(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】即湯機能付給湯器
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20220805BHJP
【FI】
F24D17/00 N
(21)【出願番号】P 2018129368
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-15263(JP,A)
【文献】特開2004-125228(JP,A)
【文献】特開2013-152039(JP,A)
【文献】特開2004-286397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ及び熱交換器と、
前記熱交換器に接続される給水管と、
前記熱交換器に接続される出湯管と、
前記給水管に接続され、循環ポンプを備えた戻り管と、を備え、
前記出湯管と前記戻り管とを外部配管で接続することで、前記出湯管から出湯される湯水が前記外部配管を介して前記戻り管に戻り、前記給水管から前記熱交換器に至る循環経路が形成される即湯機能付給湯器であって、
前記戻り管における前記循環ポンプの下流側に逆止弁が設けられると共に、
前記戻り管における前記循環ポンプと前記逆止弁との間に、器具外へ開放可能な分岐管が接続されていることを特徴とする即湯機能付給湯器。
【請求項2】
前記分岐管は、前記戻り管を形成する一部の配管と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の即湯機能付給湯器。
【請求項3】
前記逆止弁は、前記一部の配管内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の即湯機能付給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部配管と器具内の配管との間で湯水を循環させて熱交換器で加熱することで保温し、外部配管の給湯栓から即時給湯可能とした即湯機能付給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器には、熱交換器に接続される給水管に、循環ポンプを備えた戻り管を接続して即湯機能を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この即湯機能付給湯器では、出湯管と戻り管との間を外部配管で接続することで、出湯管と外部配管と戻り管と給水管とで循環経路を形成し、この循環経路に循環ポンプで湯水を循環させながら熱交換器で加熱することで保温運転が可能となる。よって、外部配管に設けた給湯栓を開栓すると、即時給湯が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この即湯機能付給湯器では、熱交換器の伝熱管での圧力損失が大きいため、給水管内の水が戻り管内を逆流して外部配管へ流れるおそれがあり、この場合、給湯栓から設定温度よりも低い温度で出湯されてしまう。
一方、ポンプは、自吸能力の有無によって自吸タイプと非自吸タイプとに分けられるが、非自吸タイプのポンプの方が自吸タイプよりも耐圧性及び最高使用流体温度が高いため、即湯機能付給湯器の循環ポンプとしては非自吸タイプが適している。
しかし、非自吸タイプのポンプは、吸い込み側を含むポンプ全体を呼び水で満たす必要がある上、空気分離室がないため、施工時にはエア抜きを行う必要がある。また、冬季に長期使用しない場合は、水抜きを行わないと凍結するおそれが生じる。
【0005】
そこで、本発明は、外部配管への水の逆流による出湯温度の低下を防止すると共に、循環ポンプとして非自吸タイプを使用してもエア抜きや水抜きを容易に実施でき、施工や凍結予防が簡単に行える即湯機能付給湯器を提供すること目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、バーナ及び熱交換器と、熱交換器に接続される給水管と、熱交換器に接続される出湯管と、給水管に接続され、循環ポンプを備えた戻り管と、を備え、出湯管と戻り管とを外部配管で接続することで、出湯管から出湯される湯水が外部配管を介して戻り管に戻り、給水管から熱交換器に至る循環経路が形成される即湯機能付給湯器であって、
戻り管における循環ポンプの下流側に逆止弁が設けられると共に、戻り管における循環ポンプと逆止弁との間に、器具外へ開放可能な分岐管が接続されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、分岐管は、戻り管を形成する一部の配管と一体に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、逆止弁は、当該一部の配管内に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、戻り管における循環ポンプの下流側に逆止弁が設けられると共に、戻り管における循環ポンプと逆止弁との間に、器具外へ開放可能な分岐管が接続されているので、逆止弁によって外部配管への水の逆流による出湯温度の低下を防止できると共に、循環ポンプとして非自吸タイプを使用しても分岐管によってエア抜きや水抜きを容易に実施でき、施工や凍結予防が簡単に行える。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、分岐管は、戻り管を形成する一部の配管と一体に形成されているので、戻り管へ分岐管を簡単に設けることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、逆止弁も横管内に設けられているので、分岐管と逆止弁とを含めたユニットとして簡単に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】フロントカバーを外した状態の正面図である。
【
図4】戻り管を正面から見た筐体下部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、即湯機能付給湯器(以下単に「給湯器」という。)の一例を示す正面図、
図2は底面図である。この給湯器1は、前面を除く5面を閉塞した箱本体3と、箱本体3の前面を閉塞するフロントカバー4とからなる筐体2を有する。筐体2内には、フロントカバー4を外した状態の
図3に示すように、下方からバーナユニット6、熱交換器7、排気フード8を備えた燃焼装置5が設置されて、排気フード8の上端に設けた排気筒9が、箱本体3の上板を貫通して上方へ突出している。箱本体3の背面上下には、屋内の壁等に設置するための取付金具10,10が設けられ、箱本体3の背板には、複数の給気口11,11・・が形成されている。
箱本体3の底面には、外部のガス配管が接続される管状のガス接続口12と、外部の給水配管が接続される管状の給水接続口13と、外部の給湯配管が接続される管状の給湯接続口14及び管状の戻り接続口15とが設けられている。
【0010】
バーナユニット6は、内部に図示しない複数のバーナを備え、ここにはガス接続口12と接続されてバーナへ燃料ガスを供給し、図示しない元弁や比例制御弁等を備えたガス管16が接続されると共に、バーナへ燃焼用空気を供給するためのファン17が設けられている。
熱交換器7は、図示しない複数のフィンを蛇行状に貫通する伝熱管18を有し、伝熱管18の入側端部には、給水接続口13と接続される給水管19が接続され、伝熱管18の出側端部には、給湯接続口14と接続される出湯管20が接続されている。
【0011】
そして、戻り接続口15と給水管19との間には、戻り管21が接続されている。この戻り管21は、
図4にも示すように、管状の戻り接続口15と、戻り接続口15に下向きの吸込管22aが接続される非自吸タイプの循環ポンプ22と、循環ポンプ22の横向きの吐出管22bに上流端が接続される横管23と、横管23の下流端に接続され、給水管19の一部を形成する中継管24から横向きに分岐形成された分岐管部25とからなる。各管の端部同士をクリップ26,26・・で接続することで、戻り接続口15から中継管24に繋がる戻り管21が形成される。中継管24の上下端もクリップ26でそれぞれ接続される。
【0012】
また、横管23には、下向きの分岐管27が設けられている。この分岐管27は、箱本体3の底板に下端が接続されて下端を外部に開口させており、当該下端には、下方からプラグ28がねじ込み固定されて、任意に下端を開放可能となっている。
さらに、横管23の下流端には、
図5に示すように、逆止弁29が設けられて、給水管19から循環ポンプ22側への水の逆流を防止している。
ここでの横管23と分岐管27とは一体形成されて、横管23に逆止弁29を組み込んだT字状のユニットとなっているため、器具内への取り付け及び取り外しが容易に行える。特に、中継管24も給水管19の一部として別体で取り付けられるので、循環ポンプ22とT字状の管体(逆止弁29付の横管23及び分岐管27)と中継管24とを循環路形成ユニットUとして既存の給湯器に組み込むことで即湯機能を簡単に付与できる。
【0013】
図6は、給湯器1を用いた即湯システム40の概略を示すもので、循環経路に係る構成以外は省略している。30は、給水管19と出湯管20との間を接続して熱交換器7をバイパスするバイパス管である。
この即湯システム40は、給湯接続口14と戻り接続口15との間に、複数の給湯栓42,42・・を備えた外部配管41を接続することで構築される。これにより、出湯管20から出湯される湯水が、外部配管41を通って戻り管21に戻り、給水管19を介して熱交換器7に戻る循環経路が形成される。よって、循環ポンプ22の運転により循環経路内で湯水を循環させながらバーナユニット6でバーナを燃焼させることで、器具内に設けた図示しないコントローラで設定された設定温度での保温運転が可能となる。すなわち、給湯栓42の何れかを開栓することで即時給湯が可能となっている。
【0014】
以上の如く構成された給湯器1においては、施工時には、非自吸タイプである循環ポンプ22に対してエア抜きを行う必要があるため、プラグ28を緩めるか取り外すかした状態で循環ポンプ22を駆動させて水を循環させる試運転を行う。すると、配管内の空気が循環経路を流れる水によって押し出されて外部配管41から戻り管21に至り、循環ポンプ22を通って分岐管27から排出される。よって、エア抜きを容易に行うことができる。このとき分岐管27の下流側の逆止弁29には給水管19からの水圧が加わるので、配管内の空気の殆どは逆止弁29を通過することなく分岐管27から排出される。
また、冬季に長期使用しない場合も、プラグ28を緩めるか取り外すかすれば、循環ポンプ22及び戻り管21からの水抜きを分岐管27を介して容易に行うことできる。
一方、即湯システム40に組み込んで保温運転を行う際、熱交換器7の伝熱管18での圧力損失が大きくなっても、戻り管21には逆止弁29が設けられているため、給水管19内の水が戻り管21内を逆流して外部配管41へ流れるおそれがない。
【0015】
このように、上記形態の給湯器1によれば、戻り管21における循環ポンプ22の下流側に逆止弁29が設けられると共に、戻り管21における循環ポンプ22と逆止弁29との間に、器具外へ開放可能な分岐管27が接続されているので、逆止弁29によって外部配管41への水の逆流による出湯温度の低下を防止できると共に、循環ポンプ22として非自吸タイプを使用しても分岐管27によってエア抜きや水抜きを容易に実施でき、施工や凍結予防が簡単に行える。
特にここでは、分岐管27は、戻り管21を形成する一部の配管(横管23)と一体に形成されているので、戻り管21へ分岐管27を簡単に設けることができる。
また、逆止弁29も横管23内に設けられているので、分岐管27と逆止弁29とを含めたユニットとして簡単に設置できる。
【0016】
なお、上記形態では、逆止弁を横管に設けているが、中継管の分岐管部に設けてもよい。
また、戻り管を、戻り接続口と循環ポンプと横管と中継管の分岐管部とに分割して、分岐管を横管へ一体に設けているが、これに限らず、例えば横管と分岐管部とを一体に設けたり、横管と分岐管とを別体として接続したり等、分割形態は適宜変更可能である。
さらに、戻り管以外の給湯器の構成も上記形態に限らず、副熱交換器を備えた潜熱回収型や、給湯側と風呂側或いは暖房側との加熱回路を有する複合型等であっても、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0017】
1・・即湯機能付給湯器、2・・筐体、3・・箱本体、4・・フロントカバー、5・・燃焼装置、6・・バーナユニット、7・・熱交換器、8・・排気フード、9・・排気筒、12・・ガス接続口、13・・給水接続口、14・・給湯接続口、15・・戻り接続口、16・・ガス管、19・・給水管、20・・出湯管、21・・戻り管、22・・循環ポンプ、23・・横管、24・・中継管、27・・分岐管、28・・プラグ、29・・逆止弁、40・・即湯システム、41・・外部配管、42・・給湯栓。