(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】表示システム及び表示方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220805BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20220805BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220805BHJP
G16H 40/60 20180101ALI20220805BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/04842
G06T19/00 600
G16H40/60
(21)【出願番号】P 2018228874
(22)【出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】宮保 憲治
(72)【発明者】
【氏名】江川 香奈
(72)【発明者】
【氏名】今野 紀子
(72)【発明者】
【氏名】島田 尊正
(72)【発明者】
【氏名】渡井 公介
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 広太郎
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136834(JP,A)
【文献】特開2017-138981(JP,A)
【文献】特開2016-126414(JP,A)
【文献】特開2017-191546(JP,A)
【文献】特開2017-63844(JP,A)
【文献】特開2008-252570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0116086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0364637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048
G06T 19/00
G16H 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMD(Head Mounted Display)に搭載され、前記HMDの装着者の視野の少なくとも一部を撮像する第1のカメラと、
予め定められた領域内に存在する人物を撮像する第2のカメラと、
第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを記憶する記憶部と、
前記第1のカメラで撮像された画像から第1の人物を認識し、前記第2のカメラで撮像された画像から第2の人物を認識し、第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを前記記憶部から読み出すコンピュータと、
前記記憶部から読み出されたデータを、前記領域内に向けて送信する空間通信部と、
前記HMDに搭載され、前記空間通信部からのデータを受信するHMD通信部と、
前記HMD通信部の受信したデータを表示する前記HMDと、
を備える表示システム。
【請求項2】
前記第1の人物は患者であり、
前記第2の人物は医師であり、
前記固有データは患者のカルテである、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
看護師の使用する通信装置をさらに備え、
前記通信装置は、看護師の識別情報を取得すると、取得した看護師の識別情報を前記コンピュータへ送信し、
前記コンピュータは、前記通信装置から看護師の識別情報を取得すると、前記第1のカメラ又は前記第2のカメラで撮像された画像から看護師を認識し、前記通信装置から受信した看護師の識別情報が前記認識した看護師の識別情報に一致するか否か判定し、前記判定で一致する場合、前記通信装置からのデータを前記記憶部に格納されている前記患者のカルテに追記し、
前記空間通信部は、追記されたカルテが読み出し対象となっている場合、前記記憶部に格納されているカルテを前記HMD通信部に送信する、
請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記HMDの操作を行う操作装置をさらに備え、
前記HMDは、前記第1のカメラで撮像された画像を表示し、
前記HMD通信部は、前記操作装置からの指示を契機に、前記HMDに表示された画像を前記空間通信部に送信する、
請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記HMDは、
前記HMDの装着者に音声を伝達する骨伝導ヘッドホンをさらに備え、
前記固有データに音声データが含まれている場合、前記音声データを前記骨伝導ヘッドホンに出力する、
請求項1から4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
HMDに搭載されている第1のカメラが、前記HMDの装着者の視野の少なくとも一部を撮像する手順と、
第2のカメラが、前記HMDの装着者を撮像する手順と、
コンピュータが、前記第1のカメラで撮像された画像から第1の人物を認識し、前記第2のカメラで撮像された画像から第2の人物を認識し、第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを記憶部から読み出す手順と、
照明装置に搭載されている空間通信部が、前記記憶部から読み出されたデータを、前記照明装置に用いられている照明光に含まれる波長の光を用いて送信する手順と、
前記HMDに搭載されているHMD通信部が、前記空間通信部からのデータを受信する手順と、
前記HMDが、前記HMD通信部の受信したデータを表示する手順と、
を備える表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドマウントディスプレイに、インタラクティブに、人に知られないように、送信側のデータを投影表示させることのできる表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AR(Augmented Reality:拡張現実)と呼ばれる技術の導入が進んでいる。例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)を活用することで、人が実際に存在する現実空間内の、室内テーブルの上に、仮想の花瓶や置物、コップ等が置かれている映像や音声等の情報の提示を行うことにより、現実の空間と仮想空間とを融合することができる。この原理は、仮想的に存在するコンピュータ内の情報を現実の環境情報の一部として取り込み、現実の環境と仮想の環境情報を合成する方法が一般的に知られている。このように、コンピュータが現実の空間を拡張するための手段としては、視覚を用いる方法が知られているが、これ以外に、聴覚などの感覚器官を活用して実施する例もある。しかしながら、利用するユーザにとって、インタラクティブに必要となる、あるいは有用となるメッセージ情報をAR空間の中に提供して表示する手段はまだ、実現されていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-1516号公報
【文献】特開2015-216633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、他人には知られないように、特定の利用者に対して、有用な秘密情報をプッシュ通知することで、セキュアーに情報を伝達して表示する表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
現在では、HMDを利用するユーザに提示する情報の中に、Wifiを介してインターネットのWebサイト等から取得した映像情報をAR空間上で視ることができるようなサービスに留まっているが、このような状況のもとで、このAR空間上に、利用者が必要とするメッセージ情報や音声情報等を、インタラクティブに、プッシュ通知できる手段を開示することにより、現実の世界に、他の人には知られないように、オンデマンドで有用となる情報を伝達することが可能になる。
【0006】
ここで、プッシュ通知機能を実現するためには、あらかじめ、情報を提供する対象となっている医師又は看護師などの人物をカメラで常時撮影する機能を、病院の患者が入院している病室内等に備えておくことが必要である。この状態で、AI機能等を用いて、当該の人物を捉えた時に、適切なタイミングで、インタラクティブに当該の情報を、可視光あるいは、医用電子機器に影響を与えない赤外線、または他の電磁波の波長帯を設けて転送する。また、CSK情報を解読後に、当該情報を音声情報に変換して提供する新しい、可視光通信システムの実現も可能となる。本開示は、これらの技術に着眼し、新たな付加価値情報をHMDのようなウェアラブル端末を活用して取得および表示する。
【0007】
可視光通信システムの構成技術としては、例えば、特許文献1の「有機EL照明光通信システム」が開示されている。しかしながら、可視光通信技術とAR技術とを組み合わせた通信・表示システムは、開示されていない状況である。これらの複数の技術を効果的に融合することにより、新たなAR空間の利便性を、高度なセキュリティを保証しつつ、活用できる技術が社会的にも要望されている。
【0008】
具体的に活用可能な技術として、例えば、(暗号化された)CSK(Code Shift Keying)情報の暗号化技術(例えば、特許文献2参照。)を利用し、ドローンを用いた空撮情報(映像情報)内に埋め込まれたCSK変調信号の情報の中から必要なID情報等を抽出し、秘密情報を抽出する技術が開示されている。このメカニズムを用いて、AR空間上で当該の情報を取り込み、表示することができる。例えば、空撮の映像情報の視聴に加え、同時に映像情報内に含まれたCSK情報を解読し、当該のCSK情報に含まれる秘密情報を、プッシュ通知機能を用いて、AR空間上にテキスト情報として表示することも可能である。
【0009】
本開示は、HMDに空間通信システムを適用し、他人には知られないように、秘密にHMDの創成するAR空間を利用し、特定の利用者に対して、有用な秘密情報をプッシュ通知することで、セキュアーに情報を伝達して表示する表示システムを提供する。
【0010】
本開示で開示する表示システムは、医用電子機器に影響を与えない、一つ、または複数の波長の光あるいは電磁波を、波長毎に異なるデータ信号で変調したLED光源の変調光として用い、データ通信用の可視光を出射する送信部と、送信部の出射するデータ通信用の可視光から、あらかじめ定められた波長帯の光を受光し、当該のデータ情報を復調する受信部と、当該受信部からの信号に基づいて、それぞれのデータを、例えば、可視光の色彩に対応した文字情報や、音声情報としてHMD等のウェアラブル端末用ディスプレイに投影させることにより、特定の個人の顔画像等が遠隔モニタ用カメラで認識された後に、人に知られないように、事前に登録された必要情報を、インタラクティブに、特定の個人に、秘密にプッシュ通知する。
【0011】
具体的には、本開示に係る表示システムは、
HMD(Head Mounted Display)に搭載され、前記HMDの装着者の視野の少なくとも一部を撮像する第1のカメラと、
予め定められた領域内に存在する人物を撮像する第2のカメラと、
第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを記憶する記憶部と、
前記第1のカメラで撮像された画像から第1の人物を認識し、前記第2のカメラで撮像された画像から第2の人物を認識し、第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを前記記憶部から読み出すコンピュータと、
前記記憶部から読み出されたデータを、前記領域内に向けて送信する空間通信部と、
前記HMDに搭載され、前記空間通信部からのデータを受信するHMD通信部と、
前記HMD通信部の受信したデータを表示する前記HMDと、
を備える。
【0012】
具体的には、本開示に係る表示方法は、
HMDに搭載されている第1のカメラが、前記HMDの装着者の視野の少なくとも一部を撮像する手順と、
第2のカメラが、前記HMDの装着者を撮像する手順と、
コンピュータが、前記第1のカメラで撮像された画像から第1の人物を認識し、前記第2のカメラで撮像された画像から第2の人物を認識し、第1の人物と第2の人物の組合せで特定される固有データを記憶部から読み出す手順と、
照明装置に搭載されている空間通信部が、前記記憶部から読み出されたデータを、前記照明装置に用いられている照明光に含まれる波長の光を用いて送信する手順と、
前記HMDに搭載されているHMD通信部が、前記空間通信部からのデータを受信する手順と、
前記HMDが、前記HMD通信部の受信したデータを表示する手順と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、他人には知られないように、秘密にHMDの創成するAR空間を利用し、特定の利用者に対して、有用な秘密情報をプッシュ通知することで、セキュアーに情報を伝達する表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態の表示システム構成の一例を示す。
【
図4】第2の実施形態の表示システム構成の一例を示す。
【
図12】可視光通信及び表示の具体的な構成例を示す。
【
図14】可視光信号を音声信号に変換するための実施例を示す。
【
図15】可視光信号のCSKを変換してHMDへ表示する例を示す。
【
図16】空間通信部の信号タイミングチャート(可視光のON/OFFによりASCIIコードで表現したメッセージの信号波形をおよび、アスキーコードを非同期送信する際のスタート・ストップコードのタイミングチャート)の例を示す。
【
図17】可視光送信部の信号タイミングチャート(可視光のON/OFFによりASCIIコードで表現したメッセージの信号波形をおよび、アスキーコードを非同期送信する際のスタート・ストップコードのタイミングチャート)の例を示す。
【
図18】本開示の受信部における処理フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す。
図2に、HMD91の構成の一例を示す。本実施形態に係る表示システムは、HMD91、第2のカメラ92、コンピュータ93、記憶部31、空間通信部94を備える。HMD91は、第1のカメラ11、HMD通信部12、CPU(Central Processing Unit)16、レンズ14を備える。
【0017】
本実施形態では、第2のカメラ92が病室81に配置され、病室81内に、医師PD、看護師PN及び患者PPが存在する例を示す。本実施形態において、患者PPが第1の人物であり、医師PDが第2の人物であり、固有データが患者PPのカルテである場合について説明する。医師PDがHMD91の装着者である。
【0018】
また本実施形態では、レンズ14は、CPU16の出力情報を表示する表示部として機能する。HMD91は、メガネのレンズに文字や画像を投影するものに限らず、人の網膜に文字や画像を投影するものなど、ヘッドマウント型の任意のディスプレイを含む。
【0019】
本開示では、HMD通信部12及び空間通信部94は、光又は電波を用いて信号を送受信する。HMD通信部12及び空間通信部94は、病室81に配置されている精密機器への影響を避けることの可能な波長を用いる。例えば、電波であれば、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信用に用いられている波長や、赤外線通信用の波長や、可視光通信用の波長が例示できる。
【0020】
可視光通信を用いる場合、空間通信部94は、病室81の照明装置の近傍に配置されていることが好ましい。これにより、空間通信部94から送信されている信号光が照明光と同化するため、他人には知られないように、空間通信部94からの情報をHMD通信部12が受信することができる。また、空間通信部94は、照明光に含まれる波長の光を用いて通信を行ってもよい。例えば、照明装置が赤色、緑色、青色の光源を備える場合、赤色、緑色、青色の少なくとも1つの光源を空間通信部94の光源として用いることができる。
【0021】
第1のカメラ11は、患者PPを撮像する。第1のカメラ11は、医師PDの視界の少なくとも一部を撮像可能な任意のカメラを用いることができる。CPU16は、第1のカメラ11で撮像された画像をHMD通信部12から空間通信部94へ送信する。
【0022】
ここで、本実施形態は、HMD91の操作を行う操作装置(不図示)をさらに備えることが好ましい。操作装置は、HMD91に搭載されていてもよいし、HMD91を制御可能なリモートコントローラであってもよい。この場合、HMD91は、第1のカメラ11で撮像された画像をレンズ14に表示し、HMD通信部12は、操作装置(不図示)からの指示を契機に、HMD91に表示された画像を空間通信部94に送信する。このように、操作装置からの指示があったときにHMD91からコンピュータ93に画像を送信することによって、コンピュータ93での患者PPの特定が容易になる。
【0023】
第2のカメラ92は、例えばWebカメラを適用することが可能であり、予め定められた領域内に存在する人物を撮像する。例えば、第2のカメラ92は、病室81内に存在する医師PD、看護師PN及び患者PPを撮像する。
【0024】
記憶部31は、カルテ、カルテ管理テーブル、医師認識テーブル、患者認識テーブルを保持している。カルテ管理テーブルには、
図3に示すように、患者P
Pの識別情報ID_PPxと医師P
Dの識別情報ID_PDxの組合せで特定される患者P
Pのカルテの識別情報ID_CRxが格納されている。医師認識テーブルには、医師P
Dを認識可能な情報と医師P
Dの識別情報ID_PDxが紐付けて格納されている。患者認識テーブルには、患者P
Pを認識可能な情報と患者P
Pの識別情報ID_PPxが紐付けて格納されている。医師P
Dを認識可能な情報及び患者P
Pを認識可能な情報は、例えば顔情報及び名札情報である。
【0025】
コンピュータ93は、空間通信部94の受信した画像を取得すると、患者認識テーブルを参照し、第1のカメラ11で撮像された画像から患者PPを認識し、患者PPの識別情報ID_PPxを特定する。そして、コンピュータ93は、医師認識テーブルを参照し、第2のカメラ92で撮像された画像から医師PDを認識し、医師PDの識別情報ID_PDxを特定する。ここで、医師PD及び患者PPの認識方法は任意である。例えば、顔認識を用いてもよいし、バーコードや2次元コードなどの名札の認識を用いてもよい。
【0026】
コンピュータ93は、患者PPの識別情報ID_PPx及び医師PDの識別情報ID_PDxを特定すると、カルテ管理テーブルを参照し、患者PPの識別情報ID_PPxと医師PDの識別情報ID_PDxの組合せで特定される患者PPのカルテを記憶部31から読み出し、空間通信部94に出力する。
【0027】
空間通信部94は、患者PPのカルテをHMD通信部12に送信する。HMD通信部12が患者PPのカルテを受信すると、CPU16がレンズ14に患者PPのカルテを表示する。レンズ14に表示するカルテは、例えば、患者PPの氏名などの患者情報、検査結果、看護師PNからの連絡事項、である。これにより、本開示は、医師PDの目の前の患者PPのカルテを、自動的に医師PDのHMD91に表示することができる。
【0028】
ここで、患者PPに関する情報のなかで、患者PPに知らせないことが望ましい情報が存在することがある。本開示では、患者PPに関する情報が医師PDのHMD91に表示されるため、患者PPに秘匿にした状態で、医師PDが患者PPに関する情報を得ることができる。
【0029】
HMD91は、HMDの装着者である医師PDに音声を伝達する骨伝導ヘッドホン(不図示)をさらに備えることが好ましい。CPU16は、カルテに音声データが含まれている場合、音声データを骨伝導ヘッドホンに出力する。これにより、音声についても患者PPに秘匿にした状態で、医師PDが患者PPに関する情報を得ることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、患者PPが第1の人物であり、医師PDが第2の人物であり、固有データが患者PPのカルテである場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、固有データはカルテに限らず、第2の人物に紐付けられた第1の人物の任意の情報でありうる。
【0031】
(第2の実施形態)
図4に、本実施形態に係るシステム構成の一例を示す。本実施形態に係る表示システムは、HMD91、第2のカメラ92、コンピュータ93、空間通信部94、通信装置95、を備える。患者への問診の途中で、患者P
Pに知らせないことが望ましい、看護師P
Nから医師P
Dへの伝達事項が生じる場合がある。本実施形態では、そのような場合に、看護師P
Nの使用する通信装置95から入力された情報を、HMD91に表示する。
【0032】
通信装置95は、通信機能、表示機能、入力機能を備える任意の端末であり、タブレットを用いることができる。通信機能は、空間通信部94と通信可能な任意の手段を用いることができる。入力機能は、カメラを用いた画像の入力、及び、テキスト情報の入力が可能である。
【0033】
第1のカメラ11は、看護師PNを撮像する。CPU16は、第1のカメラ11で撮像された画像をHMD通信部12から空間通信部94へ送信する。ここで、第1の実施形態と同様に、HMD91の操作を行う操作装置(不図示)をさらに備えることが好ましい。
【0034】
本実施形態では、記憶部31は、看護師認識テーブルをさらに保持している。
図5に示すように、看護師認識テーブルには、看護師P
Nを認識可能な情報と看護師P
Nの識別情報ID_PNxが紐付けて格納されている。看護師P
Nを認識可能な情報は、例えば顔情報及び名札情報である。
【0035】
コンピュータ93は、看護師認識テーブルを参照し、第1のカメラ11で撮像された画像から看護師PNを認識し、看護師PNの識別情報ID_PNxを特定する。ここで、コンピュータ93は、第1の実施形態と同様の方法を用いて看護師PNを認識することができる。
【0036】
コンピュータ93は、カルテ管理テーブルを読み出し、看護師PNの識別情報ID_PNxを、患者PPの識別情報ID_PP2と医師PDの識別情報ID_PD2の組合せで特定される患者PPのカルテID_CR3に関連付ける。
【0037】
一方で、看護師PNは、通信装置95に自己の識別情報を入力する。識別情報は、例えば、病院内で付与されている識別番号、氏名、バーコードである。通信装置95は、空間通信部94と通信可能な通信部(不図示)を備え、当該通信部は、看護師PNの識別情報ID_PNxを通信装置95の識別情報ID_TNxと共に空間通信部94に送信する。
【0038】
コンピュータ93は、看護師PNの識別情報ID_PNxを空間通信部94から受信し、第1のカメラ11で撮像された画像から特定された看護師PNの識別情報ID_PNxと、通信装置95から受信した看護師PNの識別情報ID_PNxとが、一致するか否かを判定する。コンピュータ93は、看護師PNの識別情報ID_PNxが一致する場合、カルテ管理テーブルを読み出し、看護師PNの識別情報ID_PNxと通信装置95の識別情報ID_TNxを紐付ける。
【0039】
また看護師PNの識別情報ID_PNxが一致する場合、コンピュータ93は、患者PPのカルテへの追記が可能な旨の通知を、通信装置95に送信する。このとき、空間通信部94が当該通知を通信装置95に送信し、通信装置95がこれを受信する。これにより、通信装置95からの患者PPのカルテID_CR3への追記が可能になる。例えば、通信装置95に、患者PPのカルテID_CR3に追記するためのウィンドウが表示される。
【0040】
通信装置95にデータが入力されると、コンピュータ93は、通信装置95からのデータを記憶部31に格納されている患者のカルテID_CR3に追記する。空間通信部94は、記憶部31に格納されている患者のカルテID_CR3にデータが追記された場合、追記されたデータを送信する。HMD91は、追記されたデータをHMD91から受信すると、当該追記されたデータをさらに表示する。
【0041】
音声データで出力する旨の指示が通信装置95に入力された場合、HMD91は、当該指示のあったデータを、音声データとして骨伝導ヘッドホン(不図示)に出力することが好ましい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態は、通信装置95に入力されたデータをHMD91に表示することができる。本実施形態では、第1のカメラ11で撮像された画像から看護師PNの識別情報ID_PNxを特定したが、本開示はこれに限定されない。第1のカメラ11に代えて、又は第1のカメラ11に加えて、第2のカメラ92で撮像された画像から看護師PNの識別情報ID_PNxを特定してもよい。また、本実施形態では、一人の看護師PNが通信装置95を用いる例を示したが、2以上の各看護師PNが通信装置95を用いてもよい。また、通信装置95とコンピュータ93との情報伝達手段は、空間通信部94に限らず、任意の無線通信を用いてもよい。
【0043】
(第3の実施形態)
図6に、本開示のHMDの具体的な動作原理の一例を示す。
図6では、本開示に係るHMDの一例として、市販されているHMDの一種であるスマートグラスのEPSON MOVERIO BT300)の動作原理を示す。このスマートグラスを用いて有機ELディスプレイ上の映像を人は認識できる。この例では、スマートグラスは、有機ELディスプレイ13とレンズ14と反射レンズ15と、を備える。有機ELディスプレイ13より出射されたRGB光はレンズ14内の反射レンズ15によって、人の網膜上に投影される。
【0044】
スマートグラスとしては、例えば、右目前方に実装された第1のカメラ(不図示)、ディスプレイとして機能するレンズによってインタラクティブなコミュニケーションを可能とする製品もあり、多様なディスプレイ形式が実装可能である。一般的には、WiFi経由でのインターネットのアクセスを実現する機能を内在する機器も開発されており、インターネット上の、Webアクセスも可能である。
【0045】
(第4の実施形態)
図7に本実施形態例を示す。
図7では、LEDなどの既存の照明用可視光源82の備わる照明装置83に、新たに、空間通信部94を付加する。空間通信部94は、送受信部32からのデータ信号を受信する受信部42と、可視光変調用の信号を作成する信号作成部43と、可視光通信部41と、を備える。可視光通信部41は、単一あるいは複数の波長の光を用いて、波長毎に異なるデータ信号で変調した変調光を、LED等を用いて生成する。本実施形態は、このようにして生成した信号により、可視光を使用してデータ通信を行う。
【0046】
HMD通信部12は、可視光通信部41の出射する変調光の中から、あらかじめ規定された波長の光を受光する。そして、HMD91は、受光したデータ信号を復調し、ディスプレイとして機能するレンズ14にインタラクティブにリアルタイム表示する。データ信号は、例えばメッセージなどの文字情報であり、絵や写真などの描画回路の出力であってもよい。
【0047】
このように、本実施形態は、通常の照明の環境を維持した状態で、HMD91に、インタラクティブにリアルタイム表示することで、HMD91を通常の利用形態に加え、利用者が知りたい情報は他人に知られないように、可視光を使用してプッシュ送信し、HMD91を装着している医師PDに伝達することができる。
【0048】
ここで、プッシュ通知機能を実現するため、あらかじめ、情報を提供する対象となっている医師PD、あるいは、看護師PNなどの人物を第2のカメラ92で常時撮影する機能を病院の室内等に備えておく。また、第1及び第2の実施形態で説明した、カルテ、カルテ管理テーブル、医師認識テーブル、患者認識テーブルを任意の記憶部に保持する。この状態で、コンピュータ93は、第1のカメラ11及び第2のカメラ92からの画像を用い、AI機能等を用いて、当該の人物を捉えた時に、適切なタイミングで、インタラクティブに、当該の情報を転送する。
【0049】
なお、送受信部32は、通信装置95に入力されたデータを送受信する機能を有する。本開示では、通信装置95に入力されたデータをコンピュータ93で管理し、コンピュータ93からHMD91に送信する。このため、送受信部32は、コンピュータ93に備わる送受信機能を用いることができる。また送受信部32から受信部42へのデータ信号の転送方法は、可視光のほか、医用電子機器に影響を与えない赤外線、または他の電磁波の波長帯を設けてもよいし、有線での通信を用いてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態は、HMD91では、当該波長の光に含まれるデータ信号を、HMD91のレンズ14にリアルタイム表示することにより、同じ病室での周囲の患者には、全く、照明等の環境条件が変化していない状況の中で、他人に知られないよう、リアルタイムにディスプレイ表示させて、通知することができる。このメカニズムを用い、診察中に、看護師PNは、同じ病室での他の患者に分からないように、コメントを医師PDのHMD91にプッシュ送信することができる。このとき、第2のカメラ92とコンピュータ93により、医師等のあらかじめ登録された特定の人物の画像が認識された時に、インタラクティブに適切なタイミングで、HMD91にプッシュ送信することが好ましい。
【0051】
(第5の実施形態)
図8に本実施形態例を示す。
図8では、
図7の構成に加え、更に、新たに有線で接続された患者等のカルテに対応する記憶部31のデータベースに対して有線通信を用いてアクセスが可能な受信部42Bと、当該の受信情報を可視光に変換する可視光通信部41Bを照明装置83に備える点が異なる。HMD91のHMD通信部12は、このデータベース31の情報を、
図7の構成とは別の可視光信号を用いて受信するための受信部を備える。このシステム構成を活用することにより、医師P
Dは診察中に、患者のカルテ等を持ち運びする必要がなく、HMD91上で、当該情報を表示させることにより、確認することができる。
【0052】
さらに本実施形態は、第4の実施形態で説明したように、看護師PNからのプッシュ送信により、他人に知られないように、看護師PNの伝えたい情報をテキストベースでHMD91上に表示させて利用可能することが可能となる。
【0053】
(第6の実施形態)
図9に、本実施形態例を示す。
図9では、
図8に付加する部品群の削減が可能である。例えば、HMD通信部12は、可視光通信部41Aから出射される2種類の可視光信号(データベースの読み取り情報と看護師からのプッシュ通知信号)を受信するため、多波長受信用および分離用の機能を備える。また、空間通信部94は、2つの受信部42A及び42Bの受信データを合成する可視光信号変調用の信号合成部44を備え、合成後のデータ信号を共通の可視光通信部41Aから送信する。これにより、本実施形態は、HMD91に付加する部品群の削減が可能である。
【0054】
(第7の実施形態)
また、看護師P
Nから医師P
Dに対してのプッシュ通知の情報送信が不要な場合には、当該の通信システムの要素は省略できることが言うまでもない。この場合の通信形態の例を
図10に示す。このように、本開示は、いずれの場合においても、病院側の医用電子機器に影響を与えないようにして、通常の照明環境の中で、医師P
Dと看護師P
Nが、双方とも円滑なコミュニケーションが他人にしられないようにして実現できると共に、医師P
Dまたは看護師P
Nが通常持ち歩く必要のあるカルテ情報を、医用電子機器の影響を与えないように、電子的に活用することが可能となる。
【0055】
なお、上の例では、空間通信部94からHMD91への通信に可視光を用いる場合を説明したが、実際には、当該の環境内で医用電子機器に影響を与えないことが判明している条件を満たす赤外線領域の電磁波や、当該の環境内では使用されておらず、かつ医療機器にも影響を与えない電磁波を用いることも可能であることは言うまでもない。但し、この場合は、可視光通信を利用する場合と比べて、通信状態の安定性を常時視認できる利点が失われ、また、特定の通信相手に絞って、目に見える形態でセキュリティが確保されていることを確認できる利点も失われることに着眼する必要がある。
【0056】
(第8の実施形態)
図11に、本実施形態例を示す。この場合も、医師P
Dは診察中に、患者P
Pのカルテの持ち運びをすることなく、HMD91上でカルテの情報を表示することで利用可能である。この例では、空間通信部94に備わる信号合成部44が受信部42A及び42Bの受信信号を合成する。このため、本実施形態は、可視光信号変調用信号が合成された形式で、HMD91を装着する医師P
Dへ到達する。HMD91の受信部として機能するHMD通信部12では、1つの受信処理部を用いて複数の当該メッセージ情報を、インタラクティブにレンズ14にリアルタイム表示することができる。これにより、本開示は可視光受信用の部品を効率的に利用することが可能となる。また、看護師P
Nは、通信装置95を用いて、伝えたい情報を、医師のHMD91上にプッシュ通知で表示させることが可能となる。
【0057】
第1の実施形態から第8の実施形態において、医師PDと看護師PNとの役割分担を変え、逆に、医師PDから看護師PNに対して、セキュアーにプッシュ通知を行う手段を提供する場合に関しても、同様に、上述した通信形態は、有効に活用できることは言うまでもない。
【0058】
(第9の実施形態)
図12に、本開示における可視光通信及び表示の具体例を示す。可視光送信部711は第1及び第2の実施形態における空間通信部94に相当し、可視光受信部721は第1及び第2の実施形態におけるHMD通信部12に相当する。第1及び第2の実施形態のコンピュータ93からHMD91へのデータ送信において、送信側PC712はコンピュータ93に相当し、受信表示部722はHMD91に相当する。
【0059】
本実施形態例での表示システムは、例えば、Linux(登録商標)カーネルやオープンソースソフトウェアの開発が容易であるArduino(登録商標)デバイスを、ウェアラブルデバイス制御用として活用する可視光送信部711と、可視光受信部721と、受信表示部722と、を備える。
【0060】
可視光送信部711は、単一あるいは複数波長の光を波長ごとに異なる変調信号で変調する変調回路7111と、変調光をLED光源より出射する発光ダイオード7113と、発光ダイオード7113からの変調光の出射タイミングを制御するタイミング制御回路7112と、を備える。これにより、本実施形態は、送信側PC712からシリアル通信で出力された文字列情報を、可視光通信を用いて送信する。
【0061】
可視光受信部721は、送信装置71の出射する変調光を受光するフォトダイオード7211と、波長帯域ごとに変調信号を復調する復調回路7212と、を備える。これにより、可視光受信部721は、送信装置71からメッセージデータを受信し、文字列情報をシリアル通信で出力する。受信表示部722は、可視光受信部721で受信したメッセージデータをHMD91のディスプレイにリアルタイムに表示する。
【0062】
図13に、受信表示部722の回路構成の一例を示す。受信表示部722は、外部インタフェース(IF)731と、受信文字列処理回路7321と、描画処理回路7322と、ディスプレイ制御回路733と、ディスプレイ表示画面734と、を備える。受信文字列処理回路7321は、外部IF731とUSB接続された可視光受信部721より送信されたメッセージデータを、画面表示可能な形に変換する。描画処理回路7322はメッセージデータをディスプレイ表示画面734上に描画する。
【0063】
この表示システムの具体的な活用法としては、例えば病院内の一般病室に居住する複数の患者が、一緒に入院している状況の中では、医師と看護師との会話が、特定あるいは、不特定多数の複数の患者に、知られたくない場合も数多く存在する。このため、テキスト情報として受信者のHMDに表示したりする情報通信手段が有効である。あるいは、他人には聞こえないように、受信者のみに聞こえる微弱な音声信号として骨伝導マイクを活用して伝達する情報通信が有効である。例えば、医師と患者の両者が第1の実施形態で説明したHMD91を装着し、第2の実施形態で説明した通信装置95を看護師だけでなく医師や患者も利用可能にする。これにより、他の患者に知られないように、医師、患者及び看護師で情報を共有することができる。
【0064】
病院内では特に、医用電子機器には影響の与えないように、電波を用いない通信手段による情報伝達手段が、有効となる場合が多く存在する。すなわち、他人には知られないように、情報伝達を実現するための手段を提供する需要は、今後、益々高まると思われる。病室内に例えば4人の患者が入院している場合には、それぞれの患者毎に信号種別をベッド上で医師側が判断できるように明示し、実際にそれらの信号種別と対応させたテキスト情報が、受信表示部722上で表示できるように、送信モジュールを可視光送信部711に相当する空間通信部94に備えればよい。
【0065】
例えば、可視光通信の場合、信号種別は、赤、青、緑、黄色などの色表示を用いることができる。この場合、通信用の多色LEDの送信モジュールを可視光送信部711に備えればよい。このように、それぞれの色によって病室内の患者の識別を行いつつ、医師にとって必要となるテキスト情報も、患者識別が容易にできるように、看護師が遠隔操作して受信表示部722上にメッセージ情報として表示することが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態は、第2の実施形態の通信装置95からコンピュータ93へのデータ送信にも適用可能である。この場合、送信側PC712は通信装置95に備わる空間通信部に相当し、受信表示部722は空間通信部94に相当する。
【0067】
一方、HMD91上での表示情報を骨伝導マイクで音声情報として伝えることも可能となる。
図14に具体的な構成例を示す。文字列受信回路7421が可視光受信部721の信号を受信し、文字列認識回路7422がテキスト情報に変換後、音声変換回路7423が骨伝導ヘッドホンへ音声出力可能な音声信号に変換する。音声信号無線送信部75は骨伝導ヘッドホン76に音声信号を伝達する。音声信号無線送信部75は、例えば、BLUETOOTH(登録商標)を用いることができる。この場合に、当該のBLUETOOTH(登録商標)を用いる通信手段が、他の医用電子機器に影響を与えないことを前提とすることは言うまでもない。
【0068】
一方、既存の多くのAR機器では、情報の提示や取得のために、HMDがしばしば利用される。しかしながら、これらの技術に可視光通信用のCSK表示デバイスを適用した情報表示手段は、実現されていない。
図15にCSK表示デバイスを用いた具体例を示す。送信装置71は、スマートフォン等の内蔵アプリケーションを用いてドローン等で空撮し、ディスプレイ714にCSK情報を表示する。図では、CSK情報の一例として、4×4CSKコード画像を示している。受信装置72では、フォトダイオード7211がCSK情報を撮像することで受信し、復調回路7212が光のCSKコードを電気信号に変換することで復調し、CSKコード解読回路7213が当該の電気信号に変換されたCSKコードを文字データ等に解読する。可視光受信部721で当該文字列を受信したのちに、受信表示部722がリアルタイムに、HMD91を用いたAR空間上に、情報の通知・表示を行う。
【0069】
一方、Wifi技術とクラウド技術を更に組み合わせることで、リアルタイムに、あらかじめ登録された患者や個人データベース等をAR空間上に表示する技術の実現も可能である。また、ARシステムでは、情報の表示や取得のためにHMDを利用することが可能である。さらに、HMDと携帯電話等を用いて、クラウドにアクセスしたり、リアルタイムに登録された個人データベースを仮想空間上に表示することも可能である。
【0070】
(第10の実施形態)
図16に、可視光送信部711より送信された、メッセージ「ab1」(t1)が表現された信号のもっとも簡単なタイミングチャートを例示する。ここでは、Start Code(t2)、Stop Code(t3)、データ部(t4)がある場合の構成例を示す。この例では、メッセージデータをASCIIコードとし8ビット毎に可視光受信部721に備わる復調回路7212で復調する。非同期通信を行うためにStart CodeとStop Codeを設けることが一般的である。
【0071】
Start CodeとStop Codeでは、
図17に示すように、可視光通信部41の発光ダイオードがON状態からOFF状態に遷移しON状態に復帰するまでの時間が予め定められた時間(例えば250μs)であるとき(t5)、Start/Stop Codeと認識する。以下、
図16に示す時間t4に示すように、250μsごとに1ビットデータを送信する。
【0072】
Start/Stop Codeと同様に、ON状態からOFF状態に遷移しON状態に復帰するまでの時間計測を行う。
図17の時間t6及びt7に時間計測の一例を示す。例えば、計測された時間が50μsであれば「0」(t6)、100μsであれば「1」(t7)と認識する。
【0073】
図18に、
図12に示す受信装置72における処理フローの実施例を示す。本実施形態では、受信装置72は、初期設定、スタートコード受信待機、文字列情報受信を順に行う。初期設定ではステップS101及びS102を実行し、スタートコード受信待機ではステップS103~S105を実行し、文字列情報受信ではステップS106~S113を実行する。
【0074】
ステップS101では、変数となるtimeを設定する。ここで、「time」は、可視光通信部41の発光ダイオードがON状態からOFF状態に遷移しON状態に復帰するまでの時間である。
ステップS102では、配列バッファの初期設定を行う。
ステップS103では、LEDが消灯するまで待機する。
ステップS104では、LEDの消灯時間を計測し、「time」に格納する。本実施形態では、「time」が250μsである例を示す。
ステップS105では、LEDの消灯時間が250μsの場合(S105においてYes)、ステップS106に移行する。
ステップS106では、LEDが消灯するまで待機する。
LEDが消灯すると、LEDの消灯時間を計測し、「time」に格納する(S107)。「time」が50μsの場合(S108)、「配列バッファ」に「0」を格納する(S109)。「time」が100μsの場合、(S110)「配列バッファ」に「1」を格納する(S111)。その後、ステップS106へ移行する。
消灯してから250μsが経過すると(S112)、「配列バッファ」に格納された文字列をシリアル伝送する(S113)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
11:第1のカメラ
12:HMD通信部
13:有機ELディスプレイ
14:レンズ
15:反射レンズ
16:CPU
31:記憶部
32:送受信部
41A、41B:可視光通信部
42A、42B:受信部
43A、43B:可視光変調用の信号作成部
44:信号合成部
71:送信装置
72:受信装置
711:可視光送信部
712:送信側PC
7111:変調回路
7112:タイミング制御回路
7113:発光ダイオード
713:内蔵アプリケーション
714:携帯端末のディスプレイ
721:可視光受信部
722:受信表示部
7211:フォトダイオード
7212:復調回路
7213:CSKコード解読回路
7221:文字列受信部
7222:画面表示部
731:外部インタフェース
732:プロセッサ(制御部)
7321:受信文字列処理回路
7322:描画処理回路
733:ディスプレイ制御回路
734:ディスプレイ表示画面
74:文字列音声変換部
741:外部インタフェース
742:プロセッサ
7421:文字列受信回路
7422:文字列認識回路
7423:音声変換回路
743:音声出力回路
75:音声信号無線送信部
76:コツ伝道ヘッドホン
76:骨伝導ヘッドホン
81:病室
82:照明用可視光源
83:照明装置
91:HMD
92:第2のカメラ
93:コンピュータ
94:空間通信部
95:通信装置