から形成される態様において、発熱体に露出される活性材料の表面区域の量が最大化されることを意味する。上記と同様に、基礎ウィック層310および活性材料層320の流体流動性を、所望の温度勾配が生じるように調節することができる。例えば、活性材料層320中の可能な限り多くの活性材料を活性材料の放出温度範囲内に維持するように、流動性を確立することができる。
【0043】
複合ウィック300の使用の場合と同様に活性材料層を発熱体に直接露出することは、いくつかのマイクロ気化器用途(例えば、ウィックが個人用気化器中での使用を目的とし、活性材料がタバコである用途)に有利でありうるが、露出された活性材料層を複合ウィックの上流面に設けることが有利であろういくつかの用途が存在しうる。そのような場合では、複合ウィック300の構成を逆転させて、活性材料層を上流面に置き、基礎ウィック層を下流面に置くことがある。他の態様では、積層複合ウィックは、上流面および下流面の両方に活性材料層を有しうる。
【0044】
図6を参照すると、本発明のさらに別の態様の複合ウィック400は、上流面412を画定する基礎ウィック本体410と、本体410の下流側で基礎ウィック本体410に結合しているかまたはそれに当接して保持される活性材料層420とを有する。ウィック本体410は、複合ウィック100の基礎ウィック110と同様の材料および構成を有しうる。また、活性材料がその蛇行状通路に結合しうるかまたは蛇行状通路内に配置されうる。活性材料層420は、上記の積層複合ウィック200、300の活性材料層と実質的に同様でありうる。下流面414に活性材料層420を置くことで、複合ウィック300と同様の露出上の利点が得られ、流体および/または気化生成物は、ウィック400を出て気化室に入る前に必ず多孔質活性材料層を通過する。上記と同様に、基礎ウィック本体410および活性材料層420の流体流動性を、所望の温度勾配が生じるように調節することができる。例えば、可能な限り多くの活性材料層420を活性材料の放出温度範囲内に維持するように、流動性を確立することができる。
【0045】
図6に示すウィック400では、活性材料層420および下流面414は上流面412に対向して位置づけられている。しかし、下流面がウィックの1つまたは複数の横側面でありうるか、あるいはそれを含みうることが理解されよう。そのような場合では、活性材料層は、上流面412に対向する表面に加えて、またはその代わりに、いずれか1つまたは複数の横側面に位置づけられうる。特定の態様では、基礎ウィック本体410はウィックの各横側(または、ウィック本体410が円形であれば外周全体)に活性材料層を有しうる。そのような横配向活性材料層を本明細書に記載のいずれかの複合ウィックに加えてもよい。
【0046】
複合ウィック300の構成と同様に、やはり活性材料層の位置を逆転させて基礎ウィック本体の上流側に置くことが可能であろう。
【0047】
図7を参照すると、本発明のさらに別の態様の複合ウィック500は、上流面512および下流面514を画定する基礎ウィック本体510を有する。ウィック本体510は、複合ウィック100の基礎ウィック110と同様の材料および構成を有しうる。また、活性材料がその蛇行状通路に結合しうるかまたは蛇行状通路内に配置されうる。また、複合ウィック500は、ウィック本体内に埋め込まれた1つまたは複数の細長い活性材料本体520を有する。活性材料本体520は、活性材料のスライバーまたはロッドの形態であってもよく、上記の積層複合ウィック200、300の活性材料層と実質的に同様であるが、横方向の大きさが限定的であるものであってもよい。活性材料本体520は、流動方向Fに概ね直交して配向しており、したがって、ウィック中の流体は流体と活性材料との間の相互作用を最大化するように活性材料を周流および/または流通しうる。基礎ウィック本体510の流体流動性を、ウィック500内で所望の温度勾配が生じるように調節することができる。
【0048】
上記複合ウィック態様の基礎ウィック構造は、長方形(図に示すような)もしくは他の多角形、円形、楕円形、または自由形態を含むがそれに限定されない、任意の横断面を有しうる。上流面および下流面112、114は、図示するように実質的に平面状であってもよく、ある程度の均一な湾曲または他の所望の形状を有していてもよい。
【0049】
上記態様の説明および例示は、横方向の大きさが限定的である概ね平面状のウィック構造の文脈で提示される。しかし、いずれかの上記態様を使用して、ウィック構造の厚さに比べて相対的に大きな横寸法を有する概ね平面状のウィックシートを実現することができることが理解されよう。図8は、概ね平面状のシートの形態である例示的な複合ウィック600を示す。複合ウィック600は、形態が図4の積層複合ウィック200と同様であり、同様の基礎ウィック層610および活性材料層620を有する。しかし、この態様では、上流面612および下流面614は、ウィックの断面区域に比べて大きな区域を示す。これにより、マイクロ気化器のリザーバ中の流体との接触に利用可能な区域、および/またはマイクロ気化器発熱体に対する露出に利用可能な区域がはるかに大きくなる。
【0050】
ウィック材料および活性材料、ならびにウィックの所望の積層構成に応じて、織り込み、ボンディング加工、加圧成形、またはカレンダー掛けを通じて複合ウィックシートを形成することができる。いくつかの態様では、(例えばメルトブロー法、スパンボンド法、メルトスピニング法、またはそれらの組み合わせにより)緩い繊維ウェブを生成し、次にこれをダイに通すか、加圧成形するか、またはカレンダー掛けして稠密な繊維シートを形成することで、ウィックシートを形成することができる。織り込み、ボンディング加工、加圧成形、またはカレンダー掛けによって個々の活性材料層を同様に形成した後、基礎ウィック層に結合させるかまたは基礎ウィック層と共に加圧成形することで積層複合ウィックを形成することができる。活性材料が基礎ウィック材料全体を通じて分布している態様では、織り込み、ボンディング加工、加圧成形、またはカレンダー掛けによりウィック材料(例えば有機繊維または無機繊維)をシートにする前に活性材料をウィック材料に堆積または結合させることができる。シートはバッチ式および連続式の両方の製造プロセスを使用して形成可能である。
【0051】
次に、得られた複合ウィックシートを所望の寸法に切断することができる。シートを切断して複合ウィック600のような相対的に大きなシートを生成してもよく、シートを切断して図2図7に示すような比較的小さな寸法の複数の複合ウィックを得てもよい。個人用気化器中での使用のための長方形断面複合ウィックに典型的な横寸法は0.25~1.25cm×0.5~2.0cmである。一般的に好適な厚さは通常0.1~0.5cmの範囲である。特に好適な厚さは0.15~0.45cmの範囲、さらに好適には0.25~0.35cmの範囲である。
【0052】
図9に示す別の態様では、本発明の一態様の複合ウィック700は、外面712および内面714を有する環状円筒体702として形成される。複合ウィック700は、ウィック中の流体の一次流動方向が本体702の半径方向の厚さtRを半径方向に通過するように構成される。複合ウィック700が使用されるべきマイクロ気化器の構成に応じて、一次流動方向は内向きまたは外向きでありうる。例えば、図10に模式的に示すように、マイクロ気化器は、外壁面41'を有する環状円筒形の気化可能流体リザーバ40'と、中心に位置する円柱形の発熱体70'とを有しうる。この例示的用途では、複合ウィック700は、外面712がリザーバ40'の内側境界を実現しかつリザーバ40'中の流体と接触するように、半径方向に沿ってリザーバ40'と発熱体70'との中間に置かれる。複合ウィック700の内側境界714は発熱体70'の外面71'に露出される。この構成では、複合ウィック700を通じた一次流動方向は半径方向に内向きである。気化生成物は、発熱体70'を取り囲む気化室30'に入る。
【0053】
いくつかの態様では、複合ウィック700の内径は、発熱体表面71'の一部または全体と非常に近接するか、またはそれと接触さえするようにサイズ決めされうる。いくつかの場合において、ウィック内面714のいくつかの区域が発熱体70'に他の区域よりも近接しうる(または接触しうる)ように、発熱体70'が平滑な円柱体以外の形態で構成されることがあることが理解されよう。
【0054】
図9および図10に示すように、複合ウィック700は、複数の基礎ウィック層710および活性材料層720を有する、図4および図8のウィック200、600のそれと同様の積層構造である。しかし、いずれの上記複合ウィック構造からも同様の円筒形ウィックが形成可能であることが理解されよう。本発明のいずれの環状円筒形ウィックも、断面形態にかかわらず、最初にシート状複合ウィック(図8の複合ウィック600のような)として形成し、次に環状円筒体に湾曲させることで得ることができる。これは、円柱形マンドレルを使用して、またはいくつかの態様では、発熱体70'の円筒形ケーシング上で直接、実現することができる。
【0055】
表面712、714のどちらが下流面であるかにかかわらず、下流面に隣接するウィック内で所望の温度勾配を生じさせるように、基礎ウィック材料の流体流動性、およびいくつかの場合では、ウィック700を形成するために使用される活性材料を調節することができる。
【0056】
また、上記態様の変形において、円筒形複合ウィック700を、複合ウィック700を少なくとも部分的に取り囲む環状発熱体を有するマイクロ気化器中での使用に適応させることができる。そのような態様では、複合ウィック700は、流体を中央のリザーバ源から引き出して、発熱体に露出される外面712に引き寄せるように構成される。そのような態様では、円筒形ウィック700は、発熱体の環状通路に挿入されるようにサイズ決めされうる。
【0057】
本発明のいずれの複合ウィックにおいても、流体の流動が望ましくない表面区域(例えば、図2図8に示すウィックの横側面区域、または図9の円筒形ウィックの端部区域)をケーシングまたは壁面を使用して封止することができることが理解されよう。いくつかの場合では、そのような表面区域を通じた流動を、ウィックが設置されたマイクロ気化器構造の壁面によって防止することができる。
【0058】
いくつかの用途では、マイクロ気化器の発熱体に対するウィックの下流面の露出区域を大きくするが、マイクロ気化器の流体リザーバ中の流体に対するウィックの上流面の露出区域を相対的に小さくすることが有利なことがある。そのような用途では、ウィック上流面の一部分を壁面、ケーシング、または膜によって流体リザーバから遮蔽することができる。図11は、環状円筒形の複合ウィック700がケーシング810で取り囲まれることで、第1のカートリッジ端部812から第2のカートリッジ端部814まで延びるカートリッジ800を形成する、本発明の一態様を示す。円筒形ケーシング810は、第1のカートリッジ端部に円筒形複合ウィック700の外面712の一部分を露出する切欠部816を伴って形成される。ケーシング810は、図10のリザーバおよび発熱体の構成を有するマイクロ気化器中に位置づけられる際に、リザーバ40'と円筒形複合ウィック700の外面712との間の壁面を実現する。使用時に、リザーバ40'からの流体は、切欠部816により露出される表面区域のみを通じてウィック700に引き込まれる。流体は、発熱体70'に向かって内向きに、かつ第2のカートリッジ端部に向かって縦方向に引きつけられる。複合ウィック700の基礎ウィック部分の構造は、気化可能流体が円柱形ウィック700の長さ全体に沿って内面714に到達することを確実にするためにウィックの縦方向流動性を強化するように構成されうる。
【0059】
本発明の複合ウィックは、実質的にあらゆるリザーバ/発熱体構成に適応可能である。例えば、図12は、遠位端1021および近位端1022と、出口通路1026を備えたマウスピース1024と、フィルター1070と、出口室1027とを備えた、円筒形ケーシング1020を有するという点で、図1の個人用気化器と同様である、個人用気化器1010を示す。個人用気化器1010は、電池1080、および場合によっては制御ユニット1090も有する。個人用気化器1010は、図1の個人用気化器10と同様に、空気を気化室1030に流入させるための、ケーシング1020を貫通する1つまたは複数の空気孔1028を有する。しかし、気化室1030の一部分および発熱体1060を取り囲む、円筒形流体リザーバ1040を有するという点で異なる。有利なことに、発熱体1060は、例えばコイルまたは円形メッシュ抵抗体でありうる。発熱体1060は気化室1030の近位端またはその近傍に位置づけられ、気化室は、リザーバの内壁1042により包囲されるチムニー1032と流体連通している。チムニー1032は、空気および気化生成物がそこを通過して気化室1030からフィルター1070および出口室1027に至る導管を実現する。
【0060】
発熱体1060による気化のために流体を供給するために、個人用気化器1010には、遠位面、近位面、および外周面1051、1052、1053を有する円板状ウィック1050が設けられる。ウィック1050は個人用気化器1010の縦軸を中心とし、したがってウィックの遠位面1051は発熱体1060に隣接するかまたはそれと接触している。ウィック1050は、流体リザーバ1040の内壁1042中の外周開口部1041に向かって外向きにかつそれを貫通して延びるようにサイズ決めされている。ウィック1050は、リザーバ1040中の流体が外周面1056を通じて、かつ/または外周面1056に隣接する遠位面および近位面1051、1052の一部分を通じて、ウィック1050に引き込まれるように構成されている。さらに、ウィック1050は、気化可能流体が個人用気化器1010の縦軸に向かって内向きに、かつ近位面1052に向かって近位方向に引きつけられ、そこで発熱体1060からの熱に露出され、気化されるように構成されている。
【0061】
上記で説明したいずれの複合ウィック構成も、個人用気化器1010の円板状ウィック1050において使用することができる。図13は、図6のウィック400と同様の特性を有する例示的な複合ウィック1050'を示す。複合ウィック1050'は、近位面1052'を画定する基礎ウィック本体1054'と、基礎ウィック本体1054'に結合しているかまたはそれと当接して保持されている、遠位面1051'を画定する活性材料層1056'とを有する。既に記載のように、そのような構成により、活性材料が発熱体1060に直接露出されるかまたはそれと接触するように位置づけられる。ウィック本体1054'および活性材料層1056'は、いずれも薄い(すなわち円板状の)円柱体として形成され、一緒に外周面1053'を画定する。
【0062】
既に記載のように、上記の様々な複合ウィック態様は、気化可能流体をリザーバから気化可能流体が気化まで加熱される別の場所まで輸送することを必要とするいずれのマイクロ気化器においても使用可能である。しかし、本発明のウィックは個人用気化器中での使用に特に適している。多くのユーザーは、紙巻きタバコ、葉巻、パイプなどの燃焼タバコ製品の代替品または代用品として、これらの装置を頼りにしている。そのようなユーザーにとって、理想的な代用品は、燃焼タバコ体験を最大限に模倣する代用品であろう。
【0063】
これまで、個人用気化器が燃焼タバコ体験を模倣する能力は限定的であった。これらの装置中で使用される典型的な気化可能流体は、ニコチン、およびタバコ製品の味を模倣することを目的とする香味料を含みうるが、実際にタバコを含んでいるわけではない。本発明の複合ウィックは、気化可能流体にタバコの特性を付与する能力を示し、紙巻きタバコまたは葉巻の煙っぽい燃焼感を模倣する能力さえ示す。これは、気化可能流体を輸送するために使用されるウィック中で活性材料として実際のタバコを使用することで実現される。このアプローチでは、ウィックは液体輸送装置および香味剤の両方として機能する。また、既に説明したように、ウィックは、タバコ材料の一部分を発熱体に直接露出させるための機構を実現しうる。発熱体は小さい程度の燃焼を生じさせ、燃焼による生成物は液体からの気化生成物と混合される。次に、混合生成物は、装置を通じて引き込まれる空気と混合され、ユーザーにより吸入される。
【0064】
以上、本発明の例示的態様を例示および説明してきたが、本発明が本明細書に開示される構成に限定されないことを理解すべきである。真意または本質的属性を逸脱することなく、本発明を他の特定の形態で具現化することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 個人用気化器
20 円筒形ケーシング
21 遠位端
22 近位端
24 マウスピース
26 通路
27 出口室
28 空気孔
30 気化室
30’気化室
40 流体リザーバ
40’環状円筒形の気化可能流体リザーバ
41’外壁面
42 気化可能流体
50 流体輸送構造
60 発熱体
70 フィルター
70’円柱形の発熱体
71’発熱体表面
80 電池
90 制御ユニット
100 複合ウィック
100’複合ウィック
110 基礎ウィック構造
112 上流面
114 下流面
120 相互分散した活性材料
120’ 活性材料
200 複合ウィック
210 基礎ウィック層 / 基礎ウィック構造
212 上流面
214 下流面
220 活性材料層
300 複合ウィック
310 基礎ウィック層
312 上流面
314 下流面
320 活性材料層
400 複合ウィック
410 基礎ウィック本体
412 上流面
414 下流面
420 活性材料層
500 複合ウィック
510 基礎ウィック本体
512 上流面
514 下流面
520 細長い活性材料本体
600 複合ウィック
610 基礎ウィック層
612 上流面
614 下流面
620 活性材料層
700 複合ウィック
702 環状円筒体
710 基礎ウィック層
712 外面
714 内面 / 内側境界
720 活性材料層
800 カートリッジ
810 ケーシング
812 第1のカートリッジ端部
814 第2のカートリッジ端部
816 切欠部
1010 個人用気化器
1020 円筒形ケーシング
1021 遠位端
1022 近位端
1024 マウスピース
1026 出口通路
1027 出口室
1028 空気孔
1030 気化室
1032 チムニー
1040 円筒形流体リザーバ
1042 内壁
1050 円板状ウィック
1050’複合ウィック
1051 遠位面
1051’遠位面
1052 近位面
1052’近位面
1053 外周面
1053’外周面
1054’基礎ウィック本体
1056’活性材料層
1060 発熱体
1070 フィルター
1080 電池
1090 制御ユニット
図1
図2
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図4
図5
図6
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図10
図11
図12
図13