(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2018138146
(22)【出願日】2018-07-24
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰之
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131553(JP,A)
【文献】特開2018-029823(JP,A)
【文献】特開2004-029370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
前記第1の端子に第1の配線を介して接続された第1のLEDと、
前記第2の端子に第2の配線を介して接続され、前記第1のLEDよりも駆動電流の小さい第2のLEDと、
を備え、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられて
おり、
前記LEDドライバは、
当該LEDドライバが有する第1の電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第1の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となり、
当該LEDドライバが有する第2の電子回路の所定のノード間に前記所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第2の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となるものであり、
前記電流制限抵抗器は、前記第2の電子回路の前記所定のノード間に前記所定の閾値未満の電位差が与えられるようにする抵抗器である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
一端側が前記第1の端子に接続された第1の配線と、
一端側が前記第2の端子に接続された第2の配線と、
を備え、
前記第1の配線の他端側には第1の数のLEDが接続され、
前記第2の配線の他端側には前記第1の数より少ない第2の数のLEDが接続されており、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられて
おり、
前記LEDドライバは、
当該LEDドライバが有する第1の電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第1の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となり、
当該LEDドライバが有する第2の電子回路の所定のノード間に前記所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第2の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となるものであり、
前記電流制限抵抗器は、前記第2の電子回路の前記所定のノード間に前記所定の閾値未満の電位差が与えられるようにする抵抗器である
ことを特徴とする遊技機
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては、遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機や、遊技メダルを投入後、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させることによって遊技を行うスロットマシンなどが知られている。
【0003】
上述したような遊技機では、遊技の進行過程で種々の演出が行われる。例えば、遊技者に特典が付与される可能性を示唆する演出や、遊技の進行状況を示唆する演出などが行われる(特許文献1)。このような演出としては、液晶表示器等の表示部に種々の画像を表示する演出の他に、LED(発光ダイオード)を種々の態様で発光させる演出が行われる。このようなLEDを発光させる演出を行うために、通常の遊技機には、LEDを発光(駆動)させるための電子回路が内蔵されたICパッケージ(本明細書では「LEDドライバ」ともいう)が搭載されている。
【0004】
このようなLEDドライバとしては、LEDの両端に所定の電圧をかける定電圧型のLEDドライバと、LEDに一定の電流を流す定電流型のLEDドライバとが存在している。これらのうち定電流型のLEDドライバは、電源電圧が変動してもLEDに一定の電流を流すことができるので、定電圧型のLEDドライバと比較して、LEDの輝度を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定電流型のLEDドライバを利用する場合は、LEDの接続態様を多様にすることができないという問題があった。すなわち、LEDドライバの中には、LEDが接続される端子を複数有しているものもあるが、定電流型のLEDドライバは、これら複数の端子全てに一定の電流(同一の電流)を流すため、互いに駆動電流の異なるLEDをこれらの端子に接続すると、不具合が生じるという問題があった。例えば、一の端子に駆動電流の大きなLEDを接続し、他の端子に駆動電流の小さなLEDを接続した場合、これらの端子に大きな電流を流すと、駆動電流の小さなLEDは破損してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、LEDの接続態様を多様にすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
前記第1の端子に第1の配線を介して接続された第1のLEDと、
前記第2の端子に第2の配線を介して接続され、前記第1のLEDよりも駆動電流の小さい第2のLEDと、
を備え、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられており、
前記LEDドライバは、
当該LEDドライバが有する第1の電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第1の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となり、
当該LEDドライバが有する第2の電子回路の所定のノード間に前記所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第2の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となるものであり、
前記電流制限抵抗器は、前記第2の電子回路の前記所定のノード間に前記所定の閾値未満の電位差が与えられるようにする抵抗器である
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の遊技機は、
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
一端側が前記第1の端子に接続された第1の配線と、
一端側が前記第2の端子に接続された第2の配線と、
を備え、
前記第1の配線の他端側には第1の数のLEDが接続され、
前記第2の配線の他端側には前記第1の数より少ない第2の数のLEDが接続されており、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられており、
前記LEDドライバは、
当該LEDドライバが有する第1の電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第1の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となり、
当該LEDドライバが有する第2の電子回路の所定のノード間に前記所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第2の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となるものであり、
前記電流制限抵抗器は、前記第2の電子回路の前記所定のノード間に前記所定の閾値未満の電位差が与えられるようにする抵抗器である
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、LEDの接続態様を多様にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。
【
図3】本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施例のセグメント表示部50の構成を示す説明図である。
【
図5】本実施例の大当り遊技の種類を示す説明図である。
【
図6】本実施例の演出表示装置41の表示内容を例示する説明図である。
【
図7】本実施例の「ランプ点灯演出」の実行確率を示す説明図である。
【
図8】従来のLED制御基板400(定電圧型のLEDドライバ401)の構成を概念的に示す説明図である。
【
図9】本実施例のLED制御基板300(定電圧型のLEDドライバ301)の構成を概念的に示す説明図である。
【
図10】本実施例のLEDドライバ301の出力端子O1~O3周辺の回路を示す説明図である。
【
図11】本実施例のCRDの電圧-電流特性を示す説明図である。
【
図12】変形例1のLEDドライバ501の出力端子O1~O3周辺の回路を示す説明図である。
【
図13】本実施例のバイポーラトランジスタの電圧-電流特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
【0017】
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A-1.装置前面側の構成:
A-2.遊技盤の構成:
A-3.制御回路の構成:
B.遊技の内容:
C.LED制御基板:
C-1.従来のLED制御基板400:
C-2.本実施例のLED制御基板300:
D.変形例:
D-1.変形例1:
D-2.変形例2:
D-3.変形例3:
【0018】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aには合成樹脂製の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20(
図2参照)の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部とは、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
【0019】
前面枠4における窓部4aの上方にはランプ5が設けられ、窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、前面枠4の下方(後述する本体枠の下部前面)には下部スピーカー6bが設けられている。これらのランプ5、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0020】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、パチンコ機1に対応して設けられたカードユニット252を介して払い出される(貸し出される)遊技球や、所定の入球口に遊技球が入球することに基づいてパチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0021】
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニットに接続されており、この発射装置ユニットには、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニットに伝達され、発射装置ユニットに内蔵された発射モーターが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0022】
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。また、図示は省略するが、上皿部7の縁部であって演出ボタン10aの左側には方向ボタン10cが設けられている。方向ボタン10cは上下左右方向のそれぞれに対応する4個のボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)から構成されている。これらの演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の演出が行われる。
【0023】
前面枠4の背面側には中枠および本体枠が設けられ、前面枠4は、一端(
図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(
図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。
【0024】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(
図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
【0025】
遊技領域21の略中央には周縁部に装飾が施された開口部である演出用開口部40が設けられており、この演出用開口部40の後方には液晶表示器によって構成された演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41の表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能であり、遊技者は、演出用開口部40を通して演出表示装置41の表示画面を視認することができる。
【0026】
遊技領域21における演出用開口部40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(
図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
【0027】
また、遊技領域21における演出用開口部40(演出表示装置41)の右下には、遊技球が通過可能な普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(
図3参照)が設けられている。また、普通図柄作動ゲート27の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。
図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(
図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
【0028】
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、略長方形状に大きく開口された第1大入賞口28(可変入球口)が設けられている。第1大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。
図2では、第1大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。第1大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1大入賞口28の内部の通路には第1大入賞口センサー28s(
図3参照)が設けられており、第1大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
【0029】
また、遊技領域21における第2始動口25の下方(遊技領域21の右下隅部)には、遊技盤20の前面から前方(遊技者側)に突出した第2大入賞口ユニット33が設けられている。第2大入賞口ユニット33の上面は、右側から左側にかけて下方へ傾斜しており、遊技球が右側から左側(パチンコ機1中央側)に転動可能な転動面34となっている。この転動面34の中途部(遊技球の転動方向の中途部)には、第2大入賞口35(可変入球口)が設けられている。この第2大入賞口35は、パチンコ機1の前後方向に摺動可能(移動可能)な開閉扉36(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉36が前方側に摺動(移動)して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉36が後方側に摺動(移動)して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞口ユニット33内部に設けられた通路を通って特定口38に導かれる。
【0030】
第2大入賞口ユニット33の前壁は少なくとも一部が透明板によって形成されているので(光透過性を有しているので)、遊技者は第2大入賞口ユニット33の前壁を通して、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定口38に導かれる様子を視認可能である。
【0031】
第2大入賞口35の内部には第2大入賞口センサー35s(
図3参照)が設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知可能である。また、特定口38の内部には特定口センサー38s(
図3参照)が設けられており、特定口38に入球した遊技球を検知可能である。
【0032】
上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能な一般入球口(図示省略)や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31、多数の障害釘(図示省略)が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口32が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口32から遊技盤20の裏側に排出される。
【0033】
上述した第1始動口24には、演出用開口部40(演出表示装置41)の左方の領域(第1領域)を流下する遊技球であっても、右方の領域(第2領域)を流下する遊技球であっても入球可能であるが、左方の領域を流下する遊技球の方が右方の領域を流下する遊技球よりも入球し易い。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35には、演出用開口部40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、演出用開口部40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、演出用開口部40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が遊技者に払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合は2個の遊技球が遊技者に払い出され、一般入球口に遊技球が入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。また、第1大入賞口28または第2大入賞口35に遊技球が入球した場合は15個の遊技球が遊技者に払い出される。
【0034】
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(
図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については後述する。
【0035】
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。
図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、遊技球の払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(
図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(
図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(
図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0036】
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27s、第1大入賞口28へ入球した遊技球を検知する第1大入賞口センサー28s、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知する第2大入賞口センサー35s、特定口38に入球した遊技球を検知する特定口センサー38sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
【0037】
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、第1大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(第1大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口35に設けられた開閉扉36に開閉動作を行わせるための(第2大入賞口35を開放状態、閉鎖状態にするための)第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
【0038】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、LED制御基板300、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、LED制御基板300に対しては、ランプ5の点灯パターンを指定するコマンド(本明細書では「点灯パターン指定コマンド」ともいう)を送信する。
【0039】
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板237を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
【0040】
LED制御基板300は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、受信した点灯パターン指定コマンドが指定する点灯パターンでランプ5(詳しくは後述する赤色LED71、緑色LED72、青色LED73)を点灯させる。
【0041】
また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10c(以下「演出操作部10a,10b,10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する演出を行う。
【0042】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン251(
図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット252などが接続されている。球貸ボタン251が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット252に伝達される。そして、カードユニット252は、遊技球の払い出し(貸し出し)を指示する払出コマンドを払出制御基板240に向けて送信する。払出制御基板240は、カードユニット252から払出コマンドを受信すると、遊技球の払い出し(貸し出し)を行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、遊技球の払い出しを行う。
【0043】
また、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0044】
B.遊技の内容 :
本実施例のパチンコ機1では次のように遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、
図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、演出用開口部40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、演出用開口部40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
【0045】
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球および右打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちまたは右打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、
図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。
【0046】
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(
図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(
図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。
図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ9個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、9個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、9個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄101~300)と1種類の外れ図柄(外れ図柄101)を停止表示可能であり、第2特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄401~600)と1種類の外れ図柄(外れ図柄401)を停止表示可能である。これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。
【0047】
主制御基板200のCPU201は、遊技球が第1始動口24に入球することに基づく特図当り判定(以下「第1特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第1特図を大当り図柄101~300の何れかで停止表示し、第1特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は、第1特図を外れ図柄101で停止表示する。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく特図当り判定(以下「第2特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第2特図を大当り図柄401~600の何れかで停止表示し、第2特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は第2特図を外れ図柄401で停止表示する。
【0048】
そして、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
【0049】
ここで、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行うに際しては、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の変動パターンを選択する。変動パターンとは、特別図柄が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であり、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報(変動パターンID)が付されている。変動パターンを選択する処理では、複数の変動パターン(変動パターンID、変動時間)に変動パターン選択乱数が割り振られた「変動パターン選択テーブル」を参照する。そして、第1特図保留または第2特図保留として取得された変動パターン選択乱数に対応する変動パターンを今回の変動パターンとして選択する。特別図柄は、このようにして選択された変動パターンに基づいて変動表示される。
【0050】
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を開始するに際しては、当該変動表示の変動パターンを示す変動パターン指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。これによって、今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンがサブ制御基板220に伝達される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、該変動パターン指定コマンドに基づいて今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンを認識し、認識した変動パターンに基づく(対応する)演出パターンで特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)に対応する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)を実行する。
【0051】
上述した変動パターンを選択する処理では、常時同じ変動パターン選択テーブルを参照するのではなく、種々の遊技進行状況に対応する変動パターン選択テーブルを参照する。例えば、特別図柄の種類(第1特図または第2特図)や、現在設定されている遊技状態、特図当り判定の結果、記憶されている第1特図保留および第2特図保留の数などに対応する変動パターン選択テーブルを参照する。こうすることで、種々の遊技進行状況に対応する変動パターンを選択可能となり、ひいては、サブ制御基板220のCPU221は種々の遊技進行状況に対応する演出パターンで演出を実行可能となる。
【0052】
また、主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を停止するに際しては、変動停止コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、この変動停止コマンドを受信することによって特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)が終了するタイミングがサブ制御基板220のCPU221に伝達される。
【0053】
尚、特別図柄は「識別情報」として捉えることもでき、特別図柄を変動表示させる主制御基板200のCPU201は「識別情報表示手段」として捉えることもできる。
【0054】
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球すると、上述したように特別図柄についての特図当り判定や変動表示が行われるものの、これらの特図当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、主制御基板200のCPU201は、取得された判定乱数を特別図柄の保留(特図保留)としてRAM203に一旦記憶する。
【0055】
詳しくは、遊技球が第1始動口24に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留について特図当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、
図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第1特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
【0056】
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留について特図当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、
図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第2特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
【0057】
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、特図保留が記憶されていても、特図当り判定や特別図柄の変動表示は行わない。また、複数の特図保留が記憶されている場合は、それらが第1特図保留であるか第2特図保留であるかに拘わらず、最先に記憶された特図保留についての特図当り判定および特別図柄の変動表示を行う(いわゆる特別図柄の順次変動機能を有する)。
【0058】
<遊技状態>
主制御基板200のCPU201は、本実施例のパチンコ機1の遊技状態として、「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」と「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」とを適宜設定する。これらのうち「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」としては、「低確率状態」または「高確率状態」を設定する。「低確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が低い(約100分の1の確率である)状態であり、「高確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が高い(約10分の1の確率である)状態である。
【0059】
また、「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」としては、「非電サポ状態」または「電サポ状態」を設定する。「非電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い状態であり、「電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い状態である。こうすることによって、「非電サポ状態」では、第2始動口25よりも第1始動口24に遊技球が入球し易く、「電サポ状態」では、第1始動口24よりも第2始動口25に遊技球が入球し易くなっている。このため、「非電サポ状態」では、遊技者に左打ちを行わせる(第1始動口24への入球を狙わせる)ことができ、「電サポ状態」では、遊技者に右打ちを行わせる(第2始動口25への入球を狙わせる)ことができる。
【0060】
尚、セグメント表示部50には、上述した電サポ状態中であることを示す電サポ表示部58が設けられている。すなわち、
図4に示すように、電サポ表示部58には、3個のLEDが配置されており、電サポ状態中は、この3個のLEDを点灯することによって電サポ状態中であることを遊技者に示す。さらに、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを遊技者に促す右打ち表示部59が設けられている。電サポ状態中は第2始動口25への遊技球の入球頻度が高く、且つ、第2始動口25は右打ちされた遊技球が入球可能であるので、電サポ状態中は右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。そこで、電サポ状態中は、右打ち表示部59に配置された2個のLEDを点灯することによって右打ちを行うことを遊技者に促すこととしている。
【0061】
<大当り遊技>
主制御基板200のCPU201は、第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示すると、第1大入賞口28または第2大入賞口35が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。
図2を用いて前述したように、第1大入賞口28および第2大入賞口35には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。
【0062】
図5に示すように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技として、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とを実行可能である。詳しくは、
図5(a)に示すように、第1特図が大当り図柄101~280で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は90%の確率で)、「Vショート」の大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄281~300で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は10%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。また、
図5(b)に示すように、第2特図が大当り図柄401~600で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は100%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。
【0063】
本実施例のパチンコ機1では、「Vショート」の大当り遊技または「Vロング」の大当り遊技の何れが行われる場合であっても、2回のラウンド遊技が行われ、そのうち1回目のラウンド遊技では第1大入賞口28が開放状態となり、2回目のラウンド遊技では第2大入賞口35が開放状態となる。もっとも、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とでは、「特定口38への遊技球の入球可能性」が互いに異なっている。すなわち、「Vショート」の大当り遊技および「Vロング」の大当り遊技は、1回目のラウンド遊技では双方とも10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)第1大入賞口28が開放状態となるものの、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が互いに異なる。詳しくは、「Vショート」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が0.2秒間であることから遊技球が特定口38に入球し難く、「Vロング」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)であることから遊技球が特定口38に入球し易い。
【0064】
そして、
図5(c)に示すように、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率状態且つ電サポ状態(高確率・電サポ状態)」に設定され、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ非電サポ状態(低確率・非電サポ状態)」に設定される。
【0065】
また、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率・電サポ状態」に設定され、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ電サポ状態(低確率・電サポ状態)」に設定される。
【0066】
尚、「高確率・電サポ状態」は次に大当り遊技が行われるまで継続し、「低確率・電サポ状態」は45回の図柄変動遊技が行われるまで継続する(それまでに大当り遊技が行われた場合は終了する)。
【0067】
ここで、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技を開始する場合は、サブ制御基板220に向けて大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始コマンドを送信する。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応する大当り遊技演出を実行する。
【0068】
尚、第1大入賞口28および第2大入賞口35は「可変入球口」として捉えることもでき、第1大入賞口28および第2大入賞口35の開放状態は「入球可能状態」として捉えることもでき、大当り遊技は「特定遊技」として捉えることもできる。また、第1大入賞口28および第2大入賞口35(可変入球口)が開放状態(入球可能状態)となる大当り遊技(特定遊技)を実行する主制御基板200のCPU201は、「特定遊技実行手段」として捉えることもできる。
【0069】
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技、普通図柄の保留>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する普図当り判定乱数)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。
図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示した場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技を行う。
【0070】
上述した非電サポ状態や電サポ状態は、普図当り判定の態様や、普通図柄の変動表示の態様、普図当り遊技の態様を異ならせることによって設定される。つまり、普図当り判定において普図当りと判定される確率は、非電サポ状態においては100分の1であり、電サポ状態においては100分の99である。また、普通図柄の変動時間としては、非電サポ状態においては長い時間が選択され易く(1000m秒、2000m秒、3000m秒の何れかが均等に選択され)、電サポ状態においては短い時間が選択され易い(1000m秒、1252m秒、1500m秒の何れかが均等に選択される)。また、普図当り遊技としては、非電サポ状態においては第2始動口25が短時間(16m秒×1回)だけ開放状態となる普図当り遊技が行われ、電サポ状態においては第2始動口25が長時間(840m秒×2回)開放状態となる普図当り遊技が行われる。これらによって、非電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が低くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も低くなる。これに対して、電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が高くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も高くなる。
【0071】
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、
図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち両方を消灯することで普図保留数が0個であることを示し、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
【0072】
<演出表示装置41の表示内容>
本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出を行うための処理は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200のCPU201から遊技の進行状況を示すコマンド(例えば、上述の変動パターン指定コマンド、大当り遊技開始コマンドなど)を受信することに基づいて、遊技の進行状況を把握しており、この遊技の進行状況に応じた演出を行う。
【0073】
例えば、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、第1特図または第2特図の変動表示(変動パターン)に合わせた図柄変動演出を行う。すなわち、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41において3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始する。その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行う。そして、サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると図柄変動演出を終了する。すなわち、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」~「9」までの9つの数字を意匠化した図柄を表示可能である。
【0074】
図6(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、例えば、初めに左識別図柄41aが停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52にて停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が外れ図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
【0075】
このように、第1特図表示部51または第2特図表示部52で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄41a,41b,41cも停止表示するようになっている。しかも、
図2に示すように、演出表示装置41は、第1特図表示部51または第2特図表示部52(セグメント表示部50)よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を視認しながら遊技を行うことが通常である。従って、
図6(b)に示すように、例えば、演出表示装置41の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、複数の識別図柄のうち一の識別図柄を除いた識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて該一の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
【0076】
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数(上限数は4個)を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数(上限数は4個)と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、
図6に示す例では、第1特図保留数が4個であり、第2特図保留数が4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致する。
【0077】
<ランプ点灯演出>
また、本実施例のパチンコ機1では、上述した図柄変動演出の実行中に、ランプ5を点灯させる「ランプ点灯演出」を実行可能であり、この「ランプ点灯演出」が実行されるか否かによって「リーチ期待度」や「大当り期待度」が異なる。「リーチ期待度」とはリーチ演出が行われる可能性であり、「大当り期待度」とは大当り判定で「大当り」と判定された可能性(大当り遊技が行われる可能性)である。このような「リーチ期待度」や「大当り期待度」は、「ランプ点灯演出」が行われない場合よりも、「ランプ点灯演出」が行われる場合の方が高くなるように設定されている。
【0078】
また、「ランプ点灯演出」では、ランプ5の点灯色によって「リーチ期待度」や「大当り期待度」が示唆される。詳しくは、「ランプ点灯演出」が行われる場合の「リーチ期待度」や「大当り期待度」は、ランプ5の点灯色が青色である場合が最も低く、緑色である場合が次に低く、赤色である場合が最も高くなるように設定されている。
【0079】
このような「ランプ点灯演出」に係る「リーチ期待度」および「大当り期待度」は、「ランプ点灯演出」の実行確率、すなわち、「ランプ点灯演出」に対応する変動パターンが選択される確率を適宜設定することによって実現される。つまり、「ランプ点灯演出」は、「ランプ点灯演出」に対応する変動パターンが選択された場合に実行されるように構成されており、このような変動パターンが選択される確率を適宜設定することによって、上述したような「リーチ期待度」および「大当り期待度」を実現することができる。
【0080】
例えば、
図7に示すように、大当り判定の結果が大当りである場合(あるいはリーチ演出を行う場合)は、「ランプ点灯演出を行わない変動パターンが選択される確率(ランプ点灯演出を行わない確率)」が最も低く設定されており、「青色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(青色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」→「緑色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(緑色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」の順に高くなり、「赤色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(赤色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」が最も高くなるように設定されている。逆に、大当り判定の結果が外れである場合(あるいはリーチ演出を行わない場合)は、「ランプ点灯演出を行わない変動パターンが選択される確率(ランプ点灯演出を行わない確率)」が最も高く設定されており、「青色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(青色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」→「緑色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(緑色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」の順に低くなり、「赤色に点灯するランプ点灯演出を行う変動パターンが選択される確率(赤色に点灯するランプ点灯演出を行う確率)」が最も低くなるように設定されている。
【0081】
C.LED制御基板 :
上述したような「ランプ点灯演出」は、ランプ5の内部に設けられた3つのLEDの発光態様をLED制御基板300が制御することによって行われる。すなわち、ランプ5の内部には、「赤色に発光する赤色LED71」、「緑色に発光する緑色LED72」、「青色に発光する青色LED73」が設けられており、赤色に点灯するランプ点灯演出を行う場合は赤色LED71を発光させ、緑色に点灯するランプ点灯演出を行う場合は緑色LED72を発光させ、青色に点灯するランプ点灯演出を行う場合は青色LED73を発光させる。
【0082】
尚、上述したランプ点灯演出では、「大当り期待度(あるいはリーチ期待度)」によってランプ5の点灯色が異なるだけでなく、ランプ5の輝度(LEDの輝度)も異ならせている。すなわち、「大当り期待度(あるいはリーチ期待度)」が最も高い赤色に点灯するランプ点灯演出では最も高い輝度でランプ5を点灯させ(最も高い輝度で赤色LED71を発光させ)、「大当り期待度(あるいはリーチ期待度)」が次に高い緑色に点灯するランプ点灯演出では次に高い輝度でランプ5を点灯させ(次に高い輝度で緑色LED72を発光させ)、「大当り期待度(あるいはリーチ期待度)」が最も低い青色に点灯するランプ点灯演出では最も低い輝度でランプ5を点灯させる(最も低い輝度で青色LED73を発光させる)。このようなランプ点灯演出を行うために、本実施例では、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73として、互いに発光輝度が異なるLEDを採用している。すなわち、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73は、互いに発光輝度が異なっていることから、互いに駆動電流(順電流)が異なっている。詳しくは、発光輝度が最も高い赤色LED71の駆動電流が最も大きく(例えば、30mA)、発光輝度が次に高い緑色LED72の駆動電流が次に大きく(例えば、20mA)、発光輝度が最も低い青色LED73の駆動電流が最も小さい(例えば、10mA)。
【0083】
以下では、このような赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を発光させる本実施例のLED制御基板300について説明するが、その準備として先ず、従来のLED制御基板400について説明する。
【0084】
C-1.従来のLED制御基板400 :
図8には、従来のLED制御基板400の構成が概念的に示されている。
図8に示すように、LED制御基板400には、定電圧型のLEDドライバ401が搭載されており、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73はLEDドライバ401に接続されている。すなわち、赤色LED71のカソード側は、配線H1を介してLEDドライバ401の出力端子O1に接続されており、緑色LED72のカソード側は配線H2を介してLEDドライバ401の出力端子O2に接続されており、青色LED73のカソード側は配線H3を介してLEDドライバ401の出力端子O3に接続されている。また、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73のアノード側は、電源V1に接続されている。LEDドライバ401は、定電圧型であることから、出力端子O1~O3に一定で同一の電圧を印加する電子回路が搭載されている。
【0085】
LEDドライバ401は、出力端子O1に出力する電圧を電源V1よりも低くすることで配線H1に電流を流し、これによって赤色LED71を発光させる。また、出力端子O2に出力する電圧を電源V1よりも低くすることで配線H2に電流を流し、これによって緑色LED72を発光させる。また、出力端子O3に出力する電圧を電源V1よりも低くすることで配線H3に電流を流し、これによって青色LED73を発光させる。尚、LEDドライバ401には、当然ながら、出力端子O1~O3以外にも、種々の端子が設けられており、例えば、サブ制御基板220から送信される点灯パターン指定コマンドが入力される端子も設けられている。
【0086】
そして、LEDドライバ401は、ランプ5を赤色に点灯する場合(ランプ5を赤色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、配線H1に電流を流すことで赤色LED71を発光させ、ランプ5を緑色に点灯する場合(ランプ5を緑色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、配線H2に電流を流すことで緑色LED72を発光させ、ランプ5を青色に点灯する場合(ランプ5を青色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、配線H3に電流を流すことで青色LED73を発光させる。
【0087】
以上のように、従来であれば、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を発光させる場合は、定電圧型のLEDドライバ(ここではLEDドライバ401)を利用していた。これは、LEDドライバが定電圧型ではなく定電流型である場合は、当然ながら(周知されているように)、複数の出力端子(ここでは出力端子O1~O3に相当する端子)に互いに同一で一定の電流が流れることから、互いに駆動電流の異なるLEDを発光させることができないためである。例えば、赤色LED71を発光させるべく(駆動させるべく)、出力端子(出力端子O1に相当する端子)に30mAの電流を流すと、緑色LED72および青色LED73(出力端子O2,O3に相当する端子)にも30mAの電流が流れることとなり、緑色LED72および青色LED73が破損してしまう虞がある。逆に、青色LED73を発光させるべく、出力端子(出力端子O3に相当する端子)に10mAの電流を流すと、赤色LED71および緑色LED72(出力端子O1,O2に相当する端子)にも10mAの電流しか流れず、赤色LED71および緑色LED72が発光しない、あるいは、赤色LED71および緑色LED72の輝度が十分でなくなってしまう。
【0088】
これに対して、定電圧型のLEDドライバ401であれば、出力端子O1~O3に互いに同一で一定の電圧を印加する構成であるため、
図8に示すように、抵抗器R1~R3を設けることで、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73に対応する電流(駆動電流)を流す(調節する)ことができる。すなわち、赤色LED71が接続された配線H1には、30mAの電流が流れるような抵抗値の抵抗器R1を設けることとし、緑色LED72が接続された配線H2には、20mAの電流が流れるような抵抗値の抵抗器R2を設けることとし、青色LED73が接続された配線H3には、10mAの電流が流れるような抵抗値の抵抗器R3を設けることとしていた。
【0089】
以上のように、従来であれば、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を発光させる場合は、定電圧型のLEDドライバ(ここでは定電圧型のLEDドライバ401)を利用せざるをえなかった。しかしながら、定電圧型のLEDドライバ401は、当然ながら(周知されているように)、電源V1の電圧が変動すると、配線H1~H3に流れる電流も変動してしまい、ひいては、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73の輝度を安定させることができないという問題があった。
【0090】
そこで、本実施例のパチンコ機1では、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を発光させる場合であっても、定電圧型ではなく定電流型のLEDドライバを利用することとした。換言すると、本来であれば、定電流型のLEDドライバを利用する場合は、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を発光させることは上述したように不可能であるが(不具合を生じるが)、本実施例のパチンコ機1では、このことを可能にしている。以下では、このことを可能にする本実施例のLED制御基板300について説明する。
【0091】
C-2.本実施例のLED制御基板300 :
図9には、本実施例のLED制御基板300の構成が概念的に示されている。
図9に示すように、本実施例のLED制御基板300には、定電圧型ではなく定電流型のLEDドライバ301が搭載されている。そして、この定電流型のLEDドライバ301の出力端子O1には、配線H11を介して赤色LED71のカソード側が接続され、出力端子O2には、配線H12を介して緑色LED72のカソード側が接続され、出力端子O3には、配線H13を介して青色LED73のカソード側が接続されている。
【0092】
ここで、
図9に示すように、配線H2には抵抗器R10が設けられ、配線H3には抵抗器R11が設けられているが、これらのような抵抗器は、通常であれば(従来であれば)、定電流型のLEDドライバ301に設けられることはない。その理由について
図10を用いて説明する。
【0093】
図10は、定電流型のLEDドライバ301の出力端子O1~O3周辺の回路を示す説明図である。定電流型のLEDドライバ301は、
図10に示すように、互いに回路構成が同一の電子回路E1~E3が搭載されている。これらの電子回路E1~E3は、出力端子O1~O3に一定の電流を流す機能を備えている。
【0094】
すなわち、電子回路E1~E3はそれぞれ、定電流ダイオード(CRD)を備えている。CRDは、印加される電圧が変化しても一定の電流を流すことができる素子である。本実施例のLEDドライバ301では、CRDのアノード側は出力端子O1~O3が接続されており、CRDのカソード側はグランドに接続されている(接地されている)。従って、CRDが設けられることによって、一定の電流が出力端子O1~O3→CRD→グランドと流れることとなる。もっとも、CRDとグランドの間には、MOSトランジスタmが設けられている。詳しくは、MOSトランジスタmのドレイン側は、定電流ダイオード(CRD)のカソード側に接続されており、MOSトランジスタmのソース側は、グランドに接続されている。従って、MOSトランジスタmがONになった場合(ソース-ドレイン間が導通した場合)に、一定の電流が出力端子O1~O3→CRD→グランドと流れることとなる。MOSトランジスタmをONにするためには、MOSトランジスタmのゲートに電圧が印加される必要があるが、このゲートには、ノードINが接続されている。すなわち、このノードINに電圧が印加されると(信号が入力されると)、一定の電流が出力端子O1~O3→CRD→グランドと流れることとなる。この場合は当然ながら、配線H11~配線13(赤色LED71、緑色LED72、青色LED73)にも電流が流れることとなる。
【0095】
本実施例のLEDドライバ301は、上述した電子回路E1~E3以外にも、種々の電子回路が搭載されており、サブ制御基板220から送信される点灯パターン指定コマンドを受信(解析)するための電子回路(本明細書では「コマンド解析回路」ともいう)も搭載されている。
【0096】
このコマンド解析回路は、ランプ5を赤色に点灯する場合(ランプ5を赤色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E1のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O1→CRD→グランドに流す。この場合は当然ながら、配線H11および赤色LED71にも電流が流れることとなる。
【0097】
また、ランプ5を緑色に点灯する場合(ランプ5を緑色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E2のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O2→CRD→グランドに流す。この場合は当然ながら、配線H12および緑色LED72にも電流が流れることとなる。
【0098】
また、ランプ5を青色に点灯する場合(ランプ5を青色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E3のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O3→CRD→グランドに流す。この場合は当然ながら、配線H13および青色LED73にも電流が流れることとなる。
【0099】
尚、電子回路E1~E3には、上述した素子以外にも、各ノードに印加される電圧を規定(調節)するための抵抗器R21~R23が設けられている。
【0100】
以上のように、本実施例のLEDドライバ301は、電子回路E1~E3を備えることによって、出力端子O1~O3に一定の電流を流すことができる。この一定の電流の値は、LEDドライバ301の端子EXTに接続される抵抗器Rxの抵抗値によって規定される。本実施例では、出力端子O1~O3に流れる電流が30mAになる抵抗値の抵抗器Rxが接続されている。
【0101】
ここで、上述したように、出力端子O1~O3に流れる電流を30mAにすると、当然ながら、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73(配線H11~H13)にも30mAの電流が流れることとなる。こうなると、駆動電流が30mAの赤色LED71については適切な電流値となるため問題なく発光することとなるが、駆動電流が20mAの緑色LED72、および、駆動電流が10mAの青色LED73については、駆動電流を超える電流が流れることとなり、破損してしまう虞がある。
【0102】
そこで、本実施例のパチンコ機1では、次のような工夫を施すこととした。すなわち、上述したように定電流型のLEDドライバ301は、出力端子O1~O3に一定の電流を流すことが可能である。しかし、それには条件があり、電子回路E1~E3に設けられたCRDに印加される電圧Vac(CRDのアノード側のノードNaとカソード側のノードNcの間の電位差Vac)が所定の範囲にある必要がある。
図11には、CRDの電圧-電流特性が示されている。
図11に示すように、本実施例のCRDは、印加される電圧VacがVth(閾値、例えば、2.5V)以上であれば、一定の電流(ここでは30mA)が流れるものの、Vth未満であれば、印加された電圧に依存した電流が(出力端子に)流れる特性を持っている。このため、従来であれば当然ながら、定電流型のLEDドライバ301の特性(出力端子に一定の電流が流れるという特性)を生かすべく、CRDにはVth以上の電圧が印加されるように各素子を接続していた。
【0103】
本実施例では、上述した当然のことを覆して、電子回路E2、電子回路E3については、CRDにVth未満の電圧しか印加されないようにした。すなわち、上述したようにCRDが「印加された電圧がVth未満であれば該電圧に依存した電流が流れる特性」を有することに着目して、CRDにVth未満の電圧しか印加されないようにする(CRDのアノード側のノードNaとカソード側のノードNcの間の電位差VacをVth未満にする)抵抗器R10、抵抗器R11を設けることとした。これによって、意図的に、出力端子O2、O3に、CRDに印加された電圧に依存した電流が流れるようにした。
【0104】
詳しくは、電子回路E2については、抵抗器R10をCRDと緑色LED72の間(配線H12)に設けることで、CRDにVthより小さいV2(例えば、1.0V)の電圧しか印加されないようにして(CRDのアノード側のノードNaとカソード側のノードNcの間の電位差VacをVthより小さいV2にして)、出力端子O2に、CRDに印加された電圧V2に依存した電流である20mAが流れるようにした。この結果、一定の電流として30mAの電流を流す定電流型のLEDドライバ301を利用した場合であっても、出力端子O2(緑色LED72)には20mAの電流を流すことができ、緑色LED72を不具合無く発光させることが可能となる。
【0105】
また、電子回路E3については、抵抗器R11をCRDと青色LED73の間(配線H13)に設けることで、CRDにVthより小さいV3(例えば、0.5V)の電圧しか印加されないようにして(CRDのアノード側のノードNaとカソード側のノードNcの間の電位差VacをVthより小さいV3にして)、出力端子O3に、CRDに印加された電圧V3に依存した電流である10mAが流れるようにした。この結果、一定の電流として30mAの電流を流す定電流型のLEDドライバ301を利用した場合であっても、出力端子O3(青色LED73)には10mAの電流を流すことができ、青色LED73を不具合無く発光させることが可能となる。
【0106】
以上のように、本実施例のパチンコ機1では、「定電流型のLEDドライバ301を利用するに際してはCRDにVth以上の電圧を印加して出力端子O1~O3に一定の電流を流す」という当然のことを覆した構成を採用した。すなわち、電子回路E2、電子回路E3については、CRDにVth未満の電圧しか印加されないようにして、意図的に、出力端子O2、O3に、CRDに印加された電圧に依存した電流が流れるようにした。この結果、定電流型のLEDドライバ301を利用する場合であっても(定電流型のLEDドライバ301を利用することで赤色LED71の輝度を安定させつつも)、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を不具合無く発光させることが可能となる。
【0107】
また、本実施例のLEDドライバ301は、出力端子O1~O3に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される端子EXTを有しており、この端子EXTには、該最大値を赤色LED71の駆動電流である30mAに制限する抵抗器Rxが接続されている。すなわち、端子EXTに抵抗器Rxを接続するだけで、赤色LED71の駆動電流を出力端子O1(赤色LED71)に流すことができるので、赤色LED71については他に電子部品を追加する必要がなく(抵抗器R10,R11に相当する抵抗器を設ける必要がなく)、生産性を向上させることが可能となる。
【0108】
尚、出力端子O1は「第1の端子」として捉えることができ、出力端子O2,O3は「第2の端子」として捉えることができる。また、配線H11は「第1の配線」として捉えることができ、配線H12,H13は「第2の配線」として捉えることができる。また、赤色LED71は「第1のLED」として捉えることができ、緑色LED72、青色LED73は「第2のLED」として捉えることができる。また、抵抗器R10,R11は「電流制限抵抗器」として捉えることができる。また、電子回路E1は「第1の電子回路」として捉えることができ、電子回路E2,E3は「第2の電子回路」として捉えることができる。
【0109】
D.変形例 :
次に変形例について説明する。
D-1.変形例1 :
変形例1では、上述したLEDドライバ301に代えてLEDドライバ501を採用した。LEDドライバ501も、LEDドライバ301と同様に定電流型であり、上述した電子回路E1~E3の代わりに電子回路E11~E13を備えている。
【0110】
図12は、電子回路E11~E13を示す説明図である。定電流型のLEDドライバ501は、
図12に示すように、互いに回路構成が同一の電子回路E11~E13が搭載されている。これらの電子回路E11~E13は、出力端子O1~O3に一定の電流を流す機能を備えている。
【0111】
すなわち、電子回路E11~E13はそれぞれ、出力端子O1~O3とグランドの間に、バイポーラトランジスタbを備えている。詳しくは、バイポーラトランジスタbのコレクタ側は出力端子O1~O3に接続されており、バイポーラトランジスタbのエミッタ側はグランドに接続されている。従って、バイポーラトランジスタbがONになった場合(コレクタ-エミッタ間が導通した場合)に、一定の電流が出力端子O1~O3からグランドに流れることとなる。バイポーラトランジスタbをONにするためには、バイポーラトランジスタbのベースに電圧が印加される必要があるが、このベースには、ノードINが接続されている。すなわち、このノードINに電圧が印加されると(信号が入力されると)、一定の電流が出力端子O1~O3からグランドに流れることとなる。この場合は当然ながら、配線H11~配線13(赤色LED71、緑色LED72、青色LED73)にも電流が流れることとなる。
【0112】
変形例1のLEDドライバ501は、上述した電子回路E11~E13以外にも、種々の電子回路が搭載されており、サブ制御基板220から送信される点灯パターン指定コマンドを受信(解析)するための電子回路(本明細書では「コマンド解析回路」ともいう)も搭載されている。
【0113】
このコマンド解析回路は、ランプ5を赤色に点灯する場合(ランプ5を赤色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E11のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O1からグランドに流す。この場合は当然ながら、配線H11および赤色LED71にも電流が流れることとなる。
【0114】
また、ランプ5を緑色に点灯する場合(ランプ5を緑色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E12のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O2からグランドに流す。この場合は当然ながら、配線H12および緑色LED72にも電流が流れることとなる。
【0115】
また、ランプ5を青色に点灯する場合(ランプ5を青色に点灯させることを示す点灯パターン指定コマンドを受信した場合)は、電子回路E13のノードINに電圧を印加することで、一定の電流を出力端子O3からグランドに流す。この場合は当然ながら、配線H13および青色LED73にも電流が流れることとなる。
【0116】
尚、電子回路E11~E13には、上述した素子以外にも、各ノードに印加される電圧を規定(調節)するための抵抗器R31~R33が設けられている。
【0117】
以上のように、変形例1のLEDドライバ501は、電子回路E11~E13を備えることによって、出力端子O1~O3に一定の電流を流すことができる。この一定の電流の値は、LEDドライバ501の端子EXTに接続される抵抗器Rxの抵抗値によって規定される。変形例1でも、出力端子O1~O3に流れる電流が30mAになる抵抗値の抵抗器Rxが接続されている。
【0118】
ここで、上述したように、出力端子O1~O3に流れる電流を30mAにすると、当然ながら、赤色LED71、緑色LED72、青色LED73(配線H11~H13)にも30mAの電流が流れることとなる。こうなると、駆動電流が30mAの赤色LED71については適切な電流値となるため問題なく発光することとなるが、駆動電流が20mAの緑色LED72、および、駆動電流が10mAの青色LED73については、駆動電流を超える電流が流れることとなり、破損してしまう虞がある。
【0119】
そこで、変形例1では、次のような工夫を施すこととした。すなわち、上述したように定電流型のLEDドライバ501は、出力端子O1~O3に一定の電流を流すことが可能である。しかし、それには条件があり、電子回路E11~E13に設けられたバイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)に印加される電圧Vce(バイポーラトランジスタbのコレクタ側のノードNcとエミッタ側のノードNeの間の電位差Vce)が所定の範囲にある必要がある。
図13には、バイポーラトランジスタbの電圧-電流特性が示されている。
図13に示すように、変形例1のバイポーラトランジスタbは、印加される電圧VceがVth2(閾値、例えば、2.5V)以上であれば、一定の電流(ここでは30mA)がコレクタ側からエミッタ側に流れるものの、Vth2未満であれば、印加された電圧に依存した電流が(出力端子に)コレクタ側からエミッタ側に流れる特性を持っている。このため、従来であれば当然ながら、定電流型のLEDドライバ501の特性(出力端子に一定の電流が流れるという特性)を生かすべく、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にはVth2以上の電圧が印加されるように各素子を接続していた。
【0120】
変形例1では、上述した当然のことを覆して、電子回路E12、電子回路E13については、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2未満の電圧しか印加されないようにした。すなわち、上述した「印加された電圧がVth2未満であれば該電圧に依存した電流がコレクタ側からエミッタ側に流れる特性」をバイポーラトランジスタbが有することに着目して、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2未満の電圧しか印加されないようにする(バイポーラトランジスタbのコレクタ側のノードNcとエミッタ側のノードNeの間の電位差VceをVth2未満にする)抵抗器R20、抵抗器R21を設けることとした。これによって、意図的に、出力端子O2、O3に、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)に印加された電圧に依存した電流が流れるようにした。
【0121】
詳しくは、電子回路E12については、バイポーラトランジスタbと緑色LED72の間(配線H12)に抵抗器R20を設けることで、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2より小さいV2(例えば、1.0V)の電圧しか印加されないようにした(バイポーラトランジスタbのコレクタ側のノードNcとエミッタ側のノードNeの間の電位差VceをVth2より小さいV2にした)。これによって、出力端子O2に、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)に印加された電圧V2に依存した電流である20mAを流すことが可能となる。この結果、一定の電流として30mAの電流を流す定電流型のLEDドライバ501を利用した場合であっても、出力端子O2(緑色LED72)には20mAの電流を流すことができ、緑色LED72を不具合無く発光させることが可能となる。
【0122】
また、電子回路E13については、バイポーラトランジスタbと青色LED73の間(配線H13)に抵抗器R21を設けることで、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2より小さいV3(例えば、0.5V)の電圧しか印加されないようにした(バイポーラトランジスタbのコレクタ側のノードNcとエミッタ側のノードNeの間の電位差VceをVth2より小さいV3にした)。これによって、出力端子O3に、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)に印加された電圧V3に依存した電流である10mAを流すことが可能となる。この結果、一定の電流として30mAの電流を流す定電流型のLEDドライバ501を利用した場合であっても、出力端子O3(青色LED73)には10mAの電流を流すことができ、青色LED73を不具合無く発光させることが可能となる。
【0123】
以上のように、変形例1では、「定電流型のLEDドライバ501を利用するに際してはバイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2以上の電圧を印加して出力端子O1~O3に一定の電流を流す」という当然のことを覆した構成を採用した。すなわち、電子回路E12、電子回路E13については、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)にVth2未満の電圧しか印加されないようにして、意図的に、出力端子O2、O3に、バイポーラトランジスタb(のコレクタ-エミッタ間)に印加された電圧に依存した電流が流れるようにした。この結果、定電流型のLEDドライバ501を利用する場合であっても(定電流型のLEDドライバ501を利用することで赤色LED71の輝度を安定させつつも)、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を不具合無く発光させることが可能となる。
【0124】
また、変形例1のLEDドライバ501は、出力端子O1~O3に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される端子EXTを有している。そして、この端子EXTには、該最大値を赤色LED71の駆動電流である30mAに制限する抵抗器Rxが接続されている。すなわち、端子EXTに抵抗器Rxを接続するだけで、赤色LED71の駆動電流を出力端子O1(赤色LED71)に流すことができるので、赤色LED71については他に電子部品を追加する必要がなく(抵抗器R20,R21に相当する抵抗器を設ける必要がなく)、生産性を向上させることが可能となる。
【0125】
尚、変形例2においても、出力端子O1は「第1の端子」として捉えることができ、出力端子O2,O3は「第2の端子」として捉えることができ、端子EXTは「第3の端子」として捉えることができる。また、配線H11は「第1の配線」として捉えることができ、配線H12,H13は「第2の配線」として捉えることができる。また、赤色LED71は「第1のLED」として捉えることができ、緑色LED72、青色LED73は「第2のLED」として捉えることができる。また、抵抗器R10,R11は「電流制限抵抗器」として捉えることができる。また、電子回路E11は「第1の電子回路」として捉えることができ、電子回路E12,E13は「第2の電子回路」として捉えることができる。
【0126】
D-2.変形例2 :
上述した実施例、変形例1では、定電流型のLEDドライバ301、LEDドライバ501の出力端子O1~O3に、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を接続した例について説明した。これに限らず、出力端子O1~O3に、互いに数の異なるLEDを接続することとしてもよい。
【0127】
例えば、
図14に示すように、定電流型のLEDドライバ301の出力端子O1(30mAの電流が流れる配線H11)には3つの青色LED73を並列で接続し(駆動電流=10mA×3)、出力端子O2(20mAの電流が流れる配線12)には2つの青色LED73を並列で接続し(駆動電流=10mA×2)、出力端子O3(10mAの電流が流れる配線H13)には1つの青色LED73を接続する(駆動電流=10mA×1)こととしてもよい。
【0128】
ここで、定電流型のLEDドライバ301は、通常は(従来であれば)、出力端子O1~O3に一定で同一の電流を流すため、互いに数の異なるLED(ここでは、3つの青色LED73、2つの青色LED73、1つの青色LED73)を接続すると、不具合が生じてしまう。例えば、3つの青色LED73を発光させるべく(駆動させるべく)、3つの青色LED73の駆動電流に相当する30mAの電流を出力端子O1の端子に流すと、出力端子O2,O3にも30mAの電流が流れることとなり、これらの端子に接続されたLED(2つの青色LED73、1つの青色LED73)が破損してしまう虞がある。逆に、1つの青色LED73を発光させるべく(駆動させるべく)、1つの青色LED73の駆動電流に相当する10mAの電流を出力端子O3に流すと、出力端子O1,O2にも10mAの電流しか流れないこととなり、これらの端子に接続されたLED(3つの青色LED73、2つの青色LED73)が発光しない、あるいは、これらのLEDの輝度が十分でなくなってしまう。
【0129】
この点、上述した実施例と同様の抵抗器R10を配線H12に設けることとすると、LEDドライバ301は、出力端子O2(配線H12)に20mAの電流を流すことが可能となるので、配線H12に並列に接続された2つの青色LED73のそれぞれに10mAの電流が流れることとなる。また、上述した実施例と同様の抵抗器R11を配線H13に設けることとすると、LEDドライバ301は、出力端子O3(配線H13)に10mAの電流を流すことが可能となる。この結果、定電流型のLEDドライバ301を利用する場合であっても、互いに数の異なるLEDを不具合無く発光させることが可能となる。
【0130】
また、LEDドライバ301は、出力端子O1~O3に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される端子EXTを有している。そして、この端子EXTには、該最大値を3つの青色LED73の駆動電流(駆動電流=10mA×3)である30mAに制限する抵抗器Rxが接続されている。すなわち、端子EXTに抵抗器Rxを接続するだけで、3つの青色LED73の駆動電流を出力端子O1に流すことができるので、3つの青色LED73(出力端子O1に接続された青色LED73)については他に電子部品を追加する必要がなく(抵抗器R10,R11に相当する抵抗器を設ける必要がなく)、生産性を向上させることが可能となる。
【0131】
尚、出力端子O1は「第1の端子」として捉えることができ、出力端子O2,O3は「第2の端子」として捉えることができ、端子EXTは「第3の端子」として捉えることができる。また、配線H11は「第1の配線」として捉えることができ、配線H12,H13は「第2の配線」として捉えることができる。また、赤色LED71は「第1のLED」として捉えることができ、緑色LED72、青色LED73は「第2のLED」として捉えることができる。また、出力端子O1に接続された3つの青色LED73、出力端子O2に接続された2つの青色LED73、出力端子O3に接続された1つの青色LED73のうち、より数の多いものは「第1の数のLED」として捉えることができ、より数の少ないものは「第2の数のLED」として捉えることができる。
【0132】
D-3.変形例3 :
上述した実施例、変形例1では、抵抗器R10を設けることで出力端子O2(配線H12)に20mAが流れるようにし、抵抗器R11を設けることで出力端子O3(配線H13)に10mAが流れるようにした。これに限らず、抵抗器R10,R11を設けないこととしてもよい。すなわち、この場合は、出力端子O2(配線H12)、出力端子O3(配線H13)には、出力端子O1(配線H11)と同様に、30mAの電流が流れることとなる。
【0133】
そこで、
図15に示すように、配線H12は配線H21と配線H22に分岐して、配線H21に緑色LED72を接続し、配線H22には抵抗器R30を接続する。このとき、抵抗器R30の抵抗値は、配線H21に20mAの電流が流れるように(配線22に10mAの電流が流れるように)設定する。また、配線H13は配線H23と配線H24に分岐して、配線H23に青色LED73を接続し、配線H24には抵抗器R31を接続する。このとき、抵抗器R31の抵抗値は、配線H23に10mAの電流が流れるように(配線24に20mAの電流が流れるように)設定する。この結果、定電流型のLEDドライバ301を利用する場合であっても(定電流型のLEDドライバ301を利用することで赤色LED71の輝度を安定させつつも)、互いに駆動電流の異なる赤色LED71、緑色LED72、青色LED73を不具合無く発光させることが可能となる。
【0134】
また、LEDドライバ301は、出力端子O1~O3に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される端子EXTを有している。そして、この端子EXTには、該最大値を赤色LED71の駆動電流である30mAに制限する抵抗器Rxが接続されている。すなわち、端子EXTに抵抗器Rxを接続するだけで、赤色LED71の駆動電流を出力端子O1(赤色LED71)に流すことができるので、赤色LED71については他に電子部品を追加する必要がなく(抵抗器R30,R31に相当する抵抗器を設ける必要がなく)、生産性を向上させることが可能となる。
【0135】
尚、出力端子O1は「第1の端子」として捉えることができ、出力端子O2,O3は「第2の端子」として捉えることができ、端子EXTは「第3の端子」として捉えることができる。また、配線H11は「第1の配線」として捉えることができ、配線H12,H13は「第2の配線」として捉えることができる。また、赤色LED71は「第1のLED」として捉えることができ、緑色LED72、青色LED73は「第2のLED」として捉えることができる。
【0136】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0137】
例えば、上述した実施例および変形例では、遊技盤20に形成された遊技領域21に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機1に本発明を適用したが、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行うスロットマシン(回胴式遊技機)に本発明を適用することとしてもよい。スロットマシンでは、回胴が所定の図柄の組合せで停止表示されると遊技メダルが払い出されるので、本発明をスロットマシンに適用することとした場合は、遊技メダルを遊技媒体として捉えることができる。
【0138】
また、上述した実施例および変形例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0139】
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A6>
上述した実施例のパチンコ機は、次のような遊技機A1~A6として捉えることができる。
【0140】
<遊技機A1>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
前記第1の端子に第1の配線を介して接続された第1のLEDと、
前記第2の端子に第2の配線を介して接続され、前記第1のLEDよりも駆動電流の小さい第2のLEDと、
を備え、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【0141】
このような遊技機では、定電流型のLEDドライバは、第1の端子および第2の端子に所定値の電流(同一の電流)を流すため、互いに駆動電流の異なるLED(第1のLED、第2のLED)を第1の端子、第2の端子に接続すると、不具合が生じてしまう。例えば、第1のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第1のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「大電流」ともいう)を第1の端子に流すと、第2の端子にも「大電流」が流れることとなり、第2のLEDが破損してしまう虞がある。逆に、第2のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第2のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「小電流」ともいう)を第2の端子に流すと、第1の端子にも「小電流」が流れることとなり、第1のLEDが発光しない、あるいは、第1のLEDの輝度が十分でなくなってしまう。
【0142】
そこで、本遊技機では、第2の配線(第2のLED)を流れる電流の大きさを所定値より小さくする「電流制限抵抗器」を第2の配線に設けることとした。こうすると、第1のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)「大電流」を第1の端子に流した場合であっても、第2の端子(第2の配線)には「大電流(所定値)」よりも小さな電流しか流れず、第2のLEDの破損を防止できる。この結果、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、互いに駆動電流の異なるLEDを不具合無く発光させることが可能となる。
【0143】
<遊技機A2>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
一端側が前記第1の端子に接続された第1の配線と、
一端側が前記第2の端子に接続された第2の配線と、
を備え、
前記第1の配線の他端側には第1の数のLEDが接続され、
前記第2の配線の他端側には前記第1の数より少ない第2の数のLEDが接続されており、
前記第1の配線および前記第2の配線のうち前記第2の配線には、前記第2の配線を流れる電流の大きさを前記所定値より小さくする抵抗器である電流制限抵抗器が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【0144】
このような遊技機では、定電流型のLEDドライバは、第1の端子および第2の端子に所定値の電流(同一の電流)を流すため、互いに数の異なるLED(第1の数のLED、第2の数のLED)を第1の端子、第2の端子に接続すると、不具合が生じてしまう。例えば、第1の数のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第1の数のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「大電流」ともいう)を第1の端子に流すと、第2の端子にも「大電流」が流れることとなり、第1の数より少ない第2の数のLEDが破損してしまう虞がある。逆に、第2の数のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第2の数のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「小電流」ともいう)を第2の端子に流すと、第1の端子にも「小電流」が流れることとなり、第2の数より多い第1の数のLEDが発光しない、あるいは、第1の数のLEDの輝度が十分でなくなってしまう。
【0145】
そこで、本遊技機では、第2の配線(第2のLED)を流れる電流の大きさを所定値より小さくする「電流制限抵抗器」を第2の配線に設けることとした。こうすると、第1の数のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)「大電流」を第1の端子に流した場合であっても、第2の端子(第2の配線)には「大電流(所定値)」よりも小さな電流しか流れず、第2の数のLEDの破損を防止できる。この結果、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、互いに数の異なるLEDを不具合無く発光させることが可能となる。
【0146】
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記LEDドライバは、
当該LEDドライバが有する第1の電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第1の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となり、
当該LEDドライバが有する第2の電子回路の所定のノード間に前記所定の閾値以上の電位差が与えられることで前記第2の端子に前記所定値の電流を流すことが可能となるものであり、
前記電流制限抵抗器は、前記第2の電子回路の前記所定のノード間に前記所定の閾値未満の電位差が与えられるようにする抵抗器である
ことを特徴とする遊技機。
【0147】
一般的な定電流型のLEDドライバは、内蔵された電子回路の所定のノード間に所定の閾値以上の電位差が与えられないと、所定値の電流(いわゆるピンチオフ電流)を端子に流すことはできず、所定の閾値未満の電位差しか与えられない場合は該電位差に依存した電流(所定値未満の電流)が流れることとなる。それは本遊技機の定電流型のLEDドライバも同様であり、内蔵された電子回路の所定のノード間に所定の閾値未満の電位差しか与えられない場合は、該電位差に依存した電流(所定値未満の電流)が第1の端子、第2の端子に流れることとなる。本遊技機は、このことに着目したものであり、第2の電子回路については、所定のノード間に所定の閾値未満の電位差しか与えられないようする「電流制限抵抗器」を設けることで、意図的に、第2の端子に該電位差に依存した電流(所定値未満の電流)が流れるようにした。こうすると、第1のLED(あるいは、第1の数のLED)を発光させるべく(駆動させるべく)「大電流」を第1の端子に流した場合であっても、第2の端子(第2の配線)には「大電流(所定値)」よりも小さな電流しか流れず、第2のLED(あるいは、第1の数より少ない第2の数のLED)の破損を防止できる。この結果、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、互いに駆動電流(あるいは、数)の異なるLEDを不具合無く発光させることが可能となる。
【0148】
<遊技機A4>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1の端子および第2の端子を有し、前記第1の端子および前記第2の端子に所定値の電流を流すことが可能な定電流型のLEDドライバと、
一端側が前記第1の端子に接続された第1の配線と、
一端側が前記第2の端子に接続された第2の配線と、
を備え、
前記第1の配線の他端側には第1のLEDが接続され、
前記第2の配線の他端側は、2つに分岐されており、該分岐された一方には前記第1のLEDよりも駆動電流の小さい第2のLEDが接続されており、該分岐された他方には所定の抵抗値の抵抗器が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【0149】
このような遊技機では、定電流型のLEDドライバは、第1の端子および第2の端子に所定値の電流(同一の電流)を流すため、互いに駆動電流の異なるLED(第1のLED、第2のLED)を第1の端子、第2の端子に接続すると、不具合が生じてしまう。例えば、第1のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第1のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「大電流」ともいう)を第1の端子に流すと、第2の端子にも「大電流」が流れることとなり、第2のLEDが破損してしまう虞がある。逆に、第2のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)、第2のLEDの駆動電流に相当する電流(ここでは「小電流」ともいう)を第2の端子に流すと、第1の端子にも「小電流」が流れることとなり、第1のLEDが発光しない、あるいは、第1のLEDの輝度が十分でなくなってしまう。
【0150】
そこで、本遊技機では、第2の配線(第2のLED)を分岐させて、該分岐された一方には第2のLEDを接続し、該分岐された他方には抵抗器を設けることとした。こうした場合、第1のLEDを発光させるべく(駆動させるべく)「大電流」を第1の端子に流すと、第2の端子(第2の配線)にも「大電流」が流れるものの、この電流はその先で分流されることとなる。このため、第2のLEDには「大電流(所定値)」よりも小さな電流しか流れないこととなり、第2のLEDの破損を防止できる。この結果、定電流型のLEDドライバを利用する場合であっても、互いに駆動電流の異なるLEDを不具合無く発光させることが可能となる。
【0151】
<遊技機A5>
遊技機A1または遊技機A4において、
前記LEDドライバは、前記第1の端子および前記第2の端子の他に、前記第1の端子および前記第2の端子に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される第3の端子を有しており、
前記第3の端子には、前記最大値を前記第1のLEDの駆動電流に制限する抵抗器が接続されている
ことを特徴とする遊技機。
【0152】
このような遊技機では、第3の端子に抵抗器を接続するだけで第1のLEDの駆動電流を第1の端子に流すことができるので、第1のLEDの駆動(発光)については他に電子部品を追加する必要がなく、生産性を向上させることが可能となる。
【0153】
<遊技機A6>
遊技機A2において、
前記LEDドライバは、前記第1の端子および前記第2の端子の他に、前記第1の端子および前記第2の端子に流すことが可能な電流の最大値を制限するための抵抗器が接続される第3の端子を有しており、
前記第3の端子には、前記最大値を前記第1の数のLEDの駆動電流に制限する抵抗器が接続されている
ことを特徴とする遊技機。
【0154】
このような遊技機では、第3の端子に抵抗器を接続するだけで第1の数のLEDの駆動電流を第1の端子に流すことができるので、第1の数のLEDの駆動(発光)については他に電子部品を追加する必要がなく、生産性を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0156】
1…パチンコ機(遊技機)、24…第1始動口、25…第2始動口、28…第1大入賞口(可変入球口)、35…第2大入賞口(可変入球口)、71…赤色LED(第1のLED)、72…緑色LED(第2のLED)、73…青色LED(第2のLED)、200…主制御基板、201…CPU(識別情報表示手段、特定遊技実行手段)、220…サブ制御基板、221…CPU、300…LED制御基板、301…LEDドライバ(制御部)、501…LEDドライバ(制御部)。